オイルフェンス、辺野古の海分断
海保職員、市民に馬乗り
(琉球新報)2015年1月21日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-237634-storytopic-1.html
【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画で、沖縄防衛局の作業船は20日、キャンプ・シュワブ沿岸から大浦湾側へオイルフェンスを延ばし、フェンスが流されないように次々とアンカーを海底に下ろした。臨時制限区域を示すそのラインは瀬嵩区集落の近くまで拡大し真っ青な海を分断。海上で抗議するカヌー隊から作業中止を求める悲鳴にも似た声が飛んだ。「沖縄の民意に刀を突き刺すような傲慢(ごうまん)なやり方だ」。市民らは批判を強めた。
防衛局と連動し抗議行動を排除しようとする海上保安庁についても、市民から反発が高まっている。沖縄平和運動センターやヘリ基地反対協議会などで構成する「基地の県内移設に反対する県民会議」は、23日正午から那覇市の第11管区海上保安本部前で抗議集会を開くことを決めた。中城海上保安部前でも定期的に抗議集会を開く。
海上抗議で19日にけがを負った女性は告訴を含め検討している。16日に肋骨(ろっこつ)を骨折した男性は海上保安官を告訴する方針を固めたという。
20日、海上保安官が海上でカヌーや抗議船の一斉確保を図った際、カメラを持つ女性に馬乗りする姿も確認された。記者らも同乗した市民の抗議船は、ロープでつながれ臨時制限区域外に退去させられ、35分間身動きが取れなかった。
辺野古:11.20 キャンプシュワブゲート前での沖縄県警の蛮行の数々(RBC琉球放送,琉球新報,OTV沖縄テレビ,QAB琉球朝日放送)
http://youtu.be/-YDrneSiWS8
辺野古緊迫
不意打ち資材搬入
初の逮捕者
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年1月15日
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設予定地に隣接する同県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で10日夜、沖縄防衛局が工事用の資材搬入を強行した。抗議する住民と警備員の間で小競り合いが起き、住民1人が逮捕された。昨夏から続くゲート前の抗議活動で逮捕者が出たのは初めて。現地は緊迫している。
(三沢典丈)
反対住民、24時間監視で対抗
「十日は土曜日で、夜は『明日は工事も休みかなあ』と、メンバーも食事などでくつろいでいた。不意を突かれ、逮捕者を出してしまったのは痛恨の極み」。沖縄平和運動センターの山城博治議長は残念がる。
反対派住民などによると、十日午後七時ごろ、ゲート前の民間警備員は引き揚げていった。これを見て住民側も解散したが、同九時ごろになって突然、コンクリートミキサー車がやってきて資材の搬入を開始した。住民側は慌てて駆け付けたが、搬入は翌十一。日午前二時ごろまで続き、計二十台ほどが入っていったという。
この際、民間警備員ともみ合いとなった住民男性(三八)が、ペットボトルで警備員を小突いたとして、暴行の現行犯で警察に逮捕された。男性は十二日に釈放されたが、抗議の現場に居合わせたジャーナリストの三上智恵さんは「男性は以前から熱心に活動していた。当局に目を付けられていたのでは」と推測する。
年始早々、異例の深夜の資材搬入に踏み切ったのはなぜか。沖縄防衛局は「個別の作業についてはコメントを差し控える」と明らかにしていない。移設反対の翁長雄志(おながたけし)知事が誕生した知事選(昨年十一月十六日)と、沖縄県の四つの小選挙区で移設反対派が全勝した衆院選(十二月十四日)の間、ほぼ作業を中断していた。このため、防衛局は工事再開を急いだとみられる。三上さんは憤る。
「二つの選挙で新基地建設反対という県民の民意が示されたのに、安倍政権は工事を強行するのか。安倍晋三首相は、移設賛成の仲井真弘多(なかいま ひろかず)前知事には優しかったが、翁長知事には会わない。あからさまな沖縄差別で子どものいじめと同質。多くの国民が見て見ぬふりをしていることにも絶望する」
今回の不意打ち搬入を受けて、反対派住民は十一日から、ゲート前を二十四時間態勢で監視している。山城さんは「政府も正面突破は難しいとみて、姑息な手段をとった。それなら、こちらはひたすら監視を続けるだけ。メンバーの新基地建設反対の決意は固い」と意気込む。現在、常時五十~百人が参加している。‘
沖縄の基地問題に詳しい前泊博盛・沖縄国際大教授(政治学)は、今回の事態について「移設反対派は選挙で、民主主義のルールに沿って民意を示した。安倍政権はその民意を恫喝でねじ曲げてくる。民意をいくら示しても伝わうないから、反対派住民は体を張るしかない」と指摘する。
前泊氏は「辺野古は日本の縮図」と訴える。
「沖縄での強権的な手法は今後、福島や、原発再稼働を抱える地域でも使われるはずだ。毒に敏感なカナリアは毒ガス検知に利用されるが、沖縄は民主主義のカナリア。沖縄の息が詰まれば、日本の民主主義の息が止まる」
民意無視 海上作業を強行
“辺野古新基地許さぬ” 海で陸で抗議の声
沖 縄
(しんぶん赤旗)2015年1月16日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-16/2015011601_01_1.html
沖縄防衛局は15日、中断していた沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設に向けた海上作業を4カ月ぶりに再開し、海底ボーリング調査に向けた浮桟橋の設置などを強行しました。昨年の知事選などを通じ、何度も示された新基地建設反対の民意を踏みにじる暴挙に、市民らは海上と米軍キャンプ・シュワブのゲート前で抗議の声をあげ、作業中止を求めて座り込みました。
防衛局は15日未明、前日深夜から監視を続けていた市民を県警の機動隊が排除する中、トラックなどで重機や資材をシュワブ内へ搬入。午前8時30分ごろからシュワブ沿岸の浜辺でクレーン車を使って作業を開始しました。
市民らは、抗議船とカヌーを繰り出し「米軍基地は戦争と犯罪の温床です。作業をただちにやめてください」と訴えました。海上保安庁のゴムボートがカヌーを取り囲み、抗議活動を妨害しました。
シュワブゲート前では、早朝から多数の市民が座り込み、時折歌も交え「新基地建設を止めるまで団結して頑張ろう」と唱和しました。仲里利信衆院議員が駆け付け、「みなさんの後ろには8割以上の県民の支持がある。思いは必ず通ります」と参加者を激励しました。「気持ちはみなさんと同じ。何としても新基地建設をとめなければなりません」との翁長雄志沖縄県知事のメッセージを伝えると拍手と歓声がおこりました。
民意無視の兵糧攻め 減らされる沖縄振興費
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015011002000166.html
「沖縄に寄り添う」と語った安倍晋三首相の言葉とは正反対に、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する翁長雄志(おながたけし)知事への政府対応は、冷淡の一語に尽きる。昨年の知事選で示された「オール沖縄」の民意に対し、政府は沖縄振興予算の削減という兵糧攻めで応じようとしている。そもそも基地問題と振興策は別々のはず。政府による「沖縄いじめ」の構造を探った。
(沢田千秋、上田千秋)
知事面談も拒絶
「日本の安全保障は全国的な課題。国民全体で考える必要がある。O・6%の国土に74%の米軍施設があることは理不尽だ」。八日、東京都千代田区で開かれた全国知事会議で、新任あいさつに立った翁長氏は訴えた。この訴えが他知事の前ではできても、政府首脳らの面前でできない状態が続く。
昨年十一月、翁長氏に敗れた仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事は退任を前に官邸を訪れた。安倍首相と菅義偉官房長官は「よく仕事しましたね」とねぎらったという。官邸に足しげく通った仲井真氏は二〇一三、一四年の二年間で十五回以上、首相と面談した。
他方、翁長氏は当選後の昨年十二月二十四~二十六日と今月六~八日に上京したが、関係閣僚で面談できたのは山口俊一沖縄北方担当相のみ。首相、官房長官はおろか、基地問題担当の岸田文雄外相、中谷元防衛相も日程を理由に面談を拒否。西川公也農相は七日、JA沖縄中央会長や沖縄選出の西銘恒三郎衆院議員(自民)らからサトウキビ関連交付金の要請を受けたが、翁長氏とは面談しなかった。
予算面でも容赦はない。政府は新年度の沖縄振興予算の概算要求三千七百九十四億円を削減する方針だ。予算額は本年度の三千五百一億円を大幅に下回る三千百億円前後で検討しているという。この額は下げられるぎりぎりのライン。安倍首相は一三年十二月の閣議で「国家戦略として沖縄振興策を進める」として、現行の沖縄振興計画期間(一二~二一年)中は「毎年三千億円台を確保する」と発言。「前言撤回」とならない下限まで削る腹づもりのようだ。
概算要求を超える振興予算が確保されてきた仲井真知事時代とは、あまりに対照的だ。政府は「基地問題と振興策はリンクしない」と繰り返すが、振興予算の推移が、その主張に疑問符をつける。
振興予算の内訳は、県に幅広い裁量が与えられる一括交付金を筆頭に那覇空港拡張、沖縄科学技術大学院大学拡充、北部振興など沖縄の発展に欠かせない各種事業が並ぶ。一一年九月に就任した民主党の野田佳彦首相は「日米合意を踏まえて取り組む」として辺野古移設を推進。減り続けていた振興予算を一二年度にいきなり六百億円以上、増額させた。
民主党から政権奪取した安倍首相も辺野古移設を推進、振興予算を増やし続けた。それに応えるように仲井真氏は一三年十二月、「安倍内閣の沖縄に対する思いが、かつてのどの内閣にも増して強いと感じた」と辺野古沖の埋め立て申請を承認した。 o(`ω´*)o
政府の常とう手段 原発と同じ
名護市長選・知事選・衆院選挙区
推進派が全敗
国が予算などの増減で自治体を抑え込む「アメとムチ」の手法は、今に始まったことではない。
○五年、米空母艦載機五十九機が、神奈川県の米海軍厚木基地から山口県岩国市の米海兵隊岩国基地に移駐する案が浮上。市は○六年三月に実施した住民投票で反対が89%を占めたことなどを受け、移駐に反対する姿勢を示した。すると、国は市庁舎建設の補助金約三十五億円の支給を凍結すると伝えてきた。
当時市長だった井原勝介氏(六四)によると、新年度の予算編成が大詰めの○六年十二月、広島防衛施設局(現中国四国防衛局)幹部
が市役所を訪れ、「国に協力しないのなら補助金は出せない」と通告した。一年近く押し問答をしているうち容認派の市議が増え、市民の間にも「国には勝てない。従うしかない」との空気が拡散。「岩国は財政破綻する」とのうわさまで流れたという。結局、○八年二月の市長選で容認派候補が勝つと、国は補助金を復活させた。手法は常とう手段なのだ。
国は米軍基地がある市町村を対象に、迷惑料的な意味合いが強い「基地交付金」を支給しているのに加え、○七年には「米軍再編交付金」を制度化した。戦闘機の移駐など米軍再編に関して、①政府案の受け入れ表明②環境影響調査の着手③施設の着工④完成-と、段階が進むごとに支払うやり方を導入。自治体が途中で反対に転じにくい「出来高払い」のような仕組みになっている。
沖縄でも一九九七年、米軍基地がある二十五市町村に対し、使途を決めずに国が予算を配分する取り組みが始まる。九五年の米兵による少女暴行事件が契機だ。有識者会議の座長を務めていた島田晴雄・慶応大教授(現千葉商科大学長)の名前を取って「島田懇談会事業」とも呼ばれる。二〇〇〇年からは、普天間飛行場の代替施設建設を前提とした「北部振興策」が予算化され、これまでに島田懇談会事業と合わせて二千億円近くが投入されている。
「協力するなら金を出すという発想は原発政策にも通じる」。神奈川県逗子市長として、八〇~九〇年代に米軍住宅建設に反対した龍谷大の富野暉一郎教授(地方自治論)はみる。
昨年、沖縄では名護市長選、知事選で移設反対候補が勝利。衆院選では四つの全小選挙区で移設反対候補が全勝した。沖縄の民意は明確だ。富野氏は「仲井真氏が落選したのは、政府と一緒に金ばかりを重視し、県民の心を代弁しなかつたからではないか。政府は政策判断の前に、まず選挙の民意を受け止めるのが民主主義だ」と指摘する。
沖縄振興予算の原点は先の大戦にさかのぽる。「振興予算は、過酷な地上戦と米軍占領を経験した沖縄の痛みへの償いが目的で始まった。だが、次第に基地負担の代償となってしまった」と琉球大非常勤講師(地域開発論)の宮田裕氏は語る。
元内閣府沖縄総合事務局調整官で、本土復帰前から沖縄振興に携わった。翁長氏が仲井真氏と同じ変節の道を歩まぬことを願う一人だ。「国家としてあまりにひどい。権力による『沖縄いじめ』にほかならない。政府は沖縄の歴史に向き合い、基地と沖縄振興は別々に考え、県民の声に耳を傾けてほしい」
瀬長亀次郎 - Wikipedia
不屈館 瀬長亀次郎と民衆資料
http://senaga-kamejiro.com/
沖縄振興予算削減 どう見る
沖縄国際大学教授 前泊博盛さんに聞く
(しんぶん赤旗)2015年1月18日
14日に閣議決定された2015年度予算案で、沖縄振興予算は前年度比で162億円の減額となり、5年ぶりに削減されました。沖縄振興予算とその減額をどう見るか。基地経済に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛(まえどまり・ひろもり)教授に聞きました。聞き手・山田英明
税金使ったどう喝政治
減額幅は政府予算案の閣議決定前に報道されていた額からは小幅になりました。沖縄振興予算減額にたいする県民の反発が強まったからに他なりません。
安倍政権は14年度予算では、仲井真弘多前知事が名護市辺野古への米軍新基地建設にむけた埋め立てを承認するのと引き換えに、3501億円の沖縄振興予算を計上しました。当時、「500億円で沖縄の魂を売るのか」との批判の声が高まったことは記憶に新しい。こうした予算を、「有史以来の予算」「いい正月が迎えられる」と絶賛した仲井真氏は、県民の怒りを買い、昨年の知事選で新基地建設反対を掲げる翁長雄志知事が誕生する一因となりました。
武力とカネで
沖縄振興予算の減額は、額の大小が問題なのではなく、こういう形で減らすこと自体が、新基地建設反対を掲げる翁長知事にたいするどう喝、脅しであることに間違いはありません。国民の税金をどう喝に使っていいのかということです。
「政権の言うことを聞かないものからは飯を取り上げる」。こういう論理を振りかざす政府とはいったい何なのだろうと感じています。
安倍首相は第1次政権のときには(辺野古への新基地建設に反対する県民にたいして、海上自衛隊の掃海母艦を差し向けました。
掃海母艦 ぶんご
今回の事態は、地方が自分の言うことを聞かなければ予算を減らすということですから、まさに安倍政権は、武力とカネで国民をどう喝する政権だということができます。
原発問題でも
この国は、民主主義の国なのかということが問われています。予算を使ったどう喝政治を一度許せば、今度は原発再稼働をめぐっても同じ事をやられるでしょう。自民党ではない首長を選んだところは、「もう覚悟しろよ」と政権が言っているようなものです。
15年度予算案は、米軍基地を沖縄に縛り付けるための。アメとムチ″という沖縄振興予算の本質を浮き彫りにしました。基地をのまなければ振興策が揺さぶられる、弱みを握られ、どう喝され、せびられる、という不健全な沖縄振興策のあり方から脱却する、むしろいい機会だと思います。
安倍政権が沖縄県民を締め付ければ締め付けるほど沖縄は一つになるでしょう。沖縄振興予算の減額は、沖縄だけでなく日本全体に重要な問題を投げかけています。
前知事の辺野古埋め立て”承認”
翁長県政 検証に着手へ
法的欠陥あれば撤回も
建設阻止の転機に
(しんぶん赤旗)2015年1月21日
沖縄県は、仲井真弘多(なかいま ひろかず)前知事による名護市辺野古の埋め立て承認の検証委員会を近く発足させます。翁長雄志(おなが たけし)知事は、検証の結果、法的な瑕疵(かし)があれば承認の取り消し・撤回に踏み切る考えを示しており、米海兵隊普天間基地(同県宜野湾市)に代わる辺野古の新基地建設を阻止する大きな転機となりえます。検証の焦点を探りました。
(竹下岳)
環境保全の見解変更
検証の最大焦点は、仲井真氏が辺野古の埋め立て計画を「環境保全措置が取られており、基準に適合する」と判断した点です。
公有水面埋立法では、知事が埋め立ての許認可権を持っており、環境保全への配慮などの条件が満たされていない場合、埋め立ての承認はできないと定めています。
仲井真氏は2010年の知事選で、普天間基地の「県外移設」を公約に掲げて当選。政府が11年末に提出した環境影響評価書に対して、12年3月、「環境保全は不可能」だと断定していました。
同氏はその根拠として404の不適切事項を挙げました。しかし、安倍政権が13年3月に提出した辺野古の埋め立て申請書には、これらに関する改善はまったく見られませんでした。地元の名護市など圧倒的多数の関係者も、辺野古の海をコンクリートで埋め尽くす計画に対して、「環境保全は不可能」だと表明。県の部局からも疑問の声が出されていました。
これらの経緯から、仲井真氏は当然、申請を却下すべきでした。
ところが仲井真氏は13年12月25日、安倍首相との会談(首相官邸)で、前年度比で約500億円増の沖縄振興予算を提示されると、「有史以来のすぱらしい内容」などと絶賛。2日後の12月27日、「現段階で取り得ると考えられる環境保全措置等が講じられており、基準に適合している」と述べ、埋め立てを承認したのです。
翁長知事は「私自身、13年11月の時点で仲井真氏から直接、『環境面で(承認は)厳しい』と聞いた」(昨年10月の記者会見)と述べ、仲井真氏が急に見解を変えた可能性を指摘しています。
仲井真氏はだれと協議し、どのような根拠で「基準に適合した」と判断するにいたったのか。この過程の検証が求められています。
基地機能強化を隠す
埋め立て承認の過程に加えて、埋め立て申請書自体にも、重大な問題があります。国民の目を盗みながら、基地機能の強化を盛り込んできたことです。
政府は当初から、新基地に艦船が接岸できる軍港の設置を計画していましたが、環境影響評価の補正評価書では全長200メートルだったのが、埋め立て申請書では271・8メートルに延伸していました。
これにより、米海軍佐世保基地(長崎県)所属の強襲揚陸艦ボノムーリシャール(全長257メートル)も接岸可能となります。同艦に収容しているエアクッション型揚陸艇(LCAC)が上陸できる「斜路」も加えられました。さらに、弾薬搭載エリアの面積も約1万6000㎡から1万8662㎡に拡張していました。
これらの機能はいずれも、普天間基地には存在していないものです。
環境アセスをめぐっては、当初は米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備を前提にしていませんでしたが、途中から配備を書き込みました。
「後出しジャンケン」による基地機能の強化は、情報公開という民主主義社会の最低限のルールさえ踏みにじったもので、手続き上も重大です。
LCAC
県民の怒り拡大 安倍政権を包囲
安倍政権は13年11月から12月にかけて、普天間基地の「県外移設」を掲げる沖縄県や自民党県連に対して、総がかりで圧力をかけ、屈服させました。国家権力が法に基づく行政手続きを不当にねじまげ、仲井真氏に埋め立てを承認させた公算は大であるといえます。
ただ、仲井真氏の裏切りで県民の怒りは燃え広がり、翌14年には名護市長選、同市議選、沖縄県知事選、そして総選挙と、新基地建設を許さない[オール沖縄]勢力は4連勝。安倍政権は県民世論に包囲されました。
それでも安倍政権は仲井真氏による埋め立て承認を最後のよりどころにして、埋め立てに向けた作業を強行しています。しかし、検証で「法的な瑕疵」が認められた場合、すべての足場を失うことになります。翁長知事は「法的な瑕疵は十二分にありうる」との見方を示しています。
もう一つの閣議決定:辺野古立ち入り禁止水域拡大:反対運動の圧殺狙い
http://youtu.be/f67r5oIDw_8
辺野古内陸部にも「軍施設」:未公表米文書:機能強化された巨大基地
http://youtu.be/J-G88NZHoyM
映画「圧殺の海」藤本監督が見た辺野古
http://youtu.be/aIBSrqqxZUE
辺野古の映画「圧殺の海」
「沖縄の行く末は 日本の行く末」
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年1月21日
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古(名護市)移転に反対する市民運動を追った映画「圧殺の海 沖縄・辺野古」が完成し、東京で来月十四日から公開される。昨年、名護市長選と知事選、衆院選で。いずれも反対派が当選したのに移設工事は進む。撮影は続いており、続編の予定もある。藤本幸久監督(六○)は「米軍基地は沖縄だけでなく、普遍性のある問題。関心を持ってほしい」と話す。
(鈴木伸幸)
移設続行 国の横暴映す
昨年七月一日、撮影が始まった。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したその日、辺野古への移転工事も動きだした。
移設予定地に隣接する米軍キャンプーシュワブのゲート。防衛省沖縄防衛局が資材をトレーラーで運び込もうとし、反対派の市民が座り込んで阻止した。警官が市民を強制排除しようとして、現場はもみくちゃに。カメラが揺さぶられたのか、右に左に揺れる臨場感あふれる映像だ。
翌八月には辺野古沖でボーリング調査が始まった。立ち入り禁止にされた海域に市民がカヌーで入ろうとし、海上保安庁のゴムポートが猛スピードで近づき、職員が「出ていきなさい」と制する様子が生々しい。にらみ合いが続いた後、海保職員はカヌーを押さえ付け、市民をゴムボー
トに引きずり上げて拘束した。
「反対の民意を無視して工事は進む。市民を国が力でねじ伏せようとしている」と藤本氏は言う。「沖縄だけでなく、この国はこれでいいのか。沖縄の行く末は日本の行く末でもある」
藤本氏は移転計画が浮上した二〇〇四年から辺野古移転の問題を追い続けている。同年に行われたボーリング調査に対する反対運動を撮影し、映画を作った。
「当時は警察や海保は介入しなかった。ところが、今回は積極介入。安倍政権の強硬姿勢が表れている」と話す。
辺野古では今年に入っても、にらみ合いが続いている。キャンプーシュワブのゲート前で今月十日夜に突然、資材の搬入作業が始まった。もみ合いになり、男性がペットボトルで警備員を小突いたとして逮捕された。十五日には座り込む市民数十人ともみ合いになる中、作業が強行された。十六日にはカヌーで抗議行動中、拘束された男性のあぱら骨にひびが入った。
反対運動を続ける沖縄平和運動センターの山城博治議長は「警備は日増しに強化され、暴力的になっている。このままでは死人すら出かねない」と話す。
沖縄だけでなく、東京でも抗議行動が行われる予定だ。沖縄出身者が中心となり、二十五日午後二時から、国会を取り巻く「国会包囲ヒューマンチェーン」を行う。実行委員会は辺野古の海を表す「青いもの」を身に着けての参加を呼び掛けている。
藤本氏は「沖縄戦を体験した世代が精神的支柱となり、『基地があれば戦争になる。基地はいらない』と体を張っている。戦後世代の安倍首相は、金と力でどうにかなると思っているかもしれないが、想像力が足らない」と話した。
映画「圧殺の海」は東京・東中野のポレポレ東中野で上映される。名古屋でも上映の予定。続編の撮影では、制作協力金を募集している。問い合わせは事務局=電090(8278)6839=へ。
ニュースの視点:沖縄・辺野古の闘い~映画「圧殺の海」より~
http://youtu.be/zav2R1JBngA
これが市民へ公務員のやることか!(`・ω・´)凸 この国はこれでいいのか…(´・ω・`)
小出裕章先生:原子力発電所の原子炉も、研究用の原子炉も全て日本は、米国におぶさってきた
なぜ4割の得票で8割の議席なのか?
(ラジオフォーラム#107)
http://youtu.be/rF1s5eO68O8?t=15m27s
15分27秒~第107回小出裕章ジャーナル
国内の使用済み燃料の行方「米国としてはその危険なウランを外国に出していないわけですから、引き取る義務もないし理由もないということで、引き取りを拒否するということになってきているわけです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no107/
景山佳代子:
1月の小出裕章ジャーナルは、ずっと特集シリーズでお送りしているんですが、1月のテーマは「原発はなぜいけない?」です。本日の特集シリーズ「原発はなぜいけない?」というのは、廃物の処理ができないということについて、小出さんに伺っていこうと思います。
小出さん:
はい。まず、景山さんにお礼を言いたいのは景山さん今、放射性廃物という言葉を言って下さってとてもうれしいです。景山さんはもちろん、ご承知の上でその言葉を使って下さったんだと思いますが、聴いて下さってる方にもう一度確認をしておきたいのですが、 普通は皆さん放射性廃棄物という言葉を使うのです。そして、廃棄物というのは「ダメになったから棄てる物」と書くのです。
普通の例えば家庭のゴミとかは、生ゴミだろうと肉だろうが環境に捨ててしまえば、いずれバクテリア等が分解して始末をしてくれるわけですけれども、放射能に関しては自然には全く分解作用も浄化作用もありませんので、放射能のゴミに関する限りは捨ててはいけない。だから、私は廃棄物ではなくて廃物と呼ぶようにしてきたのです。
このラジオを聴いて下さってる方々も、放射能のゴミというのは特別なゴミだということを忘れないでいて頂きたいと思います。
景山:
そうですね。その原発というものを稼働させる限り、現在の科学では処理できない放射性廃物というのを抱え込むことになるんだ。そういうのをまざまざと実感させられてるんですけれど、実は放射性廃物っていうのは原発以外の施設からも発生してるんですよね?
小出さん:
そうです。
景山:
はい。今回、ちょっと伺いたいなと思ってるのが、小出さんが今お勤めしてらっしゃる京都大の研究用実験炉も含めて、日本で現在14基、研究原子炉が運転されているというふうに伺ってるんですが。
小出さん:
はい。そういう所でももちろん、原子炉を動かしてるわけですから、核分裂生成物はできますし、さまざまな実験をすることで放射能のゴミができて、そのお守りをどうするのか、どうできるのかということでずっと苦しんできているという歴史です。
※研究機関や医療機関から発生する放射性廃棄物の処分
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2008pdf/20080401007.pdf
私自身も京都大学原子炉実験所の中では放射能のゴミのお守りをするという部署におりまして、なんとか放射能を環境に漏らさないようにして、ずっと仕事を続けてきた人間です。なんとかこれまでは、福島のような大きな事故は起こさないできましたけれども、これからほんとにゴミの始末がどうできるのか、頭の痛いことになってしまっています。
景山:
そうですね。こうした研究炉でも使用済み燃料というのはたくさん出てると思うんですけど、これまではアメリカに引き渡されていたということを小出さん、以前お話して下さってたかと思うんですが、ところがこれ、2019年5月以降はこの契約延長されない可能性があるというふうなことを提言の方で見かけたんですがけれども、この場合、まず研究炉での使用済み燃料がもしも今後アメリカが引き取らないということになったらば、どういうふうに行っていくことになるんですかね?
小出さん:
大変困るわけです。ですから、京都大学原子炉実験所としても、使用済みの燃料を抱えたままではとても難しいだろうということで、とにかく米国が引き取ってくれるまでは、まずは運転をしたいと希望しているわけですし、米国との交渉で、米国が引き取ってくれる期間というものがもし延ばしてもらえるのであれば、まだ更に何年かは運転できるだろうということを期待しているという、そういう状況です。
京都大学原子炉実験所から使用済み燃料を貝塚港にむけて輸送
景山:
突然、これアメリカはなぜ契約延長をしないという判断をされたとか、なんかそういう理由ってあるんですかね?
小出さん:
もともとですね、例えば京都大学実験所の原子炉というのは米国が造った原子炉なのです。日本が自分で造れたわけではなくて、米国が造ってくれた。そして、燃料も米国がくれたという、その自分が造った原子炉用の燃料を米国が提供してきたということなのですけれども、その燃料は、例えばうちの原子炉の場合には93%濃縮ウランというウランを使っていまして、原爆材料そのものなのです。
それを原子炉の燃料に使っていたわけですが、もうこれ以上原子炉の中では燃やせないという状態になっても、なおかつ、核分裂性のウランが70%ぐらい燃料の中に存在しているので、もし、原爆を造ろうとすればできてしまうという、そういうウランなのです。だから米国としては、そんな物を日本には置いとくわけにはいかないから、とにかく返せと言って、そういう契約だったのです。
しかし、途中で米国がそのことの危険性に気が付きまして、もう海外には93%高濃縮ウランというような物を提供しないということにしまして、京都大学原子炉実験所もそれまで使っていた燃料が全て尽きてしまったという状態に、十数年前に陥ってしまったのです。
ですから、もう米国としては、その危険なウランを外国に出していないわけですから、引き取る義務もないし理由もないということで、引き取りを拒否するということになってきているわけです。
景山:
なんだかこう、すごくアメリカという国の政策に左右されながら、日本の原子力っていうのが進んできたという感じが今、伺っていると非常に…
戦略国際問題研究所(CSIS) 《゚Д゚》
小出さん:
おっしゃる通りです。原子力発電所の原子炉もそうですし、研究用の原子炉も全て日本というこの国では、米国におぶさってきたという歴史です。
景山:
そうですね。そうして私達が突然、その大量に残されていく放射性廃物っていうのを、じゃあこれからいきなり自分達でどう引き受けて処理したらいいのかっていう、こういう問題が、今後突き付けられていくという、そういう状況なんですね?
小出さん:
そうです。いずれにしても研究炉にしても、長い年月動かすことはこれからできませんし、原子力発電所にしたってどっちにしてもウランは枯渇してしまって、数十年の後にはもう動かなくなるわけですけれども、その後には膨大な放射能のゴミが残されてしまって、そのゴミのお守りを何百年、何千年、あるいは何十万年と引き受けなければならないということになるのです。
景山:
そうですね。では、今日も本当にありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。
放射性廃棄物:小出裕章「無毒化する力は人間にはありません」
http://youtu.be/qV1QKdvYQY4
「日米原子力協定」 遠藤哲也 一橋大学客員教授 2012.10.4
http://youtu.be/UMf4B4R2COE
「日米原子力協定のゆくえと原発ゼロ政策」のテーマで、日米原子力協定締約交渉で日本代表だった遠藤哲也・一橋大学客員教授(元原子力委員会委員長代理、元ウィーン代表部大使)が話し、記者の質問に答えた。
原発と原爆 日本の原子力とアメリカの影(1)
http://youtu.be/XBGkaXLHNRQ
原発と原爆 日本の原子力とアメリカの影(2)
http://youtu.be/ZTHVD5gQ1js
第1章 2011年 福島
福島第一原発事故をめぐる混乱の中で、ある不可思議な事実がある。
3月17日(※2011年)、自衛隊ヘリ部隊が行った空中放水。
被ばくリスクが非常に高い中で、なぜほとんど効果がなかったとされる“英雄的犠牲”は行われたのか?
オバマ大統領との電話会談の直前、“命がけ”の放水が決行された真意とは?
背後にあったのは、事故処理をめぐるアメリカ側のいらだちと疑念。情報の混乱とアメリカの圧力の中、迷走する官邸の姿だった。
日米間の調整業務に当たった細野豪志は、我々の取材にその時の危機感について「日米同盟の危機だった。歴史を60年以上戻すことになりかねない」と語り、菅直人は「責任を放棄した時には、日本は当事者能力をなくす」と振り返った。
第2章 1945年 広島
戦後68年、日本の原子力問題はアメリカの核戦略と無縁ではいられなかった。核をめぐるアメリカの影。その原点は、68年前の終戦直後の日本に遡る。
原爆投下から1ヶ月、マンハッタン計画の副責任者ファレル准将はこう言明した。
「残留放射能に苦しんでいる者は皆無である」
そして「プレスコード」の名の下に、GHQによる徹底した情報統制が行われた。
以来、現在に至るまでアメリカも日本も、「黒い雨」「死の灰」など残留放射能による健康被害を全面否定し続けている。
今回の取材で、アメリカの核政策を担うエネルギー省の元上級政策顧問は、それが欺瞞であり「核開発計画を継続、推進するための国家戦略」だったことを認めた。
第3章 1950年代 ビキニ-広島
さらに1950年代に入ると、ソ連との核開発競争の中で、アメリカは「原子力の平和利用」を打ち出した。
表向きは核兵器用に濃縮したウランを原発などに平和利用することだったが、米機密文書に書かれたもう一つの狙いは、西側同盟諸国に原子力技術を供与し、対ソ核包囲網を進めること。日本もその例外ではなかった。
そんな中、アメリカは被爆地・広島を「原子力平和利用」の宣伝ターゲットとして、「原子力平和利用博覧会」などを開催。一方、日米政治決着によってビキニ水爆実験による第五福竜丸の被ばくの事実を隠ぺいし、反米・反核の動きを抑え込もうとした。
その結果、唯一の被爆国日本は核の危険性に目をつむって「日米原子力協定」を締結、原発推進政策に突き進んでいく。
戦後、脈々と続いてきた原発開発と核兵器との密接な関係。1957年、東海村で原子の火が灯って以来、消えることのない“アメリカの影”。
福島原発事故で図らずも露呈した、原子力をめぐる知られざる日米関係を検証する。
そもそも原発は電気のためではなく、核兵器を作るために導入された
140203 岩上安身による小出裕章氏インタビュー
http://youtu.be/R5Ni4n13zP4
◆原発は電気のためではなく核兵器を作るために導入された◆
岩上安身「ジャーナリストの岩上安身です。私は今、京都大学の原子炉実験所に来ています。小出裕章先生にこれからお話をうかがいたいと思います。小出先生、よろしくお願いいたします」
小出裕章氏(以下小出、敬称略)「よろしくお願いします」
岩上「今、都知事選のまっただなかで、そういう状況で発言をすることは少し控えたいと言っていらしたところに押しかけまして、本当に申し訳ありません。申し訳ないと思うんですが、どうしてもこのタイミングで、小出先生のお話をうかがいたいと思いました。
多くの人が、今回の都知事選の喧騒に飲み込まれてしまって、非常に重要なニュースを見逃しているのではないかと思います。それは、私にとって大変気になることなんです。その件について、ぜひ先生のご見解をお聞きしたいと思っています。
その重大なニュースとはいうのは、アメリカがプルトニウムの返還要求をしてきている、というものです。1月27日に共同通信が一報を流しまして、各紙がそれを載せました。我々は、これは大変なニュースなんじゃないかと思いまして、外務省に連絡したんですね。外務省の担当課は、否定はしないんです。まあいろいろ申し上げられないこともある、というように、ぼかしているんですけれども、否定はできないということは、事実なんだろうと思います。
文芸評論家で早稲田大学の教授の加藤典洋さんが、3.11以降に『死神に突き飛ばされる』という本を書かれて、その中に、「国策と祈念」という論文を書いていらっしゃいます。日本の原発の平和利用において、それとワンセットで、核の技術的抑止というものが目指されてきたのだということを指摘されています。
ところが、もしこのプルトニウムを返還しろということを言われたのであれば、日本の核開発の目的というのは水泡に帰す。これは実は大きな選択を迫られるというお話なんですね。そういう分析をされています。
核技術抑止論と言ったり、潜在的核保有論と言ったり、いろいろな言い方はあると思いますが、こういうことを近年、石破さんとか、あるいは安倍さん、麻生さんも、発言をされていると思います。
しかしこうなると、周辺諸国、とりわけ中国との関係において牽制するということはできなくなります。曖昧な戦略ができなくなる、ということです。そうなると、もう核兵器を持ってしまうか。それともまったく諦めるかという選択を迫られるのではないか。このように分析しているんですね。
こんなに脱原発の議論が都知事選絡みで盛り上がっているにも関わらず、この話題が全然議論の遡上にあがらないんです。
そこで、先生にお話をうかがいたいなというふうに思っております。日本の原発の平和利用と言っても、裏側に核燃サイクルと抱き合わせで、このような核兵器保有のための準備をし続けてきたというのは事実であり、そして、このプルトニウム返還要求が、そうしたものの断念を迫られる可能性があるという点について、どのようにお考えでしょうか?」
小出「日本という国は、原子力の平和利用というような言葉を作って、あたかも日本でやっている原子力利用は平和的だとずっと装ってきたわけですけれども、もちろんそんなことはありません。
ずいぶん前でしたけれども、野坂昭如さんが、技術というのは、平和利用だ、軍事利用だと分けることが出来るはずがないとおっしゃっていました。そんなものはないと。もしあるとすれば、平時利用と戦時利用だということでした。
平時に使っている技術でも、戦時になればいつでもまたそれが使える、ということです。日本が原子力をそもそもやり始めたという動機も、先程から岩上さんがおっしゃってくださっているように、核兵器を作る潜在的な能力、技術力を持ちたいということから始まっていました」
岩上「そもそも核保有が出発点であり、電気のためではなかった、と」
小出「もちろん、そんなのは違います。核兵器を作る力を持ちたかったということで、日本の原子力開発が始まっているわけですし、単に技術力だけではなく、平和利用と言いながら、原爆材料であるプルトニウムを懐に入れるということです。
そしてもうひとつは、ミサイルに転用できるロケット技術を開発しておかなければいけない、ということです。両方を視野に入れながら、科学技術省というものを作ったわけですね。今はなくなりましたけれども。
科学技術省は、原子力と宇宙開発をやるわけですけれども、まさに原爆を作るためのものです」
岩上「なるほど。ひとつの役所が、まるごとそのために生まれたようなものだと」
小出「そうです。日本人は、日本は平和国家と思っているかもしれませんけれども、国家のほうでは、戦略的な目標を立てて、原子力をやってプルトニウムを懐に入れて、H2ロケットやイプシロンなど、ミサイルに転用できるロケット技術を開発してきたんですね。
しかし、日本のマスコミは、例えば、朝鮮民主主義人民共和国が人工衛星を打ち上げると、ミサイルに転用できる、実質的なミサイルであるロケットを打ち上げたという。しかし、自分のところが打ち上げるH2ロケット、イプシロンについてはバンバンザイという、そんな報道しかしないわけですね。
もちろん北朝鮮だって、ミサイル開発と絡んでいると思いますけれども、同じように日本だって、軍事的な目標を見ながらやってきたわけです。
ただし、日本の思惑というものが貫徹できるかどうかということは、現状では、完全に米国が握っているんですね」
岩上「これは、日米原子力協定というもので、拘束されている、と。これはどういうものなのでしょう」
◆米国の属国だからこそ可能だった日本の原子力政策◆
小出「日米原子力協定では、米国の同意がなければ、核燃料をどう扱うかということすら、日本では決められないというようになっています。米国がどう考えるかということで、日本の原子力開発の動向が左右されているわけですね。日本は米国の完璧な属国ですよね。そうであるかぎりは、米国は日本に一定程度の自由を許してやるということになっているわけです。
原爆を作るための技術というのは、核分裂性のウランを濃縮するというウラン濃縮という技術。それからプルトニウムを生み出すための原子炉。それから、生み出されたプルトニウムを取り出すための再処理という三つの技術があります。
その三つが原爆を作るための技術です。そして、現在の国連常任理事国である米国、ロシア、イギリス、フランス、中国の五カ国は、その三つの技術を持っているのですね。
三つの技術を持っていて、核兵器を持っているから、常任理事国として、世界を支配できるということになっている。その5カ国は、自分たちだけはその技術を持ってもいいけれども、他の国には、絶対持たせないということで、IAEAを作って、国際的な監視をするということにしたんですね。
ずっとそういう体制が続いてきたのですが、その核兵器保有国5カ国の他に、例えばインドとかパキスタンとか、あるいはイスラエル。朝鮮民主主義人民共和国は、私はまだ首を傾げていますけれども、まあまあ、実質的に核兵器を作ったとしても、例えば、インドは原子炉と再処理は持っていますけれども、ウラン濃縮技術は持っていない。パキスタンは、ウラン濃縮技術は持っているけども、原子炉も再処理も持ってないんですね。イスラエルはもう米国が容認してしまっています」
岩上「黙認という形ですね」
小出「そうですね。原子炉も持っているし、再処理も持っているわけですね。朝鮮民主主義人民共和国は、どこまで持っているのか私は分からないけれども、どの国も原爆製造三技術は持ってないのです。
ただし、核兵器保有国5カ国のほかに、世界で1カ国だけ、この三技術を持っている国がある。それが、日本なんですね」
岩上「なるほど。これは核燃料サイクルと深く結びついているわけですね」
小出「もちろんです。ですから、日本は核燃サイクルを実現して、原子力を意味のあるエネルギー源にするというようなことを言ってきているわけですけれども、実はそれはもう原爆と作るための技術を持ちたいという、そのことで来ているわけです。
日本だけがその三技術を持つことができたわけですけれども、それも日本が米国の属国であるから、米国がかろうじて、ウンと言ったという、そういう状態なのです。
でも、今のように安倍さんのような、私から見ると『この人、病気だな』と思うような人が出てきてしまって、世界情勢を見ることもできないわけですね。
増殖する原発コスト 廃炉後も電気代に転嫁
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月20日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015012002000162.html
関西電力など電力四社が老朽原発五基を廃炉にする。問題は三百五十億円以上とされる廃炉費用だ。各社は原発稼働中に電気料金に上乗せして積み立ててきたが不足している。そのため、廃炉が決まって発電していない原発の廃炉費用も、電力消費者が負担する制度に移行するという。何ともおかしな新制度が、原発のコストの高さをあらためて浮かび上がらせる。
(沢田千秋、三沢典丈)
会計制度変更し負担押しつけ
廃炉の方向となっているのは、日本原子力発電の敦賀原発1号機(福井県)、関西電力の美浜原発―、2号機(同)、中国電力の島根原発1号機(島根県)、九州電力の玄海原発1号機(佐賀県)の五基。一九七〇~七五年に営業運転を始め、最も新しい玄海原発1号機も今年で稼働開始から四十年を迎える。
福島第一原発の事故後、二〇一二年の原子炉等規制法の改正などによって、原発の運転期間は原則四十年と規定された。二十年の延長が可能だが、安全対策には巨額の費用が必要だ。この五基は出力が小さく、費用をかけて運転期間を延ばしても利益を見込めない。電力各社はもっと早く廃炉を決めてもよかったが、踏み切れない事情があった。
会計上、廃炉と決まった原発の資産価値はゼロになり、減価償却の未償却分を特別損失として一括計上しなければならない。各社は五基について、少なくとも四十五年以上の運転期間を想定していた。経済産業省の試算では、廃炉前倒しで一基当たり二百十億円程度の損失を計上しなければならなくなる。経営の屋台骨を揺るがしかねず、二十~三十年の廃炉作業に支障を来す恐れもある。
経産省が電力会社を救済するために考えたのが、廃炉をめぐる新会計制度だ。廃炉決定後も原発の資産価値を認め、十年分割で損失を計上できるようにする。つまり、発電しない原発の廃炉費用も消費者に負担させるわけだ。
どういうことかというと、現在、電気料金は電力会社の発電コスト(原価)に事業報酬を加えて算出する総括原価方式が取られている。新会計制度になれば、原発の未償却分の特別損失と廃炉費用は発電コストと認められ、電気料金に上乗せされる公算が大き
京都大原子炉実験所助教の小出裕章氏は「問題がようやく目に見える形になってきた」と話す。「原発を止めても安全にはならない。放射能まみれの建物が残り、使用済み核燃料の処分には十万年、百万年かかる。どうやって廃炉にできるか、どれぐらいの金がかかるか全然分からないまま、政府と電力会社は一切を国民に知らせずにきた。どうにもならなくなり、国民に負担を回している」
二六年をめどに、電力の小売りが自由化され、発送電が分離されるが、廃炉費用はその後も付いて回る可能性が大きいという。経産省は「競争が進展する中でも(廃炉)費用回収を着実に行うため」として、全ての電力小売り会社が負担する送電網の利用料金に廃炉費用を上乗せする制度を検討している。風力や太陽光など再生可能エネルギーで作った電気を購入する消費者も、廃炉費用を負担することになる。
小出氏は「あたかも安いように言いながら原発を動かしてきた東電など電力会社に、責任を取らせるべきだ。太陽光発電を活用しようと、新たに生まれた送電会社にも廃炉の費用を払わせるとは、こんなぱかげた制度はない」と憤る。
交付金頼り脱却支援を
収入の66%が原発関連 佐賀・玄海町
廃炉によって、影響を受けるのは電力会社だけではない。原発が立地する自治体の経済にも大きな影響を与える。
廃炉の方向となった玄海原発1号機があるのは、佐賀県玄海町。人口約六千百三十人で、県内で最も人口が少ない自治体だが、原発マネーを背景に、一四年度一般会計当初予算は百億八千万円。原発関連の交付金と、原発の固定資産税が総額の66・8%を占めている。
発電実績で金額が決まる電源立地地域対策交付金は福島の原発事故後、停止中の原発にも一律で交付されている。町財政企画課の試算によると、一五年度の同交付金は十七億三千六百万円の見込み。1号機が廃炉になると、翌一六年度は十三億一千三百万円と、約四億二千万円減る。県から市町村に配分される県電源立地地域対策補助金や核燃料税交付金、固定資産税も減ることになるだろう。
地元の唐津上場商工会は以前、原発一基が地元経済に与える金額を試算した。原発作業員の宿泊費と食費で年間四億七千万円、地元雇用の作業員の給与が約四億八百五十万円。西尾達也事務局長は「今は原発の安全対策工事などがあるが、廃炉になればこれもゼロになる。地域の経済全体に悪影響が出かねない」と心配する。
玄海原発は4号機まであるが、2号機も二一年に稼働四十年を迎える。「町の財政は立ち行かない。国の支援が必要だ」という地元の声を受け、経産省は一五年度当初予算案で、原発の廃炉に備え、立地自治体の中小企業支援など向けの地域振興費を、前年度当初比から十五億円増の二十三億円に大幅に増やした。
だが、原発が立地自治体にもたらす巨額な資金と比べると見劣りする。
資源エネルギー庁が示すモデルケースでは、出力百三十五万銘の原発一基の建設で、初期対策交付金として、建設着工の三年前から運転開始までの十年間、毎年五億二千万円が支給される。
着工した年からは、促進対策交付金が年間二十四億三千万円、原発施設等周辺地域交付金が年三十九億七千万円上乗せされる。運転開始までの七年間、自治体は何もしなくても毎年計八十億~四十億円を受け取る計算だ。
稼働開始後も、毎年二十億円前後が交付される。運転開始後四十年までの交付金の合計千三百八十四億円が、国民の税金を原資として支出される。
原発を受け入れた自治体に、二基、三基と原発が増えていくのも、この巨額の原発マネーが大きく関わっている。原子力小委員会は昨年十二月の「中間報告」で、老朽原発のリプレース(建て替え)にも言及したが、今後も原発マネーで自治体に建て替えを容認させるのか。
京都大大学院の岡田知弘教授(地域経済学)は「実体経済を見ると、多くの自治体で原発依存度はそれほど高くない」と指摘する。福島の原発事故の後、各地の原発立地自治体を訪ね歩いたところ、原発に依存しない地域づくりを目指した活動が各地で見られたという。
岡田氏は「玄海町では、原発関連の宿泊者が見込めなくなった町内の民宿組合は、小中学生のサッカーなどの合宿を誘致し、地元の食材を使った食事を提供していた。地域の持続的な発展を目指していくのなら、国はリプレースなどより、むしろこうした自発的な試みを支援し、伸ばしていく必要がある」と話している。
「戦争できる国」づくりの口実にすんなぁ!(・へ・)
積極的平和主義のリスク 山口二郎
(東京新聞【こちら特報部】本音のコラム)2015年1月25日
イスラム国における日本人人質事件については、憤るばかりである。誰がやっても有効な解決策はすぐに見つからないので、政府の無策をいま責めるべきではない。しかし、問題がこのように展開したことについて、日本政府の対応が適切であったかどうか検証することも重要である。
そもそも湯川遥菜氏がイスラム国に拘束されてから久しいし、後藤健二氏の留守宅には昨年十二月に身代金の要求が来ていた。もちろん政府も事実を把握していたはずである。この間、問題解決のために何をしていたのか。さらに、この時期に安倍首相が中東を訪問し、イスラエルとの協力関係を強調するという対外的デモンストレーションを行うことが、人質事件にどのような影響を及ぼすか、政府内部で十分な検討を行ったのだろうか。
安倍政権は、国民の安全を守るためと称して、日本版NSC(国家安全保障会議)を設置し、深い情報収集と戦略構築を売り物にしてきたはずである。二億ドルの身代金要求について政府高官は想定外と言ったと報じられている。それはあまりにもお粗末な話である。
安倍政権が進めてきた安全保障や外交の体制づくりが、本当に国民の安全を守るのか。首相の言う積極的平和主義が、国民のリスクを高めることはないのか、この機会に熟慮する必要がある。
(法政大教授)
安保法制や空爆後方支援
事件口実に首相言及
(しんぶん赤旗)2015年1月25日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-26/2015012602_03_1.html
安倍晋三首相は25日のNHK番組で、過激組織「イスラム国」による日本人の誘拐・殺害に言及する一方、「このように海外で邦人が危害に遭ったとき、現在自衛隊が持てる能力を十分に生かすことができない。そうしたことも含めて、法整備を進めていく」と述べ、この事件を口実に集団的自衛権行使容認を具体化する安保法制整備を推進する考えを示しました。
軍事作戦では救出保証なし
首相自身、「人命第一」と繰り返しておきながら、同事件を口実にして「海外で戦争できる国」づくりを進める狙いを示した発言は、厳しい批判を免れません。
首相の発言の根拠となっているのは、昨年7月に強行した「閣議決定」です。「閣議決定」は、集団的自衛権に関する憲法の解釈変更だけでなく、歴代政府が「海外での武力行使」にあたるおそれがあるとしてきた自衛隊の海外での日本人救出などの「任務遂行のための武器使用」についても、解禁へと変更しました。
しかし、実際の救出作戦には、人質の拘束場所などを含めた正確な現地情報や、受け入れ国の同意など、さまざまな前提条件が必要です。今回の事件に限らず、軍事作戦で人質が救出できる保証は何もありません。
残る日本人1人の安否も分からない状況で、軍事的選択肢を広げる議論を先行させる首相の姿勢は、国民の怒りや不安の政治利用と受け止められても仕方ないものです。また、戦前の日本の侵略戦争に見られるように、「自国民保護」は海外派兵を正当化する常套(じょうとう)手段にされてきました。
解放に向けた外交努力こそ
さらに首相は同番組内で、司会者から「イスラム国」への空爆を続ける米国など「有志連合」への自衛隊による後方支援も安保法制で認めるのかと問われ、「国連の決議がある場合も、ない場合も、後方支援であれば憲法上は可能だ」として、排除しない考えを表明しました。 (゚д゚)!(`・ω・´)
しかし、昨年7月の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」は、自衛隊の後方支援を「非戦闘地域」に限定していた歯止めを撤廃し、「戦地」派兵も解禁しています。
日本共産党による追及で、安倍首相自身、たとえ後方支援であっても自衛隊が戦闘に巻き込まれ、武器を使用する可能性を認めています。
そもそも安倍政権は、アルジェリアでの邦人拘束・殺害事件(2013年1月)を口実に国家安全保障会議(日本版NSC)を創設するなど、一連の「戦争できる国」づくりへの暴走に着手した経緯があります。
政府が現段階で何よりも優先すべきは、日本人解放に向けた外交努力です。安保法制整備をはじめとする軍事政策の推進のために今回の事件を利用することは、到底許されるものではありません。
(池田晋)
イスラム国リーダーたちと一緒のマケイン議員
日本国民は全員知れ!:安倍首相は、対日脅迫しているイスラム国と親しいマケイン米上院議員と人質事件の直前に会談している
(新ベンチャー革命)
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/34583814.html
1.安倍首相は中東訪問時に、日本人人質をとるイスラム国による対日脅迫事件が起きることを事前に知っていたはず
現在、2015年1月23日午後3時、日本人二人を人質にして対日脅迫しているイスラム国のいう72時間以内に2億ドルを払えという脅迫のタイムリミットが来ました。
今日中に、イスラム国からなんらかの反応があるはずです。
本ブログでは、イスラム国と米国戦争屋CIAネオコンはつながっているとみています。安倍首相が先日、イスラエルを訪問し、米戦争屋CIAネオコンのエージェントであるネタニヤフ・イスラエル首相と同じく米戦争屋CIAネオコンのエージェント・ジョン・マケイン米共和党上院議員と会っていますから、安倍氏は、米戦争屋がイスラム国指導者・バグダディに指示して、対日脅迫の偽旗テロ事件を起こすことを事前にウスウス知っていたとみるべきです。
なお、上記、米国戦争屋(世界的寡頭勢力の主要構成メンバー)およびそのロボット・悪徳ペンタゴンまたは悪徳ヘキサゴンを構成する日本人勢力の定義は本ブログNo.816の注記をご覧ください。
2.安倍首相を中東訪問させた勢力とイスラム国に対日脅迫させている勢力は同じ穴のムジナ
われら日本国民は気付きましょう、日本はイスラム国に対日脅迫させている米国戦争屋に牛耳られていることを・・・(注1)。
このことはネットを観れば誰でもわかります。
マスコミもそろそろ、日本を属国支配する勢力が誰で、彼らはイスラム国の黒幕でもあることを国民にばらすべきです。
日本国民はマスコミしか観ないと日本政府も米戦争屋も思っているようです、ほんとうに、我々日本人はなめられています、みんなくやしくないのでしょうか。
NHKは振り込め詐欺の手口を懇切丁寧に毎日、解説していますが、安倍氏と日本政府と、彼らを牛耳る米戦争屋の国民騙しの手口も国民に解説すべきでしょう。
3.安倍氏も日本政府もマスコミも日本国民は簡単にだませると思ったら大間違い
安倍氏も日本政府の役人もマスコミ人もマケインとイスラム国(ISIS)の関係を暴いているユーチューブ(注2)を観るべきです。
マスコミがこのビデオ(マケイン本人がイスラム国とのコンタクトを認めている)をテレビで流せば、国民は腰を抜かすでしょう。
イスラム国の脅迫ビデオはバンバン流すなら、マケインの決定的発言(注2)のビデオもバンバン流して欲しい。
なぜ、マスコミはこれを流せないのか、それは、マスコミもマケインがエージェントを務める米戦争屋に牛耳られているからです。
あの日刊ゲンダイは、米戦争屋の対日マスコミ監視から免れているようですが、なぜ、マケイン発言を報道しないのでしょうか。
ちなみに、安倍氏は今回の中東訪問時、ネタニヤフとともにマケインと会っています(注3)。
注1:本ブログNo.1047『国民はみんな、対日脅迫しているイスラム国の背後に米国某勢力が控えていると疑うべし:日本政府もマスコミも真実を隠していると知れ!』2015年1月22日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/34580391.html
注2:You Tube“ジョン・マケイン イスラム国といつも連絡を取っている?”2014年11月24日
https://www.youtube.com/watch?v=_nwfBQFzlpo
注3:読売新聞“首相、米上院議員と会談…安保協力強化呼びかけ”2015年1月20日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150120-OYT1T50047.html
モサド(イスラエルの諜報機関)のモットー:”戦争では、ごまかしが一番。”
http://www.c-span.org/video/?c4508223/isis
ISIS(イスラーム国)のリーダーである、アブ・バクル・アル・バグダディの正体がNSA(米国国家安全保障機関)の文書で暴露された。
NSAの職員であったエドワード・スノーデンは、英国(SIS,MI6)と米国(CIA)の諜報機関とモサドが共同でIslamic State of Iraq and Syria (ISIS:イラクとシリアのイスラム国家)を創ったことを暴露した。
スノーデン氏によると、これら三カ国の情報機関はスズメ蜂の巣(Hornet nest)と呼ばれる作戦によって世界の全ての過激派を一カ所に引き寄せるテロリスト組織を作り出した。
NSAの文書で、宗教的なイスラムスローガンを創り出すことによってシオニストを保護する目的の最近のスズメ蜂作戦が明らかになった。
スノーデン氏が開示した複数の文書によると、”ユダヤ国家の唯一の保護策は、その国境近くに敵を作り出すことである。”とのことである。
この開示によれば、ISISのリーダーと聖職者のアブ・バクル・アル・バグダディはモサドによって丸一年間、神学と演説法の他に強力な軍事訓練を受けた、とのことである。
The Mossad motto: "By way of deception, thou shall do war"
http://waronyou.com/forums/index.php?topic=15746.0;wap2
WarOnYouBlog:
by
Brian Jenkins
Message
This may be hard to believe, however, if you go to the FBI's website http://www.fbi.gov/wanted/terrorists/terbinladen.htm you will see that Osama bin Laden is wanted for a couple of crimes (flimsy evidence) but not the 911 attacks. When asked why there is no mention of 9/11 on Bin Laden’s Most Wanted web page (30), [Rex Tomb, Chief of Investigative Publicity for the FBI] said, “The reason why 9/11 is not mentioned on Usama Bin Laden’s Most Wanted page is because the FBI has no hard evidence connecting Bin Laden to 9/11.†Obviously the FBI realizes the widely viewed confession tape of Osama bin Laden is phony.
A former President of Italy stated in a major Italian Newspaper http://www.americanfreepress.net/html/9-11_solved118.html that everyone in the European and American intelligence communities knows that Israel's Mossad was responsible for the 911 attacks. The Mossad is Israel's intelligence agency.
"There was no question but that [the order to close down the investigation] came from the White House. It was immediately assumed at CIA headquarters that this basically was going to be a cover-up so that the Israelis would not be implicated in any way in 9/11."
http://whatreallyhappened.com/WRHARTICLES/fiveisraelis.html
Of the MOSSAD, the Israeli intelligence service, the SAMS officers say: "Wildcard. Ruthless and cunning. Has capability to target U.S. forces and make it look like a Palestinian/Arab act." Army School of Advanced Military Studies (SAMS) http://www.public-action.com/911/sams.html
WHY IS THE US GOVERNMENT COVERING UP THE LATEST ISRAELI SPY RING? WHAT WAS THE ISRAELI SPY RING DOING THAT IS SUCH A THREAT TO THE US GOVERNMENT THAT THEY WOULD RATHER HAVE OVER A HUNDRED SPIES ESCAPE THAN RISK A PUBLIC TRIAL?
"Evidence linking these Israelis to 9/11 is classified. I cannot tell you about evidence that has been gathered. It's classified information."
-- US official quoted in Carl Cameron's Fox News report on the Israeli spy ring and its connections to 9-11. http://whatreallyhappened.com/WRHARTICLES/spyring.html
The Mossad motto: "By way of deception, thou shall do war"
Research strongly indicates that Israel's Mossad (their intelligence organization) masterminded the 911 attacks. Why did they do it? Here are the words from Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu "On the day of the 9-11 attacks, former Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu was asked what the attacks would mean for US-Israeli relations. His quick reply was: "It's very good…….Well, it's not good, but it will generate immediate sympathy (for Israel)." The USA also attacked Israel's enemy Iraq and is trying to control the Middle East which is beneficial to Israel.
Here is another powerful quote from Netanyahu: The Israeli newspaper Ma'ariv on Wednesday reported that Likud leader Benjamin Netanyahu told an audience at Bar Ilan university that the September 11, 2001 terror attacks had been beneficial for Israel.
"We are benefiting from one thing, and that is the attack on the Twin Towers and Pentagon, and the American struggle in Iraq," Ma'ariv quoted the former prime minister as saying. He reportedly added that these events "swung American public opinion in our favor."
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=8738
Inept Arab hijacking terrorists did not plan 911. The supposed terrorist pilots for 911 were incompetent pilots.
Read the full article @ War On You
The Hornet's Nest Official Trailer (2014) War Documentary HD
http://youtu.be/_9UpmtaC-3w
邦人救出どう交渉 身代金 対応割れる各国
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月23日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015012302000166.html
日本人二人の殺害を警告している過激派「イスラム国」とみられるグループが要求している身代金は、二億ドル(約二百三十五億円)。安倍晋三首相は「テロには屈しない」と言明したが、「イスラム国」に対する身代金の対応は各国でも分かれる。「イスラム国」は、カネよりも主義主張の宣伝を狙っているという見方も。人質救出の手だてはあるのか。グループが設定した期限が迫る。
(鈴木伸幸、三沢典丈)
「イスラム国」、政治的宣伝狙う?
「政府として総力を挙げて対応する。わが国は決してテロに屈することはない。国際社会と手を携え、卑劣なテロとの戦いに万全を期す」。安倍首相は中東歴訪から帰国後の二十一日、こう述べ、二人の救出に全力を挙げる決意を表明した。
身代金を支払うかどうかについては、日本政府は「国際社会によるテロヘの取り組みに貢献する立場は変わらない」(菅義偉官房長官)と含みを持たせている。
湯川遥菜さんと後藤健二さんの映像を日本政府が確認したのは二十日午後二時五十分ごろ。映像はタイミングを見計らって、戦略的に公開されたようだ。安倍首相がイスラム国対策の援助を表明し、イスラム国が敵視するイスラエルと経済連携の強化で合意した直後だったからだ。昨年八月に米欧はイスラム国への空爆を始めたが、日本は関与せず、今回も「非軍事分野」での中東援助。それでも、「イスラム国」は日本敵視をアピールした。
ただし「イスラム国」側の声明は支離滅裂だ。身代金二億ドルは、日本政府のイスラム国対策における非軍事分野の援助と同額。その支援について「イスラム国の女性や子どもを殺害し、家を破壊するために一億ドル」「イスラム戦士と戦う背教者の養成に一億ドル」と勝手な解釈をして、その代償としての要求額を正当化している。
身代金の額も法外だ。後藤さんの妻に二十億円を超える身代金を求めるメールが届いたことが分かっているが、それと比較しても桁が違う。公開映像での身代金要求は初めてのケースで「身代金そのものより、政治的主張のプロパガンダが目的では」という見方もある。
イスラム過激派による人質事件は国際社会の大きな問題となっている。身代金については「支払えば新たな事件を誘発するので拒否する」というのが原則的な認識だ。二〇一三年六月の主要八力国首脳会議(G8)では「支払い拒否」で合意し、一四年一月には国連安保理でも同様の決議が採択された。
しかし、実際の対応は割れているようだ。原則論で徹底しているのは米英両国。イスラム国への空爆が始まった直後に米国人ジャーナリスト二人が相次いで処刑された。米紙ニューヨークータイムズによると、事前に身代金要求があり、家族が寄付を募ろうとしたが「テロリストへの資金援助で訴追される」と政府から止められたという。
ただし、実力行使での人質奪還には積極的で、空爆直前にシリア北部で人質解放の急襲作戦を展開。人質は移送された後で失敗したことが分かっている。
英国も人道支援活動家の二人が昨秋に相次いで、処刑された。
要求のめぱテロ誘発も
日本 ダッカ事件で超法規的措置
対照的なのはフランスやスペイン、デンマークなどだ。各国政府とも身代金の支払いについては否定している。だが、ニューヨークータイムズの集計によれば、今回の日本人二人を除きイスラム国に拘束されたとされる二十三人のうち、フランスとスペインのジャーナリスト計七人を含む十五人が解放され、各国とも身代金を支払ったという。
同紙は昨年、欧州各国の政府が支払った身代金は総額で「六千六百万ドル(約七十八億円)」と試算。英紙デーリー・メールは二人の人道支援家の身代金としてイタリア政府が九百万ユーロ(約十二億円)支払った可能性」を報じた。
また、昨年六月にイラク北部モスルのトルコ領事館が急襲され四十九人が拘束された事件では、同年九月に全員が解放された。交渉内容については明らかになっていないが、英紙タイムズなどによれば、トルコが拘束していた約百八十人のイスラム国の戦闘員との交換が条件だったとされる。
海外で活躍する日本人が増えるにつれ、日本人を狙った人質事件が増加。近年は、治安の悪化した中東での事例が目立つ。
○四年四月、人道支援活動中の高遠菜穂子さんら三人が武装集団に拘束された。武装集団はイラクに駐留していた自衛隊の撤退を要求。地元の宗教関係者らの協力で三人は八日後に解放された。
同年十月、イラク旅行中の香田証生さんを誘拐した武装勢力は、ネットを通じて四十八時間以内に自衛隊が撤退しなければ殺すと警告。その後、香田さんは殺害された。
日本政府は要求に応じた過去がある。日本赤軍が日航機をハイジャックした一九七七年のダッカ事件で、日本政府は要求に応じて身代金を支払い、服役中のメンバーり六人を超法規的措置で釈放。福田赳夫首相(当時)は、「人命は地球よりも重い」と話したが、国際社会からは「テロリストを輸出するのか」などと批判を浴びた。
九九年に中央アジアのキルギスで、日本人鉱山技師ら四人が武装勢力に拉致され、その後、解放された。日本政府は否定しているが、その際、身代金が支払われたとの証言がある。○七年十月には、横浜国立大生かイランで麻薬密売グループに拉致され、翌年六月に解放された。後日、日本政府関係者が身代金を支払ったと明かしたが、外務省は否定した。
中東社会に、真意訴えを
日本政府に求められているのは、第一段階として「イスラム国」との接触。そして、人質解放に向けての交渉だ。
テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功・第一研究室長は「フランス政府なども身代金の支払いは認めていない。ただ、民間ベースの交渉までは禁じていないので、政府の後押しを受け、民間を通じて解放にこぎつけた例もあるのでは」と話す。
今回の日本人二人人質のケースは公開映像を通じて要求があった。板橋氏は「フランスやスペインの場合は、水面下で交渉を続けた結果であり、今回とは状況がまったく違う。交渉の余地があるかどうか」と厳しい見方も示した。
情報戦に適切に対処することも重要だ。東京大先端科学技術研究センターの池内恵・准教授(イスラム政治思想)は「日本側が、テロにおぴえて中東政策を変更したとイスラム国側に認
識されれば、次のテロを誘発する」と指摘する。日本側がすべきことはまず、「(トルコや部族長など)仲介者を通じて接触を図ること」とする。その上で、「日本をテロの対象としても政策変更などのメリットがないことをアラブ世論に働き掛けることが必要」という。「難民の受け入れや支援など、中東の平和と安定に寄与したいという真意をメディアやネットを通じて示すことも重要だ」と訴えた。
”命”が軽んじられている…(。-_-。) いつまでも苦労するのなら死んだ方がいい(;´д`)
雨ニモマケズ
宮澤賢治
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩
"雨ニモマケズ"東北弁朗読 今野東
http://youtu.be/JaQHufacSOI
立場の弱い者・虐げられている人々よ負けるなお!
( *`ω´)( ゚ー゚)ノ)"ガンバレ
千葉県営住宅追い出し母子心中事件現地調査団
家賃減免で救えた命
(生活と健康を守る新聞)2015年2月1日
千葉県銚子市の県営住宅で昨年9月、家賃滞納を理由に住宅明け渡しの強制執行日に、母親が中学2年生の娘の命を奪い自分も死のうとした事件(無理心中未遂事件)が起こりました(一部既報)。これを受けて、全国生活と健康を守る会連合会や中央社会保障推進協議会、自由法曹団、住まいの貧困に取り組むネットワークでつくる「千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件現地調査団」(団長・井上英夫生存権裁判を支援する全国連絡会会長・金沢大学名誉教授)が1月19日、千葉県と銚子市の2班に分かれて、県営住宅の家賃減免制度の県民への周知徹底などを55人の参加で要請しました。
(妹尾七重通信員、西野武記者)
「待ちの姿勢改め周知を」千葉県へ
千葉班(県庁)の申し入れでは、あらかじめ提出しておいた要望書(案)に、県側から住宅
課、福祉課の4人が出席して回答しました。
県営住宅入居者への家賀減免制度の周知徹底について、「入居時説明会、ホームページなどで紹介しているが、新たに別の資料として同封する」と回答。これに対し調査団は「待ちの姿勢だ。積極的に十分な周知に努めるべき」と要望しました。
家賃滞納者へ制度を丁寧に説明することについて、「滞納4か月ぐらいでの初期段階で脱明する。同意があれば各市町村の福祉課へ連絡して対応する」と答え、「4か月では遅い。1~2か月で対応すべき」と追及。
明け渡し訴訟は、安易に提訴しないについては、「必ず対面で、直接会って確認するように13人の徴収員に指導している」と述べ、「徴収員は嘱託で、回収が目的。減免制度を勧められる職員を増やして、当たらせるようにするのが妥当」と迫りました。
その他、千葉県によると県営住宅入居世帯1万7878世帯(2013年度末)のうち、減免対象世帯が1万1616世帯(13年度収入申告)あり、これは入居世帯の65%に当たります。そのうち減免実施世帯は1961世帯(14年3月末)で、減免対象世帯のわずか17%にしかすぎませんでした(別図)。
調査団は「減免制度の周知は、この数字を見ても県が消極的なのは明白だと」追及しました。
「市民への責任果たせ」銚子市へ
銚子班には、銚子市の保険年金課、社会福祉課、都市整備課の各課長および職員が対応。「千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件現地調渣団」の井上英夫団長が、「要望書(案)を提出するが、本日の行動を踏まえ再度要望書を提出する」と述べました。
保険年金課は、「4月5日、滞納の分納を約束し短期保険証を発行。就学援助について、小学校でも受けていたので中学でも受けたいと言っていた。生活保護を勧めるとそのまま、社会福祉課に行った」と脱明。社会福祉課は、「面接記録は未聴取が多い。勤労収入も家賃の滞納も聞いていない。面接には新人と経験者が対応。当時のことを聞いても『覚えていない』という」…なんとずさんな生活保護行政か。
井上団長は、「安易な面接は改善すべきだが、申請もさせず、あれこれ聞くという水際作戦はやめる」「県や他と連携と言うが、市民に責任を果たすことが重要」「正規の公務員で、有資格者の職員を増やすこと。これを国や県に意見を上げてほしい」と要求しました。事件の全容解明と法的責任の所在を明らかにする必要があります。
「命が軽んじられている」報告集会
銚子班、千葉班が合流して行われた報告集会で、井上団長は「命が軽んじられ、人が亡くなっている深刻さが薄くなっている。行政の責任を再発防止のためにも追及していかなければ」と語りました。
全生連安形義弘会長は「千葉・銚子だけの問題ではない。自治体が最低限度の生活保障の役割を果たしていない。今の公営住宅政策は建てない・取り立てる・追い出すだ。こんな中で国は生活扶助を下げた。水際作戦がこうした面接記録すら執らせないやり方を生み出した」と語気を強めました。
差別助長、効果に疑問
大阪市の生活保護支給プリペイド化
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月25日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015012502000164.html
全国最多の約十五万人の生活保護受給者を抱える大阪市は、生活保護費の一部をプリペイドカードで支給するモデル事業を実施する。市によれば全国初の試みだ。二〇一六年度にも本格導入する。過度な浪費の防止が狙いだが、生活保護への風当たりが強いだけに、受給者は「偏見が助長される」とおびえる。肝心の削減効果も期待できず、受給者のプライバシー権と自己決定権を侵害するだけに終わりかねない。
(白名正和)
全国最多15万人「浪費防ぐ」
生活保護支給のプリペイド化、橋下徹大阪市長が昨年十二月二十六日の記者会見で発表した。橋下氏は「受給者の自立に向けた家計収支の把握に役立つ」と意義を強調した。
二千世帯の利用を目標に来月から希望者を募り、新年度から実施する。受給者には三井住友カード(東京)が発行するプリペイドカードを貸与。食料品や衣料品の購入などを目的とする生活扶助(同市では単身世帯で約八万円)のうち、約三万円をカードにチャージ(入金)する形で支給する。明細を市で確認し、過度な飲酒やギャンブルへの支出などがあれば、生活や金銭の管理の指導につなげる。
だが、特に高齢の受給者にとっては、カード使用自体への警戒感が強い。
「現金でしか買い物してへん、こんなおばあちゃんが、急にプリペイドカードなんか使い始めたら、すぐに生活保護の受給者だって分かってしまうやんか」。大阪市港区のアパートで一人暮らしの女性(八三)は不安を囗にする。
女性は奈良市で約五十年間、結婚式用の着物を仕立てる仕事をしていた。夫を亡くしても何とか生計を立てたが、年金の積立金を払う余裕はなかった。七十歳の時に右腕がしびれて針が持てなくなり、廃業して故郷の大阪市へ戻る。貯金を切り崩しながら検査を受け続けたが原因はわからず、七十三歳のころから生活保護を受けている。
保護費のうち生活費は約七万五千円。食費に三万円、光熱費に一万五千円、衣料品や交際費に三千~四千円ずつをあてる。
「受給者は怠け者だ」などと决めっけるバッシングが高まる中、周囲とのかかわりを避けるようになった。現在は受給者同士の集まりに行くことはあれど、昔の友人と出歩くことはほとんどない。
買い物は近所の量販店やスーパーで済ます。なじみの店員さんと世間話に花を咲かせることもあるが、プリペイドカードを持たされれば「もう行けへん。別の店を探さんと」。
三井住友カードによれば、「一般店舗で使えるプリペイドカードはなく、新たに作ることになる」(広報担当者)。新規作成のカードとなれば注目も集まる。大阪市の古城厚穂・生活保護調査担当課長は「大阪市や生活保護といった文言は明記しないなど配慮はするが、使うことで受給者だと分かるケースが生じる可能性もある」と認める。
女性は肩を落とす。「受給者だとぱれてしまうんじやないかといつも気にすることになるのは、気が重い。受給者だからそこまでしなきゃいけないのでしょうか」
結果的に選択強制?
大阪市の生活保護受給者は二〇一四年十月時点で約十四万九千人。市区町村別では全国最多である。百人当たりの受給者は五・五人と、全国平均の一・七人を大きく上回る。一四年の保護費は二千九百四十四億円に上る。
市は一二年度から「生活保護費の適正化」と銘打ち、保護費の削減に取り組む。主なターゲットは、過度な飲酒やギャンブルへの支出だ。今回のプリペイドカード化も、その流れの中に位置付けられている。
果たして効果はあるのか。全国の法律家や支援者でつくる「生活保護問題対策全国会議」は八日に厚生労働省で記者会見し、事業の撤回を求めた。
会議のメンバーで、依存症からの回復を支援するNPO法人・ジャパンマックの武沢次郎事務局長は「依存症の治療には金銭管理でなく長期的な治療が必要だ。カードを発行しただけでは効果は出ない」とみる。市は将来的に、一日に使える金額の限度額も設定できるようにする考えだが「限度額を設けてもすべて酒やギャンブルにつぎ込むだけで、根本的な解決にならない」。
さらに問題なのは、細かな使い道まで行政側に把握されれば、プライバシー権や自己決定権を侵害しかねないことだ。この点、カー
ドを使うかどうかは受給者の判断に委ねるようだが、浪費癖のある受給者が自らカード化に手を挙げる事態は想定しにくい。となれば削減効果はない。
古城担当課長は「過度の飲酒などの問題がある人は保護の停止が可能だ。その点を説明してカードの利用をお願いする」と説明する。それは強制ではないかと尋ねると、「グレーかもしれないが、理解した上で選択していただく」。橋下氏は会見で「全員、一定額についてはカード利用ということにした方がいい」と発言している。
貧困ビジネスか「管理ではなく支援を」
うつ病で働けず保護を受ける大阪市港区の女性(五一)は「市からカード使用を求められたら、『受給者はそこまでして当然』という世の中のバッシングもあるし、断れない。嫌々承諾す
る形で、次第にカードが広まるのでは」と危惧する。
プリペイドカード化は、生活保護費を搾取ずる「貧困ビジネス」のにおいもする。カードの導入は、カード会社側から打診があった。市は発行費用などを払わず、受給者の負担もないが、カード会社は店からの手数料を受け取る。収益見込みは開示されていない。
カードの使い勝手もよくないようだ。市は一三年七月に市民からカード化を要望された際に「購入先が限定され、小規模店舗では使用できない」と否定的だった。方針が変わったのは利
用可能店舗が増えたためというが、市は、「数は把握していない」、カード会社も「店舗数は公開できない」と根拠が判然としない。
全国会議メンバーの小久保哲郎弁護士は「利益を上げるのはカード会社だけの自治体規模の貧困ビジネスだ」と指摘した上で、「必要なのは、受給者の生活を支援するケースワーカーなどの体制を整えることだ」と訴える。
社会福祉法は、ケースワーカー一人当たりの受け持ち世帯の目安を八十~六十五世帯と定める。大阪市は、働ける年齢の世帯は一人につき六十世帯を受け持つ一方、高齢者の受給世帯は一人で三百八十世帯を担当している。働ける世帯に集中するのは結構だが、高齢者世帯には支援が届きにくくなっている。
「カードで受給者を管理しても効果は望めない。保護費の削減が進む中、カード化が他の自治体に広がる恐れもある。一自治体の限定的な取り組みだからと放っておける話ではない」
○●○●○●○
国に2度裏切られて
福島県浪江町津島の避難者
(しんぶん赤旗)2015年1月27日
東京電力福島第1原発事故で全町避難になっている福島県浪江町津島地区。二本松市杉内仮設住宅で避難生活を送る伊東千代子さん(86)と大内孝夫さん(82)は、満蒙開拓団として中国の黒竜江省(こくりゅうこうしょう)訥河(のうほう)県下学田に入植しました。戦後帰国し浪江町津島地区に移住しました。戦争と原発、”二つの国策”に翻弄(ほんろう)された被災者の今を取材しました。
(菅野尚夫)
戦争、原発もう逃げたくない
伊東千代子さん(86)
千代子さんは13歳のとき、両親と子ども4人の家族で福島県旧上川崎村(現二本松市)から「王道楽土」「五族協和」の国を築くというスローガンで宣伝された満蒙開拓団に加わりました。
冬はマイナス30度にもなる酷寒の地。ジャガイモ、大豆、小麦などをつくりました。「薪(まき)もなく草や小麦ガラなどを燃料にしてしのぎました。一つの風呂を6軒の家で共同使用するものでした」
「死の逃避行」へ
ソ連は1945年8月9日、日ソ中立条約を無視して中国東北部に侵攻。それから千代子さんたちは死の逃避行へ。髪を切り、顔は墨でぬり、男の子に変装。ジャガイモの入った倉庫に息を潜めてソ連軍の通り過ぎるのを待ちました。
両親を中国で亡くし、親代わりで妹弟3人を守り、チチハルを経て佐世保に帰国しました。
故郷の上川崎村に帰った後に、49年に結婚し浪江町津島に入植しました。 ’
木を切り、開墾や根切りに使う唐鍬(とぐわ)で根っこを掘って耕し、炭を焼いて生計をたてました。「あんな山奥。みんな嫌になり実家に逃げ帰ったこともあった」
食うや食わずの血のにじむ苦労で3町歩(約3ヘクタール)の田畑を開墾、和牛一頭から始まり、乳牛18頭まで増やしました。夫とは97年に死別。3人の子どもを育て、独立させて1人暮らしでした。
再び避難生活に
2011年3月11日、東日本大震災と福島第1原発事故は、再び千代子さんに避難生活を強い、「つらい3年10ヵ月を送らせる」ことになりました。
3月16日になって津島地域の世話役がきて逃げるように告げられました。二本松市東和の体育館に20日間避難。「いつまでも苦労するのなら死んだ方がいい。死ぬにも死にきれない」と、毛布にくるまると自然に涙がこぼれました。(´;ω;`)
賞味期限の切れた凍ったおにぎりをストーブで温めて食べました。その後、横浜市にいた娘の家に半年避難。二本松市杉内仮設住宅ができて1人暮らしが続いています。
「安住の地は定まりません」と、千代子さん。「国と東京電力に責任を明確にさせたい」と、津島地区原発事故の完全賠償を求める会に加入。「安全だ」と偽りの宣伝
で原発をつくり、さらに、原発から北西方向へ放射性物質が拡散する予測がSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク)によってできていたのに、住民には告げられずに放射能にさらされました。
国策に2度裏切られた千代子さん。「もうどこにも逃げたくない。戦争は二度といやだ。原発の再稼働はだめだ」。きっぱりと国に挑みます。
11人家族、中国から生還3人
大内孝夫さん(82)
大内孝夫さん(82)も、福島県旧新殿(にいどの)村(現二本松市)から中国黒竜江省訥河(のうほう)県下学田に満蒙開拓団として入植した体験を持ちます。
「11人家族で『満州』(中国東北部)に行き、生きて帰れたのは3人だけでした」といいます。
1945年8月9日、ソ連軍の満州侵攻で、開拓団は大混乱になりました。
開拓民を守ってくれるものと思っていた関東軍は、新京の総司令部を250キロ南の通化に移すことを決定。「満州を放棄」し「朝鮮の防衛」に当たることにしたのです。開拓民を置き去りにして、真っ先に退却してしまったのです。
いつでも死ねる
9月5日、開拓団に「ソ連兵が来た」と伝えられました。「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかし)めをうけず」という軍人の「戦陣訓」が開拓団のなかで強調されて、集団自決することが申し渡されました。
毒薬が配られて、母が子に、祖父母が孫に手をかける悲劇が起きました。大内さん一家は、隣組の長老から「いつでも死ねる。まだ飲むな」と指示されて、自決の列には加わりませんでした。
「生き延びたものは、父と弟と3人だけ」。中国から帰国までの1年は「地獄と呼ぶのも生ぬるい逃避行でした」。
46年11月、長崎県の佐世保港にたどりつきました。しかし、弟は寒さと飢え、「気が狂わなかったのが不思議」な状態に置かれて1ヵ月後に亡くなりました。
大内さんは、福島県いわき市小名浜で家具職人などをした後に、48年9月、浪江町南津島に父と2人で開墾に入りました。
終戦後の食糧増産、復員軍人・海外引き揚げ者・戦災者の就業確保のために行われた国策としての開拓事業で入植したのです。
小屋を建て、まきを集め、炭焼きをして売りました。
国から与えられたのは3町歩(約3ヘクタール)の山林。住居はササで囲った粗末な小屋。
「この苦労は体験した人でないと分からないだろう。早く死んだ方がよかったと思ったこともあった」
51年、五月さんと結婚。4人の子どもを育てました。
畑は3ヘクタールまで広げ、水田も40アールを買い、「ご飯も食べられるようになりました」。94年に家も建てて「終(つい)の住み家」と思っていました。
「3・11」の日、激しい揺れで、軽トラックに乗り避難しようと思ったものの乗れません。翌日、福島市内の次男の家に避難するために普通なら1時間で着くのが4時間以上かかりました。
福島市のアパートに半月、二本松市の雇用促進住宅に半月。そして現在の杉内仮設住宅と転々としました。
戦争も再稼働も
「古里の津島に戻ることはもうできない」と、「(原発は)安全だ」と言い続けた国の裏切りに落胆します。
「こんなことは二度としてほしくないです。放射能はダメ。おっかない。戦争も、原発の再稼働もやってはならない」
満蒙開拓団はこうして送られた~眠っていた関東軍将校の資料~
http://youtu.be/ejMaOdvvZaw
<証言記録・兵士たちの戦争>
「王道楽土を信じた少年たち ~満蒙開拓青少年義勇軍~」
http://v.youku.com/v_show/id_XNDA4NjA4MjY0.html
満蒙開拓青少年義勇軍は、満州(現・中国東北部)の開拓と警備を未成年者に担わせるため創設された。「王道楽土を建設し、五族協和を実現する」というスローガンを信じ、全国から8万6千人もの少年が大陸へ渡り、そのうち約2万人が命を落とした。
全国で最も多いおよそ7000人もの少年たちを義勇軍に送りだしたのは長野県だった。昭和19年(1944年)6月には長野県中部地方から217人の少年たちが満州へ渡った。満蒙開拓青少年義勇軍、第七次斉藤中隊。中隊長・斉藤義男(よしお)ら大人の幹部6人が率いていた。
少年たちは当時、14歳から16歳。彼らが暮らした山村では多くの農家が狭い耕地や小作料の重圧にあえいでいた。長野県での義勇軍の募集は主にこうした貧しい農家の次男・三男を対象に行われた。少年たちの多くは学校の教師によって義勇軍への入隊を呼びかけられた。義勇軍に入れば3年後、満州で土地を与えられ入植できることになっていた。
第七次斉藤中隊は満州北部の嫩江(のんこう)の訓練所に入り、その後、モンゴルとの国境に近い興安に移っていた。そして昭和20年8月9日、ソ連軍が満州に侵攻すると少年たちは350キロ先の新京をめざし撤退を開始。15日の終戦も知らず、反日感情に満ちた現地住民との戦闘を繰り返しながら逃避行を続けた。
9月5日、少年たちはソ連軍に投降したが苦難は続いた。幼かったためシベリアでの強制労働は免れたものの、頼れる大人もいないまま興安やチチハルといった厳寒の地に放り出されたのだ。粗末な難民収容所で寒さと飢え、病気などで次々と命を落としていった。
少年たちは生き残るために現地の農家や商店で働いた。中国の軍隊に入隊し10年近く帰国できなかった者もいた。斉藤中隊の217人のうち121人が大陸で命を失った。
満州 海外引揚者の証言 前半
http://youtu.be/V-4JZcYTfwA
満州 海外引揚者の証言 後半
http://youtu.be/iI-TC5HZ4O4
20120311 老人と放射能(前)
http://dai.ly/xpet6o
20120311 老人と放射能(後)
http://dai.ly/xpetlg
東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故により、放射能汚染され、全町避難になった福島県浪江町。震災が発生する前、その山里に一人の老人と一匹の老犬が寄りそって暮らしていた。川本年邦さん、80歳。
田舎暮らしにあこがれ、12年前に東京から移住してきた。震災前まで彼は水は山から引き、煮炊きは山から拾ってきたまきを使い、自給自足の生活を送っていた。そんな川本さんの信条は、宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」。20代のころから、毎年地元の小学校に本を寄付し、昔懐かしい映画や幻灯を上映し、子供たちを楽しませ続けてきた。
川本さんは「人に尽くさなければ、生きている価値はない」と、断言する。そんな善良な川本さんに次々と困難が襲いかかる…。
熱心に子供たちのための活動を続ける川本さん。しかし、家族からは理解されず、とうとう家族とほぼ絶縁状態になってしまう。
そんな川本さんをさらなる悲劇が襲う。川本さんは、子供たちや老人を楽しませる活動のために20年間コツコツ老後の資金をためてきた。しかし、福島へ移住後、その大切なお金は、詐欺師によって全額だまし取られてしまうのだ!!
一文無しになった川本さんに残されたのは、浪江町の山里だけ。しかし、その土地も放射能によって奪われてしまう。引き算だらけの人生…。しかし、どんな過酷な状況に置かれても、川本さんは人のために尽くすことをやめない。人は何があれば幸せなのか? 豊かな人生とは何か? その答えは、一人の老人の生き方から見えてくる…。
小出裕章先生:人々が、汚染があることを忘れてしまうということが一番怖いことだと思います
沖縄の民意、地元メディアはどう伝えてきたか
(ラジオフォーラム#108)
http://youtu.be/wHIBwE_0stg?t=15m50s
15分50秒~第108回小出裕章ジャーナル
放射能は消せないのか「放射能のことを口に出すことが段々難しくなってきているというそういう状況だと思います」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no108/
谷岡理香:
1月の小出裕章ジャーナルは、特集シリーズ「原発はなぜいけない?」でお送りしています。今日はシリーズ5回目で、最終回となりました。今日のテーマは「放射能は無くならない」。放射能の寿命は永遠ということなのでしょうか? 本当に放射能を消すことはできないのでしょうか? 小出さんにお尋ねしてまいります。小出さん、今日もよろしくお願いいたします。
小出さん:
こちらこそよろしくお願いします。
谷岡:
今年は、1月の初めからずっと核分裂エネルギーの物凄さとか、安全神話はもう通用しないっていうことも伺いました。決して長くエネルギーとして使えるものではない、それに反して毒物をどんだけ長いこと子孫に残すのかっていうお話も伺いました。でも、敢えて伺います。放射能は無くせないものですか?
小出さん:
はい。科学的に厳密な議論をするととても難しいのですが、今現在、現実的には無くすことができません。例えば今、福島第一原子力発電所の周辺で、除染という作業を皆さん苦労してやっているのです。その除染というのは汚れを除くと書くわけですが、残念ながら汚れの正体は放射能ですし、その放射能を消せているわけではないのです。必死に除染作業というのをやっていますが、それは単にある場所にある汚染を別の場所に移しているということであって、放射能自体を消しているわけではありません。
谷岡:
小出さん、移染というふうにね、よくそういう言葉を「移しているだけです」っていう話も、これまで何度も伺いました。
小出さん:
残念なのですが、それしかできないのです。
谷岡:
そうすると現在、私達はその臭いもないし目に見えないので、何となくもうそろそろ4年近く経ったら薄まっているんじゃないかっていうのは、幻想にすぎない?
小出さん:
残念ながら事故は起きてしまったわけで、核分裂生成物という放射性物質で東北地方と関東地方の広大な地域がすでに汚染されてしまいました。その汚染の面積を例えばひとつの比較で言いますと、約1万4千平方キロメートルという地域が日本の法令に従えば、放射線管理区域という区域に指定しなければいけません。
その区域では、普通の人は立ち入ることすら許されないという場所ですし、私のようなごく特殊な人間が仕事のために入ったとしても、水すら飲めない、食べ物も食べられない、排泄すらできないというそういう場所なのですが、それが1万4千平方キロメートルも広がっているのです。
特に重要な放射性物質はセシウム137という名前の放射能なのですが、では1万4千平方キロメートルもの広大な土地を汚したセシウム137は重さにすればどれだけかと言うと、わずか750グラムにしかならないのです。それが広大な所、もちろん人々の家も汚しているし、仕事場もスーパーマーケットも市役所もみんな汚してるわけですし、道路も田畑も林も山も全て汚しているわけです。
そんな中で、人々が今も生活しているわけで、人々の側からすれば、何とか少しでも被ばく減らしたいと思うのは当たり前なことであって、何とか自分の生活している家、家の周り、学校の校庭とかいう所はとにかく放射能を除きたいということで、いわゆる除染作業、私の言う移染というものが行われているのです。
でも、それはほんのわずかな場所でしかできないわけで、もちろん山の除染なんていうことは到底できませんし、田畑の除染もまずはできないのです。ほんのわずかな所の放射能の汚染だけを今、必死で移そうとしているわけですが、全部の量を合わせても750グラムしかないという、そういう目にも見えない、臭いも感じることができないというものを相手にして、私達は今、戦っているわけです。
大変苦しい戦いを今、戦っていますし、これからも長い間戦わなければいけません。そして、一番私としては問題だと思うことは、要するに目に見えない、感じることもできないということになると、人々がだんだんだんだんそれに慣れていってしまって、汚染があることを忘れてしまうということが一番怖いことだと思います。
谷岡:
特にお母様方は、「ずっと不安に思うことに疲れる」っていう声がやっぱり聞こえてきます。
小出さん:
そうなんです。福島を中心として、ほんとであれば放射線管理区域ですから、人々が住んではいけないわけですけれども、この日本という国では、もうそこに人々を住みなさいと言ってしまっているわけです。そうなると、人々が独力で逃げるということはもうできないわけですから、そこで住むしかない。そうなれば、復興ということをするしかないと、ほとんどの方は思っているわけです。
そうなってしまうと、「今、現在も放射能の汚染があるんだ」というような発言をすると、むしろ復興の邪魔だと周りの人から怒られてしまう。放射能のことを口に出すことがだんだんだんだん難しくなってきているという、そういう状況だと思います。
残念ながら、福島の方々はこの事故を引き起こした責任のある方々ではない。言ってみれば被害者なのですが、その被害者の間で苦しい状況の中で分断が生じてしまって、お互いを傷付け合うというようなことが起きてしまっているわけです。
谷岡:
はい。小出さん、今日は沖縄をテーマに番組を進めているのですが。
小出さん:
ありがとうございます。
谷岡:
沖縄の辺野古の、私も1日だけですが座り込みをして、皆さんの非暴力の平和運動を見た時にですね、大きな国家権力というものに対して、ものすごい少ない人数で民意を示しながら、非暴力で戦ってらっしゃる沖縄の姿と、小出さんがひとりではいらっしゃらないけれども、ものすごく大きな権力と戦ってらっしゃる。そして、その福島の方々、私の中ではすごく重なってきました。沖縄の方、それから京都にも新しく米軍基地が辺野古のように造られようとしています。そうした一生懸命戦ってらっしゃる方々へのメッセージと言いますか、頂けませんか?
小出さん:
はい。私自身は原子力の場で生きてきましたので、とにかく原子力を止めたいと思って、今日まで生きてきました。でも、原子力の問題と沖縄の問題、基地の問題、あるいはもっと広く言うと、差別の問題というのは全て同じ問題だと私は思います。これからも私は原子力を止めさせるために、自分の力を使おうと思いますが、沖縄の方達がずっと苦闘を続けてきて下さってるということが私を支えてくれているということになっています。
谷岡:
はい。小出さん、どうもありがとうございました。
小出さん:
いいえ、ありがとうございました。
解説 チェルノブイリの汚染と福島の現在の汚染
小出裕章(京都大学原子炉実験)
広河さんが視た
チェルノブイリの現在
DAΥSJAPAN編集長の広河さんは、2014年3月から4月初めにかけて、チェルノブイリに行った。その際、広河さんは、福島でも使用している放射線測定器(ホットスポットファインダー)を持参し、チェルノブイリ原発周辺や10キロ圏の廃墟になった町、30キロ圏の村々の空間線量を測定した。その結果が、本号で詳しく報告されている。
そこに広河さんが書いているように、福鳥県が、今、学校の施設利用の基準にしている空間カンマ線低率に比べ、チェルノブイリ原発の4号炉そばの線量はずっと低い。また、ウクライナで事故後人が避難し、廃墟となっている村々と同じぐらいの線量のところに、福島では人が住んでいる。
チェルノブイリ原子力発電所事故では、1平方キロメートル当たり15キュリー(55万ベクレル/m^2)以上のセシウム137で汚染された村々から約40万人の人々が強制避難させられた。そして約14万5000平方キロメートルが1平方キロメートル当たり1キュリー(3万7000ベクレルm^2)を超える汚染を受けた。そうした汚染地は、法令に従えば、放射線管理区域にしなければいけない。しかしそこに500万人を超える人々が棄てられた。
環境中での放射性物質の動き
物理的な減衰と環境中での移動
放射性物質を人間の手で消すことはできない。しかし、それぞれの放射性物質には寿命がある。たとえば、セシウム137は30年経てば、半分に減ってくれる。同じセシウムの同位体であるセシウム134の場合には2・06年経てば半分に減ってくれる。そしてまた環境中では物質は移動しており、基本的には濃密な汚染地から周辺へと汚染は拡散していく。1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故からすでに28年以上の歳月が流れた。そして当初の汚染は、その歳月の流れによってかなり減ってきてくれた。
セシウム134はセシウム137に比べて約3倍強い放射線を出すが、チェルノブイリ原子力発電所で放出されたセシウム134の量はセシウム137に比べて、約半分だった。それを考慮し、事故直後に1平方キロメートル当たり15キュリー(55万ベクレルm^2)のセシウム137汚染を受けた上地での空間ガンマ線値がどのように推移してきたかの計算値を図1に示す。この図にはセシウムの寿命による減衰のみを考慮した場合と、環境での移動(注1)を併せて考慮に入れた計算価を示した。
毎時O・6マイクロシーベルトを超える場所は放射線管理区域にしなければならないが、事故直後にはセシウムからだけで毎時3・Oマイクロシーベルトの空間カンマ線量があったはずだし、直後には、寿命が比較的短いその他の放射性核種もたくさんあったためずっと高い放射線量であったはずだ。しかし、10年もたてば、セシウム134も含め寿命の短い放射性核種は次々となくなってきたし、28年たった今では。環境での移動を考慮しなくても毎時0・66マイクロシーベルト、環境での移動を併せて考えれば、毎時O・20マイクロシーベルトまで減っている。
また、セシウム137について、ある塲所での空間ガンマ線最にどれだけの距離からの汚染が寄与しているかを表1に示す。この表によれば、全体の3分の1の被曝は、測定点から5メートル離れた場所までの汚染から与えられる。また、全体の3分の2の被曝は、30メートル離れた場所までの汚染から来る。逆に言うと半径5メートルまでの汚染をはぎ取って移動させれば、被曝の3分の1を減らすことができるし、30メートルまでの汚染を移動できれば、3分の2の被曝は避けることができる。チェルノブイリの周辺でも、人々が頻繁に立ち入る場所はそれなりに汚染対策が取られたであろうから、図1に示した計算値よりもさらに空間ガンマ線量は減っているはずである。広河さんがチェルノブイリ周辺で測ってきた測定値は、ほぼこうした計算と合致している。
被曝と成長盛りの子どもたち
ICRPによれば、1ミリシーベルトの被曝を1億人がすれば、5000人ががんで死ぬ。でも、その危険度の評価は、1977年のICRPの勧告では1250人ががんで死ぬというものだった。発がん死危険度の評価価は、歴史が進み、データが蓄積するにしたがって増加してきたし、私が信頼している米国の医学・物理学者、故ジョン・W・ゴフマンによれば4万人である(注2)。そして、図2に示すように、発育盛りの子どもたちは放射線に対する感受性が高い。30歳を過ぎれば、放射線感受性はどんどん低下していくが、そうした世代にこそ、原子力の暴走を許した責任がある。
放射線に被曝することは、微量であっても被害がある。だからこそ、日本というこの国も被曝について、法令で限度を定めている、一般の人々に対しては、1年間に1ミリシーベルト以上の被曝を加えてはならない。1ミリシーベルトなら安全だからではない。被曝は危険だが、その程度の被曝はその他の危険と比べて我慢できるだろうという社会的な基準である。私のような放射線業務従事者の場合は、1年間に20ミリシーベルト以上の被曝をしてはならないと法令が定めている。それは、他の仕事でも労働災害の危険があるから、放射線を収り扱う労働者もその程度の被曝の危険は我慢すべきだとして定められた。
ところが、福鳥第一原発事故後、日本政府は従来の法令を反故にした。今は、緊急時だから、法令を守る必要がなく、1年間に20ミリシーベルトを超えない場所には、人々に帰還せよと指示を出した。20ミリシーベルトというのは、先に記したように放射線業務従事者に対してのみ許された基準であるが、それを赤ん坊も含め、成長盛りの子どもたちに許容しろというのである。
福島原発事故による汚染
福鳥原発事故の場合、大気中に放出されたセシウム137とセシウム134はほぽ同量であった。そして、1年間に20ミリシーベルトの被曝をする地は、セシウム137とセシウム134がそれぞれ1平方メートル当たり30万ベクレル、合計で60万ベクレルの汚染地に相当する。そうした場所ではセシウムからだけで、事故直後は毎時2・6マイクロシーベルトの被曝をしていたはずだ。もちろん、他の短半減期の放射性核種の汚染もあったから、事故直後の空間ガンマ線量率ははるかに高かった。しかし、事故後3年以上たった今、すでに空間カンマ線量に問題となるのはセシウム137とセシウム134だけである。その地に棄てられた人々が30年後までにどのような被曝をするかを計算したものが図3である。
計算に当っては、セシウムの物理的な減衰とともに環境中での移動も併せて考慮している セシウム134からの被曝は、10年以降はほぽ問題にならない。一方セシウム137からの被曝は、環境中で移動する成分からの寄与が比較的早く減るが、その後は長期間にわたって被曝を増加させていく。仮に30年その地で生活すれば、合計の被曝量は70ミリシーベルトを超えるし、その後も被曝は続く。そして、30年間の合計被曝量の半分は事故後5年で受けてしまう。避難するのであれば、最初の5年問が大切なのである。すでに人々は3年を超えて、彼の地に棄てられ続け、一度避難した人たちも帰還せよと国から指示されている。これが法治国家というものか?
子どもたちには、原子力を暴走させた責任はない。福島原子力発電所の事故に対しても責任がない。そして彼らこそ被曝に敏感で危険を一手に負わされる。子どもたちの被曝を防ぐことは、原子力を暴走させた、あるいはそれを止められなかった大人たちの最低限の責任である。
ネットワークでつくる放射能汚染地図 2011年5月15日(日)
http://v.youku.com/v_show/id_XMjY5NTk3Njcy.html
福島原発事故は、周辺地域に未曾有(みぞう)の放射能災害を引き起こした。時間経過とともに拡大する避難エリア。住民たちが自分たちの村や町に、いつになったら帰れるのか、その展望は全く見えない。いま住民たちが求めているのは、被曝(ひばく)による人体影響と、今後の土壌汚染への対策を、客観的かつ冷静に考えてゆくための基礎となるデータ・放射能汚染地図である。
ETV特集では1954年のビキニ事件以来、放射線観測の第一線に立ち続けてきた元理化学研究所の岡野眞治博士の全面的な協力のもと、元放射線医学研究所の研究官・木村真三博士、京都大学、広島大学、長崎大学の放射線観測、放射線医学を専門とする科学者達のネットワークと連係し、震災の3日後から放射能の測定を始め汚染地図を作成してきた。観測チームは、周辺地域の土壌、植物、空気中の粒子を採取し放射線量を計測する一方、岡野博士が開発した計測機を自動車に搭載して、福島県内の道路2000キロを走破した。この計測器はビデオで撮った現場映像とともにGPS情報、放射線量、放射性核種のスペクトルを、同時記録してゆくことができる世界唯一の機器であり、チェルノブイリ事故での計測により国際的な評価を得ている。
一方、文部科学省や福島県、IAEA、アメリカエネルギー省も、独自に汚染の計測を進めており、その結果が公表され始めている。これらのデータと、独自収集データをつきあわせることで、原発周辺地域のきめ細かい土壌汚染のマッピングが可能になる。
番組は、放射能汚染地図を作成してゆくプロセスを追いながら、原発災害から避難する人々、故郷に残る人々、それぞれの混乱と苦悩をみつめた2か月の記録である。
続報 放射能汚染地図
http://dai.ly/xjl21p
ETV特集 2011年06月05日
ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から3年~
http://dai.ly/x1fmi87
http://dai.ly/x1fmkoc
ETV特集は原発事故直後から科学者とともに被災地に入り、「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月~」を放送した。あれから3年、汚染はどう変化し、出会った人々はどんな現実に直面しているのか。放射線測定の第一人者・岡野眞治博士(86歳)ら科学者たちとともに再び現地を調査し、避難生活を送る人々を取材。そこから見えてきたものは何か? 3年間にわたる継続取材の成果を調査報道で再び伝える。
隠蔽か黙殺か ~封印された汚染マップ~
【テレメンタリー(2014年2月16日)】
http://dai.ly/x1co6h6
大熊町で帰還拠点構想 「形だけの復興」の象徴
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月26日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015012602000133.html
東京電力福島第一原発の立地町、福島県大熊町で、ある構想が進んでいる。住民帰還の受け皿になる「復興拠点」の設置だ。全町民が避難する同町は、事故現場や中間貯蔵施設建設問題を抱えるが、新年度に国が設ける交付金を使い、四年後に人が住める環境にするという。除染で、一見空間線量は下がったように思える。しかし、帰還を望む町民はごく一部。「形だけの復興」にならないのか。
(榊原崇仁)
39ヘクタール整地 東電給食センターから建設
福島県いわき市内から常磐自動車道を車で北上すること三十分。常磐富岡インターチェンジ(IC)で降りて五分ほどで、大熊町が復興拠点と位置付ける大川原地区に着く。第一原発から最短約七キロの距離。居住制限区域に指定されているが、通行は自由だ。
復興拠点の予定地は三十九ヘクタールで、大半が平らな農地。除染は二〇一三年度に終わった。雑草が刈り取られたほか、表土もはぎ取られており、きれいに整地された状態になっている。
手持ちの空間線量計を見ると、毎時〇・五マイクロシーベルト前後を推移していた。年間追加
被ぱく線量二ミリシーベルト強に相当する値。これだけ見ると、避難指示解除基準の二〇ミリシーベルトを下回ることになる。
「線量の低さ、アクセスの良さなどから、大川原地区を復興拠点の予定地に選定した」。町の担当者はそう教えてくれた。
大熊町は一二年九月の第一次復興計画で「五年は帰町しない」と決めていた。約一万人の町民の95%が暮らしていた地域が、後に帰還困難区域に指定されるほど、汚染が深刻だった。
しかし、昨年三月の復興まちづくりビジョンでは一転、帰還の受け皿として商業地や住宅地などを集約する復興拠点整備を決めた。町の担当者は「戻りたい住民かおり、戻れる環境も整いだした」と説明する。
中心部には役場や警察、消防の施設を置き、病院、スーパー、飲食店、金融機関、コンベンションホールなどが入る複合施設、シンボルタワーを建てる。周辺には、災害公営住宅や一戸建て住宅のエリアを設け、廃炉や除染、ロボット技術の研究施設も誘致する。
一四年度に地形調査を実施し、一五年度は用地交渉、一六年度は道路や電気、ガス、上下水道などのインフラの整備を始め、一七年度は複合施設や災害公営住宅の建設に着手する。。
一八年度にはインフラ整備が完了し、各種施設の稼働が始まるという。
大熊と同様、原発事故の被災自治体が復興拠点の整備を検討する中、政府は一五年度に「帰還環境整備交付金」を創設する方針を決めた。復興拠点の用地買収やインフラ整備などの費用を国が肩代わりし、帰還を強力に後押しする。
復興庁は「計画の具体性という点では、大熊町が一番」と太鼓判を押す。
復興拠点造りは東京電力も関与する。既に原発作業員向けの給食センターを建設しており、四月には稼働する。これが復興拠点の第一号施設になるという。
現場では、仕上げ作業が急ピッチで進んでいる。道路脇の車をながめると、青森や庄内、水戸、川崎、多摩など県外ナンバーの車が多い。現場の作業員は「全国から建設業者たちが集まっている」と語った。’
町は自治体残したい
町民は生活再建望む
「進む復興」国は印象づけたい
着々と進んでいる復興拠点建設だが、やはり消えないのが放射線の脅威だ。
予定地の空間線量は多くの場所で毎時0・五マイクロシーベルト前後だったものの、数百メートル先が線量の高い帰還困難区域という場所もある。境界のゲート前で線量計を見ると二マイクロシーベルトを示し、その脇の茂みで測ったところ、八マイクロシーベルト近くまで跳ね上がった。年間換算すると三〇ミリシーベルト超。避難解除基準の年間二〇マイクロシーベルトを大きく上回る。
政府は今後、除染の範囲を広げる方針だが、帰還を望む町民がわずかしかいない現実も横たわる。
町などが昨年十月に実施した町民アンケートでは、「大熊に戻りたい」は13・3%にとどまった一方。「戻らないと決めている」が57・9%、「判断がつかない」は25・9%だった。
中間貯蔵施設ができる…帰れぬ
復興拠点にも、辛辣(しんらつ)な声が上がる。
大川原地区から福島県会津若松市内に避難する七十代女性は「中間貯蔵施設ができるようなとこさ、帰れねえ」と話す。第一原発周辺の中間貯蔵施設予定地から復興拠点までは、最短で三・五キロという近さ。別の男性(八一)は「除染土が風で飛んで来(こ)ん、と言えるか」と安全性に懐疑的だ。
環境省がまとめた中間貯蔵施設への搬入基本計画では、高速道路の積極利用がうたわれる。復興拠点は常磐自動車道や常磐富岡ICが至近距離だ。中間貯蔵施設までの通り道になれば、飛散の恐れは一層増す。
大熊町内の帰還困難区域からいわきの仮設住宅に避難する吉田邦夫さん(六六)は「何より心配なのは原発自体。現場が見えないから」と言う。避難中の主婦(五七)も「事故が収束したとは思ってない。第一原発から復興拠点は近すぎる。廃炉作業はいつまで続くのか。何か動かしたはずみで、再び放射性物質が飛散してこないか」と懸念した。
町は三千人が復興拠点で暮らすことを想定しているが、会津若松に避難する長沼安さん(七〇)は「若い町民は住まない。放射能が嫌だから。年寄りも帰るのは一部だけだ。住民の大半は原発作業員になるだろう。でも、作業員は全国を転々とする人が多い。それでまちづくりを託せるのか。わずかな年寄りだけじゃ発展も何もない」と不安げだ。
帰還に力点が置かれる現状にも不満が募る。
母一人、子一人の生活を送る主婦(五四)は「帰町を望むごく一部の町民のため、数十億、数百億円をかけて『夢の町』をつくるなら、帰町しない人には何をしてくれるのか。私は行政の支援があって助かったと思ったことがない」と憤る。
いわきの仮設住宅で独り暮らしする庄子修さん(五○)は「現在の生活を何とかしてほしい。自分は中卒なので、原発関連の仕事ぐらいしか見つからない。だが、事故の被害者だから、そうした仕事はためらう。四畳半一間の生活にも疲れてしまった」とうなだれた。
大熊町民の聞き取り調査を続ける大妻女子大の吉原直樹教授(社会学)は「復興拠点の問題は町民と町、国が考える復興の姿が、それぞれ違う点を顕著に表している」と指摘する。
「町民が生活再建を望むのに対し、町は大熊町という自治体を残したい。目に見える形で町が存在する証しを作りたい。一方、国の考える復興は早期帰還だ。賠償額がふくらみ、東電の肩代わりをする事態を恐れている。国は『立地町でさえ、復興拠点ができる。他も当然、復興が進んでいる』と印象づけることで広く帰還を促進、早々に賠償を打ち切りたいはずだ」
どうすればよいのか。吉原氏は基本的な観点をこう語る。「帰還を望まない被災者がいるのは事実。同時に賠償を打ち切れば、路頭に迷う。あらためて復興のあり方を考えるべきだ」
誰かさんに聞かせたい!( *`ω´)「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」
ワイツゼッカー氏死去 元ドイツ大統領
戦争責任直視促す演説
(東京新聞)2015年2月1日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015020190070613.html
ドイツ大統領府は三十一日、元ドイツ大統領のリヒャルト・フォン・ワイツゼッカー氏が死去したと発表した。九十四歳だった。ドイツの戦争責任やユダヤ人迫害の歴史と向き合うよう国民に求め、「ドイツの良心」とも評された。ガウク大統領はメッセージの中で「過去と立ち向かうドイツの立場を世界中で代弁してきた」と死を悼んだ。
(ベルリン支局長・宮本隆彦)
ドイツ大統領府は三十一日、元ドイツ大統領のリヒャルト・フォン・ワイツゼッカー氏が死去したと発表した。九十四歳だった。ドイツの戦争責任やユダヤ人迫害の歴史と向き合うよう国民に求め、「ドイツの良心」とも評された。ガウク大統領はメッセージの中で「過去と立ち向かうドイツの立場を世界中で代弁してきた」と死を悼んだ。
(ベルリン支局長・宮本隆彦)
一九八五年五月、「荒れ野の四十年」と題したドイツ敗戦四十周年の連邦議会演説で発した「過去に目を閉ざす者は現在に対しても盲目となる」との言葉は有名だ。ドイツ国民が犯した罪と歴史を直視しなければナチス・ドイツが迫害したユダヤ人や近隣諸国との真の「和解」はできないとの訴えで、国内外で大きな反響を呼んだ。
九〇年十月の東西ドイツ統一でも「統一することとは、分断を学ぶこと」と演説し、過去を真摯(しんし)に振り返ることの大切さを主張した。
戦後五十年の九五年夏には、本紙の招きで来日。記念講演で「過去を否定する人は過去を繰り返す危険を冒している」と訴えた。
二〇年、南部シュツットガルトで貴族の家に生まれた。第二次大戦に従軍し、ポーランド戦線で一緒に戦っていた次兄は戦死した。戦後のニュルンベルクの戦犯裁判でナチスの外務次官だった父親の弁護に加わった。
中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)に入党し、連邦議会議員(六九~八一年)、西ベルリン市長(八一~八四年)をへて、八四年に連邦大統領就任。党派を超えて国民から広く信頼を集め、八九年には史上初めて無投票で再選され、東西ドイツ統一を挟んで大統領を務めた。
九四年の退任後も、欧州委員会から「三賢人」の一人に任命されて欧州連合(EU)の機構改革を提言するなど活躍した。
「非核こそ未来への道」
(東京新聞)2015年2月1日
歴史問題超え和解促す
(東京新聞)2015年2月1日
『荒れ野の40年』(1985)
ヴァイツゼッカー
5月8日は心に刻むための日であります。心に刻むというのは、ある出来事が自らの内面の一部となるよう、これを信誠かつ純粋に思い浮かべることであります。そのためには、われわれが真実を求めることが大いに必要とされます。
われわれは今日、戦いと暴力支配とのなかで斃れたすべての人びとを哀しみのうちに思い浮かべております。
ことにドイツの強制収容所で命を奪われた 600万のユダヤ人を思い浮かべます。
戦いに苦しんだすべての民族、なかんずくソ連・ポーランドの無数の死者を思い浮かべます。
ドイツ人としては、兵士として斃れた同胞、そして故郷の空襲で捕われの最中に、あるいは故郷を追われる途中で命を失った同胞を哀しみのうちに思い浮かべます。
虐殺されたジィンティ・ロマ(ジプシー)、殺された同性愛の人びと、殺害された精神病患者、宗教もしくは政治上の信念のゆえに死なねばならなかった人びとを思い浮かべます。
銃殺された人質を思い浮かべます。
ドイツに占領されたすべての国のレジスタンスの犠牲者に思いをはせます。
ドイツ人としては、市民としての、軍人としての、そして信仰にもとづいてのドイツのレジスタンス、労働者や労働組合のレジスタンス、共産主義者のレジスタンス――これらのレジスタンスの犠牲者を思い浮かべ、敬意を表します。
積極的にレジスタンスに加わることはなかったものの、良心をまげるよりはむしろ死を選んだ人びとを思い浮かべます。
はかり知れないほどの死者のかたわらに、人間の悲嘆の山並みがつづいております。
死者への悲嘆、
傷つき、障害を負った悲嘆、
非人間的な強制的不妊手術による悲嘆、
空襲の夜の悲嘆、
故郷を追われ、暴行・掠奪され、強制労働につかされ、不正と拷問、飢えと貧窮に悩まされた悲嘆、
捕われ殺されはしないかという不安による悲嘆、迷いつつも信じ、働く目標であったものを全て失ったことの悲嘆――こうした悲嘆の山並みです。
今日われわれはこうした人間の悲嘆を心に刻み、悲悼の念とともに思い浮かべているのであります。
人びとが負わされた重荷のうち、最大の部分をになったのは多分、各民族の女性たちだったでしょう。
彼女たちの苦難、忍従、そして人知れぬ力を世界史は、余りにもあっさりと忘れてしまうものです(拍手)。彼女たちは不安に脅えながら働き、人間の生命を支え護ってきました。戦場で斃れた父や息子、夫、兄弟、友人たちを悼んできました。この上なく暗い日々にあって、人間性の光が消えないよう守りつづけたのは彼女たちでした。
暴力支配が始まるにあたって、ユダヤ系の同胞に対するヒトラーの底知れぬ憎悪がありました。ヒトラーは公けの場でもこれを隠しだてしたことはなく、全ドイツ民族をその憎悪の道具としたのです。ヒトラーは1945年 4月30日の(自殺による)死の前日、いわゆる遺書の結びに「指導者と国民に対し、ことに人種法を厳密に遵守し、かつまた世界のあらゆる民族を毒する国際ユダヤ主義に対し仮借のない抵抗をするよう義務づける」と書いております。
歴史の中で戦いと暴力とにまき込まれるという罪――これと無縁だった国が、ほとんどないことは事実であります。しかしながら、ユダヤ人を人種としてことごとく抹殺する、というのは歴史に前例を見ません。
この犯罪に手を下したのは少数です。公けの目にはふれないようになっていたのであります。しかしながら、ユダヤ系の同国民たちは、冷淡に知らぬ顔をされたり、底意のある非寛容な態度をみせつけられたり、さらには公然と憎悪を投げつけられる、といった辛酸を嘗めねばならなかったのですが、これはどのドイツ人でも見聞きすることができました。
シナゴーグの放火、掠奪、ユダヤの星のマークの強制着用、法の保護の剥奪、人間の尊厳に対するとどまることを知らない冒涜があったあとで、悪い事態を予想しないでいられた人はいたでありましょうか。
放火されたシナゴーグ
目を閉じず、耳をふさがずにいた人びと、調べる気のある人たちなら、(ユダヤ人を強制的に)移送する列車に気づかないはずはありませんでした。人びとの想像力は、ユダヤ人絶滅の方法と規模には思い及ばなかったかもしれません。しかし現実には、犯罪そのものに加えて、余りにも多くの人たちが実際に起こっていたことを知らないでおこうと努めていたのであります。当時まだ幼く、ことの計画・実施に加わっていなかった私の世代も例外ではありません。
良心を麻痺させ、それは自分の権限外だとし、目を背け、沈黙するには多くの形がありました。戦いが終り、筆舌に尽しがたいホロコースト(大虐殺)の全貌が明らかになったとき、一切何も知らなかった、気配も感じなかった、と言い張った人は余りにも多かったのであります。
一民族全体に罪がある、もしくは無実である、というようなことはありません。罪といい無実といい、集団的ではなく個人的なものであります。
人間の罪には、露見したものもあれば隠しおおせたものもあります。告白した罪もあれば否認し通した罪もあります。充分に自覚してあの時代を生きてきた方がた、その人たちは今日、一人ひとり自分がどう関り合っていたかを静かに自問していただきたいのであります。
今日の人口の大部分はあの当時子どもだったか、まだ生まれてもいませんでした。この人たちは自分が手を下してはいない行為に対して自らの罪を告白することはできません。
ドイツ人であるというだけの理由で、彼らが悔い改めの時に着る荒布の質素な服を身にまとうのを期待することは、感情をもった人間にできることではありません。しかしながら先人は彼らに容易ならざる遺産を残したのであります。
罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関り合っており、過去に対する責任を負わされているのであります。
心に刻みつづけることがなぜかくも重要であるかを理解するため、老幼たがいに助け合わねばなりません。また助け合えるのであります。
問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。
ユダヤ民族は今も心に刻み、これからも常に心に刻みつづけるでありましょう。われわれは人間として心からの和解を求めております。
まさしくこのためにこそ、心に刻むことなしに和解はありえない、という一事を理解せねばならぬのです。
物質面での復興という課題と並んで、精神面での最初の課題は、さまざまな運命の恣意に耐えるのを学ぶことでありました。ここにおいて、他の人びとの重荷に目を開き、常に相ともにこの重荷を担い、忘れ去ることをしないという、人間としての力が試されていたのであります。またその課題の中から、平和への能力、そして内外との心からの和解への心構えが育っていかねばならなかったのであります。これこそ他人から求められていただけでなく、われわれ自身が衷心から望んでいたことでもあったのです。
かつて敵側だった人びとが和睦しようという気になるには、どれほど自分に打ち克たねばならなかったか――このことを忘れて五月八日を思い浮かべることはわれわれには許されません。ワルシャワのゲットーで、そしてチェコのリジィツェ村で虐殺された犠牲者たち(1942年、ナチスの高官を暗殺したことに対する報復としてプラハ近郊のこの村をナチスは完全に破壊した。)――われわれは本当にその親族の気持になれるものでありましょうか。
ロッテルダムやロンドンの市民にとっても、ついこの間まで頭上から爆弾の雨を降らしていたドイツの再建を助けるなどというのは、どんなに困難なことだったでありましょう。そのためには、ドイツ人が二度と再び暴力で敗北に修正を加えることはない、という確信がしだいに深まっていく必要がありました。
ドイツの側では故郷を追われた人びとが一番の辛苦を味わいました。五月八日をはるかに過ぎても、はげしい悲嘆と甚だしい不正とにさらされていたのであります。もともとの土地にいられたわれわれには、彼らの苛酷な運命を理解するだけの想像力と感受性が欠けていることが稀ではありませんでした。
しかし救援の手を差しのべる動きもただちに活発となりました。故郷を捨てたり追われた何百万人という人びとを受け入れたのであります。歳月が経つにつれ彼らは新しい土地に定着していきました。彼らの子どもたち、孫たちは、いろいろな形で父祖の地の文化とそこへの郷土愛とに結びついております。それはそれで結構です。彼らの人生にとって貴重な宝物だからであります。
しかし彼ら自身は新しい故郷を見出し、同じ年配の土地の仲間たちと共に成長し、とけ合い、土地の言葉をしゃべり、その習慣を身につけております。彼らの若い生命こそ内面の平和の能力の証しなのであります。彼らの祖父母、父母たちはかつては追われる身でした。しかし彼ら若い人びと自身は今や土地の人間なのです。
故郷を追われた人びとは、早々とそして模範的な形で武力不行使を表明いたしました。力のなかった初期のころのその場かぎりの言葉ではなく、今日にも通じる表白であります。武力不行使とは、活力を取り戻したあとになってもドイツがこれを守りつづけていく、という信頼を各方面に育てていくことを意味しております。
この間に自分たちの故郷は他の人びとの故郷となってしまいました。東方の多く古い墓地では、今日すでにドイツ人の墓よりポーランド人の墓の方が多くなっております。
何百万ものドイツ人が西への移動を強いられたあと、何百万のポーランド人が、そして何百万のロシア人が移動してまいりました。いずれも意向を尋ねられることがなく、不正に堪えてきた人びとでした。無抵抗に政治につき従わざるをえない人びと、不正に対しどんな補償をし、それぞれに正当ないい分をかみ合わせてみたところで、彼らの身の上に加えられたことについての埋合せをしてあげるわけにいかない人びとなのであります。
五月八日のあとの運命に押し流され、以来何十年とその地に住みついている人びと、この人びとに政治に煩らわされることのない持続的な将来の安全を確保すること――これこそ武力不行使の今日の意味であります。法律上の主張で争うよりも、理解し合わねばならぬという誡めを優先させることであります。
これがヨーロッパの平和的秩序のためにわれわれがなしうる本当の、人間としての貢献に他なりません。
1945年に始まるヨーロッパの新スタートは、自由と自決の考えに勝利と敗北の双方をもたらすこととなりました。自らの力が優越していてこそ平和が可能であり確保されていると全ての国が考え、平和とは次の戦いの準備期間であった――こうした時期がヨーロッパ史の上で長くつづいたのでありますが、われわれはこれに終止符をうつ好機を拡大していかなくてはなりません。
ヨーロッパの諸民族は自らの故郷を愛しております。ドイツ人とて同様であります。自らの故郷を忘れうる民族が平和に愛情を寄せるなどということを信じるわけにまいりましょうか。
いや、平和への愛とは、故郷を忘れず、まさにそのためにこそ、いつも互いに平和で暮せるよう全力を挙げる決意をしていることであります。追われたものが故郷に寄せる愛情は、復讐主義ではないのであります。
略
道徳に究極の完成はありえません――いかなる人間にとっても、また、いかなる土地においてもそうであります。われわれは人間として学んでまいりました。これからも人間として危険に曝されつづけるでありましょう。しかし、われわれにはこうした危険を繰り返し乗り越えていくだけの力がそなわっております。
ヒトラーはいつも、偏見と敵意と憎悪とをかきたてつづけることに腐心しておりました。
若い人たちにお願いしたい。
他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。
ロシア人やアメリカ人、
ユダヤ人やトルコ人、
オールタナティヴを唱える人びとや保守主義者、
黒人や白人
これらの人たちに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。
若い人たちは、たがいに敵対するのではなく、たがいに手をとり合って生きていくことを学んでいただきたい。
民主的に選ばれたわれわれ政治家にもこのことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい。そして範を示してほしい。
自由を尊重しよう。
平和のために尽力しよう。
公正をよりどころにしよう。
正義については内面の規範に従おう。
今日五月八日にさいし、能うかぎり真実を直視しようではありませんか。
心に刻む歴史「水に流してはならない」
―ドイツと日本の戦後50年―
ワイツゼッカードイツ大統領講演
http://ameblo.jp/m08068469/entry-11921732020.html
The Great Dictator- Globe Scene
http://youtu.be/IJOuoyoMhj8
独裁者 (映画) - Wikipedia
アウシュビッツ解放記念式典
ナチスの犯罪
胸に刻み70年
(しんぶん赤旗)2015年1月29日
国際ホロコースト記念日
国連式典で参加者
「悲劇伝える」誓う
(しんぶん赤旗)2015年1月30日
【シントン=島田峰隆】ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)犠牲者を追悼する国際記念日(27日)の式典が28日、ニューヨークの国連本部で開かれました。国連関係者をはじめとする参加者は、人種や宗教に基づく差別や偏見、暴力の根絶を訴え、「悲劇を二度と繰り返さない」と誓い合いました。
戦後70年の今年、式典のテーマは「自由、いのち、ホロコースト生還者から受け継ぐもの」とされました。
国連の潘基文(パンーギムン)事務総長は開幕演説で、2013年秋にホロコーストの舞台となったポーランド南部のアウシュビッツ強制収容所跡地を見学したことに触れ。
「その犯罪の規模は現在でも衝撃的なものだ」と指摘。70年前に国連を創設した人々の念頭にはホロコーストの恐怖があったとし「人間の尊厳を守る決意が国連憲章に書き込まれた。それが国連の活動の特徴になってきた」と強調しました。
潘氏は一方で「今も世界は多くの課題に直面している」として、過激主義や反ユダヤ主義に基づく偏見や暴力、イスラム教への攻撃などを挙げました。
「過去に失ったものを思い出し、現在の危険を考えれば、今やらなければならないことが分かる」と語り、人権や民主主義の尊重、テロや挑発とのたたかい、異なる宗教閧の対話、次世代への教訓の伝承などを呼び掛けました。
国連総会のデニーアントワーヌ副議長も「われわれはホロコーストのような悲劇が二度と起こらないようにする義務がある」「教訓を引き出し、それを現在と将来の世代に伝える集団的な責任がある」と力を込めまし
た。
式典にはホロコースト生還者、イスラエルのリプリン大統領らも出席しました。
国連は05年1月、アウシュビッツ収容所解放60年を記念して特別総会を開催し、同年11月、毎年1月27日を国際記念日とするよう決議。以来、毎年この日に式典を開いてきました。今年はニューヨークで大雪が予想されたため、1日順延して開催されました。
囚人が自分の墓を掘る、リトアニア1941
死と隣り合わせの日々
ポーランド南部のアウシュビッツ強制収容所の生還者、ヨゼフーパチンスキーさん(94)が24日までに収容所跡のあるオシフィエンチムで外国メディアの取材に応じ、死と隣り合わせだった収容所での日々について語りました。
アウシュビッツ生還者が語る
-収容された経緯は。
当時ポーランド兵でしたが、政治犯として1940年6月、20歳でアウシュビッツ収容所に送られました。到着時、生きられるのはせいぜい3ヵ月と告げられましたが、約4年半に及んだ収容所生活を生き抜きました。
ユダヤ人の「特別労務班」によって敷地内で焼却される遺体
-収容所内での労働は。
ナチス親衛隊のための美容室で働きました。所長のルドルフ・ヘスの髪を切ることになり、浴室で彼と2人になったときは緊張のあまり震えが止まりませんでした。何度も屋敷に通いましたが、言葉を交わすことはありませんでした。
絞首刑にされたルドルフ・ヘス
試験的に大量殺害
-ガス室のことは当時知っていましたか。
41年9月にガス室で試験的に大量殺害が行われた日を鮮明に覚えています。日中はそれぞれの持ち場で仕事に当たりますが、夜に収容棟で活発に情報交換していました。
ガス室
-なぜ収容所を生きて出られたのですか。
親衛隊のために働かされていたポーランド人は皆若く、助け合おうという暗黙の了解がありました。薬局から医薬品を黙って取って来たり、食堂から食べ物を持ち出したりして分け合いました。親衛隊の中に親切な人がいたことも事実です。
私にとっての終戦
-ソ連軍が迫る中、被収容者を移動させた「死の行進」が行われましたが。
45年1月に雪の中、オーストリアの収容所へ貨車や船で移動させられ、過酷な採石作業に従事しました。
死の行進
その年の5月6日は忘れられません。昼前に収容所の窓から米軍関係者の姿が見えたのです。思わず涙が込み上げました。その瞬間が私にとっての終戦でした。
(オシフィエンチム=ポーランド南部=時事)
解放直後にアウシュビッツ収容所の子供用宿舎から出てくる子供たち
記憶の場所で
アウシュビッツ強制収容所開放70年式典
ポーランド・ビルケナウ
ジャーナリスト
大和田わこさんのリポート
くらし・家庭(しんぶん赤旗)2015年2月3日
アウシュビッツ強制収容所開放70年記念式典が1月27日、第二アウシュビッツと呼ばれるポーランド・オシフィエンチムの、ビルケナウ収容所跡地でおこなわれました。ジャーナリストの大和田わこさんのリポートです。
生存者の声胸に刻む
まだ数日前の大雪が一面を覆うビルケナウ。ここは、ナチスードイツが、欧州全土からユダヤ人をはじめ、130万人もの人々を移送し、110万人あまりを殺し、焼いた殺人工場の跡地で
す。
当時の鉄道の引き込み線や、死体を焼いたガス室跡が、いまも生々しく残る記憶の場所。たたずむと吹き付ける雪や風に乗って、無惨に命を絶たれた無数の人々の声が聞こえてくるような錯覚に陥ります。
いま、ナチスの残虐行為を直接体験した人々が年々減少する中、記憶を次の世代にどのように伝えていくかが大きな課題です。
「死の門」・アウシュヴィッツ第二強制収容所(ビルケナウ)の鉄道引込線
元囚人が語る
メーン会場として、死の門の前に大きな白いテントがはられ、そこに、50力国の各国代表や、300人の生存者とその家族などが集結。式典は午後3時半に始まりました。元囚人の高齢化が進み、これまでのような外での開催は無理との博物館側の判断です。
そしてもう一つの特徴は、各国代表のあいさつをなくしたこと。「われわれが受け継ぐべき生存者や、目撃者が語る言葉に耳を澄まし、深く考える場にしよう」が、合言葉となりました。
私たち一般参加者は、防衛上の問題もあり、そのテントに近づくことは禁止され、ビルケナウの林の前に般けられた野外の大型画面を見ながらの参加となりました。
身も心も凍(い)てつくような寒さとのたたかいをものともせず、1000人あまりの人々が大型画面を食い入るように見つめ、元囚人3人の語る体験と、この悲劇を二度とくり返さないためにも、忘れてはならない、伝えていかなけれぱならないという訴えに、涙したり、共感の拍手を送ったりしました。
私が受け継ぐ
式典の終わりに、ピョートルーチュビンスキ博物館館長はこう呼びかけました。
「まだ、私たちのまわりに、ナチスの蛮行の目撃者がいます。でももうこれが最後の式典になるかもしれません。私たち一人一人が自分に問いましょう。未来に向けて私たちの配憶をより成熟させていくことを。それは簡単なことではないかもしれない。しかし、ぜひ、やってほしいし、やり抜きましょう」
参加者の一人、元囚人のポグダンーバルトニコスキさん(83)は、1944年8月のワルシャワほう起に、子どもながら参加。母親とともにアウシュビッツに送られました。式典の感想を聞くと「こんなにも私たち元囚人のことを考えてくれてとてもうれしい。でも、私たちはお客ではない。二度とあのようなことをくり返させないためにも、ナチの犯罪を語り続けます」と力強く語りました。
そして野外で式典を見つめた14歳の少女は「ここへ来てよかった。とても寒かったけれど、私たちが記億を受け継いでいくのだと、よくわかった」と笑顔をみせました。
(#゚Д゚)凸!
あの人に迫る
中谷剛 アウシュビッツ公認ガイド
超えてはならぬ 常識をつくろう
(東京新聞)2015年2月1日
ナチスードイツが推定百十万人のユダヤ人らをガス室などで殺害したポーランド南部オシフィエンチム(ドイツ語名アウシュビッツ)にある「アウシュビッツ強制収容所」が、ソ連軍によって解放されてから二十七日で七十年がたった。収容所は博物館として保存され、世界中から見学者が訪れる。日本人で唯一の公認ガイドとして十七年にわたり日本人らを案内してきた中谷剛さん(四九)は、アウシュビッツが現代社会と日本に投げ掛ける意味を問い続けている。
(宮本隆彦)
アウシュビッツの見学者が増えています。
二〇一四年は百五十三万人で過去最高でした。特にホロコースト(ユダヤ人らの大量虐殺)を学校で学ぶ若い世代が増えました。欧州連合(EU)が統合を強めるための教育の場として利用しているからです。
念頭にあるのは移民問題。高齢化が進む欧州は、移民なしでは活力を維持できず、アジアや米国の経済に対抗できない。しかし現実には、フランスで風刺週刊紙が襲われるテロが起きたり、ドイツで反イスラム移民のデモが起きたりと摩擦は大きい。放置すれば社会の亀裂はますます大きくなる。人権というテーマだけではなく、経済発展の障害となる人種差別に対処する学びの場としてアウシュビッツが使われています。
今に通じる教訓があると。
ドイツは第一次世界大戦で敗れて巨額の賠償金を負わされ、経済は破綻しました。失業者が多く、ストレスがたまった、非常に追い込まれた社会状況でした。そこにヒトラーが現れ、民衆心理を巧みに利用して選挙で票を重ねた。うまくいかない部分はユダヤ人のせいにしながら。ヒトラーが連立政権で首相の座に就いた時、国政選挙でのナチ党単独の得票率は33%。その程度の勢力であっても間違いが起こりうる。だからこそ、たとえ少数でも社会から疎外された人への対応が大事なのです。
高齢化や移民受け入れの是非は日本が直面する課題でもあります。
グローバル化で海外から人や投資が大量に入ってくると、日本人はより強く日本や民族のアイデンティティーを求めるでしょう。日本では移民というと外国人が足りないところを補い、『日本人は全体が底上げされるような印象が強いですが、それだけでは済まない。競争の中で負ける日本人も出てくる。
そういう状況で生まれる感情が「排斥」と「共生」のどちらに向かうのか。競争に負けて外国人や移民に反感を持つ人が二割、三割と増えれば、移民排斥を主張する政権ができかねない。際どい分かれ目が近いうちに日本にくる。
なぜホロコーストが起きたのでしょうか。
原因は十分分かっていません。アウシュビッツを運営していたナチス親衛隊が冷酷な人間の集まりだったのかというと、そうではない。ごく普通の人間で、家に帰れば良き夫、良き父だった。収容者の中から選ばれた看守も生き残りの望みをかけて仲間に残虐な行為を働きました。
つまり最大の教訓は、人間はそういうシステムの中に置かれたら変わってしまうということなのです。人間を人間と思わなくなる。だから、おかしなシステムができてしまう前に「超えてはいけない常識づくり」をする。それを超えたときにちゃんと反応して反対できる社会にする。それしかないのです。ドイツでイスラム排斥のデモが起きると、それと同じぐらいの人数が対抗のデモに出る、というのが一つの例です。
どうやってその常識をつくりますか。
東日本大震災の後、ポーランド人から「なぜ日本人はあれほどの状況で略奪もせず、助け合えるのか」「どういう教育をしてきたのか」と頻繁に聞かれました。それは私たちの社会が自然と培ってきたものであり、それを僕は「教育」と名付けたい。
デンマークに良い例があります。ナチス占領下でデンマークは数千人のユダヤ人を中立国のスウェーデンに逃がして助けた。ほかの国でできなかったことが、デンマークでできたのは、社会が培った常識のおかげです。ここに希望がある。教育次第で人の行動が変わると期待できるからです。
日本にも例があります。一四年春に東京の図書館で「アンネの日記」などホロコースト関連の書物が破られる事件か発覚した後、オランダを防問した安倍晋三首相がアンネ・フランクの家を訪れ「二度と起こらないことを願っている」と発言しました。個人の行動に一国の首相がこうして反応することで、社会に「これはやってはいけない」という常識が生まれるのです。
第二次世界大戦で日本は加害の当事者でした。日本がアウシュビッツから学べることは。
「加害」という表現には反発もあるでしょう。開拓や戦争でアジアに行った日本人は現地の人を苦しめようと思っていたわけではないのですから。でもそれを自分たちで弁解しない方がよい。加害の歴史をきちんと受け止めているとのシグナルが日本から感じられないから中国や韓国が不信感を持つのだと思う。
アウシュビッツで案内中に「日本はドイツと同盟国でした」と話すと、嫌な顔をする人がいる。「日本はドイツほどひどいことはしていない。なぜここで日本が出てくるんだ」という反
応です。
しかし戦時を比較するのではなく、戦後に周辺国から抱かれた不信感を比べることは不適切ではない。戦後、欧州旅行の際にドイツ人であることを隠すため英語を使う人がいたほど、ドイツへの不信感は強かったのです。日本の方がドイツよりひどいことをしていないのならば、なぜドイツが周辺国と築いたような信頼関係を日本は持てていないのか、ということになる。
近隣諸国との関係をどう改善しますか。
国民の声を抑え込む中国の体制はいつまでも続かないでしょう。その時、日本か民主化をうまく支えてあげれば、彼らも過去の戦争にこだわるのではなく、日本は本当に自分たちのことを考えてくれたと思うはずです。これからはアジア諸国が求めることにうまく応えられるかどうかで、日本が国際社会のリーダーになれるかどうかが決まる。
若い人たちと話すと、戦争をめぐる近代史の知識が抜けている人が多いことに気付きます。アジアの問題への対応で考える材料がないことになり、なんとかしてこの部分を穴埋めしないといけない。
その上で若い人には「今から経済が弱くなって悪い時代になるわけではない。今までできなかった、もっと良いものが見つかるんだ」と伝えたい。日本人の良心は国際的に高く評価されているのですから、勇気を持って進めばますます日本は輝けます。
インタビューを終えて
東京ドーム四十一個分と広大なアウシュビッツを中谷さんの案内で回った。「人間の究極の可能性を示す場です」と中谷さん。暴虐の極みの中、犠牲的な助け合いもあったからだ。
ナチス親衛隊中佐のアイヒマンは「命令に従っただけ」と裁判で無罪を主張した。同様に職務に忠実な普通の人間が少しずつ虐殺を担った。異常なシステムでも、できてしまえば一個人があらがうのは難しい。だからこそ「少しでもおかしな動きを見過ごさないことが大事」と中谷さんは言う。ヘイトスピーチ(憎悪表現)が問題になる今の日本で大事な指摘だと思う。
あなたに伝えたい
たとえ少数でも社会から疎外された人への対応が大事なのです。
ヒトラーと6人の側近たちⅡ 第1回 「アドルフ・アイヒマン」
http://www.youtube.com/playlist?list=PLC3053BF5090CC81C
これが民主主義の実態!凸(゚Д゚#) 辺野古 - 勝利を我等に!(^ω^)
We Shall Overcome
http://youtu.be/lnFwR8G6u2g
Joan Chandos Baez
We shall overcome
We shall overcome
We shall overcome someday
Oh deep in my heart
I do believe
We shall overcome someday
We shall hand in hand
We shall hand in hand
We shall hand in hand someday
(chorus)
We shall all be free
We shall all be free
We shall all be free someday
(chorus)
We are not afraid
We are not afraid
We are not afraid today
(chorus)
We are not alone
We are not alone
We are not alone today
(chorus)
The whole wide world around
The whole wide world around
The whole wide world around someday
(chorus)
We shall overcome
We shall overcome
We shall overcome someday
Oh deep in my heart
I do believe
We shall overcome someday
(意訳)
私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか
おお、こころ深く
私は信じる
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか
私たちは手を取り合わねばならない
私たちは手を取り合わねばならない
私たちは手を取り合わねばならない いつの日にか
(コーラス)
私たちは恐れない
私たちは恐れない
私たちは恐れない 今日の日
(コーラス)
私たちは独りではない
私たちは独りではない
私たちは独りではない 今日の日
(コーラス)
この広い世界を廻る
この広い世界を廻る
この広い世界を廻る いつの日にか
(コーラス)
私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか
おお、こころ深く
私は信じる
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか
党派越えた「オール沖縄」
沖縄の怒りが屈辱を跳ね返す
人々はこうして自民党に勝利した
(DAYS JAPAN 2015年2月版)
2014年12月、沖縄の底力が爆発した。沖縄県知事選では、辺野古の新基地建設に反対する翁長雄志(おながたけし)氏が、仲井真弘多(なかいまひろかず)元知事を破って当選。総選挙では、全国で唯一、小選挙区で自民党が大敗した。選挙後、安倍政権は彼ら議員を無視しようとし始めているが、基地を押し付けられてきた人々の怒りを、政府はこれ以上封じ込められはしない。不可能といわれていた「オール沖縄」勝利の軌跡を、立役者たちに聞いた。
話/金城徹、屋良栄作、新里米吉、平良朝敬 インタビュー/広河隆一
協力/上原快佐(沖縄社会大衆党、那覇市議会議員)
より
インタビュー ①
超党派が
「辺野古NO」で団結した
金城徹(きんじょうとおる) 那覇市議会議長、元自民党新風会会長
基地、何としても許せぬ
広河:自民党が日本全国で大勝利しましたが、沖縄だけは別の民意を示しました。国の意向に保守党もノーと言うべきだと考えたのはいつごろからでしょうか。
金城:2007年の教科書検定問題がこの前哨戦になるのではないかと思います(編集部注 教科書問題:2008年度の高校歴史教科書の内容を決める検定で、文科省が、沖縄戦での「集団自決」の記述から旧日本軍が「強制した」との文言を削除・修正させた。沖縄では2007年9月、11万6000人、が参加した大抗議集会が開かれた)。教科書検定問題では、沖縄県議会でも那覇市議会でも、与野党がひとつになって抗議の声を上げました。08年に起きたアメリカ兵による中学生少女暴行事件への抗議でも同じです。だから、自民党の政策にノーを言うことは、ここ半年、1年の話ではないのです。私は自民党という枠内にはいましたが、基地から派生する問題が県民生活に大きな支障を起こすのを、絶えず感じて生活しています。
2006年、仲井真前知事は日米合意の見直しと基地の県外移設を公約に知事選に勝ち、自民党も、2012年12月の衆議院選挙で、「辺野古の基地に反対」と言って当選しました。だから、2012年時点では、自民党も仲井真さんも県外移設という点で一緒だったわけです。自民党県連の公約も、辺野古の基地を作らせないという点で一致していました。それが2013年の日月ごろから、政府の圧力の中で、まず自民党の国会議員が公約を降ろし、12月27日には、仲井真さんが辺野古埋め立てを承認していきます。
我々はその時に、自民党沖縄・1区支部の役員を即座に降りて、抗議をし、記者会見を開きました。その後、昨年1月4日に仲井真さんに抗議意見書を出し、市議会でも多数決で知事への反対が決まっていきました。それで我々は、辺野古移設に反対し続けてきた当時那覇市長だった翁長さんに知事選出馬を要請し、8月に自民党から除名されました。その後、県知事選挙と国政選挙が始まり、同時に「オール沖縄」という流れが大きくできあがり、12月、翁長新知事が誕生しました。全国的に自民党が一人勝ちしていく中で、沖縄では非自民が勝利をするという流れになったわけです。
広河:そうした流れのなかで、共産党とさえ共闘するというように、考えも異なる多くの人間を巻き込んでいかれましたね。
金城:私は自民党公認で市議会議員を6期務めているわけですから、後援会は自民党支持者が多いわけです。そういう方々からは、「なぜ共産党と手を組むんですか」と言われました。説明をして理解をいただける人もいますが、離れていく人も多い。私は、「今沖縄で問われているのは基地問題だ。私たちは選挙の公約で、辺野古に反対と打ち出した。それを勝手に変えていいわけはない」と説明しました。
広河:一方で、「よくぞこういう決断をしてくれた」という声の方が圧倒的に多かったのではないでしょうか。
金城:私たちが自民党を除名されたあと、近所の年配の方が、「自分たちがいくら反対と言っても、辺野古基地は結局作られていくのですかね」とおっしやいました。私たちが自民党を除名されたことで、自民党は結局、基地問題に関しては力で押しつぶしてくるとわかったのです。その人は「そんなつもりで子供を生んで育ててきたわけじゃないのに」ともおっしゃいました。私はその言葉を聞いたときに胸が熱くなりました。「あなたたちだけでも頑張ってくださいよ」という声をいただきましたが……。
広河:それでも、自民党だった人が共産党とも一緒になって問題に対処していくという判断をするときには、迷いもあったのではありませんか。
金城:正直に言えば、お互いに疑心暗鬼の部分はあるわけです。「保守は最後にどうせ裏切るんだ。翁長さんだって、今はあんなこと言っているけど、いつ仲井真さんのようにならないとも限らない」という革新派の声は、私たちの耳にも入ってきました。一方で、私たちを支持してくれる有力者たちには、「辺野古の反対については理解できるが、何も共産党と肩を並べて選挙する必要はあるのか」と言われました。革新政党に対するアレルギーをもっている人も少なくないわけです。
私たちには多くの違いがあります。共産党も社民党も労働組合も違うわけです。私たちも辺野古は反対だけれども、他の共産党の政策まで賛成できるかと言われれば、できないのは自明の理です。しかし、お互い相手を批判しても誰が喜ぶんですか?。
その状態に対して、「オール沖縄」、つまり「県民はひとつになって闘いましょう」と言う翁長さんは、卓越した政治的リーダーだと思います。それで多くの方が、「そうだよなあ」となったわけです。長い間、基地によって苦しんできた人たち、例えば米軍車両にひき逃げをされたり、暴行をうけて泣き寝入りしたり、
犯人が基地のなかに逃げ込んで本国に帰ってしまったのを見てきた人がいて、保守の立場の人たちも、やはり悔しい思いをしてきているわけです。自分の身に置き換えて、「許せない」と思ってきたんです。
辺野古の基地建設については、地元紙の世論調査でも79パーセント以上の人がだめだと答えています。今回の県知事選の前の調査でも、80パーセント以上の人がノーという意思表示をしました。そこには自民党支持者も、公明党支持者も、無党派の人々も含まれているわけです。
広河:今度の選挙では、勝てるかもれしれないと思っていましたか。
金城:知事選は、選挙をする前から勝てると思っていました。選挙の最大の争点は基地問題で、しかも県民の80パーセントは基地は作らせないという意思表示をしているわけですから。
広河:仲井真さんは世論の動きを見誤ったということですか。
金城:長い間官僚をしてきて、政治的な判断を見誤ったのではないでしょうか。例えば、よく大臣や官房長官や自民党の党役員は、「沖縄の人は金を引っ張りたいために、ごねているんだ」と言います。「沖縄県民はタカリの名人だ」と。だから金さえ積めば、沖縄の人間は、最終的には自分たちに投票すると期待したのでしょう。
広河:政府はこの結果をどういうふうにひっくり返そうかと、なりふりかまわず考えていると思うのですが。
金城:辺野古の基地を作らせないというのは、非常に難しいことだけど、県民がひとつになるということを続けきれたら、これは十分、日本政府の思惑を挫折させることができるんじやないかと思います。日本の国民が日米安保を享受して、経済発展をして、未だに恩恵を受けているのに、一方でその基地という負の部分は沖縄から一向に出さない。保守の人たちも、「本当にそれでいいのか」と考え始めたのです。
広河:本土メディアの責任もある。
金城:これまで中央のマスコミが国民の世論を作ってきたなかで、多くの人が、基地問題を沖縄問題として一括りにしてしまうことになりました。しかし、基地の問題は沖縄の問題ではなくて、国防の問題、外交の問題です。本来なら、みんなで考えないといけない問題だと思うのです。
広河:本土の人々の無関心もひどいですね。
金城‥国民は思考停止に陥っているのではないかなと思います。だから、「あなたの町でそういう問題があったらどうするのですか?」と問いたいです。2004年に沖縄国際大に米軍ヘリが墜落しましたが(注1)、「じやあ、京都大学や早稲田大学に落ちたときに、日本の警察も消防もそこに一歩も入れないということを想像できますか?」と。日本人は、本土内では許せないけど、沖縄ならしょうがないと考えている。固定観念から抜け出せないんです。
広河:金城さん、お生まれは那覇なのですか。
金城:はい。私の元々の家は米軍の軍港の基地内にありましたから、今では訪ねて行くことはできません。小学3~4年生くらいのとき、この軍港はベトナム戦争の物資の補給基地で、一帯には、飲み屋がたくさんあり、米兵がいました。私が創設した保育園は元々はお風呂屋さんで、銃を手に持った人がズカズカと入り込んできて、喚き立てたわけです。女湯にも平気で入って来ました。そういうのを見たときは、身がすくむような思いでした。米軍が怒鳴り散らすのを見て大変恐ろしい思いをしました。それが基地に対して理不尽さを感じた最初の経験でした。こういうことが許されることなのかと。
広河:一方で、本土の人に対する怒りとか絶望みたいなものを感じられたわけですね。
金城‥基地の問題を沖縄問題として矮小化し、そこから一歩も出ないというのは、福島原発の問題とよく似ています。原発の恩恵は関東を中心として、東京の人たちが、夜のネオンや交通網の電源などとして享受するけれど、危険な原発はなるべく離れたところに置いて、それで良しとする。それは安保の恩恵は享受するけれど、基地を沖縄から本土に持ってこられたら困ると、声は出さないけれども心の中で思っているのと似ていると思います。
でも例えば、フィリピンの人たちは勇気をもって、「米軍はフィリピンから出ていけ」と決めたわけですよね。日本人は外国の軍隊が国内に留まっていることに対して、一言も発言していないじゃないですか。経済大国だと言って、日本は一流の国だと勘違いしているけれども、他国の軍隊の基地をどうにもできなかったら、どの国からも相手にされてないと気づくべきではないでしょうか。
RBC THE NEWS「特集:辺野古の海上作業 これまでと今後」2015/02/03
http://youtu.be/aTUqz8PtnDg
中学生が埋め立て反対訴え 辺野古
ジュゴンの自然 壊すな
(しんぶん赤旗)2015年2月4日
一坪たりとも渡すまい
http://youtu.be/34E0cHBEn4Q
琉神マブヤーのテーマソング (オリジナルバージョン)
http://youtu.be/VxmTTTiW5UQ
沖縄を返せ
http://youtu.be/kmigP1jacbY
沖縄 辺野古ルポ
(しんぶん赤旗)2015年2月4・5日
安倍政権は、沖縄・名護市辺野古への米軍新基地建設のためのボーリング調査として、宝の海・大浦湾に巨大なコンクリート塊を沈める作業を強行し続けています。「基地はいらない」と示し続けた民意にそむく暴挙の連続です。「オール沖縄」のたたかいは本土との連帯も強め、短期間に昨年より新たな広がりと強さで展開されています。辺野古からリポートします。
(阿部活士)
浜辺のテント村で
基地いらぬ思いは一つ
干潟の残る浜辺にある「辺野古テント村」。サンゴやジュゴンのえさになる海草・藻場をはじめ大浦湾の貴重な自然を守る。”拠点″です。昼ごろになるといにわかに忙しくなります。「沖縄『建白書』実現島ぐるみ会議」が運営する「辺野古バス見学会」の大型バスが那覇から到着するからです。
北海道からも
1月26日には、「本当にきれいな海ね」といいながら、50人が降りてきます。「北海道医労連第7回平和ツアー」と書かれた大型バスも到着。総勢13人の20代。「夏だ。暑い」
30日には、沖縄県内の小・中学校を退職した女性校長や副校長らがマイクロバスで到着。「二度と沖縄戦のように、戦争で焼け野原になるのはいやです。基地はつくらせない。思いは一つです」と話すのは、城間春江さん(77)。
テント村のガイド役・篠原孝子さんが、那覇市からの参加者に説明します。「肉眼でも大型な船が見えますね。海上保安庁の巡視船です」
「こわい」と話す若い母親。「第2次世界大戦の沖縄戰はこんなイメージかな」との声も。
豊かな海壊す
「13隻もいました。サンゴの密漁取り締まりでもこんなに集まりません。私たちはサンゴを守るために活動しているのに、それを邪魔する海保。なんでしょうね」と篠原さんが話すと、思わず「ひどいね」との声がでます。
じっと説明を聞いていた上運天(かみうんてん)恵さん(49)は「ジュゴンが生息する豊かな海を壊す計画に反対の意思を示したい思いがずっと胸に刺さっていた」といいます。昨年9月から辺野古バス見学会があると知って、仕事のないときはずっと通ってきました。帰りのバスが出る午後4時までテント村とゲート前で抗議行動に参加。「なぜきれいな海を埋め立てるのか、わからない。戦後も70年たって、戦争するための基地をつくるという安倍首相がわからない。普天間基地や嘉手納基地…基地は全部いらない」
辺野古バス見学会は、那覇市、宜野湾市、うるま市などにも広がっています。
参加者のなかには、翁長県政の埋め立て承認検証を後押しする現地集会を開こうとの声も出ます。「1日でも2日でも基地機能を止めるほどの力を日米両政府に見せたい」と語る参加者もいます。
安倍政権にさらに強い県民の意思を示す大規模な県民集会を4月に開こうとの意見が続出しています。
豊かな海と故郷残す
基地ゲート前で
国道329号沿いに両側をフェンスで囲った広大な米海兵隊基地、キャンプーシュワブ。ゲート前抗議行動
には、「初めて参加」という若い世代がいます。
「目が覚めた」
1月24日土曜日の午前中、行き交う車に「新基地反対」のミニプラスターを掲げて、懸命に手をふる女性がいました。読谷村の保育所で働く與那覇沙姫(よなは・さき)さん(30)です。
「先輩の保育士のフェイスブックをみて、辺野古でおきていることは”ただごとじゃない″と思った。やっと目が覚めた。仕事のない土日は遊びたいけど、ここに来ようと思って。気持ちはめいっぱいです」
その″ただごとでない″こととは-。
「辺野古にくると、世界で起きていることがアメリカの戦争や沖縄の米軍基地につながっていると分かりました。負の連鎖です。日本は平和だと思ったけど、平和ではなかった。平和を願って、私も行動します。とりあえず、家族を巻き込もうと、今度は母親を連れてきたい」
キリスト者も
抗議行動には、キリスト者も数多く参加しています。
中城(なかぐすく)村の仲松かおりさん(54)は、宜野湾市にある米軍普天間基地のゲート前で毎週月曜日に集う「ゴスペル(賛美歌)を歌う会」の仲間と来ました。「基地は戦争につながります。沖縄戦を経験した親の世代から戦争は絶対にダメだと教わってきた」と。
日本キリスト教団の牧師もいます。「平和のために働くのが牧師の役目、公務です」と話すのは、石川教会の宇佐美節子さん(59)です。「安倍政権は基地はこれ以上いらないとまとまった『オール沖縄』に追いつめられているので、強行的に出ているのでしょう。日米同盟を大事にして日本の沖縄を切り捨てようとしていることに、私たちは怒っているのよ。日本は民主主義の国家ではないと」
SNSで発信
インターネットのSNSを活用して、辺野古のたたかいを発信する若者もいます。東京で原発反対の首相官邸前抗議行動に参加するATS(アツシ)さん(23)です。ゲート前では、マイクも握りました。
「僕のできることはナマ配信することです。テレビも大手新聞も取り上げないからこそ、それぞれが発信するメディアなんです。作業をやめさせるまで、横につながってたたかいましょう。安倍政権がやろうという原発再稼働も新基地建設も命にかかわる問題です。命が大事。ジュゴンがすむ豊かな生態系、海って人間のためだけなのっていいたい。人殺しの道具の基地をつくるより、豊かな自然、故郷を次の世代に残したほうがいい」
(おわり)
辺野古の海で赤嶺政賢衆議院議員の海上保安庁職員への訴え
http://youtu.be/_WqYBXafX_U
海上保安庁の皆さん 私は日本共産党衆議院議員の赤嶺政賢です。 先だっても第11管区議長に対して 海上保安庁の辺野古海域での行動は、あまりにも過剰で 憲法に基づく 基地建設に反対する抗議行動に対して 威圧的であるという その海上保安庁の役割の改善も強く求めたところであります。 私は今日 現場に この過剰な警備の実態の調査とボーリング調査の開始を この目で確認するために海上にやって参りました。 この舟は 国会議員の普段の国勢調査に基づく調査であります。この調査に対して、こんなに沢山の海上保安庁の舟が回りを取り囲む 落ち着いて ボーリング調査が始まっている実態も確認出来ない。こういう事態は本当に異常であります。 改めて 私達、沖縄県選出野党の国会議員は 第11管区の本部長に厳しく このようなあり方を正す様に 求める者であります。 それから 皆さんは 全国から此所にやってきている様ですが、この基地建設に対して 沖縄県民がどれだけ悔しい思いをしているか、どれだけ歯がゆい気持ちになっているか 沖縄県民が団結をして 絶対に基地は造らせないと言って 炎天下 キャンプシュワブ ゲート前に集まっていることを ご存じだと思います。あのゲート前は 100万県民の圧倒的な支持を受けている行動です。海上での抗議行動も100万県民の圧倒的な指示をもとに行われている抗議行動です。そして 私、日本共産党の赤嶺政賢も県民の委託を受けて 海上の調査に来た者であります。 この舟には あの米兵にレイプをされて そのレイプした米兵と10数年に亘り闘ってきたオーストラリア人女性 ジェーンさんもいらっしゃいます。 ジェーンさんは10数年にわたって この米軍犯罪を許さないために頑張ってまいりました。沖縄の女性たちの尊厳を守るために これからも頑張っていく。辺野古の基地建設は絶対に許さない こういう決意であります このジェーンさんの姿を 海上保安庁の皆さん ようく この目で焼き付けて確認してください 基地の建設が、どんな意味を持つか考えてください。 そもそも 海上保安庁が米軍の許可を受けて 米軍基地の中に拠点を置いて 沖縄県民を取り調べる 恥ずかしいことではないですか。 米軍基地からの撤退を強く求める者であります。 この海は県民の海です。キャンプシュワブも 沖縄県民の土地であります。 このことを強く申し上げて 私の調査活動を これ以上妨害することは許されない、こういうことを申し上げて訴えを終わらせて頂きます。有り難うございました。
辺野古 全作業中止せよ 新基地反対が沖縄の民意
衆院予算委 赤嶺議員、首相に迫る
(しんぶん赤旗)2015年1月31日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-31/2015013101_01_1.html
「新基地反対、普天間基地の閉鎖・撤去を求める沖縄の民意は疑いようのない形で、明確に示された。どう認識しているのか」――。安倍政権が沖縄県名護市辺野古で米軍新基地建設に向けた海上作業を加速させる中、日本共産党の赤嶺政賢議員は30日の衆院予算委員会で、沖縄県知事選での翁長雄志氏の圧勝と、自らも含む「オール沖縄」候補が全勝した総選挙の結果を安倍晋三首相に突きつけ、新基地建設を断念するよう求めました。
安倍首相は「選挙結果は真摯(しんし)に受け止めたい」としながら、普天間基地(同県宜野湾市)の辺野古移設が「唯一の解決策」であり「負担軽減に十分資する」との昨年来の答弁に終始しました。
赤嶺氏は、「辺野古移設が負担軽減」と繰り返す政権にノーの審判をつきつけたのが昨年の一連の選挙だと指摘。首相は「私どもの説明が十分に県民に伝わっていないのは事実だ」と認めざるをえませんでした。
さらに赤嶺氏は、辺野古で海上保安庁の過剰警備が問題になっている件で、地元紙が報じた海上保安官による映画監督・影山あさ子氏への馬乗り写真を示しながら、抗議活動や取材活動への妨害をやめるよう要求。連続写真には、県民の抗議船に乗り込んできた海上保安官が影山氏を左足で押さえつけ、カメラを執拗(しつよう)に取り上げようとする様子が写されています。
写真の行為について太田昭宏国交相は、「女性の身体を保持するための行為だ。写真の見方であろう」とごまかしました。
辺野古沖で浮具を固定するアンカー(いかり)がサンゴを損傷させた問題について、中谷元防衛相は昨年10月の台風時に248個のアンカーのうち120個が行方不明となり、海草藻場で36本の引きずった痕跡が確認されたと答弁。さらに防衛相は、沖縄防衛局が設置した環境監視の有識者委員会からこの問題で指摘を受けて「現在内容を確認している」としながら、今後はさらに重いアンカーを投入して調査を継続する方針を示しました。
赤嶺氏は、専門家の意見も反映させないままさらに重いアンカーを投入するのかと批判。すべての作業をただちに中止するよう求めました。
◇
赤嶺氏の質問に、現地沖縄では「鬼気迫る質問だった。総選挙で赤嶺さんを勝たせて本当によかった」との声があがりました。
20150130予算委 普天間基地問題について質問 赤嶺政賢衆院議員
http://youtu.be/Rb63NE-1SWc
論戦ハイライト
新基地建設に道理なし 「これでも民主主義の国か」
衆院予算委 赤嶺議員が追及
(しんぶん赤旗)2015年1月31日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-31/2015013103_01_0.html
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は30日の予算委員会で、辺野古新基地建設に向けた作業を強行する安倍政権に対し、断固反対する「オール沖縄」の民意をぶつけました。
沖縄の民意
赤嶺 “真摯に受け止めている態度ではない”
首相 “辺野古以外に道はない”
辺野古新基地建設反対。これが選挙のたびに疑いようのない形で、明確に示されてきた「オール沖縄」の民意です。(別項)
安倍政権は、選挙結果を「真摯(しんし)に受け止める」(首相)といいながら、建設工事への抗議活動を続ける県民を強制排除し、海上作業を再開しています。
安倍晋三首相 一日も早く「移設」を進めることが普天間基地の危険性の除去につながる。
赤嶺議員 真摯に受け止めている態度ではない。民意と関係なく、問答無用で基地建設を強行する。それが(首相の)やっていることだ。
普天間基地の辺野古「移設」で負担が減ると、破綻した見解を再三にわたって説明した安倍首相。赤嶺氏は「そういう政府のごまかしにノーの審判を突きつけたのが昨年の選挙の結果なのだ」と厳しく批判しました。
安倍首相は「『他に道がない』と説明したが、十分伝わっていなかった」と弁明。伝わっていないと言いながら、首相は翁長雄志(おながたけし)知事からの繰り返しの面談要請を拒絶し続けています。これにも赤嶺氏は鋭く迫りました。
赤嶺 有権者の負託を受けて当選した知事だ。まずは会って話を聞くべきだ。
首相 総選挙等々があったので面会の機会がなかった。今後、連携を深めていくなかで、対話の機会が設けられていく。
赤嶺 民主主義の国なのか。民意を尊重するのは当たり前だ。直ちに会うのがスジだ。
翁長知事は26日、前知事の行った辺野古埋め立て承認を検証する第三者委員会の設置を発表し、検証作業中の工事中止を求めました。一方、政府は現在、辺野古の海に長さ300メートル、幅25メートルの「仮設桟橋」を設置しようとしています。ダンプトラック5000台分の石材を投入するとされています。
「事実上の埋め立て工事だ」。赤嶺氏の追及に対して、中谷元防衛相は「(ボーリング)調査等の工事に必要なものだ」と居直りました。
作業もずさんです。例えば、昨年10月の台風19号で、フロート(浮具)を海底に係留する重さ160キロのアンカー(錨(いかり))がサンゴを損傷。248個のアンカーのうち、120個が行方不明となっています。
赤嶺 まず作業を中止し、被害状況や再発防止策を明らかにすべきだ。
中谷防衛相 アンカーが流れないよう重量を増やす。
赤嶺 “重いアンカーならサンゴを傷つけない”という素人判断だ。ボーリング調査は中止すべきだ。
海保の妨害
赤嶺 “いつから米軍・防衛省の警備員になったのか”
国交相 “過剰にならないようにと伝えている”
辺野古では米軍新基地建設に抗議する県民への海上保安庁(海保)による過剰な警備が問題になっています。
赤嶺氏は、海保が15隻もの巡視船を沖合に出し、高齢者からは「まるで沖縄戦のようだ」との声が上がっていることを紹介。そのうえで海保が米軍基地内を拠点として出動し、住民の抗議活動や報道機関等による取材活動を暴力的に威圧・妨害していることを取り上げました。
赤嶺 「(海保は)いつから米軍や防衛省の警備員になったのか」との声が上がっている。何のために海域に出ているのか。
太田昭宏国交相 現場海域の安全を最優先に考えている。過剰警備にならないようにと伝えている。
赤嶺氏は「『安全確保』と言うが、逆に警備活動によってけが人が続出している」と述べ、暴力的な警備活動の事例を紹介しました。
今月20日に海上保安官が抗議船に乗りこみ、映画監督の影山あさ子さんに馬乗りして押さえつけ、カメラを奪おうとする事態が発生。地元紙はこれを4枚の連続写真で報じました。
赤嶺氏は、海保は当初「女性をまたいで船体後部へ通り抜けようとしていた」としながら、連続写真が報じられると説明を変えたことを指摘しました。
赤嶺 足を肩にかけてまさに馬乗り状態だ。明らかに過剰警備だ。
太田 写真の見方だと思う。女性の身体を保持するための行為と報告を受けている。
赤嶺氏は、現場が、政府の設定した立ち入り制限区域外であることにもふれ、「暴力的な警備活動をやめさせるべきだ」と求めました。
ずさんなアセス
赤嶺 “軍艦まで派遣して、ジュゴン追い払った”
防衛相 “丁寧に調査した”
赤嶺氏は新基地建設に伴う環境アセス(影響評価)のデタラメをただしました。
アセスは方法書、準備書、評価書という段階を踏みながら、それぞれの段階で自治体や住民の意見を反映させて進めるのが本来の手続き方法です。ところが、防衛省は2007年、アセスの第1段階である方法書提出以前に、海上自衛隊の掃海母艦まで出動させて環境調査を強行。しかも、そのやり方は専門家が「史上最悪のアセス」と指摘するほど乱暴なものでした。(別掲)
赤嶺氏は、専門家が“ジュゴンを追い払った後で調査し、付近にジュゴンは生息していないと結論付けたものだ”と指摘していることも示し、「乱暴なやり方で海域をかく乱してしまった」と指摘しました。
赤嶺 軍艦まで派遣して、ジュゴンを追い払って調査をする。あまりに手続きを踏み外したものだ。
中谷元防衛相 丁寧にアセス調査をした。
まともに答えられない防衛相。赤嶺氏は、他にも▽方法書は2度にわたって追加・修正資料を提出▽未明に県庁の守衛室に運び込んで評価書を提出▽最後の評価書段階で配備機種をCH46ヘリから垂直離着陸機オスプレイに変更―など違法・不当なアセス手続きだったことを指摘しました。
なかでも、オスプレイの配備は、1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意の草案に明記されていたことが判明しているとして、次のように迫りました。
赤嶺 配備機種がオスプレイであることを方法書の段階で示すことが可能だったのに、県民の反発を恐れて隠したのではないか。
防衛相 オスプレイ(の配備)は平成23年(2011年)6月6日の米国防省の発表後に承知したことだ。
赤嶺氏は十数年前からオスプレイの配備について国会で指摘し、中谷氏に答弁も求めてきたとして、「そんな言い分は通らない」と批判。「新基地建設は法律上の手続きにも問題があり、ただちに中止すべきだ」と強調しました。
2.2辺野古。赤嶺政賢衆院議員の海上調査
http://youtu.be/PuHKzwW00N0
小出裕章先生:今の政治を変えることができるのであれば、国民一人ひとりがもっと賢くならなければ駄目
ホームレスをファーマーに~農業から社会を変える
(ラジオフォーラム#109)
http://youtu.be/RyOgNAkEmzA?t=15m33s
15分33秒~第109回小出裕章ジャーナル
原子力小委員会の中間報告について「一切の反省もしなければ、一切の責任も取らないまま、今まで通りの方策をどうやったら続けられていかれるかということで、この報告が書かれています」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no109/
湯浅誠:
今日は「原子力小委員会の中間報告について」ということなんですが、東京新聞の昨年12月26日の特集、特報欄によると、原子力小委員会が中間報告を出したんだが、その内容が会議での委員会の議論を反映しているというよりは、最後に事務局がばばっと書き足したようなものになっていると。政権の意向を反映した形で原発の再稼働や建て替えに前向きな下りが見られるといったことに、委員のひとるである原子力資料情報室の伴さんが憤っておられるというような話が載っているんですが、小出さん、この中間報告はご覧になっていかがでしたか?
小出さん:
はい。日本というこの国はいわゆる官僚国家なんだなと思いました。
湯浅誠:
やっぱり、相当前のめりと言うか、という表現が多い形なんでしょうかね?
小出さん:
はい。もちろん各所に散りばめられているわけです。ただし皆さんご承知の通り、福島第一原子力発電所の事故が事実として起きたわけで、従来通りのような表現はとりにくいところももちろんあったわけです。それでも、福島の事故があっても、なおかつ変わらずに原子力を進めたいという彼らの希望というか、原則的な姿勢というのがしっかりと出ているという、そういう報告書になっています。
湯浅誠:
表現としては、よく報道もされている「原子力はベースロード電源だ」という言い方とか、「地球温暖化対策への取り組みは国際的な課題だ」というような表現が書き足されたというふうに言われていますが、小出さんが特に読まれて、気になった箇所っていうのはございますか?
小出さん:
要するに今、湯浅さんがおっしゃった通り、「原子力がベースロードだ」と。それから「温室化ガスを減らさなければいけない」「地球温暖化対策だ」というような、彼らが昔から言っていたことが全く何の反省もなくて、同じようにここに書き込まれているのです。
ベースロード電源と言いながら、原子力を進めてきて、福島の事故を起こしてしまったわけですから、その反省を彼らがすべきだと思いますし、本当なら彼ら責任を取って、たぶん何がしかの人は刑務所に行かなければいけないという立場の人達だと思うのですけれども、一切の反省もしなければ、一切の責任も取らないまま、今まで通りの方策をどうやったら続けられていかれるかということで、この報告が書かれています。
湯浅誠:
いわゆる再稼働とかに慎重派の委員の方っていうのは、伴さん以外におられるんですかね?
小出さん:
すいません。私はこういう委員会というのは、いわゆる政府の推進のための隠れみのだというふうにずっと思ってきていて、こういう委員会に、誰が行っても決して意見は通らないというふうに思っていて、一切関わらないと私自身は宣言してきたのです。
ただ伴さんもそうですし今、九州大学の吉岡さんもそうですけれども、中に入って戦おうという方が何人かいらっしゃっているのですね。ただ、残念ながら、そういう方々の努力はなかなか実ることがないという、そういう委員会というか、政府の諮問機関は全てそうだと私には見えます。少なくとも原子力に関する限りは、どなたが行っても意見は通らないと私は思います。
湯浅誠:
なんかその表現の中間報告書の方向性を見ると老朽炉の取り壊し、こないだも5つ廃炉するということを決めたというような話が出てましたが、それの代わりに、新しい炉を建てるというような話が出てきている。
小出さん:
そうです。
湯浅誠:
こういうこと考えるんですねって、ちょっと私はビックリしましたけど。
小出さん:
いや、私もビックリというか、本当にこの人達は何の反省もないし、責任も取る気もないし、責任を取らなくても済むということは、今度の福島の事故でむしろ分かってしまったのですね。
どんなに失敗しても、どんなに他の人に犠牲を負わせても、自分達は責任を問わずに済むということが、今度の福島の事故で分かってしまったわけですから、彼らとしては今後もやりたい放題ということになってしまっています。
http://youtu.be/0AcQJE_R0iw
湯浅誠:
他にも、原発のある自治体に出ている電源立地地域対策交付金ですね。これを稼働した、再稼働した自治体へは増やして、停止したままの自治体には減らすという方針を固めたというんですが、これ、今まではそうじゃなかったんでしたっけ?
小出さん:
今までもそうです。
湯浅誠:
そうですよね?
小出さん:
要するに、言うことを聞くところにはお金をたくさんやると言ってきたわけですし、それで釣られて、自治体はなびいてきてしまったということがあるわけですね。
そんなことは政治の世界ではずっと続いてきたわけで、例えば沖縄もそうですね。
「辺野古を認めれば金をやるぞ」と言って、
仲井真さんが転んだわけだし、
翁長さんがようやく当選したら、東京に出て来ても誰も政府の要人は会わないというようなことで、対処しようとするわけで、
政権の側からはアメとムチを使い分けて、とにかく自分達の主張を通そうということだと思います。
湯浅誠:
沖縄に約束した3000億も減らすこともあり得るというような発言が出始めてますよね?
小出さん:
そうです、はい。
湯浅誠:
そして、それとは別の委員会なんですかね? これ。経済産業省の審議会、1月8日に開かれた、ここの会合で2050年の目標として、原発を地球温暖化対策に不可欠だと位置づける事務局長案が示された。これには、委員から国民の視点に立ってないという批判が相次いで、案を作り直すことになった、こういうこともあって。これは別の委員会ですよね?
小出さん:
多分そうだろうと思いますし、委員会はたくさんありますので、委員も様々な人がもちろん参画しているわけですね。その中で、意見をほんとに積極的に言ってくださるという人ももちろんいらっしゃるわけですから、その意見で審議が少し変わったということはあり得るだろうと思いますけれども結局、経済産業省の審議会というような所は、私は最後は駄目だと元から思っています。
湯浅誠:
それは小出さんから見て、なんかこう原発事故直後、経産省のことは相当大きく取り上げられて、保安院の分離とかですね。ずっと議論されていたわけですけれども、ターニングポイントだった、あそこでもうひとつ行けていたらという、そういう時ってありました? この4年で。
小出さん:
ありません。
湯浅誠:
ありませんか?
小出さん:
はい。申し訳ないんですけれども、私はこの日本という国家というか自民党がずっとその支配してきた組織、そこで官僚がずっと育ってきてしまった今の状況では、どのような委員会、どのような審議会をつくったところで、たぶん政治を変えることはできないだろうと思っています。
4)日本のエネルギー政策では3つの“E”が重要と言っているが、その他に「技術」「軍事」も要素として存在する。
5)米国は日本の原子力技術を必要とし依存している。
やはりもし、今の政治を変えることができるのであれば、国民一人ひとりがもっと賢くならなければ駄目だろうと思っています。とても難しいことなのですけれども、原点に戻って私はやりたいと思います。
湯浅誠:
大切なメッセージですね。ありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
湯浅誠:
また、宜しくお願いします。
小出さん:
はい、失礼します。
湯浅誠:
失礼します。
スイシンジャー 異形編
http://youtu.be/9FiwgKYdwrg
原発訴訟における司法判断の在り方、使用済燃料の処理原則及び原子力施設立地自治体の経済再建策に関する宣言
2014年(平成26年)10月3日
日本弁護士連合会
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2014/2014_2.html
より
(1) 国は,電源三法交付金制度のうち,原子力施設に関する部分を廃止し,過去の産業転換時の施策の功罪を踏まえて,原子力施設に依存した地域経済を再生するため,原子力施設立地自治体に対し,一定期間具体的な支援を行うこと。
(2) 国及び自治体は,地域再生の重要な資源の一つである再生可能エネルギーの利用を促進する制度を整備すること。
(3) 国及び自治体は,再生可能エネルギーの利用は資源の特性に応じた,持続可能なものとし,地域の合意に基づき,地域の経済的自立が図られるよう制度的支援をすること。
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
矢部宏治・著
http://www.shueisha-int.co.jp/archives/3236
概要
日本の戦後史に隠された「最大の秘密」とは何か?その謎を解き、進むべき未来を提示する。
●なぜ、日本の首相は絶対に公約を守れないのか?
●なぜ、人類史上最悪の原発事故を起こした日本が、いままた再稼働に踏みきろうとしているのか?
●なぜイラクから戦後8年で撤退した米軍が、2014年の今、沖縄で新たな基地を建設し始めているのか?
不思議なことばかり起こる現在の日本。しかし、あきらめてはいけません。
過去の歴史、なかでも敗戦から独立までの6年半の占領期を見直せば、そうした矛盾を生みだす原因が、あっけないほど簡単に理解できるのです。
秘密を解くカギは、「昭和天皇」「日本国憲法」「国連憲章」の3つ。
日本を支配する“憲法より上の法”の正体とは?
(週プレNEWS)2014年11月04日
http://wpb.shueisha.co.jp/2014/11/04/38278/
仕組みは「米軍」と「日本の官僚組織」が作った?矢部宏治氏
2015/01/08 そもそも日本国憲法はすでに死んでいる!?
http://youtu.be/3MJ0137uYyI
砂川事件 - Wikipedia
核を求めた日本
~被爆国の知られざる真実~
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=5555656555&prgid=39595820
今年(※2010年)9月、国連で「核廃絶」をめぐる外相会合が初めて開かれる。
唯一の被爆国・日本は、その役割を今問われている。日本の国是となっている「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則。その信頼を揺るがしかねない新たな事実が明らかになってきた・・・。
「非核三原則」の裏側で、日本は、核とどう向き合ってきたのか。独自に入手した極秘文書と、当事者たちの証言から検証し、核廃絶に向けて日本の果たすべき役割を問う。
第1回日独政策企画協議要録
琉球新報2011.07.24
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~
http://dai.ly/xki6uk
米ソで水爆開発が進む中、アイゼンハワー政権は、原子力平和利用を促進することで軍縮が実現できるとして、同盟諸国に原子力情報の公開と濃縮ウランの供給を提案した。その裏には、ソ連に対抗して西側の結束を図ろうとする意図があった。
番組では、日米原子力協定の締結に至る過程に焦点をあて、原子力導入の舞台裏における米ソの主導権争いと、民間から進められた原子力受け入れの世論作りの全ぼうを明らかにする。
『原発の闇 その源流と野望を暴く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/html/book/201111-genpatu-book.html
そもそも世界で唯一の被爆国に原発を導入し拡大させてきた"力"はなんだったのか。
その歩みを日米関係から探り、大手マスコミも巻き込んだ「原発利益共同体」というべき癒着の構造に迫るルポ。
自由民主党 立党宣言
https://www.jimin.jp/aboutus/declaration/
昭和三十年十一月十五日
政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う。
大戦終熄して既に十年、世界の大勢は著しく相貌を変じ、原子科学の発達と共に、全人類の歴史は日々新しい頁を書き加えつつある。今日の政治は、少なくとも十年後の世界を目標に描いて、創造の努力を払い、過去及び現在の制度機構の中から健全なるものを生かし、古き無用なるものを除き、社会的欠陥を是正することに勇敢であらねばならない。
われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する。
われらは、秩序の中に前進をもとめ、知性を磨き、進歩的諸政策を敢行し、文化的民主国家の諸制度を確立して、祖国再建の大業に邁進せんとするものである。
右宣言する。
自由民主党 党の使命
より
昭和三十年十一月十五日
世界の情勢を考え、国民の現状を省み、静かに祖国の前途を思うに、まことに憂慮にたえぬものがあり、今こそ、強力な政治による国政一新の急務を痛感する。
原子科学の急速な進歩は、一面において戦争回避の努力に拍車を加え、この大勢は、国際共産勢力の戦術転換を余儀なくさせたが、その終局の目標たる世界制圧政策には毫も後退なく、特にわが国に対する浸透工作は、社会主義勢力をも含めた広範な反米統一戦線の結成を目ざし、いよいよ巧妙となりつつある。
国内の現状を見るに、祖国愛と自主独立の精神は失われ、政治は昏迷を続け、経済は自立になお遠く、民生は不安の域を脱せず、独立体制は未だ十分整わず、加えて独裁を目ざす階級闘争は益々熾烈となりつつある。
思うに、ここに至った一半の原因は、敗戦の初期の占領政策の過誤にある。占領下強調された民主主義、自由主義は新しい日本の指導理念として尊重し擁護すべきであるが、初期の占領政策の方向が、主としてわが国の弱体化に置かれていたため、憲法を始め教育制度その他の諸制度の改革に当り、不当に国家観念と愛国心を抑圧し、また国権を過度に分裂弱化させたものが少なくない。この間隙が新たなる国際情勢の変化と相まち、共産主義及び階級社会主義勢力の乗ずるところとなり、その急激な台頭を許すに至ったのである。
以下略
※要するに、米国の世界戦略上において日本を反共の砦とするべく、核の独占・支配を維持しつつ支配の道具として日本に原発を受け入れさせ、日本に潜在的に核兵器開発・保有の能力を持っておく、ということですね?(`・ω・´)
石破茂「安全神話は政治的に作り出された」
(原発わたしはこう思う)110816
http://dai.ly/x29ezd7
自民党 石破茂 政調会長(54)
「…安全神話みたいなものを…政治的には作り出さざるを得ない状況だったのではないですかね。政治は結果責任ですから、責任は自民党が相当程度負わねばならないわけです。きちんと検証することなく、電力会社、経産省、そういうことを、あえて言えば鵜呑みにしてきた責任は免れないことだと思います」
「原発のウェートを減らしていきながら、再生可能エネルギーのウェートを高めていくという方向性に異存はありません。ですけども、原発をなくすべきということを目標とするやり方には賛成してはおりません。原子力発電というのがそもそも、原子力潜水艦から始まったものですのでね。日本以外のすべての国は、原子力政策というのは核政策とセットなわけですね。ですけども、日本は核を持つべきだと私は思っておりません。しかし同時に、日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れると。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。なぜならば、日本の周りはロシアであり、中国であり、北朝鮮であり、そしてアメリカ合衆国であり、同盟国でるか否かを捨象して言えば、核保有国が日本の周りを取り囲んでおり、そして弾道ミサイルの技術をすべての国が持っていることは決して忘れるべきではありません」
「原発に限らず、この世の中に絶対というものはあり得ないことを、よくみんな認識したんだと思います。日本って絶対神話というのが流行りますよね。戦艦大和は絶対沈まないだとか、日本は神の国なので絶対負けないとかね。だけど、突き詰めた議論なしに絶対神話を作る日本の悪癖、あるいは、議論を突き詰めずに、仕方がないじゃないかとか、やむを得ないじゃないかとか、そういう物事の決め方。それは決して、いい結果をもたらすことはありませんよね。日本人はもっと突き詰めてモノを考えるべきだし、そうでなければ、結果は決して幸せにならないということだと思います」
安倍晋三元総理に聞く「原発再稼働 わたしはこう思う」(2012/4/5)
http://dai.ly/xpxtoq
小出裕章/原発 わたしはこう思う 2011-07-11
http://dai.ly/xjuyr2
少なくとも原子力なんていうものは即刻やめるべき
2030年構成比で経産省小委 原発電源20%ありき?
(東京新聞【こちら特報部】)2015年2月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015020502000184.html
二〇三〇年における火力や原子力、再生エネルギーなど電源の構成比率について話し合う経済産業省の長期エネルギー需給見通し小委員会の議論が先月末、始まった。気がかりは、最初から「原発20%台を軸に」という雰囲気がつくられていることだ。20%に設定されれば、老朽原発の運転延長、建て替えが必要になる。再稼働ですら反対の声が強いのに、そんな電源構成で国民は納得するのか。
(上田千秋、三沢典丈)
「再生エネに前向きな委員少ない」
「本来なら省エネや再生エネについての議論を重視するべきなのに、原発が先にありきのような雰囲気になっていた。再生エネに前向きな委員が少なく、政府の姿勢が垣間見えたような気がした」
小委員会が先月三十日に開いた初会合の様子について、社団法人「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会」の辰巳菊子常任顧問はこう説明した。辰巳氏は小委員会の上部組織「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」の委員で、初会合が分科会との合同開催だったため、その場にいた。
原発の構成比率を明確に言う委員は少ないが、なぜか、20%前後という数字が独り歩きしている。一二年に原子炉等規制法が改正されて原発の運転期間は原則四十年と定められ、三〇年時点で20%を実現するのは難しいにもかかわらずだ。
電気事業連合会や電力各社が公表している過去の発電実績などを基に試算してみる。
福島第一原発事故前の一〇年度、全国の総発電量は九千八百七十五億キロワット時だった。一一~一三年度は節電意識の高まりなどから、九千三百億キロワット時前後にとどまっている。三〇年の時点でも同程度の発電量と仮定すると、原発20%は千八百六十億キロワット時の発電量を求められる。
国内には四十八基の原発があるが、三〇年一月の時点で運転開始から四十年未満なのは北海道電力の泊2、3号機など二十基。その総発電量はおよそ千二百億キロワット時で20%に満たない。
原発の発電量を増やす方法はある。原子炉等規制法には、四十年を超えた老朽原発も「特別点検」の審査に適合することを条件に、最長二十年間運転を延長できる特例がある。実際、関西電力は今月二日、運転開始から三十八~四十年経過している福井県の高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の運転を継続させる方針を発表した。
この三基の○九年度の発電総量約百八十億キロワット時を加えても20%に届かない。他の老朽原発の運転延長を目指すこともあり得るが、もう一つ考えられるのが、新たに原発を増やすことだ。
一二年九月、民主党政権は三〇年代の原発ゼロを前提に、新増設をしない方針を示したが、例外があった。枝野幸男経産相(当時)は進捗(しんちょく)率93・6%に達していた中国電力島根原発(島根県)3号機と同37・6%のJパワー大間原発(青森県)の工事継続を容認した。
安倍政権でも流れは変わらず、進捗率9・7%の東京電力東通原発(同県)1号機までも、設置許可が下りていることを理由に「新増設には含まれない」との認識となった。
原発ゼロの約束ほごの流れは、それだけではない。経産省の原子力小委員会が昨年十二月にまとめた中間報告は、老朽原発の廃炉作業を進めながら、新しく建て替える「リプレース」に言及した。新増設と変わりがなく、原発政策の行方は不透明さを増している。
運転延長、新増設前提か
「温室ガス削減」理由に議論短く?
長期エネルギー需給見通し小委員会の委員は十四人で、エネルギー問題の専門家、大学教授、企業経営者、消費者団体の代表らが務める。委員長は総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長でもある坂根正弘・コマツ相談役だ。
原発をどうするか決める重要な役目だが、小委員会の議論には暗に期限が定められているようだ。初会合の冒頭で読み上げられた宮沢洋一経産相のメッセージは「スケジュールありきではなく」と言いながら。
「(フランスで年末開催予定の)気候変動枠組み条約締約国会議(coP21)を見据えてまとめてほしい」と要請した。
日本は現在、世界五位の温室効果ガス排出国で、福島の原発事故以降、発電エネルギーの九割近くを化石燃料に頼っている。温室効果ガスの削減は喫緊の課題といえる。削減目標を織り込んだエネルギー政策をcoP21で示すためには、遅くとも今秋までに小委員会は結論を出さなくてはならない。
さらに、初会合で委員の増田寛也元総務相が指摘したように、六月にドイツで開催される主要国首脳会議でエネルギー政策を示そうと思えば、議論できる時間は半年もない。
なぜ、もっと早くから小委員会の会合を開けなかったのか。実は、小委員会の設置は半年以上も前の昨年四月、新たなエネルギー基本計画が閣議決定された際に決まっていた。初会合の開催が遅れた理由については、経産省の担当者は「再生エネなどの具体的な状況を見極める必要があった」などと説明している。
ともかく、温室効果ガス削減のために原発を活用するといった意見が、小委員会でまかり通る可能性はある。既に初会合で、増田氏と山名元・京都大原子炉実験所教授の二人が原発のリプレースに言及している。
だが、温室効果ガスを理由とするなら、福井地裁が昨年五月に出した関西電力・大飯原発の再稼働差し止め訴訟の判決についても、小委員会できちんと議論してほしい。
訴訟で、関電側は「原発は二酸化炭素の排出を削減し、環境面で優れる」と主張したが、判決は「深刻事故が起きた場合の汚染はすさまじく、環境問題を原発の運転継続の根拠とするのは筋違い」と批判し、再稼働の差し止めを認めた。
日本大の円居総一教授(経済学)は「シェールガス革命で燃料価格が低下し、高リスク、高コストの原発を使う余地はない」と指摘する。「省エネに優れた日本の火力発電技術を米国、中国などに提供すれば、日本の温室効果ガスの全排出分を減らせるという試算もある」とガスの排出量取引の活用を提言した。
現在、火力発電に偏って見えることも、「その燃料の内訳は石油、石炭、天然ガスなどに分散されている。なぜ個別の熱源ごとに構成比を考えないのか」と首をかしげる。「原発比率20%は、経産省が維持したい数値にすぎず、根拠などまったくない」
皇国史観と軍国主義に抗して、人間同士が互いを大切にしあいながらどう生きていくか…(。-_-。)
2015/02/11 敗戦70年と象徴天皇制の70年を撃つ 2・11反「紀元節」行動 集会とデモ(東京・原宿)
http://2015211.blogspot.jp/
より
▼ 12月の衆院選で「勝利」した安倍政権は、どのような無茶も「国民の信任」のもとで強行できると思い上がっているようだ。もはや法も人権も民主主義もない、傍若無人に戦争をする国づくりに突き進む姿しかみえない。
▼ 侵略戦争と植民地支配の歴史。戦前より一貫して利用し尽くすだけの支配的関係を強いてきた沖縄の基地問題。原爆被害をまんまと原発推進にすり替えた詐欺の政治。歴史に頬被りを決め、戦争を「平和」と言いくるめてきた日本政府は、米国との密約を重ねることで無反省・無責任な「敗戦処理」と「戦後復興」を果たした。
▼ その結果とも言える差別・排外主義、偏狭なナショナリズムに社会は席巻され、あらたな棄民政策による貧富の格差は拡大するばかり。憲法破壊と戦争国家のゴールがそこに見えている。
神の国発言 - Wikipedia
NHK・神の国発言「指南書」事件のその後
http://voicejapan2.heteml.jp/janjan/media/0707/0707279895/1.php
川崎泰資氏は「NHKはまったく間違ったメッセージ、つまり、正直で真面目に働いているものは損をし、権力にこびるものが得をするというメッセージを世に送っている」と言う。
首相就任直後の2000年5月、森喜朗首相(当時)は、いわゆる“神の国”発言で注目を集めた。このとき、首相は一人の記者からある指示を受けていたという。
首相のために用意された極秘メモ(いわゆる指南書)によると、その記者は、他社の記者たちが今回の発言で厳しく追及するつもりだと首相に警告、また、「質問をはぐらかすべき」「時間がきたら[役人に]会見を強引に打ち切らせるべき」だと助言した。元・NHK政治部記者(前・椙山女学園大学教授)の川崎泰資氏らの著書『検証 日本の組織ジャーナリズム-NHKと朝日新聞』(岩波書店)や複数の関係者によると、その記者とは当時首相官邸を担当していたNHK政治部記者の大木潤氏だという。
地方紙の西日本新聞の記者は、首相官邸記者クラブ内のコピー機に忘れられていたこのメモを見つけ、そのメモとこの問題に関する記事を掲載したが、ほとんどの大手メディアは無視を決め込んだ。大手の記者の中にはいわゆる「内輪話」であるはずのものを暴露したと西日本新聞の記者を叱ったものまでもいた。西日本新聞の記者らは自分たちの仕事、つまりニュースの報道、をしただけだという。
「首相官邸記者クラブの多数派がまさに首相に飼われる『番犬』に成り下がり、指南書を書いた記者と同一水準にあることを示すことにもつながる」と川崎氏は大メディアの背信行為を厳しく批判している。大木氏(当時は名前を伏せられていた)の解雇を求める声や、NHKが説明責任を怠っているという批判する声もあった。しかし、大木氏もNHKも過ちを犯したことを正式には認めなかった。
同志社大学社会学部メディア学科の浅野健一教授は、この問題は「日本政治の重要な歴史的局面において、森元首相の“神の国発言”の責任をあいまいにしたという点でかなりひどい」ことであると指摘する。また、この問題は日本の政府とメディアのもたれ合い関係の典型的な例だと専門家は言う。自民党が戦後のほとんどの時期で与党であったため、日本は、政権交代をほとんど経験したことのない世界でも数少ない先進国である。メディアが自民党の一党支配を助長してきたと指摘する専門家も少なくない。
「長い間、大メディアは自民党の意のままになってきました。これは自民党の長期政権の秘密の一つです」と政治評論家・森田実氏は言う。ここ数年間鳴りを潜めていた大木氏だが、最近朝のニュース番組の編集責任者に昇進した。大木氏が森首相に「指南書」を書いたのかどうかを聞いたところ「書いてませんって。うるさい」と言い電話を切った。
大木氏の昇進は、日本軍の戦時中の性奴隷制度を裁く市民法廷のドキュメンタリー番組制作に関わった二人のプロデューサーを左遷にした人事とまったく対照的である。市民法廷では、第二次世界大戦中何万人もの女性を性奴隷にすることを許可した罪で昭和天皇が有罪となった。二人のプロデューサーは、政治的圧力により番組の内容を変更するように命令されたと証言している。
川崎氏は「NHKはまったく間違ったメッセージ、つまり、正直で真面目に働いているものは損をし、権力にこびるものが得をするというメッセージを世に送っている」と言う。氏は、田中角栄元首相の派閥に関する番組が自民党からの圧力で放映中止にさせられると、同じように左遷させられたのだ。
市民法廷の番組では、当時、自民党副幹事長であった安倍晋三氏や経済産業大臣の中川昭一氏(現・自民党政調会長)らがNHKに圧力をかけたと報じられたが、NHK、安倍、中川の両氏とも繰り返し否定した。「国会でNHK予算案が審議されている時期には自民党政治家に従うべきだ」というNHK幹部からの命令が下ったのだと関係者やジャーナリストは言う。
今年1月下旬、東京高等裁判所はNHKが性奴隷制度に関するドキュメンタリー番組の内容を政治家の意見を重く受け止め変更したと認定、また、NHKは「その番組における編集権を乱用した」と述べた。東京高裁は、NHKと子会社の二社にドキュメンタリー番組の制作に協力した市民グループVAWW-NETジャパン(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)に賠償金を払うよう命じた。この問題に関して報道を続けてきたジャーナリストの魚住昭氏は、「NHKを報道機関と考えるべきではない」と結論付けている。
「NHKには報道の自由や表現の自由はまったく存在しません」と川崎氏は強調した。NHKは失脚したはずの海老沢元会長の「恐怖政治」下にあり、海老沢氏が今も強大な影響力を行使しているという。NHKのアナウンサーやプロデューサー、支局長が様々な犯罪で逮捕されるなか、東京高裁の判決はNHKの評判を汚す一連のスキャンダルの一部分であった。
以下略
きょうの潮流
(しんぶん赤旗)2015年2月11日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-11/2015021101_06_0.html
建国記念日の定義や性格は国それぞれ。アメリカやインドのように独立を祝ったり、革命を記念するフランスやキューバみたいに。ドイツは東西が統一した日をあてています
▼きょう、2月11日は「建国記念の日」。「建国をしのび、国を愛する心を養う」という趣旨で1967年から「国民の祝日」として適用されてきました。しかし、史実ではなく神話を基にしている日本の建国記念は、世界でもまれです
▼かつて、この日は「紀元節」と呼ばれました。『日本書紀』の日本神話のなかで初代天皇とされる神武天皇。その架空の人物が即位した日を明治政府が算出し、国民が祝う日として定めたのです
▼神の子孫である神武天皇から日本の歴史が始まり、その子孫による統治は永遠に変わらない。日本は神の国である、という天皇中心の歴史観を国民に植えつけるためでした。偏狭な愛国心の押しつけは国の破滅を招きました
▼戦後、紀元節は廃止されましたが、自民党政府が「建国記念の日」として復活させます。根拠のなさを指摘する歴史学者、ウソを教えることはできないと反対する教育者。歴史の過ちをくり返してはならない、の声は上がりつづけます
▼安倍首相は今年も“建国神話の日”を前にメッセージを出しました。「今日の我が国に至るまでの古(いにしえ)からの先人の努力に思いをはせ、さらなる国の発展を願う」と。彼のいう先人が何を指しているのかは分かりませんが、この国を建ててきたのは神話ではありません。無数の民の力です。
右傾化の流れと「建国記念の日」
纐纈厚 「ニッポン」復活
文化学問(しんぶん赤旗)2015年2月10日
成熟した民主主義社会へ
原点に返り再考するとき
2月11日の「建国記念の日」がやってくる。旧暦の2月11日は、7世紀に成立した皇室神話の初代天皇とされた「神武天皇」の即位の日とされる。戦前に「紀元節」と命名され、日本にとって最も重要な日となった。日本が「神の国」であることを示す日として、日本人の精神をも支配する象徴の日であった。
それはまた、天皇制が、この国の価値や制度など全ての基礎だと認識させる「国体」の思想に直結した。敗戦を機会に、「国体」の思想も制度も清算し、「国体」によって支えられていた軍国主義に代わって民主主義が、この国の基本軸に据え置かれた。
だが、戦後出発して間もない時代から、戦前回帰の思想や精神が復活してくる。その動きは佐藤栄作内閣の折、1966年6月25日に「国民の祝日に関する法律改正」が公布されたことから本格化する。次々に祝日が設定されていく流れに便乗する格好で、同年12月8日、建国記念日審議会が「建国記念の日を旧紀元節の2月11日とする」との答申を政府に提出し、これを受けて翌日9日に政令として公布された。
すなわち、佐藤内閣は国民の合意としてではなく、政府の意思として政令で、事実上の戦前への回帰を強行したのである。政令公布当時には、法制化を望む側と戦前への回帰に反対する側の双方から抗議がなされた。「建国記念の日」制定以後、日本の内外から右傾化や軍事化を憂える声も活発となった。67年4月15日の統一地方選挙で、社共推薦の美濃部亮吉氏が東京都知事に当選したのも、その証明でもあった。
現在では記憶が薄らいでいるようだが、70年7月14日、佐藤内閣は日本の呼称を「ニホン」から「ニッポン」と破裂音にすることに統一した。すなわち、戦前の日本社会で通用していた呼び方を復活させたのである。それは「大日本帝国(ダイニッポンテイコク)」を想起させるものであった。
以後、時代が下がって79年6月6日に元号が法制化され、80年代以降、タカ派首相とされた中曽根康弘内閣の登場もあって、日本社会は一段と右傾化・軍国主義化の傾向を強めていく。
誤った愛国主義
昨年7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使容認を閣議決定する。今後国会で関連法案の審議が始まる予定だが、自衛隊の海外派兵が法制化・制度化される段階に達した今日、誤った愛国主義の普及に拍車がかけられる状況にある。愛国主義の掛け声が国家の安全保障確保を理由に宣伝され、本当の意味での国民の生活や安全が蔑ろにされかねない方向にある。だが、それは平和憲法を掲げるわが国の歩むべき道ではない。
いまこそ、どうすれば成熟した民主主義社会を創り出していけるのか、今一度原点に立ち返って再考する時であろう。国際社会から信頼される普遍的な平和や民主主義を実現することが、本当の平和や安全確保への方途であることを確認したいのである。そして私は、日本国憲法が公布された「11月3日」を「文化の日」ではなく、「日本国生誕の日」とすべきではないかとさえ思う。
「戦場に行ったこともない奴が語る愛国主義には吐き気がするよ」
オリバー・ストーン監督に聞く 戦争と歴史
2013年08月16日
http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/13/oliver-stone_n_3752018.html
より
■ストーン監督が徹底して歴史の真実と権力批判にこだわるのは、ベトナム戦争での経験が影響しているのか
ストーン氏:
それは間違いない。私はウォール街で働く父を持ち、ニューヨークで生まれ育った。極めて保守的な人間だったが、ベトナム戦争で価値観が完全に変わった。80年代にレーガン政権がベトナムと同じようなことを南米でしようとしたとき「政府は信じられない」と確信し、積極的に批判をするようになった。90年代になると『JFK』や『ニクソン』など、さらに政治的に踏み込んだ映画を作った。2008年には当時現職だったブッシュ大統領を批判する『ブッシュ』を作った。
戦場経験がある人間とそうでない人間では戦争に対して明らかな考え方の違いがあると思う。みんなが戦争のことを正しく理解できるとは思わないが、より注意深くそのことを考える必要がある。アメリカでは、第二次世界大戦でもベトナム戦争でも帰還兵と国内にいた人の間で何度も摩擦が起きた。戦争に行っていたものは理由なく「殺人者」とか「異常者」とみなされ批判された。
アメリカの上院には、ベトナム戦争で北ベトナム側の捕虜となって監禁・拷問などの地獄を味わったジョン・マケイン(John Mccain)と一度も戦争に行ったことがないのに他国への軍事介入に熱心なリンジー・グラハム(Lindsey Graham)という対照的な二人の議員がいる。彼らの考え方の違いを比べてみて欲しい。後者のような人間が語る「愛国主義」は吐き気がするほど不快だ。うんざりするよ。
カズニック氏:
イラクやアフガン戦争で話題になった「チキンホーク(Chicken Hawk)」という言葉がある。自分は戦争から逃げ続けてきたのに、戦争や軍事介入を積極的に支援する人たちのことだ。ブッシュやチェイニーが典型だろう。彼らは自分たちが避け続けた戦場へ若者たちを送り出し、危険にさらしている。
■日本は第二次大戦以来、戦争をした経験がない。そのことが歴史観に影響を与えているという考えもある
ストーン氏:
私たちが来日した理由の一つがそれだ。日本人にも現代史をこれまでとは違う視点から見て欲しいという思いでこのドキュメンタリーを作り、各地で話をしている。日本にもこのような種類のドキュメンタリーや歴史書があるのだろうか。
カズニック氏:
今回の訪問に非常に多くのメディアが注目していることは、歴史を違った視点から見るということへの関心が高いことの現れだろう。日本人にも「Untold History of Japan」を書いて欲しい。私たちはそれを待っている。日米関係はほかに類のないほど密接な二国間関係だ。血塗られた歴史もあるがそれを超えた強い絆を持っているのだから、お互いに歴史を語りあうべきだ。
■ストーン監督は「日本人はなぜ反戦・反核にもっと積極的にならないのか。声を上げる政治家もいない」と指摘した
ストーン氏:
第二次世界大戦後、日本ほど急速に「アメリカ化」した国はなかっただろう。マッカーサー将軍の上陸以降、アメリカ製の車や電化製品などがなだれこみ日本のライフスタイルは一変した。その時、日本人は自らの「個性」を保つことを意識したのだろうか。私は映画監督として、黒澤明や小津安二郎、溝口健二らが作品に込めた「日本人の精神性」や「宗教観」を尊敬している。そのようなものはまだどこかに残っているのか?
カズニック氏:
私の大学にも日本人学生がいるが、アメリカ人に比べればおとなしい印象がある。それは他人よりも目立つことで注目されることを恐れ、衝突を避けようとする国民性が影響しているのかもしれない。自由な意見を出そうと試みる人もいるが、社会的圧力がかかることもある。極端な例としては、1980年代から日本軍が太平洋戦争で犯した戦争犯罪についての議論が始まったが、長崎市長が天皇の戦争責任に言及したことに反感を持った右翼団体の幹部に銃撃された事件などがある。
チキンホーク = タカ派チキン = 誰かさん凸(゚Д゚#)
政権に巣食う改憲・右翼団体「日本会議」勢力
主張・言動に見る異常
(しんぶん赤旗)2014年9月7日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-09-07/2014090701_03_1.html
安倍晋三首相を含む19人の閣僚のうち15人が、改憲・右翼団体「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)に加盟している第2次安倍改造内閣。その日本会議と同議連が展開する主張や活動はどのようなものなのでしょうか―。
侵略戦争を 「正義の戦争」
「諸悪の根源は、東京裁判史観」。日本会議議連の平沼赳夫会長(次世代の党党首)が日本会議設立10周年のさいに寄せたあいさつ文の言葉です。戦後、日本がサンフランシスコ条約で受諾し、国際社会復帰の基礎となった極東国際軍事裁判(東京裁判)が下した日本の侵略戦争に対する断罪を否定しようというのが、日本会議の根本思想です。
日本会議は、過去の日本の侵略戦争を「アジア解放」の「正義の戦争」と美化してきた靖国神社への「二十万人参拝運動」を展開。天皇参拝実現に向け、歴代首相に参拝を強く要求してきました。
改憲目指して「愛国心」強制
日本会議は、日本国憲法、とりわけ不戦と戦力不保持を定めた憲法9条への攻撃を続け、「国防体制」充実のための改憲を主張。日本会議議連や「靖国」派の地方議員でつくる「日本会議地方議員連盟」が地方議会で「憲法改正の早期実現を求める意見書」を採択させる先頭に立っています。3日の内閣改造を受け、「この日が憲法改正運動のスタートとなる」(日本会議大阪のフェイスブック)と改憲に期待を寄せています。
日本会議は改憲に向けた世論構築のために「愛国心」教育強化などを求めてきました。
女性活躍相に就任した有村治子氏は、昨年の参院選で日本会議推薦候補として当選。推薦を受け有村氏は「戦後の教科書からは、万世一系という言葉は消えました。そこから始めていかなければいけない」(日本会議の月刊誌『日本の息吹』13年6月号)などと天皇中心の「日本の国柄」を教育に持ち込む狙いを語っています。
「慰安婦」記述教科書を攻撃
日本会議は、南京大虐殺や旧日本軍「慰安婦」問題での教科書の記述などを指して「わが国の歴史を悪しざまに断罪する自虐的な歴史教育」(「日本会議がめざすもの」=同会議ウェブサイト)などと攻撃しています。
通常国会で「慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認め公式に謝罪した「河野談話」(1993年)の検証や見直しを政府に求めたのは山田宏議員(当時=日本維新の会所属、現・次世代の党幹事長)ら、日本会議議連所属の国会議員です。
今回入閣した山谷えり子国家公安委員長は12年5月、「慰安婦」記念碑を設置した米東部ニュージャージー州パリセーズパーク市を訪問し、同市市長らに記念碑撤去を求める行動に及んでいます。
「男女共同参画」に反対
男女の社会的差別をなくす「ジェンダーフリー」の運動や教育が世界で広がっていますが、これを否定しているのも日本会議です。
日本会議議連所属議員らも「性差別」の廃止をうたう政府や各県の「男女共同参画」の動きまで「男らしさや女らしさを否定する」ものと批判。10年3月に「日本の国柄と家族の絆を守るためストップ!夫婦別姓」と題して開いた集会には、今回初入閣した高市早苗総務相や山谷、有村両氏のほか、自民党政調会長に就任した稲田朋美氏が参加しました。
日本最大の右派組織 日本会議を検証
(東京新聞【こちら特報部】)2014年7月31日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014073102000168.html
女性蔑視やじ、ツイッター上で差別的表現…。最近世間を騒がせた地方議員には、日本最大の右派組織といわれる「日本会議」の地方議員連盟メンバーが少なくない。その影響力は地方のみならず、政権中枢にも及ぶ。安倍晋三首相は、同会議に賛同する国会議員懇談会の特別顧問だ。憲法改正や集団的自衛権の行使、伝統的家族観の尊重などの主張は、首相の政治信条と重なる。知っているようで知られていない日本会議を徹底検証した。 (篠ケ瀬祐司、林啓太、佐藤圭)
女性蔑視やじ、ツイッター物議・・・地方議連のメンバー
今年六月の東京都議会で女性都議に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」とやじを飛ばした鈴木章浩都議=自民党会派を離脱―は、日本会議の地方議連メンバーである。
「(日本会議とは)いろいろな分野でおおむね方向が一緒だ」
鈴木氏は「こちら特報部」の取材に淡々と語った。鈴木氏は二〇一二年八月、地方議連メンバーらとともに、政府が立ち入り禁止にしていた尖閣諸島(沖縄県石垣市)に上陸した。タカ派的な行動でも物議を醸した人物なのだ。
女性蔑視やじほどには話題にならなかったが、北海道でも、地方議連メンバーが一騒動起こした。道議会の自民党会派に所属する小野寺秀(まさる)道議がツイッター上で、集団的自衛権の行使容認に反対する男性が東京・新宿で焼身自殺を図ったことについて「愚行」と発言、これを批判したコメントヘの反論で差別的表現を使った。自民党は今月三日、道議に口頭で注意した。
ネット上では、小野寺氏‘を「ネトウヨ(ネット右翼)議員」と揶揄する向きもあるが、小野寺氏は「日本が好きで、次の世代にどう良い国を残すかという思いでやっている。ネット右翼と言われるのは不本意だ」と話す。
そもそも日本会議とは何か。
結成は一九九七年五月。保守系宗教団体などでつくる「日本を守る会」と、保守系文化人や旧軍関係者などを中心とする「日本を守る国民会議」が統合した。現会長は元最高裁判所長官の三好達氏だ。
「誇りある国づくり」を目指す運動方針では、皇室を尊び、同胞感をかん養する▽新憲法制定▽祖国への誇りと愛情を持った青少年の育成▽安全を保障する防衛力を整備し世界平和に貢献-などを掲げる。
その規模は、右派の民間組織としては国内最大級だ。同会議の広報によれぱ、会員数は三万五千人にのぽる。四十七都道府県本部のほか、二百二十八支部を擁する。
中央政界とのパイプも太い。日本会議の発足と同時一に立ち上げた「日本会議国会議員懇談会」(会長・平沼赳夫衆院議員)は五月現在で二百八十九人が加盟する。役員には政権の主要メンバーが並ぶ。安倍首相と麻生太郎副総理兼財務相は特別顧問、幹事長は衛藤晟一首相補佐官だ。会員向けの月刊誌「日本の息吹」○九年九月号で紹介された加盟議員と照らし合わせると、安倍内閣の閣僚十九人のうち十三人が懇談会メンバー。「日本会議内閣」との声も漏れる。
冒頭で紹介した地方議連は、会議設立十周年の○七年にスタートした。加盟議員は千六百人に達する。
国旗国歌法、改正教育基本法 首相の政治信条と重なる
「日本の安全は守られるのかと考える若者は増えている。大手メディアの報道に疑問を持つ人が日本会議の門をたたいている」
日本会議広報担当の村主(むらぬし)真人氏は、これまでの運動の成果に自信を見せる。
実際、国旗国歌法(99年)や、第一安倍政権での改正教育基本法(06年)、尖閣諸島付近の中国漁船衝突事件を機に海上警察権が強化された改正海上保安庁法と改正外国船舶航行法(12年)などは、会議の主張に合致している。
会報の8月号には「集団的自衛権行使、限定容認へ」の大見出しが躍った。「今後は、集団的自衛権行使の関連法案の成立を急ぐよう政界に働き掛けるとともに、憲法改正に向けた運動を全国で展開していく」(村主氏)
なるほど日本会議は、日本の政治に強い影響力を持つにいたった。ところが、日本会議に関する研究はあまりない。数少ない「日本会議ウォッチャー」は現状をどう見るか。
山口智美モンタナ州立大准教授(文化人類学)は「国会議員のみならず、地方議員や宗教関係者の動員力を駆使した運動は、教育基本法改正や首相の靖国神社参拝、選択的夫婦別姓導入の阻止など90年代後半からの右傾化の流れを確実にした」と強調する。
山口氏は、共著『社会運動の戸惑い』の中で、日本会議の反フェミニズム運動を取り上げた。03年、東京都立七生(ななお)養護学校(日野市、現七生特別支援学校)の性教育を非難した都議には、のちに日本会議地方議連に加わった人もいた。「00年代前半、日本会議は集中的に反フェミニズム運動を展開した。その中心にいたのが安倍首相。都議会での女性蔑視やじの主が地方議連メンバーだったことは、伝統的家族重視という日本会議の方向性からして全く驚かない」
山口氏は、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)が社会問題化している在日特権を許さない市民の会(在特会)などとの関連にも注目する。「在特会などの『行動する保守』は、日本会議などの主流保守運動を『きれいごと保守』として批判してきたが、慰安婦問題などの歴史修正主義や排外主義のおおもとは、日本会議などの運動の中で培われたものだ」
右傾化「草の根で対抗を」
「議員を通じて中央と地方の政治を動かしている」と指摘するのは、市民団体「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長だ。特に地方の動きを危惧する。
俵氏の独自集計によれば、地方議連メンバーが4割を超える県議会は15に及ぶ。そのひとつの群馬県議会は今年6月、県立公園「群馬の森」(高崎市)の朝鮮人強制連行追悼碑の撤去を求める請願3件を採択した。紹介議員の南波和憲、狩野浩志両県議は地方議連メンバーだ。
前出の村主氏は「団体として『歴史修正主義』『反フェミニズム』を見解や方針に掲げたことは過去に一度もない。批判のためのレッテル貼りだ。学校教育では、自国の歴史に対する理解と愛情を育むことを第一の目標とし、家族の問題では、自国の伝統や生活様式を尊重すべきだ」と反論する。
日本の右傾化を憂う人たちからすれば、このまま放置はできない。
俵氏は「9条の会のような草の根で対抗していくしかない」と訴える。
歴史研究者らでつくる「日本の戦争責任資料センター」の上杉聡事務局長は「前身の『日本を守る会』は、旧満州(中国東北部)侵略を主導した将校らの思想的バックボーンとなった宗教右派の流れをくむ。同じく『国民会議』は右翼と結びついた組織だった。そうした日本会議の危険な実態をもっと知らせていくべきだ」と警鐘を鳴らした。
道徳、「読む」から「考える」に 教科化へ指導要領改定案
(東京新聞)2015年2月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015020590070210.html
文部科学省は4日、現在は小中学校の教科外活動の道徳を、正式な教科とする学習指導要領の改定案を公表した。小学校では2018年度、中学校では19年度に教科化される見通しで、授業で検定教科書が用いられ、子どもの学習評価も始まる。文科省は「教材を読むだけの読み物道徳から、考え、議論する道徳への転換を目指す」と説明している。
学習評価は記述式とする方針で、専門家会議で詳細を詰める。一五年度から移行措置として新指導要領に基づく授業が可能になる。
改定案は「数値などによる評価は行わない」とし、一般教科と区別して「特別の教科」と位置付けた。担任教諭が原則、授業を行い、現行の週一回程度の年間三十五コマ(小一は三十四コマ)を維持する。
教材や指導方法については「特定の見方や考え方に偏らない」と明記。児童生徒が問題の解決策を考えたり、体験したりする学習を取り入れ、いじめ防止や情報モラル、生命倫理など現代的課題も取り上げるよう求めた。
各学年の学習内容は新たに設けた「節度、節制」「親切、思いやり」「国や郷土を愛する態度」「生命の尊さ」などのキーワードごとに列挙した。小一、二では従来の「郷土の文化や生活に親しみ、愛着をもつ」の冒頭に「わが国」を追加。外国文化の学習を小三から小一に引き下げた。いじめ対策では小三、小四で新たに「誰に対しても分け隔てをせず、公正、公平な態度で接する」を設けるなどした。
文科省は一カ月の意見公募の後、三月末に改定を告示。教科書作成の指針となる解説書と教科書の検定基準を今夏までに作成する。
道徳の教科化は一一年の大津市の中二いじめ自殺事件をきっかけに、安倍晋三首相肝いりの政府の教育再生実行会議が一三年二月に教科化を提言。中央教育審議会が昨年十月、下村博文(はくぶん)文科相に答申した。
価値観強制 懸念拭えず
解説 道徳の教科化によって、検定教科書と子どもの学習評価が導入される。政権が特定の価値観を強制するのではないかという懸念は拭えず、国民を戦争に駆り立てた戦前の教科「修身」を重ね合わせる教育関係者も少なくない。
鍵となるのが教科書の検定基準だ。安倍政権は昨年一月、歴史や領土などの政府見解を明記するよう社会科教科書の検定基準を見直し、統制を強めている。文部科学省作成の副教材「私たちの道徳」が、教科書会社に影響を与える可能性も指摘される。検定基準は、多様な教科書作りを促すものでなくてはならない。
学習評価の導入にも問題点が多い。学校現場からは「どう評価したらいいのか」「子どもの内面は評価できない」と戸惑いの声が漏れる。国が求める価値観で評価すれば、児童生徒の考え方が画一化される恐れもある。文科省が作成する教師向けの指導資料には、多様な児童生徒の個性を前向きに捉えるよう評価方法を明示すべきだ。
道徳の教科化は第一次安倍政権も目指したが、中教審は「検定教科書はなじまず、評価も難しい」との理由で答申を見送った経緯がある。今回は大津市の中二いじめ自殺事件の再発防止を前面に掲げたが、当時の課題は解決していない。
教科書の検定基準と教師向けの指導資料は、二〇一五年度中には出そろう。そこで、学校現場や教育関係者らの懸念を拭い去れるかどうかが、文科省に問われる。
文部省 道徳を特別の教科に
”愛国心”の強調心配
教育関係者が批判
(しんぶん赤旗)2015年2月6日
いま、小中学校では週1時間、「道徳の時間」があります。国は、これを「特別の教科」にして検定教科書をつくり、一人ひとりの子どもの「道徳性を評価」しようとしています。4日に文部科学省が公表したものです。教育関係者から疑問や危惧する声があがっています。
「いじめ」解決できない
いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事の小森美登里さん
いじめ問題が「道徳の教科化」のきっかけとされていることに憤慨しています。
大津市立中学校でのいじめ事件を調査した第三者委員会の報告書も「道徳教育の限界」を指摘しています。一人ひとりが違っていい。互いに認めあうことのなかで、いじめ問題は解決していくしかないのです。
検定教科書を使って、同じ方向に子どもたちを向かせるための一つのアイテム(道具)にされないか心配です。過去の戦争の誤りと反省をあいまいにしようという動きのなかで、「愛国心」が強調されるのはとても危険だと感じています。
心の成長の仕方やスピードはそれぞれ。自分で感じ、悩み続けてやっとわかる場合もあります。評価することは、時間的制約をもうけることで、おかしい。
いじめ事件では各地で、学校側の隠ぺいや虚偽報告が問題になっています。いまの学校側が抱
える「道徳性」の問題解決こそ急がれます。
「戦争する国」に向かう
全日本教職員組合教文局長の中村尚史さん
今回の改訂案は、改悪された教育基本法にもとづき、「わが国と郷土を愛する心」「日本人としての自覚」など、国や社会への帰属意識を強調し、小学校低学年から「我が国」を入れるなど、安倍政権の「戦争する国」づくりに向けて国家主義的色彩を強めるものとなっています。
こうした内容を、検定教科書を使用した道徳科を要として、すべての学校教育に貫き、評価まで行うことになります。昨年10月の中央教育審議会答申で「特定の価値観を押し付け」ることは、道徳教育の「対極にあるもの」としたこととも相いれません。
基本的人権尊重の視点が大事です。自分を含め、すべての人間に「個人の尊厳」があります。
そういう人間同士が互いを大切にしあいながらどう生きていくか。そんな民主主義の視点からの自主的な道徳教育をすすめていきたいです。
アベコベ暴走族…悪政の大号令…狂気だぁ(・へ・) あなたに火の粉が…覚悟は?(´・ω・`)
平和外交後退 ODA新大綱決定
(東京新聞)2015年2月11日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015021102000149.html
政府は十日、政府開発援助(ODA)の基本方針を定めたODA大綱に代わり、新たな「開発協力大綱」を閣議決定した。これまで原則禁じてきた他国の軍隊への支援を、非軍事分野に限って解禁したことが柱だが、軍事分野への転用も懸念される。新大綱には「積極的平和主義」を明記。安倍晋三首相の持論に基づいて進めてきた一連の政策の延長線上にあり、日本の平和外交をさらに変質させる恐れがある。
(上野実輝彦)
安倍政権は二〇一二年十二月の第二次政権発足以来、「積極的平和主義」の旗の下、憲法の柱である平和主義に反するとの批判が強い政策を進めてきた。
一三年には、国家安全保障会議(日本版NSC)を設置。少人数の閣僚らで外交・安全保障政策を決められるようになった。外交や防衛に関する情報を「特定秘密」に指定し、国民に閉ざす特定秘密保護法も成立させた。昨年四月には武器輸出を原則禁止する武器輸出三原則を見直して、輸出を事実上解禁。七月には、他国を武力で守る集団的自衛権行使を容認する閣議決定にまで踏み切った。
安倍政権は、米国を中心とした各国と軍事面を含めて連携を強化し、中国などに対抗する戦略をとってきた。今回の新たな大綱も、開発支援目的に限ってきたODAを、そうした戦略に使えるようにする意識が透けて見える。
従来の大綱では、ODAは「軍事的用途および国際紛争助長への使用を回避する」としていた。新大綱では、軍や軍関係者への援助に関しては「実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」として、日本政府が非軍事目的と認めれば支援を可能にした。
経済成長によって国民総所得(GNI)が一定水準に達した「卒業国」には援助を認めてこなかったが、新大綱では「国益の確保」に貢献すると判断すれば資金や物資、技術を援助できる。
岸田文雄外相は十日の記者会見で「国際社会の平和と安定に一層貢献していく」と新大綱の意義を強調した。
だが、他国軍が日本のODAを正しく使っているかどうかを把握するのは困難で、援助したものが軍事分野に転用される懸念はぬぐえない。中国との間で新たな緊張を生む可能性すらある。
また一歩進んだ安倍開戦準備
ODA他国軍事援助解禁
日刊ゲンダイ2015年2月13日
12年ぶりのODA改定で、平和国家・日本は一大転機を迎えることになりそうだ。「テロとの戦い」に自ら飛び込んだ安倍政権が、またひとつ、「戦争をする国づくり」の準備に突き進むことになるからだ。
これが「国益」なのか
10日に閣議決定された新たなODA大綱。名前も「開発協力大綱」に改められたが、なるほど、従来のODAとは似て非なるものだ。決定的な違いは、外国の軍隊への援助を解禁したこと。いくら岸田外相が「”非軍事”分野に限る」と言ったって、カネに色はついていない。現実には軍隊内で援助金をどう使っているのかは支援する国の「機密」に触れ、検証は難しい。それに、他国軍を支援すれば、その国と敵対する国にとっては日本も「敵」になる。攻撃
対象になりかねない。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏もこう言う。「軍事では必ず「仮想敵」が存在します。つまり、日本のODAが軍事協力”の分野に入れば、反対勢力から敵視される状況を自らつくり出すということです。これまで日本のODAは、発展途上国の経済成長を後押しすることで、その国が安定し、政治が民主化される環境整備に貢献することを目指してきた。そこには敵も味方も関係ありません。一方、米国の経済協力は自分たちの体制を守る”道具”として使われてきた。冷戦時代に西側陣営の勝利に向けた接点となる国を支援してきたのです。日米の経済協力は目的が全く違っていましたが、今度の新大綱で、日本は米国のような経済協力の色合いを強くすることになります」
東アジアの緊張あえて高める単細胞
新大綱は「国益」重視の姿勢を鮮明にし、「ODA卒業国」への支援も可能にした。純粋な途上国援助というより、政府の意向でどこにでも資金をバラまけることになる。つまり、「カネが欲しけりや、日本の味方になれ」というわけで、援助という名の陣営取り込みだ。
その狙いは中国包囲網である。南シナ海で中国と領有権争いをしているフィリピンやベトナムなどに、今後ますます資金をつき込むことになるだろう。東南アジアで日本がスポンサーの代理戦争が行われることになれば、日本と中国の緊張がますます高まるのは確実。安倍政権はそれを承知で、あえて危険な方向に動いているかのようだ。
「米国はシリアのアサド政権との戦いで、かつては『イスラム国』を助けたのに、いまはイスラム国と戦っています。揺れ動く国際情勢の中で、状況は刻々と変化する。自分たちの利益を追求しても。情勢はどう変わるかわかりません」(孫畸享氏)
こうして日本は米国と同じ道を歩む。折しも、あす(13日)から安保法制に関する自公協議始まる。集団的自衛権の閣議決定→ODA大綱改定→安保法制で自衛隊の海外派兵の恒久化となるのか。安倍政権の戦争準備は、とどまるところを知らない。
「武器輸出」企業に資金援助を検討
“戦争ができる国”且つ“戦争がないと生きていけない国”に
http://youtu.be/KRfoJ4-7qYU
(古賀茂明氏)は、「武器産業が大きくなり、武器産業が、『景気が悪くなると困ります』とか『武器産業の予算を減らしたら地域の工場が閉鎖されて雇用がなくなります』という話になっていく。公共事業がなかなか削られなかったのと同じで、『武器のため』『武器のため』と、ところが、どうしても社会保障は増えますし、それを犠牲にするわけにはいかないとなれば、じゃ、海外にもっともっと売ろうと、海外に売るためには、海外で戦争が起こってくれなければ困るなと。
『経済のため』『自分の生活のため』となれば、『やっぱりどっかで戦争を』と。
アメリカが完全にそうなってるんですね。
現に今、国防予算を削るぞとなってるので、工場が閉鎖されたり、それが大きな騒ぎになって、やっぱり戦争だと。
『外で戦争してくれ』『自分の国はお金ないから日本に戦争に出てくれ』という話がアメリカで起きてるのと全く同じことが日本で起きる。
“戦争ができる国”じゃなくて“戦争がないと生きていけない国”になってしまう」
グレーゾーン防衛 3つの「反則」
(東京新聞【こちら特報部】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015021102000169.html
安倍政権は昨年七月の閣議決定に基づく安保法制の成立に躍起だが、集団的自衛権の行使容認に比べ、あまり論議されていない問題がある。「武力攻撃に至らない侵害」、つまりグレーゾーン事態の対処だ。なかでも「弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護」という想定は、国際的には集団的自衛権の行使とみなされそうだ。しかし、このケースには国会承認が不要。日米安保条約とも矛盾している。
(白名正和、三沢典丈)
反則だらけ
地理的な制約なし
国会の承認も不要
国際判決で「不当」
日米安保とも矛盾
グレーゾーン事態への対処は、昨年七月の閣議決定では、集団的自衛権の行使容認、国際平和協力に伴う武器使用と並ぶ三本柱の一つだ。ただ、グレーゾーンは「武力攻撃に至らない侵害」を想定しており、メディアなどの注目もいまひとつだった。
この閣議決定の直前に開かれた「与党協議会」では、政府が十五事例を提出した。このうち、グレーゾーンについては三事例。問題視されているのは「弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護」というケースだ。
これは、日本の近隣で弾道ミサイル発射の兆候があり、米国のイージス艦や日本の艦艇が警戒。こうした状況下ではイージス艦の防御能力が低下するため、米国が日本側に米艦の防護を要請したという想定だ。
この際、米艦が攻撃目標にされるなど「武力攻撃に至らない侵害」が発生した場合にも、自衛隊が武器を使うことができるとすることが新たな対処の狙いだ。
問題は、この想定が現行の日米安保条約五条と矛盾してくることだ。想定では「わが国近隣」と地理的な範囲は曖昧で、日本の領海内に制限していない。
実際、米イージス艦は主に公海上で活動しており、自衛隊の警護も公海で実施されることになる。
ところが、安保条約の五条は、日米が共同して危険に対処することは「日本国の施政の下にある領域におけるいずれか一方に対する攻撃」に限定している。想定のように、日本の領域外での米軍への攻撃に対し、自衛隊が反撃することは安保条約からの逸脱だ。
ちなみに日本の領域内での米軍に対する攻撃は、同時に日本の主権に対する侵害に当たるため、従来からの個別的自衛権によって反撃が可能になる。
NPO法人「ピースデポ」の塚田晋一郎事務局長代行は「グレーゾーン事態でのこの想定は、明らかに日米安保条約の五条に反している」と指摘する。
ただ、昨年十月に公表された日米防衛指針(ガイドライン)の見直しに関する中間報告では、七月の閣議決定に基づく法整備を先取りする形で、「平時から緊急時までの切れ目のない防衛体制」をうたい文句に「アセット(装備品等)の防護」が盛り込まれた。
日本側が平時からの米艦の防護を公約した形で、グレーゾーン事態の想定と併せ、事実上、日米安保条約が改定されたに等しい状況が生まれている。
さらに政府はグレーゾーン事態下で、米軍以外の艦船や航空機も防護可能とする自衛隊法九五条の改正も与党に打診している。
塚田氏は「この調子でグレーゾーンに対処する法整備がどんどん進んでしまうと、日米安保条約による制限は全く無効化されてしまう」と懸念する。
武力行使の議論封じ
曖昧語でうやむや「政権の姿勢問題」
第二の問題は、国会承認抜きに集団的自衛権の行使とみられる行動が起こりかねないことだ。自衛隊法九五条は、武器使用について「自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機(中略)を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる」と定めている。
これは同七六、八八条が規定する自衛権とは異なる警察権の概念を基にした規定だ。米艦防護の想定においても、この警察権に基づく扱いが準用される。
一方、自衛権は「国または国に準ずる組織」から武力による攻撃を受け、
①日本に急迫不正の侵害が生じる恐れがある
②ほかに防衛手段がない
③必要最小限度の実力行使にとどまる
-という場合、行使することができると規定されている。
安倍首相は昨年七月の閣議決定の際も「(集団的自衛権を行使する際には)原則として国会の承認を求めることを法案に明記する」と説明している。自衛権には国会承認という文民統制の手続きが必要なのだ。
ところが、米艦防護に適用する警察権の取り扱いについては、閣僚の了解こそ必要だが、電話で確認するだけで済ませる方式の導入まで検討している。閣議書
へ署名する「持ち回り閣議」方式よりも、はるかに簡略化される見通しだ。
山口大の纐纈厚副学長は「なぜ安倍政権がこんなやり方を案出したのか。正面からの議論が難しいので、レトリックを駆使しようという考えがあるのではないか」と指摘する。
問題は、との米艦防護が日本側は「警察権」の範囲内とみるが、国際的には通用しそうにない点だ。
というのも、軍隊には固有の交戦規定(ROE)が定められているが、米国側が二〇〇〇年に策定した規定
では、平時における武力行使は「implement the inherent right of self-defense(固有の自衛権を実行する)」と明記している。
つまり、自衛権を行使する米国のかたわらで、白本が「警察権だ」と主張しても、国際的には自衛権とみなされる可能性が高い。日米両国の集団的自衛権の行使と理解されそうだ。
前出の塚田氏は「米艦を防護した際、武力を行使して警察権だと主張しても、そうした理屈は通らないだろう。国際的に見たら、日本の法律がどうなっていようが、自衛隊は軍隊。日本がそこにいれば、集団的自衛権の行使としか周囲は見ない」と批判する。
そのうえで、第三の問題が生じる。このケースは武力攻撃に至らない侵害、つまり「武力攻撃を構成しない行為」に対する第三国の集団的武力対応は認められないとした八六年の国際司法裁判所の「ニカラグア事件判決」に抵触する可能性が高いという点だ。
七九年に中米・ニカラグアに左翼政権が誕生した。反米主義の波及を恐れた米国は八〇年代、ニカラグアへ軍事介入した。米国は「周辺国からの支援要請があったためで、集団的自衛権の行使だ」と主張したが、国際司法裁は米国の軍事介入を集団的自衛権の乱用と判断し、「侵攻は不当」と結論づけた。
問題が山積するグレーゾーン事態への対処。纐纈副学長は「憲法や法律は皆が共有でき、解釈が違わないところで成立すべきもの。グレーゾーンという言葉は一般に反対とも賛成とも判断しにくく、議論を封じてしまう。曖昧に乗り切ろうとする政府の姿勢こそ問われるべきだ」と語った。
「大改革」の名で改憲主張
首相施政方針 暴走メニューずらり
(しんぶん赤旗)2015年2月13日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-13/2015021301_02_1.html
施政方針演説
“白紙委任”ではない
「戦後以来の大改革」 国民多数は反対
(しんぶん赤旗)2015年2月13日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-13/2015021302_04_1.html
安倍晋三2/12 施政方針演説【45分】衆院版
http://youtu.be/Uifv5HYK0KA
施政方針演説 国民はどう聞いた
(しんぶん赤旗)2015年2月13日
安倍晋三首相が12日の施政方針演説で打ち出した「戦後以来の大改革」。国民からは怒りの声が上がっています。
暮らしも命も壊される
大企業優先の政治さらに
「農政改革」日本農業を壊す
首相 農協法に基づく現行の中央会制度を廃止し、全国中央会は一般社団法人に移行する。
首相が「改革断行」の第一にあげた「農政改革」は、環太平洋連携協定(TPP)に反対する全国農業協同組合中央会(全中)を弱体化させることを狙ったものです。
農民運動全国連合会の白石淳一会長は「農家の視点がまったくない演説。日本農業の破壊宣言だ」と厳しく批判します。
首相は「農業生産法人の要件緩和を進め、多様な担い手による農業への参入を促す」など、家族農業を基本にしてきた戦後の農政から、企業参入の自由化を進める農政へ転換をはかる考えを示しました。39%まで落ちた日本の食料自給率の向上策は何ら語らずじまい。「市場原理を導入し、競争に勝てない担い手はいらないと言っているのと同じだ」(白石会長)
原発再稼働 国民の命より…
首相 原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発は再稼働を進める。
被災地・福島は、12万人がふるさとを追われたまま。国民の命よりも原発利益共同体を構成する大企業・大銀行の利益を優先する立場を首相の演説は露骨に示しました。
川内原発の地元・鹿児島県薩摩川内市で、再稼働に反対する「さよなら原発いのちの会」代表の堀切時子さんは言います。
「首相は″丁寧な説明″とも言いましたが、反対している住民の声を無視し、首長の同意だけで再稼働を進めようとしています。電力会社などの利益のため、何がなんでも再稼働したいとしか考えられません」
派遣法改悪 実態を理解せず
首相 従来の労働制度、社会の発想を大きく改める。
首相は、労働者派遣を「臨時的・一時的業務に限定する」という原則をくつがえし、「生涯ハケン」の大改悪を狙いながら、「正規雇用を望む派遣労働者にチャンスを広げる」とバラ色の幻想を描きました。「実態を理解していない。派遣法改悪案は、派遣先企業が拒否すれば正社員化は実現しない。いくら派遣会社に雇用安定を義務付けても仕事がなくなれば首を切られる」。いすゞ自動車「派遣切り」裁判をたたかう五戸豊弘さんはいいます。
労働時間制度について首相は、1日8時間労働の原則を「画一的な枠」と非難。「時間ではなく成果で評価する新たな労働制度」をつくるとして「残業代ゼロ」「過労死促進」へ労働時間規制を撤廃しようとしています。
破綻した「この道」まっしぐら
アベノミクス「成果」誇るが
首相 この2年間、全力で射込んできた「3本の矢」の経済政策は確実に成果をあげている。
首相は自らの経済政策・アベノミクスの成果を誇り、中小企業の倒産件数や有効求人倍率などの数値を並べました。
正社員の有効求人倍率は10年前の調査開始以来「最高の水準」といいますが、「0・71倍」(昨年12月)と1を下回つたまま。
実際は求職者1人に1件の求人もないのが実態です。
首相はいまなお、「企業収益の拡大を賃金の上昇につなげる」と、破綻した「トリクルダウン」の考えに固執。景気を落ち込ませた反省もなく、17年4月の「消費税率10%への引き上げ」を強行する考えを強調しました。
社会保障 切り捨てズラリ
首相 アペノミクスの果実を生かし、社会保障を充実する。
「社会保障を充実させる」といいながら、列挙したのは、介護報酬の引き下げ、公的保険のきかない医療の拡大、国民健康保険の都道府県単位化など、社会保障の切り捨て策ばかりです。
中央社会保障推進協議会の山口一秀事務局長は「国民には社会保障費削減、消費税増税を押しつけ、『日本国民は自信を持て』と言うだけで、憲法25条の生存権が脅かされている実態を顧みていない」と批判します。
外交・安保 戦争できる国へ
首相 本年こそ「積極的平和主義」の旗を「層高く掲げる。
憲法改正に向けた国民的な議論を深めていこうではないか。
首相は「戦後以来の大改革」の最後に、「外交・安全保障の立て直し」と銘打った「戦争できる国」づくりに言及。憲法の平和主義を塗り替えることに、今国会の最大の狙いがあることを示しました。
筆頭にあげたのが集団的自衛権行使容認を具体化する安全保障法制です。「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法制の整備を進めていく」として、場所や事態を問わず迅速な海外派兵態勢を構築する考えです。
さらに、外交の「基軸は日米同盟だ」として、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設推進に言及。「『言葉』ではなく『行動』で沖縄の基地負担軽減に取り組んでいく」などと、昨年の沖縄知事選・総選挙で示された民意を一顧だにしない姿勢を改めて示しました。
名護市汀間(ていま)区の新名善治区長は「首相は『丁寧に』とか『沖縄の理解を得て』と口ではいうが、現地でやっていることは全く違う。何の説明もなく毎日辺野古沖のサンゴを壊している。武器輸出や集団的自衛権でなぜ平和につながるのか。口先だけのアベコベ内閣だ」と憤りました。
小出裕章先生:原子力を廃絶させるという、そのために皆さんの力を集めなければいけないのだと思います
日米原発利益共同体とは?
~利権に群がるシステムを解明する
(ラジオフォーラム#110)
http://youtu.be/QXcbz4vib8E
小出先生 ラジオフォーラム2015/2/14のお話(村ではなく原子力マフィアと呼ぶ理由)&日米の原発利権に群がるシステムを解明する、吉井英勝さんのお話
(市民社会フォーラム)
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=29082
より その1
前略
今週は原発特集、共産党の元衆院議員で原発問題の専門家の吉井英勝さんがゲストで、原子力の専門家の吉井さん、原発利権には、日米の深いかかわりがあり、これに関してのお話です。
吉井さんは衆院議員として、3・11以前から原発の危険性を指摘され、しかし3・11以前は安全神話を強く信じ込み、原発への関心は薄く、その中吉井さん危ないと思われて、91年の美浜蒸気発生器の事故、2004年の美浜配管破断事故(5人死亡)、JCO大惨事もあったのに、原発は危ないと思う議員は残念ながら少なかったのです。
その吉井さんのお話、日米原発利益共同体の前に、2006年に国会で安倍総理に質問し、2004年のスマトラ大津波でインドのマドラス原発が壊れ、これによりインドネシア並みの地震・津波が古い原発に襲い掛かったらどうかと研究され、小泉内閣時、安倍官房長官時に質問し、津波は押し波が来れば、海水が引き波で沖合300mまでなくなり、原発を冷却する海水がなくなると指摘し、当時の経産省は、原発は海水面が4m下がったら8割の原発は冷却不能!になるといい、当時の経産省はまじめで、省をあげて対応策を取ると言ったのに、大臣が変わり、第1次安倍内閣発足。
そして、吉井さん、地震により送電鉄塔倒壊による外部電源喪失+津波による内部電源喪失(スウェーデンで事故例あり)を質問し、(http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/column15.html ほか吉井さんの質問は検索したら多数出てきます)、メルトダウンについて、安倍総理はそうならないように安全を確保すると5回!言い、電力会社に指示すると言った。安倍総理は、自分は最高責任者と言った(この言葉が好き)のに責任を果たさず(今も安倍氏は同じ)、事故になった。
さらに、福島は高台を削って作ったもので、堆積層の40mの高さだと、津波には強いが、常に原発を冷却するための海水を上げる電気代をケチるために下にした+人口岩盤のため、不当沈下を防ぐ基礎杭の長さが30m節約できる=セコさによる事故。
そして、福島事故には日米安保条約も関係し、68年の日米原子力協定、アメリカの作った原発は、製造管理責任なし(ターンキー契約、当時は米英しか作れず)、GEに責任なし。88年に改訂され、事故の責任はメーカーにあるとして、GEの原子炉に、製造物責任あり(外務省が認めている)。
東電の責任ももちろんあるが、88年の協定で、日本が再処理=プルトニウムを取り出すのを認めてもらい、これが日米の利益になり矛盾にもなる。再処理工場=プルトニウムを作る=核兵器を作れる、であり、日本は核兵器を持つポテンシャルを持つとしており(69年外務省の文書にある)、
日本は短期協定を破棄しても、このことは追及せず、とにかく再処理工場、六ヶ所村を認めてもらい、つまり核兵器のためのもの。
アメリカは韓国には再処理を認めず、北朝鮮の核を無くさせるための二枚舌で、NPTに入らないインド、パキスタンが核兵器を持ち、北朝鮮は叩く、二枚舌の矛盾が核の悲劇を展開しているのです。
以下略
14分37秒~第110回小出裕章ジャーナル
なぜ原子力に抵抗を?「大きな危険を抱えている。だから電気の恩恵は受けるけれども危険は過疎地に押し付けるのだということに気が付きました」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no110/
西谷文和:
実は小出さんは、いわゆる原子力ムラのことを最近は「原子力マフィア」と呼ばれておりますが、これはもう「ムラ」ではダメだと、マフィアレベルだということでしょうか?
マフィア - Wikipedia
小出さん:
はい。ムラというのは、いろいろな人達が集まってムラというものをつくるのですね。政治の世界の人、産業界の人、山ほどいろいろな人が集まって、原子力を一体となって進めてきたわけですので、ある意味原子力ムラと呼べるような組織だったのです。
ただし、福島の事故を引き起こしたことに、私はその人達に責任があると思っているのですけれども、その人達は誰一人として責任を取らない、処罰もされないというかたちになっていて、私はそれで気が付いたのですが、いわゆる原子力ムラと呼ばれてきた人達というのは、巨大な権力機構になってしまっていて、それ自身が犯罪を犯しても誰も処罰をされないという、そういう組織なんだと私は気が付きました。
そういう意味で、単なるもうムラではなくて、いわゆる犯罪者集団だと私は思うようになりましたので、原子力ムラではなく「原子力マフィア」と呼ぶようになりました。
西谷:
はい。今日は小出さん、ゲストに元衆議院議員の吉井英勝さんをお呼びしておりまして、吉井さんは日米原子力利益共同体と、こういうふうにおっしゃってるんですが、吉井さん、今のお話を聞いてどのようなご感想をお持ちですか?
吉井英勝さん:
小出さん、どうもこんにちは。吉井英勝です。
小出さん:
どうも、こんにちは。お会いする機会もないままに大変失礼しました。ご活躍ありがたく思っております。
吉井さん:
どうも。私のちょうど後輩になる人が、90年代に原子力ムラとかムラ人という言葉を使い出して、マスコミ的には3.11の後、非常に面白いですから、よく使われておりましたけれども。
小出さん:
そうですね。
吉井さん:
やっぱり大事なことは、この原発で巨大な利益を上げる電力、鉄鋼、メガバンクのような財界中枢部と、そこからお金を始め、いろんな利益を受けてチョロチョロ動いてる周辺部におる人達とを全部ひっくるめてムラ人と言ってしまうと、事の本質が曖昧になってしまいますからね。
小出さん:
そうですね。私もそれに気が付きまして、電力ムラという名前ではなくマフィアと呼ぶようになりました。
吉井さん:
そうですね。私自身は、だから原発利益共同体が経営している家畜小屋の原発豚と。若干激しいかもしれませんが。ただ、私も小出さんと同じように原子工学は出身ですからその話をする時は必ず、私は赤豚ですが、赤豚は家畜小屋にはお呼びでなかったですいうことを付け加えてるんですが。
小出さん:
そうですか。はい。
西谷文和:
なるほど。そんなことなんですけど、小出さんがそういうその原子力工学に夢を持って入られたということなんですが、1953年にアイゼンハワー大統領が「原子力の平和利用」ということを言い出して、原子力平和博覧会って日本でやるわけですが。
小出さん:
そうです。「Atoms for Peace」という発言で、何か原子力が平和利用できるものだというような幻想が世界中に振りまかれてしまいました。
私が子どもの頃で、そういう振りまかれた幻想の下で私自身も大きくなりましたし、残念だし恥ずかしいですけれども、私自身も原子力平和利用というものに夢を抱いてしまいました。
西谷:
はい。おふたり、特に小出さん、吉井さん、これは幻想だと気付かれたキッカケは、おふたりにお聞きしたいんですが、小出さんはどういうことで「これは違う」と思われましたか?
小出さん:
いろいろありましたけれども、私が原子力に夢を抱いて「原子力発電をやりたい」と思い込んで、吉井さんは京都大学で、私は東北大学なのですが、東北大学の原子核工学科にいた頃に、東北電力が原子力発電を始めるということになりました。
私は初めはそれを歓迎したのですけれども、建てられる場所が私がいた仙台、東北地方の最大の都市ですけれども、仙台ではなくて女川という、ほんとの小さな町に原子力発電所を建てるということになりました。
※原発敷地の決定経緯(女川町)
当時はマスコミも含めて、みんながバラ色の原子力に酔っていた時代だったわけですけれども、女川の人達が「なぜ、電力をたくさん使う仙台ではなくて、自分達の町に建てるのか?」という疑問の声を上げたのです。その声を私は聞いてしまいましたので、その疑問に答えなければいけないと思いまして、さんざん答えを探したのです。
http://youtu.be/DKIpl6ncHNk
最後にたどり着いた答えというのが今になっては当たり前なのですけれども、原子力発電というのは都会では引き受けることができない大きな危険を抱えている。だから電気の恩恵は受けるけれども、危険は過疎地に押し付けるのだということに気が付きました。
私自身はそんなことは到底認めることができませんでしたので、それ以降、原子力に抵抗しようと心に決めました。
津波に襲われ廃墟と化した宮城県原子力センター
西谷:
なるほど。吉井さんは夢を見て、やっぱり間違えと気付いたのは?
吉井さん:
私の場合は民間企業に就職してから。最初、真空関係の仕事でしたから、会社からの派遣で東大の原子核研究所で真空技術の武者修行をやったりして。
西谷:
原子力の場合は真空技術がいるんですね?
吉井さん:
そうですね。それは原子力とともに今の宇宙開発ですね、スペースチャンバーと言って宇宙環境試験室ですけども、そういうのも真空機器なしには作れないんですけども。そういう仕事をやっていたんですけども、その後、堺市の市議会の方にコンビナートの公害や災害が酷い時代でしたので。
西谷文和:
堺の臨海のコンビナート?
吉井さん:
そうですね。ですから、やっぱり専門的な知識持ってる者に議員になってもらいたいっていう話があって、それで議員になりましたから、当時は原発に先立ってコンビナートの爆発火災とか災害が非常に多かった時代ですから、ですからその災害の現実から始まって、そして領域がコンビナートから原発へというふうに、事故の事実を追及しながら広がっていったということですね。
西谷:
なるほど。原発が事故したら大変なことになるということですね?
吉井さん:
そうですね。
西谷:
それで、「これは違う」というふうに…
吉井さん:
そうですね。
西谷:
そうですか。小出さん? すみません。過去いろいろあったんですけど、主義主張違いはあったんですけど、やはり今は本当にそういう人達が、やっぱり脱原発で一致して反対していくということ大事ですよね?
小出さん:
もちろんです。吉井さんは政治の場で生きてこられた方ですけれども、私は申し訳ありませんが、政治は大嫌いだということを…
西谷:
おっしゃってますよね。
小出さん:
根本的に発言してきてますし、「一切の政治には関わらない」と言ってきました。ただし、私は嫌いですけど、政治はものすごい大切なものなわけですし、もちろん経済の問題だって大切だし、社会の問題だって大切だし、それぞれの場でそれぞれに個性豊かな方々がご活躍くださってるわけですから、原子力を廃絶させるという、そのために皆さんの力を集めなければいけないのだと私は思います。
西谷:
吉井さんもその点は同じ?
吉井さん:
そうですね。方向としてはちょうどこの間の沖縄における昨年1年間の沖縄での取り組みに見られるように、あの場合はオール沖縄というかたちで、いろんな考えを持った人達、それは社会的な運動体も政治勢力も皆、結集して行ったんですが、ああいう方向がたぶん進んでいくだろうと思います。
西谷:
保守から革新までひとつになったということですね?
吉井さん:
そうですね。
西谷:
分かりました。小出さん、やはりオール沖縄みたいなかたちでオール脱原発みたいな運動をしていかなあかんということでしょうね?
小出さん:
そうですね。それができれば一番いいのですけれども。でも、なかなかこれまでの歴史というのを皆さん背負われているので、今日までそれができないできてしまっていたのだと思います。
西谷:
その現実もあったということですね?
小出さん:
はい。
西谷:
しかし、安倍内閣が大変な再稼働に向けて突き進むなか、私達は今一度、統一して対抗していきたいなと思っております。小出さん、どうも今日はありがとうございました。
小出さん:
いえ、ありがとうございました。
吉井さん:
どうも。ありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
放射能汚染の現実を超えて
人間は放射能を創ることはできても、それをなくすことはできない。本書は、この厳然たる事実をふまえ、「クリーンな原子力」という論理の矛盾、差別の上にしか成り立たない原発、大気圏内核実験と原発事故が有機農業に与えた影響などに触れながら、エネルギー浪費の社会構造から脱却しないかぎり、問題は何も解決しないことを説く。第3世界を踏台にして贅をつくす原発社会を問い直す力作。
小出裕章が語る 原発のない世界へ 講演『放射能汚染の現実を超えて』
http://youtu.be/me_eD7gphok
"原発の再稼働を止めましょう。私たちは、原発の電気はいりません。
今だって、電気は足りています"
「原発のない世界へ」小出裕章さんが訴えます。
講演後の小出裕章氏による若者へ向けたスペシャルメッセージも収録。
「昨年3月11日に発生した東日本大震災は、私達の生活を変えてしまいました。そして私たちは、そこで生きていくしかありません」(小出裕章)
2012年8月12日
原爆投下10年後の原子力平和利用博覧会
http://dai.ly/x29nenn
http://dai.ly/x29ng5i
原発マネー群がる面々 原発利益共同体の構図
「原発利益共同体」とは何か/政官財癒着の構造
吉井英勝(京大工学部原子核工学科卒の共産党衆院議員)
(しんぶん赤旗日曜版)2011年7月18日
海外メディアから“なぜ東京電力や日本政府は秘密主義がひどいのか”とよく聞かれます。そのとき答えるのは「原発利益共同体」の仕組みです。
「原発利益共同体」のトップに立つのが電力会社です。東電の会長が経団連など財界団体のトップや役員に就任するなど、電力会社の財界支配には“歴史的伝統”があります。
電力会社に巨額の利益をもたらす要因の1つが地域独占です。東電は関東向けの発電と送配電を独占し、基本的に他社との競争はありません。
2つ目は、電気料金のもとになる「総括原価方式」です。全コストに「適正利潤」を加えた「総括原価」を、企業や家庭ごとの電気使用量に応じて電気料金として割り振っているので、必ずもうかる仕組みです。
銀行も建設も
原発建設でもうかるのが、原子炉など原発システムのメーカーやゼネコン(総合建設会社)の業界です。
原発メーカーは、沸騰水型原子炉なら東芝や日立、加圧水型なら三菱重工と特定メーカーが決まっており、事実上の「1社指定」です。付帯工事はゼネコン各社が「共同企業体」を組んで受注します。
原発の計画から運転開始までの約10年間に必要な資金はメガバンク(大手銀行)から調達します。不良債権にならず、確実に利益が入ってきます。
財界の中枢が「原発利益共同体」を構成しているのです。
電力業界や建設業界、原発メーカーなどが、原発建設を推進する政党や政治家に政治献金を配り、献金をもらった政党、政治家は官僚に原発推進のため“法律をつくれ”“予算を出せ”と圧力をかける。官僚は、退職してから電力会社などに天下りします。天下りが“汚職の先物取引”といわれるゆえんです。
大手マスメディアには電気事業連合会(電力会社の集まり)から多額の広告費が流れています。これにのみ込まれたマスメディアは「安全神話」に立った原発推進の論調を掲げてきました。
補助金と差別
原子力に関係ある大学や研究機関には電力会社からの研究費や政府の補助金が流れます。学者が原発推進に取り込まれるだけでなく、“あなたの学生は来年3人うちで引き受けましょう”“うちは2人受けましょう”という関係が昔からできています。
科学的立場で原発の安全性に疑問を投げかけたり、安全管理の不備を告発する日本共産党員などの良心的な社員は、原発の現場や電力会社の中枢からは徹底して排除されます。
私も大学は原子核工学専攻ですから、電力会社への就職を考えていましたが、できませんでした。就職しても、昇格を差別されたり、他の労働者から隔離されるような人権抑圧は枚挙にいとまがありません。東電や関西電力などで労働者の権利をめぐる多くの人権訴訟があったのはそのためです。
原発からの撤退、自然エネルギーヘの転換を目指す運動のなかで、「原発利益共同体」の癒着構造の打破は「ルールある経済社会」をつくるたたかいの重要な一部です。
小出先生 ラジオフォーラム2015/2/14のお話(村ではなく原子力マフィアと呼ぶ理由)&日米の原発利権に群がるシステムを解明する、吉井英勝さんのお話
(市民社会フォーラム)
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=29082
より その2
後半のお話、原発なしで村おこし、脱原発で豊かに、ですが、原発利益共同体の内部は、原発1基5000億(スカイツリーはわずか300億)、東芝・日立(東日本、沸騰水型)独占、三菱重工(西日本、加圧水型)独占しかなく、独占企業が請け負い、スーパーゼネコンの鹿島(中曽根元総理と深い関係あり)
などがつくり、鉄(新日鉄ほか)とコンクリート(太陽セメント他)の塊、建設に10年、資金調達をメガバンクが関り、電力・鉄鋼・メガバンクは日本財界の中枢、原子力利益共同体、選挙運動もやり、官僚に原発を作れとして、天下り、先物取引で利益供与(金を直接渡すと汚職になるため)。
そして御用学者に研究費を上げて、マスコミに広告費で懐柔し、地元を交付金(原資は全部電気代)により、原発利益共同体が儲けている。範囲は広く、深刻な中枢部に切り込まないと、事の本質を見失い、村ではなく利益共同体として捉える。
原発輸出と再稼動は同じで、自動車の輸出と原発は異なり、簡単に動く自動車と異なり、原発は長い期間に輸出先の若い技術者を呼び、稼動訓練などの技術者を育てる必要(検査のやり方)があり、そのために国内で原発が動いていないといけない。輸出のためには、ベトナムやトルコの技術者を育てる必要があり、輸出と再稼動は一体、だから世界の人のためにも、再稼動を止めないといけない。
相手国のことは内政干渉にならないようにすべきだが、福島の惨事を相手国に伝えるべきなのです。
それで、原発利益共同体の支配からから抜ける方法、オーストリアでは78年に原発を作ったのに、稼動に国民投票をやり、僅差でアカン=竣工即廃炉になり、今は普段着で原発を見られる観光地になり、そしてエネルギーは、オーストリアは森が豊かで、水力+森林のペレットを使って発電する賢いもので、その余熱(80度)でお湯を作り、各家庭に配る(コジェネ)、エネルギーを無駄にしない(原発は2/3が無駄)。
ツヴェンテンドルフ原子力発電所
オーストリアの例もあり、日本は再生可能エネルギーの能力は高く、資源エネルギー庁の資料だと12兆kwh、日本の発電量の13倍!これを現実化するには、原発に国が使ってきた15兆円を投資したら、ドンと進む+日本は急流が多く、水も豊かで、地熱発電の潜在力も世界3位、水力+太陽光+木のペレット+地熱=新しい産業、雇用・所得・消費が生まれ、地域経済(農林業の発展)を進めることも出来るのです。
太陽光、在日米軍基地を全部返還させてこれを発電にしたら、年間1000億kwhの電気が出て、全国の電源の1割!になり、最大原発の柏崎・刈羽の2倍!米軍にアメリカに帰ってもらい、太陽光発電にしたら、沖縄の基地をなくしてこれを太陽光発電にしたら、沖縄電力の今の4倍!の電気ができるのです。
そして、関電は原発最多、沖縄電力はゼロで、電気代は沖縄27円、関電ととほぼ同じだが、関電は値上げを申請し、しかし原発の動いていた2008年では、原発の利用率は28%、しかし原発の電気は全体の5割で、原発フル稼働+火力を休ませていたためで、設備より遥かに動かして、関電の経営は行き詰った=原発なしの沖縄のほうが安い。
原発依存の関電は破綻なのです。以上、吉井さんのお話でした。
原発事故 吉井議員質問ダイジェスト
http://youtu.be/HBwTZwXdSU4
2006年3月1日、2010年5月26日、2011年4月6日、13日の質問のダイジェスト
吉井英勝 国会質疑「津波で冷却不能も」(2006.3.1)
http://youtu.be/aP5fAGhDYk8
金子勝×大竹まこと×室井佑月「安倍政権の狡猾な原発事故対応」
http://youtu.be/yS610VPkyaU
NPJ ロングインタビュー 吉井英勝衆院議員
http://youtu.be/SNoyegvNFI0
高浜 新基準「適合」 原発は自然に背く
(東京新聞【核心】)2015年2月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2015021302000157.html
再稼働に向け、原子力規制委員会から新しい規制基準を満たすと判断された関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)。京都府に隣接し、原発から半径六十キロ圏内には金閣寺や北野天満宮など世界に誇る歴史的な寺院や神社がひしめく。原発再稼働を宗教界はどう受け止めているのか。金閣寺などの住職を務める京都仏教会理事長の有馬頼底さん(82)に聞いた。
(森耕一)
60キロ圏 金閣寺住職
事故あれば京都の文化壊れる
-高浜原発の再稼働をどう思うか。
「京都は観光に頼るしかない。以前、古都の景観を壊しかねない高層ビルの建設計画が持ち上がった時、私たちは当時の京都市長らと激しく戦った。千年以上守ってきた京の街並みや文化が原発で何か起これば、一瞬で壊れてしまう」
-福島第一原発事故では、半径三十キロを超える地域の一部も避難指示区域となった。
「国は『原発は安全』と言ってきたが、うそだった。福島の事故では、被災者はいまだに古里へ帰れず、田んぼも使えない。いったん事故が起きれば、大変なことになる。金閣寺を万一の原発事故で失うわけにはいかない。『想定外』と言われても、取り返しがつかない。原発自体があってはいけないと思う」
-なぜ、原発がいけないと。
「手塚治虫さんの漫画『ブッダ』で、若きブッダが戦場に行く場面がある。彼がそこで見たのは、殺りくに次ぐ殺りく、貧困、差別、死の地獄絵図で、これに疑問を持って出家をした。これこそ仏教の原点だ。仏教にはたくさんの戒めがあが、第一は殺生戒。人だけでなく、あらゆる生命を奪ってはいけない。仏教者はその教えを守り、みんなにも守ってもらうようにせねばならない」
「そもそもの問題は人間が原子力をつくったこと。人間は自然に逆らってはいけない。地球を大事にせよっていうけれど、その逆で人間が地球に大事にされている。人も虫も鳥も生命の輝きがある。私たちは彼らを殺してはいけない。彼らも全部、仏様の姿だ。だから、仏様同士が殺しあってはいけない。原爆でも原発事故でも人間が生みだした原子力がさまざまな生命を奪う結果になっている」
経済優先の思想間違ってる
-日本人の生き方が問われている。
「国は貧しいところに原発をつくっている。原発のお金で寺がきれいになり、檀(だん)信徒も助かっている。しかし、それは経済が潤うだけで、精神は全然潤っていない。経済優先の思想が間違っており、寺院にはそういうところにこそ、もっと心を配ってほしいと言っている。日本は唯一の被爆国で、原子力の問題を世界に唯一、訴えられる国だ」「戦時中は電気がなくても、ちゃんと生きてこられたのに、今の人間はいかに無駄遣いをしているか。これは私たち一人一人の問題でもある。自動車がなければ、どこにも行けないことはない。歩けばいい。物がない時代でも、必ず対処する。人間はそういう知恵が出てくると信じている」
有馬 頼底(ありまらいてい) 1933年東京都生まれ。久留米藩主有馬家の子孫。両親の離婚により8歳で大分県の禅寺に入る。55年に京都市の臨済宗相国寺僧堂に入門。95年に臨済宗相国寺派の最高位にあたる管長に就任し、同時に鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)の住職を兼ねる。88年からは京都仏教会理事長。有馬記念に名を残す日本中央競馬会元理事長の有馬頼寧は父方の親類にあたる。
国内宗教団体
広がる脱原発
福島第一原発事故を機に、脱原発を求める国内の宗教団体は少なくない。
全日本仏教会は二〇一一年十二月、「原子力発電によらない生き方を求めて」とする宣言文を発表。「原発への依存を減らし、原発によらない社会の実現を目指す」と表明した。臨済宗妙心寺派も原発依存からの脱却を呼び掛け、真宗大谷派も一二年四月、すべての原発の運転停止と廃炉を求める見解を発表した。
キリスト教でも、国内のカトリック教会でつくるカトリック中央協議会が一一年十一月、原発の即時廃止を求める日本カトリック司教団のメッセージを公表。清貧の精神に基づく「質素な生活様式を選び直すべきだ」と訴えた。
全日仏会長 声明文
http://youtu.be/-ru88zFFWK8
止まりました…(´・ω・`)
GDP0・6%増
この数字で「対応は正しかった」とは恐れ入る
(日刊ゲンダイ)2015年2月18日
いよいよ出口なしの袋小路に追い詰められてきたアベノミクスというペテン
個人消費の回復が遅いのではなく、庶民の金を大企業に所得移転させる世紀の愚策が案の定、どんどん日本経済をヘタらせている
「この数字で『政府の対応は良かった』とは、よくぞ言えたものです。この先の日本経済も上がり目があるとは言えない状況なのに、政府の危機認識はその程度なのか、と不安になりますよ」
そう切り捨てたのは、経済アナリストの菊池英博氏だ。怒りの矛先は、きのう(16日)の菅官房長官の発言である。この日発表された14年10‐12月期のGDP速報値は前期比〇・6%増、年率換算で2・2%増となった。プラスに転じたのは3四半期ぶりで、消費増税後は初めて。それで気を良くしたのかは知らないが、菅は定例会見でこう言ってのけた。
「少なくとも(GDPが)プラスになってきたので、(消費税10%の先送りなど)政府の対応は良かったと思っている」
甘利経済再生相は、菅以上に楽観的で「消費マインドもかなり上がってきている」と言っていたが、GDPのおよそ6割を占める個人消費は前期比○・3%増にとどまる。消費マインドは依然、冷え込んだままだ。
「増税直後の昨年4-6月期のGDPは年率換算6・7%ものマイナス。7-9月期もマイナス2・3%でした。政府はこの凄まじい下げ幅に比べ、たった2・2%しか回復しなかったことを問題視すべきです。消費税アップに伴う駆け込み需要の反動減は和らぎ、例年なら10-12月期は個人消費が伸びて当然。冬のボーナスが支給され、クリスマス・年末商戦や忘年会シーズンとサイフの紐が緩みますからね。それでも個人消費は凍り付き、実質GDPは市場予想平均の3・8%増を大きく下回った。このことは何を意味するのか。やはりアベノミクスは大失敗、特に異次元緩和が世紀の愚策であることを物語っています」(菊池英博氏に前出)
菅はきのうの会見で「個人消費の『戻り』が若干遅いのかなという思いがある」と語っていたが、この発想自体、根本から間違っているのだ。アベノミクスというペテン政策が日本経済をヘタらせた結果、個人消費の冷え込みは取り返しのつかないレベルに連している。世紀の愚策を改めない限り、消費マインドは戻りっこないのである。
国民を人為的に貧しくさせた自覚はあるのか
異次元緩和の根本的な過ちは、約30年前に「新古典派」と呼ばれた米国の経済学者らが提唱し、「非現実的だ」として葬り去られた学説(=合理的期待形成仮説)に依拠していることだ。すでに多くの経済専門家がそう指摘している。
なぜ、黒田日銀は今なお物価上昇率にこだわるのか。消費者に「将来インフレになるぞ」と呼び掛ければ「今の方が得だ」と判断して商品を買い求める。需要が喚起され、設備投資を促し、経済成長につながる-。そんな甘い期待にすがりついているのだ。
「この考え方こそ『合理的期待形成仮説』の典型なのですが、この2年余りの異次元緩和という”荘大な実験”で再び学説の過ちが実証された格好です。日銀の期待通りに勳いたのは一握りの富裕層のみ。普通の庶民は将来のインフレに備え、貯蓄を増やそうと買い控えをするのです。だから消費は伸びず、『好循環』をもたらすどころか、円安に伴う輸入インフレという”魔物”を生み出した。増税とのダブルパンチで、実質賃金は18ヵ月連続のマイナスとなり、消費者はますます買い控えに走る。アベノミクスの2年間で、日本経済は出口なしの悪循環に陥ったのです」(経済評論家・斎藤満氏)
昨年1年間の実質賃金は2・5%減。下げ幅はリーマン・ショツクの影響で過去最大となった09年(2・6%減)に匹敵する。安倍首相は何度も「民主党政権では経済が衰退した」と言い続けてきたか、今回のGDPを金額ペースで見ると、個人消費は年率換算で約308兆円。この数値は安倍政権が誕生する直前、12年7-9月期よりも低い水準である。
日本が世界規模の不況に巻き込まれたのなら、いざ知らずだ。今の所得減少と消費低迷はアベノミクスの”人災”が招いたもので、2年に及ぶ経済失政は明らか。安倍首相には自身の経済政策で、庶民の暮らしを人為的に貧しくしている自覚はあるのだろうか。
庶民の犠牲の上に成り立つ過去最高益26兆円
アベノミクスは土台から腐り切っているのに、いまだに大マスコミは楽観ムードを振りまいている。14日の朝日新聞は1面トップで、「上場企業、最高益26兆円」とデカデカと報じていた。
記事によると、自動車や電機を中心に輸出大企業は円安の恩恵をたっぶり享受して海外での稼ぎが膨張。トヨタの今期の営業利益は昨年11月時点の予想より2000億円も増加し、うち円安の寄与分は1750億円にも上るそうだが、記事には「庶民の犠牲」への視点が欠けている。前出の斎藤満氏はこう言った。
「この2年の円安政策で、この国の経済力を示すGDPの規模は確実に減った。円安の悪影響によって庶民の実質所得はガタ減りし、雇用の7割を支える中小・零細企業は原材料コストを価格転嫁できず、青息吐息です。それでも大企業さえ儲かればいいのですか。上場企業の株主への配当額も過去最高を更新するそうですが、日本で株を保有する国民は全体の12%だけです。配当の多ぐは海外ファンドに流れ、余った利益が賃上げに回るかといえば、多くは企業の内部にため込まれる。この2年で内部留保の増加額は約50兆円とこGDPの1割に匹敵します。というのも、製品の輸出量自体は伸びておらず、為替効果を差し引けば『空前の利益』といえども、業績判断は『安泰』と言えないためです」
結局、アベノミクスとは中小企業と個人の所得をホンの一握りの富裕簷と輸出産業に移転しただけ。大企業の空前の利益でさえ、庶民の犠牲の上に成り立った「砂上の楼閣」に過ぎない。
支離滅裂なトップは国力を減退させるだけ
どの世論調査でも、8割以上の人々が「景気回復を実感できない」と答えている。さすがに安倍も失敗を意識せざるを得ないのか、先の施政方針演説では「アベノミクス」という言葉を1回しか使わなかった。
その代わりに持ち出してきたフレーズか「戦後以来の大改革」だ。農業・医療・労働分野の規制を「岩盤規制」と勝手に位置づけ、「自分自身がドリルの刃となって突き破る」とボルテージは上がりっぱなし。施政方針演説では36回も「改革」と連呼しr異様なまでのテンションだった。
前出の斎藤満氏は「安倍政権が大仰なスローガンを掲げるのは、経済失政から国民の目をそらす常套(じょうとう)手段。数カ月前の『地方創生』や『女性の輝く社会』と同じです」と言ったか、サラリーマンの雇用ルールまで失政を糊塗する「目くらまし策」に使われたら、たまらない。来春の実施を目指す「残業代ゼロ制度」にせよ、「裁量労働制の拡大」にせよ、導入後に待っているのは日本企業の総ブラック化だ。労働者は企業の奴隷さながらにコキ使われることになってしまう。
「人件費を抑制したい大企業経営者はよろこぶでしょうが、労働者の所得が増えなければ消費は落ち込む。いずれ深刻な内需不足となって、GDPはどんどん下落します。安倍首相は一体、何を実現したいのか。企業に賃上げを迫りながら、人件費抑制の雇用改革に血道を上げる。農協改革で『農家の未来を切り開く』と言いつつ、海外からの安い農産物を増やすTPPを推進する。あまりに支離滅裂で、経済失政の袋小路にハマり、正常な判断力を失っているかのようです。そんなトップに居座られたら、国力の衰退を招くだけですよ」(菊池英博氏=前出)
日本経済にとって最大のリスクは安倍政権の継続だ。その事実に多くみ国民も早く気付くべきだろう。
日本経済2014-2015-好循環実現に向けた挑戦
(内閣府)
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2015/0113nk/nk14.html
14年の実質GDP成長率0.0%
「アベノミクス」が日本経済成長止めた
消費税増税、金融緩和…庶民生活圧迫
(しんぶん赤旗)2015年2月17日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-17/2015021703_01_1.html
内閣府が16日発表した2014年の国内総生産(GDP、速報値)で、14年の年間を通した実質GDP成長率は0・0%となり、経済成長が止まりました。安倍晋三政権の経済政策である「アベノミクス」が、日本の経済成長を阻害していることが改めて示されました。
安倍政権は14年4月、国民の多数の反対を押し切って、消費税率の8%への引き上げを強行しました。この消費税増税が庶民の所得を奪い続けています。日銀による金融緩和は、物価上昇をもたらし、原材料高騰を価格に転嫁できない中小企業の営業を直撃し、庶民の生活を圧迫しています。
トルコで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は共同声明で、日本を名指しし、「回復は続いているものの、緩慢だ」と警告を発していました。
14年の実質GDP成長率の内訳を見ると、金融緩和を引き金とした円安で輸出(8・2%増)は拡大したものの、個人消費はマイナス1・2%となり、全体を押し下げました。消費の落ち込みの背景には、賃金の上昇が物価の上昇に追いついていない実態があります。毎月勤労統計調査(速報)によると、14年の実質賃金指数は前年比2・5%減で、3年連続の減少。減少幅はこの3年間で最大を記録しました。同年12月単月では前年同月比1・4%減となり、18カ月連続マイナスでした。
この結果、14年の実質雇用者報酬は、前年比で1%減、金額にして約2兆6000億円減少したことになります。
内閣府の「日本経済2014~15」(ミニ経済白書)によると、消費税増税は、14年内において個人消費を1兆円弱押し下げたと推計しています。ニッセイ基礎研究所の経済研究部経済調査室長の斎藤太郎氏は、同社のホームページで、10~12月の実質GDPが前年同期比で0・5%のマイナスだったことを受け、「駆け込み需要とその反動の影響を除いて考えてもこの1年間の日本経済はマイナス成長だったということになる」と指摘。「消費税率引き上げによる悪影響は家計部門を中心に残っている」と強調しています。
今年に入ってからも、暮らし向きは悪化しています。1月の消費動向調査によると、消費者心理の明るさを示す消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)のうち「暮らし向き」と「収入の増え方」は、それぞれ0・2ポイント低下しています。
時事通信が実施した2月の世論調査によると、「アベノミクス」の下で経済格差の拡大を「感じる」と回答した人は63%に達しています。
庶民を犠牲にして一部の富裕層や大企業に恩恵を与える「アベノミクス」を転換し、国民の所得を増やす経済改革がいよいよ求められています。
(金子豊弘)
四半期別GDP速報
2014年10-12月期・1次速報(2015年2月16日)
(内閣府)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/sokuhou_top.html
【浜矩子】人間不在で貧困放置するアベノミクス、トリクルダウンなんて幻想以下!(大竹まこと)
http://youtu.be/pviuwS_-f2Y
行き詰まるアベノミクス
とくほう・特報(しんぶん赤旗)2015年1月30日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-30/2015013003_02_0.html
安倍晋三政権の経済政策である「アベノミクス」。政権最大の“売り物”は3年目に入りました。日本経済に「好循環」をもたらすどころか、行き詰まりはいよいよ明らかです。経済政策転換の方向を探ります。
(川田博子、杉本恒如)
IMF“日本経済後退”
日本経済は2014年7~9月期に「事実上の景気後退局面に入った」。
国際通貨基金(IMF)が断定しました。今月発表した「世界経済見通し改訂版」で15~16年の世界経済の成長率予測を0・3%下方修正。要因の一つとして日本経済の後退をあげたのです。
失政は明らか
日本政府は「緩やかな回復基調が続いている」とごまかしますが、世界の視点からみればアベノミクスの失政は明らかです。
実際、15年度予算案の前提となる「経済見通し」(12日に閣議了承)で、政府は14年度の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナス0・5%に落ち込むと見込みました。リーマン・ショック後の09年度(2・0%減)以来、5年ぶりのマイナス成長です。
「尋常の景気後退ではもはやない」と東京工科大学の工藤昌宏教授は指摘します。「賃金と個人消費が持ち上がらず、停滞から抜け出す見通しが立たない。アベノミクスは過ちを重ねて論理的に破たんし、なすすべなく立ちすくむ状況です」
認識に間違い
安倍政権の「成長戦略」(日本再興戦略)は、日本企業の「低生産性」が「日本経済全体の足を引っ張っている」と断じ、企業の「稼ぐ力」すなわち「収益性」の向上を政策の中心にすえました。
工藤さんは「この事実認識からして根本的に間違っている」と批判します。「大企業が史上最高の経常利益をあげて内部留保を増やしているのに、経済は再生しなかったのです。このうえ株価のつり上げや法人税減税で企業収益を増やしても設備投資は増えず、金融緩和を進めても実体経済にお金は流れません。それは雇用と消費が安定せず、内需が停滞しているためです」
安倍政権は雇用と消費を上向かせるどころか、消費税を増税して個人消費を冷え込ませました。内閣府の「ミニ経済白書」(13日発表)は、消費税増税による実質的な所得低下が個人消費を「1兆円弱程度押し下げている」と試算しました。
工藤さんはいいます。「一番大事なところに重しをかけ、経済の循環をぶち壊した。誤った事実認識に基づく、誤った経済再生シナリオの破たんです」
中小企業「すでに不況」
安倍政権・日銀の「異次元の金融緩和」が引き起こした円安と物価高によるコスト増が中小企業の経営に打撃を与えています。
中小企業の苦境は、政府・日銀の報告からも明らかです。
円安享受なし
内閣府が13日に発表した「ミニ経済白書」は、中小企業は円安のメリットが十分に享受できず競争力も弱いため、「原材料・エネルギーコスト上昇の価格への転嫁が困難」だと報告。
日銀が15日に発表した地域経済報告(さくらリポート)によれば、自動車や電気機械など海外需要が増加している業種、訪日外国人客関連業などは円安で収益が増加。一方、内需依存度の高い食料品、小売りや飲食等は収益が悪化しているといいます。
「中小企業はすでに“アベノミクス不況”のさなかにある」―中小企業家同友会全国協議会(中同協)は、消費税増税後の個人消費の低迷と円安の進行が中小企業の二重苦になっていると警告します。
消費税増税で
中同協の四半期ごとの景況調査では、中小企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は昨年4月の消費税増税後、連続して悪化。14年10~12月期の業況判断DIは、従業員100人以上の企業で前年同期比8・1%増、20人未満の企業で同13・5%減と、企業規模による格差も拡大しています。
13年の円安関連倒産件数は345件と前年(130件)の2・7倍に急増しました。
中小企業の実態に詳しい吉田敬一駒沢大学教授は、日本の大企業が海外進出を進め生産拠点を海外に移してきた弊害を指摘。「大企業は円安による為替差益などで大きな利益を得る一方、国内中小企業は輸入原材料の価格上昇や物価高によるコストアップで経営が圧迫されています。さらに消費税増税や物価高による国民の消費の冷え込みも経営悪化に拍車をかけています」と指摘します。
国際的にも時代遅れ
内閣府の「ミニ経済白書」は、消費税増税で低所得層がもっとも被害にあっていると分析しています。
庶民へ負担増
ところが安倍政権は、庶民への負担増の手を緩めません。
年金や生活保護の切り下げ、派遣労働の拡大、「残業代ゼロ」制度の導入などで国民の所得を引き下げつつ、介護の利用料や医療の患者負担を引き上げようとしています。
「憲法9条と25条(生存権)を同時に壊そうとしているのが安倍政権です」と批判するのは東北大学の日野秀逸名誉教授です。
「アベノミクスにはもともと社会保障や雇用の改悪が組み込まれています。大企業の負担が減って収益が上がれば中小企業や労働者にもおこぼれがしたたり落ちるという『トリクルダウン経済』の思想に立脚しているためです。しかし実際にはトリクルダウンなど起こりません。考え方がまちがっています」
経済協力開発機構(OECD)は昨年12月の報告書で「成長の恩恵は自動的に社会全体に波及(トリクルダウン)するわけではない」「所得格差の趨勢(すうせい)的な拡大は、経済成長を大幅に抑制している」と強調しました。
景気を回復させ、経済を立て直す解決策はどこにあるのでしょうか。IMFは「世界経済見通し」で、「経済活動の段階的な回復」にとって「消費税率再引き上げの延期」が効果的と指摘しました。国民負担増路線では、景気はけっして回復しないというわけです。ならば、消費税10%への増税はきっぱりと中止すべきです。
ピケティ氏も
格差拡大を批判するフランスの経済学者トマ・ピケティ氏は「(アベノミクスのやり方は)間違いだ」と発言。アベノミクスの対案として「労働所得に対して減税、資本に対して増税するのは自然な解決策だろう」(「東洋経済オンライン」26日)と提案します。
日野さんは話します。
「大企業減税と消費税増税、社会保障と労働法制の改悪で貧困と格差を広げるアベノミクスは、もはや国際的にも時代遅れの経済政策なのです。安定的な経済発展には個人消費の拡大が不可欠です」
弱者を搾る安倍政権
もっと真剣に怒ろう
作家・タレント 室井佑月さん
(全国商工新聞)2014年11月10日
ここはどこの国??知れば知るほど”ブルッ((((;゚Д゚))))”とくるわい…(゚д゚)!
中東の機雷掃海 行使可能 「日本への攻撃と同様」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015021702000136.html
集団的自衛権「砂川事件判決根拠は無効」
元被告ら怒りの決起
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月18日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015011802000125.html
安倍政権は二十六日開会の通常国会で、集団的自衛権行使容認の閣議決定に沿った安全保障関連法案の成立をもくろむ。閣議決定の際、根拠として持ち出したのが、米軍立川基地の拡張計画に反対した学生らが逮捕された「砂川事件」の最高裁判決だった。日本の集団的自衛権の有無が争われたわけではないが、政府・自民党は「判決は必要最小限の集団的自衛権を排除していない」などとご都合主義的に解釈した。こんなことが許されていいのか。砂川事件の当事者の声にあらためて耳を傾けた。
(篠ケ瀬祐司)
「判決文を都合よく利用」
陸上自衛隊立川駐屯地(東京都立川市)に隣接する米軍立川基地の滑走路跡。自衛隊ヘリの爆音が響いている。元立川市議の島田清作さん(七六)は「米軍機の離着陸時の音は、こんなもんじゃなかった」と苦笑いを浮かべて回想した。
戦前、戦中に農地接収を繰り返して拡大した旧日本軍の立川飛行場は、一九四五年の終戦後、米軍基地として朝鮮戦争やベトナム戦争の拠点となった。
五五年、東京調達局(現・北関東防衛局)は滑走路を北に延ばす計画を砂川町(現・立川市)に伝えた。これ以上土地を取られたらふるさとを追われる。「砂川闘争」と呼ばれる反対運動が起き、基地外での測量は五六年に中止された。
五七年七月八日、基地内の測量も阻止しようと、労働者や学生らが柵を倒して基地内に入った。「砂川事件」だ。島田さんもその一人。「大学一年で十九歳の誕生日だった。未成年者は逮捕されてもすぐに出られるといわれ、先頭に立った」。島田さんは逮捕を免
れたものの、二十三人が捕らえられ、七人が日米安保協定に伴う刑事特別法違反罪で起訴された。
東京地裁は五九年に無罪判決を下した。「駐留米軍は外国に軍隊を出動し得る。米軍駐留は日本政府の要請や土地の提供、費用負担などがあって可能。憲法九条二項で禁止されている戦力の保持違反だ」との内容だ。島田さんは「憲法にそういうことも書いてあるのかと驚いた」と振り返る。
ところが最高裁は「安保条約のような高度な政治性を有するものは、裁判所の判断になじまない」などと一審地裁判決を破棄した。「わが国の存立を全うするために必要な自衛の措置を取り得る」との憲法解釈も示した。差し戻し審で有罪(罰金)とされ、六四年に確定した。
集団的自衛権行使容認の理屈を探していた安倍政権は、この最高裁判決の「わが国の存立…」に飛び付いた。「最高裁は個別的、集団的を区別せず自衛権を認めている」(高村正彦自民党副総裁)というのだ。首相の私的諮問機関「安保法制懇」の報告書でも同様の解釈が採用され、昨年七月の閣議決定につながった。
島田さんは強く批判する。「都合のいいことだけを利用している。判決当時、日本の『戦力』が海外に出る発想はなかったし、出る力もなかった」
そして今、安倍政権は新たな安保法制の整備へと突き進む。島田さんは声を上げ続けていくつもりだ。
「砂川事件は思い出話ではない。沖縄の辺野古では、砂川と同じように新基地が建設されようとしている。市民や地方の声を無視した国の押し付けは許せない。闘わなければ生活も権利も自由も守れない」
「闘わなければ生活も権利も守れぬ」
米軍事戦略に盲従するな
砂川事件元被告の土屋源太郎さん(八〇)も、集団的自衛権行使容認の閣議決定や、新たな安保法制整備への怒りを隠さない。
「日本は戦後、戦争をしない国として国際社会で評価されてきた。それを解釈改憲で憲法をないがしろにして、あえて戦争をする国にしようとしている。平和を守ることや国民の人権を考えたら許せない」
土屋さんら元被告三人と遺族一人は昨年六月、「公平な裁判を受ける権利を侵害された」として東京地裁に再審を請求した。「立憲主義を根底から覆そうとする安倍政権への抗議の意思表示でもある」。土屋さんらは記者会見でそう訴えた。
土屋さんらは、米公文書三通を新証拠として提出した。当時の田中耕太郎最高裁長官(故人)が地裁の無罪判決後に駐日米大使と接触し、裁判官の非公開評議内容などを伝えていた。米国立公文書館で文書を見つけたのは、日米史家の新原昭治さん(八三)や、ジャーナリストの末浪靖司さん(七もらだ。
新原さんには当時と現在が重なって見える。「最高裁判決には米国の重大な干渉があった。その判決を集団的自衛権行使の根拠にして閣議決定をし、法案づくりを進めている。米国の求めることなら、理屈に合わなくても従っている」
末浪さんは「安倍政権は、憲法が定める司法の独立に反し無効な最高裁判決を持ち出した。閣議決定しただけなのに、二〇一五年度予算案で、集団的自衛権の行使容認を踏まえた過去最高額の防衛予算を決めた。こうした進め方は危険だ」と警鐘を鳴らす。
政治評論家の森田実さん(八二)は砂川事件当時、全日本学生自治会総連合(全学連)の中央執行委員として学生の支援活動を指揮した。森田さんは、砂川事件の最高裁判決が、一九六〇年の日米安保条約改定に向けた必然的な措置だったと分析する。
「六〇年改定は、日本は武力を持たないが米軍駐留を認めさせる内容から、武装平和路線への転換点だった。当時の岸信介政権の論理を『積極的平和主義』を掲げる安倍政権が完成させようとしている」
森田さんは、安保法制の議論が本格化するこれからが「闘いの本番」ととらえる。「海外に武力を出せる国にしたいという安倍路線を葬り去る好機だ」
政府・自民党は中東ペルシャ湾での機雷掃海に欲を見せるが、連立を組む公明党内には慎重論が残る。「国会論戦を通じ、関連法案には無理があることが明らかになるだろう。そうなれば、公明党もついていけないのではないか」(森田さん)
作家の鈴木茂夫さん(八三)は、民放の記者として砂川闘争を取材した。請われれば、事件の現場を案内して回っている。
鈴木さんは安保条約の枠内であれば、緊急事態での集団的自衛権発動は当然だとの立場だ。そんな鈴木さんも、安倍政権に注文をつける。
「日本と関係のない米軍事戦略に関与してはならない。自制の効いた抑止力であるため、集団的自衛権の関連法整備は丁寧に進めるべきだ」
「米軍違憲」破棄へ圧力
砂川事件、公文書で判明
(共同通信)2008/04/29
http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008042901000464.html
米軍の旧立川基地の拡張計画に絡む「砂川事件」をめぐり、1959年3月に出された「米軍駐留は憲法違反」との東京地裁判決(伊達判決)に衝撃を受けたマッカーサー駐日米大使(当時、以下同)が、同判決の破棄を狙って藤山愛一郎外相に最高裁への「跳躍上告」を促す外交圧力をかけたり、最高裁長官と密談するなど露骨な介入を行っていたことが29日、機密指定を解除された米公文書から分かった。
「米軍駐留違憲判決」を受け、米政府が破棄へ向けた秘密工作を進めていた真相が初めて明らかになった。内政干渉の疑いが色濃く、当時のいびつな日米関係の内実を示している。最高裁はこの後、審理を行い、同年12月16日に1審判決を破棄、差し戻す判決を下した。
公文書は日米関係史を長年研究する専門家の新原昭治氏が今月、米国立公文書館で発見した。(共同)
国務省・受信電報〔極秘〕
最高裁長官「一審は誤り」
砂川事件、米大使に破棄を示唆
(共同通信)2013/01/17
http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011701001667.html
米軍旧立川基地の拡張計画をめぐり、1957年に起きた「砂川事件」で、米軍駐留を違憲とした東京地裁判決(伊達判決)を破棄した最高裁の田中耕太郎長官(当時、以下同)がマッカーサー駐日米大使と会談し「伊達判決は全くの誤りだ」などと判決の見通しを示唆していたことが17日、分かった。
外交問題に詳しいフリージャーナリスト末浪靖司氏が2011年9月、米公文書館で、機密指定を解除された公文書に会談内容が書かれているのを見つけた。末浪氏によると、内容に踏み込んだ文書が見つかったのは初めてとみられる。
在日米軍裁判権放棄密約事件 - Wikipedia
統治行為論 - Wikipedia
9条「解釈改憲」から密約まで
対米従属の正体
米公文書館からの報告
http://www.koubunken.co.jp/0500/0482.html
「戦力」保持を禁じる憲法9条をもつ日本に、米軍駐留は許されない。だが、日本に軍事基地を確保したいアメリカは、9条の「新解釈」を日本政府に教え込む―
米公文書館に通うこと七年、今に続く対米従属の源流をここに突きとめる!
米軍人・軍属が日本で犯罪を犯しても、日本の裁判所では裁かれない。
それはなぜか?
米軍機は、深夜も早朝も爆音をとどろかせ、また住宅地での低空飛行をやめない。
それはなぜか?
その原因を突きとめるため、著者は新聞社を定年退職後、七年にわたりメリーランド州の米公文書館に通いつづけ、膨大な公文書を渉猟、日米政府間で交わされた密約の数々を発見する。
本書は、その公文書にもとづき、日本政府の従属的な対米関係がどうして生じたかを明らかにする。
必聴です!
130502末浪靖司氏インタビュー
http://youtu.be/Y8jlHUU0IdQ
【超必見】末浪靖司氏・独占インタビュー動画 2013/05/02
『9条「解釈改憲」から密約まで 対米従属の正体―米公文書館からの報告』著者でフリージャーナリスト、元赤旗論説委員の末浪靖司氏に山崎淑子がロングインタビュー。
砂川事件最高裁判決を根拠とする集団的自衛権の限定容認論を強く批判し,憲法9条の解釈変更に断固反対する声明
(自由法曹団)
http://www.jlaf.jp/menu/pdf/2014/140428_01.pdf
「人質事件に便乗」 安保法制に走る安倍政権
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月28日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015012802000161.html
「イスラム国」による日本人人質事件の緊張が続く中、通常国会が始まった。安倍政権は昨年七月の閣議決定を受け、今国会での安保関連法案の成立を期している。しかし、今回の事件であらわになったのは安保法制が目指す日米「血盟」化がもたらすリスクだ。ところが、国会召集前日の首相の発言からは、人質事件に便乗し、この「血盟」化路線を突き進もうという意図が透けて見える。
(沢田千秋、三沢典丈)
在外邦人救出 自衛隊活用「逸脱で無謀
人質になった湯川遥菜さんが殺害されたとみられる写真が公開された翌朝(二十五日)、安倍首相はNHKの「日曜討論」に出演。人質事件に続き、今国会で審議予定の安保関連法制について、こう発言した。
「このように海外で邦人が危害に遭った時、その邦人を自衛隊が救出するため、(現在の法律では)自衛隊が持てる能力を十分に生かすことはできない。そうした法制も含めて、今回、法整備を進める」
首相は安保関連法制が成立すれば、今回のようなケースで自衛隊が救出に向かえると考えているのか。
昨年七月、政府は自衛隊の集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈の変更を閣議決定した。今回の関連法案はその具体化だ。
閣議決定では、自衛隊の
海外での武器使用について「多くの日本人が海外で活躍し、テロなどの緊急事態に巻き込まれる可能性がある中で、当該領域国の受け入れ同意がある場合、武器使用を伴う在外邦人の救出に対応できるようにする必要がある」と規定した。
重要なのは「領域国の同意」について「同意が及ぶ範囲は(領域国政府の)権力が維持され、国家に準ずる組織は存在していないこと」と明示した点だ。
これは現在の「イスラム国」に当てはまらない。シリアでのその実効支配地域は、同国のアサド政権でも容易には近寄れない。
ほかにも矛盾がある。軍事評論家の田岡俊次氏は「閣議決定は海外での有事や災害の際、孤立した邦人の避難を助けるのが目的だ。首相は避難と、今回のような人質事件の救出作戦を混同している。あるいは視聴者に自衛隊が救出できるかのような印象操作を行っている」と批判する。
救出作戦の実現可能性にも疑問がある。昨年八月、「イスラム国」に拘束されていた米国人ジャーナリストの殺害映像が公開された翌日、米政府は人質救出作戦が失敗していたことを明らかにした。米軍特殊部隊はヘリコプターからパラシュートで目的地に降下。イスラム国の戦闘員と銃撃戦となったが、人質は見つけられなかったという。
田岡氏は「偵察機や無線傍受、電話の盗聴を活用する米軍特殊部隊ですら、人質や捕虜の場所を特定するのは至難の業。仮に自衛隊が救出作戦を実施しても、成功する可能性は限りなくゼロに近い」とみる。
この番組では、もうひとつ重要な発言があった。
首相は「イスラム国」への空爆など、国連決議を伴わない有志国連合による軍事行動について、「(自衛隊による)後方支援は武力行使ではないので、国連決議がある場合、そうでない場合でも憲法上、可能だ」と述べた。だが、昨年七月の閣議決定を経た現在、「後方支援」の意味は以前とは大きく異なっている。
危うい「やっつけろ」機運
「米と一体視」強まる恐れ
自衛隊の他国軍への後方支援は、米軍など多国籍軍のアフガニスタン攻撃を支援するテロ対策特措法と、イラク戦争でのイラク復興支援特措法に基づく海外派遣の二つの前例がある。
ただ、当時の憲法解釈では、他国の戦闘を補給などで支援することは九条が禁じる「戦争」や「武力行使」に当たらないが、戦闘との一体化は違憲とされた。このため、特措法でも自衛隊の活動地域を「非戦闘地域」に限定してきた。
だが、昨年の閣議決定では「非戦闘地域」の規定をなくし、「『現に戦闘が行われている現場』以外」に拡大。これには当然、活動中に戦闘が始まる可能性がある地域も含まれる。つまり、「武力行使」を黙認する事実上の憲法違反だ。
軍事評論家の前田哲男氏は「閣議決定によって、戦闘地域と後方支援の距離は一気に縮まった」と指摘する。加えて、安倍首相は今国会で、いつでも自衛隊を海外に派遣できる恒久法の制定を目指している。
前田氏は「閣議决定までの議論で、ペルシャ湾の機雷掃海の是非が論じられ、安倍政権はこれも可能としている。中東で『日本軍』が、米軍と共同作戦を展開すると受け止められても不思議ではない」と語る。
こうした中、今回の中東外遊があったが、元防衛官僚の柳沢協二氏は「外遊で表明した二億ドルの人道支援について、首相は十七日のエジプトでの演説で『イスラム国のもたらす脅威を食い止めるため』と理由付けした。資金援助だけで、過激派からは日本人が敵とみなされた。これが軍事の後方支援となれば、日本人は世界中でテロの標的となるだろう」と懸念する。
そのリスクより、首相は日米同盟の「血盟」化を優先しているかに見える。
成蹊大アジア太平洋研究センターの田浪亜央江・主任研究員(中東地域研究)は「思い出すべきことは、『イスラム国』とは米国が中東に民主化をもたらすとしてイラクを攻撃し、その占領の泥沼状態で生まれたという事実。だから、米国との同盟関係の枠内での中東への『貢献』などあり得ない。根本的にそこから考え直さねば」と話す。
ただ、現在のイスラム過激派を放置することは、国際社会の一員としては無責任に違いない。どうした貢献をなすべきなのか。
日本女子大の臼杵陽教授(現代中東政治)は「アラブ諸国やイスラエルが日本に期待するのは、経済関係の強化。歴史的にも、政治的にもほぽ関係がなかった国に軍事支援と出てこられても迷惑だ」と説く。
「しかし、できることはある。例えば、イランとはきちんとお付き合いをした方がいい。『イスラム国』が目の敵にするシーア派の大国で、対『イスラム国』の行方を握っている。イランからは日本にさまざまな関係強化の呼び掛けがあったのに、日米同盟から冷遇してきた。今後、イランを重視することが、国益にかなうのではないか」
二十七日の衆院代表質問で、安倍首相はイスラム国の人質事件について「人命第一」を繰り返した。
だが、人質救出の動きの傍ら、自衛隊による救出作戦に言及する。「人命第この本気度を疑うが、世論調査では事件への政権の対応を六割が評価した。
前出の田岡氏は、人質事件と政権の安保関連法制に対する前のめり姿勢について、こう警鐘を鳴らす。
「どの国も戦争になると政権の支持率は高くなる。国民が団結し、好戦的ムードが生まれる。第一次大戦はオーストリア皇太子夫妻の死によって千六百万人が死んだ。人質事件を機に『やっつけろ』という世論の盛り上がりが危うい」
憲八おじさんとタマ
http://www.youtube.com/playlist?list=PL2hEjnCla-LOt4_HBXbBEXD9Z7WX4a9hk
自民草案から見た安倍政権の改憲意欲 環境権入り口に9条へ
(東京新聞【こちら特報部】)2015年2月14日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015021402000171.html
安倍政権が改憲に対する意欲を鮮明にし始めた。来夏の参院選後の改憲発議を目指すという。安倍晋三首相は三日の参院予算委員会で、「わが党は既に九条改正案を示している。なぜ改正するかと言えば、国民の生命と財産を守る任務を全うするためだ」と発言した。案とは二〇一二年四月に自民党が発表した問題の多い改憲草案を指す。あらためてこの草案について考えた。
(三沢典丈、榊原崇仁)
安倍首相は十二日の国会での施政方針演説で、「憲法改正に向けた国民的議論を深めていこうではありませんか」と呼び掛けた。「『日本は変えられる』。全ては私たちの意志と行動にかかっています」という発言もあった。
二〇〇六年の第一次内閣発足時の所信表明演説や、一三年の第二次内閣の施政方針演説でも、安倍首相は「改憲」について触れてきた。だから、今回が特別なわけではないが、意味合いが違う。改憲時期の目標が初めて設定されているからだ。
四日、首相官邸で行われた自民党の船田元・憲法改正推進本部長との会談でのことだ。船田氏が一六年夏の参院選後に最初の改憲発議を目指す考えを伝えると、安倍首相は「それが常識だろう」と応じた。
参院選を考慮
慎重な発言に
自らが時期に言及せず、賛同する形を取るなど、安倍首相の言い回しは慎重だ。小林正弥・千葉大教授(政治哲学)は「現状では参院の勢力が足りず、自民党は改憲を発議できない。国民に抵抗感が強い九条改憲を前面に出し、来夏の参院選で負けては意味がないと考えているのだろう」と分析する。
改憲発議には衆参両院それぞれで、三分の二以上の賛成が必要となる。現在、衆院の自民・公明両党は計三百二十六議席と三分の二を超える。だが、参院は計百二十四議席で過半数は超えているが、改憲に前向きな野党の議席を加えても三分の二以上の百六十二議席には達しない。議席増のため、参院選を意識した発言になるというわけだ。
実際、連立を組む公明は警戒している。漆原良夫中央幹事会長は五日、改憲スケジュールについて、「初めて聞いた」と語り、困惑を隠さなかった。
公明に対する配慮からか、菅義偉官房長官は同日の記者会見でこう語った。
「国民の理解が深まらなければ、簡単にできることではない」。菅氏は一月十日のBS朝日の番組でも。「憲法改正は国民にまだ非常に拒否反応がある」と語っている。その上で、「全体というよりも欠けている部分、大事なところから入っていくべきだろう」などと公明の求める環境権創設などに言及した。自民憲法改正推進本部も、まずは環境権などを定める方向性で議論を進めるようだ。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「船田氏との会談での発言や菅官房長官の案はそれぞれ、改憲に向けたパターンの一つ。国民の反応を見て対応を決めるのではないか」とみる。
安倍政権は一三年にも改憲に向けて動いた。九六条を改定し、改憲発議の要件緩和を試みたが、与野党から反発が出て頓挫した。その結果、安倍首相は解釈改憲にかじを切った。
小林氏は「昨年の集団的自衛権の行使容認の閣議決定から今の安保法制の整備も一連の流れの中にある。今後、聞き心地がよい項目が出てきても、狙いが九条にあることを忘れてはならない」と話す。そして自民改憲草案の「九条」は、「近代立憲主義の観点から見て、非常に問題が多い」と、小林氏は言う。
「武力の行使」玉虫色記述
憲法九条が含まれる二章の表題は現行憲法では「戦争の放棄」だが、自民改憲草案では「安全保障」に変わっている。条文では現行の「戦力は保持しない」「交戦権は認めない」が削られ、「自衛権の発動を妨げるものではない」と全く異なったものになっている。
草案を解説する自民の「改憲草案Q&A」には、「自衛権の行使には憲法上の制約はなくなる」という説明がある。現行憲法では問題視される集団的自衛権の行使も認められる。
草案「九条の二」は「国防軍」を規定している。「二の3」で、国際社会の平和と安全のために国際的に協調した活動を行えると定める。関西大の高作正博教授(憲法学)は「政権が都合よく解釈できる記述だ。『イスラム国』に対する有志国連合の空爆にも参加できてしまう」と語る。
つじつまの合わない部分もある。草案「九条」は「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない」とするが、Q&Aでは「国防軍は、軍隊である以上、法律の規定に基づいて、武力を行使することは可能」と説明する。
どういう意味か。高作氏は「条文だけなら『権限は持つが武力を行使しない』ということだろうが、Q&Aの説明を踏まえれば『原則的には行使しないが、場合によっては行使する』とも読みとれる」と語った。
草案「九条の二の5」には、軍事機密に関する罪の裁判のため国防軍に審判所を置く規定もあるが、草案「七六条」では、軍法会議のような特別裁判所を置かないと定める。高作氏は「単に矛盾しているのか、例外を設けようとしているのか」と首をかしげる。
国益のために
国民が犠牲?
草案「九条の三」にはかなり問題がある。「国は(中略)国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し」とある。琉球大の高良鉄美教授(憲法学)は「米軍基地問題をめぐっては、政府には『国益のため沖縄の犠牲もやむなし』という意図があるようだが、草案通り改憲されたら、国民が犠牲になる構図が次々に生まれかねない」と危ぶむ。
「2020年へ共通目標」東京五輪の機運利用される?
今後の改憲関連の動きはどうなるのか。まず、近年の経緯を確認しておく。
二〇〇〇年、衆参両院に憲法調査会が設けられた。○五年の最終報告書で、衆院側は九条改定の方向を明確に示し、参院側は「意見が分かれた」と記した。
改憲に関する法整備はそれ以降に進められた。憲法九六条は、国会が発議した改憲案を国民投票にかけると定めるが、投票に関する法律がなかった。○七年、具体的な手続きを定めた国民投票法が成立した。しかし、投票年齢を確定させられず、政権交代などがあったため、改憲に向けた歩みはいったん止まった。
自民の政権復帰前後、動きが再開し、昨年六月に「投票年齢は二十歳以上」「施行四年以降は十八歳以上とする改正国民投票法が成立し、改憲手続き自体は整った。
高良氏は、安倍首相の施政方針演説の中の「私たち日本人に二〇二〇年という共通の目標ができた」という発言に警戒感を強める。
「二〇年の東京五輪が近づくにつれて『新しい時代を迎える』という空気がつくられ、国威高揚の動きも強まる。これを利用し、改憲の動きが加速するのではないか。十分な議論がなく、何となくの雰囲気の中で質の悪い改憲案が通るのが怖い」と語った。
立憲主義と憲法9条をまもる新潟県民の集い 2013.1027
講師:浅井基文さん
http://youtu.be/TUZBC45Ge9Y
小出裕章先生:安倍さんもマスコミも「安全性を確認した」と言うかのようにねじ曲げて発言している
警察、原発、そして政治家…権力の闇について考える
(ラジオフォーラム#111)
http://youtu.be/f_vwKWX5TVM?t=14m20s
14分20秒~第111回小出裕章ジャーナル
高まる再稼働の機運「原子力発電所が決して安全なんていうことは、誰も専門家は思っていませんし、規制委員会自身がそうではないと明言しています」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no111/
今西憲之:
小出さん、あと1か月ほどしましたら、東日本大震災、そして福島第一原発の事故から4年が経過します。
小出さん:
そうですね。
今西:
にも関わらず、またまた原発再稼働という機運が高まってまいりました。そのトップバッター、九州電力の川内原発1号機、2号機、鹿児島県にありますけれども。川内原発ですね、昨年の9月、規制委員会が安全というお墨付きを与えてから、一気に再稼働の機運が加速しました。
小出さん:
今、今西さんが「原子力規制委員会が安全のお墨付きを与えた」という言葉を使われたわけですけれども、原子力規制委員会は、そんなことを決して言っていません。
もともと原子力規制委員会が、今使っている基準というのは、規制基準という基準です。それは、初めは安全基準という名前にしたかったのですけれども、「原子力発電所の安全というようなことは言えない」ということで、あえて規制基準という名前に変えたのです。
その原子力規制委員会が川内原子力発電所に対して、新しい規制基準に適合するかどうかという審査を続けてきたわけですが、その結論として、「規制基準に適合したことを認める」と規制委員会は言いました。しかし、同時に、規制委員会の委員長である方が…
今西:
田中さんですね? はい。
小出さん:
はい。田中俊一さんが「安全だとは申し上げない」と、はっきりと明言しているのです。ですから、規制委員会は、何も川内原子力発電所が安全だとお墨付きを与えたわけではないのです。
ところが、政治の場では、安倍さんもそうですけれども「安全性を確認した」と言うかのようにねじ曲げて発言をしているわけですし、マスコミもそのねじ曲がったまま報道をしているということなのです。
原子力発電所が決して安全なんていうことは、誰も専門家は思っていませんし、規制委員会自身が「そうではない」と明言しています。
今西:
なるほど。ということはですね、「定められた基準をクリアした」というそういう程度に考えればいいんでしょうか?
小出さん:
その通りです。規制委員会がそう言っているのです。
今西:
そして、鹿児島には桜島があります。桜島ですね、今年に入ってから、かなり激しい火山活動をしておるような報道もあります。九州電力ですね、この桜島について問われると、シュミレーションを出し、桜島に万が一のことがあっても、原発の手前で止まるみたいなですね、火砕流がですね、というようなシュミレーションを出してですね。どう言ったらいいんですかね。もうとんでもない内容のものを出してきました。こういう立地にある川内原発。このまま規制基準をクリアしたからという程度で再稼働する、これがですね、福島第一原発で事故があったにも関わらず、こういうことが続くというのが、私ちょっと信じられないんですけれども。原子力ムラでは、こういうことが当たり前なんでしょうか?
小出さん:
私自身も今西さんと同じように、信じられません。実に愚かなことだろうと思います。福島第一原子力発電所の事故にしても、東京電力を含め決してそんなことは起きない。どんなに地震が来ても、どんな津波が来ても、決して壊れないと言っていたけれども壊れてしまった。
もちろん原子力発電所の危険性というのは、地震や津波だけにとどまらないで、他の要因だってあるわけですし、今、今西さんがご指摘くださったような火山の噴火というようなことだって、九州の場合には巨大なカルデラが5個も存在しているというような所であって、
どんなに安全だと言ったとしても、やはり起きてしまう時には起きるだろうと、どんなに大事故が起きてほしくないと、人間が期待しても、やはり、ダメな時はあるということを覚悟しなければいけないと私は思いますし、その覚悟というのが、原子力発電所の事故の場合にはあまりにも悲惨なことになるので、私はするべきでないと思います。
今西:
はい。それでですね、今、鹿児島の方で何とか再稼働を阻止しようと頑張っておられる仙波さんにちょっと質問をして頂きます。お願いします。
仙波敏郎さん:
先生、元姫路県警の仙波でございます。
小出さん:
はい、お話できてありがたいです。
仙波さん:
いえ、ほんとに先生の名前、私よくお聞きしとんですけども。私、現在、反原発の会阿久根の代表をしてるんです。その中で、いろんな反対運動して、いろんな勉強会もするんですけども、国民の皆さんがほんとに放射能がどれだけ危険かということがあまり理解してないかと思うんですが、先生、その点はいかがですか?
小出さん:
はい。仙波さん、おっしゃる通りだと思います。これまで国、電力会社、マスコミを含めて、全部が「原子力は安全だ、いいものだ」としか、報道してこなかったわけですし、日本人のほとんどの人達が原子力発電の問題、被ばくの問題というものを知らないまま今日まで来てしまったと思います。
ただしもうひとつたぶん要因があって、危険だということは承知してでも、自分達の生活のため、自分達の街の発展のためには原子力を受け入れるしかないというふうに思ってる方々も結構いるのではないかと、私は心配しています。
仙波さん:
はい。いろんな方にアンケート取るんですね。60歳を超えた方が、平気で賛成しちゃうんですね。
小出さん:
そうですね、はい。
仙波さん:
「明日の生活のため」と言うんですね。でも、あなた方はもう子供産むこともないでしょうと。だけど今、10代の子供さんが、この放射能によって子供が産めなくなるかも分かんないと。そういこと考えてもほんとに賛成ですか?と問い詰めると、「いや、それは困ります」と。だから、ほんとに理解がしていない。どこともそうですけど、警察もそうですけど、毒まんじゅうを食らった方が多いと思うんですね。
わたしは、何さいまで生きられますか?(´;ω;`)
※改ざんされています
小出さん:
はい、おっしゃる通りです。原子力というのは、私は麻薬だと呼んでいるのですけれども、一度、麻薬を掴まされてしまって、地域の経済がみんなそれに飲み込まれてしまうと、その麻薬から逃れることはほとんどできないという状況に今、地域の方々が追い詰められているのだと思います。
仙波さん:
そうなんですね。私、ですから就任して、一番最初にお祝いに市役所へ来たのが原発の責任者なんです。
小出さん:
そうでしたか。ありそうな話ですね。
仙波さん:
でっかい胡蝶蘭持ってきましてね。「私がどういう立場でここ来たか分かるでしょ?」と。「名刺以外の物を持ってこられたら困る」ということで、厳しくお伝えしましてね。それがまだ原発事故のある前なんですよ。ところが他の市町村は、鹿児島26あるんですけども、全て行ってるんですね。
小出さん:
当然だと思います、はい。
仙波さん:
そうですか。私、それを拒否したんですけれど。
小出さん:
多分、仙波さん以外は皆さん受け取ったんではないかと私は思います。
仙波さん:
いや、それがですね。その後、事故があってですね。反対活動してるんですけども、ほんとに止めないと明日はどうなるだか思うんですけど先生、原子力ムラにおいでましてですね、今のようなご意見を言って、よくその立場でいれるなと思って。私それをですね。
小出さん:
いやいや、仙波さんだって、まだ殺されずに生きてらっしゃるわけですし。はい、私なんか仙波さんに比べれば、ぬるま湯のような所です。
仙波さん:
いえいえ。私、実は今、東京来ましてですね。今でもホームに立つ時、駅のホームに立つ時は電車に背を向けて立ってます。
小出さん:
そうですか。私の友人も私に、「ホームでは決して一番前に立つなよ」とか言ってくれる人がいます。
仙波さん:
その通りです。もう当然です。
小出さん:
ただ、私自身一切そんなこと気にしないまま、今でも生きていますので、たぶん仙波さんほど厳しい状況ではないのだと思います。
仙波さん:
でも、ほんとにこの原発問題はですね、力は小さいですけど、一歩一歩反対を徹底して、再稼働を阻止したいというふうに思っています。
小出さん:
ありがとうございます。
仙波さん:
よろしくお願いします。
小出さん:
こちらこそ。
今西:
元警官と大学の偉い先生のトークとは思えない、非常に過激なトークでした。ほんとに。もうたぶん、ラジオフォーラム始まって以来の過激さだったかなあと思いますが。はい。小出さん、ありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。
仙波さん:
失礼します。
小出さん:
はい、失礼します。
福島市 小学5年生の女の子
「わたしは、ふつうの子供を産めますか?何さいまで生きられますか?」
なんで、わたしだけ、転校しないといけないんですか。
毎日、長そで、長ズボン、マスク、ボウシでとても暑い日もいっています。
外でも遊べません。まども、去年のようにはあけられません。
わたしのお母さんは、いつもニュースを見るかパソコンをしています。
わたしは2学期から転校します。あと7日しか、学校にいれません。とってもいやでとってもかなしいです。
TVでは、福島市○○○は安全ですといっているけど、じっさいに、こうえん会にいくと、いろいろな人があぶないと言っています。
他の県の人達も、福島の子供、わたしたちを福島県からにがそうと、いろいろプロジェクトを考えてくれています。
なぜ福島市は、ひなんにならないのですか。
「わたしの夢は去年とは全くちがいます」
*放射線をなくしてほしいです。
*ひなんくいきにしてほしいです。
*平和な国にもどってほしいです。
*ふつうの子供を産みたいです。
*長生きしたいです。
*本当にだいじょうぶと思っているのかを知りたいです。
*もう、じしんの国、日本に、げんぱつをなくしてほしいです。
*ひなんしている人を元気づけたいです。
*みんなが自然のえがおでみんなを元気にしたいです。
*日本中のみんなの力を合わせてふっこうしたいです。
*放射線がなくなって、外で犬をかいたいです。
*しゅくはくくんれんに今の学校の仲間といきたいです。
お願いします。私たちを守ってください。
「安心して暮らしたい」福島の子どもが政府に訴え
http://youtu.be/uP2LCHHnero
福島の小中学生4人が上京し、原発事故の影響で辛い生活を強いられている自分たちの思いを綴った手紙約40通を、内閣府原子力災害対策本部と文部科学省の担当者に手渡し、「どうしてこんな思いをしなくてはいけないのか」と訴えた。
主催したのは、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク。原発事故の一番の被害者である福島の子どもたちの声を永田町に届けようと企画したもので、会場の衆院議員会館には、首都圏だけでなく、京都や山口県からの参加者もあり、子どもたちの声に耳を傾けた。
中学2年生の橋本伽耶さんは、「わたしは6月に転校をしてとても悲しい思いをしました。友達も泣いて別れを惜しんでくれました。こんなふうにバラバラになっていくのは、わたしたちにとって耐え難く悲しいことです。出て行った人も残った人もお互いのことが心配でたまりません。ですから、わたしたちが学校の友だちとみんなで安全な場所に避難できるよう、真剣に考えてください。そして、わたしたちが避難している間に、森も山も川も田畑も、福島県全域を徹底的にきれいにする計画を立てて、実行してください。わたしたちが将来安心して暮らせるよう、最大限の努力をしてください」と訴え、避難範囲を見直し、学校ごと集団疎開できるよう訴えた。
子どもたちのストレートな問いに対し、政府の担当者は、「除染が期待されていると思うので
頑張ります」と回答。子どもたちの悲しい思いはそういうことではない。疎開については
どう思うのかと指摘されると、マイクをたらい回しにし、10人出席した政府関係者は誰ひとり、きちんとした回答をしなかった。
NHKスペシャル シリーズ原発危機
「安全神話 ~当事者が語る事故の深層~」
http://v.youku.com/v_show/id_XMzI3Njk1ODMy.html
大津波による全電源喪失、メルトダウン、水素爆発、そして放射性物質の拡散・・・。未曾有の大災害を引き起こした『福島第一原子力発電所』の事故で、これまで「絶対安全」とされてきた日本の原発の“安全神話”はもろくも崩れ去った。
長年、安全性の根拠となってきたのが、原子力安全委員会が定める『安全審査指針』だ。指針の策定や改訂をめぐって、専門家や官僚、電力会社は何を議論し、原発の安全を確保しようとしてきたのか。
調査報告 原発マネー
~“3兆円”は地域をどう変えたのか~
http://v.youku.com/v_show/id_XMzYzNDUxODQw.html
福島第一原子力発電所の事故から1年。
東京電力は燃料費の高騰を理由に電気料金の値上げを予定している。その前提となる現在の電気料金制度が妥当なのかどうか。政府は複数の有識者会議を設け、検証を進めている。
焦点の一つが、原発の建設・運転にともない自治体に入ってくる、国からの「交付金」、電力会社からの「寄付金」などの原発関連コスト、いわゆる“原発マネー”である。
私たちの税金や電気料金から賄われているが、どれだけのカネが何の目的で自治体に渡されたのか、今もよくわかっていないものが多く、その全貌は明らかになっていない。
今回、NHKでは、44ある原発の立地自治体にアンケートを実施。
これまで自治体側に支払われた総額が3兆円に上ることが、初めて明らかになった。そして、自治体の行政サービスが、このカネに深く依存していた事が分かってきた。
国策としての「原発推進」と「地方振興」を両立させるという理念から、国・電力会社・立地自治体の間でやりとりされてきた原発マネー。
番組では、その使途を検証するとともに、私たちの払った税金や電気料金がどのように使われたかを明らかにする。
福島第1原発 排気筒 耐用基準超えか
倒壊なら放射性物質飛散も
(しんぶん赤旗)2015年2月20日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-20/2015022001_01_1.html
停滞する住宅再建 今春にも帰還の楢葉町
(東京新聞【こちら特報部】)2015年2月15日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015021502000152.html
福島原発事故の被災地で昨年来、避難指示解除が本格化しつつある。事故直後に町域の大半が立ち入り禁止となり、全町的な避難が続く福島県楢葉町は、今春にも解除を受け入れることを検討している。しかし、同町では肝心の住宅再建が滞っている。傷んだ家屋の修繕が進まず、帰るに帰れない状況だ。復興ムードを演出したい国は解除に前のめりだが、生活現場では山積する問題が放置されたままだ。
(榊原崇仁)
ピークこれから帰るに帰れず
楢葉町役場前にある仮設商店街。オープンから半年がたち、昼時になると、食堂やスーパーは復旧復興関連の作業員らでにぎわう。商店街が面している国道6号は昨年九月に全線開通した。町内では、二十四時間営業のコンビニエンスストアが再び店を開けた。
復興の足音が近づいているように見えるが、役場裏手の丘に目を向けると、一階部分が崩れかけたままの民家があった。町内を車で回っていると、傷んだ屋根にシートが掛けられた家屋が目立つ。修繕が進んでいる家屋はほんのわずかだ。
「去年の初めに楢葉の持ち家の修繕を頼んだけど、一年以上たっても作業は始まっていない」
楢葉から、いわき市内の仮設住宅に避難する男性(五六)はそう明かした。「家の中はネズミの運動場。至る所をかじられ、ふん尿の臭いが染みついた。湿気がたまり、床はベコベコだ」
同じくいわきに避難する主婦(五二)の自宅は昨年八月に修繕が始まった。だが、「直してもらったのは網戸ぐらい」。全工程の一割程度しか終わっていない。
事故直後、福島第一原発の二十キロ圈は、立ち入りが禁じられる警戒区域に指定された。楢葉町の大半はその区域だった。二〇一二年八月の区域再編で避難指示解除準備区域となり、通行は自由になったが、避難指示は継続された。人けのない家屋は傷みが進んだ。
松本幸英町長は昨年五月、町内の除染が完了したことなどを受け、「早ければ一五年春の帰町を目指す」と宣言。この時期の解除受け入れを視野に検討を進める考えを示した。
しかし、修繕予定の家屋は町内世帯の三分の二に当たる約千八百戸あり、町の担当者は「修繕のピークはこれから」と明かす。町の住民意向調査では、半数近くが帰町に前向きだった。早期に相当数の修繕を済ませる必要がある。
担当者は「町民の方々は昔からの縁を大切にして、修繕を町内の顔なじみの建築業者に頼っている。新築時にお願いした業者なら任せやすいのだろう。ただ、町内の業者は十社程度しかなく、年配の一人親方ばかり。結局、手が回らなくなっている」と語る。業者の一人は「現場を仕切る親方に加え、手足となる職人も足らない」と話す。
たしかに町外の業者に頼む手もなくはない。しかし、その場合、業者が遠方なら高速道路の通行料や宿泊費などが必要になり、負担がかさんでしまう。
いわき市など比較的人口が多い地域では、避難住民が仮設住宅を出て、自宅を新築する例が増えているという。先の業者は「利益が出やすい新築案件は、大手ハウスメーカーが力を入れている。職人も囲い込んでいるようだ」と漏らした。
住民不安…国は前のめり
避難解除、地元の関与必要
傷んだ家を解体し、その場所に新しい自宅を建てるケースもある。
環境省は東日本大震災で半壊以上と認定した家屋を無償で解体しており、楢葉町内では一五年度末までに約千戸を手掛ける。町によれば、約二百戸は解体後に同じ場所で新築する。
ただ、解体に取りかかったのは、当初計画より半年ほど遅い昨年十月から。環境省福島環境再生事務所の担当者は「解体で出る廃材の仮置き場の確保に時間がかかった」と説明する。
解体のペースも、今年三月末までに二百三十戸の解体を予定していたが、二月初めまでに終わったのは約五十戸だけ。新築にまで進んだ例は皆無に近い。
町の担当者は「解体を担う土木業者も、被災地の間で取り合いの状況。解体のペースが、今後上がるかどうか…」と気をもむ。
自宅の敷地内ではなく、町内の別の場所で自宅を新築するという考えもありそうだが、楢葉町のJR竜田駅前で自宅兼食堂を構えていた佐藤美由紀さん(五〇)は「戻るなら、昔と同じ場所がいい。事故の前の生活に戻すというのは、そういうこと」と語る。
町が先月二十五日から町民向けに開いている懇談会では、出席者から「帰町しても住む家、帰る場所がないという事態が起きる可能性が膨らんでいる」といった不安の声が上がった。
町は「今春にも帰町」と避難指示解除の受け入れの目安を示してきた。松本町長は「避難指示を出したのは国。だから解除を決めるのも国」という認識だ。
しかし、国がこれまで、地元の意向をくんで避難指示の解除を慎重に考え、その後の支援を丁寧に実施してきたかといえば、疑問符を付けざるを得ない。むしろ、福島県内の先例を見る限り、生活環境が整わないまま、帰還を促してきたように思えてならない。
国は昨年四月に田村市、十月に川内村について「除染によって放射線量は下がった」などとして、それぞれ避難指示解除準備区域の指定を解除。十二月には、南相馬市でも特定避難勧奨地点の指定を解いた。
除染が行き届いていないことを指摘する住民がいたにもかかわらずだ。
田村市と川内村の住民は解除から一年後、南相馬市は今年三月で、避難に伴う賠償を打ち切られる。震災で仕事を失い、将来展望を持てない住民が少なからずいても、解除後に待っているのは「後は自力で」という冷徹な現実だ。
楢葉町の場合、「今春」という町の目標が国に都合良く引き合いに出され、住宅再建が進まない中で避難指示が早々に解除されてしまう可能性がある。
その際、住まいの確保は死活問題だ。避難生活を続けるにせよ、仮設住宅や借り上げ住宅で暮らせる期限は、現時点では一六年三月までとなっている。
国と福島県が協議して決めるこの期限は、すでに三回延長されてきた。もしも四回目がなければ、修繕が終わっていない家屋に住まざるを得なくなったり、最悪の場合、路頭に放り出される事態に至りかねない。
大阪市立大の除本理史(よけもとまさふみ)教授(環境政策論)は「そもそもの問題は、国が何か判断を下す際、地元がそこに関与できる手続きがルール化されていないことだ。地元側は歯止めをかける有効な手段がないため、国が都合良く物事を進めやすくなっている」と指摘する。
「地元軽視の構図を変える努力をしなければ、実情とかけ離れた復興にしかならないだろう。これは他の自治体にも当てはまることだ。楢葉だけの問題で済ますことはできない」
禍根残した記事取り消し 朝日の吉田調書報道を考える
(東京新聞【こちら特報部】)2015年2月7日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015020702000143.html
東京電力福島第一原発事故をめぐる「吉田調書」をスクープした朝日新聞社の記事は「虚報」「捏造(ねつぞう)」なのか。同社は「調書を読み解く過程で誤り」があったとして記事を取り消した。だが、「誤報ではない」と主張する弁護士らは記事取り消しの撤回を求めている。日本新聞労働組合連合は、新聞労連ジャーナリズム大賞の特別賞を吉田調書報道に贈った。政府が隠蔽(いんぺい)する情報を公にするのはジャーナリズムの使命だ。日本人人質事件で政権批判を自粛するムードが広がる中、吉田調書報道をいま一度考える。
(上田千秋、篠ケ瀬祐司)
秘密資料
入手したのに
脱原発弁護団全国連絡会共同代表の海渡雄一弁護士やジャーナリストの鎌田慧氏らは昨年十二月、吉田調書に閧する記事の取り消しと記者への処分を撤回するよう求める声明を出した。海渡氏は「非公開の資料を入手して報じたのだから、国民の知る権利に応えたといえる」と訴える。
「誤報ではない」
問題の記事は、昨年五月二十日付朝刊の一面トップに掲載された。福島第一原発の吉田昌郎(まさお)所長(当時=二〇一三年七月に死去)が政府事故調査・検証委員会の調べに答えた聴取結果杳「吉田調書」を独自に入手。事故時に原発の所員がどういった動きをしていたかを知る第一級の資料だ。
見出しは「所長命令に違反原発撤退」。東日本大震災四日後の一一年三月十五日早朝、吉田所長が第一原発構内での待機をテレビ会議で命令しながら、所員の九割に当たる約六百五十人が十キロ南の福島第二原発に撤退したと指摘した。一部週刊誌は内容に異論を唱えたが、朝日は「外形的事実に誤りはない」との姿勢を崩さなかった。
ところが、遅れて調書を入手した新聞やテレビが「吉田所長は全面撤退を否定している」などと報道すると、流れが変わった。政府が調書を公開した昨年九月十一日、木村伊量(ただかず)社長(当時)らが会見し、記事を取り消すと表明。「所員の多くに『命令』が伝わっていたかどうかを確認できていないなど、取材が不十分だった」と釈明した。
さらに十一月中旬、弁護士と大学教授計三人でつくる社内の第三者機関「報道と人権委員会」がまとめた「所長命令に違反したと評価できる事実はなく、裏付け取材もされていない」とする見解を公表。同月末には、記事に関わった六人を停職や減給処分とした。
では、海渡氏らが「誤報ではない」とする根拠は何か。最も重視するのが、吉田所長が原子力安全・保安院(現原子力規制委員会)に送ったファクスだ。十五日午前六時三十七分に「念のため対策本部を福島第二へ移すこととし、避難いたします」と発信し、午前七時には一先ほどの退避については監視、作業に必要な要員を除き、一時待避することに内容を訂正いたします」と変更されている。
加えて、東電の各部署や各原発と結ばれているテレビ会議を聞いていた柏崎刈羽原発(新潟県)の所員が残していたメモにも、午前六時四十二分に吉田所長が「構内の線量の低いエリア
で退避すること」と発言したとの記載があった。
海渡氏は「テレビ会議を聞いていた幹部が命令を理解していたことは状況から間違いない。下の所員まで伝わらなかったのは幹部が言わなかったからであり、その点は明確に命令違反だ」と断じる。
翼賛体制進むのでは
人質事件
政府批判「萎縮」に危機感
朝日新聞の「原発吉田調書をめぐる特報」が、第十九回新聞労連ジャーナリズム大賞の特別賞に選ばれたのは、記者への処分から1ヵ月余りが経過した今年一月初旬。問題を蒸し返した格好だ。
選考評は「非公開とされていた調書を公に出すきっかけになったという点で、昨年一番のスクープと言っても過言ではない」と絶賛した上で、記事の取り消しについて「選考委員は『虚報や捏造と同列に論じるのはおかしい』との見解で一致した」と批判した。
調書公開させた
選考委員の一人でフリージャーナリストの青木理(おさむ)氏は「吉田調書に関する朝日の報じ方にはいろいろな評価があるが、権力側が隠す情報を手に入れて報道し、それをきっかけに調書を公開させた功績は評価すべきだ」と強調する。
吉田調書の記事は、慰安婦が強制連行されたとする故吉田清治氏の証言記事などと同時期に取り消された。吉田調書自体は存在するにもかかわらず、「伊藤律架空会見」(一九五〇年)やサンゴ事件(八九年)と同様、報じられた事実そのものが捏造だったとみなしたに等しい。
朝日広報部は、「こちら特報部」の取材に対し「新聞労連の表彰は、同団体の考えでなされたものであり、見解を述べる立場にない。記事取り消し、社員の処分について見直す考えはない」とコメントした。
青木氏は「全部謝って済ませたいとの気持ちは理解できないではないが、吉田調書報道の取り消しは禍根を残した」と残念がる。
「原発事故の実態や、調書を隠してきたことに焦点があたらず、朝日たたきの材料になってしまった。政権や原発再稼働を目指す側には一石三鳥だ。今後は『けがをするぐらいならやめておけ』とメディアの自主規制が強まりかねない」
実際、過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件では、いまなお政府批判を自粛する空気が蔓延(まんえん)する。「政府批判はテロと同じ」といった極論まで飛び交う始末だ。
青木氏は「メディアが秘密を暴いて短期的に国益を損ねても、問題を顕在化して解決に向かわせることで、中長期的な『市民益』になる。だが今は『なぜ国の秘密を暴くのか』と批判される」と危惧する。
もちろん、自粛ムードに対抗する動きはある。作家や映画監督、俳優の有志らは九日、参院議員会館で「自粛という名の翼賛体制構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」を発表する。「非常時は政権批判を自粛すべきだとの理屈を認めると、(戦前と同じ)翼賛体制の構築に寄与する」と警鐘を嗚らす予定だ。
まさに翼賛体制のきっかけは、一九一八年に起きた大阪朝日新聞の「白虹筆禍事件」とされる。政府批判の関連記事で、君主への反乱を示唆する「白虹日を貫けり」の語句があったことから、当局は記者らを起訴。社長は辞任に追い込まれ、結局、政府に恭順の意を示すことになった。
声明の賛同人の一人でジャーナリストの今井一氏は「既に危ない状態にある」と言論界の自覚を促す。
「こんなご時世だから政府批判はよくないというのは、自粛ではなく萎縮だ。誰が、どの党が政権を担おうとも、批判すべきがあれば臆さずに書き、話さなければ戦前に戻ってしまう。戦前も『自分たちは遠慮をしていない。国のために自重しているだけだ』と言っていたではないか」
安倍さまのNHK と 芸能界の微妙な関係?(´-ω-`)
「芸能」と「政治」の微妙な関係
考える広場(東京新聞)2015年2月21日
芸能人が権力を持つ政治家を皮肉り、風刺する。そんな光景が許されにくい風潮が日本にはある。最近起きた一連の騒ぎは、あらためてそれを示した。芸能と政治の距離感は、どうあるべきか。
ネタにして笑おう
お笑い芸人
大川豊さん
昔からテレビで政治ネタはご法度ですよ。一九八〇~九〇年代は、北朝鮮とか政党絡みの話は絶対駄目でしたね。丸ごとカットされる。唯一放送されたのが、レバノン内戦の時にレナウンのCMをもじって「レバノン娘」と歌ったぐらい。
やはり視聴者から批判がありますからね。芸能人のイデオロギーがちょっとでも自分と違うといやなんでしょう。でも、見たくなければスイッチを消せばいい。絶大な権利があるのに、それがないかのように文句を言うのはおかしいと思うけど。
アーティストの場合、ファンとの関係が疑似恋愛に近い。イデオロギーか違うと恋愛って成立しなかったりする。サザンの桑田佳祐さんのパフォーマンスが批判されたけど、これまで恋愛の歌を歌っていた人にいきなり政治ネタをされても、という感情があったのかな。これか泉谷しげるさんだったら許されていたんじゃないか。
サザンも、ミスチルも、ももクロも、自分なりの考えを発言していいと思うんです。専門知識がなくても、初めて選挙に行った有権者の意見みたいな感覚で構わない。それを「お、言うようになったな」と受け止める余裕が、成熟社会にはあってほしい。でも、現実にはネットで過剰にたたかれる。どんどん息苦しい社会になっています。
自分が政治をネタにするのは、やっぱり面白いから。難しいことを難しく言っても駄目。お笑いならみんなに分かりやすく、お上のインチキにツッコミを入れられる。昨年末の衆院選で、自民党がテレビ局に「公平中立な報道」を要望したでしょう。あんな介入こそ、絶対ネタにして笑わせなきやいけない。
幼いころ、母が働いていた米軍キ々ンプで育ちました。当時はベトナム戦争の真っただ中。言葉か通じないなりに、周りの大人のポリティカルジョークを聞いていた。米国社会ってユーモアがないと駄目だし、子どもも自分の意見を持たないと駄目なんだと気づきました。
逆に、日本社会って変わった意見を持つ人や異端者をなかなか認めない。空気や雰囲気だけで攻撃する人も多い。でも世界中でモノを売り、人と関わる時代なんだから、もっと個人が意見や思想を持って自立しなければ。そうしないと、猛スピードで格差が拡大するこの世の中には太刀打ちできないと思います。
(聞き手・樋口薫)
集団の論理 脱却を
映画監督、作家
森達也さん
桑田佳祐さんが批判を受けた件と「爆笑問題」が政治ネタを封印したとされる件は、単に二組の表現者が圧力に屈したという問題と捉えたら、事の本質を見失います。表現の自由を抑圧するのは誰か。それは権力や右翼。ではなく、ほかならぬ自分たちだということが問題なのです。
桑田さんの曲は「ピース(平和)とハイライト(極右)」。暗喩ですね。オークションのパフォーマンスも含めて、表現の一環です。自分への抗議くらいは覚悟していたはず。でも、抗議する右翼の街宣車が事務所に来た。困った会社から「社員に万一のことがあったらどうするんだ」と言われ、桑田さんは謝罪に同意した。ここにあるのはリスクを避けたい組織の論理だけ。それに個の論理が負けてしまうのが、まさに日本です。
NHKの件では、安倍晋三首相寄りといわれる会長の影響という声があります。それもあるのかもしれないけれど、本質は自主規制。テレビディレクター時代に、「放送禁止歌」というドキュメンタリーを作りました。放送してはいけない歌が存在する。業界の誰もがそう思っていたけれど、そんなルールはどこにも存在していなかった。規制を作ったのは自分たち。でも、それを忘れてしまう。そして自由がないなどとため息をついている。自由がこわいんです。自ら規制を求めてしまう。なぜなら集団の中にいるからです。
http://www.youtube.com/playlist?list=PLjmHYjZ_rI9U07GZjLT7I4Z81iBA6qnJy
日本はもともと集団と相性が良い国です。集団の同調圧力がとても高く、忖度(そんたく)とか言わずもがなの自主規制の傾向が強い。「不謹慎」という言葉が典型です。それは「みんなが右と言っているときに、何で左を向くのか」ということです。その傾向はオウム事件以降、さらに加速している。不安や恐怖が切迫すると集団化が進むからです。米中枢同時テロがあり、そして今回の人質事件。政府の対応を批判したら「『イスラム国』を擁護するのか」と言われてしまう。もう敵か味方か、しかないみたいな。
今、日本人はそんな思考パターンに染まりやすくなっています。それは、どうしてあんな無謀な戦争をしたのかというところにもつながります。その流れに新聞も含めたメディア全体が抵抗できていない。今こそ、集団から外れることが大事です。特にメディアに関わる者、表現者は。
(聞き手・大森雅弥)
http://youtu.be/XxhUwj414bo
風刺の文化育たず
タレント
デーブ・スペクターさん
日本ではそもそも、政治を風刺する文化が育ってきませんでした。戦後、政権は長く自民党にお任せ状態だった。それで経済成長もうまくいき、政治家をやゆしなくてもいいじゃないか、という雰囲気になってしまったんでしょう。政治ユーモアの底が浅いんですね。だからテレビなどの媒体が政治ネタをほとんど扱わず、視聴者も気に入らないネタをすぐに批判する。
「ザ・ニュースペーパー」という面白い政治コントグループがあります。安倍晋三首相や小泉純一郎元首相らに扮(ふん)して笑わせるのですが、今はテレビにあまり出てこない。米国や英国なら、普通の芸能人より露出が多くてもおかしくないですよ。欧米にはザーニュースペーパーみたいな人がたくさんいます。
http://www.youtube.com/playlist?list=PL0Vh8QXFmrkQ2Y1948AZfs8qAX5AHFocG
米国のテレビではトーク番組の「ザ・トゥナイトーショー」とかで連日、政治ネタを流してます。オバマ大統領がどうのこうのという話ですね。ちゃかしたり、やゆしたり。ニュース番組の形を取る政治風刺コメデイーの「ザ・デイリー・ショー」なんか、政治のことをむちゃくちゃ言ってますよ。そういうことを言える環境があるんです。
http://youtu.be/OTiPk9pQN48
http://youtu.be/j-bijK1xH30
日本では政治や原発問題を過激に取り上げてる芸人は「ちょっと、使うのやめとこうか」と言われかねません。CMにも呼ぱれなくなる。そうなると、本人も家族や事務所への影響を考えてしまう。トータルで損をすることになれば、やはり黙るでしょう。それは仕方がない。そういう中で、爆笑問題はきちんと発言していると思いますけどね。僕白身は番組で「政治ネタをやめてください」と言われたことは一度もありません。
今の日本は抗議に対して、過敏になりすぎています。例えば、数十人、数百人から抗議があっただけで、テレビ番組が打ち切られてしまうことがある。その番組を楽しんでいた、残りの何百万人というファンの権利はどうなるのでしょうか。まったくバランスが取れていない。
例えば、政党が番組をチェックしてクレームをつけてきても、事実無根でない限り「ああ、そうだったんですか。分かりました」と言うだけでいいんです。それで内容を左右される必要はありません。表現の自由があるんですから。政府がコントロールすることはできないんです。表現の自由に触れる部分でメディアがあまり萎縮していると、先進国ではなくなってしまいます。
(聞き手・小田昌孝)
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芸能界は甘い?
極楽とんぼ・山本さん 活動再開へ
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年1月7日
お笑いコンビ「極楽とんぼ」で人気を博したものの、約九年前に少女暴行事件で摘発され、芸能活動停止に追い込まれた山本圭一さん(四六)=写真=が十九日に都内で「復活ライブ」を挙行する。ネット上では、かつての芸能人仲間らが歓迎する一方、「テレビで犯罪者を見たくはない」などと批判が噴出している。
(林啓太)
厳しい批判も/今後の振る舞いカギ
「山本圭壱お笑いLIVE(ライブ)」。手書きのチラシの画像がネットに掲載されている。「圭壱」は旧芸名だ。場所は東京・下北沢の「駅前劇場」(定員百人)。料金については「私、山本圭壱がざるを持ってロビーに立ちますのでお客様のご厚意を投げ銭として反映させて頂けますと望外です」と記している。
「こちら特報部」は、山本さんの代理人と連絡を取ろうとしたが、電話はつながらなかった。
山本さんは一九八九年、相方の加藤浩次さんとともに極楽とんぼを結成。テレビのバラエティー番組などに引っ張りだこの人気者になった。
強姦の疑いで北海道警に書類送検されたのは二〇〇六年八月。同七月に少女=当時(一七)=に酒を飲ませて暴行したとされる。警察の調べに「ゲーム感覚で合意があった」と容疑を一部否認していた。函館地検は同十月、不起訴処分に。少女との間で示談が成立し、告訴が取り下げられたためだ。
所属先の吉本興業は事件発覚後に契約を解除。山本さんは芸能界から姿を消した。その後は、飲食店への勤務や、寺での修行が報じられた。極楽とんぼは解散こそしていないが、相方の加縢さんが一人で活動しているというのが現状だ。
加藤さんは今月五日、復活ライブについて伝える民放番組で「極楽とんぼとして(山本さんと)二人でいつかやりたいと思っている」とエールを送った。ツイッター上では、後輩タレントの田村淳さんが「この日を待ってました!」。橋下徹大阪市長も「再チャレンジの機会が与えられるのは当然」と励ました。
しかし、一般のアカウントでは、「また調子に乗って度が過ぎる事をしそう」「TVで堂々としてる性犯罪者を見たくはない」「犯罪者でも復帰出来る甘々な世界ならでは」などと辛らつなコメントが並ぶ。
刑事事件を起こした芸能人が、復活するケースは過去にもある。ただし近年は、「容疑者」となった芸能人には厳しい目が注がれる。代表格はタレントの田代まさしさんだ。○○年以降、女性のスカートの中をビデオで隠し撮りしたり、アパートのふろをのぞいたりして警察にたびたび摘発された。○四年九月には覚せい剤取締法違反(所持)などの疑いで警視庁に逮捕され、東京地裁で実刑判決を受けた。社会復帰してからはネット上などで芸能活動を再開したが、地上波テレビの番組に出演する機会はほとんどない。
山本さんの芸能界復帰は許されるのか。
芸能界の内情に詳しいジャーナリストは「過去に罪を犯したと報じられた芸能人の復帰は相当厳しい。番組のスポンサーは視聴者からの苦情を恐れるようになった」とみる。
琉球大の矢野恵美准教授(被害者学)は「山本さんは不起訴処分なので、罪を犯したと断じて批判することはできない」と前置きした上で、こう指摘する。
「性犯罪については、被害者の感情を重視する世論が定着しつつあり、お笑いファンの視線も厳しい。芸能界に復帰できるかどうかは、罪を犯すような人間ではないとファンに理解してもらえるよう振る舞えるかどうかにかかっている」
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の視聴率低迷はスマホが原因だった!?
(DMMニュース) 2015.02.25
http://dmm-news.com/article/921191/
またもやNHK大河ドラマの低視聴率が話題となっている。
今年の大河は井上真央主演の『花燃ゆ』だが、初回1月4日の視聴率は大河史上歴代ワースト3位となる16.7%と不穏な幕開けとなった。しかし、その後も持ち返すどころか、どんどん下降線をたどり、2月15日にはダメな民放ドラマばりの11.5%を記録。すると、ネットや芸能メディアでは、「人気者といわれてきた井上真央だが、実は数字を持ってない」と、主演の真央を戦犯扱いする声があちらこちらで聞かれるようになった。
「視聴率凋落には根本的な原因がある」
実際のところ、何が低迷の理由なのだろうか?
「主演がどうこうとか、脚本や演出の良し悪しではないですね。実際、昨年の大河ドラマ『軍師 黒田官平衛』は、通年で視聴率10パーセントそこそこと散々な結果でしたが、玄人筋からは、岡田君の演技も、ドラマ自体の評価も非常に高いものがありました。それなのに数字には結びつかなかった。つまり、大河ドラマの凋落には、役者や脚本、演出などではなく、もっと根本的な理由があるのだと思います」(放送作家)
たしかに、ここ数年、大河ドラマの視聴率は低迷の一途を辿っている。当代きってのモテ男・福山雅治を主役に抜擢した『龍馬伝』(2010年)でさえ平均18%強、『江・姫たちの戦国』(2011年・上野樹里主演)が17%強であり、『平清盛』(2012年・松山ケンイチ主演)、『八重の桜』(2013年・綾瀬はるか主演)にいたっては、それぞれ、12%、15%弱だった。
各シリーズの主役は、みな売れっ子の超人気俳優。低迷の理由を彼らに求めるのはさすがに無理があるだろう。
一方、元気なNHKの朝ドラ
このように、かつては日曜夜の高視聴率枠であったNHK大河ドラマの凋落ぶりに比し、同じくNHKの朝ドラは、なぜか大人気を博している。
国民的ドラマとなった『あまちゃん』を筆頭に、『花子とあん』、『まっさん』と、続々と20%超を誇る番組を送り出している。いったい、何が違うのか? 前出の放送作家はいう。
「ドラマ自体の質、役者の陣容を比べたら、確実に大河のほうが上です。しかし、大河は凋落し、朝ドラは躍進している。この背景にはスマホ時代特有の理由があると思います。いま、ネットニュースにしろ、動画サイトにしろ、コンパクトで短いものが主流。ある学者の研究によれば、スマホが主流となった現代において、人々が動画を集中して見ることのできる時間は平均15分程度だそうです。そうなるとCMなしで45分間ノンストップの大河ドラマはあまりに長い。一方の朝ドラは15分間です。この違いが両者の視聴率の違いに現れているのではないでしょうか」
今週発売の週刊女性の記事でも『花燃ゆ』低迷の現状が報じらており、あまりの落ち込みぶりに慌てたスタッフがテコ入れとして、今後登場予定の“坂本龍馬”役として、福山雅治やキムタクといった大物を起用するのでは、といった憶測記事を書いている。前出の放送作家の言のように、いまやキャスティングでどうこうなるような話ではないのかもしれない。
(取材・文/小林靖樹)
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慰安婦報道めぐる発言 NHK会長の罷免要求 JCJなど3団体
(東京新聞)2015年2月11日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015021102000136.html
NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長が「従軍慰安婦問題を番組で取り上げるかどうかは、安倍晋三首相の戦後七十年談話を見極めてから」との意向を示したことに、日本ジャーナリスト会議(JCJ)など三団体は十日、籾井氏の辞任や罷免を求める申し入れをNHKに行った。
籾井氏は五日の定例会見で、慰安婦について「正式に政府のスタンスがよく見えない中で放送するのが妥当かを慎重に考えなければならない」と述べた。
申し入れによると、籾井氏の発言を「番組は政府の方針に従って作る」と表明したとし、放送法を理解していないと批判。「NHKが進んで政府の方針に順応することを明言したのは、放送の自主・自立の放棄宣言に等しい」としている。
JCJによると、三団体を含む七つの市民団体が昨年から集めている籾井氏らの罷免要求署名数は、七万二千を超えたという。
一方、十日開かれた経営委員会後、浜田健一郎委員長は、会長発言について近く籾井氏に真意を聞くと記者団に述べた。同席した上村達男委員長代行は「個人的には(発言は)遺憾だ」と話した。
NHK籾井会長1年と放送90年・戦後70年
メディア研究者 松田 浩さん
焦点・論点(しんぶん赤旗)2015年1月25日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-25/2015012503_01_0.html
今年は1925年(大正14年)に日本で初めてラジオ放送が始まって90年です。またこの1月は、安倍政権が送りこんだといえる籾井勝人(もみいかつと)NHK会長が誕生して1年という節目です。「籾井会長下のNHK 1年」を放送の歴史と戦後70年の中でどうとらえるか一長く放送とメディアを研究してきた松田浩さんに聞きました。
(小寺松雄)
戦前の教訓と民主化の理念ふまえ
「政権からの独立」取り戻そう
―放送誕生はどんないきさつだったのでしょうか。
松田 日本のラジオは、大正デモクラシーの流れのなかで産声を上げました。当初は新聞資本をバックに商業放送の予定でしたが、当時の犬養毅逓信相が「放送は偉大な広播力がある」ので「政府の監視容易な組織に」する必要があると社団法人でスタート。同年3月から東京、名古屋、大阪で順次放送が始まりました。ところが1年半後に政府は3放送局を強制的に「日本放送協会」に統合してしまう。これがNHKの前身です。日本の放送は当初から強力な「政府管理」下に置かれたのです。
31年の「満州事変」を経て、放送は急速に軍国主義の宣伝機関となり、40年の内閣情報局設置を機に企画段階から政府の指導下に置かれるようになる。そして一路、「国家政策の徹底」「戦意高揚の道具」へと突き進んでいきます。
戦後再出発の試み
-45年、日本の敗戦で放送はどう変わりましたか。
松田 アメリカを中心とする占領軍は、ポツダム宣言にもとづき戦前からの言論・出版の弾圧法規を廃止し、日本の民主化を進めます。NHKの中からも民主化運動が起き、労働組合が結成されます。
46年1月には、占領軍の指導のもとでNHK民主化のための放送委員会が発足、新生NHKの会長として経済学者の高野岩三郎(大原社会問題研究所所長)を選出します。
ところがアメリカの占領政策は47年ごろを境に「民主化」から「反共」へと転換、50年には労働分野を中心にレッドパージが行われ、こうして戦後の民主化に終止符が打たれるわけです。
戦後の放送法制のもとになる電波3法(電波法、放送法、電波監理委員会設置法)のたどった運命も、時代に大きく翻弄(ほんろう)されます。というのは、電波3法には、新憲法と同様に戦後民主化の理念と戦前の教訓が込められ、放送の政府からの「独立」と民主主義のための放送という基本理念が貫かれていました。ところが吉田茂内閣が「日本の独立」と同時に、民間人が政府から独立して放送行政を行う「電波監理委員会」の制度を廃止してしまった点です。
―直接、放送行政を握ることで、次々と放送の「独立」や「自由」を空洞化していったわけですね。
松田 放送法では第3条の「放送の自由」(権力の不介入)が大前提なのに、予算を人質にとってNHKの放送に注文をつけたり、安倍内閣のように経営委員の任命権を使って政府の息のかかった会長をNHKに送り込みました。また、放送法第4条の倫理規定(「不偏不党」「政治的公平」「意見が対立している問題についての多角的論点解明」など)を勝手に解釈して、放送の自由に圧力を加えたりしています。
そもそも第4条の精神は、放送が「言論・思想の自由市場」として十全に機能するよう政治の影響を排除し、言論の多様性を求めたもので、政府やその代理人の会長が、これを根拠に「放送の自由」を規制しようなどというのは本末転倒もいいところです。憲法や放送法の精神がまるでわかっていない。
籾井氏は「代理人」
―25日は籾井会長就任1年です。戦後のNHK再出発から70年という時点で、籾井会長はどのような位置を占めていますか。
松田 籾井会長の本質は、安倍政権によって組織的に送り込まれた政権の代理人です。しかも自民党の望むNHKの「国策放送局」化を積極的に推進する役割を担っている。NHKの歴史始まって以来のことです。
安倍政権は第1次政権時代以来、NHK支配に強い意欲を持ち、安倍氏を取り巻く財界人グループ「四季の会」と図って、福地茂雄、松本正之、籾井氏と3代にわたって「四季の会」とつながりのある財界出身会長をNHKトップに送り込んできた。だが、福地、松本両会長は放送面では自民党と一定の距離をとった。
そこで今度は、政権の期待を一身に担う形で籾井会長が担ぎ出されたわけです。籾井会長は就任会見で、およそ公共放送のトップにふさわしくない暴言をはいて物議をかもしましたが、“皆さまのNHK”を“安倍さまのNHK”に変えるべく送り込まれた人物が、不見識な発言しかできないのは当然です。
まず国民的議論を
―籾井会長は辞任を求める市民や退職者の声に耳を貸さずに居座り続けています。
松田 政府からの自主・自律を生命とする公共放送のトップに、政府のヒモ付き会長が居座っていること自体が民主主義にとって大問題なのです。即刻、退陣願うこと、そして再び同じ轍(てつ)を繰り返さぬよう、経営委員や会長の選任システムを国民世論で変えていくことが必要です。イギリスのBBCのように、公募・推薦制によって公開・民主の原則のもとに言論・報道機関のトップに最適任の見識の持ち主を選ぶ仕組みを確立することです。放送行政を政府から切り離す独立放送規制機構(独立行政委員会を含む)の設置は、いまや世界の大勢です。政府が放送行政を握っている国は、日本やロシアぐらいです。まず国民的議論を起こさなければ…。NHKの中でも働く人たちが力を蓄え、市民運動が彼らを包み込みながら大きなうねりを作り出していくことが重要です。
それみろ!大胆な恐るべき復活!(`・ω・´)
日本国憲法第66条
第六十六条
内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
自民・高村氏 武器使用緩和、新基準を
(東京新聞)2015年2月22日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015022202000133.html
安全保障法制整備に関する与党協議の座長を務める自民党の高村正彦副総裁は二十一日、北九州市で講演し、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の制定をめぐり、自衛隊員の武器使用権限を拡大するため、新たな基準を設ける考えを明らかにした。
「文官統制」廃止へ法案 制服組、立場対等に
(東京新聞)2015年2月22日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015022202000139.html
防衛省が、内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官より優位を保つと解釈される同省設置法一二条を改正する方針を固めたことが分かった。自衛隊の部隊運用(作戦)を制服組主体に改める「運用一体化」も改正法案に盛り込む。背広組優位からの転換となり、背広組が制服組をコントロールする「文官統制」の規定が全廃される。制服組や制服OBの国会議員からの強い要求を受け入れた形。
三月に設置法改正案を通常国会に提出するが、万が一、制服組が暴走しようとした際に、阻止する機能が低下するとの懸念もある。
設置法一二条は、大臣が制服組トップの統合幕僚長や陸海空の幕僚長に指示を出したり、幕僚長の方針を承認したり、一般的な監督をする際に、背広組の官房長や局長が「大臣を補佐する」と規定。これにより「文官統制」ができる仕組みになっていた。改正案では、官房長、局長らは各幕僚長と対等な立場で大臣を補佐すると改める。
一九五四年の防衛庁、自衛隊発足時、旧軍が暴走した反省から設けられたのが文官統制だ。制服組の政治への介入を阻むため、文民統制(シビリアンコントロール)が日常的に行われるよう文官が関わる制度で、その要は、内局の局長らが所掌を超えて大臣を直接補佐する参事官を兼ねる「参事官制度」だった。
しかし、自衛隊の地位向上や国民からの支持増大などを背景に制服組が反発を強め、二〇〇四年に参事官制度撤廃を要求し、〇九年に廃止。制服組は、設置法一二条を「背広組が制服組より上位と解釈される」として強く削除を求めていた。
改正後は、運用面でも「自衛隊の行動の基本」を所掌してきた内局の運用企画局を廃止し、統合幕僚監部(統幕)に一元化。内局が持っていた運用計画を作成して大臣決裁を求める権限が統幕に移行する。作戦計画を文官がチェックする機能が弱体化することに、背広組幹部は反発を強めている。
防衛省設置法関連条文
12条 官房長および局長は、その所掌事務に関し、次の事項について防衛大臣を補佐するものとする。
1 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊または統合幕僚監部に関する各般の方針および基本的な実施計画の作成について防衛大臣の行う統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長または航空幕僚長に対する指示
2 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊または統合幕僚監部に関する事項に関して幕僚長の作成した方針および基本的な実施計画について防衛大臣の行う承認
3 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊または統合幕僚監部に関し防衛大臣の行う一般的監督
歴史の教訓全否定
纐纈(こうけつ)厚・山口大教授(政治学)の話
政府の十分な説明もなく、国民的議論もないままに文官統制を実質無にする案にぼうぜんとする。大胆な恐るべき改悪だ。このまま法律が変われば、文官は軍事的分野に立ち入れなくなり、制服組優位が実質化してしまう。防衛強化の流れの中で非常に不安が大きい。戦前、軍事専門家である軍人に全てを委ね、国民が知らないうちに決定がなされ、戦争に突入してしまった。その反省からつくられた文官統制をほごにするのは、歴史の教訓の全否定につながると考える。
暴走を止める手立てはあるのか
それみろ、ついに文民統制もなし崩し
(日刊ゲンダイ)2015年2月24日
あらゆる条件、制限を取っ払い、とにかく、自衛隊を世界のどこにでも派遣したい安倍政権の本性がいよいよ剥き出しだが、これはとっくの昔から見えていた
ネトウヨ同レベル首相の狂乱政治を許した大メディアの大罪は戦前と同じじゃないか
安倍政権の暴走はついに行き着くところまで行ってしまった。日本を世界中で戦争できる国に作り替えていく中で、「文民統制(シビリアンコントロール)」まで反故にしようというのである。
防衛省は3月に国会へ提出する「防衛省設置法改正案」で、「文官統制」。を規定した12条を改正する方針を固めたという。設置法12条は、大臣が制服組トップの統合幕僚長や陸海空の幕僚長に指示する際、背広組である内局の官房長や局長が大臣を補佐するとした規定。背広組の文官が制服組の自衛隊をコントロールすることで「文官統制」する仕組みなのだが、この規定を撤廃し、背広組と制服組を対等な立場にするのだという。
だが、おかしな話だ。だいたい、なぜ「文官統制」の規定が設けられているかというと、旧軍が暴走した結果、太平洋戦争の惨事を招いたという反省からだ。それで1954年の防衛庁と自衛隊の発足時に新たに規定されたのに、規定を撤廃すれば制服組の万が一の暴走を制御できなくなってしまう恐れが出てくる。戦後70年の節目に、この国は、またあの軍事国家に逆戻りするのか。ありえない話である。
軍事ジャーナリストの神浦元彰氏はこう言う。「自衛隊の1佐以上の人事や陸海空の予算権は背広組の内局が握っています。しかし内局による自衛隊のコントロールを弱めるということは、そうした権限も弱まるわけで、制服組による『クーデター』ですよ。
ただし、今回は制服組が勝手に暴走しているのではなく、内局を抑え込んで、自衛隊の力を強めたい安倍政権の意向。クーデターというより『宮廷革命』です。世界中にいつでも自衛隊を派遣できるよう、自衛隊の指揮権を官邸の下のNSC(国家安全保障局)が奪おうということでしょう」
軍事国家に向けイケイケドンドン
具体的な職務でも、内局にある、「運用企画局」を廃止し一統合幕僚監部に一元化する。運用とは「作戦」のことで、これまでは自衛隊の作戦計画を文官がチェックしてきたが、その権限が統幕に移される。さらに、今回の法改正では「防衛施設庁」も新設される。陸海空でバラバラに開発・購入してきた装備品を一括で管理するのだという。昨年4月に「武器輸出三原則」を見直したことで、今後、外国への武器輸出をしやすくする狙いだ。いやはや、もう、何でもアリではないか。
今やっている安保法制の与党協議でも、あれよあれよで、政府がこれまで積み上げてきた憲法との整合性や平和国家としての理念を一気に吹っ飛ばそうとしている。
自衛隊の海外活動については、「周辺事態法」「特別措置法」「国連平和維持活動(PKO)協力法」でやってきたが、政府案ではこれらを根本から改正する。周辺事態の概念をなくし、地理的制限を破棄。対象や期限を設けない「恒久法」にして、国連安保理の決議も必要とせず、さらに米軍以外への協力を可能にするという。PKO協力法は、武器使用基準を緩
和し、活動自体も拡大させようとしている。
そうなれば、国連決議がないイスラム国への空爆にも後方支援できるようになるし、朝鮮半島有事などの具体的な危機じゃなくても、世界のどこにでも自衛隊を出動させられる。要するに歯止めがなくなるのである。
「ひと昔前なら大騒ぎになるような法改正を、政府で決めて、次々に進める。とんでもない話ですよ。特措法という形で、その都度、特別立法を制定してきたのは、国会の承認を必要とすることで厳しく制約を設けるためでした。そうやって憲法9条違反ギリギリのところでやってきたのです。文民統制をなくそうというのもそうですが、安倍政権は軍事国家に向けイケイケドンドン。恐ろしいことです」(政治評論家・森田実氏)
かつて特揩法1本通すのだって、国会で大論争になったものだ。1強多弱のいま、安倍官邸は国会なんてないも同然でやりたい放題である。
翼賛体制で倒閣のチャンスを潰したメディア
こうした安倍政権のムチャクチヤには、さすかに与党協議の公明党もあっけにとられ、「日米同盟とは関係ない他国軍を支援対象にするのはおかしい」などと反発している。大マスコミも〈閣議決定逸脱の恐れ〉〈根底覆す乱暴な提案〉などと、今になっていろいろ書き立てている。
だが、こうなることはとっくの昔から分かっていた。安倍首相は、06年の第1次政権はおろか、国会議員になった頃から「戦後レジームからの脱却」を叫び、「軍事同盟は血の同盟だ」と言い放ち、「普通の国=戦争のできる国」という思考の持ち主だ。その本性が、ついに剥き出しになったのである。
だからこそ、昨年7月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定で強行した時に、安倍政権をブッ潰さなければならなかった。それなのに公明党は、「明白な危険がある場合」など表面上の文言調整で協力し、閣議決定直前こそ危機感を露わにしたメディアも、決定後は批判を封印、安倍政権に取り込まれた。
唐突な昨年来の総選挙も、安倍首相は本来争点にするべき”軍事国家化”の野望を「アベノミクスの是非」で隠し、勝利した。メディアはその策略に乗っかり、安倍を引きずり降ろす格好のチャンスを潰したのである。
何のことはない、満州事変を機に翼賛体制化し、軍部の暴走を許した戦前と同じ展開ではないか。メディアの罪は極めて重い。
「安倍首相の驕り高ぶりは目に余りますが、昨年末の総選挙で3分の2の勢力を取らせてしまっだのですから、どうしようもありません。そのうえ、主要メディアを懐柔しているのですから、もう怖いものなしの気分でしょう」(元法大教授・五十嵐仁氏=政治学)
来年中の国民投票が視野に入った
かくなるうえはどうするのか、なにか暴走を止める手立てはあるのか。
最近の安倍は以前にも増して、国会軽視が甚だしい。野党の質問にマトモに答えず、持論を主張してはぐらかす。それどころかネトウヨまがいのヤジまで飛ばす。19日の衆院予算委。西川公也農相が黒い献金を巡って追及されると、安倍は「日教組はどうするんだよ」とまったく脈絡のないヤジを飛ばし、身内の大島理森委員長から注意を受ける始末だった。
何かあれば「日教組」「左翼」などとレッテルを貼るのは、ネトウヨの常套(じょうとう)手段。この国のトップはネトウヨと同レベルということだ。
要するに正面から議論してもどうにもならない。憲法も歯止めにならない。マトモな国民は見
ちゃいられないのである。こうなったら、閣僚のスキャンダルでも何でもいいから、えぐり出し
て安倍政権を止めるしかない。
狂乱首相の悪乗りはとどまるところを知らない。21日、磯崎陽輔首相補佐官が講演で改憲のス
ケジュールに言及。「できれば来年中に、改憲の賛否を問う国民投票を実施したい」とまで言い切った。来夏の参院選勝利を見越したような傲慢な発言である。そのために全都道府県で世論誘導の隻覃開催するプランも進行中だ。
こんな政権を放置したら、あっという間に、国がガラリと変わってしまう。法治国家ではなくなってしまう。いよいよ、後戻りができなくなる。何か何でも潰すしかない。
大政翼賛会 - Wikipedia
2月27日(金)
相次ぐ自民党元重鎮の安倍首相に対する懸念と批判 [自民党]
(五十嵐仁の転成仁語)
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2015-02-27-1
毎日新聞2月24日付夕刊に、福田康夫元首相のインタビュー記事が大きく出ていました。2月23日に豊島区民センターで行われた9条の会東京連絡会での講演で、自民党幹事長のOBなどによる安倍首相に対する批判について紹介し、「次に登場する可能性があるのは福田元首相でしょう。どこかで突撃取材でもしたらどうでしょうか」と発言しました。
実際にはこのころ、すでに毎日新聞の記者によって福田元首相に対する取材がなされていたということになります。「過去の反省なければ、未来展望も重み失う」と題されたこの記事で、福田さんは次のように述べています。
--しかし最近の日本、その「和の心」を忘れているように見える。ずばりうかがいますが、集団的自衛権行使容認などの安保政策の変更は、アジアの安定に影響を与えませんか。
福田氏 和を乱すようなことをすれば当然、問題視されるでしょうが、今まで議論してきたような内容の安保政策なら問題ないでしょう。ただ、今年から法制を含めて具体的議論をするようですから、あまりにも変わったことをやり始めたら、周辺国は疑念を抱きます。ここはよく考えて、70年かけて積み上げてきたアジア諸国との信頼関係を壊さないようにしないと。
--その戦後70年の節目にあたり、安倍首相は新たな談話を出します。過去の「村山談話」「小泉談話」で述べられた「植民地支配と侵略」「痛切な反省」といった文言を生かすべきかどうかが焦点になっています。
福田氏 今の段階でとやかく言う必要はないと思いますが、「3点セット」は欠かすことができない。すなわち「過去の反省」「戦後70年の評価」「未来への展望」です。過去の反省なくして戦後の歩みの評価もできないし、未来への展望も、重みを失う。この三つがなければ談話の意味がありません。だからこれまでの談話と、そうそう変わったものにはならないでしょう。過去の談話は「閣議決定したものではない」という指摘もあるが、その時々の首相が言ったということは、国家としての意思、見解の表明です。それをころころ変えるようでは信頼されません。繰り返しになりますが、日本は70年も努力を重ね、アジア諸国の信頼を取り戻してきた。それを一気に失うかもしれない。国内だけでなく、国際社会をも納得させるものでないといけないんです。ならば、これも答えはおのずから出てくるでしょう。
--同感です。安倍談話とともに靖国神社参拝問題も焦点になりそうです。
福田氏 靖国の存在自体を否定することはない。ただ先ほど言った過去の反省とアジアとの信頼関係で考えなければ。靖国神社は追悼が中心の施設です。安倍首相は「追悼と平和祈念」と言って参拝されたが、平和を祈るのは、別の場所のほうがいいのではないか。小泉内閣で僕が官房長官だった2002年、有識者懇談会から「別の追悼祈念施設をつくるべきだ」との答申を頂いたが、この考えは、今も生きていると思います。
--アジアの多様性に触れられましたが、今の自民党内、安倍さんとその周辺に物を申しにくい、党内から多様性が失われた、と言われています。
福田氏 いや、いざという時が来れば、議員の皆さんはきちんと言いますよ。それに決して安倍さんは力任せに突っ走ろうなんて思っていない。ただメディアが黙っていれば、国民も皆「これでいいんだ」と思う。最近そういうの多いよね。
また、河野洋平元自民党総裁も、2月24日に名古屋市で講演し、自民党は右翼政治だと強い懸念を示しました。これについて、東京新聞2月25日付は次のように報じています。
河野洋平元衆院議長は24日、名古屋市で開かれた共同通信きさらぎ会で講演し、安倍晋三首相が今夏発表する戦後70年談話に関し、過去の「植民地支配と侵略」への反省を明記した戦後50年の村山富市首相談話の表現を踏襲するよう求めた。安倍首相の政権運営をめぐっては「自民党がこれ以上『右』に行かないようにしてほしい。今は保守政治と言うより右翼政治のような気がする」と強い懸念を表明した。
河野氏は、戦後60年の小泉純一郎首相談話も「植民地支配と侵略」に言及していることを踏まえ「日本の歴史認識が十年刻みで変わることはありえない。どういう文言で談話を書くかは決まり切ったことだ」と述べた。旧日本軍による従軍慰安婦問題に関する1993年の河野官房長官談話について「はっきりとした裏付けのないものは書かなかった」と述べ、「強制性」を認める文言は盛り込まなかったと強調。「強制性についての(当時の)文書は見つからなかった。しかし、強制性が全くなかったかと言えば、いくつか具体的なものはある」とした。
日米関係に関しては「(オバマ政権に対し)歴史修正主義者ではないと明確に伝え、懸念を払拭(ふっしょく)するのは非常に重要だ」とした。靖国神社参拝問題に関し、国立の戦没者追悼施設の新設を検討すべきだとの考えも示した。
さらに、山崎拓元自民党副総裁も、集団的自衛権行使容認の法制化を目指す与党協議など、一連の動きに対して、次のように警鐘を鳴らしています。ウェッブに公開されている『週刊朝日』2015年3月6日号からの抜粋を紹介しておきましょう。
――安倍首相は国会で、集団的自衛権行使の具体例として、ホルムズ海峡の機雷除去を挙げ、「わが国が武力攻撃を受けた場合と同様に深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況にあたりうる」と語った。
集団的自衛権行使の要件には、日本と「密接な関係にある他国」が武力攻撃され、国の存立が脅かされることが挙げられています。
石油の輸送ルートであるホルムズ海峡に機雷がまかれれば、日本の存立が脅かされる「存立事態」だといいますが、その場合、どこが「密接な関係にある他国」に当たるのか。ホルムズ海峡を通る国は全部になってしまう。これまでの政権の常識からしたら、「密接な関係にある他国」とは安保条約を結んでいるアメリカのことを指していたのに、それが安倍政権では世界中どこでもということになってきている。「グレーゾーン事態」の議論では、政府はオーストラリアも防護対象と言いだしています。その理屈だと、今ならヨルダンも入ってしまうかもしれない。際限がなくなってしまう。
そもそも9条のある今の憲法では集団的自衛権の行使はできません。やりたいなら、憲法改正するしかない。民主主義の国なのだから是非を国民投票で問えばいい。戦後70年の外交安保政策の大転換を、閣議決定でなし崩しにやるべきではない。去年の閣議決定は間違いでした。
安倍首相は今、戦闘地域へも自衛隊を派遣しようとしている。つまり武力行使をするということ。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という9条1項の内容に踏み込んできている。
安倍首相は、自分がしていることの恐ろしさをわかっていない。「戦後以来の大改革」などと言って、タブーを破った快感に酔いしれて、個人の名誉心でやっているのです。
山崎さんは、昨年1月6日付のインタビューでも、集団的自衛権について、次のように語っていました。
―― 安倍首相は、集団的自衛権の行使容認に向け前のめりになっています。どう見ていますか?
まったく説明不足。私は「解釈改憲」については反対です。日本は世界に冠たる法治国家。その法治の根幹は、最高法規たる憲法にこそある。憲法の地位が揺らぐということは、法治ということを考えた場合、大問題だと考えています。
もうひとつ。この解釈改憲というものは、とりわけ集団的自衛権についての解釈というものは、国際法上認められている権利ではあるものの、日本の場合は憲法9条に照らして、その行使ができないということになっている。これは歴代政権において解釈が確立されているんです。
誤解のないように言っておくと、内閣法制局が確立したのではなく、その都度、内閣が閣議決定しているのです。つまり、従来の解釈に基く法律を出す場合は、内閣法制局が審査し、それを閣議にかけて国会に提出する。歴代内閣はこれを繰り返してきた。
なおかつ、この解釈に関する国会質疑が、政権が替わる度ごとに行われており、時の内閣総理大臣が答えています。内閣法制局長官が答えることがしばしばあったのは事実だが、しかし、その時には『ただ今、内閣法制局長官が答弁したとおり、我が内閣におきましては、集団的自衛権の行使はいたしません』として、歴代総理が明言している。つまり、総理が決めること。法制局長官が決めることではない。
歴代政権の中で、もっとも理念右翼と目されている安倍政権がこの解釈を変える。するとその次にはもっとも左翼と目される総理が誕生するかもしれない。そうなると、また変える。つまり、憲法が、時の政権の解釈によって、その都度変わってくる。もちろん、その部分だけではないでしょう。例えば、基本的人権の一部に関しても、あるいは認めないという解釈をする政権ができるかもしれない。≪そんなバカな解釈改憲はできない≫とその時の法制局長官が抵抗すると、安倍総理がやったのと同じように更迭して、『俺の言った通りに見解を出す奴を起用する』ということになりかねない。“悪しき前例”を作ろうとしているんです。これを認めるべきではない。
これまでも、古賀誠、野中広務、加藤紘一などの自民党元幹事長が安倍首相に対して批判を繰り返してきました。これに、福田康夫元首相、河野洋平元自民党総裁、山崎拓元自民党副総裁が加わったということになります。
自民党の現役議員たちは、これら先輩の懸念や批判をどう受け止めているのでしょうか。「いざという時が来れば、議員の皆さんはきちんと言いますよ。それに決して安倍さんは力任せに突っ走ろうなんて思っていない」という福田さんの発言が、単なる希望的観測にすぎないということでなければ良いのですが……。
拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』(学習の友社、定価1300円+税)、3月1日刊行。
購入ご希望の方は学習の友社http://www.gakusyu.gr.jp/tomosya.htmlまで。
首相はネトウヨと同じ?
予算委で「日教組」やじ
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年2月21日
「日教組、日教組」―。安倍晋三首相が十九日の衆院予算委員会で、民主党議員に「労働組合とカネ」の問題が存在するかのようなやじを飛ばした。西川公也農相の「環太平洋連携協定(TPP)とカネ」を追及されたことへの意趣返しだが、何かと言えば「日教組」「左翼」などと誹謗(ひぼう)中傷するのはネット右翼(ネトウヨ)の常套(じょうとう)手段。一国の首相たる者の振る舞いか。
(林啓太)
「ヘイト浸透 民主主義の危機」
首相のやじは、民主党の玉木雄一郎衆院議員の質問中に飛び出した。西川農相が代表を務める自民党栃木県第二選挙区支部がTPPの交渉前に、精糖団体の関連会社から百万円の献金を受けた問題が取り上げられていた。玉木氏が、政治資金規正法改正の必要性を説くと、首相席か「日教組はやっているよ」と食ってかかった。
教職員でつくる日教組は民主党の強力な支持母体ではあるが、西川農相の問題とは関係ない。玉木氏は「政治に対する信頼をどう確保するかの話をしている。やじを飛ばさないでください」と懇願したが、首相は薄ら笑いを浮かべながら「日教組はどうするんだよ」と畳み掛けた。一時紛糾したものの、大島理森委員長が「総理もちょっと静かに」とその場を収めた。
しかし、首相は悪びれない。民主党の前原誠司元外相が二十日の衆院予算委で「(玉木氏へのやじは)極めて品位に欠ける」と迫ったが、答弁で「日教組は補助金をもらっている。教育会館から献金をもらっている議員が民主党にいる。それをどう考えるかの指摘をした」と開き直った。
首相は、なぜ日教組を持ち出したのか。その言い分に根拠はあるのか。
日教組の担当者は「東京都千代田区に日教組が入居する日本教育会館がある。民主党と日教組、会館を運営する一般財団法人の関係にも、西川農相の問題と似た政治とカネの問題があると言いたいのだろう」と推測する。
西川農相の問題では、精糖工業会への国の補助金の一部が、同会運営の精糖工業会館の管理会社を媒介に、第二選挙区支部へと流れていたかに見える構図が問題視されている。首相は、日教組を精糖工業会、日本教育会館を精糖工業会館になぞらえているようだ。
日教組の担当者は「日教組は国から補助金をもらっていない。日本教育会館は日教組とは人的な交流はあるが、国会議員に献金はしていない。首相の発言は全くの事実無根だ」と憤る。
もし首相の言い分が正しかったとしても、まずは西川農相の問題に正面から向き合うのが本来である。ましてや、日教組側の説明に従えば、誹謗中傷以外の何物でもない。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「内閣支持率が高ければ、軽率な言動も許容してしまうマスコミの甘さが、今回のやじにつなかっているのではないか。一国の首相が安易にケンカ腰になってはいけない。首相の態度は軽い」と指弾する。
『ネットと愛国』などの著書があるジャーナリストの安田浩一氏は「議論の文脈を無視して『日教組』『左翼』『売国奴』となじって反論を封殺するのは、ネトウヨの常套手段。首相のやじは、ネトウヨにこびているのではなく、本人がネトウヨ的な感性の持ち主であることを示している」とみる。
首相とネトウヨと言えば、昨年の衆院選の最中、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)を集めたネット掲示板の記事が、首相のフェイスブックにシェア(共有)され、ネット上で「(首相は)正真正銘のネトウヨだった」などと物議を醸した。ヘイト団体と一部政党との親密な関係もたびたび取り沙汰されている。
安田氏は「ネトウヨのような罵詈雑言が、ネット上や一部の右翼の街頭行動にとどまらず、国会の議論にも浸透してきている。首相までネトウヨ化する状況は民主主義の危機だ」と警鐘を鳴らした。
「修身」の愛国心教育
反省なき復活?
道徳教科化へのぱぶこめ 識者が参考資料
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年2月22日
文部科学省は、教科に格上げする小中学校の道徳の学習指導要領改定案を公表し、パブリックコメント(意見公募)を実施中だ。教科化で、子どもたちが本音を語れなくならないか。戦前と似てくるのでは。そう危機感を持った研究者が「意見を寄せる際の参考に」と、日本の道徳教
育の流れを解説する資料を作成した。
(篠ケ瀬祐司)
歴史振り返り危機感/推進派「押し付けでない」
資料は「道徳の内容の歴史」。教育学専門の大森直樹・東京学芸大准教授と池田賢市・中央大教授が、戦前の教科「修身」から今回の改定案までの流れを解説している。昨年十月、中央教育審議会が道徳教科化を答申した際に作った資料の続
編で、近く大森氏の研究室ホームページで公開する。
資料作りのきっかけとなったのは、大森氏と家族との最近の会話だった。「小学五年の息子が『道徳は心を育てるものでしよ。それを評価されるのは絶対嫌だ』と話していた。子どもが感じていることを、文科省や大人が分かっていない」
道徳は、小学校で二〇一八年度、中学校で一九年度に教科になる見通しだ。大森氏は教科化の弊害を指摘する。「道徳を養うことは必要だが、生活の中で反復しながら身に付けるものだ。意図的、計画的にすれば建前になる。建前が大きくなれば、子どもたちが教師の望むものは何かと考え、本当の表現をできなくなる恐れがある」
点数ではなく、文章で評価する「特別の教科」という位置づけだが、授業ではもちろん検定教科書が使われる。「民間会社が教科書を作るとはいえ、根本は国が決める。国が決めた方法に沿って教育が行われる。子どもにとって何が必要かを、先生と子どもたちが考える仕組みは圧迫されるだろう」(大森氏)
歴史を振り返ったのは「戦前と戦後の道徳教育の共通性を明らかにしたかったからだ」という。戦前は一八九〇年の「教育に関する勅語」に基づき、「修身」で行われた。徳目の中心は愛国心で「徴兵の発令を受けたときは喜んで応じるべきだ」と解釈されていた。
戦後、「修身」は姿を消したものの、一九五八年の学校教育法施行規則改正で「道徳の時間」が特設された。第一次安倍政権の二〇〇六年の教育基本法改正で、教育目標に「国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が盛り込まれ、愛国心教育の根拠が積み上がった。
危機感を覚えるのは研究者だけではない。教育現場で道徳復活に反対してきた元教員の北村小夜氏(八九)も「戦前教育の反省がなされないまま、子どもに教える徳目を引き継ごうとしている。教科化後は子どもを厳しく評価するだろうし、評価する先生の負担も重くなる」と警鐘を鳴らす。
パブコメ期間は三月五日まで。大森氏は「保護者や市民が意見表明できる限られた機会だ。意見を寄せる際、資料を参考にしていただければ」と語る。
一方、道徳教育を進めようとする側にも、パプコメに向けた動きがある。
財団法人「日本教育再生機構」はホームページで、「価値観の押し付けだという根拠のない批判に屈しないようにしてください」などの、意見の「参考例」を示している。日本最大の右派組織といわれる「日本会議」の会員向け「メール情報」も、道徳の教科化を後押しする意見を寄せるよう呼び掛けている。
道徳の評価の歴史(第2版)
http://www.u-gakugei.ac.jp/~omori/dotoku_hyouka_rekishi_02.pdf
小出裕章先生:核兵器保有国が核兵器を減らしていくという努力と共に、他の国は持たないことが重要。
ジャーナリストの危険地帯取材はどうあるべきか
(ラジオフォーラム#112)
http://youtu.be/o46ECd3GTBE?t=14m8s
14分8秒~第112回小出裕章ジャーナル
IAEAとは?「ひとつは原子力発電を世界中に広めるということですし、もうひとつは広めながらも核兵器だけでは他の国に持たせてはいけないというその2つの目的を担うために設立されたのがIAEAです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no112/
石丸次郎:
福島第一原発、廃炉に向けた重大な任務があります。これに向けて、日本がどのような取り組みを行っているのか、それを調べるための調査団IAEA、国際原子力機関の調査団が2月9日に訪日しました。
IAEAは「福島第一原発の廃炉、これを世界の技術を結集して廃炉にあたるべきだ」と言っているということなんですが、今日はですね、このIAEA、国際原子力機関とはどんな組織なのか?小出さんに伺っていきたいと思います。このIAEAなんですが、本部はオーストリア・ウィーンにあります。予算は2012年度で3億3千万ユーロ。ざっと日本円で4千億円以上の予算を持つ。そして職員は2,200人。うち原子力査察官は250人ということですが、国連の機関でありますけれども、一言でどういう機関だと捉えられていらっしゃいますか?
小出さん:
はい。もともと原子力と日本で呼ばれているものは、原爆から始まったわけですし、いわゆる核兵器という技術と切っても切れない裏表の関係にあるわけです。もともと原爆というものは米国が造ったわけでそれ以降、ソ連、英国、フランス、中国というような国々が次々と原爆を造っていったわけです。
その中で今、聞いて頂いた5か国が、国連の常任理事国ということになっているわけですが、その5か国はいわゆる核兵器保有国として、他の国には絶対核兵器を持たせないという路線をずっと敷いてきました。
ただし米国等にすると、原爆を造るために膨大な施設を造ってしまって、それが国家にとっての重荷になってきましたので、造ってしまった施設を原子力の平和利用、アドムズ・フォー・ピースという演説を米国大統領のアイゼンハワーが1953年にしたのですが、それまでに軍事的な目的で作った工場を平和利用などと言いながら、金儲けのために利用したいと考えたわけです。
そのためには、世界中に原子力発電を売りつけて金儲けをしなければいけないわけですけれども、先程聞いて頂いたように、原子力と呼ばれてる技術と、核の技術とは全く同じ物なわけで、平和利用と称してですね、世界中に原子力技術、核技術をばらまいてしまうと、核の独占が崩れてしまうということで、なんとかしなければいけないと米国が思ったわけです。
そのためにつくられた組織がIAEAであって、その組織がやるべき仕事は2つあります。ひとつは原子力発電を世界中に広めるということですし、もうひとつは広めながらも核兵器だけでは他の国に持たせてはいけないという、その2つの目的を非常に難しい目的なのですけれども、担うために設立されたのがIAEAです。
石丸:
つまり、原発は大いに普及させよう…
1957年から始まった放射線によるイジメ
小出さん:
そうです。
石丸:
しかし、核物質が軍事目的に転用されるのは阻止するために監視をしていこう。そういう目的だと考えていいですか?
小出さん:
はい。おっしゃる通りです。石丸さんが今、極めて明快にまとめて下さった通りの組織なのです。
石丸:
はい。このIAEA、実は2005年にノーベル平和賞を授賞していますが、これはどういう理由で授賞したんですかね?
小出さん:
ノーベル平和賞って、昔から変だなあと私は思ってきました。かつて、例えば佐藤栄作さんがもらったわけですし、イスラエルの首相ももらっている。米国大統領のオバマさんももらってるというようなことで、ノーベル平和賞というのは大変政治的な思惑の下に、与えられてきたんだと思います。
IAEAも世界中に原子力発電をばらまきながら、なおかつ核兵器の拡散を防止するというために、功績があったという政治的な理由で認められたんだと思います。
石丸:
この相矛盾する原発を普及しながら核物質の拡散を止めるという、相矛盾する仕事を同時にやってるのがIAEAですね?
小出さん:
そうですね。はい。
石丸:
じゃあ、この日本との関わりなんですが、ちょっと資料を見てみましたところ、日本は、非常に多くの施設がIAEAの査察対象になってるんですね。
小出さん:
そうです。
石丸次郎: 250ヶ所前後ということなですが、これは小出さんが働いておられる京大原子炉実験所も査察対象なんですか?
小出さん:
そうです。
石丸:
ということは、査察官が来るんでしょうか?
小出さん:
そうです。
石丸:
どういう査察を具体的にするんですか?
小出さん:
私の原子炉実験所にももちろん核燃料というものがあるわけですし、一部にはすぐに原爆に転用できるような高濃縮ウランというような物も私の所にはあるのです。ですから、それがキチッと軍事用に転用されていないかということを調べるのがIAEAの役割ですから、頻繁に私の職場にもやってきます。
石丸:
それは、日本人の職員ですか? それともウィーンから?
小出さん:
ほとんどは外国の職員です。
石丸:
具体的には、どういうことをするんですか?来て。
小出さん:
実験所の中に、核物質を格納している場所があるわけです。それが、どういう場所にどれだけの核物質があるということは、例えば私自身も教えてもらえないという、原子炉実験所の中でも超機密事項に属しているわけです。そういう場所をIAEAの査察官が来て、1か所ずつ回って行って、ほんとに機密を握っている人達が査察官を案内しながら、「ここにちゃんとある」ということを見せて歩くわけです。
石丸:
それが日本中の原子力施設、関連施設、全てに同じような査察が入ってるということですね?
小出さん:
そうです。
石丸:
これはこれで、当然キッチリやってもらわなきゃいけないことではありますねえ。
小出さん:
もちろん私自身はいかなる核兵器にも反対ですから、核兵器が広がっていくということに関しては反対です。ただし私自身は世界は公平であるべきだと思っていますので、核兵器保有国の5か国だけは核兵器を持ち続けていて、その他の国は絶対持ってはいけないというような、まず理念自身がおかしいと思います。
ですから、核兵器保有国がどんどん核兵器を減らしていくという努力とともにですね、他の国は持たないということが、同時並行で行われなければいけないのですが、残念ながら、現在の世界というのは大変不均衡な世界で、米国を中心とするいわゆる支配をする国々がますます支配を強めるというようなことになってるわけです。
石丸:
なるほど。当然、そのアメリカ、ロシア、中国などの核大国も国際原子力機関の査察を受けてると思うんですけれども。
小出さん:
受けていないのです。
石丸:
受けていないんですか?
小出さん:
はい。核兵器保有国は受けないのです。
石丸:
受けないんですか?
小出さん:
はい。核兵器に関するものは、査察対象外になっているのです。
石丸:
じゃあ、原子力発電所はどうですか? その中国とかロシアの。
小出さん:
たぶん原子力発電所という所は、査察を受けていると思います。軍事施設に関しては、全く査察を受けないでいいということになっているのです。
石丸:
それは、やっぱり不公平は不公平ですね。
小出さん:
全く話にならないほどの不公平だと、私は思います。
石丸:
なるほど。この原発を普及しながら核物質の拡散は止めなきゃいけない。しかも国によって、大国はその中で免除されてる部分がある。
小出さん:
そうです。
石丸:
不公平は不公平。しかしながら、核拡散を止める権限は与えられてるところは、ちょっとやっぱりしっかり仕事はしてもらわなきゃいけないというところはあるわけですね。
小出さん:
そうです。はい。ですから、現在の世界の矛盾の集約のような場所でIAEAというのは仕事をしているわけです。
石丸:
なるほど。ちなみに、現在のIAEAのトップ、事務局長は日本人の天野之弥さんでございます。
小出さん:
そうです。
石丸:
小出さん、今日はどうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
国際原子力機関IAEAの迷走
独立性には程遠い原子力産業の憲兵
(アニェス・シナイ女史の調査報告)
http://www.diplo.jp/articles12/1212iaea.html
Fukushima Decommissioning Mission: A Report from the Team Leader
http://youtu.be/HAEILUTGyjo
真実はどこに?―WHOとIAEA 放射能汚染を巡って
http://youtu.be/oryOrsOy6LI
真実はどこに? - WHOとIAEA 放射能汚染を巡って -(原題:Controverses nucléaires)
WHO世界保健機関と IAEA国際原子力機関が共同で開催した、2001年キエフ国際会議の模様を捉えた、とても貴重なドキュメンタリーです。
特に福島の原発事故以来、私たち も避けて通れなくなった内部被曝の実態や、その証拠がどのように隠されてきたかを目の当たりにすることが出来ます。
ウラディミール・チェルトコフ(Wladimir Tchertkoff)監督、エマヌエラ・アンドレオリ、ロ マーノ・カヴァッゾニ助監督作品
フェルダ・フィルム、2004年、51分
日本語版制作 Echo Echanges France、りんご野
字幕翻訳 藤原かすみ、藤本智子、辻俊子、コリン・コバヤシ
字幕・ナレーション制作 岩城知子
ナレーション 東陽子
長崎市で撮影された人間の影
2015 焦点・論点
シリーズ 被爆70年 核兵器のない世界を
国連軍縮問題担当上級代表 アンゲラ・ケイン さん
核兵器の非人道性 決定的な影響 広島での署名を集める姿に感銘
(しんぶん赤旗)2015年1月1日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-01/2015010103_01_0.html
広島・長崎の被爆から70年となる今年、ニューヨークでは4~5月にかけて、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。核兵器廃絶をめぐる状況や会議の焦点について、アンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表に聞きました。
(ニューヨーク=島田峰隆)
(写真)アンゲラ・ケイン ドイツ生まれ。2012年3月から国連軍縮問題担当上級代表。政治担当の事務次長補、政治局や広報局の局長を歴任した後、08年から12年まで、人事や財政、機構改革など国連の運営全般を担当する事務次長(管理局長)を務めました。1982年の第2回国連軍縮特別総会で決議された「世界軍縮キャンペーン」の活動に関わるなど平和・軍縮問題に長年携わってきました。
(撮影・島田峰隆)
1945年の国連発足のすぐ後に、新たな核保有国が現れたことは懸念される出来事でした。冷戦時、特にその最高潮の時には7万から7万5千発もあった核兵器は、今は1万6千から1万9千発に減っています。
ただ率直に言って、この数は多すぎます。核兵器はいっさい持つべきではありません。NPTは原子力の平和利用を管理するだけではなく、核兵器を廃絶する条約であり、それが第6条です。
NPT体制有効
NPT体制は核拡散防止に役立ってきたし、成功しているメカニズムといえます。
しかし第6条に基づく核軍縮・撤廃の約束が果たされていない。この点によりはっきりと焦点を当てる必要があります。
核兵器を持たない国々は、核軍縮が進んでいないと失望の声を上げています。市民社会も、この状況が続くことは許されない、核保有国は核兵器を廃絶するべきだと、強く主張しています。私たちは今年のNPT再検討会議を、核兵器廃絶を求める圧力がいよいよ強まるなかで迎えることになります。
最近、特に強まっているのが、核兵器の問題を人道的な影響の側面からとらえる声です。
これまで「核兵器の人道上の影響に関する国際会議」がノルウェー(2013年3月)、メキシコ(14年2月)、オーストリア(14年12月)と3回開かれました。ノルウェーで約120カ国だった参加国は、オーストリアでは約160カ国になっています。これは国連加盟国の4分の3以上であり、極めて目立った増加といえます。国連総会では、ますます多くの国がこの会議の趣旨の決議に賛同しています。
(写真)ウィーン大学で開かれた「原爆と人間」展を訪れた人たち=2014年12月10日(島崎桂撮影)
被爆体験を証言
オーストリアでの会議で重要だったのは、核兵器国5カ国(米英仏中ロ)から2カ国、米国と英国が参加したことです。会議ではカナダ在住のサーロー節子さんが広島での被爆体験を証言し、核実験被害にあった人々も健康や環境への影響を語りました。こうした証言が、核兵器を違法なものにしようという各国や市民社会の要求を強める力になっています。
過去3回の国際会議が積み重ねてきた成果は、今年のNPT会議に決定的に強烈な影響を与えると確信します。
被爆から70年にあたる年のNPT再検討会議で、核兵器国がこうした声にどうこたえるのか。その点を見ることが重要です。もちろん核兵器国5カ国以外の核保有国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮というNPT外の国々の対応にも注目しなければなりません。
市民社会の支持
2010年の再検討会議は64項目の行動計画をまとめました。核兵器国に対しては、行動計画のどこを実践したのか、どこをこれから実践しようとするのかを明確にして再検討会議に参加することを希望します。
核兵器を禁止する国際条約を求める声が強まり、特に非同盟諸国からは具体的な提案が出ています。市民社会からの強力な支持もあります。
一方で認識しなければならないのは、条約ができても、仮に核保有国が署名しないならば、前進しないわけです。核保有国に条約の考えに賛同させ、その中身を実施させる必要があります。
核保有国の参加が得られないかもしれないものを結ぶよりは、核保有国を関与させたり、彼らと協議しようとしたり、何ができるか考えたりするほうが、より良いとの考え方も根強くあります。
核保有国は核抑止力論を主張していますが、私の回答は、それは再考する必要があるし、変更されなければならない、ということです。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国の多くは核抑止を軍事政策に取り込んでいます。核の傘のもとにある国も多くあります。彼らは核兵器国による“保護”から利益を得ているというわけです。
しかしそれは持続可能ではありません。「ええ、私たちは核兵器を持っています。持ち続けます」と言う主張は、“それならこちらも核兵器を持ったほうがいいかもしれない”という考えを広げます。結局、抑止というのは神話です。私は、どの国もその方向に進まないことを強く希望します。
世界の人々や環境をむちゃくちゃに破壊し、筆舌に尽くしがたい苦しみを与える必要はありません。
以下略
○●○●○●○●○●
過ぎたる3月1日はビキニデーです。
<金口木舌>ビキニデーに考える
(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-239630-storytopic-12.html
3月1日は「ビキニデー」だ。1954年のこの日、日本の漁船「第五福竜丸」が、米国の水爆実験によって被ばくしたことにちなむ
▼米国が第2次大戦後、初めて太平洋のビキニ環礁で原爆実験を行ったのが46年。その8年後に悲劇は起きた。映画「ゴジラ」を生むきっかけにもなったとされる
▼核廃絶を求める日に当たり、事件を報じた61年前の本紙を読み返した。首をかしげるのは日米政府の対応だ。外務省は米国から危険水域の連絡があったにもかかわらず、海上保安庁や水産庁に通告していなかった
▼米国も事件から約3週間たった時点で「(被災は)誇張されている」と主張した。米国の世界戦略に口を出すなということか。現代の米軍普天間飛行場移設問題やオスプレイ配備と同じ考えが発言の裏に透けて見える
▼半世紀以上たったが、放射線被害の恐怖は今も去ったわけではない。例えば福島県の東京電力福島第1原発だ。高濃度の汚染水が流出したが、東京電力は知っていながら公表しなかった
▼今も昔も強者の都合で情報が選別され、市民は危険にさらされる。54年3月21日の本紙社説はこう説いている。「原子力は兵器や政治の問題を超え、人類と人道につながっている課題」だと。原子力に限らず、市民が求めるのは情報を共有することだ。多くの知恵が集まってこそ過去の教訓は生かされるはずだ。
そこで、過去の当ブログ記事より一部転記いたしますね。
1954年3月1日にビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験
ブラボー実験のキノコ雲
キャッスル作戦 - Wikipedia
The Deadly Miscalculation at Castle Bravo
http://youtu.be/yjiWBkiBZQU
により日本漁船第五福竜丸が被災しました。
広島・長崎への原爆投下への憤りとかさなって、原水爆を禁止する要求が全国民的な署名運動が開始されるきっかけとなったものです。
通信士の久保山愛吉氏(当時40歳)が9月23日に亡くなり、日本人初の水爆による犠牲者となった事件です。
第五福竜丸
http://youtu.be/__vm9JrEWaE
1954年第五福竜丸 3.1ビキニ環礁でアメリカの水爆実験にまきこまれた。
第五福竜丸展示館
http://d5f.org/
詳しい経緯は
「今日(3月1日)はビキニデー「原水爆の被害者は私を最後にしてほしい」久保山愛吉」
http://ameblo.jp/m08068469/entry-11179508688.html
を参照してください。
この水爆実験による大気放射能汚染は地球規模に拡大し、海水、漁獲物(マグロ)の放射能汚染は北太平洋全域に及びました。焼津港に荷揚げされたマグロやサメは、第五福竜丸帰港の翌日、3月15日に東京、大阪等の市場に既に出荷されていたそうです。3月16日の朝これが放射能で汚染したマグロやサメであることがわかり、マグロを食した人の不安が広まり「原爆マグロ」騒動が始まました。汚染したマグロは地中深くに埋めたり、或いは沖合に投棄されたのです。全国の家庭で魚は敬遠され市場が一時閉鎖されるところもでたそうです。
米国の一連の水爆実験が続き、この年の12月末までの集計によると、放射能で汚染した日本の漁船は856そう、廃棄されたマグロは456トンであったのです!
5月になると強い放射能を含む雨が日本各地に降り、不安は日本全体に広がり、1954年3月から12月の期間、太平洋の各所で放射能により汚染した魚が漁獲されたのです。
太平洋における米国の水爆実験は、この後も続き、1956年4月には、ビキニ・エニウェトク環礁で13回原水爆実験が行われた。
グリーンハウス作戦ジョージ実験の爆発20ミリ秒後の火球
Top 10 Most Powerful Nuclear Bombs In History
http://youtu.be/4rElV_w_DPQ
A Time-Lapse Map of Every Nuclear Explosion Since 1945
http://youtu.be/LLCF7vPanrY
米ビキニ水爆実験60年 放射能は怖いんだ 三崎港の元船員 苦悩語る(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022702000251.html
一九五四年、太平洋・マーシャル諸島のビキニ環礁で米国が行った水爆実験で、マグロ漁船「第五福竜丸」が被ばくした事件から三月一日で六十年となる。放射能で汚染された魚を水揚げした日本の漁船は延べ約千隻に達し、マグロ漁の一大基地である三崎港(神奈川県)の漁船も魚の廃棄などの損害を受けた。遠く離れた海域まで及んだ汚染に直面した元船員たちは「体験を若い人たちに伝えなければ」と語る。 (橋本誠)
「放射能は怖いと思った。風に乗り、落ちた灰も海流に乗っていくんだから」
「第11福生丸」の船長だった今津敏治さん(84)=神奈川県三浦市=が当時を振り返る。
実験があったその日、今津さんらはビキニから数千キロ離れたフィジー周辺で操業中だった。焼津港(静岡県)に帰った第五福竜丸の被ばくが十六日に報道された後、船主からの無線で実験を知る。帰路はビキニに近づかないよう遠回りし、船体をせっけんで洗って四月に帰港した。
上陸すると、検査官が船員や魚に測定器を当てた。汚染はないと思っていたが、船体やカジキ、サメから国の廃棄基準を超える放射能が検出され、驚いた。約百六十トンの魚のうち十~二十トンが廃棄され、魚の価格低迷にも苦しんだ。「漁師にとって、魚は生活の資源なのに」。米国への憤りが収まらなかった。
「灰かぶりは来るな」。「第13丸高丸」の甲板員だった鈴木若雄さん(82)=三浦市=は五四年春、静岡県の漁港で飲食店の女性から入店を拒まれた。操業していたのはビキニの数千キロ東のミッドウェー島付近。方向が違うと説明したが、いわれのない偏見に「一番こたえた。こんなところまでうわさが来ているのかと」。
港には報道陣が押し寄せていた。白衣の検査官が選別した魚は、廃棄のため岸壁の方へ運ばれていったのを覚えている。
長い間体験を話す機会がなかったが、今月二十日、原水爆禁止神奈川県協議会のビデオメッセージ撮影に応じた。二十八日午後、静岡市で開かれる「被災六十年三・一ビキニデー集会」で上映される。
鈴木さんは、とつとつと繰り返した。「百年も二百年もたったら人間は忘れてしまうが、水爆を使うばか者が出たら困る。経験したことを見ていただき、皆さんが覚えていてくれれば」
ビキニ水爆実験と慰謝料 1954年3月1日に広島型原爆の1000倍の威力を持つ水爆を爆発させるなど、米国が同年5月までに計6回の実験をビキニ環礁で実施。第五福竜丸はビキニ環礁の約160キロ東の海上で放射性物質を含む「死の灰」を浴び、無線長の久保山愛吉さんが同年9月、急性放射線障害により40歳で亡くなった。第五福竜丸展示館(東京)によると、米国の見舞金による漁船への慰謝料約5億8000万円は25都府県に配分され、神奈川県が最も多かった。慰謝料は船主を通じて支給されたが、一般船員にはほとんど行き渡らなかった。米国は第五福竜丸の事件後の54年3月19日、危険区域を拡大した。
第五福竜丸乗組員、福島思い語り継ぐ(ビキニ60年)
http://youtu.be/Uasq9dOkHYg
120411大石又七氏インタビューダイジェスト
http://youtu.be/vBXgTu4ux50
2012年4月11日(水)、元第五福竜丸乗組員である大石又七氏への、岩上安身によ?るインタビューの模様。
1954年3月1日、漁業に出ていたマグロ船、「第五福竜丸」に乗船していた大石氏は?、ビキニ環礁沖で行われていた米軍の水爆実験に遭遇し、被ばく。大石氏は肝臓ガンに冒?され、最初の子どもは奇形児、死産。白内障や気管支炎、不整脈を患い、嗅覚も失った。?30種類以上の薬を飲みながら生活している。政治の中で翻弄されたビキニ事件。内容も?ほとんど表面化されないまま解決済みにされた事件の全貌をうかがった。
重要
母親たちの反核運動~3000万の署名、大国を揺るがす(再掲)
http://www.dailymotion.com/video/xp4jye_yyyyyyyyy-3000yyyy-yyyyyyy_news
「3000万の署名、大国を揺るがす
~第五福竜丸が伝えた核の恐怖~ 【そのとき歴史が動いた】
昭和29年に起きた第五福竜丸の被ばくをきっかけに日本の女性たち、母親たちが立ち上がり、世界に広がった反核運動の軌跡。なぜ広島と長崎に原爆を投下された直後ではなく、それから9年もかかったのか、それはどういう動きだったのか、そしてこの動きは1955年(昭和30年)8月6日に第一回原水爆禁止世界大会につながっていった ‥」
原爆マグロという言葉が広がり他の魚までもが売れなくなった当時の状況は、野菜や魚の汚染が始まり売れなくなっている現在と似ています。また高い放射能を含んだ雨が観測されたそうです。ところが‥
「原爆の灰がいつ何時降ってくるかわからない世の中だもの。なにが起きたって仕方ないよ」夫は新聞を読みながらそう言う。「原爆をつくることをやめれば」わたしがそう言うと、夫はあきれかえったようにわたしをながめていた。‥そんな新聞への投書がきっかけで女性たちの思いがつながりはじめたのは、3000万もの署名が集まる1年4ヶ月前のことでした。
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~(再掲)
http://dai.ly/xki6uk
「原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略」/
(NHK 現代史スクープドキュメント 1994年放送)
http://homepage2.nifty.com/voices/genpatsu/donyu.pdf
こんなにもヒドイ核実験だった!(ビキニ環礁沖核実験)
http://youtu.be/WeX5fjGP840
核実験の島はいま ~住民帰還は実現するのか~
http://www.dailymotion.com/video/xx567e_yyyyyyyy-yyyyyyyyyyy_news
NHK BS1 ワールドWave トゥナイト 2013.1.30。
南太平洋に浮かぶマーシャル諸島共和国のロンゲラップ島。50年余り前まで行なわれていたアメリカの核実験で汚染されたこの島に住民が戻れるように、除染作業が進められている。作業を実施しているアメリカ政府は、健康への影響のない水準まで下がったとしているが、帰還をめぐって住民の心は揺れている。除染されたのは島の3分の1に過ぎず、以前のようにヤシやヤシガニなどを自由にとって食べることはできない。さらに、「安全だ」というアメリカ政府の言葉を信じて戻った住民が被爆し、甲状腺障害などに苦しんだ過去も。ロンゲラップ島の現状とこれからの課題を探る。
むき出しの強行策!!治外法権の島・植民島か!…沖縄 (´・ω・`)
米軍に異例の拘束 辺野古移設“反対派”2人逮捕(報道ステーション・他):焦る米軍の恫喝を粉砕
http://youtu.be/X36TnpfPT1g
基地司令官の許可なく、此の区域に立ち入ることは、法律違反てある。当該施設に入る間は、すべての人は身体及び所持品の捜索を受けるかも知れない。不法な立ち入りは、日本国法律によって罰せられる。(刑事特別法第2条、昭和27年5月7日、法律第138号)当該施設は軍用犬により、巡回されている。
(゜д゜)!日本国憲法は戦力の保持を禁じているぞ!!《゚Д゚》
辺野古・「武力」で市民排除
国と海保は市民への暴力を止めろ!
(DAYYS JAPAN)2015年3月号
まるで「植民地支配」
辺野古で活動家逮捕
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年2月24日
沖縄県の米軍キャンプ・シュワプのゲート前で22日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する活動家2人が、米軍に身柄を拘束され、県警に逮捕された。2人は翌日、釈放されたが、駐留軍の要求に従い、沖縄の警備員、警察が地元の多数意見を背負う住民らを拘束、逮捕するという事態からは「植民地の分断支配」という構図が浮かぶ。
(沢田千秋)
県民同士争わせ、分断
「ゲートをふさいでいた県警の機動隊が横にずれたと思ったら、ゲート先に三十人ぐらいの米兵が現れ、その前に十五人ぐらいの警備員が立っていた」
拘束事件の現場にいた同県豊見城市の病院職員泰真実さん(四九)は振り返る。「めったに現れない米兵と直面したため、皆の士気は上がり『海兵隊出てこい』などと口々に声を上げた」
その後、キャンプの敷地と公道の境界のイエローライン付近で、沖縄平和運動センターの山城博治議長の体が米軍の警備員と移設反対派の間で引っ張り合いになり、キャンプ側に引きずり込まれたという。
泰さんは「山城さんは突出した反対派のリーダー。思想信条を超えて、最大公約数の主張で人を集められる。県警の機動隊は通常、ラインを出たら押し戻すのに、警備員は引っ張った。米軍は山城さんを拘束し、反対運動の弱体化を狙っているのでは」と憤る。
米軍には山城議長ともう一人が拘束され、その後、身柄の引き渡しを受けた県警名護署は、二人を日米地位協定に基づく「刑事特別法(同法二条の施設または区域を侵す罪)」の違反容疑で逮捕した。
刑事特別法について、駿河台大学法科大学院の島伸一教授(刑事訴訟法)は「駐留米軍保護のため、日本の刑法で補えない部分を補完する法律。米軍基地は刑法で定める住居や建造物に該当しないため、新法が必要たった」と説明する。
同法をめぐっては一九五七年、米軍立川基地拡張に反対したデモ隊七人が基地内に数メートル入って逮捕された砂川事件が有名。一審の東京地裁は米軍駐留の違憲性を理由に全員に無罪を言い渡したが、最高裁で有罪が確定。島教授は「米軍駐留を認めるなら、政府には米軍や家族の安全保護義務が生じる。刑事特別法の議論は、日米安保条約の本質に直結する」と話す。
今回の場合、後方に控える米兵の目前で、日本人警備員が直接、山城さんらを引き込んだ。刑事特別法一〇条は「米軍施設内の拘束は米軍の権限かある者の同意を得て行える」と規定しており、この規定に則した行為とみられる。沖縄の地元紙記者は「米軍の警備員は安定した就職先。県内の人が多い」と言う。
沖縄では、昨年十一月の知事選で移設反対派の翁長雄志知事が当選。十二月の衆院選でも県内四選挙区全てで、移設推進を掲げる自民党の候補が敗れた。しかし、安倍政権は沖縄の民意を一顧だにせず、基地の移設工事を強行している。
今回の拘束、逮捕について、広島修道大の野村浩也教授(社会学)は「拘束した米軍側の警備員にも、反対する人の中に友人や親族がいたかもしれない」と指摘しつつ、こう語る。
「日米両政府は、共同で沖縄を植民地化している。被植民者の立場にある沖縄の人びと同士を争わせる手口は、植民地における分断支配そのもの。沖縄の移設反対の大びとのみならず、彼らを弾圧する米軍の警備員や県警の警察官らも分断支配のただ中にいる。この事態を本土の日本人が無視してよいはずがない。沖縄の負担を分かち合う意識を持たねばならない」
徹底検証が必要 安倍と沖縄
まるで本土と「戦争状態」沖縄の惨状
(日刊ゲンダイ)2015年3月3日
基地建設に反対する県民を虫けらのように蹴散らし、米軍に拘束されても抗議もしない冷酷政治と沖縄の反発は、今や抜き差しならないところまで来ている
オール沖縄の民意を予算カットという兵糧攻めと中央の力でねじ伏せようとする安倍政権の暴政と正体を大メディアがまったく報じない異様事態
株式市場の狂騒に隠れて、沖縄では深刻な事態が進行している。大手メディアが積極的に報じないため、世論から忘れ去られそうになっているが、基地問題は抜き差しならなくなってきた。
基地反対で結束する「オール沖縄」の民意を無視し、強引に基地移設を進める安倍政権。それ
に抗議する市民と、警備側との緊張が続く。国民の生命と安全を守るはずの「海猿」が日本国民を取り締まり、国家権力が一般市民とにらみ合う異常事態。ケガ人や逮捕者も統出している。そんな中、ついには米軍による不当拘束事件まで起きた。
「先月22日、キャンプ・シュワブのゲート前で抗議行動をしていた沖縄平和運動センターの山城愽治議長ら2人が、いきなり拘束されました。無断で基地内に立ち入ったとして、日米地位協定に伴う刑事特別法違反と言うのですが、山城氏は柵を越えたわけでもないし、ゲートには背を向けていた。基地内に侵入する意思などなかったし、むしろ、ゲート前の道路に引かれた規制線を踏み越えないよう周囲に呼びかけていたのです。それなのに、山城氏が規制ラインを踏んだという理由で、警備員が後ろから足をつかんで引きずり倒し、手錠をかけて基地内に連れて行った。明らかに狙い撃ちでした。
リーダー格を拘束すれば、抗議活動がおとなしくなるとでも思ったのでしょうか。当時、現場には約30人の警察官がいました。刑特法違反での私人逮捕というなら、その場で警察官に身柄を引き渡せばいいのに、基地内に連行し、約4時間にわたって拘束を続けたのです」(琉球新報社会部長の松永勝利氏)
日本国内で、外国の軍隊に日本人が不当に拘束されるなんて、あり得ない話だ。刑特法を逸脱した人権侵害ではないのか。一本来なら、日本政府は米国側に徹底抗議すべきだろう。ところが、安倍政権はこれを黙認した。
沖縄は日米の「敵」なのか?
「あれだけ『日本人の命と安全を守る』と言っているのに、沖縄県民の安全が脅かされても知らん顔ですから、安倍首相が国民と米国のどちらを向いて政治をしているのか、明白です。TPPと同じ構図で、米国に隷属し、米国の手先になって、日本人の反対を弾圧しようとしているのが安倍政権なのですが、大手メディアは官邸の顔色をうかがって、政権に都合の悪い報道をしない。だから、庶民の多くは沖縄で起きていることの実態をよく分かっていないでしょう」(ジャーナリスト・横田一氏)
キャンプーシュワブのゲート前では、今もテントを設営しての座り込みが続くが、政府はテント撤去にも本腰を入れ始めた。官邸が「何とかしろ」と関係省庁を督励しているのだ。内閣府の沖縄総合事務局はテント撤去を要求し、24時間体制での監視を始めた。機動隊による強制撤去も辞さない構えだという。
前出の松永勝利氏は「国家権力を総動員して反対運動を封じ込めようとしている」と言った
が、海では海保、地上では機動隊かニラミを利かせて市民を威嚇。さらには米軍も、市民を不当に拘束という実力行使に出る。
これが日本国内で現実に起きていることだからメチャクチャだ。沖縄は日米の「敵」なのか?「今の中央政府と沖縄は、一種の戦争状態になっている。これ以上、政府が基地移設を強引に進めれば、国と沖縄の訴訟合戦になるのは閧違いないし、現場では本当に血の雨が降る事態にもなりかねません」(横田一氏阡前出)
民意無視の強権政治は国民全体に降りかかってくる
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防衛省の沖縄防衛局は、コンクリートブロックを海に投下する工事をどんどん進めている。ブロックは最大45トンに達する巨大なもので、沖縄県側の調査によって、このブロックか周辺のサンゴ礁を傷つけていることが確認された。一般的な重しの範囲を逸脱した巨大ブロックは、工事を許可した前提と異なるという沖縄県の指摘に対し、菅官房長官は会見で「この期に及びアンカーの大きさなどを指摘すること自体、遺憾だ」と一蹴。「(沖縄県が)一方的に調査を開始したことは極めて遺憾」とも言っていた。
「よく言いますよ。沖縄の民意に聞く耳を持たず、一方的に工事を強行しているのは政府の方じゃないですか。翁長県知事は、仲井真前知事の埋め立て承認の妥当性を検証する第三者委員会を立ち上げましたが、その結果が出るまで工事を中断できないのか。昨年の名護市長選、県知事選、衆院沖縄選挙区では、すべて辺野古移設反対派が勝利しています。それなのに、圧倒的な『オール沖縄』の民意は足蹴にされ、工事が進んでいく。沖縄の声は完全に無視されているのです。歴代の自民党政権は、もう少し丁寧に地元への説明をしていました。安倍首相は口では『丁寧に説明して地元の理解を得る』などと言っていますか、実際にやっていることは横暴そのもの。沖縄の怒りは沸点に違しています」(松永勝利氏=前出)
政府の強権的な手法の背景にあるのは、沖縄軽視、弱者差別だ。翁長知事は当選後、何度も上京して、首相や官房長官に面会を申し入れているが、「日程調整がつかない」とかいって、会おうともしない。15年度予算について聞き取る沖縄振興調査会への出席も認めなかった。この場に沖縄県知事が呼ぱれないのは初めてのことだ。
安保法制も原発も手法は同じ
政府は13年末、仲井真前知事が県民を裏切って辺野古推進に転じた際には、14年度予算の沖縄振興策を前年より500億円も増額し、3501億円を計上。15年度概算要求では、さらに3794億円へ上積みしていた。ところが、辺野古反対派の翁長知事が誕生すると、一転、3340億円に減額を決めている。その分、辺野古への移設経費を倍増だから、これはもう嫌がらせ以外の何ものでもない。
福島の中間貯蔵施設に関連して「最後は金目でしよ」と言った大臣もいたが、地方の民意はカネで支配できると考えているのだろう。尻尾を振れば褒美を与え、従わなければ”経済制裁”を与える。それが安倍政権のやり方だ。
沖縄国際大教授の前泊博盛氏が言う。
「国民の税金である予算を使って脅しをかけるのは、あまりに傲慢(ごうまん)な政治手法です。おそらく、工事を進めてしまえば県民だって諦めるし、大手メディアを使って『辺野古しかない』と言い続ければ、国民もそれを信じるようになるとタカをくくっているのでしょう。安倍政権の手法は、原発推進も安保法制も同じです。結論は決まっていて、民意には耳を傾けず、外堀を埋めて、既成事実を積み上げていく。地元かどんなに反対しても、中央の選挙で勝てば、すべて信任されたことにして、地方の民意をひっくり返してしまうのです」
沖縄防衛局はきのう(1日)、キャンプ・シュワブ沿岸の海底ボーリング調査に向け、スパッ
ト台船の組み立て作業を開した。政府は問答無用で移設工事を進めるつもりだが、これは決し一町沖縄だけの問題ではない。日本人全員が自分のこととして考える必要がある。
沖縄がドーカツに屈すれば、昧をしめた安倍政権の暴走はますます加速するだろう。いずれ国民全体にキバをむいてくる。民意を無視し、自由な言論を封じ、従わないものは力で屈服させ、弱者を切り捨てる。そういう政治で本当にいいのか。いま問われているのは、この国の民主主義なのである。
辺野古県民集会
民意無視は許さない
若い世代や海人たちも
(しんぶん赤旗)2015年2月23日
「辺野古の埋め立てやめろ」「新基地建設反対」。名護市辺野古の米海兵隊基地のゲート前で22日開かれた抗議県民集会では、国道を挾んで何重にもなった人波、5000人が唱和しました。「新基地いらない」の思いが一つになりました。
(柳沢哲哉、阿部活士)
新基地ノー 思い一つ
「ぜひ来たい」という89歳になる母親・妙子さんと一緒に、うるま市から仲間5人と分乗してきたというのは、大城茂俊さん(63)。大城さんは、高校生のときに同級の女生徒が米兵にレイプされたつらい体験があります。「米兵が悪いことや事件を起こしても、日本には裁判権もない。地位協定のせい。米兵は安心して悪さするよ。個人的にアメリカ人が僧いわけでないが、同じ人間でありながら矛盾を感じる。だから基地はもういらない」
母親の妙子さんもいいます。「戦争でずいぶん苦労しました。戦争につながる新しい基地はいりません。基地があるがゆえに攻撃にさらされるのは私たち市民です」
「新基地ノーのステッカーやのぼりが林立する集会。「辺野古新基地ナヤンビラン(認めない)建白書実現」との、のぼりを掲げて参加したのは、那覇市栄町市場で仕事をする入ら総勢20人。その一人、「備瀬商店」の店主の備瀬孝さん(58)は「市場の仲間と夜飲んでいたら辺野古の基地の話題になって行動しようと盛り上がった」。「はっきりいって、沖縄に基地はいらないんです。観光やスポーツ、野球球団の春のキャンプやサッカーとかで経済は潤っています。商売も大丈夫です。基地が経済発展の一番の阻害要因です」
腕を組み、真剣な表情で発言を聞く若い世代もいました。
「集会で発言した高校生の話に共感した」というのは、宜野湾市の沖縄国際大学に通う新嵩用兵衛(ありたけようへい)さん(19)は、20歳の友だちと参加しました。「宜野湾市にある普天間基地からの騒音はうるさいし、撤去してほしい。新しい基地もいらない」。20歳の女子学生は、初めて辺野古にきました。「海はきれいだし、やっぱり残したい。人の多さに圧倒されました」と語りました。
バス2台で80人が参加した「やんばる統一連」。吉田敬子さん(68)に名護市在住=は「戦争につながる基地は絶対にダメ。日本政府はOKしたかもしれないが、県民は許していない。主権者の民意を無視する安倍政権は許せない。勝利するまでがんばります」。
海を守ろう
海人(うみんちゅ)たちも辺野古の海を守ろうと立ちあがりました。集会の前に、3隻の船を出して工事の中止を訴えました。糸満漁業協同組合の大城忠さん(58)は「海人は漁業権がある分、海を守る義務もあります。次の世代にきれいな海、漁ができる海を残す義務です。多くの海人の仲間たちがどんどん声をあげて、小さな声が大きくなれば辺野古の埋め立てを阻止する大きな力に変わります。それを信じて最後まであきらめずにいろいろな活動をやっていきたい」と話しました。
はえ縄漁を営むうるま市の池田勇さん(73)は「このままでは漁場がなくなってしまいます。基地はないほうがいい」ときっぱり。宜野座村でモズク漁をしている佐次田崇さん(62)は「基地ができたら、漁にものすごく影響する。今でもオスプレイの騒音がひどい。これ以上、基地を造らせてはいけない」と力を込めました。
県外からも
全労連や安保破棄中央実行委員会など県外から「いてもたってもいられない」と参加した人たちもいました。
「民意無視は許さない」「きれいな海を残して」などの寄せ書きを持っていたのは、名古屋市からかけつけた梅村紅美子(くみこ)さん(50)です。「寄せ書きは、沖縄に来られない仲間の思いです」。自身は、米車ヘリパッド(離着陸帯)建設に反対する東村高江のたたかいを描いた映画「標的の村」をみたのがきっかけで、昨年夏に実際に高江、辺野古にきました。「自分の目で確かめました。きれいな海、自然がいっぱい。基地はいらないという沖縄の人たちは平和と権利を守るためにたたかっている。民主主義はたたかうことです。一緒に勝利します」
『標的の村』劇場予告編
http://youtu.be/rJcJSZJ4qoI
穀田恵二【衆議院 国会中継】平成27年3月3日 予算委員会
http://youtu.be/4_c7ZPpxwNQ
辺野古新基地 防衛省が陸自常駐案を構想
穀田議員内部資料示す 拠点化で負担増に
(しんぶん赤旗)2015年3月4日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-04/2015030401_03_1.html
防衛省が米軍新基地建設に向けた作業を進めている沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ内に、陸上自衛隊部隊を常駐させる「恒常的な共同使用」構想を秘密裏に検討していたことが、初めて明らかになりました。日本共産党の穀田恵二議員が3日の衆院予算委員会で、同省の内部資料から明らかにし、中谷元・防衛相は「さまざまな検討は実施している」と答弁しました。
キャンプ・シュワブでは現在、陸自は一時的使用に限られており、陸自部隊が常駐すれば辺野古新基地は日米一体の軍事拠点と化し、沖縄の基地負担がさらに増すことになります。
穀田氏が示したのは、「取扱厳重注意」と記された防衛省統合幕僚監部防衛計画部の資料(2012年7月)と、同省防衛政策局日米防衛協力課の資料(同)。いずれも沖縄本島の地図上に「キャンプ・シュワブ等への陸自普通科連隊等の配置など、共同使用の拡大を検討」と明記されています。(図)
中谷防衛相は検討していることを事実上認めた後で、「いかなる文書かは承知していない。(辺野古新基地で)恒常的な共同使用は考えていない」とあわてて答弁を修正。安倍晋三首相も「(構想を)全く考えていない」と釈明しました。
穀田氏は、統幕の作成した資料には石垣島と宮古島への「初動対処」部隊の新設方針も明記されていることを指摘。同省が2015年度予算案で継続する南西諸島の現地調査は、内部資料の部隊配置計画の具体化ではないかと追及しました。
中谷防衛相は「現時点の検討状況を踏まえ、現地調査費用約2000万円を計上している」と述べました。
穀田氏は、安倍首相が辺野古新基地について、「負担軽減に十分資する」「沖縄の皆様に丁寧に説明していく」と繰り返し述べていることをあげ、「基地の全容すら明らかにしようとしないで、何が『丁寧な説明』か」と批判しました。
衆院予算委 穀田恵二議員のコメント
http://youtu.be/Vzq6PeU9m6s
辺野古に陸自常駐 恒常的に共同使用 防衛省文書で判明
(琉球新報)2015年3月4日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-239775-storytopic-3.html
20150303衆院予算委 辺野古新基地・米軍による不当拘束問題について質問 赤嶺政賢衆院議員
http://youtu.be/fHLZP1wAMtU
米軍拘束事件 抗議活動への不当介入
赤嶺議員 米側いいなりを批判
(しんぶん赤旗)2015年3月4日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-04/2015030401_04_1.html
日本共産党の赤嶺政賢議員は3日の衆院予算委員会で、沖縄県名護市の米軍基地(キャンプ・シュワブ)ゲート前で抗議行動のリーダーを米軍が拘束した事件について、「憲法で保障された抗議活動に対する不当な介入だ」とただしました。
政府側は米軍から抗議活動排除の要請があったことを認め、岸田文雄外相は「(抗議活動に参加する人たちが設置した)テント撤去の要請があった」と答え、基地との境界線を示す線の引き直しも米側の要請であることを認めました。
事件は、ゲート前で米軍新基地建設反対の抗議行動をしていた沖縄平和運動センターの山城博治氏ら2人が2月22日、米軍の警備員によって身柄を拘束され、刑事特別法違反の疑いで県警に逮捕されたもの。
赤嶺氏は、抗議行動参加者が基地内に立ち入らないよう指示していた山城氏を、米軍警備員が羽交い締めにして取り押さえ、地面に倒れた山城氏の両足を抱えて基地の中に引きずりこんだ現場の様子を紹介。「(山城氏の行動は)故意によるものではなく(逮捕の)要件にならない」「あまりにも不当な身柄拘束だ」とただしました。安倍晋三首相は「捜査中であり、コメントは控える」と述べました。
赤嶺氏は「(不当介入の)前兆があった」と述べ、今年1月上旬、アメリカ国防総省の高官が来日し、抗議活動の排除に向けた対策を米軍幹部と協議し、日本側にも協力を要請したと報道されていると指摘。これを受けた政府の対応をただしました。
さらに赤嶺氏は、2月上旬には抗議行動の最中に基地の米兵が拳銃を抜いて歩く姿が行動参加者に目撃され、現場に危機感が走ったことも示し、「事実を把握しているのか」と追及。中谷元・防衛相は「米軍の活動の詳細は運用上の理由から公にできないと承知している」と開き直りました。
赤嶺氏は厳しく抗議し、「沖縄の戦後史に刻まれた県民の尊厳を回復するための数々のたたかいを引き継ぐ抗議活動を踏みつぶすことなどできない」と強調しました。
衆院予算委 赤嶺政賢議員のコメント
http://youtu.be/lxg80fMKMN8
昆布土地闘争
新基地建設は必ず阻止できる
赤嶺政賢衆議院議員に聞く
(しんぶん赤旗)2015年2月16日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-16/2015021603_01_1.html
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、政府は3月までに海底ボーリング(掘削)調査を終え、4月以降、埋め立てを含む本体工事へ突き進もうとしています。緊迫した現局面をどう見るのか。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員(党沖縄県委員長)に聞きました。
―安倍首相は県知事選や総選挙で示された新基地ノーの民意を「真摯(しんし)に受け止める」といいながら、選挙前とまったく同じ言い分で新基地建設の作業を強行しています。
道理のない巨大新基地
赤嶺 私は1月30日の衆院予算委員会で、「その政府のごまかし答弁にノーをつきつけたのが、この間の知事選だった。首相の答弁は破綻している」と述べました。
首相は「普天間基地の単なる移設ではない」と言いますが、そう言いたいのはこちらです。「単なる移設」どころか、2本の滑走路と300メートル近い岸壁が建設され、4万トンを超える強襲揚陸艦が接岸できる巨大新基地ができます。
戦後70年間米軍基地に苦しめられてきた沖縄で、なぜ新たに200年先まで使えるような新基地を押しつけられなければならないのでしょうか。
―政府の強行姿勢に対して、現地では怒りが強まっています。
赤嶺 沖縄防衛局は「新基地ノー」の民意を無視し、今年1月に作業を再開しました。
防衛局は、臨時制限区域を示すブイ(浮標)やフロート(浮具)を台風で流されないようにするためとして、最大45トンもの巨大なブロックや鋼製アンカーを海中投下し、サンゴを損傷するなど、海の破壊を繰り返しています。一方、海上からの抗議行動は、海上保安庁が力で押さえつけています。
県の権限で止められる
このような横暴に、県民から悲痛な叫び声が上がるのは当然です。ただ、実際に追い詰められているのは政府の側です。実際、県民の側には新基地建設を止めるための手段はいくらでもあります。
まず、翁長雄志(おなが たけし)知事は、仲井真弘多前知事による埋め立て承認の法的瑕疵(かし)の有無を検証する「第三者委員会」を設置しました。知事が承認の取り消し・撤回に踏み切れば、その瞬間、政府は法的根拠を失い、工事が止まります。6月から7月にかけて結論を出すことになりますが、第三者委員会に専門家の知見も集めて、しっかり支えていくことが必要です。
また、沖縄県は巨大ブロックの設置が、仲井真県政が出した「岩礁破砕許可」にも違反している疑いがあるとして、作業の一時停止指示や許可の取り消しを検討しています。
岩礁破砕許可は新基地建設のための埋め立て予定区域内に限っていますが、多くのブロックがこの範囲を超えて投入されています。翁長知事も13日の記者会見で、「区域外に投入されている」との見方を示し、「一時停止」を国にもとめると表明しています。
また、沖縄防衛局は「ボーリング調査のため」として、事実上の埋め立てである仮設桟橋の建設を計画していますが、最近、沖縄県に報告せず設計を変更していたことが明らかになりました。県もこれを問題視しており、取り消しも視野に入れています。
仮に政府がこれらを強行突破して3月中にボーリング調査を終えても、その後につくる基本設計を沖縄県当局と協議することが、埋め立て承認書に明記されています。
加えて、新基地計画には、名護市の許可が必要な項目があります。沖縄防衛局は稲嶺進名護市長の理解が得られないとして、昨年9月に埋め立て申請の変更を4件申請しました。
このうち2件は、新基地推進の仲井真前知事でさえ承認していません。このため、防衛局は埋め立て土砂の採取地変更など、重大な計画変更を余儀なくされています。しかも、新しい土砂採取地を見つけても、今度は翁長知事から承認を得ないといけません。
内外の世論広げて阻止
政府は「工事を粛々と進める」といいますが、実際はこれだけのハードルを越えないといけないのです。日米合意では、新基地の工期は5年となっていますが、防衛省当局者でさえ、「粛々と進むのは2年間だけ」と見ています。それ以降は、埋め立て申請の変更分について新たに翁長知事から承認を得なければならないからです。しかも、その「2年間」ですら、これまで述べたように「粛々」と進むわけではありません。
昨年、新基地に反対する名護市長を再選させ、県知事を誕生させたことが、大きな力になっています。「オール沖縄」の力で県知事と名護市長を支えて、団結してたたかっていけば、この基地建設は手続き上も止まらざるをえません。私たち県政与党も、県に対して積極的な提起をしていきます。
―手続き面で阻止していくことと併せて、現地でのたたかいが重要ですね。
赤嶺 今、沖縄県民は海上抗議行動とキャンプ・シュワブのゲート前での座り込みをたたかっています。座り込みは24時間態勢です。参加者は県内各地や全国から、日に日に増えています。
沖縄本島中部の読谷村(よみたんそん)では、村や自治会など9団体による、新基地阻止の「村民会議」を発足させ、週末にはバスを出して辺野古の行動に参加しています。また、那覇市や沖縄市などからバスを定期運行し、県内各地から参加者を募る取り組みも続いています。
22日に辺野古で行われる海上デモ、ゲート前での抗議行動は2000人以上の参加を目指しています。これを成功させることが重要です。
加えて、辺野古の問題の大本にある普天間基地の問題は「たらい回し」では解決しない、2013年1月に政府に提出した「建白書」に基づいて、「閉鎖・撤去」しかないという世論を沖縄県内だけでなく日本全国に広げていくことが必要です。米国でも、良識ある知識人が、普天間基地問題で「(移設)条件がつくことは本来的に許されない」と指摘しています。
大綱引きの粘り強さで
辺野古問題にかかわってきたベテラン弁護士は「このような国の動向に動じず、たたかう」と話していました。翁長知事、稲嶺市長はあらゆる手段を使って辺野古新基地建設を止めると再三にわたって表明しています。いま辺野古のたたかいは、沖縄の大綱引きによくみられる根気くらべの局面です。絶対に負けないという、粘り強いたたかいで輪を広げていきましょう。
安倍政権の強硬姿勢は軽視できませんが、これは従来の自民党政府なりの「懐柔策」が通用しなくなり、むき出しの強行策しかなくなっていることの現れです。このような暴走を許さない県民の「島ぐるみ」のたたかいをなおいっそう高めずにはいられないでしょう。
聞き手・竹下岳
○●○●○
集団的自衛権
http://youtu.be/mqjMqRnecTY
安倍首相「私は歴史修正主義者では全くない」
(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2436018.html
(03日22:30)
群衆と戦後70年
http://youtu.be/jZU5ibEEKNk
20140502ラストデイズ「忌野清志郎×太田光」
政治に無関心でいいなんて
言っていると…
君の息子なんかが
戦争に行っちゃうわけよ
http://dai.ly/x21c6xw
まやかしで…これ以上、収奪されるのは「小○」 (´・_・`)
The Liberty Bell March
http://youtu.be/l6Dd0EaEbqg
Liberty Bell
日本近代史上唯一の勝利
「三閉伊一揆」知ってますか?
(生活と健康を守る新聞)2015年3月8日
今を去る168年前のこと、朝ドラ「あまちゃん」で一躍有名になった北三陸地方で、「黒船来る」よりも震撼させた出来事がありました。時の為政者の悪政をただすため農民、漁民、輸送業者、鉱山労働者が用意周到のもと統一戦線を広げ、日本近代史上唯一証文を受けとり勝利したこの一揆は後世「三閉伊一揆」と称されました。1月26日、社会運動史家の牛山靖夫さんを愛車ジムニーに乗せ、盛岡から約110キロ、一揆発祥の地、田野畑村へ向かいました。
悪税廃止など49か条の要求を掲げ民衆が参集
1847(弘化4)年に1万2000人、1853(嘉永6)年に1万6000人が野田・宮古・大槌の街道(閉伊郡の3つの道から三閉伊と呼ばれる)を悪税廃止など49か条の要求と「小○」の旗を掲げ参集。当時この地域で暮らす人たちは6万人。何と4人に1人が女性という行進になりました。
この一揆を題材にして、わらぴ座が「東北の鬼」を上映、今は亡き児童文学作家・後藤竜二さんの作品「白赤だすき小○の旗風」を見た、読んだ人も多いことでしょう。
さて、一揆の指導者、佐々木弥五兵衛、畠山太助の郷里・田野畑村(人口3582人)には、一揆の全容を見学できる「田野畑村民族資料館」があり、上映されている「三閉伊の炎」は圧巻です。
資料館の広場には弥五兵衛、太助の像が凛として彼方を見つめています。
この田野畑村に「原発誘致」が持ち上がった時、婦人団体協議会会長の岩見ヒサさん(元開拓保健婦・現在96歳)が村挙げての一大学習運動を提起。「お金でだまされない、危険な物はいらない、宝の海を守ろう」と、まさにオール田野畑をつくり上げ、時の首相・鈴木善幸をして断念させたことも付記します。
なお、この地は、作家の吉村昭、津村節子夫妻が何度も足を運び「三陸大津波」の作品を生み出しました。
三陸の一大景勝地「北山崎」の断崖絶壁もお見逃しなく。
ウニなど海の幸は最高 ワカメは震災前の8割
「海は山の恋人」と言われるように、北上山地のエネルギーを取り込み育んだ海の幸は絶品です。鮭、アワビ、ウニ、カレイ、アイナメ、ヒラメ、当地以外に知られていないドンコは、白身の魚、鍋に良し、タタキは日本酒の好きな人にとっては最高です。
国道45号線沿いの「北川食堂」が提供する日替わり海鮮丼(980円)はお薦めです。
水産業も大地震・津波で甚大な被害を被りましたが、確実に復興してきています。その名も知られる「三陸ワカメ」は震災前の8割まで生産が回復、しかし、悲しいことに、今なお続く放射能風評被害で売上高は5割減になっています。
北リアス線島越駅完成 心が洗われる列車の旅
全て流された北リアス線「島越駅」の駅舎は、完成し、久慈と宮古間の鉄路は確保されました。旧駅合側にあった宮澤賢治の碑は健在でした。北三陸の海を眺めながらのローカル列車の旅は、心が洗われます。夏期は復興支援を兼ね全国からのリピーターで活況を呈していますが、この日、2両編成の列車の乗客はわずか5人でした。冬期間の観光客誘致が課題になっています。車で海岸沿いをたどって行くと、漁港は復旧していますが、周辺の民家はなくなり、河川の護岸工事や道路、盛土工事の槌音ばかりで
住民の姿が見えません。まさに復興は緒に就いたばかりです。
遠野路ら魅力しつぱい 郷土芸が”ぎっしり”
弘化4年、野田・宮古・大槌街道の三方から寄せた一揆の一行1万2000人は、遠野市(人口2万880人)の早瀬川河原に集結し、盛岡藩筆頭家老の南部弥六郎と交渉、御用金を撤廃させ、帰途に要する食糧をも支給させたと言います。
「民話の里」で知られる遠野路も魅力にあふれています。「遠野ふるさと村」は、江戸中期から明治中期の「曲り家」を移築し、一つの集落を再現しました。陶芸、染め物、織物、それに昔ながらの里山体験ができる場所です。
11月下旬から3月末まで開催される「どぺっこ祭り」は地産のどぶろくを心行くまで堪能できます。
遠野駅前にある「とおの昔語の館」では毎日、遠野の語り部による昔話や郷土芸能が楽しめます。
限りなく勇気と希望を与えてをれる三閉伊旅
「三閉伊一揆の旅」は今を生きる私たちに限りなく大きな勇気と希望を与えてくれます。復興支援になるこの旅にあなたも「おでんせ(おいでください)」。
お問い合わせ先L岩手県生活と健康を守る会連合会・電話・FAX=019(653)0128。
(川口義治通信員)
「小○」とは「困る」こと。(`・ω・´)
これ以上、収奪されるのは、小○
新基地岸壁 271.8メートル 揚陸艦接岸基準と一致
米軍公開文書 辺野古 巨大軍港化裏付け
(しんぶん赤旗)2015年3月5日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-05/2015030501_01_1.html
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地に設置が計画されている岸壁の長さ(271・8メートル)が、強襲揚陸艦の安全な係留に必要とされる長さと一致していることが、米軍の公開文書から明らかになりました。新基地に巨大な軍港機能が付加され、米海兵隊の一大出撃拠点になる危険性が改めて裏付けられました。
文書は、米海軍施設エンジニアリング・サービスセンター(NFESC)が米海軍の指示で作成した技術書(1998年5月)で、沖縄環境ネットワークの真喜志(まきし)好一世話人が発見しました。
同文書は、ノーフォーク海軍造船所(米東部バージニア州)の第5埠頭(ふとう)を例示し、全長257メートルのワスプ級強襲揚陸艦(LHD1)が49ノット(秒速25メートル)の風でも安全に係留できる距離が271・86メートルであることを示しています。(図)
米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)に配備されている強襲揚陸艦ボノム・リシャール(写真)もワスプ級です。同艦は在沖縄米海兵隊が派兵する際、ホワイトビーチ(うるま市)に寄港して部隊や装備を積んでいます。辺野古への係留が可能になれば、新基地に配備される垂直離着陸機MV22オスプレイや戦闘部隊を直接積み込むことができます。
沖縄防衛局が2012年12月に提出した辺野古新基地の環境影響補正評価書では、岸壁の長さは200メートルでした。ところが13年3月の埋め立て申請書で271・8メートルに延ばされていました。
安倍晋三首相は「岸壁の整備は運搬船の接岸のため。強襲揚陸艦の運用を前提とするものではまったくない」(2月17日、衆院本会議)などと述べ、軍港機能を否定しています。
しかし、政府が想定している「運搬船」の全長は183・5メートルにとどまり、係留に必要な距離は最大でも238・1メートルにとどまることが、埋め立て申請書にも明記されています。
真喜志氏は「なぜ271・8メートルなのか。政府は具体的な根拠を示すべきだ」と指摘します。
沖縄・辺野古新基地
「移設」どころか最新巨大基地化
(しんぶん赤旗)2015年3月5日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-05/2015030503_01_0.html
これでも「沖縄の基地負担軽減」だと言い張るのか―。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地に設置が計画されている岸壁の長さ(271・8メートル)が、米軍が示している強襲揚陸艦の係留に必要な基準と一致していることが明らかになりました。新基地は、住宅地のど真ん中にある普天間基地(宜野湾市)の「移設」だとされていますが、単なる「移設」どころか、普天間にはない機能を追加し、最新鋭の巨大基地にする狙いは明白です。
(竹下岳)
「271.8メートル」根拠説明なし
政府は辺野古新基地に係船機能付き護岸―いわゆる軍港を設ける計画を示しています。その理由は、新基地に配備されるオスプレイなどが故障した場合、「船舶を使用した輸送を実施する必要がある」(2012年12月の環境影響補正評価書)ためとしています。
普天間基地に配備されているヘリは修理の際、米本土から飛来する大型輸送機に積んで輸送します。しかし、新基地の滑走路は普天間より1000メートル短く、大型機は離着陸できません。このため、輸送船が必要になるという説明です。
ここで政府が想定している輸送船の全長は183・5メートルです。軍港の全長も200メートルを想定していました。それが突然、13年3月の埋め立て申請書で271・8メートルになったのです。
埋め立て申請書(図)を見ても、輸送船の安全な係留に必要な長さは、最大238メートルとなっています。これより短くても係留は可能です。
不思議なのは、埋め立て申請書に「238・1メートル」の説明はあるのに、「271・8メートル」について何も説明していないことです。
沖縄環境ネットワークの真喜志好一世話人は、「強襲揚陸艦の接岸を可能にするよう、米軍からの要求があった可能性は高い。271・8メートルという中途半端な長さは、米軍が用いるヤードをメートルに換算した結果ではないか」と推測します。
戦闘部隊1カ所集中
仮に辺野古への接岸が可能になったらどうなるのでしょうか。
沖縄の海兵隊(第31海兵遠征隊)はおおむね、年に2回ほどアジア太平洋に展開します。その際、まず佐世保基地(長崎県佐世保市)から強襲揚陸艦隊がホワイトビーチ(うるま市、WB)に寄港し、部隊や装備を積み込みます。イラク戦争の際も、2004年にWBから出撃しました。
ただ、海兵隊の基地は沖縄本島の中部から北部の広範囲に機能別に点在しており、移動には一定の時間がかかります。
日本共産党の渡久地修議員が4日の沖縄県議会一般質問でただしたところ、県の末吉幸満土木建築部長はWBまでの移動距離と時間、信号の基数を、次のように算出しました。(いずれも陸路)
(1)キャンプ・シュワブ~50キロ、1時間、30基
(2)嘉手納弾薬庫~26キロ、1時間、50基
(3)普天間基地~24キロ、50分、50基
(4)キャンプ・ハンセン~36キロ、1時間、50基
しかし、辺野古に普天間基地の航空部隊が移れば、シュワブや、陸続きになっているハンセン(中部訓練場)に駐留している地上戦闘部隊や戦闘車両などと一体になります。さらに新基地には弾薬庫も置かれます。
新基地に強襲揚陸艦が接岸できれば、すべてが1カ所に集中し、効率良い運用が可能になります。
東村高江などを含む北部訓練場や伊江島補助飛行場などと併せ、「沖縄本島北部が、海兵隊の訓練から出撃まですべてが可能になる一大拠点に変ぼうする」―渡久地議員の指摘に対して翁長(おなが)雄志知事は、「そのような印象を受ける」と同感し、「新しい基地に関して、沖縄は将来にわたって何の配慮もされないことは見通せるので、新辺野古基地はつくってはいけない」とあらためて答弁しました。
自然壊し戦争拠点に
沖縄防衛局は新基地建設に反対する県民の総意を無視し、連日、工事を続けています。近く海底掘削(ボーリング)調査や、事実上の埋め立てである仮設桟橋の建設を強行するかまえです。
辺野古の海には、世界遺産に登録されている世界最大のサンゴ礁地域、グレートバリアリーフ(豪州)を上回る数のサンゴが生息しているとされます。また、国際的な保護動物ジュゴンの生息域の北限です。新基地に伴う埋め立てで、これらが壊滅的な打撃を受けることになります。
貴重な自然を破壊し、イラク・アフガニスタンでの侵略戦争のような殺りくへの出撃拠点にする―。まさに人類への犯罪行為です。
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ホワイトビーチ 強襲揚陸艦入港
米海軍佐世保基地(長崎県)を母港とする強襲揚陸艦ボノム・リシャールが4日、ホワイトビーチ(沖縄県うるま市)に入港しました。今年1月以来の入港で、在沖縄米海兵隊の訓練激化が予想されます。
辺野古新基地は最新鋭の基地/海兵隊は沖縄から出て行け
http://youtu.be/JlGRTI7bm0w
ジュゴン
辺野古沖にジュゴン 空と海中から撮影に成功
http://youtu.be/VvkgQFVk7qs
辺野古の海にコンクリートブロック「サンゴ破壊」の現場(報道ステーション)
http://youtu.be/IiWq2guNQCM
旅券返納 沖縄の悪夢 「渡航の自由なかった」
(東京新聞【こちら特報部】)2015年3月4日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015030402000176.html
憲法は渡航の自由を保障する。一九七二年の日本復帰までの二十七年間、米軍統治下の「無憲法状態」に置かれた沖縄では、米軍ににらまれた人物の本土渡航が大幅に制限された。シリアの現地取材を計画したフリーカメラマン男性への旅券返納命令は、復帰前の沖縄を知る人たちにとっては悪夢の再来だ。権力側の恣意(しい)的な判断で「自由」が踏みにじられる。ジャーナリズムの喉元に突きつけられた匕首(あいくち)は、やがて一般市民にも向けられるのではないか。
(篠ケ瀬祐司、林啓太)
本土復帰前米側か大幅制限
二月十八日、参院議員会館で開かれた緊急集会「パスポート返納命令を考える」。旅券返納命令を受けたフリーカメラマン杉本祐一さん(五八)の報告に続き、マイクを握った沖縄選出衆院議員の照屋寛徳さん(六九)は「沖縄の人たちには復帰まで渡航の自由がなかっ
た。進学した本土の大学で復帰運動をして、パスポートを取り上げられた学生もいた」と力を込めた。
米軍統治下の沖縄では本土に渡る際、琉球列島米国民政府が発給する「日本渡航証明書」(パスポー卜)が必要だった。氏名の前には「琉球住民」と表記された。申請後、一部には「補助申請書」の提出を求める書留が届いた。
一九八二年に発行された「沖縄県祖国復帰闘争史」には、補助申請書の内容が紹介されている。質問項目は二十七。身体的な特徴は、身長や体重はおろか、髪や目の色、傷痕まで書かされる。過去や現在の所属団体や共産運動経験の有無、その経験者はいきさつも問われた。もちろん、今の日本ではパスポートを申請しても、外国での退去命令や日本国内での刑罰に関する事項を除き、こんな追加質問はされない。
「闘争史」は補助申請書について「体のいい(発給)拒否」と断じる。五七~六○年に百三十四人が補助申請書を強いられ、五人が申請を取り消した。補助申請書を出しても却下された例もある。
直接的な発給拒否や取り消しもあった。
照屋さんも琉球大の学生会役員だった六四年、東京行きのために申請したパスポートがなかなか発給されなかった。「仲間の抗議の座り込みでやっと発給された時には、予定の船は出航してしまっていた」
与那国島に暮らす元沖縄県議の宮良作(みやらさく)さん(八七)は、中央大を卒業した五四年、理由が告げられないままパスポートが発給されず、故郷に戻れなかった。「学生時代に沖縄の本土復帰運動をしていたためだろう。パスポートを手にしたのは、復帰が決まった後の七一年になってからだった」
所持していたパスポートが、一方的に無効化された人もいる。復帰後の初代沖縄県知事を務めた故屋良朝苗(やら ちょうびょう)さんだ。五〇年代に戦災校舎の復興運動を進めると、パスポートは無効とされた。
屋良さんの下で教職員組合活動に取り組んだ元沖縄県教職員組合委員長の石川元平さん(六六)は「屋良さんらの活動が、沖縄を統治していた米国を刺激したためだ」とみる。
「米国は沖縄を『民主主義のショーウインドー』と称し、善政を敷いていると宣伝していた。校舎復興すら進まない沖縄の惨状が本土に伝わることや、復帰運動の広まりを嫌っていた」
規制対象 権力の恣意
市民に拡大可能性も
今回の旅券返納命令が「あしき前例」となれば、渡航の自由とともに、報道や取材の自由が侵害されかねない。危険地帯で取材するか否かの決定権を政府に握られてしまうためだ。
当の杉本さんは「日本人人質事件の直後で、政府による『国民の安全確保に努めている』という宣伝に利用された」と憤る。アジアプレス・インターナショナル代表の野中章弘さん(六一)は「政府発表以外の情報を人々に提供し、現状を判断する材料にしてもらうのが報道の役割だ。政府はジャーナリストの行動を縛ってはならない。観光客の安全を確保することとは次元が違う」と主張する。
復帰前の沖縄の状況を考えれば、影響はジャーナリズムの世界にとどまらないかもしれない。日本政府と対峙する勢力にも矛先が向く可能性がある。
照屋さんは「旅券返納命令に黙っていては、かつての沖縄のような渡航制限に直結しかねない」と訴える。石川さんも「当時の米国民政府も安倍政権も、大衆の権利をコントロールして支配しようとしている。権利の制限は今は一部でも、いつ誰に拡大するか分からない」と警鐘を鳴らす。
「政府の意にそぐわない活動をするNGO(非政府組織)など民間団体の関係者の渡航を妨害する可能性も皆無ではない」と指摘するのは、ジャーナリストの安田純平さん(四〇)だ。安田さんは、外務省の退避勧告が出ていたイラクで二〇〇四年に拘束された際、政府要人からも「自己責任」と非難された。
イラクやパレスチナなどの紛争地で人道支援に取り組むNGO「日本国際ボランティアセンター」事務局長の長谷部貴俊さん(四一)は「アフガニスタンには二年ほど入れていない。外務省の安全対策の要請が厳しくなったからだが、政府から補助金をもらっているので要請は拒みづらい」と明かす。
もとより安倍政権下では、憲法で保障された権利がないがしろにされる事例に事欠かない。
特定秘密保護法は、表現の自由や知る権利を脅かす。集団的自衛権の行使容認は九条の平和主義の原則をねじ曲げる。沖縄の辺野古新基地建設反対派の男性が逮捕された事件は、表現の自由だけでなく、人身の自由まで侵している。
憲法が専門の渡辺治一橋大名誉教授(六八)は「渡航制限や秘密法、集団的自衛権はそれぞれ別の問題であるかに見えるが、憲法の観点からは通底する」と断じる。「ジャーナリストに対する渡航制限は人命を尊重しているようで聞こえは良いが、その実は秘密法や集団的自衛権の行使容認と同様に危うい憲法違反だ。報道や取材の自由を保障する人権の一角が崩れれば民主主義の基礎全体の崩壊につながりかねない」
この「無憲法」ともいえる状態は「反憲法」へとつなかっている。安田さんは「危険な海外渡航を安易に許す憲法がおかしい、という意見さえネット上などで見られる。現実の問題に対応する力がないと憲法をあげつらうのは本末転倒だ。憲法がまず先にあるという立憲主義の原則を国民全体で再確認する必要がある」と強調する。
杉本さんは大手メディアの自覚を促す。
「自分らが首を絞められている問題だとの強い当事者意識を大手の報道機関に持つてほしい。私に旅券を再度、発行するよう世論を喚起してほしい」
旅券返納命令問題 日本人人質事件が起きたシリアでの取材を計画していたフリーカメラマン杉本祐一さん(58)=新潟市=に対し、外務省は2月7日、旅券(パスポート)の返納を命じ、渡航を阻止した。法的根拠は、旅券法19条の「生命、身体または財産の保護のために渡航を中止させる必要」がある場合、返納を命じることができるという規定。同省は、シリアの危険度を最高レベルの「退避勧告」にしていた。違反者には、最高で懲役5年などが科せられる。この規定による命令は初めて。
小出裕章先生:アンダーコントロール → そんなもの到底できません。
認知症とともに生きる(ラジオフォーラム#113)
http://youtu.be/60PCnJ9T3yU?t=15m50s
15分50秒~第113回小出裕章ジャーナル
汚染水の状況「未だに350トンもの汚染水が毎日増え続けるという、そういう状況になっています」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no113/
湯浅誠:
東日本大震災、あるいは福島第一原発事故から4年が経とうとしているわけですけれども、今のところ、核燃料まだどこにあるのかも分からないという感じですが。
小出さん:
そうです。
湯浅:
汚染水問題の方も難航しているようで当初、年度内に処理するというふうに言っておったわけですが、その浄化処理完了の見通しを5月中に延期したということで、この汚染水処理問題の現状、そして、これからについて小出さんに伺いたいと考えます。まずなんですけど、おさらい的でまた恐縮ですが、現在、汚染水の状況っていうのはどうなっているんでしたっけ?
東京電力福島第一原子力発電所での、プラスチック・タンク(黄色)からの放射能を帯びた水の漏出
福島第1原発 汚染水対策の鍵「凍土遮水壁」の最新建設現場公開(15/02/18)
http://youtu.be/ANS3D8cGkwo
小出さん:
一言で説明するの大変難しいですけれども、要するに、どうしようもない状態になっている。なぜ、その汚染水なんてものができてきているのかということですけれども、溶け落ちた炉心が今どこに、どんな状態であるかすらが分からないのです。
事故から4年経っていますけれども、それがまず分からない。ただしこれ以上、炉心を溶かしてしまうことは許されない。そうすれば、また大量の放射性物質が出てきてしまうということで、何をやってきたかと言えば、この4年間ただひたすら水をかけ続けてきたと。どこに溶けた炉心があるのか分からないけれども、圧力容器の中に水をとにかく入れようということで、4年間ずっとやってきたわけです。
そうなれば、入れた水が放射能で汚れた汚染水になってしまうということは当たり前なことであって、入れれば入れるだけ汚染水が増えてしまうということになってきたわけです。途中から、ただ外からかけるだけではダメだろうということで、「循環冷却という形で、グルグル回せばいいんじゃないか」と、東京電力も国も思ったわけですけれども、残念なことに、福島第一原子力発電所は2011年3月11日に巨大な地震に襲われてしまったわけで、原子炉建屋でも何でもそこらじゅうにヒビが入っているのです。割れてしまっていて、外部から地下水がどんどんどんどん建屋の中に流れてきてしまうのです。
そうなると、その外部から流れてきた地下水が、放射能の汚染水と渾然一体となってしまって、どんどんその量が増えていってしまうということになってきました。ついこの間までは、毎日毎日400トンずつ汚染水が地下水が流入してくるがために増え続けてしまうということで、東京電力は福島第一原子力発電所の敷地の中に、汚染水を溜めるタンクというのをどんどん造ってきたのですけれども、もう既に50万トンを超えるような汚染水が溜まってしまっているのです。
このままではいけないということで、上流から流れ込んでくる地下水を途中で汲み上げて、原子炉建屋の方に行かないようにしようということをバイパスと言ってるのですけれども、それもやり始めたのですが、そんなことで減らせた量はほんのわずかで、未だに350トンもの汚染水が毎日増え続けるという、そういう状況になっています。
湯浅:
地下水の流入を止めるための凍土壁という話もありましたが、結局難航してまだ実施されてないんですよね?
小出さん:
そうです。私は、もともとできないと思っています。凍土壁って、普通皆さんがあんまりお聞きになったことないと思いますが、例えばトンネルなんかを掘ろうとすると、地下水が工事現場に噴出してきたりするわけですね。そういう時に、噴出してきたその現場をとにかく凍らせて、水が噴き出してこないようにしようという技術で、かなり長い期間、実績があるのです。
ただし今回の場合には、深さ30メートル、長さにすると1.4キロもの壁を造らなければいけないということで、そんなことはやったことないわけですし、凍らせるためにずっと冷媒というのを流し続けなければいけないのですが、そのためには冷凍機が動かなければいけない、ポンプが回らなければいけない、いついかなる時も停電してはいけないというようなことになるわけで、そんなことを何年、何十年と維持できるわけがないわけで、必ずこれは破綻します。
http://youtu.be/1VEf7y_vPWU
湯浅:
なるほど。そうすると、蛇口を閉められないまま水は出続けており、バケツに溜まったものをタンクにかき出し続けて50万トンだという状態ですよね?
小出さん:
はい。
湯浅:
これが高濃度汚染水なので、なんとかそれを今度は高濃度の核物質を取り除こうということで、アルプスですか?
小出さん:
そうです。
除染効果が見込まれる核種
湯浅:
多核種除去設備を導入したわけですが、これも結局、フル稼働は難しい状態がずっと続いてますよね?
小出さん:
そうなんです。それにも根本的な理由があるのです。福島第一原子力発電所の敷地の中は、もう放射能の沼のような状態になってしまっていまして、そこに入れば、みんな被ばくをしてしまう。
労働者が作業をしようとすれば、どんどん被ばく量が増えてしまうのです。ですから、アルプスにしてもキチッと運転できるように、まずは装置を造らなければいけないわけですけれども、キチッと装置を造ろうと思えば思うほど、労働者は被ばくしてしまう。
ですから、なんとかその簡易的に装置を組み上げたいと思うわけですし、そうせざるを得ないわけで、そのような状況の中で装置を組み立てていますので、あちこちでまた壊れてしまう。タンクとタンクの間を結んでる配管もキチッとした配管ではなくて、ホース等で繋いでいますので、簡単にまた漏れてしまうというようなことになって、ほんとにその苦しい状況の中で作業はしているのですけれども、そうであるが故にキチッと動かないという、そういう状況になっているのです。
湯浅:
なるほどね。そういうことでこの間、先日、死亡事故も起きてしまい、年度内と言っていたのを5月に延期すると。5月中も実現するかどうかという感じですけれどもね。
小出さん:
私は断言しますけれど、できません。もともと年度内なんてできる道理もなかったのに、ただただ安倍さんがオリンピックを誘致するがために、アンダーコントロールというようなことを言ったわけで、それのツケと言うか、なんとか少しでもやれと言われて東電が年度内と言ったわけですけれども、もともとできないことを言ってるわけですし、5月と言ってもそんなもの到底できません。
湯浅:
なんか根本的にコントロールできないものを相手に、その上でいろんなことをやっているわけですからね。
小出さん:
そうです。
湯浅:
弥縫策にはやっぱり限度はあって、コントロールしきれない状態が続いているということですね?
小出さん:
そうです。はい。
湯浅:
小出さん、今日もどうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
はなし抄
「止められない汚染水漏れ 原子力に未来はない」
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章さん
「東京電力福島第一原発事故から2年たった今も溶け落ちた炉心がどこにあるか分かっていません。これ以上溶けないようにと水をかけるしかない。でも水を入れれば、放射能で汚染された水がどんどんあふれてしまいます。原子炉格納容器は放射能を閉じもめる最後の防壁で、水も漏らさぬ容器だったはずですが、今はじゃじゃ漏れです。
原発事故の一ヵ月後には、あふれた水が滝のように海に流れていたことに気付いていました。
汚染水は当時から大問題だったのです。なのに、目に見える割れ目を東電がふさいだだけで、あたかも問題が解決したかのようにマスコミも報道してしまった。…汚染水は2年半ずっと海に流れていたし、今も流れ続けている。…何ら手を打てないまま、国も東電も知らんぷりをしてきたのが実情です。」
京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「今生じた問題ではない。実際には二年半前からずっと目の前にあった。何一つ解決していないだけ」と語り、とりわけ、汚染水に放射性ストロンチウム90が多く含まれることを懸念する。
ストロンチウムは、骨に取り込まれて体内に残り、内部被曝が長く続くことから白血病などを引き起こすとされる。半減期は29年。測定し難く、検査用の試料を作るだけで一週間はかかるという。「扱いが難しく、知識がある熟練の技術者が必要になる」(小出助教)のだそうだ。
東京電力が「海への拡散は限定的」とし、水産庁も「高濃度もセシウムが検出されたサンプルからしか、ストロンチウムは出ていない」とするが、福島第一の専門港内では、場所によってはストロンチウムによる汚染が法廷濃度の10倍以上になっているのだという。
東京電力がこれまでに公表したデータでは原発事故以降、海への直接流入量は半減期が2年のセシウム134は3500テラベクレル(一テラは一兆)、半減期が30年のセシウム137は3600テラベクレル。ストロンチウム90は140テラベクレルとされる。
今心配されるのは、海中での直接的な汚染だけでなく、食物連鎖による魚類の汚染だ。さらに、放射性物質が入った海洋生物のふんや死骸が海底に沈んで泥に蓄積し、魚類などに再び移行していく可能性も懸念される。
もうひとつは、地上のタンクに移した汚染水の行き先が決まらないことも大問題で、集中豪雨や地震、津波などが起きる危険もあり、それらの対策も必要だ。
海外からの反応もきびしい。海はつながっており、海洋汚染は、国際ルールを踏みにじる行為である。
東京電力は取水口付近の土壌に薬剤を投入して地盤を固め、汚染水を止めようとしている。だが、対象は海に面した約80メートルのみで、一部しかカバーできない。漏水場所が特定できていないことを考えれば、効果には疑問が残るとされる。
20120115 知られざる放射能汚染 海からの緊急報告
http://dai.ly/xpkyvh
コントロール不能な汚染水漏れ
事故4年目の原発ゼロ地点
(DAYS JAPAN)2015年3月号
2011年3月11日から4年。葉色作業は難航を極め、2号機にいたっては線量が高すぎて対策どころか人が立ち入ることさえできない。海洋では、安倍首相が「汚染水は完全にブロックされている」と世界に豪語したエリア外にも汚染水はだだ漏れし続け、東電もこれを認めている。「加害者は必ず被害を隠す」。
広河が毎年続ける原発上空からの撮影は今回、汚染水漏えいの「証拠」をも捉えた。
汚染水流出 閉じられない切れ目
広河隆一氏が撮影したこの写真を見て驚いた。汚染水の海洋流出を防ぐために東電が設置した海側遮水壁の切れ目がはっきりと写っているのである(写真A部分参照)。
福島第一原発の汚染水対策として、東電はこれまで、凍上遮水壁、地下水バイパス、海側遮水壁などさまざまな策を試してきた。しかし、そのほとんどが機能していない。なぜなら、1~
4号機の護岸海惻に設置した海側遮水壁の切れ目を、いまだ閉じることができないでいるからである。この切れ目からいったいどれくらいの汚染水が海洋に流れているのか。東電が「今これだけの放射性物質が海に流れているので、汚染水対策を実行させてほしい」と説明するために、ようやく現況の数字を出したのは昨年8月だった。
それよると、海洋への1日の流出量は、2013年はストロンチウム90が140億ベクレル、セシウム137が225億ベクレル、トリチウムが240億ベクレル。2014年はストロンチウム90が50億ベクレル、セシウム137が20億ベクレル、トリチウムが150億ベクレルだった。
東電の説明によると、2014年の流出量が低減しているのは、地下の汚染水を汲み上げたり、緊急対策を取ったりしたためで、
海側遮水壁の切れ目を閉じることができれば、さらにこの40分の1に低減できるとのことだった。とはいえ、この発表時点でまだ合計220億ベクレルが毎口海洋へ流れ込んでいた事実は衝撃的だった。この発表よりも実際はもっと量が多いことも予想できるし、海側遮水壁の切れ目だけでなく、他のポイントからも汚染水が海洋へ流れ込んでいることは事実として確認されている。
失敗続きの汚染水対策
なぜ切れ目を閉じることができないのか。その前に束電の汚染水対策を簡単に説明したい。
福島第一原発の敷地には、山から海に向かう地下水が1日に1000トン流れ込む。そのうち400トンが原子炉建屋の下部に流れ、そこで超高濃度な汚染水と混じる。東電は「つまり1日に400トンの汚染水が増加する」と説明しているが、事故前、東電は原子炉およびタービン建屋(以下、建屋)周辺にぐるりと掘ったサブドレン(地下水をくみ出すための井戸)から1日に850トンの地下水を汲み上げていた。その量が今も変わっていないことを想定すれば、建屋に流れ込む地下水と増加する汚染水は東電の申告(400トン)よりはるかに多いと思われる。
今は、この建屋地下で発生する放射性物質を含んだ汚染水の海洋流出を少しでも防ぐため、汚染水を建屋から汲み上げたり、汚染地下水を汲み上げたりするなどの緊急対策を取っているのが現状だ。
汚染水流出への抜本対策として、建屋周辺に流れ込む地下水を低減させるプロジェクトが、①地下水バイパス、②サブドレン汲み上げ、③海側遮水壁、凍土遮水壁、である。
①の地下水バイパスは、建屋の山側に井戸を掘り、建屋に地下水が流れ込む前に汲み上げて海に排水するという対策である。施工前、この対策で地下水による汚染増加量が1日に100トン減るということだったが効果は薄い。建屋の山側には汲み上げ井戸が12個あるのだが、中にはトリチウム濃度が高い井戸も複数ある。しかし、すべての井戸の水をいったんタンクに集め、その放射能濃度で排水するか否かを決めるため、実際は「希釈して捨てる」という運用になっているのだ。
②のサブドレン汲み上げは、まだ実行されていない。サブドレンは建屋付近に設置されているため、中には高濃度の汚染水が入っている。その汚染水を汲み上げて放射性物質除去装置に通し、海に排出するというのがこの計画だが、漁連側の許可が下りていない。
地下水を汲み上げるのではなく、建屋周辺に地下水が流れ込まないようにさせるという対策が、③の海側遮水壁、凍土遮水壁である。これは建屋周辺と、建屋から海につがなるエリア、建屋の下流海側をすべて遮水壁で覆う計画である。海側遮水壁は、海に鋼管矢板(鋼管をつないで壁状にしたもの)を打ち込み、板と護岸の間を埋め立てているものである。全長約780メートルにする予定の海側遮水壁は現在、残り10メートルを残したところで建設が止まっている。これが切れ目である。
海側遮水壁の切れ目を閉じるには、このエリアに流れ込む地下水を制御しなければいけない。それをしないと、地下水の出ていく先がなく、地盤がゆるんだり汚染地下水が溢れたりしてしまうからだ。そしてこのエリアに流れ込む地下水を制御するためには、凍土遮水壁などの陸側遮水壁を完成しなければいけない。
建屋周辺を凍土壁(凍った壁)でぐるりと囲うことで建屋内への地下水の流出を防ごうという陸側遮水壁は、現在、凍結管(冷却液を入れるパイプ)を埋め込む作業の最中である。2015年3月に凍結を開始する予定なのだが、これも難しい状況だ。凍土壁を凍結する前には、1号機~4号機の各建屋から出ている海水配管トレンチを止水しなければならないのだが、それがまったくできていないからだ。海水配管トレンチとは、各建屋から海側に向かって伸びている約70~80メートルの地下トンネルで、
太さは4・4メートル×5・7メートルほど。これがどれくらい太いか想像していただけるだろ
うか。この中に、建屋から流れてきた高濃度の汚染水が、2号機トレンチには5000トン、3号機トレンチには6000トン滞留している。トレンチと建屋を切り離さない限り、いくら凍土壁で建屋を囲っても汚染水はトレンチを通じて外部に出てしまう。
このトレンチ止水に手間取っているのだ。昨年4月から、建屋とトレンチの接合部分に凍結管を入れ、汚染水を凍らせて止水しようとしたが凍らず、氷をいれたりドライアイスを入れたりしてもだめだった。そこで高性能のコンクリーートを詰めてみたが、下部に汚染水が通り抜けている大きい砂利の層があるせいか、これも失敗に終わっている。これが今の状況だ。
トレンチ止水が成功し、建屋周辺の凍土壁が成功しなければ、問題の、切れ目が開いたままの海側遮水壁を閉じることができない。しかし計画がなかなか成功しないため、遮水壁は長い間開いたまま、そこから汚染地下水が海に流れ込んでいることは、東電も認めている。
汚染水はブロックされていない
私は今、海に流れ込む汚染水の量が、昨年秋から急激に増加しているのではないかと懸念している。
1~4号機の建屋周辺における地下水の放射能測定値のうち、昨年10月以降に過去最大値を検出したものを写真上に記載した(前ページ写真参照)。地下水は東電が2013年から測定し、含まれる放射能の値を公表しているが、今年になってから最大値を記録する測定点が増えている。この原稿を書いているのは2月3日だが、本日東電から発表された資料には、2月1日採取分で最高値のものもある。他の地下水測定地点でも上昇傾向や高止まりの地点が多い。原発の港湾内はもちろんだが、安倍総理が「汚染水は完全にブロックされている」エリアとした港湾の外ですら、2015年になって最高値を叩きだしているのだ。
魚の汚染はどうか。最新の東電発表では、港湾囗で昨年12月に採取した夕ケノコメバルから、セシウム(セシウム134と137の合計)が1キロあたり22万3000ベクレル検出されたという。この魚は流通こそしないが、原発事故後3年9か月経っていることを考えると、あまりにも高い値ではないだろうか。
過酷な作業員の労働環境
急がされる汚染水対策のしわよせは、現場の作業員たちにも及んでいる。被曝線量が限度に達して原発から離れるベテラン作業員と、育てる余裕もないまま増える初心者。この状態にヒューマンエラーが起こる。汚染水を貯留するタンクエリアでは漏えいが相次ぎ、労災事故が増えた。昨年9月と11月には重傷事故が発生し、とうとう今年1月19日には死亡事故が発生した。
1月21日の原子力規制委員会で、傍聴席から「(汚染水の)海洋放出は認めません」と問われた田中俊一委員長が、「人が死んでもか」と答えている。汚染水が海洋放出できないから人が死ぬのだ、というような論調はまったくの暴論だが、この発言は規制委員会も現場の過酷な状況を認識しているということを示しているだろう。
昨年12月、4号機の使用済み核燃料プールからの燃料棒取り出しは終了した。今後、3号機、1号機、2号機と使用済み燃料プール取り出しが計画され
ているが、3号機はまだガレキ撤去の段階で、1号機にいたっては、25年前から取り出せないでいる破損燃料などが70体、プールに存在している。私は東電の定例会見で「その破損燃料を取り出す技術はできたのか」と質問したが、答えは「取り出すころには技術開発されているのではないか」という楽観的なものだった。未来に丸投げである。2号機はまだ線量が高く、とても建屋内で作業ができる状態ではない。
昨年10月、東電は、廃炉に向けた中・長期ロードマップの見直しを発表した。そこでは、1号機の燃料棒取り出しは計画を2年遅らせ2019年から、1号機原子炉のデブリ(核燃料)取り出しは5年遅らせ、2025年からとされた。溶け落ちたデブリの取り出しは、1号機だけではなくすべての原子炉でその目処すらたっていない。デブリの位置や状態もわからず、様々な調査を試している段階なのだ。それにも関わらず、見直しロードマップからは「まず使用済み燃料プールからの燃料棒取り出しを先に確実に行い、デブリ取り出しはそれから」と、実質計画が外された形となった。取り出すのは計画ではなくデブリにしていただきたいものである。
おしどり・まこけん
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原発賠償、来年2月で打ち切り案 商工業者が反発「辞めるしか…」
(東京新聞【こちら特報部】)2015年3月1日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015030102000143.html
東京電力と国が、福島第一原発事故に伴う商工業者への営業損害の賠償を来年二月分までで打ち切るとした素案を示したことに地元の不満が高まっている。避難区域の事業者のうち、業務を再開できたのはまだ半分程度。事故前の水準に戻ったところは皆無に等しく、「とても承服できない」との声が上がる。
(上田千秋)
営業損害の賠償 避難区域(旧緊急時避難準備区域を除く)に指定された11市町村の商工業者に対して当初支払われることが決まっていたのは、2015年2月分まで。東電と国は昨年12月、1年分延長して事故から5年となる16年2月分で賠償を終わらせるとする素案を関係団体に提示した。避難区域外の事業者の風評被害についても同様の対応を取るとする。事故の影響が大きい農林水産業者への賠償は継続する。
震災引退・仮設店舗・顧客減
「被災地の現状を全く理解していない。東電や国は何を考えているのか」。東北工業建設の戸川聡社長(四三)は憤る。
同社が本社を置いていた福島県浪江町は、ほぽ全域が福島第一原発から三十キロ圏内に位置し、全住民が町外に避難。同社に約三十人いた社員もばらばらになった。戸川社長は「地元の復興のために、できるだけ早く」と考え、事故二ヵ月後の二〇一一年五月に福島市に事務所を構えて事業を再開したものの、苦しい状況が続いている。
当初は建設工事などの下請けや孫請けの仕事を受けた。ここ一、二年は浪江町などが発注する公共施設の補修工事や、除染の仕事などを受注できるようになったが、事故前の利益には及ばない。地元業者を押しのけて福島市内の工事を請け負うのは難しく、人手や資材の不足も続く。
戸川社長は「もともと業界全体で高齢化が進んでいて、震災を機に引退した人がたくさんいた。技術を持った職人も少なくなり、仕事を増やしたくてもできない。われわれも努力はしているけど、事故で壊された枠組みを元に戻すには相当な時間がかかる」と訴える。
再開すらできない事業者も少なくない。浪江町でプロパンガスや灯油の販売などを手掛けていた矢沢祥之(よしゆき)さん(五九)は、福島市で生活している。「避難先で一から顧客を開拓するなんてとてもできない」とため息をつく。
別の仕事を始めることも考えたが、町の将来を案じて廃業するわけにはいかないと思い直した。帰還が始まれぱ、プロパンガスの点検などは不可欠になる。
「県外に避難した同業者は恐らくもう戻ってこない。賠償が打ち切られれば、辞める業者も出てくるだろう。そうなったら町としての機能が維持できなくなる」と危機感を強める。
浪江町商工会に加盟する六百二十九事業者のうち、業務を再開できたのは35%の二百二十事業者。業種別では、復興関連需要が大きい建設業が50%を超える一方、小売業は20%台、飲食業は10%台にとどまる。商工会の島田龍郎(たつお)事務局長は「避難先にはそれぞれ地元の業者がいるので、再開は簡単ではない。できたとしても仮設の店舗だったり、車を使っての移動販売だったりと、元の状態に戻ったと言えるところはまずない」と打ち明ける。
浪江町の避難区域は一三年四月に帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域の三つに再編された。町は一七年三月、放射線量が比較的低い避難指示解除準備区域に帰還する目標を立て、町民約一万九千人のうち約五千人が戻ると見込んでいる。ただ、町の商圏は隣接する南相馬市の南部や双葉町などを含めて七万~八万人。大半の地域で避難指示が続き、浪江町の帰還が見込み通りに進んだとしてもかつての顧客数にはとても届かない。
事業再開 およそ半分
「従来と同じ活動できるまで」
東電と国が示した原発事故から五年に当たる来年二月分までで賠償を打ち切るという素案は、どこから導き出されたのか。
参考にしたのは、最長二年分の逸失利益を賠償すると定めた、ダム建設などに伴う場合の公共事業の補償基準。原発事故は突然で被害も広範囲に及んでいることから、倍の四年にするという考え方が基にある。
経済産業省資源エネルギー庁の森本英雄・原子力損害対応室長は素案について「いただいた要望や意見を精査している段階で、具体的にはまだ決まっていない」とする。その上で「帰還した後に商圏が戻っていない場合が考えられ、さらに一年分を上乗せする案を示した。賠償は有限で、無限にやるわけにはいかない」と主張する。
原発事故の損害賠償に関する指針を検討する文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が示した中間指針にも「賠償となるべき期間には一定の限度がある」との記載がある。
東電は「一五年二月分までを一つの区切りとした。三月分以降は被害者の生活再建、事業再開といった視点を踏まえながら検討しているところ」(広報部)と説明する。
ただ、被災地の反発は強い。福島県商工会連合会によると、避難区域の十一商工会に加盟する計二千五百四十四事業者のうち、再開に至ったのはおよそ半分の一千三百十九事業者にとどまる。
同連合会は一月二十一日、東電とエネ庁宛てに「いまだ生活・生産活動は制約され、本格的な復興・再生は道半ば。被害実態に見合った十分な損害賠償を求める」とする意見書を提出した。遠藤秀樹事務局長は「風評被害を含めて、とても落ち着いたといえる状態ではない。事故が収束したと言い切れるようになるまでは賠償を継続するべきだ」と話す。
被災地の事業者の苦境はデータからも明らかだ。経産省東北経済産業局が昨年六月に実施したアンケートでは、福島県の約二千事業者のうち、63%が事故前に比べて売り上げが減ったと回答。回復しない要因としては「既存顧客の喪失」(43・3%)、「風評被害」(28・7%)といった答えが多かった。
こうした状況がすぐに改善されるとは考えにくく、比較的再開率が高い建設業でさえも将来的な見通しは不透明だ。二〇年の東京五輪に向けて人手や資材の不足に拍車がかかるとみられ、今の復興特需が終われば、一気に景気が落ち込む恐れもある。
東北大大学院の西山慎一准教授(金融論)は「阪神大震災の時も、復興事業が切れた途端に企業の倒産が増えた。予算を平準化させて、現在は一五年度までと定められている集中復興期間を延長するといった施策も必要だろう」と提言する。
原賠審の中間指針は、営業損害の賠償について「避難指示の解除や帰還状況によって判断するのではなく、従来と同等の活動を営めるようになった日を終期とするのが合理的」とも記している。
原発関連の複数の訴訟を担当している新開文雄弁護士は「東電と国は、原発を再稼働させるために一刻も早く賠償を終わらせたいのだろうが、五年で打ち切りは現状を考えていない。中間指針の考え方に立ち返る必要がある」と話す。
「避難指示の解除が進まず立ち入りが制限されている状況で、どうやって事業を再開しろというのか。原発事故の影響は五年程度でなくなるものではない。原発事故の賠償請求権の消滅時効が十年に延長されたように、少なくともそれぐらいを目安にするべきではないか」