集団的自衛権、原発
日本の岐路 今言いたい
全日本仏教会元会長 天徳山龍門寺住職 河野太通さん
しんぶん赤旗日曜版2014年7月27日付
全日本仏教会元会長の河野太通さん(84)の宗教紙での言葉が静かな反響を呼んでいます。「戦争や原発事故が起こって初めて罪が発生するわけではない。戦争前、事故前の”平和な時代”に、その平和を損なうかもしれないことにたいして何もしないこと、無関心でいることは罪を犯しつつあることなのです」-。天徳山龍門寺(兵庫県姫路市)に訪ねました。
田中倫夫記者
「知らぬが仏」では罪問われる
宗教紙「佛教タイムス」(1月30日号)でお話ししたのは、東日本大震災があり、大津波、福島原発事故で大変な被害が広がっているなか、仏教者として何かものを言わなければならないと思ったからです。
戦争の罪は平和の時にあると思っています。いまは戦前と違い、私たちには言論・表現の自由は憲法で保障されています。そんな時に、知ろうとしないのは、「無知」「知らぬが仏」でいることの罪が問われます。同じことは原発事故にも言えるのではないか。あれ
だけの原発事故が起きたのに、また再稼働しようなどというのは、仏教でいう「正見」(真理を自覚して、正しい考えをもつこと)を欠いたことです。
私は終戦の年は旧制中学の4年生でした。軍国少年で「国家のために命をささける」と本気で思っていました。学徒勤労動員として毎日、工場で火薬を作っていました。ところが戦争に負け、国家が崩壊し、自分の生きがいも崩壊し、何になったらいいのかわからなくなった。それで社会がどれだけ変動しても正しい道をめざそうと仏門に入りました。
ところが日本の仏教界は、かつて戦争に突入したとき、歯止めになるどころか戦争を推進する側に立っていたことを知りました。一部には反対する人たちがいましたが、大きな勦きとはなり得なかった。私は仏門に入ったことを後悔しました。しかし仏門に入ったことが間違っていたのではなく、時の仏教界の指導者たちが間違っていたと思うようになりました。いけないことをいけないと言わずに、黙っていたことが戦争協力になったのです。
私はいけないと思うことはいけないと発言しなければならないと思う。最近やっと、各教団も戦争協力への反省を言うようになりました。
◆◆◆
集団的自衛権の行使を容認するための閣議決定が強行されました。憲法上は絶対できなかった海外での武力行使を可能にするものです。しかも、こんな重大なことを決めるのに、安倍首相のお友達だけで議論して、与党だけで決めていく。これで解釈改憲ができるなら、憲法など意味をなさなくなります。
「平和のためだ」とか「必要最小限度にセーブする」とか安倍首相はいいますが、本当に必要最小限に止められるものなのか。いったん戦争が始まれば、それまでの決まり事なんか吹っ飛んで、自分の都合のいいように突き進んでいく。だから、私たちは、武器すら持つのはやめよう、戦争はしないようにしよう、と敗戦のときに、誓っだのではないでしょうか。
憲法9条は、第2次世界大戦だけじゃなく、それまでに人類がやってきた大きな戦争を総括して、その反省の上にたどりついた「人類の知恵」です。「時代に合わなくなった」などという人もいますが、合わなくなっだのは権力を握っている人たちの古い価値観の方です。
憲法9条と釈尊(編注・釈迦=しゃか=のこと)の教えは一致します。釈尊は「悟り」をいいます。この意味は「人権は平等である」「一つひとつの命は尊いのだ」ということを悟っている
ということです。9条とは、まさにそれを一国の最高法規にまで高めました。日本が世界に先駆けて掲げたものです。
安倍首相も座禅をやるそうです。座禅とは、今、持っているものi利権、名声、物欲など-を
一度きれいに捨てて無心になって、天然自然と人類社会と一体になることです。その立場に立って、自国の繁栄の追求は、人類社会の繁栄と調和するものでなければならぬことを、個別の国と世界に向かって発信してくださいと言いたい。それが禅のこころです。
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私か役員をしていた全日本仏教会や妙心寺派は、集団的自衛権に「深い憂慮と危惧」を表明し
ました。(別項)
この点て、今の日本の政党の中で一貫して主張がかわらないのは、日本共産党だと思います。私は共産党員ではありませんし、どの党の立場に立つというものでもありません。ですが、戦争と平和の問題とか、憲法9条の問題、原発事故の問題では、日本共産党のみなさんと一致することが多い。今後も頑張ってもらいたいと思います。
こうの・たいつう=1930年大分県生まれO兵庫・祥福寺専門僧堂師家、花園大学学長などを歴任。
2010年から臨済宗妙心寺派管長(14年まで)、全日本仏教会会長(12年まで)。会長時代には宣言文「原子力発電によらない生き方を求めて」を発表
戦争放棄捨て去ることに
全日本仏教会の斎藤明聖理事長の談話
「日本人が国外で人を殺し殺されるという事態が起こり得る可能性があり、日本国憲法に示される戦争放棄を捨て去ることになりかねません」「深い憂慮と危惧の念を禁じ得ません」
◇
臨済宗妙心寺派はこの談話を支持する栗原正雄宗務総長名の声明を発表しました。
宣言文
原子力発電によらない生き方を求めて
東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散により、多くの人々が住み慣れた故郷を追われ、避難生活を強いられています。避難されている人々は、やり場のない怒りと見通しのつかない不安の中、苦悩の日々を過ごされています。また、乳幼児や児童をもつ多くのご家族が子どもたちへの放射線による健康被害を心配し、「いのち」に対する大きな不安の中、生活を送っています。
広範囲に拡散した放射性物質が、日本だけでなく地球規模で自然環境、生態系に影響を与え、人間だけでなく様々な「いのち」を脅かす可能性は否めません。
日本は原子爆弾による世界で唯一の被爆国であります。多くの人々の「いのち」が奪われ、また、一命をとりとめられた人々は現在もなお放射線による被曝で苦しんでいます。同じ過ちを人類が再び繰り返さないために、私たち日本人はその悲惨さ、苦しみをとおして「いのち」の尊さを世界の人々に伝え続けています。
全日本仏教会は仏教精神にもとづき、一人ひとりの「いのち」が尊重される社会を築くため、世界平和の実現に取り組んでまいりました。その一方で私たちは、もっと快適に、もっと便利にと欲望を拡大してきました。その利便性の追求の陰には、原子力発電所立地の人々が事故による「いのち」の不安に脅かされながら 日々生活を送り、さらには負の遺産となる処理不可能な放射性廃棄物を生み出し、未来に問題を残しているという現実があります。だからこそ、私たちはこのよ うな原発事故による「いのち」と平和な生活が脅かされるような事態をまねいたことを深く反省しなければなりません。
私たち全日本仏教会は「いのち」を脅かす原子力発電への依存を減らし、原子力発電に依らない持続可能なエネルギーによる社会の実現を目指します。誰かの犠牲の上に成り立つ豊かさを願うのではなく、個人の幸福が人類の福祉と調和する道を選ばなければなりません。
そして、私たちはこの問題に一人ひとりが自分の問題として向き合い、自身の生活のあり方を見直す中で、過剰な物質的欲望から脱し、足ることを知り、自然の前で謙虚である生活の実現にむけて最善を尽くし、一人ひとりの「いのち」が守られる社会を築くことを宣言いたします。
2011(平成23)年12月1日
財団法人 全日本仏教会
全日仏会長 声明文
http://youtu.be/-ru88zFFWK8
法人税減税、残業代ゼロ
大企業栄え民滅ぶ
同志社大学教授 浜矩子さん
しんぶん赤旗日曜版2014年7月6日付
安倍政権の一連の政策について、浜矩子同志社大学教授に聞きました。
強兵のための「富国」
今回の「骨太の方針」と新成長戦略は、「強兵のための富国」という意味での「富国強兵」路線に貫かれています。それに役立たない弱者は切り捨てようという発想です。
集団的自衛権はごまかしばかり
「強兵」を目指す新保守主義と、「富国」をめざす新自由主義が一体になっているのが安倍政権の政策です。
集団的自衛権は、平和憲法に立脚するという戦後日本の目指してきた方向と相いれません。
歴代政府は、集団的自衛権は国際的に認められている権利だけれども、日本は行使しないと言い続けてきました。だからこそ、日本は、言葉の真の意味で「ユニークな国」だったわけです。
それを変えなければならない理由は、全然示されていません。4類型とか15事例とかわけの分からない話でごまかしながら、なし崩し的に「戦争をできる国」に日本を変えていこうとしています。
″日本が再び戦争をする国になることはあり得ない″″むしろ抑止力によって戦争を回避できる″と首相は言いますが、腕力は腕力を呼び、闘争心は闘争心を呼んできたのが歴史の教訓です。
結局、″戦争を回避できる”というのは言葉だけで、狙いは、日本を「強い国=いつでも戦争できる国」にしたいということです。強さは腕力だという考えです。
このように、言っていることとやっていることが違うのが安倍政権の特徴です。経済政策でもそれは同じです。どういう下心があるかを見抜かなければなりません。
富める人の間で 富がめぐるだけ
なにがなんでも法人税減税をやるのも、彼らの「富国」が、国民が豊かになることではなく、大企業がもうかることだからです。そうでなければ、法人税減税に固執する理由は「株価対策」くらいしか思いつきません。
大企業がもうかれば国民も豊かになるという「トリクルダウン(したたり落ちる)」理論は誤りです。増えた利益は株主への配当や役員報酬に回ります。いまトリクルはダウン(落下)ではなく、ラウンド(回転)しているのです。富は富める人から富める人へぐるぐる回るメリーゴーラウンドです。そこから排除されている人々には回ってきません。
法人税減税の財源にするため、外形標準課税を中小企業に拡大して、赤字の中小企業からも税金を取ろうというのは本末転倒です。なりふり構わぬご都合主義だと思います。
法人税減税よりも、たまりにたまっている大企業の内部留保を吐き出させ、貧困を改善するための政策に回す手だてを考えるべきです。
「残業代ゼロ」制度も、人間を働く機械としか見ていないものです。「時間ではなく成果で評価される制度への改革」と言いますが、使用者側か「成果」とみなす結果をあげなければ、どんなに働いても報酬は払わないという、驚くべき発想です。
「経済学の父」といわれるアダム・スミスからマルクスにいたる「労働価値説」(注)とは、根本的に違う発想ですよね。
「柔軟で多様な働き方」とか、「自由な雇用形態」というのは言葉だけで、本当の狙いは、余計な金を払わないで成果をあげたいというだけです。
高額所得者に限定するといっても、「蟻(あり)の一穴」といわれるように、次第に対象者が広がっていくことは十分ありえます。
「女性の活躍推進」とか「少子化対策」というのも、「富国強兵」の一環です。女性をもっと労働力として使いながら、「産めよ殖やせよ」という発想だと思います。女性の人権や、仕事と家庭を両立しながら自己実現したいという当然の要求に、政府としてどう応えていくかという発想はありません。
安倍政権の「富国強兵」路線に対しては、怒りと粘りが大切だと思います。原発再稼働に反対して、官邸前行動が続いているのは心強いし、もっとマスコミが報道すべきだと思います。こうした行動を持続していくために必要なのが怒りと粘りです。怒りの火をあかあかと燃やし続ければ元気が出るし、知的めざめも高まります。
(注)商品の価値の源泉は労働であり、その大きさは労働時間で測られるという学説。
伸びない社員給与
トップと年収格差44倍
(東京新聞)2014年7月24日付
国内企業で二〇一四年三月期の個別の役員報酬が高かった上位百社を調べた本紙の調査で、役員と一般社員の平均年収の格差が平均四十四倍に達したことが分かった。年収格差が百倍を超えた企業は九社あることも判明。一億円以上の役員報酬の個別開示が義務付けられた四年前より格差は広がり、経営者に比ベー般社員の給与が増えにくい実態が鮮明になった。
(桐山純平)
4年前より拡大
国内企業が提出した一四年三月期の決算資料から集計した。個別役員に高額報酬を出した上位百社を抽出。金額が最も多かった役員の報酬を従業員が年間で受け取る平均給与で割った。
その結果、役員報酬の個別開示が始まった一〇年三月期に三十五倍たった年収格差は一四年三月期は四十四倍に広がった。百倍以上の格差がある企業数も三社から増加。日産自動車、力シオ計算機、武田薬品工業、日本調剤などが名を連ねた。
カルロスーゴーン氏がトップを務める日産は毎年のように収入格差が百倍を超え、ライバルのトヨタ自動車(二十九倍)と比べても格差の大きさは突出している。日産の広報担当者は「国際的な経営者トップの報酬と比較し役員報酬を決めている。従業員との比較についてはコメントできない」と話している。
中には経営トップでなくても創業者らが退職慰労金を支給され、格差が広がったケースもあった。東証二部上場で電子回路基板の製造を手掛けるキョウデン(長野県箕輪町)は創業者の橋本浩元会長の役員報酬が十二億九千二百万円に上り、格差が上場企業で最大の二百六十六倍に広がった。キョウデンの担当者は「従業員の給与は同業者などと比べても遜色ない。今は(役員の)退職慰労金を廃止し格差は是正されつつある」と説明している。
サラリーマン世帯の給与をめぐっては厚生労働省の毎月勤労統計調査で、物価上昇分を差し引いた五月の実質賃金指数が前年同月比3・8%の下落となり十一ヵ月連続のマイナスになった。消費税増税分や物価の上昇率に比べ伸びない賃金が、消費を冷え込ませる懸念材料になるとの指摘もある。
太る企業 内部留保304兆円 人への投資、給与増は低調
(東京新聞【こちら特報部】)2014年7月29日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014072902000173.html
三百四兆円-。金融機関を除いた日本企業の内部留保の総額だ。リーマン・ショック、東日本大震災でいったんは減ったが、過去最高に達している。一方で、従業員の給与はなかなか増えない。政府は法人税の実効税率引き下げなどで、賃上げを促そうとするが、内部留保がさらに増えるだけの可能性もある。
(榊原崇仁、上田千秋)
大会社の積み増し顕著
「リーマンーショツクと東日本大震災を経験し、企業は将来への不安を強めた。慎重になり、銀行から融資を受けて積極的に投資するより、内部留保をため込んで経営の安定性を確保する風潮が広まった」
大和総研の太田珠美研究員は最近の経済界の傾向をそう分析した。
財務省の法人企業統計調査によると、二〇一三年度末、資本金一千万円以上の企業の内部留保総額は約三百四兆円。会計規模の大きい金融・保険業は除いている。リーマンーショツク前の○七年度末の約二百七十二兆円と比べ、約三十二兆円の増加だ。
資本金一億円以上の大企業が、内部留保を二割も積み増している。一三年度末で、総額約二百七兆円で、○七年度末よりも約三十六兆円増えた。
太田氏によると、大企業は内部にためた資金を、海外における企業買収に活用しているケースが目立つという。「富裕層の増加を見込む東南アジアがターゲットになっている」と指摘する。
一方で、資本金一千万~一億円未満の中小企業は、○七年度から一三年度で、内部留保を四兆円減らしている。景気が上向いても、効果が出るのが大企業より遅いことが理由として挙げられるという。
また、生産設備や土地なども含めて内部留保を活用している大企業とは異なり、中小企業の内部留保は現金や預金の割合が多く、一三年度では全体の約18%だった。
「中小企業は一般的に取引先が少なく、取引先が倒産すれば資金繰りがショートしかねない。自己防衛のために、使い勝手の良い現金や預金でためたい意識が働く」(太田氏)。つまり、不景気の際の出費に備えているわけで、リーマンーショツクや震災では、内部留保を取り崩して運転資金に回すなどした中小企業が多かった。また、景気後退で、倒産した企業が増えたことも、内部留保が減った原因の一つだ。
内部留保を重視する企業の動きに今後、変化はあるのか。政府は先月、法人税の実効税率を知一%台に引き下げる方針を决めた。企業が減税で得られる資金を、賃上げに充てることをもくろむが、大企業は内部留保を積み増し続け、中小企業は減った内部留保の補てんに充てるかもしれない。
帝国データバンクが十四日に発表した全国の企業一万社の意識調査によると。「減税分の使途で最も可能性が高いもの」という質問で、内部留保の回答が最多だった。全体の20%を占め、給与やボーナスなどによる社員還元の17%を上回った。
業種別でみると、農林水産業で、内部留保は36%、社員還元が8%だった。環太平洋連携協定(TPP)、農協改革などの問題もあり、帝国データバンク産業調査部の窪田剛士氏は「今の段階で、社員への還元には慎重になっている」と語る。
製造業は内部留保の回答が16%で、全業種の平均よりは下回った。ただし、社員還元も平均以下の14%。窪田氏は「震災復興や五輪の特需で人手の奪い合いになっている中、製造現場の機械化を進め、人手不足を乗り切ろうとしている」と説明している。
経営安定優先・資金は海外M&Aに
ちなみに、内部留保は企業会計上の用語ではない。企業の資産や負債の状況を表す貸借対照表では、純資産のうちの「利益剰余金」として計上される。
大まかに説明すると、企業が得た利益から株主への配当、法人税などを引いた後に残った資金のことだ。預貯金や現金のようなイメージがあるが、企業が必ずしも「キャッシュ」の形で保有しているとは限らない。土地や建物、機械などの「資産」になっていたり、設備投資に回したりしている方が割合としては多い。
トヨタを例に挙げると、今年三月期の連結決算では、利益剰余金は約十四兆一千億円だったが、「現金及び現金同等物」は約二兆円。
つまり、「内部留保を取り崩して賃上げに回せ」という意見もよく聞かれるが、まず資産を売却しなければならない。そのためには、株主総会での承認も必要で、一度、内部留保に回ったものを給与に回すことは事実上、不可能だ。
企業の内部留保をめぐる議論は、以前から繰り返し行われてきた。民主党の鳩山由紀夫首相(当時)は二〇一〇年二月、共産党の志位和夫委員長との党首会談で、「内部留保に適正な課税を行うことを検討したい」との考えを表明した。だが、経済界から「国際競争力が落ちる」などと反発が相次ぎ、立ち消えになった。
菅直人首相時代の同年十二月にも、法人税率の5%引き下げ決定を受けて、政府税制調査会が内部留保への課税の可否を検討した。ただ、経済界の反対に加えて、法人税を支払った後に税を課す「二重課税になる」との否定的な意見もあり、手付かずのままだ。
そもそも利益剰余金が増える際、ボーナスは別にして、給与に充てられたことは過去あまりないとみられる。経営サイドからすれば、いったん給与を上げると、業績悪化の際に下げにくい。
とはいえ、政府は来年には消費税率を10%に上げようとしている。給与が増えないと、家計の厳しさは増すばかりだ。何か方法はないのか。
富偏在社会の責任 再分配の仕組みを
駒沢大の小栗崇資教授(財務会計論)は「内部留保の資金を設備投資に回すことで国内生産が活性化され、雇用も生まれて内需を豊かにするのが本来のあり方だ。今は金融投資に回ったり、海外でのM&Aに使われたりすることが多く、国内に適切な形で資金が回っていない」と解説する。
さらに、「内部留保がここまで拡大した理由は、企業が非正規雇用を増やすなどして人件費を削ったからだ」と批判し、「大企業に富が偏在する現状を、社会全体の問題としてとらえる必要がある」と訴える。
決算前なら、利益を賃上げの資金に回すことは可能だが、東京大の醍醐聡名誉教授(会計学)は「それをできるのは業績の良い一部の企業だけだ」と否定的だ。それよりも、「企業に任せていては状況は変わらない。税金として一度吸い上げて、再分配を考えるべきだろう」と提言する。
台湾のように、前年よりも増えた内部留保の金額に対して課税している例を挙げ、醍醐氏は「家計に比べて企業を優遇する政策が続いてきた。過去のゆがみを是正すると考えれば、内部留保への課税も二重課税に当たらない。家計が潤わない今の政府の施策では、景気の上昇にはつながらないだろう」と話した。
批判高まり 赤字転落しても
懲りないワタミ
しんぶん赤旗日曜版2014年7月13日付
上場以来、初の赤字決算となった「ワタミ」グループ。背景には、ブラック企業批判があります。日本共産党議員の国会質問や「赤旗」日曜版での連続追及のなか、ワタミもついに改善策を示さざるを得なくなりました。それでもなお「ブラックの縮図」と指摘されているのが「ワタミの宅食」。その実態は-。 取材班
究極の脱法的手口
6月末、都内で開かれたワタミの株主総会。桑原豊社長は「大変厳しい決算になった」と陳謝しました。ワタミは2014年3月期決算で約49億円もの赤字。総会で株主から、同社の「理念集」
にある「365日24時間死ぬまで働け」という言葉はいまでも残っているのかとただされ、経営陣は「批判を受け改訂した」と釈明しました。総会後の講演で創業者の渡辺美樹・自民党参院議員は「ブラック企業との風評が広まり…」と弁明しました。そんななかで-。
国内外食事業や介護事業が減収減益したものの弁当宅配の「ワタミの宅食」は増収増益。市場売り上げシェアー位を維持しました。
1年で辞めた
「もうかるのは当たり前だ」。こう吐き捨てるのは60代男性のAさん。3月までの1年間、都内でワタミの宅食の宅配員をしました。
「1日3~4時間で月20日働いて、手元に残るのは1万4000円弱。日給に換算すると1日700円未満。東京の時給の最低賃金が869円ですから、日給が時給の最賃以下ですよ」
ワタミの宅配員は全国で約9千人。複数の元宅配員も「手元に残るのは月2万円程度」と証言。Aさんは「周りの人もこれではとても食えないといっている。昨年当選の参院議員の資産公開で、渡辺氏は17億円でトップだつた。ばかばかしくて、宅配員を辞めた」
契約に仕掛け
北九州市に住む70代の女性Bさんは昨年9月末、ワタミの宅配員の車にはねられました。くも膜下出血や頭蓋骨骨折、肺挫傷などで3ヵ月入院の重大人身事故でした。
謝りにきたのは事故を起こした宅配員だけ。会社からは連絡すらありません。宅配員は「会社に一切責任はない。私か加入している自動車保険で対応する」といいます。娘のCさんは怒ります。
「配達中の事故なのに会社は知らん顔。こんなことが許されますか」
宅配員を事実上、最賃以下で働かせながら、事故がおきたら”自己責任”。なぜこんなことが可能なのか-。実は、宅配員はワタミに雇用された労働者ではなく、「個人事業主」として「ワタミの宅食」と請負契約を結んでいます。究極の脱法的手口とは-。
”請負”契約で経費削減
労働時間も賃金も解雇も規制外
1面で紹介した元宅配員Aさんの2013年の収支を見てみると、別表のように1年間の会社からの報酬額は46万6023円。他方、自己負担となる諸経費の合計は30万3381円で、手元には16万2642円しか残りません。配達に使う車の維持費から配達中の駐車違反の反則金まですべて自腹なのです。
Aさんは怒ります。
「ワタミの求人広告では、1日30軒配って月の標準報酬が8万7800円(当時)となっていた。私の周りの人もみな、″だまされた″と怒っている」
ワタミと同じような弁当宅配会社で働く宅食大手の管理職はあきれます。
「うちでは配達員は社員やパートだ。配達は専用の社用車で、当然だがガソリン代などの諸経費は会社が負担する」
なぜ、「ワタミの宅食」は社員やパートとして雇用契約するのではなく、個人事業主として請負契約をするのか-。
個人事業主は、経営者からみると究極の低コストで働かせられるからです。個人事業主は労働者でないとされ、労働時間や解雇の規制、最低賃金などの対象外となります。
「偽装」の可能性
ブラック企業問題に詳しい笹山尚人弁護士は指摘します。
「個人事業主という請負契約でも、会社側からあれこれ業務命令が出ていたり、営業の仕事をさせられたりしているならば労働者として契約すべきだ。本来会社が負担すべき費用を浮かすために請負契約にしている手法は偽装請負の可能性があり、脱法的と言わざるを得ない」
実際、Aさんなどによると、会社から
①非番の日の電話対応
②警察から要請されたチラシの配布
③配達エリアの変更-などを指示された、
と証言します。
ワタミと請負契約を結ぶ配達員は約9000人。他方、正社員やパート従業員は1075人(3月末現在)にすぎません。
請負にすればワタミが独自に営業車を用意するなどの経費を″節約″できます。
消費税も″減税″
さらに正社員の給料と違い、「請負」で外注する形にすれば、仕入れ控除の対象になり、納める消費税を少なくできます。まさに究極のコスト削減策です。
1面で紹介した宅配員による交通事故についても笹山弁護士は脱法性を指摘します。
「ワタミは知らぬ存ぜぬだが、ワタミを名乗って弁当を配っている以上、ワタミと加害者の配達員の間には使用関係があると考えるというのが解釈上確立している。民法第715条の使用者責任が問える事例だと思う」
笹山弁護士は「ワタミの宅食」の実態について「ブラックの縮図だ。働く人がきちんと守られる仕組みにすべきだ」と指摘します。
編集部の取材にワタミの広報は、「宅配員は個人事業主なので、手元に残る金額については意見をのべる立場にない。個人事業主が起こした交通事故は、個人事業主の責任で対応すべきだ」と回答しています。
無関心でいることは罪を犯しつつあることなのです (`・ω・´)ゞ
この国おかしくないか..( ̄^ ̄)凸
この国おかしくないか
沈黙しない夏
東京新聞2014年7月30日
朝から強い日差しが照り付けた二十九日。東京・霞が関の経済産業省前で、長島信也さん(六五)=埼玉県春日部市=は、自作の脱原発川柳を記した小冊子「笑い茸」を登庁する職員らに手渡していた。(早川由紀美)
避難計画が不十分なまま今月、再稼働へと動きだした九州電力川内原発についての句もあるが、受け取る人はわずかだ。それでも「気持ちの通じる人はいるはず」と、東京電力福島第一原発事故翌月の二〇一一年四月から毎月冊子を作り、同じ場所での配布を続けている。
定年後の趣味として始めた川柳。心の器にたまった本音を吐く魅力にやみつきとなった。原発事故が起き、「ただちに人体に影響はない」と繰り返す政府の姿勢に、五・七・五で疑問を投げかけたい衝動に駆られた。
勤めていたときの労働組合の仲間が一九八〇年代から経産省前で月一回、反原発ピラを配っており、その場に加わった。
◇
「笑い茸」第一号には情報隠しに対する怒りが満ちる。「原発にまつわることは、常に隠されてきた。最初から危険だと分かっていて、人間を犠牲にせざるを得ないから」
東北電力が原発建設を計画していた新潟県巻町(現新潟市)で育った。建設予定地や、そこにつながる道路予定地は当初、観光開発名目で買収されたという。「観光地になって故郷が復活するならと、土地を手放した大もいた」
六人のきょうだいや、その配偶者の中には、建設会社勤務もいれば、公務員もいる。原発の賛否は分かれ、皆で顔を合わせても話しづらい雰囲気があった。
住民投票を経て○三年に東北電が計画撤回を公表するまでの二十年余、町は原発建設で二分された。
原発事故から三年余。福島県相馬市では酪農家が「原発で手足ちぎられ酪農家」という句を牛舎の壁に書き残して、自殺した。
生活の途が断たれる大が大勢いる一方で、除染などの名目で一部企業には巨額の税金が流れ込む。
◇
憲法九条をうたった俳句が公民館の月報への掲載を拒否されるなど、物言えぬ空気も漂い始めた。「この国のおかしさは、だれかが言わないといけない。自分は川柳でそれをやり続ける」
原発さえなければ ある酪農家男性の死
http://youtu.be/TaTZQ0jg_uU
世界が危ぶむ日本の人権
国連自由権規約委が最終見解
東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡 2014年7月27日
2008年以来6年ぶりに日本の人権状況を審査した国連の自由権規約委員会は「最終見解」で、従来よりも厳しい調子で改善を迫った。国際社会が日本の人権状況に危機感を抱いている表れといえそうだ。
(田原牧)
より厳しく複数項目で「遺憾」
「委員会は政府が代用監獄(警察署の留置場)の使用を正当化し続けていることを遺憾とする」
今回の第六回対日審査は十五、十六の両日、ジュネーブの国連欧州本部で行われ、十八人の委員が担当。二十四日に発表された最終見解では、「遺憾(リグレツト)」という深刻な言葉が、複数の項目で書き込まれた。
最終見解にはテーマ別に勧告が挙げられ、特に一年以内に日本政府に改善報告を求める課題として、死刑、代用監獄、慰安婦、さらに人身売買の観点から技能実習生の四つが挙げられた。このほか、次回審査までのテーマとして、新たにヘイトスピーチ(差別扇動表現)の禁止、特定秘密保護法への懸念、福島原発事故の被災者らへの対策などが盛り込まれた。
「遺憾」が使われない場合でも、容赦のない言い回しが目立った。
死刑や代用監獄など刑事司法の問題点については、過去の審査でも廃止が勧告されてきた。今回は袴田巌さんの再審決定に三人の委員たちが触れ、従来よりも厳しい追及がなされた。日本政府の消極的な改善姿勢に対して、委員会のナイジェルーロドリー議長(英国)は「日本政府は明らかに国際社会に抵抗しているようにみえる」と苦言を呈した。
さらに注目を集めたのが慰安婦問題だった。日本政府(外務省)は審査で、慰安婦制度を「性奴隷」制とみなすことは不適切であると主張。旧日本軍の慰安婦への関与と強制性を認めた河野官房長官談話の検証の結果として「いわゆる強制連行」は確認できなかったという立場を説明した。
これに対して、ロドリー議長は「(日本政府の立場は)私には理解できない。頭が悪いのだろうか。『強制連行されたのではない』と言いつつ、『意図に反し(て働かされた)』との認識が示されている。これは理解しにくい」と発言。
最終見解も「矛盾した(日本政府の)立場に懸念を表明する」と批判したうえで、「日本軍が犯した性奴隷、あるいはその他の人権侵害に対するすべての訴えは、効果的かつ独立、公正に捜査され、加害者は訴追され、有罪判決が下れば、処罰すること」「被害者を侮辱、あるいは事件を否定するすべての試みへの非難」などの措置を日本が取るよう勧告した。
ヘイトスピーチについては、日本政府の名誉毀損や脅迫などに当たるケース以外は取り締まれないという説明に「差別や敵意、暴力の扇動となる人種的優越あるいは憎悪を唱える宣伝のすべてを禁止し、そのような宣伝を広めるデモを禁止すべきだ」と、新たな規制を求める勧告をした。
特定秘密保護法についても「ジャーナリストや人権擁護者の活動に深刻な影響を及ぼしうる」との懸念が示され、適用対象を狭く定義するよう勧告した。
日本は自由権規約を一九七九年に批准した。委員会勧告には、批准国が国内法を整備しなくてはならないような法的拘束力はない。
日本弁護士連合会自由権規約ワーキンググループ座長の海渡雄一弁護士は「今回の勧告は、日本の人権と民主主義について国際社会が強い危機感を抱いていることの反映だ。勧告に強制力こそないが、日本の対応次第で、’世界のこの国に対する評価が変わる。その意味で決して軽視すべきではない」と話している。
国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか
=死刑・代用監獄・慰安婦・秘密保護法・ヘイトスピーチ・技能実習生・福島原発事故=
海渡 雄一(弁護士・日弁連自由権規約WG座長)
http://satta158.web.fc2.com/docs/UN-human-rights-committee.pdf
国連自由権規約委員会
内容
第1 自由権規約委員会とは
1 本論考作成の目的
2 刑務所改革と自由権規約委員会
3 国連の複合的な人権システム
4 自由権規約委員会の第6回政府報告書審査
第2 審査の概観と国際人権保障に関する課題
1 これまでの課題と新たな課題
2 進まぬ国際人権保障システムの更新と克服の方向性―個人通報と国内人権機関
3 日本政府の対応が評価された事項
第3 主要事項として取り上げられた代用監獄と死刑制度
1 袴田事件にふれた発言が3人の委員からなされた
2 代用監獄の廃止を明確に求めた勧告
3 死刑制度の廃止を真剣に検討せよ
第4 表現自由と知る権利の危機に警鐘
1 人権保障には厳しい制約を
2 秘密保護法は情報へのアクセスの権利を定めた規約19条を満たしていない
第5 ジェンダーと性暴力、性的マイノリティについて
1 ジェンダー平等について
2 ジェンダーに基づく暴力及びドメスティック・バイオレンス
3 性的マイノリティ
4 慰安婦問題をめぐって
第6 外国人の人権と人種差別をめぐる課題
1 ヘイトスピーチの処罰を法制化せよ
2 人身取引と技能実習制度について
3 難民・入管収容など
4 ムスリムに対する監視について
第7 マイノリティの人権とその保護
1 精神病院における非自発的入院について
2 子どもに対する体罰
3 先住民
4 福島原発事故被害者
第8 審査を踏まえた政府と私たちの課題
1 かみしめるべきロドリー議長の最終発言
2 次の政府報告書提出期限は2018 年7 月31 日
3 フォローアップ条項に選ばれた死刑,慰安婦,技能実習生,代用監獄
4 政府との建設的な対話を深め、困難な状況でも前進を目指そう
第8 審査を踏まえた政府と私たちの課題
1 かみしめるべきロドリー議長の最終発言
ナイジェルロドリー議長は会議の結びの言葉の中で、触れるべき二つの問題があるとして、日本政府が何度も同じプロセスを繰り返しているという点を指摘した。
代用監獄制度に関して、政府はリソースの不足を制度を改めない理由として述べたが、議長は、「人権の尊重がリソース次第という状況は日本のような先進国ではあってはならないことであると指摘した。こういう制度が維持されている理由は、起訴側が自白を求めたいと考えているためであるとしか考えられない。このような状況は明らかに規約に矛盾している。日本政府は、委員会がこれまでよりも強い形で勧告を出しても驚かれることはないでしょう。日本政府は明らかに国際コミュニティに抵抗しているようにみえます。」と述べた。繰り返されているもう一つの重要問題として慰安婦の問題が指摘された。議長は、「意見の対立があるようであるが私には理解ができない。私の頭が悪いのだろうか。「強制連行されたのではない。」といいつつ、「意図に反した」という認識が示されている。これは、理解しにくい。性奴隷である疑念があるなら、日本政府はなぜこの問題を国際的な審査によって明確化しないのか。」と厳しく指摘した。
2 次の政府報告書提出期限は2018 年7 月31 日
委員会は、勧告27項において、締約国の第6 回定期報告書と委員会の総括所見、そして委員会のリストオブイシューズに対して政府が行った書面回答などが、一般市民に対し、また、司法、立法、行政当局に対しても公表され、かつ、広く普及されるよう求めた。 また、委員会は、勧告29項において、日本の第6 回定期報告書の提出日を、2018 年7 月31 日と定め、この勧告に対してとった措置を、市民社会との共同作業を経て提出するように求めた。
3 フォローアップ条項に選ばれた死刑,慰安婦,技能実習生,代用監獄委員会は、28項で、1年以内のフォローアップ事項として、死刑(13),慰安婦(14),技能実習生(16),代用監獄(18)の4テーマを取り上げ、委員会手続規則71 パラグラフ5 に従い、この4つの勧告について、1 年以内にフォローアップ情報を提供するよう求めた。これら4つの項目は、委員会がとりわけ重視している関心のあらわれである。とりわけ政府の集中した誠実な対応が求められる。
4 政府との建設的な対話を深め、困難な状況でも前進を目指そう 今回の勧告は、これまでの5回の審査に基づく勧告と比べて、極めて厳しいトーンと内容のものとなった。その原因は明確である。世界中の国々が、人権の完全実施のために前向きの努力を続けている中で、日本では、人権とさらには民主主義そのものを危機に陥れるようなできごとが続いている。いわば、改善の方向が見えないだけでなく、むしろ後退している印象を与えたのだと推察する。
とはいえ、私たち日本のNGOは政府と協力して、この勧告を一つずつ実現していく責務がある。私が歩みを止めず、大きな流れの中で捉えれば、これらの勧告はいずれ実現できる。しかし、民主主義的な法制度を傷つけたり、日本政府が戦争に突き進むようなことになれば、その回復には長い時間がかかるかもしれない。
そのような破局的な事態を避けるためにも、この勧告の中の秘密保護法を含む表現の自由とヘイトスピーチを含む人種差別禁止などの勧告を重く受け止め、この勧告を速やかに実現する必要があるだろう。
総括所見を日本国内にひろげ、政府と真剣に対話し、日本を包む人権と民主主義の危機を克服していくための梃子として活用したいと思う。
他は本ページ(PDF)参照してください。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約) 条約本文
(日本弁護士連合会)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/international/library/human_rights/liberty_convention.html
(本名)弓場清孝さんのブログ
疲労困憊したおじさんのブログ
より
星月夜☆さんのブログ
春と修羅☆
より
近ごろ日本を覆う「自画自賛」症候群は何の表れか
(東京新聞【こちら特報部】)2014年7月30日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014073002000150.html
近ごろ、本屋に立ち寄ると、気恥ずかしくなる。店頭に「日本人はこんなにすごい!」という「自画自賛本」が平積みにされているからだ。この国から「奥ゆかしい」とか「謙虚」といった感覚が急速に消えていっているように感じる。だが、そうした違和感を口にすると、どこからか「自虐だ!」という悪罵が飛んできそうだ。いったい、これは何の表れなのか。日本社会の美徳が崩れてはいないか。
(荒井六貴、林啓太)
なぜ?今、ニッポンにあふれる
書店ズラリW杯で美談
「日本が『素晴らしい』といった内容の本は好調です。反中国、嫌韓国の本とともに売れています」
都内のある書店で、店員の一人はそう話す。
実際、店頭をのぞくと「日本人はなぜ美しいのか」「世界が見た日本人もっと自信を持っていい理由」「日本人はいつ日本が好きになったのか」といったタイトルの本がずらりと並んでいる。
テレビ番組も同じ傾向がある。例えば、NHKのBSで週一回放映されている「cool・Japan発掘!かっこいいニッポン」。外国人が日本文化の良さを紹介し、日本人に自信をつけさせてくれる。
サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会では日本代表の試合後、日本人サポーターが観客席のごみ集めをしたことが現地で話題となり、日本のマスコミが美談として報じた。
とはいえ、こうした行為は日本人に限らない。隣の韓国でも、屋外の大型モニターでW杯の試合を見終わったサポーターが空き缶や紙くずを片付けていた。
日本だけが美しくて、輝いている…そうしたイメージが流されがちだ。安倍首相も「美しい日本」を掲げて、日本の文化やアニメ、ファッション、製品が優れていると、「クールジャパン」の宣伝にご執心だ。
ただ、そうした宣伝が薄っぺらく見える瞬間がなくもない。例えば、東日本大震災後、「絆」が強調された。二〇二〇年東京五輪の招致では「おもてなし」が切り札になったという。
でも、そうした標語は実態を伴っているのか。
「絆」「おもてなし」…でも現実は?
福島原発事故の被災者らのサポートを続ける「東京災害支援ネット」代表の森川清弁護士はこう語る。
「被災住民は切り捨てられている。国は新天地へ移住する提案も示さず、除染の見通しもつけていない。逆に少なからずの避難者が月十万円の慰謝料を受け取っていることを揶揄(やゆ)されたり、責められて肩身の狹い思いをしている。『絆』という言葉は、国や墓示電力の責任逃れを覆い隠すために使われた感すらある」
「おもてなし」も、その内実は怪しい。最高裁は今月十八日の判決で、永住資格を持つ中国籍女性に対する生活保護法の適用を認めた二審福岡高裁判決を破棄し、法の適用外とする判断を示した。
生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤広喜弁護士は「金持ちの外国人はウエルカムでおもてなしの対象だが、貧困層や難民たちは対象外。そうした国の姿勢を感じた」と言う。
生活保護基準は引き下げられ、子どもの貧困率も深刻さを増している。尾藤弁護士は「『絆』が悪用されているように感じる。ここでは一般国民が我慢しているのだから、弱い立場の人間たちは当然、我慢しろという形だ」と皮肉った。
自信取り戻したい
日本が素晴らしいに越したことはない。だが、その根拠が希薄だと、現実を目の当たりにした際に逆効果になりかねない。
日本が一次リーグ敗退したワールドカップでは「日本代表の突破は確実」といった印象を与える報道が目立った。スポーツライターの玉木正之氏は「視聴率のためだろうが、番組の音楽やあおるようなコメントで、日本が勝って当然の空気を醸していた。第二次大戦中の空気もこんな感じだったのか」と振り返る。
理化学研究所が最後に研究不正と認定した「STAP細胞」騒動もそうだ。「発見」が発表された当初、メディアははしやいだ。研究内容をそっちのけに、研究を主導した小保方晴子氏を「また日本人が成果」「かっぼう着の異彩のリケジョ」などと持ち上げた。
「謙虚さ」こそが日本人の美徳ではなかったか。なぜ現在、日本社会になりふり構わぬ自画自賛の雰囲気があふれているのか。
新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「首相ら保守派の中高年は『失われた二十年』にじくじたる思いを抱く。日本の自信を取り戻したいという願望が強い」とみる。
心のスキマ埋めて
謙虚でいられない
こうした保守派の振りまく自画自賛の言説が、若者らの「自己承認」欲求を満たしている面もある。
最近は社員同士が互いを褒め合うプログラムを導入する会社が出てきた。碓井教授は「褒め合わなければならないのは、裏返せば自信のなさの表れだ。インターネットの発達などで生身の間同士の結び付きが希薄になり、自分が相手に認められているという自信を抱きづらくなった」と分析する。「日本を褒められれば、日本人である自分自身が褒められたように感じる。自画自賛は心の「隙間」を埋める効果がある」
同時に、それは中国や韓国など近隣諸国への感情と交錯する。「ひと昔前は反中国、反韓国の感情は少なかった。日本が経済力や技術力で中韓を圧倒していたからだ。優位という余裕があったので、相手の良い点も謙虚に認めて受け入れられた。だが、中韓に追いつかれたことで、自尊心が傷つき、謙虚でいる余裕がなくなった」(碓井教授)
反対意見言いにくく
社員は褒め合い…
ただ、自画自賛することを自己主張と絡めて肯定的に評価する見方もある。
この点について、恵泉女学園大の高橋清貴特任准教授(平和構築論)は「自己主張と自画自賛は全く違う。自己主張は相手の意見にも耳を傾け、自分の意見を受け入れてもらうよう説得すること。自画自賛は他者の立場を顧みず、自身の空虚な力にうぬぽれることにすぎない」と解説する。
「平和主義に基づいてやってきた政府開発援助(ODA)だって、日本人が世界に誇っても良い偉業だ。だが、現政権の自画自賛の傾向には、近隣諸国に対して優位に立つという力の発想が見え隠れする」
戦時中は標語に
ちなみに戦時中の日本は自画自賛のオンパレードだった。児童用の国定修身教科書「ヨイコドモ」(一九四一年)では「日本 ヨイ 国、キヨイ国。世界二 一ツノ神ノ国。日本 ヨイ国、強イ国。世界ニ カガヤク エライ国」と、日本の「素晴らしさ」を手放しでたたえる。
戦争標語を研究する現代史研究家の里中哲彦氏は「何かを褒めることに否定的な意味はない。「美しい国」という主張も、直ちには批判しづらい。ただ、戦争標語はそんな褒め言葉の特性から、人ぴとを戦争に協力させた」と指摘する。
「集団的自衛権の行使が容認された現在、日本を自画自賛する言説は軍国的な動きに反対する意見を封じかねない。戦前のような日本びいきが、社会に浸透しかねない危うさがある」
自衛官募集に萌えキャラ続々
負の現実 隠すため?
東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡 2014年7月11日
集団的自衛権行使を容認する閣議決定により、現実の戦闘に一歩近づいた自衛隊。内部でのいじめを苦にした自殺と、その隠ぺい工作が裁判で明らかにされるなど、近ごろ殺伐とした話題が多い。そうした中、一部の地方協力本部は隊員募集のポスターに、アニメの萌(も)え(架空の2次元美少女)ギャラを採用している。どのような狙いがあるのか。
(林啓太)
隊員「オタク文化になじみ」
「若者に自衛隊に関心を持ってもらう『つかみ』の効果はあるのでは」
ポスターに萌えキャラを採用した自衛隊茨城地方協力本部(地本)の田村保明広報班長はこう話す。
絵柄はこうだ。陸上、海上、航空の各自衛隊を表すカーキ色、白色、青色の制服を着た三人の美少女キャラが登場する。その中央に書かれたメッセージは「『誰かを守れる自分』はじめよう!」。同地本は四月から、茨城県内の公共施設や高校などに掲示するよう依頼している。
キャラは二〇一三年十二月に、インターネット上で無償を条件に公募。県内在住のイラストレーターの作品を選んだ。
狙いについて、田村班長は「ポスターを見てもらうことに尽きる。萌えキャラは従来のものより、人目を引きやすいのでは」。一三年度に県内で受験した人たちに募集を知ったきっかけをアンケートしたところ。「ポスター」との答えが多かったという。
三重地本も一〇年九月から、陸海空の制服を着た美少女三姉妹のギャラを採用している。地本に勤務していた若手の女性自衛隊員が描いた。藤野孝一広報班長は「キャラ採用の前後の受験者数の増減は直ちには回答できない」と説明する一方、「広報イベントの来場者に『このキャラはどう』と聞くと、たいてい『良いですね』と好評です」。
香川地本も一三年七月から、これまた美少女三人組を広報ギャラに採用。地元のデザイン専門学校の学生が描いた。広報担当者は「堅いイメージをやわらかくしたい」と語った。
防衛省報道室によると、自衛官募集の手法は原則、地本に一任している。アニメキャラを使ったポスターは、一〇年度に徳島地本が初めて手掛けた。
萌えと軍事ネタの組み合わせは近年、ネットゲームなどで人気を呼んでいる。女子高生か戦車に乗って戦うアニメ「カールス&パンツァー」も、地上波テレビで放映された。
元陸自隊員でキャラクター研究家の犬山秋彦氏は「かつてはオタク向けの小説だったライトノベルが広く読まれるなど、『萌え』は若者全体に浸透してきた。募集促進に一定の効果はあるだろう」とみる。「担当者も、美少女キャラは広告戦略として有効だとして便乗しているのだろう」
さらに犬山氏は自衛隊員と「萌え」には接点があると解説する。「二十年近く前の話だが、外出が難しい駐屯地では、楽しめるものはゲームやアニメ。売店には関連の雑誌がけっこう充実していた。隊員はオタク文化に興じやすい」
軍事評論家の前田哲男氏は「新聞を読まずに、漫画ばかり読むという若者も増えてきている。自衛隊としては、相手のレベルに合わせて募集活動をしていかなければならない面もあるのだろう」と指摘する。
加えて「萌えキャラの採用には、自衛隊組織のイメージアップの狙いもある」と指摘する。「集団的自衛権の行使容認で、自衛官が殺し殺されるということも現実味を帯びてきた。自衛隊の負のイメージを隠すため、アニメのキャラなどでソフトさを押し出す広報活動は今後、さらに強化されていくのではないか」
(東京新聞【こちら特報部】)本音のコラム 2014年7月30日
召集令状 - Wikipedia
小出裕章先生:社会的にどこまで許せるかということの規制の基準を決めて、それだけはクリアしただけ
子どもの貧困にどう向き合うか(ラジオフォーラム#82)
http://youtu.be/kom_ciSfckA?t=16m11s
16分11秒~第82回小出裕章ジャーナル
川内原発再稼働適合判断について 「この審査は安全審査ではないのです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no82/
湯浅誠:
今日は、各種報道でも大きく取り上げられました川内原発再稼働適合しているという風に規制委員会が下した判断ということについて、お伺いしようと思っております。
原子力規制委員会は、7月16日に鹿児島県にあります、九州電力の川内原発1号機と2号機ですね。原発の新規制基準を満たしているというふうに審査結果を出しました。これによって、政権としては原発再稼働への動きを加速するんじゃないかというふうに言われておりますし、まあそうなんでしょうね。九州電力は、今年の秋にも再稼働を実現したいとしているようなんですけれども。さて、まずは今回の規制委員会の安全審査のポイントはどこだったんでしょうか?
小出さん:
今、湯浅さんが安全審査のポイントとおっしゃいましたけれども、この審査は安全審査ではないのです。
規制基準というものが出来たのですけれども、元々は安全基準と言いたかった。でも、安全基準と言えなくて、規制基準ということにしたのです。ですから、安全であるかどうかを審査したのではないのです。
規制委員会の委員長である田中さんが、今回の川内のGOサインを出して以降に、「安全だと言ってるのではない」と、彼自身がはっきりと言ったように、安全なんていうことはもう確認できないと。規制の基準を決めた。
つまり、社会的にどこまでなら許せるかということの規制の基準を決めて、それだけはクリアしたと言ってるだけなのです。別に、安全になったわけでも何でもありません。それが一番大切なことだと私は思います。
湯浅:
となると、「規制」というのは何なんですかね。
小出さん:
要するに機械ですから、どんな事故も起きるということは当たり前なのです。原子力発電所というのは、とびきり膨大な危険を抱えた機械なのであって、それが、時によっては大きな事故を起こしてしまうということは、言ってみれば当たり前のことであって、それを何とか少しでも起こらないようにしたいと言って、規制の基準を決めたわけですけれども。でも、やっぱり起こってしまうかもしれないということは前提になっているわけです。
だからこそ、規制基準と決めた外側には住民の避難計画を立てろということも、また別に設定されているわけです。ただし、その住民の避難計画に関しては、規制委員会は何にもしなくてもいいということにされてしまっていて、規制委員会は、「私達は知りません」と、「ただ、この原子力発電所がある一定の基準を満たしたかどうかだけを判断しました」と言って、それで終わりにしてしまったわけです。
湯浅:
あの、まあ自動車も場合によっては人を轢くかもしれない。だけども、この規制基準を満たしてる自動車は、一般市道を走って、公道走っていいというふうに認めると。だからと言って、自動車が決して人を轢き殺さない。そんなことはあり得ないとは言えませんよということですね。
なんか、世の中の受け止め方、報道のされ方見ると、政権がそもそもそう取りたいというのがにじみ出てるからなんでしょうけども、この規制がOKになったから、「原発=動かすよ」みたいな感じがかなり強くにじみ出てきてるような気がするんですがね。
小出さん:
そうですね。要するに、問題は2つあると。まず、ひとつは今、湯浅さんが自動車のことをおっしゃって下さったわけですけれども、自動車というのは長い歴史があるし、たくさんの経験があって、どんな事故がどのくらいの頻度で起きるかということが経験的にわかるわけです。
ですから、対策ということもそれなりに考えられるわけですけれども、原子力発電所の破局的な事故というのは経験すらない。ほんのわずかな例しかないし、どんな形で、どのくらいの頻度で起きるかということは経験的に知ることが出来ないのです。
規制基準というようなものも、何とかそれを減らそうとしてるわけですけれども、でも、ほんとにどれだけ減らすことが出来るかすらが分からないという状態で、許可が出されてしまうという、そのまずひとつの問題があると思います。
で、もうひとつは、じゃあ起きた時にほんとに対策ができるのかということなのですけれども、もう福島の事故で十分に私は分かったと思うのですけれども、ほんとに大きな事故が起きてしまうと、対策自身が取りようがないと。もうどうにも情報すらが混乱してしまうわけで、政府自身もパニックに陥ってしまって、適切な指示が出来ないということになりました。
実際には避難できなかった方がたくさんいたわけだし、特に病院にいた方とかお年寄りとか、逃げることが出来ない方々が犠牲になっていくということになったわけで。
「避難計画を作れ」と政府はそれぞれの自治体に対策を丸投げしてしまったわけですけれども、実際のことを言えば、たぶん対策は取りようがないだろうと思います。
湯浅:
その時の風向きひとつで、どこまでどういうふうに被害が広がるのか。広がったら、日本半分ぐらいは人が住めなくなるかもしれない。それぐらいの大きな被害をもたらすことの社会的に受任できる規制は一体あるのかということですね。
小出さん:
今は少なくとも、その30キロ圏内の自治体に対して、「避難計画を作れ」と言ってるわけですけれども、福島の事故を見れば分かるように、30キロなんかではとどまらなかったのです。40キロ、50キロも離れた福島県の飯舘村という所も猛烈な汚染を受けてしまって、今現在も全村離村になっているのです。事故直後にも飯舘村の人達に対しては、何の情報も与えられませんでしたし、被ばくさせられるままにされてしまったわけです。
これから、事故がどんな事故が起きるか、それすらがよく分からないわけですし、30キロでとどまるなんていうこと、そのこと自身がまずはおかしいと思います。もっと広範な地域の住民に対して対策を取ろうと思えば、まずは、もう全く出来ないという事だと思いますし、そうであれば、原子力発電所の再稼働そのものを、はやり私は止めるべきだと思います。
湯浅:
世の中には規制委員会がより積極的に関与して、再稼働するかしないかの権限自体、規制委員会に持たした方がいいんじゃないかという意見もどうもあるようなんですけれども。私自身も規制委員会に権限を与えて、政治に逃げ道残すよりは、規制委員会はあくまで規制についての判断で、 再稼働するかどうかは、あくまで政治的な責任において決めてくれという方が、まだ責任の所在がはっきりするんじゃないかなというふうに感じるんですけれどね。
小出さん:
そうですね。ただ、今の安倍さんなんかはそうじゃなくて、「規制委員会の判断に全てを任せる」というような事を言って、安倍さん自身は逃げようとしているわけですね。
湯浅:
あれはなんか、集団的自衛権の時に「全部私が決めるです!」と言ったのと違って、なんかごまかしてますよね。
小出さん:
はい、と思います。
湯浅:
はい、どうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
2006年12月13日
巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書 提出者 吉井英勝
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_s.nsf/html/shitsumon/pdfS/a165256.pdf/$File/a165256.pdf
衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書 内閣総理大臣 安倍晋三
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b165256.pdf/$File/b165256.pdf
1-4
質(吉井英勝):海外では二重のバックアップ電源を喪失した事故もあるが日本は大丈夫なのか?
答(安倍晋三):海外とは原発の構造が違う。日本の原発で同様の事態が発生するとは考えられない。
1-6
質(吉井英勝):冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか?
答(安倍晋三):そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない。
1-7
質(吉井英勝):冷却に失敗し各燃料棒が焼損した場合の復旧シナリオは考えてあるのか?
答(安倍晋三):そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない。
2-1
質(吉井英勝):原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか?
答(安倍晋三):そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない。
○●○●○●○●○●
SS22 崎山敏也の原発関連「★検察審査会、東電の元会長らを『起訴相当』との議決。東京地検が再捜査へ」2014.07.31
http://youtu.be/l6DujnODNgA
「事故ない」甘さ許さず 東電元幹部、起訴相当
(東京新聞【核心】)2014年8月1日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014080102000119.html
「安全神話の中にいたからといって、責任を免れることはできない」。東京電力福島第一原発の事故で、東京第五検察審査会(検審)は元東電幹部三人を「起訴すべきだ」と結論付けた。だれも起訴できないとした検察の判断と市民から選ばれた検審の「常識」とのずれが浮き彫りになった。
(中山岳、加藤益丈)
*戸惑い
「想定外ではないし、おかしな議決だとも思わない。しかし、これまで裁判所が認めてきた注意義務違反の水準を大きく超えている」。ある検察幹部は慎重に言葉を選びながら、議決への戸惑いを口にした。
今回、元東電幹部3人が問われたのは、業務上過失致死傷罪。業務上、必要な注意を怠ったという過失があったかどうかが、この罪が成立するかどうかの「分かれ目」になる。
検察は、昨年9月に3人を含む全員を不起訴とした判断の中で、東電が2008年に出した15.7メートルという津波の試算について、いくつもある試算の中で津波が高くなるように厳しい条件を重ねて出した試算だと評価した。
さらに、当時は実際にそうした高い津波が来ると考えた地震や津波の専門家が少数派だったことを考慮し「大津波は予測できたと言えず、いかなる深刻な結果が出ても刑事責任を問うほどの過失とは言えない」と判断した。
*過失
検審も今回の議決で、自然災害は具体的に予測することはできないとの前提に立った。
しかし、事故が起きると、広大な地域に被害をもたらす原発の特殊性を考慮し「電力会社は安全確保のため、極めて高度な注意義務を負っている」と指摘。東電内部の会議メモなどから、3人は最高幹部として大津波が襲来する可能性があるとした報告に接していると考えられ、明確な対策を取らなかったことは過失に当たると判断した。
元幹部らの危機意識のなさの根底に、原発の安全神話があったとも指摘。「安全に対するリスクが示されても、実際には事故は発生しないだろうと、曖昧模糊(もこ)とした雰囲気が存在していたのではないか」として、東電の体質を「本来あるべき姿から大きく逸脱し、一般常識からもずれている」と厳しく批判した。
元京都地検検事正の古川元晴弁護士は「検審の判断は、検察より国民の常識に沿う考え方だ」と議決を評価する。「検察は、確実に予測できる危険でなければ回避する義務はなく、刑事責任を問えないとの考え方に立った。だが、それでは原発のように極めて高度な安全対策が課されている事業には対応できない。検察は腹を決めて起訴すべきだ」と述べた。
*行方
東京地検は今後、あらためて勝俣恒久元会長らの聴取に乗り出すとみられる。
過去の捜査では、福島原発告訴団が求めた東電本店の家宅捜索などの強制捜査を見送り「名ばかり捜査」と批判された経緯がある。再捜査で強制捜査に踏み切るかどうかについて、検察幹部は「現段階では、なんとも言えない。証拠隠しの疑いがあり、それがどこにあるか分からないと、裁判所は家宅捜索令状を出さず、こちらも動きようがない」と話した。
検察審査会法では、地検が議決を通知されてから3カ月以内に起訴か不起訴か判断しなければ、メンバーの異なる検審があらためて審査を始める。検察幹部は「3ヶ月で結論を出すのは厳しい」と期間の延長を求めることも示唆した。
【検察審査会】
選挙権のある国民からくじで選ばれた11人の審査員で構成。審査は非公開。検察官による容疑者の不起訴処分について、11人中6人が納得できなければ「不起訴不当」、8人以上が納得できなければ「起訴相当」と議決する。従来は議決に拘束力がなかったが、2009年5月施行の改正法では、起訴相当と議決された事件を検察官が起訴しなかった場合、自動的に再審査。再び起訴相当と議決すると、裁判所が選んだ検察官役の指定弁護士が容疑者を強制的に起訴し、公判を担当する。再審査時は必ず審査補助員の弁護士が立会い、検察官の意見を聴く。
「事故責任 真実を」避難者 追求に期待
東電元幹部 起訴相当
(東京新聞)2014年8月1日
市民でつくる検察審査会は、恵示電力福島第一原発事故で、東電歴代幹部三人を「起訴相当」と判断した。捜査のやり直しを申し立てた福島県民ら約五千七百人の中には、今も首都圏で暮らす人々もいる。故郷を奪われた怒りのやり場もなかった三年半。司法の扉が開く光が見えてきたことに、喜びの声が上がる。
(小林由比)
故郷奪われ怒り今も
「うそかと思った。うれしかった」。福島県三春町から東京都西東京市に避難する増子理香さん(四四)は、笑顔を見せた。
二〇一一年五月、当時小学一年生だった長女(一〇)と町を離れた。土が汚染され、有機栽培農業を続けられない。放射線量を知り、幼い娘の健康への影響にも強い不安を覚えた。
避難指示区域からの避難ではないため、公的支援もない。不安を抱えて自主避難した親同士が支え合う団体をつくったが、どこに憤りをぶつけていいか分からないでいた。
そんな中、福島原発告訴団長の武藤類子さんから、何人かの母親と一緒に説明を聞いた。「これまで普通に暮らしてきて、告訴なんて自分には縁のないことだと思ってきた。でも、武藤さんが福島の言葉で『悪いことをした人に罪を認めさせることだ』と説明してくれて、すとんと胸に落ちた」
昨年九月、東電幹部らが全員不起訴処分になった後も、告訴団は東京検察審査会への申し立てなどを行い、「被害者の声を聞いて」と訴え続けた。「私たちにとって事故は現在進行形。だれに責任があるのか司法の場で真実を知りたい」
南相馬市から横浜市に避難する村田弘さん(七一)は、定年退職後の○三年から故郷で第二の人生を送っていたが、事故でその生活を奪われた。「最初からこの事故は犯罪だと思ってきた。審査会の議決には市民の良識が生きている」と喜ぶ。
「大飯原発の運転差し止め判決に次いで今回の議決。少し明るい兆しが見えて本当にうれしい。人の命から物事を判断するという司法のあり方であってほしい」
国と東電に原状回復と慰謝料を求める「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の原告の一人、福島市の根本仁さん(六六)は、これまでに原告の思い四十人分を証言集にまとめた。出荷制限を悲観して自殺した父親について語った農家の男性、山菜採りや渓流釣りなど自然とともに暮らす日々を奪われた悲しみを訴えた高齢者たち…。「東電は訴訟の中で求めた資料を出さないなどいまだに事実を隠そうとする姿勢だ。刑事事件としても責任を問うていってほしい」と期待を込める。
浪江町長は「順当な判断」
全町避難中の福島県浪江町の馬場有町長は三十一日、「順当な判断。事故原因が究明されていない中で不起訴はあり得ない。事故の責任をはっきりさせてほしい」と述べ、東京地検に徹底した再捜査を求めた。同県二本松市の仮町役場で記者団に語った。
馬場町長は原発事故について、「津波は想定外だったと片付けて良いのか。(津波の危険性は)前から言われていた」と指摘。検察捜査による事故原因の究明にも期待を寄せた。
東電原発運営の中枢
勝俣元会長ら歴代幹部
起訴相当の議決を受けた東京電力の歴代幹部三人は、いずれも東電で長きにわたり、経営や原発運営の中枢を担っていた。
勝俣恒久元会長(七四)は、二〇〇二年十月、社長に就任。○七年に新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の事故の対応にもあたった。検察審査会の議決では、勝俣氏について、この経験を踏まえ、「想定外の事態が生じることの認識を持っていた」と指摘している。○八年六月に会長に就任し、福島第一原発事故後に退いた。
武藤栄元副社長(六四)は、二〇〇八年六月に原子力・立地本部副本部長、一〇年に同本部長を務めた。原発の知識や情報を持ち、技術的なことで実質的な判断を下す立場にあった。
武黒一郎元副社長(六八)は、武藤氏の前任の原子力・立地本部長を務めた。事故当時はフェローで、原子力担当の中ではトップの地位にあった。
一方、不起訴不当の議決を受けた小森明生元常務(六一)は、○八年六月から福島第一原発所長を歴任。一〇年六月二十六日からは、原子力・立地副本部長を務めていた。
衆議院予算委員会2012/2/15吉井英勝(共産)の質疑
http://youtu.be/KUG4kQAlpI4
参考人 東京電力 勝俣恒久
人類にとって最高の宝は”平和”です!d(゚ー゚*)ネッ!
今日(8月6日)と三日後の8月9日は第2次世界大戦中の1945年にアメリカによって日本に原爆が落とされた日です。
安倍内閣のもとで、集団的自衛権行使容認の閣議決定が強行されたいまこそ、平和をのありがたさを噛み締めるべき時ではないでしょうか?
被爆の実相を深く知り、その歴史的背景を知ること、そして、核開発後の悲惨な状況を知ることによって、まっすぐ現実を見つめ、現在は何をしたらよいのか?見えてくるのではないかと確信しています・・(`・ω・´)
どうか、お時間のあるときにじっくりとご覧下さい。そして、考えてください。
ヒロシマの黒い太陽1
http://dai.ly/xkjdgf
ヒロシマの黒い太陽2
http://dai.ly/xkjde3
1945年8月6日、広島に投下された原爆のウランの原石は、ベルギーから持ち込まれたものだった。その3日後、長崎に投下された原爆のプルトニウム精製工場は、フランス発祥のデュポン社が取り仕切っていた。
日本への原爆投下に、深く関わっていたヨーロッパ各国。当時の記録・証言で、科学者、軍人、産業界の動きを追っていく。
情報の隠ぺいと操作の数々…。
今、原発事故の状況下にある日本の人々もさまざまなことを考えさせられる。
フランス国営テレビとの国際共同制作。
仁科芳雄
日本では1938年からウラン鉱山の開発が行われ、1940年に理化学研究所の仁科芳雄博士が安田武雄陸軍航空技術研究所長に対して「ウラン爆弾」の研究を進言したといわれている。研究には理化学研究所の他に東京帝国大学、大阪帝国大学、東北帝国大学の研究者が参加した。
1941年4月に陸軍航空本部は理化学研究所に原子爆弾の開発を委託、アメリカ合衆国によるマンハッタン計画が開始された翌年の1943年1月に、同研究所の仁科博士を中心にニ号研究(仁科の頭文字から)が開始された。この計画は天然ウラン中のウラン235を熱拡散法で濃縮するもので、1944年3月に理研構内に熱拡散塔が完成し、濃縮実験が始まった。
核開発の果て 上
東京新聞2014年7月22日
長崎に投下された原子爆弾の材料となるプルトニウムを製造した米ワシントン州南東部にあるハンフォード核施設。人類史上初の核開発マンハッタン計画の中核を担い、冷戦時代にも活動を続けた。二十七年前に最後の原子炉が運転を停止したが、今もなお、放射能汚染水漏れが続き「全米で最も汚れた場所」と呼ばれる。苦闘する姿は、福島原発事故被害の対策を模索する日本が既に向き合う課題とも重なる。
人の姿のない広大な平地の空を、鳥がゆっくりと飛ぶ。ハンフォード核施設のそばには、土地の人が聖なる場所とあがめるコロンビア川が流れていた。
高レベル放射性廃棄物貯蔵用の巨大地下タンクの点検を二十七年間続けてきたマイクーゲファーさん(五一)は、自分の目を疑った。二〇一一年秋のことだ。
二重壁になっているタンクの壁と壁の間に挿入した放射線検知器が警戒音を発する。引き上げると、ピーナツバターのような液体がついていた。検知器の針が一気にふれる。
「汚染水が漏れました」
「検知器が壊れてるんだろう」。上司はゲファーさんの報告を信じなかった。
国から施設の管理を請け負う企業に所属するゲファーさんには、汚染水漏れなど不測の事態が起きた場合、管轄するエネルギー省に二十四時間以内に報告する義務が課されていた。
当初の漏れは十五リットルほどだった。だが、会社は詳細点検を先送り。エネルギー省にはこう伝えた。
「タンクの壁内部にあるのは雨水」。放射線の検知理由は現場周辺にあった過去の廃棄物に反応したと断定した。一年後、定期点検で再び漏れが確認され、事実を公表。事前に報告を受けていたことは隠した。
ゲファーさんは経緯をメディアなどに内部告発し、会社を辞めた。
ハンフォードの浄化活動を監視するNPO「ハンフォードーチャレンジ」代表トムーカーペンターさんは、会社や当局が汚染水漏れを認めなかった理由を「二重壁タンクからの漏れだったから」と指摘した。
施設にある大半のタンクは一重壁で、これまで既に六十七基で漏れが確認された。二重壁はその対策として導入された「安全な保管先」。そこで、初めて漏れか確認された。
全部で百七十七基ある夕ンクには、長崎原爆に搭載されたプルトニウムを精製する過程で出た放射性物質のセシウム、ストロンチウムなどを大量に含む、最も危険性の高い泥状の液体計約二億リットルが保管される。
カーペンターさんは懸念する。「当局が安全だと信じ切っていた二重壁がダメなら将来の除染作業に多大な影響がある。汚染水が漏れ続ければいつかは地下水に達し、コロンビア川に出る。歴史上、最も重大な危機に直面してしまった」
対策の方針が決まらないまま、汚染水は今もタンクから漏れ続ける。
(米ワシントン州ハンフォードで、長田弘己)
核開発の果て 中
健康被害 今もなお
東京新聞2014年7月23日
闇に隠された汚染
「お父さん、宇宙飛行士が来てるよ」。米ワシントン州ハンフォード核施設の東部の風下で、農業を営むトムーベイリーさん(六七)は少年時代に見た白い作業服を着て、マスクを着けた男たちの姿が今でも目に焼きついている。
長崎原爆に使用されたプルトニウムを製造していたハンフォードの風下にあたる地区では、一九四〇年代から五〇年代、突然現れては井戸水や死んだ奇形の動物たちを採集していく男たちを住民が目撃した。
何をしているかと尋ねると、男たちは「君たちを守るための仕事をしているんだ」とだけ答えた。
「彼らが何者なのか知らなかった。ハンフォードに関することはすべて国家の最重要機密だったからね」
「宇宙服の男たち」は、周囲への汚染状況を調べていた施設関係者だった。
政府は八六年に放射性物質を大気中に放出していたことを認めた。九四年、米疾病予防管理センターの調査で、四四年から五一年にかけて甲状腺がんなどを引き起こすとされるヨウ素131だけで約二・七京ベクレルもの放射性物質が大気中に放出されていたことが明らかになった。それだけで福島第一原発事故で大気中に放出された放射性物質総量の三十分の一に匹敵する。
ベイリーさんは施設から五キロの農家で生まれた。兄は死産。父母、妹はがんと診断された。白身も肺機能障害や発疹などのほか髪の毛が抜け落ちるなどの健康被害に苦しんだ。近所の二十七世帯のすべてに甲状腺障害の家族がいた。二〇〇一年長崎で行われた原水爆禁止世界大会では「ハンフォードは広島と長崎と同じようにアメリカにもヒバクシヤを生んだ」と訴えた。
ハンフォード内には千九百ヵ所の核や化学廃棄物捨て場があり、そこから多量の汚染水が地下に染み出た。その汚染水は地下水脈にも到達したことが明らかになっている。
九〇年代、風下の住民計約五千人はハンフォードを運営していた請負会社を提訴した。○四年に連邦裁判所が「ハンフォードの四〇年代のプルトニウム製造は極度に危険だった」として企業側の責任を一部認め、○五年には甲状腺がんを患った住民二人が因果関係を認められ、勝訴した。
健康被害への不安は今も続く。長期化する除染作業に携わる作業員への健康被害。現場では一日約千四百人が二十四時間体制で勤務する。今年三月下旬以降、汚染水を保管する地下タンク付近で働いていた三十八人の作業員が原因不明の呼吸困難を訴え、救急車で運ばれた。症状を調査した市民団体は「水銀など有害な化学物質を吸引した時と同じだ」と当局に調査を求めている。
ハンフォードの歴史について著作を持つシアトル大学のブルースーヘブリー教授は「国が情報を公開しない以上、人や環境への影響は永遠に闇に隠されたままだ」と指摘した。
(米ワシントン州ハンフォードで、長田弘己)
核開発の果て 下
長い戦い 福島も同じ
東京新聞2014年7月24日
汚染処理に特効薬なし
米西部ワシントン州シアトルの南東約三百キロ。「全米で最も汚染されている場所」という悲しい異名を持つハンフォード核施設を今年一月中旬、日本から原子力災害現地対策本部研究会のメンバーが訪れた。
福島第一原発事故後の汚染水処理対策に生かすための技術視察だった。汚染の中で暮らす地元住民や企業と意見交換し、再生のヒントを探るのが狙いだ。
視察を終えた一行が向かったのは、ハンフォード地域に隣接するが、浄化対象地域外のリッチランド、パスコ、ケニウィックの三市などが地域振興のために設立した非営利の民間組織「トライテック」。三市の市長らが集まり、企業の優遇策などを検討してきた。
午後いっぱい行われた会議で、視察団は地元住民に質問を浴びせた。
「汚染されているというマイナスイメージがあるのに、どうやって人や企業を呼び寄せられたのか」
トライテックのゲリー・ピターセンさん(七三)は質問に焦りを感じた。「魔法の特効薬はないかと聞かれているようだ」
トライテックが設立されて五十年が経過した。施設内の八原子炉とプルトニウム精製施設の全てが閉鎖され、浄化作業が始まったのは一九八九年。施設では今でも一日約千人以上が働き、汚染処理と格闘する。汚染された廃棄物を貯蔵するタンクの処理は、予定通りにいってもあと四十年はかかるといわれる。
「汚染処理は長期戦。地域再生はじっくり時間をかけるしかない」。ピターセンさんは何度も言った。
ハンフォードには日本の一団が注目していた建設中の新処理施設がある。放射性廃棄物をガラスとともに高温で融解し、固化体という固まりにする施設だ。
技術自体は既に米国の他の施設やベルギー、日本でも導入されているが、ここは数十種類の化学物質が組み合わさった大量の高放射性廃棄物を扱い、四十年以上もメンテナンスなしに稼働できる施設。世界でも例がない規模の大きさだ。
その施設が岐路に立っている。二〇〇二年に着工し六割が完成した一二年に工事が中断。理由は設計に欠陥があるという内部告発だった。予算は当初試算の三倍の百二十七億ドル(一兆二千九百億円)に膨らんだ。
請負会社で設計を担当していたウォルター・トムサイタスさん(六六)が内部告発した。「請負会社は利益優先。安全を重視する気持ちはみじんもない。企業内の風通しも悪く、方針と違う
ことをいうと報復に遭う」と明かす。告発後に左遷され、退職に追いやられた。
請負会社の安全軽視、情報隠しなどの問題は米議会でも取り上げられ、トムサイタスさんも証言した。
福島の原発事故について「情報隠しの疑いは既に日本でも起きている。利益を追求するのが企業の性であり、安全を後回しにしないようにさせる仕組みが必要だ」と語気を強めた。
稼働停止後、四半世紀を過ぎた今も、核開発という過去の遺産と向き合う八ンフォード。福島の長い道のりは、始まったばかりだ。
(米ワシントン州ハンフォードで、長田弘己)
島は核実験場だった
しんぶん赤旗日曜版 2014年8月3日
原水爆禁止世界大会が2日から広島市で始まります。核兵器禁止条約交渉開始が焦点となるなかで開かれる同大会には、マーシャル諸島共和国の外相も初参加する予定です。同国は、核兵器廃絶の義務を果たしていないと核保有9力国を国際司法裁判所に訴えています。トムーキジナー同国駐日大使に聞きました。
坂口明記者
マーシャル諸島共和国は4月、核軍備競争の早期停止と核軍縮・廃絶交渉をするという国際法上の義務を果たしていないとして、米国、ロシア、中国など核兵器を保有する9力国を国際司法裁判所に提訴しました。米国については、カリフォルニア州の連邦地方裁判所にも提訴しました。
私たちは小さな島国ですが、大胆なイニシアチブをとりました。それは私たちの国が1946年から58年にかけて米国の核実験場とされたからです。
核保有国が核廃絶交渉の義務を負う核不拡散条約(NPT)が68年に結ばれて46年たちますが、進展は何もありません。「もうたくさんだ。世界の未来を考えよう」と誰かが声を上げるべ
き時です。
広島、長崎の人々が核兵器の最初の犠牲者となりました。2番目が私たち。核兵器の脅威を経験したのは日本とマーシャルの人たちです。私たちこそ連帯すべきです。今回の提訴に日本政府も積極的に応えていただくよう心から期待します。
原爆投下から15分後に香焼島から撮影されたキノコ雲
原爆投下・10秒の衝撃
http://dai.ly/xv00ky
ピカドンと呼ばれる原爆。爆発から広島が壊滅するのに要した時間はわずか10秒である。
炸裂前から大量に放たれていた放射線、3秒で地上を焼き尽くした熱線、10秒で広島市の全域をのみ込んだ衝撃波。人々が立ち昇るキノコ雲を見た時、広島は既に破壊されていたことになる。
日米の科学者の協力を得て、広島原爆の惨禍の始まりとなった10秒間を科学的に再現・検証し、核兵器の恐怖を描く。
原爆の絵=日本語版(字幕付)
http://youtu.be/ebgmIZ0GMhw
広島の被爆体験者自身が描いた21枚の絵と体験者が絵につけたコメントにナレーションをつけて15分程度の作品にしました。これらの絵は広島平和記念資料館が所蔵する3600枚の絵の中から選んだものです。
被爆者の遺品に原爆の現実
しんぶん赤旗日曜版 2014年8月3日
この舂、「写真界のノーベル賞」と呼ばれる(ハッセルブラッド国際写真賞を受賞した石内都さん。被爆者の遺品などを撮影した写真集『From ひろしま』(求龍堂)を出しました。その思いは…。
金子徹記者
写真家石内都さん
花柄のワンピースに、焼け焦げた弁当箱。広島平和記念資料館の収蔵品です。普段は収蔵庫で保管され、人目にふれることはありません。そうした品に光をあてた写真集。この連作を最初に発表した2008年以降、毎年広島を訪れています。
「平和資料館には毎年新しい遺品が寄贈されています。名前も知らない女の子が広島で私を待っている感じです。死者を数字にしてもイメージがわかない。遺品を前にすると、この服を着ていた女の子がいて、原爆で死んだという現実が浮かび上がる。私も実際に広島に行かなければ、教科書的な知識で終わったはず。現場にいくと無知だったと教えられます」
まるで語り部のような写真たち-。
「1945年8月6日から70年がたとうとしていますが、問題は何も解決していません。今も世界
には多くの核兵器が存在し、日本では原発事故が起きました。安倍首相になってからは、戰前に戻ろうとしている感じ。怖いです」
「ひろしま」を世界に知らせたい
「ひろしま」の連作を撮るきっかけは、母の遺品を被写体にした連作「Mother's」の
展覧会(2006年)でした。
「編集者から広島を撮りませんか、と声をかけられ、なんで私なのかと思いましたが、断る理由がみつからない。―週間考えさせてもらい、平和記念資料館へ行きました」
広島を訪れたのはこの時が初めて。
撮影中見えた、彼女の影がいとおしい
「多くの写真家により広島はもう撮り尽くされていると思っていました。でも、被爆者の遺品を見たら、モダンでかわいい。私が着ていてもおかしくない。私の中で、モノクロだった広島のイメージが覆され、これなら撮れると思いました」
たたまれた遺品を広げ自然光にあてる。写真のなかで、遺品の色と形がよみがえり、新しい時間が流れ出す。
「『こんにちは』と、あいさつして遺品に向き合います。『彼女』たちは、亡くなった女の子の身を覆っていた物。私はそれを収蔵庫から出して、一番かっこよく整えて撮ります。撮影中、一瞬だけ、これを着ていた女の子の影が見えます。すごくいとおしい」
08年に刊行した写真集『ひろしま』は大きな反響をよび、同年、広島と東京で展覧会も開催しました。
石内さんの写真の原点は神奈川県の横須賀です。同市には軍港があり、米軍と自衛隊が拠点を置いています。群馬県出身の石内さんは小学校入学の際に同市に転居。衝撃を受けました。
「横須賀には、6歳から19歳まで住んでいました。基地の街は子ども心にも違和感や距離感があり、嫌いでした。横須賀を出て解放されるはずが、かたき討ちみたいな気持ちで横須賀に戻って写真を撮った。それがデビュー作『絶唱、横須賀ストーリー』です」
わい雑で、殺伐とした基地の街の雰囲気をとらえたデビュー作。最初の個展と写真集で注目の存在になりました。第2作で木村伊兵衛賞を受賞。以来、世界屈指の国際美術展「ベネチアビエンナーレ」の日本代表を務めるなど、国際的に活躍してきました。
ハッセルブラッド国際写真賞の受賞は、日本人では3人目の快挙です。
「私の『ひろしま』はひらがなです。この4文字を世界に知らせる、それが私の使命だと思っています」
当時13才の少女が来ていた服
少女は被爆当日の夜に息を引き取った
原爆の絵 川
黒い雨
http://dai.ly/xtj6bt
去年(※2011年)の暮れ、長崎の医師の問い合わせをきっかけに、被爆に関する「あるデータ」が突然公表された。
原爆投下直後に降った放射性物質を含む雨「黒い雨」に、1万3千人もの人があったことを示す分布地図だ。どこでどれくらいの人が黒い雨にあったか、これまで「公式データはない」とされてきただけに、広島・長崎は衝撃を受けた。
データは、放射線の人体への影響を科学的に明らかにするためにアメリカの研究機関ABCCが集め、研究を引き継いだ放射線影響研究所(放影研)が保管していたものだった。
多くの被爆者の協力のもと集められた“命の記録”。しかし今に至るまで、このデータを使って黒い雨の影響が研究されることはなかったという。
なぜデータは、被爆から67年たつまで、その存在さえ明らかにされなかったのか。調査に協力した被爆者たちは、どんな思いを抱いてきたのか。
被爆者追跡調査の歴史を丹念に追いながら、その実像に迫っていく。
重要
封印された原爆報告書
http://dai.ly/xkca1f
アメリカ国立公文書館のGHQ機密資料の中に、181冊、1万ページに及ぶ原爆被害の調査報告書が眠っている。
子供たちが学校のどこで、どのように亡くなったのか詳しく調べたもの。
200人を超す被爆者を解剖し、放射線による影響を分析したもの…。
いずれも原爆被害の実態を生々しく伝える内容だ。
報告書をまとめたのは、総勢1300人に上る日本の調査団。国を代表する医師や科学者らが参加した。
調査は、終戦直後から2年にわたって行われたが、その結果はすべて、原爆の“効果”を知りたがっていたアメリカへと渡されていたのだ。
なぜ貴重な資料が、被爆者のために活かされることなく、長年、封印されていたのか?
被爆から65年、NHKでは初めて181冊の報告書すべてを入手。調査にあたった関係者などへの取材から、その背後にある日米の知られざる思惑が浮かび上がってきた。
番組では報告書に埋もれていた原爆被害の実相に迫るとともに、戦後、日本がどのように被爆の現実と向き合ってきたのか検証する。
わが子を荼毘に付す母親
・・これが現世と思えない地獄だ・・
重要
見過ごされた被爆 ~残留放射線 63年後の真実~
http://dai.ly/xv01vc
原爆投下から63年。原爆の放射線による原爆症の認定基準が今年(※2008年)、大きく変わった。
見直しの特徴は、原爆投下後市内に入った「入市被爆者」と呼ばれる人達に対して、原爆症と認定する道を開いたことだ。これまで国は初期放射線の被害は認めてきた一方、放射線を帯びた土などが出す「残留放射線」の影響はほとんどないとして、11万人いた入市被爆者の原爆症認定の申請は、ほぼ却下してきた。
被爆後、広島や長崎市内に入った入市被爆者は、直接被爆していないにもかかわらず、放射線の影響とみられる急性症状が現れ、その後、白血病やガンなどで亡くなった。当時、いたる所で放射性物質と化した土砂や建物、死体から強い残留放射線が発生したことなどにより、相当量の被ばくをしていたとみられる。
昨年、発見された資料では、アメリカは1950年代に残留放射線の調査を始めながら「科学的に役立たない」と中止していたことがわかった。その後も調査は行われぬまま、入市被爆者は病気になっても国から「原爆症」と認められず、援護のカヤの外に置かれてきた。
科学研究が進み、裁判で入市被爆者が原爆症と認められるようになり、ようやく見直された認定基準。
なぜ被害は63年間も見過ごされてきたのか?被爆者たちの人生を振り返り、原爆のもう一つの悲劇を伝える。
TVF2014優秀作品賞(サポーター賞)「広島原爆の惨禍~もう一つの証言映像~」
http://youtu.be/ClFN-lnlDj8
『広島原爆の惨禍 ~もう一つの証言映像~』 松田治三 広島県
瀬戸内海に浮かぶ似島は自然豊かだが、1976年土木作業中に617体の遺体が見つかった。広島原爆での被災者を秘かに処理するために埋められたものだ。発掘の模様を8ミリフィルムで収めたのがビデオ仲間の故中畝健雄氏。作者はこの映像を足掛かりに、証言をもとに当時を解明する。映像記憶遺産としても貴重。
広島で被爆した肥田舜太郎医師、放射能の怖さを語る
http://youtu.be/cBVngZUNirg
広島原爆医師、肥田舜太郎氏のインタビュー。2011年8月。原爆による直接の大量放射線被ばくとともに、直接被ばくしていない人の体調不良や死のことがリアルに語られています。
①高熱がでて ②口の中が腐敗する ③目と鼻と口から出血 ④肌に紫色の斑点 ⑤髪が取れる その後死んでいく。
次の毎日新聞記事が、今の福島第一原発事故の内部被曝との関連で記事になっていました。
<被爆医師は今も闘う>
死ぬほどだるいと訴える全身衰弱「ぶらぶら病」、福島で出ても不思議はない
毎日新聞 2012年1月12日
『私のどこが悪いんだ』、開き直りがずっと根底にあるんですよ。
放射性物質が広範囲にまき散らされた東京電力福島第1原発事故。内部被ばくの健康影響が懸念されるなか、広島・長崎の原爆ではどうだったのかにも関心が高まっている。広島で被爆した医師で、「原爆ぶらぶら病」の患者ら6000人以上の被爆者を診察してきた肥田舜太郎さん(95)を訪ねた。
「内部被ばくは広島・長崎の時からあったのです」。
昨年12月、横浜市港北区のホール。「福島第1原発事故と内部被曝について」と題した講演会で、肥田さんはよく通る声でこう話した。
「原爆(ピカドン)が落ちた日には広島・長崎におらず、数日後に家族を捜しに入った人たちが、理解できない形で死んでいった」。普段つえをついて歩く肥田さん。約2時間も机の前に立ち続け、熱弁を振るった。
田さんは1944年に広島陸軍病院に赴任した。陸軍軍医中尉だった45年8月6日、爆心地から約6キロの広島市東区(旧戸坂村)で被爆。その日のうちに爆心地近くまで往復し、その後、周辺で負傷者の救援治療にあたった。やけどを負った人の数があまりに多く注目されなかったが、原爆投下後に市内に入った人たちが奇妙な死に方をするケースも相次いだという。
ある女性は、夫を捜しに、原爆投下1週間後に広島入りし、焼け野原を1週間捜して夫と再会した。しかし重症者の介護を手伝っているうちに、熱が出て紫斑が体に現れ、髪が抜け落ち、吐血して亡くなった。・・・
肥田さんたちはその経験を通し、「入市被爆」という考え方にたどりついた。「内部被ばくなんて言葉はまだありません。市に入って被爆したので入市被爆と呼びました。どういう理屈で亡くなるのか、全然分かりませんでした」
入市被爆者には間もなく亡くなった人もいれば、体調不良を抱えながら生き続けた人もいるという。・・・(中略)
肥田さんは横浜の講演会で、原爆の直接被爆を免れた人が数年後、座っていられないほどのだるさを訴える「原爆ぶらぶら病」について語り始めた。
「血も出ていない、頭の毛が抜けるでもない、目に見える被害は何もないのに、死ぬほどだるいと訴える人がたくさん出てきた。診察してもどこも悪くない。サボっているように見られて、患者の家族が『ぶらぶら病』と名付けたのです」
ぶらぶら病は、被爆前に健康だった人が病気がちになり、体がだるくて根気が続かずに仕事を休みがちになる。医師が検査しても、異常がないと診断され、仲間や家族からは怠け者のレッテルを貼られた人も少なくないという。
講演会後、肥田さんはこう補足説明してくれた。
「簡単に言えば全身衰弱状態。本人の訴えしかなくて、今の医学の範疇には入ってこないから、医師から見れば、病気じゃなくノイローゼ扱いになってしまう。
最近、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)の研究者に聞いたら、『放射線疲れ』という言葉があるというのです。原発事故で放射線にあたった人が、くたびれてかったるいということから、その名がついたそうです。私から言わせれば、福島でこれらと同じ症状が出ても何ら不思議ではない」
八月七日
己斐は焼けていなかったけど福島町は焼けた家や焼けない家と有った。
福島の鉄橋に板を渡して皆んなそこを渡っていた。
兵隊さんが「下を見てはいけないよ。服を持って…」と云はれ三人で兵隊さんの服をしっかり持ち恐る恐る渡った。
市内は建物疎開に動員された人達が作業を始めた直後…午前八時十五分 爆弾が落ち業火に追われて川に飛び込みそのまヽ水死した死体が橋の下は山となって漂い赤や青や緑や紫色に三倍も四倍も脹れ脹れて皆んな皆んなカッと目を開き本当に恐ろしかった。
やっと渡り「元気を出して」と励まされサヨナラと別れ心細く足の竦む思いで一歩一歩進んだ。
はだしのゲンは終わらない 幻の続編からのメッセージ
http://dai.ly/xw979y
広島の原爆資料館に、14枚の漫画の原画が寄贈された。それは、世界に原爆を伝えた「はだしのゲン」の続編だった。この続編は作者の中沢啓治さんが「訴えなければならないテーマがある」と語ってきたものだった。しかし中沢さんは、描きかけにも関わらず、資料館に寄贈した。続編はなぜ発表されなかったのか。そして、そこに込められるはずだったメッセージとは。中沢啓治さんが訴えようとした「ゲンの真実」に迫る。
もし非戦闘員の生命財産の無差別破壊というものが、いまだに戦争において違法であるならば、太平洋戦争においては、この原子爆弾使用の決定が、第1次世界大戦中においけるドイツ皇帝の指令及び第2次世界大戦中におけるナチス指導者たちの指令に近似した唯一のものである。(「共同研究 パール判決書」東京裁判刊行会 頁674)
真の平和 訴え続けて
中沢ミサヨ
私自身も「はだしのゲン」で原爆を知った一人です。広島県呉市出身ですが、当時は学校で平和教育はなく、広島平和記念資料館には行きましたが「死体からウジがわいた」などは展示にありません。主人が描く、死体の上をはうウジ虫や、皮膚が垂れ下がった被爆者の絵に「原爆ってこんなにひどいことなのか」とショックを受けました。
「ゲン」は「踏まれても踏まれてもたくましく芽を出す麦のようになれ」がテーマです。強く生きろよ、くじけるな、と。その中で戦争と原爆の悲惨さを描いた作品です。差別を恐れて声を上げられず、家の奥でひっそりと暮らしている被爆者の情念を代弁しようと、主人は「ゲン」の登場人物一人一人の気持ちになって、悔しさや悲しみを訴えているのです。「子どもたちが気軽に手に取って読んでくれて、何か一つでも得てもらえたら漫画家冥利(みょうり)に尽きる」と言っていました。漫画だけでなく、映画を作り、講演にも行き、平和の大切さを訴え続けました。真の平和を思うからです。
八年前、広島の川をテーマに被爆者の思いを詩に書き残しました。「広島 愛の川」です。二人でよく平和記念公園まで散歩に行きましたが、その途中、主人は平和大橋の中央で立ち止まって「川は多くの被爆者の悲しみなんだ」と川面をじっと見つめていました。やけどが熱くて水を求めて川に飛び込み、命を落とした被爆者の姿が目に焼き付いていたのでしょう。
それでもこの詩は柔らかな優しい言葉が並び、「ゲン」の激しさはありません。「男女が恋をして結婚をして、子どもが生まれて、その子に平和を語り継ぐ物語なんだ」と話していました。主人が年を重ねたこともありますが、加藤登紀子さんの歌う詩を聴きながら、主人は優しい人だったのだ、とあらためて思っています。
(中沢啓治さんの妻)
小出裕章先生:米国は、いざとなれば、日本を核兵器保有国にして、防波堤にしようとしている。
テレビに出られない芸人、松元ヒロとは?
(ラジオフォーラム#83)
http://youtu.be/oqWz9U2l2Dw?t=15m31s
15分31秒~第83回小出裕章ジャーナル
関電の歴代総理ヤミ献金スクープと日米原子力協定について「政治家はひたすら核兵器を持ちたい、電力会社はとにかく金儲けをしたい、少しぐらい危険でも、過疎地に押し付けておけばいいだろうとやってきた訳です」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no83/
西谷文和:
先日、朝日新聞のスクープがありまして、関西電力が元副社長の内藤千百里(ちもり)さんという、91歳の方なんですが、この方が証言されて、歴代総理に2千万円もの闇献金をしていたという記事が出たんですが、この記事を先生も読まれて、まずどういうふうにご感想持たれましたですか?
小出さん:
「原子力発電所なんて、安全だとは一度も思ったことがなかった」と、ご自分でおっしゃってるわけだし、そう思いながらも政治家に金を渡して、原子力を進めてきてしまった張本人のひとりだったわけですね。それが福島第一原子力発電所の事故を目の当たりにして、やはり発言をしようと決意をしたということで、まっとうな方だと思います。
西谷:
私もそう感じました。91歳にして、述べ69時間のインタビューに答えられて、そして、実名で歴代総理の名前も挙げて、中曽根総理大臣、竹下総理大臣に献金をしたということなんですよね。この中曽根さん竹下さん、1987年88年頃の総理大臣なんですが、この時に、日米原子力協定が改定されてるんですよね?
小出さん:
そうですね。もともとは、55年に一番初めのが出来て、68年に改定されたものができて、20年経った88年に、今現在発効している日米原子力協定が作られました。
西谷:
はい。この協定読みますと、第5条に「核燃料の再処理ができる」とあるんですよね。それから第6条に「日米政府はウランの濃縮を20パーセントまで認める」とありまして、さらに、「日米が同意すれば20パーセント以上の濃縮も可能だ」というふうに書かれてるのですが、これは、小出さん、明らかに核兵器を造ろうと思えば造ろうということでしょうか?
小出さん:
そうです。もともとウランという物質は、地球上にあるわけですけれども、そのウランの中には、核分裂する能力を持ったウランと核分裂する能力を持っていない、いわゆる役立たずのウランの2種類がありまして。
西谷:
ウラン235とウラン238ですかね?
小出さん:
そうです。おっしゃる通りです。核分裂する能力を持ってる235の方は、全体の0.7パーセントしかないのです。
西谷:
天然ウランには、それしか入っていないということですよね?
小出さん:
そうです。ですから、その火を点けることすらが難しいということで、現在、日本で使っている原子力発電所の場合には、ウラン235を0.7パーセントから4パーセントあるいは、5パーセントぐらいまで濃縮して、ようやくにして原子炉の中で燃やしているのです。
西谷:
ウラン濃縮工場があって、そこで濃縮作業をしないと使えないということですね?
小出さん:
そういうことです。はい。ただし、もし原爆等を作ろうとするのであれば、4パーセント、5パーセント等というのでもやはりダメだと。核分裂性のウランが90パーセントぐらいは欲しいということで、もっともっと濃縮ということをやらなければいけないわけです。
ただし、濃縮工場というものを作ってしまえば、その運用というものはどうでもできますので、4パーセント、5パーセントの濃縮工場を造ってしまえば、もちろん20パーセントの濃縮ウランを造ることも可能ですし、運用によっては、90パーセントの濃縮ウランを造ることも可能なのです。
西谷:
ということは、これは北朝鮮とかイランから見ますと、もう既に日本は20パーセント以上の濃縮可能だという協定を結んでおれば、なんで私達だけが責められるんだという、こういうことも言えますよね?
小出さん:
もちろんそうです。ですから、イランはもともと自分達がやってるのは原子力の平和利用なのであって、「自分の国で研究用の原子炉を動かす。そのためには20パーセントの濃縮ウランが必要だからやってるだけだ」と始めから一貫してそう言っているのですね。
それは、いわゆる主権国家として当然の権利なのであって、誰からも妨害される言われはないと言ってるわけで、私はもちろんその通りだと思います。ただし、4パーセントであろうと20パーセントであろうと、濃縮ウランを作る能力を持ってしまえば、90パーセントのウランを作ることも出来てしまうという、技術というものは、そういう物なわけですから、米国あるいはヨーロッパから見れば、イランという国にはそんなものを持たせたくないという、そういう国際政治上の力学で、今イランが非難されているわけです。日本は米国の属国なわけですから、米国としては「日本はまあいいよ」と言ってるという、そういうことです。
西谷:
この90パーセント程度のウラン濃縮というのは、これは広島型の原爆ができるということですね?
小出さん:
そういうことです。
西谷:
再処理ができるということが第5条であるんですけど、これは再処理してプルトニウムを取り出すことができるということですね?
小出さん:
おっしゃる通りです。原爆には2種類ありまして、広島に落とされた、ウランで造られていた原爆と、長崎に落とされた、プルトニウムという物質で造られていた原爆の2種類があるのです。
日本はすでに、広島型の原爆を作るための濃縮技術というものを懐に入れてしまっていますし、あとは、米国の同意さえあれば、いくらでもできてしまうという状態まで、今来ているわけです。
そして、長崎の原爆プルトニウムという物質を造ろうとすれば、まずは原子炉を動かして、プルトニウムを、自然界には全くありませんので、プルトニウムを造らなければいけない。でも、作っただけでは原爆の材料にはなりませんので、原子炉の使用済み燃料の中からプルトニウムを取り出すという作業がどうしても必要になるのです。
それが再処理という技術なのであって、米国は他の国には絶対に再処理を認めないという政策で来ましたし。
西谷:
そうですね。韓国にも認めさせませんね。
小出さん:
そうです。一切、他の国には認めないと。いわゆる、核兵器保有国5カ国だけはもういいんだと。それ以外の国には再処理は認めないということでやってきたのですけれども、日本だけは「お前は子分だから、まあ認めてやるよ」と「原子力協定を結べよ」ということで、今現在まで来ているわけです。
西谷:
簡単に言えばですね、5条で再処理ということは、これは「長崎型の原爆を作ってもいいよ」ということで、6条で「ウラン濃縮してもいい」ということで、「広島型原爆を造ってもいいよ」ということでしょうか?
小出さん:
そうです、米国としては一応、原子力協定というものを結んで、日本というものを自分の属国の下に縛り付けておくということをやっているわけです。いざとなれば、それを解き放って日本を核兵器保有国にして、また中国なり何なりの防波堤に使おうと思ってるのだと思います。
西谷:
ということは、政治家達は核兵器を持ちたい。関西電力や東京電力は原子力で儲けたい。この両者の野合で、癒着で進められて、そして福島みたいなことが起こったと、 こういうことでしょうか?
小出さん:
はい、おっしゃる通りです。政治家がひたすら核兵器を持てる力を持ちたいと思ってきたわけですし、電力会社を含めて、原子力に群がった産業は「とにかく金儲けをしたい」と、両者が集まって、とにかく原子力を進める。
「少しぐらい危険でも、過疎地に押し付けておけばいいだろう」ということでやってきたわけですけれども、残念ながら福島第一原子力発電所で、ほんとに恐れていた事故が起きてしまったのですね。
内藤さんご自身はそれで反省して、今のような証言をするようになってるわけですけれども、ほとんど誰一人として責任を取っていないわけです。
西谷:
そうですね。
小出さん:
もう正義の大犯罪だと私は思いますし、責任者を必ず処罰したいと願います。
西谷:
戦争でも責任を取らない。原発事故でも責任を取らない国だということですね。
小出さん:
そういうことです。
西谷:
はい、先生今日はどうもありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。
2014/02/03 米国からのプルトニウム返還要求「明らかな政治的メッセージ」~岩上安身による京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123411
アメリカ政権の脅威認識と核抑止政策
―核兵器廃絶のカギ・アメリカの変化の可能性を探る―
浅井基文(広島平和研究所所長)
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/publication/journal/documents/11_p01.pdf
20110816
自民党_石破茂_政調会長_原発わたしはこう思う
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=jpchan17&prgid=43388899&ref=baidujp
自民党 石破茂 政調会長(54)
「…安全神話みたいなものを…政治的には作り出さざるを得ない状況だったのではないですかね。政治は結果責任ですから、責任は自民党が相当程度負わねばならないわけです。きちんと検証することなく、電力会社、経産省、そういうことを、あえて言えば鵜呑みにしてきた責任は免れないことだと思います」
原子力政策を推進してきた自民党。今回の事故について石破氏は自民党にも責任はあると言う。その上で、やはり原発は必要だと言う。
「原発のウェートを減らしていきながら、再生可能エネルギーのウェートを高めていくという方向性に異存はありません。ですけども、原発をなくすべきということを目標とするやり方には賛成してはおりません。原子力発電というのがそもそも、原子力潜水艦から始まったものですのでね。日本以外のすべての国は、原子力政策というのは核政策とセットなわけですね。ですけども、日本は核を持つべきだと私は思っておりません。しかし同時に、日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れると。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。なぜならば、日本の周りはロシアであり、中国であり、北朝鮮であり、そしてアメリカ合衆国であり、同盟国でるか否かを捨象して言えば、核保有国が日本の周りを取り囲んでおり、そして弾道ミサイルの技術をすべての国が持っていることは決して忘れるべきではありません」
3.11の前後で何か変わりましたか?
「原発に限らず、この世の中に絶対というものはあり得ないことを、よくみんな認識したんだと思います。日本って絶対神話というのが流行りますよね。戦艦大和は絶対沈まないだとか、日本は神の国なので絶対負けないとかね。だけど、突き詰めた議論なしに絶対神話を作る日本の悪癖、あるいは、議論を突き詰めずに、仕方がないじゃないかとか、やむを得ないじゃないかとか、そういう物事の決め方。それは決して、いい結果をもたらすことはありませんよね。日本人はもっと突き詰めてモノを考えるべきだし、そうでなければ、結果は決して幸せにならないということだと思います」
(`・ω・´)
「核の不使用」共同声明、日本の署名拒否について。 2013.04.25
http://youtu.be/NoqVd7SJ5Jc
United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium
http://www.dcbureau.org/201204097128/national-security-news-service/united-states-circumvented-laws-to-help-japan-accumulate-tons-of-plutonium.html
原爆の日 核の非人道性訴えよう(08/06)
(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/555337.html
広島はきょう8月6日、長崎は9日、69回目の原爆の日を迎える。米軍は1945年、両都市に原爆を投下し、この年の末までに計21万人が亡くなった。
人類が忘れてはならない大切な日だ。平和への誓いを新たに一日も早く核廃絶を実現させたい。
国際社会では近年、核兵器の非人道性が議論され、非合法化を目指す動きも出ている。だが核拡散防止条約(NPT)が核保有を限定した米ロ英仏中5カ国の対応は後ろ向きで、両者の溝は深い。
原爆投下70年の来年、5年に1度のNPT再検討会議が開かれる。日本は非核国と核保有国の橋渡し役を務め、成果を出したい。
広島市の松井一実市長は平和宣言で、オバマ米大統領ら核保有国の首脳に被爆地訪問を要請し、信頼と対話による新たな安全保障体制の構築を求める。
前回のNPT再検討会議は「核使用がもたらす壊滅的な人道上の結果への深い懸念」を表明した。
その後、国際社会は4度にわたり、核兵器の非人道性を訴える共同声明を出し、署名国は125カ国まで広がった。この流れを非合法化への取り組みにつなげたい。
問題はNPTが誠実な核軍縮交渉を課す核保有国の行動だ。
ロシアは、核を放棄したウクライナの領土保全について米国、英国とともに確約したブダペスト覚書を破り、クリミアを編入した。
中国は核兵器を増強させていることが軍の文書で分かった。
いずれも非核や核軍縮を否定する行為で言語道断である。
「核なき世界」を訴えるオバマ大統領の責任はいよいよ重い。
米政府も核兵器の非人道性に言及するようになった。口先だけでないのなら、今年12月にウィーンで開かれる核兵器の人道的影響に関する国際会議に参加し、核軍縮への行動を加速させるべきだ。
一方、日本は昨秋、4度目の「非人道性」声明にようやく参加した。米国の「核の傘」に依存する安全保障政策と合致しないとの理由で署名を避けてきたことに国内外から批判が強まったからだ。
核抑止論が是認される限り、核廃絶など不可能である。核なき安全保障の展望を描くべきだ。その前提が戦争放棄をうたった憲法9条であるのは言うまでもない。
被爆国の日本は悲惨な東京電力福島第1原発事故も起こした。
政府は原発の再稼働や輸出に突き進んでいるが、事故は全く収束していない。核廃絶と脱原発の動きを連携させることが大切だ。
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~
http://dai.ly/xj2tqa
1953年、米ソで水爆開発が進む中、アイゼンハワー政権は、原子力平
和利用を促進することで軍縮が実現できるとして、同盟諸国に原子力情報
の公開と濃縮ウランの供給を提案した。その裏には、ソ連に対抗して西側
の結束を図ろうとする意図があった。
番組では、日米原子力協定の締結に至る過程に焦点をあて、原子力導入
の舞台裏における米ソの主導権争いと、民間から進められた原子力受け入
れの世論作りの全ぼうを明らかにする。
http://blog.goo.ne.jp/shirakabatakesen/e/58c7694b079f0e534e0375495aea6610
読売新聞の柴田秀利と正力松太郎とアメリカ政府の使者・ダニエル・ワトソンによる「毒をもって毒を制する」という心理作戦の全貌が明らかにされています。
米ソ冷戦を背景にしたアメリカの水爆実験(第五福竜丸の被爆)への批判―日本人の「核」への拒絶感情を消すための作戦が、「原子力の安全利用=原発の推進」(毒をもって毒を制する)でした。
国会議員となった正力松太郎(警察官僚・A級戦犯・アメリカCIAとの深い関係・読売新聞社主・日本テレビ初代社長)は、原子力委員会の初代委員長になります。懐刀の柴田秀利と共に、読売新聞と日本テレビを使って「毒をもって毒を制する」大キャンペーンを展開し、アメリカ政府の意向(対ソビエト戦略―同盟国に濃縮ウランを提供して原発をつくらせる)を実現したのでした。
関西電力元副社長:内藤千百里氏の証言
http://youtu.be/lfJLeWsvIMA
2014 7 28【青木理】関西電力、歴代首相に年2000万円献金(朝日新聞)!!関電の元副社長が証言。1972年から18年間、献金。「原資はすべて電気料金」!!
http://youtu.be/7D2ZgqjimwU
原発安全神話 2011/03/29
http://youtu.be/ZpbWmejc63Y
出口なき使用済み核燃料処理 くすぶる「モンゴル最終処分場」構想
(東京新聞【こちら特報部】)2014年8月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014080502000146.html
政府は原発再稼働に向けて躍起だが、ここで思い出しておかねばならないことがある。原発は「トイレのないマンション」というたとえだ。再稼働しても、使用済み核燃料の処分はめどが立たない。それゆえ、政府は空想でしかない「核燃料サイクル」をいまも掲げ続けている。もうひとつ、海外に押し付けるという疑惑も消えていない。「モンゴルの処分施設」構想は、いまだにくすぶっている。
(上田千秋、榊原崇仁)
再稼働に躍起だが 原発ごみの問題がある
「(モンゴルでの)処分施設の建設計画が消えたとは思えない。くすぶっていると考えるのが自然だ」
同国の事情に詳しい大阪大の今岡良子准教授(遊牧地域論)はそう語る。
福島原発事故後の2011年5月、同国に使用済み核燃料の国際的な貯蔵・処分施設をつくる計画が進んでいることが、毎日新聞の報道で明るみに出た。
モンゴルからウランを原発導入国に輸出し、使用後の処理も担う「包括的燃料サービス(CFS)」構想の一環で、計画は米国と日本が主導。両国にとっては自国で行き先が決まっていない使用済み核燃料が処分できるうえ、モンゴルに施設ができれば、各国への原発輸出がやりやすくなるというもくろみがあった。
日本政府は非公式の意見交換を認めたが、モンゴル側は全面否定した。バトボルド首相は「外国の核廃棄物は受け入れない」と発言した。エルベグドルジ大統領も国連総会で「モンゴルに核燃料を搬入させてはならない」と演説した。
だが、今岡准教授は「2人の発言の対象は、モンゴル産ではないウランの廃棄物について。処分施設建設はビジネスとしてメリットがあるし、原発建設を考えている政府の方針にも合っている」と推察する。
同国は20年までに実験炉をつくり、原発を本格導入する意向を持つ。今岡准教授は、モンゴル側にCFSの見返りとして、日米両国から原発技術を得たいという思惑があるとみる。
実際、モンゴル政府が12年5月に明らかにした17年度までの投資計画の中には「放射性廃棄物の保管、加工、埋蔵施設建設」という項目があり、金額も明記されていた。
「それだけではない。モンゴル政府が福島事故後、国際原子力機関(IAEA)に出した文書には『ウラン採掘から核燃料サイクルまで、すべてのステージにチャレンジする』と書かれている」(今岡准教授)
昨年10月、一つの動きがあった。フランスの原子力大手アレバと、モンゴル国営の原子力企業モンアトムが、同国東部でのウラン鉱山開発で合意した。日本の三菱商事も09年以来、モンゴルでのアレバ子会社の株式34%を将来保有する約束で、この鉱山の調査費用を一部負担していた。
モンゴルのウラン埋蔵量は、推定で世界最大級の140万~150万トン。1980年代までは、旧ソ連が採掘していたが、その後は停滞。今後は活発になっていくと予測されている。
今岡准教授は「ウラン採掘が続けば、残土の処理問題が浮上してくる。どうせその処理をするなら、使用済み核燃料も受け入れればいい、といった話になりかねない」と懸念する。
「核燃サイクル」アジア分担?
海外押し付け 倫理的に許されぬ
使用済み核燃料は、日本国内ではあふれかえっている。電気事業連合会によれば、国内の原発に貯蔵されている使用済み核燃料は計1万4370トンで、すでに総容量の7割が埋まっている。青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場でも、占有率は98%に達した。各地で再稼働が始まれば、すぐにいっぱいになりかねない。
だが、最終処分場の確保はめどが立っていない。福島原発事故で膨大な量の放射性廃棄物も出ているが、それを運び込む中間貯蔵施設の建設すら見通せない。
そうしたアキレスけんは政府も自覚している。このため、4月に閣議決定したエネルギー基本計画でも、使用済み核燃料の減量と低毒化を図る切り札として核燃料サイクルを示した。
そこには、もうひとつの狙いがある。日本が米国と結ぶ原子力協定では、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す権利が保障されている。核兵器を持たない国では唯一だ。日本がこの協定を維持するためには、核燃サイクルにしがみつくしかない。
核廃棄物の処分に詳しい神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)は「日米原子力協定は2018年に期限を迎える。核燃サイクルに消極的と判断されれば、今後、再処理の権利が認められない可能性がある。日本政府はそれを絶対に避けたいはずだ」と語る。
「原発推進派が再処理の権利にこだわる理由は、核のごみ問題の解決のみではない。原子力に関連した最先端の技術開発が進められなくなるほか、核兵器開発の道が閉ざされるという危機感があるのではないか」
しかし、核燃サイクル構想は瀕死(ひんし)の状態だ。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す六ケ所村の再処理工場、プルトニウムを燃料にしながら増やす高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)がカギになるが、ともにトラブル続きで満足に稼働していない。
くすぶってはいるが、確定していないモンゴルへの核廃棄物「輸出」。そしてモノにならない核燃料サイクル構想。そうした状況下、元日本原子力学会長の田中知(さとる)・東京大教授が9月から原子力規制委員会の委員に就任することになった。
明治大の勝田忠広准教授(原子力政策)は「田中氏は核燃料サイクルの旗振り役を担ってきた人物。原発の運転を規制するというより、原発再稼働や核燃サイクル推進に向けた人事と見られかねない」と話す。
田中氏は経済産業省総合資源エネルギー調査会の原子力部会長を務めた。この部会が06年8月に発表した「原子力立国計画」という報告書には核燃料サイクル推進のほか、老朽原発を高速増殖炉に建て替えていく方針が記されている。
もんじゅを所管する文部科学省でも、原子力科学技術委員会の主査に就いた。委員会の作業部会は高速増殖炉研究の継続を盛り込んだ研究計画をつくった。
さらに文科省の助成事業で、田中氏らが昨年3月にまとめた報告書では、ウラン濃縮や再処理、貯蔵といった役割をアジア各国で分担して核燃料サイクルを進める案を提示している。
アジア各国には、日本もモンゴルも入る。モンゴルの核問題について研究する清泉女学院大の芝山豊教授(文化共生学)は「遠いどこかに邪魔なものを押しつける発想は、倫理的に許されない。モンゴルには広大な土地があるといっても、遊牧民たちが暮らしを営む場所だ」とくぎを刺す。
「いずれにせよ、原発を動かせばごみは増える。いつか貯蔵場所もなくなり、収拾がつかなくなる」
田中氏起用の真意はどうあれ、「トイレのないマンション」という現実は変わっていない。再稼働はその一点で無謀でしかない。
【日米原子力協定】
核燃料の調達や再処理、原子力の技術の導入などに関する日米間の取り決め。濃縮ウランを提供する米国が日本を規制できる仕組みになっている。1955年に締結し、日本に再処理の権利を認めた現協定は88年に結ばれた。有効期限は30年。2018年に更新期を迎える。
続・菅官房長官発言を考える 「川内原発同型は審査簡略可能」なのか
(東京新聞【こちら特報部】)2014年8月6日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014080602000147.html
「川内(せんだい)原発と同型炉なら審査の効率化は可能じゃないですか」。菅義偉官房長官が、原発再稼働に向けた原子力規制委員会の適合審査をめぐり、そう発言した。地震想定や津波対策など、原発ごとに課題はさまざまなのに、あまりに安全を軽視している。「国民が安全保障に臆病だから」という暴言もあった。再び、菅発言を考えてみた。
(三沢典丈、白名正和)
再稼働の既成化狙い
「審査の簡略化などできるはずがない」。脱原発を目指す市民団体「たんぽぽ舎」(東京都千代田区)の柳田真代表は真っ向から否定した。
菅氏の発言は先月31日。自民党の電力安定供給推進議員連盟とのやりとりで出たもので、菅氏自身が記者会見でこう説明した。
「川内原発の審査は、新規制で初めてのこと。その後の審査で、川内原発と同じ型の炉であれば、審査のノウハウを活用してですね、審査の効率化というのは可能じゃないですかと、そういうことは申し上げました」
規制委は先月16日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、新規制基準の「適合」を認めた。川内原発のほか11原発17基が審査を申請中。そのうち5原発10基が、川内原発と同じ加圧水型の原子炉で、他は福島第一原発と同じ沸騰水型だ。
しかし、同型でも、柳田氏は「加圧水型原子炉はオーダーメードで、それぞれ別のもの。さらに、想定される地震の規模も異なる」と指摘した。各電力会社が審査を申請する際に耐震設計の目安とした地震の揺れ(基準地震動)は、川内原発の620ガルに対し、関西電力高浜原発は700ガル、四国電力伊方原発は620ガル。「車検で、一台の車両が合格すれば、同じ車種の車両の検査を半分に省略できるようにするもの。許されない」
「菅氏の発言は、早く原発の審査を終えたいという本音なのでしょう」。規制委に対しても、「本来、『審査をなんだと思っているんだ』と苦言を呈すべきなのに、なぜ黙っているのか」と批判した。
実は、川内原発の審査も全ては終わっていない。終わったのは全体像を示した「原子炉設置変更許可」だけだ。この変更許可を基に各機器の耐震設計を見直した「工事計画」と、運転・事故時の人員態勢などをまとめた「保安規定」は今も修正を続けている。
特に、工事計画の書類は1号機が5000ページ、2号機が4000ページと膨大で、修正が終わる時期は「現状では分からない」(九電の広報担当)。規制委への書類提出は9月以降になりそうで、その後の審査に1カ月、機器検査に1~2カ月を見込むと、再稼働できるとしても、今秋どころか年末がやっとの状況だという。
「反原発・かごしまネット」(鹿児島市)の向原祥隆(むこはらよしたか)事務局長は「上流のダムを一つ決壊させれば、下流のダムも次々と決壊するということなのでしょう。だが、川内が終わる前から、次の原発の再稼働を考えているとは、あきれてものも言えない」と話す。
立地自治体の薩摩川内市が再稼働容認の姿勢を見せる一方、隣接のいちき串木野市は過半数の市民が反対署名をし、30キロ圏内の姶良(あいら)市議会が廃炉決議をするなど、鹿児島県内でも脱原発の活動は続いている。「川内はまだまだ終わっていません」(向原氏)
原発ごとに条件異なる
「政府と電力業界には原発を次々と再稼働させ、原発の稼働を既成事実化したいという考えがあり、その流れで今回の菅官房長官の発言も出たのではないか」。発言の背景について、慶応大の金子勝教授はこう分析した。
確かに、安倍晋三首相は再稼働に前向きの発言をしている。規制委が川内原発について事実上の「適合」判断をした2日後の先月18日、九州の財界関係者から早期の再稼働を求められ、安倍首相は「川内は何とかする」と答えた。
電気事業連合会(電事連)の八木誠会長(関西電力社長)も同じ日、記者会見で「(川内原発の)審査書案がひな型となり、ほかの原発の効率的な審査につながる」と発言した。菅氏の発言を超え、川内原発以外の全ての原発の適合審査を簡略化できるという趣旨に取れる。
脱原発弁護団全国連絡会の海渡雄一弁護士は「原発ごとに地震の大きさ、津波の影響も変わる。老朽化の具合も違う。それぞれの原発の事情を考慮することなく審査を簡略化するようなことは、あってはならない」と、菅氏の発言を批判した。
適合審査には直接関係しないが、政府は原発事故時の避難計画などのきめ細かい配慮も求められるが、菅氏の発言からは伝わってこない。
川内原発の半径30キロ圏内の避難計画では、避難経路の確保について十分な説明はされていない。事故時の風向きによって逃げる方向が変わるという住民からの指摘にもこたえていない。
原発事故で放射性ヨウ素が飛散した際、甲状腺被ばくを防ぐための安定ヨウ素剤の市民への配布も、各原発で事情が異なる。鹿児島県と薩摩川内市は先月27日、規制委の指針に基づいて川内原発から5キロ圏内に住む3歳以上に配布した。全国初の試みだが、受け取ったのは約2400人。対象者約4700人の半分強にとどまっている。
中部電力浜岡原発では、安定ヨウ素剤配布の対象者は5万人で、全員への配布は川内原発以上に困難だ。北海道電力泊原発では、5キロ圏内の共和町が事前配布せず避難時に配る方針を取っている。
元東芝の原発設計技術者で、科学技術のあり方を考えるNPO法人「APAST(アパスト)」理事長の後藤政志氏は、「原発に航空機が衝突しても炉心が生きているという前提で、新規制基準は考えられている。基準自体に問題は多く、適合しても全然安全ではない」と話す。
規制委の田中俊一委員長も先月16日の記者会見で、「安全審査でなく、基準の適合性を審査した。安全だということは私は申し上げませんと、国会でも答えてきた」などと話した。つまり、菅氏の「安全軽視」の姿勢は根本的に誤っているというわけだ。
それにしても、菅氏は先月28日に集団的自衛権の行使容認をめぐって「国民が安全保障に臆病」と発言し、物議を醸したばかりだ。手堅いイメージがあったのに、「問題発言」が続いた理由について、エコノミストの紺谷典子氏はこう分析した。
「安倍首相の影響で、『自分たちが正しい』『思った通りにやろう』という考えが広まり、かつ強まっているため発言が続くのではないか。政権のおごりという面もある。今後、問題とされる発言が続いても、私は驚かない」
九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198252311&Mode=0
お母ちゃんよかったね…かわいい時に死ねて…(;ω;) 戦争というものがいかにくだらないか
今日(8月15日)は終戦の日ですね。
安倍内閣による集団的自衛権行使容認の閣議決定がされた元で初の終戦の日です。
このことは極めて重大です。
映像の世紀 世界は地獄を見た
http://youtu.be/m09KiEncdfc
第5集 世界は地獄を見た 簡易まとめ
http://eizounoseiki.blog.fc2.com/blog-entry-6.html
火垂るの墓
http://youtu.be/TOklYtiEYts
http://youtu.be/Nb123I1B59o
『LIFE誌』(1937年10月4日号)に掲載。1937年の上海事変(第二次)の上海南駅爆撃直後に撮られた写真である。
The Battle of China (1944)
http://youtu.be/TIkrgOmsbVY
戦争というものがいかにくだらないか
インタビュー 「八月十五日の会」代表理事 漫画家
森田 拳次さん
特集 戦争と平和を考える 「私の八月十五日」
(全国商工新聞)2014年8月11日
安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定するなど、今年69回目となる終戦の日は、戦争か平和かがかつてなく鋭く問われる中で迎えます。あの戦争は何だったのか、戦後日本の原点とは-。漫画家たちが1945年8月15日のその日、その時、何を考え、何をしていたかを絵と文章でつづった『私の八月十五日』は、戦争の愚かさと平和の尊さを読む者に投げ掛けています。「八月十五日の会」代表理事で漫画家の森田拳次さん(75)にインタビューしました。
漫画家ら111人が迎えた終戦の日の記憶一冊に
胸打つ作品の数々
-漫画家たちに「私の八月十五日」を描いてもらったきっかけは
森田:最初に、戦後50年(1995年)の舂、私をはじめ中国から引き揚げてきた12人の漫画家で「中国引揚げ漫画家の会」を立ち上げ、『中国からの引揚げ 少年たちの記憶』という画文集を出しました。赤塚不二夫、ちばてつや、北見けんいち…中国(旧・満州)から引き揚げてきた漫
画家は意外と多い。赤塚さんとちばさんは4歳違いでしたが、奉天(現・瀋陽)で同じ小学校でした。仲間同士で酒はよく飲むけど、誰も、一言も中国のこ
とは言わない。何年もジーッと待っていたが、誰も言わないから、「やろう」つて言いたしました。
昭和20年当時、僕は6歳で小学1年。ほかの連中も同じ年頃でしたが、中には上田トシコさん(08年没)のように28歳の大人もいた。彼女が日本に帰る時、駅で父親か捕まった。父親は[シンドラーのリスト]みたいに日本人を2000人近く助けたが、それがバレて捕まって2日後に銃殺…。だから、彼女は仲間に入るのはやぶさかではないが、中国には行かないということで参加してくれました。
-03年8月、大田区民ホールで「私の八月十五日」展を初めて開催されましたが、どういう経緯で開いたのですか
森田:『中国からの引揚げ』という本を作っているとき、昭和20年8月15日、内地にいて後に漫画家になった連中は、どんな終戦日を迎えたのだろう、と興味が出できました。大田区長が後援し、新聞でも取り上げてもらい、3000人以上が入場し、翌年7月には『私の八月十五日』という本を出版しました。
個人的にショックだったのは、黒い眼鏡を掛け、白杖を持っている盲目の女性が、景色かメーンのどなたかの作品を見て泣いていたんですよ。笑われる漫画を目標に描いてきたのに、それほどショックを与えるのかと驚きました。健常者が絵の説明をしていたのですが、かつて見た中国の空でも思い出していたのでしょうか…。
-海老名香葉子さん(作家)たちも文章を寄せていますね
森田:あの日、中国で兵隊だった、やなせたかしさんをはじめ、70人近くの漫画家たちの作品が集まったのかな。そのうち、絵は描けないけど…と、海老名さんのように、いろんな体験をした人か文章を書き、漫画家が絵を付ける作品も生まれました。高倉健さんには会ったこともないのに、手紙を出したら文章を書いてくれて。恐れ多くて僕は絵を描けなかったので、ちばさんに頼んで絵を付けてもらいました。高倉さんの分は、本の出版に間に合わなかったのが残念ですか。
-印象深い作品は
森田:面白いのは、小島貞二さんの「連載漫画寅さん」(6面右下)。鉱業会社の社員で、終戦のひと月前に兵隊に動員され、南方のセレベス島(現・インドネシアのスラウェシ島)で捕虜となり、46年5月に帰還するまで収容所の壁新聞に描いていた4こま漫画で、四角じゃなく、丸顔の寅さん。
この人の運命がすごくて、漫画家になりたくて上京するんだけど、身長が182センチもあって相撲部屋に入れられちゃう。相撲で出世しないうちに、召集令状が来て、捕虜になって「寅さん」を描いたのですが、大体、戦争に行くのに紙と絵の具を持って行く人も珍しい。戦後その原稿が見つかり、絵の具は銀座・鳩居堂のもので、小島さんは鳩居堂に行って「お宅の黄色はこんなに良く出るし、落ちない」と持ち上げたら、鳰居堂が感動して「額装を全部やらせてくれ」と言ったとか。世間的に漫画家とは認められていないけど、僕は絵がすっかり気に入って「『私の八月十五日』という本に掲載させてくれないか」と電話した示島さんは「それはありかたい」と言ってくれたのですが、「1点だけじゃダメだ。載せるなら全部じゃなきやダメだ」と。僕が「原則1人1点だから」と言うと「考えさせてくれ」と返事して、その3~4日後に亡くなってしまった。仕方がないから作品を全部掲載しました。
後日、息子さんが 「親父は死んで、やっと漫画家になれた」とお礼に来たのですか、息子さんも182センチを超える大男。
大下健一さんの「旗の茶碗にタンクの水」という作品(6面占が、僕は一番胸が痛いですね。妹かいるんだけど、栄養失調で死んでしまう。「妹よ、三途の川は渡ったか」つてね…。当時、栄養失調で死ぬ人か多くて、赤塚さんの生後6ヵ月の妹も、奉天から母親の実家のある奈良に引
き揚げた直後に死んじゃった。赤塚さんは「母ちゃん、良かったね。かわいい時に死んで。これ以上、苦労しなくて済む」と言ったそうですか、彼はその時何かがプツンと切れて「これでいいのだ!」(没法子(めーふぁおずー)、中国語で「しょうかない」の意)になった。その子は「綾子」という名前で、帰国前にジフテリアで死んだ赤塚さんのすぐ下の妹の名前を継いでいたんですね。赤塚さんは「もう1回同じ名前を付けたけど、また死んじゃった」と話していましたか、そういう体験もあって、あんな神経が切れたような性格になってしまった…僕もなんだか分かりますね。
-ご自身の「八月十五日」は、「記憶の奥の奉天」(下)ですね
森田:奉天の市街地の大通りにいました。中国の人が大勢いて、日本の兵隊さんが縛られて、馬車の荷台に乗せられ、むちで打たれ、石を投げられて、血が出て。日本兵の銃殺を見たのは、この少し後かな…。
玉音放送を聞いて、日本が負けたらしい、ということは子どもながらに分かりました。みんな泣いていたし、これからどうなるんだろうとは考えた。日本に帰ると、赤鬼、青鬼、つまりアメリカ兵が子どもを頭からポリポリ食べるといううわさもありました。
-日本に帰って来て、どうでしたか
森田:僕の場合、生まれて3ヵ月で満州に行ったから、あまり「帰って来た」という実感は湧かなかった。中国と比べて、緑の多い国だなと思いました。日本に着いて、貨車に乗って、東京の目白に向かったのですが、途中、左手に”50年、ペンペン草も生えなにい”とうわさされた、がれきの場所を通った記憶かある。原爆か投下された広島のことで、僕は舞鶴港に帰って来たとズーッと思っていたのですか、舞鶴だとつじつまが合わない。厚生労働省に乗員名簿を調べてもらって、山口県の仙崎と判明して謎が解けました。
100年後の夢描いて
-秘密保護法の強行採決や、集団的自衛権の行使容認など、安倍首相はいつか来た道を歩もうとしています
森田:どこまで突っ走るつもりなのかね…。先日の滋賀県知事選で自民・公明が推した候補か敗れて、見ている人は見ているから、ある程度暴走は食い止めていると思いますが、ポイントーオブーノーリターン(航空用語で帰還不能点)、もう後には戻れない状態に突っ込もうとしている。とうなんてすかね、憲法の解釈次第で戦争かできる、というのは。僕は戦争を体験したといっても子どもでしたか、いまだに親を探している人もいるくらいですから…。
『私の八月十五日』という本は、「戦争反対」をメッセージに描いてくれ、とは誰にも頼んでいない。昭和20年のその日に何歳で、どこにいて、何を考えていたか-その三つだけをお願いしました。だけど、まとまると、いかに戦争がくだらないものか、ということがよく分かる。『ゴルゴ13』のさいとう・たかをさんの作品(6面左下)じゃないけど、―日にして戦争推進の思想や価値観はひっくり返り、戦争か愚行だと分かったんだから。
「私の八月十五日」展は2000年以降、あの日まだ生まれていなかった若い漫画家にも参加してもらおうと、「100年後の八月十五日」をテーマに作品を募っています。20~30代の若い漫画家や中国の漫画家が参加してくれました。手塚治虫さんが携帯電話や薄型テレビをマンガに描いたのは昭和20年代で、大体60年で実現した。だから、「100年後の八月十五日」まで50年近くあれば、夢が描
けるだろうとハッパをかけました。すると、娘がロボットを家に連れて来て、「結婚していい?」と聞かれた親が困ってしまった、なんていう作品が集まりました。でも、ないとは言いきれない。
「100年後の八月十五日」も「平和な日本」であってほしいIそんな若手漫画家たちの思いをくみ取ってもらえたら、うれしいですね。
「戦争する国」の真実
しんぶん赤旗日曜版2014年8月10・17日合併号
今年の8月15日は69回目の終戦記念日。安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したという、重大ななかで迎えています。「戦争する国」とはどういう国なのか。元日本軍兵士に戦場の残忍さを、歴史学者に歴史の教訓を聞きました。
本吉真希記者
「邦人保護」は戦争開始の常とう句
私たちは現代の危うさを捉える″嗅覚”を身につけることが重要です。時代が急速に動いていくときの雰囲気や空気を、歴史や体験者の証言、記録から学ぶ必要があります。
「軍の独走を許してはならない」というのが保守・革新問わず、あの戦争から学んだ大きな教訓の一つです。そのため「シビリアンコントロール」(文民統制)という考え方が戦後、定着しました。ところがこのところ、この教訓に背く危険な事態が現れています。
いま自衛隊の運用は、防衛大臣の補佐機関である文民の内局を通じて行っています。それを自衛隊の制服組トップの統合幕僚長に一元化するという動きが出てきています。シビリアンコントロールの原則が揺らぎ始めています。
そういうなかで集団的自衛権が発動されると、何が起こるか。歴史を振り返ると、それがみえてきます。
十五年戦争の発端となったのが1931年の「満州事変」です。これは旧陸軍の関東軍が南満州鉄道を爆破し、これを中国軍の仕業だとして引き起こした謀略から始まりました。
37年に慮溝橋事件が起きると「日本人居留民の保護」=「自衛」を囗実に中国への侵略を拡大していきました。
自衛を口実にした背景には、パリ不戦条約(28年)などの国際法の発展があります。第1次世界大戦後、国際紛争を解決する手段として軍事力の行使に訴えることは違法となりましたが、唯一の例外が「自衛のための戦争」だったからです。
安倍晋三首相は閣議決定後の記者会見で「海外にいる日本人の命を守るため」と強調していますが、これは戦争を始めるときの常とう句です。
歴史や証言を学ぶことで、直接体験していなくても戦場のリアルな現実を想像することはできます。「自分がその立場にいたら」と想像することが、集団的自衛権を考える出発点になると思います。
◇
集団的自衛権を発動すれば、自衛隊員が実際の戦場に出動する可能性が高まります。僕らと同じ生身の人間である隊員が苛酷な戦場の現実に耐えられるのでしょうか。
冷戦後の戦争は、単事大国が途上国や小国に一方的に介入する「対テロ戦争」の形をとり、その多くは市街戦のような戦闘です。数メートルから十数メートルの至近距離で敵と命のやりとり
をする。そんな状況に兵士は置かれます。
しかも小銃主体の戦闘では、頭や心臓以外に被弾すると絶命までに8秒ほどかかり、反撃されることがある。そのため、間髪いれずに再度撃ち、さらにもう一発、頭か心臓を撃ち抜き、とどめを刺す。自衛隊はこうした訓練をすでに始めているようです。
対テロ戦争で米英軍には深刻なPTSD(心的外傷後ストレス障害)が大量に生じました。イラクやアフガンに派兵された自衛隊員の自殺率も高く、戦闘になれば戦争神経症が多発する懸念も出ています。
かつての戦争では旧軍の若い兵士が多数、戦死しました(別項)。現在の格差社会では若者にとって、自衛隊への志願は有力な職業選択の一つです。
安倍首相は自衛隊の最高司令官ですが、国民的合意なしに解釈改憲だけで、そういう若者を殺し殺される現実の戦場に投げ込もうとするのは、あまりにも無責任です。
指揮官は捕虜を”地雷探知機”に使った
少年捕虜を銃剣訓練の「標的」に
101歳の元日本兵、絵鳩毅さん=神奈川県=。日中戦争で中国人の命を奪いました。「安倍内閣をこのまま存続させたら、やがて若い者がわれわれと同じ目に遭う」と危機感を募らせす。
教師をしていた絵鳩さん。1941年7月に召集され翌年、中国へ派兵されました。
中国山東省を占領した第111大隊に所属。最初は大隊本部の治安係助手を命じられ、終戦間際は初年兵教育の助教を務めました。当時32歳。45年6月ごろのことです。
炎暑のなか、大隊は山東省城陽から100キロ余りの行軍を開始。ほどなくして食糧を積んだロバが地雷を踏み、はらわたを引きずりながら狂奔。その後、畑を歩いていた兵隊も地霜の犠牲になりました。八路軍(中国共産党の軍隊)が、おびただしい数の地雷を仕掛けていたからです。
部隊の指揮官は「苦力(クーリー)」に目をつけました。軍の資材を運ぷために強制連行した中国人のことです。「指揮官は苦力を行軍の先頭、横一線にずらりと並べ、後ろから銃剣を手にした監視兵が追い立てた。”人間地雷探知機”にしたのです」。4、5人の中国人が地雷で吹き飛ばされました。
◆
目的地で初年兵を待っていたのは捕虜の「実的刺突」でした。殺し合う場面で抵抗なく人殺しができるよう、生身の人間で″訓練”をしたのです。
6月12日、雲一つない晴天でした。絵鳩さんはこの日を忘れることができません。
広い畑地に4本の柱が立てられ、それぞれの後ろには深い穴が掘られていました。4人の捕虜は懇願しました。「私たちは農民です。助けてほしい」と。そのなかの15、16歳の少年が絵鳩さんにすがりつくように泣いて訴えました。「たった一人の母が私の帰りを待っています。家に帰してください」
絵鳩さんにも自分の帰りを待ちわびる母がいました。「少年の叫びが私の心に痛く突き刺さった。しかし大隊長の命令が頭をよぎり、反射的にその願いを無視せざるを得なかった」
農民らは柱に縛り付けられ「生きた標的」にさせられました。絵鳩さんは初年兵に「前方にいる者はすべて敵だ。必ず突き殺せ」と命令しました。
「突っ込め!」。教官の号令に、初年兵は銃剣を構えて突進したものの、よろめいて倒れる者や捕虜を前に立ち止まってしまう者が続出しました。「誰だって人殺しは恐ろしいのです」
◆
戦後、シベリアに捕虜として5年間、その後、中国に戦犯として6年間、抑留された絵鳩さん。56年、不起訴処分となり帰国しました。43歳でした。
絵鳩さんは安倍政権打倒で、国民や一致する政党が力を合わせることを切に望みます。
「若いみなさんには前車の轍(てつ)を踏まないでほしい。そのためにも過去の戦争の実態を知り、平和憲法を守り抜く政権を樹立してください」
中国兵捕虜を刺殺する日本兵
NHKスペシャル「戦場の軍法会議 処刑された日本兵」
軍紀を守るために厳罰を科すことを求めた軍上層部の意向で、本来なら死刑にならない罪でも兵士を処刑した
http://v.youku.com/v_show/id_XNDQzNjk3ODM2.html
67年前の太平洋戦争末期、フィリピンやニューギニアなどの南方戦線で補給が断たれた日本軍に“異常事態”が起きていた。飢えに苦しみ、食糧を求めてジャングルをさまよった日本兵たちが、部隊を勝手に離れたとして「逃亡罪」で次々に拘束され、処刑されたのだ。しかし、当時の記録は、ほとんどが軍によって焼却されたため、その詳細は今まで明らかになってこなかった。
今回NHKでは、その内実に迫る貴重な資料を入手した。戦場で開かれた特設の「軍法会議」で兵士たちを実際に裁いた軍の元法務官が、密かに残した内部文書と14時間に及ぶインタビュー・テープである。兵士たちは、なぜ処刑されたのか。そこで語られていた元法務官の証言は、衝撃的だ。
軍紀を守るために厳罰を科し“見せしめ”を求めた軍上層部の意向で、本来なら死刑にならない罪でも兵士を処刑した、というのである。「法の番人」であるはずだった法務官たちは、なぜ、軍の上層部に抵抗し続けることができなかったのか。戦場で行われた軍法会議の実態を、ひとりの法務官の軌跡を追うことで明らかにし、戦争の罪を見つめる。
日刊ゲンダイ2014年8月11日
NHK・さかのぼり日本史 昭和 とめられなかった戦争
第1回 「敗戦への道」
http://v.youku.com/v_show/id_XMjc5OTA2NzI4.html
昭和になってからも、なぜ日本は、満州事変・日中戦争・太平洋戦争と戦争を拡大・長期化させたのでしょうか。
第1次世界大戦に勝利した日本は、来るべき米ソとの戦争に備え準備を進めますが、軍部統制・外交戦略の誤算や戦局の見込み違いで、世界から孤立します。
世界の動きを見誤り、戦争に突き進んだ激動の昭和を、歴史学者・加藤陽子氏とともにたどります。
第1回は、1941年の日米開戦から1945年の敗戦に至る道です。
日本人はなぜ戦争へと向かったのか
第4回 「開戦・リーダー達の迷走」
http://dai.ly/x1x0qaq
なぜ日本は無謀な戦争への道を選択したのか。太平洋戦争70年の年に問いかける大型シリーズ。最終回は、いよいよ開戦を決定した1941年をとりあげる。
今回見つかった当事者たちの戦後の証言テープからは、驚くべきリーダーたちの実態が明らかになった。
日本の国策決定の場は、全ての組織の代表者が対等な権限を持つ集団指導体制で、全会一致が建前。常に、曖昧で、玉虫色の決定が繰り返された。
各組織のリーダーたちは、戦争に勝ち目がないことを知りつつも、戦争できないと言うことが自らの組織に不利益を与えると考え、言い出すことができない。
海軍、企画院、陸軍、首相、それぞれが互いに責任を押しつけ合い、重大案件は先送りとなっていく。しかし、日米交渉が暗礁に乗り上げ、妥結の見通しがみえない中、首脳部は、国力判断、すなわち国家の生産力・戦争遂行能力のデータを総動員して、譲歩か、戦争かの合議を行う。
結論は、各組織の自壊を招く「戦争回避」より、3年間の時間を稼ぐことのできる「開戦」の方に運命を賭ける。
日本のリーダーたちは、国家の大局的な視野に立つことなく、組織利害の調整に終始し、最後まで勇気をもった決断を下すことはなかったのである。
戦争の加害責任から目をそらすな
(東京新聞【こちら特報部】)2014年8月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014080802000164.html
安倍晋三首相は、昨年八月十五日の全国戦没者追悼式の式辞で、歴代の首相が踏襲してきたアジア諸国への加害責任に触れなかった。その後も、首相の靖国神社参拝や集団的自衛権の行使容認の閣議決定などが続き、首相の好戦的な振る舞いはいよいよ露骨である。このまま「いつか来た道」を突き進んでいいのか。六十九回目の「終戦の日」を前に、加害責任と向き合い続ける人たちに会いに行った。
(篠ケ瀬祐司、三沢典丈)
「9条の誓いは未来を先取り」
立川の議諭市民と広島へ「学びの旅」
広島原爆の日から一夜明けた七日、フィールドワーク「いまにつながるヒロシマの学びの旅」一行の約三十人が、広島市安佐北区の「護憲の碑」を訪れた。正面に「護憲」の二文字、裏には憲法九条全文が刻まれている。被爆詩人・栗原貞子さん(一九一三~二〇〇五年)の墓の横にある。栗原さんの長女が九一年に建てた。
フィールドワークを企画したのは、元高校教諭の竹内良男さん(六五)=東京都立川市=である。約三十年前、自校の修学旅行を機に原爆について学び直し、以来、何度も広島に足を運んでは被爆者らの証言に耳を傾けてきた。今は、原爆関連資料を保管・公開する民間の「八王子 平和・原爆資料館」(東京都八王子市)の運営を手伝っている。
竹内さんは昨年、苦労して「護憲の碑」を探し当てた。安倍政権下で改憲が現実味を帯びている。「多くの人に碑を知ってほしい。護憲は古い考え方ではない。九条は未来を先取りしている」。そんな思いで参加者を募った。
護憲とともに伝えたかったのが、戦争の加害責任だ。フィールドワーク用の地図の裏表紙には、栗原さんの代表作「ヒロシマというとき」を刷り込んだ。軍都広島が、アジアの人々にとっては加害者でもあったことを真正面から見すえた詩だ。
〈ヒロシマ〉といえば/〈ああヒロシマ〉と/やさしいこたえがかえって来るためには/わたしたちは/わたしたちの汚れた手を/きよめねばならない
一行は「護憲の碑」のを描いた栗原さんの名作「生ましめんかな」の碑に足を延ばしたりした。
竹内さんは「なぜ戦争が起きたか、戦争で何か行われたか。詩が指摘するように、世界の人々が日本をどう思っているのか。そうした見たくないものも見てこその不戦の誓いでなければならない」と力説する。
竹内さんの思いは参加者に響いたようだ。
立川市の加藤倫子さん(四七)は「戦争は被害を受けるだけではないことを、被爆地・広島の詩人が指摘したことがすばらしい。集団的自衛権の行使容認で再び、自分たちが加害者になりかねない。そうならないように何かできるかを考えたい」と話す。
松山大三年の植松治郎さん(二二)も大いに刺激を受けた。「『護憲の碑』に強い意志を感じた。被害者であり加害者とは一見矛盾している。世界で戦争がなくならない。ではどうしたらい
いか、平和はどうしたら続くのか。これまでならさじを投げるようなテーマだけれど、何もせずにいたら、戦前と同じになってしまうかもしれないですよね」
「目を背けでは平和語れない」
歴史をねじ曲げる安倍政権に危機感
神戸市内の私立高校で長く社会科を教えた高原脩さん(七五)=兵庫県加古川市=は、生徒の一言が忘れられない。「日本は被害者よりも前に加害者やったんやね」。約三十年前、日本史の授業で太平洋戦争について取り上げたときのことである。
戦中生まれで空襲を経験し、戦争を嫌悪する気持ちは強かった。広島の原爆被害を伝える会とも交流してきた。だが、もっぱら関心は被害者としての日本だった。「戦争に対する自分の理解の深め方が足りなかった」。忙しい日常業務の合間を縫って加害責任について調べ始めた。
定年間近の一九九三年からは、問題意識を共有する友人らと一緒に、旧日本軍の戦地を訪ねる旅に出た。フィリピンでは住民が寄ってきて「これが日本兵から受けた傷だよ」と額を指さした。加害責任が胸に迫った。
二〇〇二年には、「戦争責任を心に刻む会」を立ち上げた。ニカ月に一度の例会は六月で七十一回を数えた。元日本兵や旧満州開拓団のメンバーに当時の体験を語ってもらい、それを冊子にまとめる。部数は今、二百部まで増えた。
加害責任は軍だけにあるのではない。「日中戦争では、南京陥落を祝って東京で四十万もの市民がちょうちん行列を繰り広げた。国家に乗せられた国民にも責任はある」
安倍政権の「戦争する国」路線に危機感を抱く。「加害の問題を抜きにして平和については語れないし、中国、韓国とも本当の意味の和解はできない。大河の一滴でも何かの力になると信じて活動を続けたい」
最後にもう一人、周辺事態法など日米防衛協力の新しい指針(ガイドライン)関連法や、国旗国歌法が審議された九九年以降、可能な限り国会傍聴を続ける西川重則さん(八六)=東京都国
立市=を紹介したい。
四五年九月十五日、西川さんは香川県の実家で、当時二十四歳だった兄がビルマ(現ミャンマー)で戦病死したとの連絡を受けた。
「健康だった兄が、なぜ戦争が終わって1ヵ月もたって戦病死しなければいけないのか」。強い疑問から平和運動に身を投じた。政治家の靖国神社参拝に反対する戦没者遺族らでつくる「平和遺族会全国連絡会」代表や、靖国訴訟などにかかわる「政教分離の会」事務局長などを務める。
「われわれは被害者であり、アジアへの加害者でもある。歴史を直視することが重要だ」と声を上げ続ける。十五日、連絡会は都内で集会を開く。西川さんは「安倍内閣と私たちの課題」と題して話す予定だ。
「日本は戦争でアジアに何をしたのか。それを正確に伝え、国民が歴史の事実を共有しなければならないのに、『自衛のための戦争だった』と考える政治家が増えた。安倍政権は憲法を改悪し、戦争ができる国にしようとしている。戦後六十九年の今は、戦争が始まった一九三〇年代と似てきてはいまいか」
加害責任を直視する市井の人たち。戦争責任問題に詳しい山田朗・明治大教授(日本近現代史)は「さまざまなレベルで粘り強く続いており、大いに評価すべきだ」とエールを送った上で、加害責任に疑問を呈するような「歴史修正主義」の跋扈(ばっこ)に警鐘を鳴らす。
「戦争の後半はやられっぱなしで被害者意識は残っている。その一方で加害者意識は薄れている。ましてや現在は日中関係が悪いため、加害の歴史が一層語られにくくなっている。安倍政権の歴史修正主義的な動きに対抗するためにも、市民一人一人が、もっと加害責任について考えてみる必要がある」
日本人はなぜ戦争へと向かったのか
第3回 “熱狂”はこうして作られた
http://dai.ly/x1abojh
「坂の上の雲」の時代に世界の表舞台に躍り出た日本が、なぜわずかの間に世界の趨勢から脱落し、太平洋戦争への道を進むようになるのか。開戦70年の年に問いかける大型シリーズの第3回。
日本が戦争へと突き進む中で、新聞やラジオはどのような役割を果たしたのか。新聞記者やメディア対策にあたった軍幹部が戦後、開戦に至る時代を振り返った大量の肉声テープが残されていた。
そこには、世界大恐慌で部数を減らした新聞が満州事変で拡販競争に転じた実態、次第に紙面を軍の主張に沿うように合わせていく社内の空気、紙面やラジオに影響されてナショナリズムに熱狂していく庶民、そして庶民の支持を得ようと自らの言動を縛られていく政府・軍の幹部たちの様子が赤裸々に語られていた。
時には政府や軍以上に対外強硬論に染まり、戦争への道を進む主役の一つとなった日本を覆った“空気”の正体とは何だったのだろうか。
日本人はなぜ戦争へと向かったのか、の大きな要素と言われてきたメディアと庶民の知られざる側面を、新たな研究と新資料に基づいて探っていく。
中国戦線における日本軍の不許可写真
NHKスペシャル <日本海軍 400時間の証言>
第二回「特攻 “やましき沈黙”」
間違っていると思っていても、口には出せず、組織の空気に個人が飲み込まれていく・・・。
http://v.youku.com/v_show/id_XNDMyMTYxMjEy.html
昭和19年(1944年)10月に始まった「特攻」作戦。人間が兵器と一体化して敵に体当たりする決死の戦法です。この作戦で戦死した将兵は5千人以上、そのほとんどが20代でした。
第2回は、生還の可能性のない「特別攻撃隊」を作った組織の姿に迫ります。
太平洋戦争末期、将兵たちの熱意から生まれたと伝えられてきた「特攻」。しかし、海軍反省会では、それより1年以上前から組織的に計画していた事実が赤裸々に語られます。
戦争とラジオ 第1回 「放送は国民に何を伝えたのか」
http://youtu.be/HXiQctM0sVU
太平洋戦争の時代、ラジオ放送の現場にあった人々は、あるべき放送をどう模索し、何を国民に送り届けていたのだろうか。最近掘り起こされた資料から、それを明らかにすることが初めて可能となった。(番組放送2009年)
戦時中、日本放送出版から刊行されていた月刊誌「放送」及び「放送研究」には、放送の第一線にいた人々の座談会や、各セクションの戦略、主要番組の放送原稿などが採録されている。また、メデイアを統制していた内閣情報局が、出していた「放送しるべ」からは、国家が放送をどうコントロールしようとしていたかを読み取ることができる。
戦時下、ラジオ放送は、国策伝達の手段であることを免れえなかった。新たな資料からは、報道・教養・演芸などの各現場で議論を尽くし、時代の要請を実践してゆく様がありありと浮かび上がってくる。
番組では、雑誌「放送研究」をはじめとする活字資料、わずかに残された音声資料、そして当時、放送業務に携わった人々の証言を立体的に構成し、戦時下ラジオ放送の実像に迫る。
「135枚の証言 遺された戦争ポスター」 2012.10.07
http://dai.ly/xu5q3d
国民の戦意高揚を図った戦争ポスター。多くは焼却されたが、長野県阿智村に当時の村長が後世のためにと135枚を隠していた。半世紀以上経て今年、高校生達が動き始めた。
「魂が眠っている 遺された赤紙」 2012.12.09
http://dai.ly/xvqwk1
長野県大町市の民家の土蔵から、戦時中の召集令状「赤紙」の受領書をはじめとする大量の兵事書類が見つかった。保管していたのは故・大日向正門さん。かつて役場職員として若者たちに「赤紙」を手渡す兵事係りを務めていた。終戦後、大本営は全国に兵事書類の焼却処分を命じた。大日向さんは生前、家族にも書類の存在を隠していた。12月8日の太平洋戦争開戦から71年、『兵事書類』はいま、私たちに何を語ろうとしているのか。
NHK・ETV特集
「戦争は罪悪である ~ある仏教者の名誉回復~」
http://v.youku.com/v_show/id_XMzQ4MzExMDU2.html
日中戦争がはじまった1937(昭和12)年7月、大多数の宗教者が戦争に協力していく中で「戦争は罪悪。この戦争は侵略である」と説き、検挙された僧侶がいた。真宗大谷派の高僧・竹中彰元。警察の追及にも信念を曲げず、本山からも布教使資格のはく奪処分を受けて、1945年にこの世を去った。
長らく忘れられていた彰元の行動が再び脚光を浴びたのは70年近くが過ぎてから。300ページにおよぶ当時の取り調べの記録が寺でひそかに保管されていた。そこには、事件当時の関係者の証言と共に、彰元の信念も赤裸々に記録されていた。地元の人々や多くの宗教者たちの熱心な運動により、去年10月、本山はついに彰元の名誉回復に踏み切る決定を行う。彰元が検挙されて、実に70年ぶりのことだった。
本来「殺生」を禁じた仏教界はなぜ戦争に協力したのか。そして竹中彰元師はいかにして抵抗の信念を貫いたのか。発見された記録や関係者への取材をもとに描き、これまであまり取り上げられなかった「宗教者の戦争責任」について考える。
小出裕章先生:どんな辛い事実であっても、知るべきだし知らせるべきだと思います
フォークソングから、戦争と平和を考える(ラジオフォーラム#84)
http://youtu.be/cDiWry2_0ks?t=3m09s
3分9秒~第84回小出裕章ジャーナル
放射性物質飛散量1兆ベクレルの意味とは?
「一般の人達が1年間にそれ以上とってはいけないというセシウムを700万人分放出したということです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no84/
石井:
今日は、小室等さんにも加わって頂いてお話を進めさせて頂きます。
小室等さん:
一緒に話伺います。宜しくお願いします。
小出さん:
ありがとうございます。宜しくお願いします。
石井:
今日は、東京電力の福島第一原子力発電所で、がれきの撤去作業で飛散した放射性物質が、東京電力の発表ですけれども、「1兆ベクレルを超える放射性物質が、がれきの撤去の作業で飛散した」との推定結果を明らかにしました。このニュースを聞いて、まず小出さんどんなことをお感じになられましたか?
小出さん:
はい。改めて福島第一原子力発電所の事故の過酷さというものを思いました。
石井:
それで、私達はどうしても1兆ベクレルという言葉が、そのすごさが分からないんですよ。
小出さん:
当然でしょうね。
石井:
どう説明したらいんでしょうかねえ。
小出さん:
はい。例えばですが、この1兆ベクレルの主成分はセシウムの137だと私は思いますが、普通の皆さんは、「1年間に1ミリシーベルト以上の被ばくをしてはならない」と法律で決められています。
4 規則第十九条第一項第二号ハ及び第五号ハに規定する線量限度は、実効線量が四月一日を始期とする一年間につき一ミリシーベルトとする。
では、そのためには、セシウム137を呼吸で体の中に取り込むのをどれだけに制限しなければいけないかというと、15万ベクレルです。
それで、今東京電力は1兆1千億ベクレルをこの期間に放出したと言ってるわけですけれども、それは計算して頂けたら、皆さんお分かり頂けると思いますが、700万人分の許容量になります。
ですから、この東京電力ががれきを撤去してるという作業のために、一般の人達が1年間にそれ以上とってはいけないというセシウムを700万人分放出したということです。
石井:
なぜ、これだけ飛散したと。原因は何だと、小出さんはお考えになってらっしゃいますか?
小出さん:
はい。このがれきの撤去というのは、3号機の一番最上階の部分がもの凄く破壊されているのですが、そこの破壊された部分を撤去しない限りは、3号機の使用済み燃料プールというプールの底に沈んでいる超危険な燃料を片付けることすらが出来ないのです。
ですから、なんとしてもこの3号機の破壊された最上階を綺麗に片付けるということは必要なのです。
もちろん東京電力もそのことを十分に認識しているが故に、超危険な作業であったとしてもやらざるを得ないということで、壊れてしまった3号機の最上階という部分を、人為的にまた壊しながら撤去するという作業をしたのです。やむを得ない作業だと思います。
石井:
この発表と同時に、「福島第一原発では、現在も1時間当たり平均で1000万ベクレルの放射性物質が放出されていると見られる」というような事も報道されました。これは、ほんとに素人考えですみません。止める事というのはできないものなんでしょうか?
小出さん:
残念ながらできません。
石井:
何か手立てというのは・・・。
小出さん:
最終的には、今壊れてしまっている原子炉を全て綺麗にどこかに片付けるというやり方か、あるいは、今壊れてしまっている物を、昔、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所でやったように、大きな石棺というような物で完璧に覆ってしまうという、どちらかしかありません。
石井:
あの、建屋カバー全体を覆うというような構想は何か見送られそうですね。
小出さん:
はい。まずは、全体を覆ってしまうと、今現在、使用済み燃料プールの底に眠っている状態の使用済み燃料を片付けることができなくなりますので、何と言っても、まずは使用済み燃料プールの底にある燃料を少しでも危険の少ない場所に移すということは必ずやらなければいけないのです。
今は、まず4号機という、比較的汚染の少ない原子炉建屋から使用済み燃料プールを隣の共用燃料プールという所に移しているのですが、それが今年中に終わるのか、あるいは来年までかかってしまうのかよく分かりません。その上で、1号機、2号機、3号機という所にも使用済み燃料プールがあるわけで、そこから燃料を片付けなければいけないのです。
でも、今聞いて頂いたように、3号機の原子炉建屋をとにかく片付けるというためだけにでも、猛烈な放射性物質を環境にまき散らさなければできないという状態になっているわけです。
1号機もやらなければいけない。2号機もやらなければいけない。
そして、ようやく片付け終わった建屋の中で、使用済み燃料プールから使用済み燃料を移動させるという作業が出来るようになるのですが、それに、また何年かかるか分からないという作業なのです。
それが終わった段階で、初めて既に溶け落ちてしまって、今はどこにあるか分からない燃料を掴み出すことが出来るかどうかということを考え始めるわけですし、それができないなら建屋全体を覆うしかないという選択になるわけです。でも、そんなことを考えることはできる地点まで辿り着くまでに、何年かかるのか分からないという、そういう状態なのです。
小室さん:
つまり、今石井さんが言ったように、僕ら1兆ベクレルがどういうものかも分からないままいるわけですけれども、一番みんなの心配は、もちろん福島に住んでる方も、あるいは海外に住んでる方も、あるいは日本中に住んでいる方も、一体自分達がどのくらい危険な状況にさらされているのかということを実は知らないままどうもいるということですよね?
小出さん:
要するに、国が教えないでいようと決めているわけです。
小室さん:
それで新聞報道等で、うっかりなんか「放射能が放出してしまった」とか「水に流れてしまった」とかと言うんですけれども、どうも小出先生のお話を聞いていると、あれだけの専門家が集まってやってるわけですから、やってることについては、「知らなかった」なんていう方はどうもあり得ない、みんな分かってやっているというふうに思うんですけれどどうでしょうか?
小出さん:
そうです。分かっているけれども打つ手がないのです。
小室さん:
そうすると、僕達つまり一般市民はそれをどのくらい危険かという、そのことは、もし本当に知らされたら青ざめてしまうようなことかもしれなくても、それを一般市民の人達一人ひとりが知った方がいいと思いますか?
小出さん:
私は、必ずそうだと思います。この世界は大変苦悩に満ちているし、不幸性に満ちた世界ですけれども、事実を知るということは何よりも大切なことだと私は思ってきましたので、どんな辛い事実であっても、知るべきだし知らせるべきだと思います。
小室さん:
それでなければ、個人という自分の人生を自分で決めることは出来ないですよね?
小出裕章: そうなのです。事実を知らなければ、自分で判断が出来ませんので、私は、何よりも一人ひとりの個人、今小室さんがおっしゃった個人という存在が何よりも大切だと思いますので、その一人ひとりの個人がきちっと自分の人生を選択できるように、情報を与えるということは必ず必要だと思います。
小室さん:
そのことを政治の世界まで届けるための方法というものを僕が小出先生に伺うのは、もう本当に無責任な話だと思うんですけど、先生はそのこと実践して、自分で出来ることをおやりになってるんだろうと思うんですけれども、まず、一般市民はどうすべきですかね?今、この事を前にして。
小出さん:
よく分かりません。大変申し訳ないけど、私はもう政治には絶望しきってしまっていて、「政治には関わらない」と公言してきました。ただ、福島第一原子力発電所の事故が起きてしまって、大変な苦難が、今現在私の目の前に広がっていますので、その事実を少しでも皆さんに伝えるということだけ、私はやりたいと思っています。
皆さん、お一人お一人に何が出来るか私にはよく分かりませんが、事実から目を背けずに、周りの人にも知らせて頂ければありがたいと思います。
小室さん:
石井さん、僕はね先生の貴重な時間を使って無駄な質問をしてしまったけど、僕ら、小出先生からとにかく情報を、僕らには手に入らない、小出先生であるが故に手に入る情報をたくさん先生からもらうことだなというふうに今思いました。
http://youtu.be/typasj2pCgU
小出さん:
とんでもない。情報は石井さん達がせっせ、せっせと集めて下さってる訳ですし、私はそのデータの意味を皆さんにお伝えする責任があるだろうと思っていますし、むしろ、そんな意味で言えば、小室さんこそが事実に向き合って、小室さんの才能を発揮して、歌で歌って下さるわけですから、大変私は有難いと思っています。
小室さん:
とんでもないです。
石井:
どうも小出さん、今日はありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
小室さん:
ありがとうございました。
怖くなる!知られざる放射能汚染
http://youtu.be/JSxFgOT4wZo
吉川晃司 東京の放射能汚染は危険!自衛策は?
「KIKKAWA KOJI LIVE 2013 SAMURAI ROCK BEGINNING」についても語る!
http://youtu.be/Gi-QLWzH0Zs
フクシマの桃源郷 花見山 放射能測定
http://youtu.be/_8LlHvNtnzM
フクシマの桃源郷と呼ばれる「花見山」。今年は26万人もの観光客が訪れた。除染された広場におかれている、モニタリングポストの数値は、0.27マイクロシーベルト。しかし、花見山の中は、ほとんど除染は行われていない。山の中の放射能を測定してみると、モニタリングポストの「数倍」の数値が測定された・・・。花見山測定の様子を紹介した、短編(5分)のドキュメント映画。
(放射線管理区域)
1.3mSv/3月 ÷ 90日 ÷ 24時間 ≒ 0.602μSv/h
(年間公衆被曝限度)1mSv/年 = 1000μSv/年
÷ 365日 ÷ 24時間 ≒ 0.114μSv/h
除染目標 事実上の緩和 個人線量重視まやかし
(東京新聞【こちら特報部】)2014年8月7日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014080702000138.html
環境省は、福島第一原発事故による放射能汚染の除染で、空間線量で毎時〇・二三マイクロシーベルトとしてきた目標について、個人が浴びる被ばく線量を重視する新たな方針を示した。除染しても目標値を達成できない地域が相次いだために、効率化を優先した事実上の基準緩和だ。住民の不安払拭(ふっしょく)には、ほど遠い。
(榊原崇仁、上田千秋)
正確な計測は困難
「除染目標の緩和は住民の安全確保に逆行した動き。そもそもちゃんとした見直しの根拠があると思えない。数字のごまかしには、絶対だまされない」。福島県伊達市の主婦島明美さん(44)は憤る。
中学生の子ども2人を持つ島さんは、既に自宅の除染をしたが、周辺の空間線量は毎時0.4~0.5マイクロシーベルトまでしか下がっていない。
環境省は、個人線量計を重視した除染の方針を示した。個人線量計を基に調査した被ばく線量で換算すると、年間の追加線量が1ミリシーベルトとなるのは、空間線量で毎時0.3~0.6マイクロシーベルトの場所が多かった。この数値にあてはめれば、「除染は今後不要」と判断されかねない値だ。
環境省の個人線量を重視した方針転換は、住民の感覚とはかなりずれている。住民に個人線量計を常に持ってもらい、一人一人の被ばく線量を正確に把握するのは極めて難しいからだ。
伊達市は2012年7月から1年間、全市民に個人線量計を配って被ばく線量を測定する調査を行った。全人口の約8割に当たる5万2000人余りが協力したことになっている。
高校1年生の女子生徒(15)は「持ち歩くのは面倒くさい」と語る。個人線量計は「首からぶら下げて」と指示されたが、自宅の机の上が定位置だった。女子生徒の被ばく線量を測るというより、机の上の線量を調べていたのが実際のところだ。
別の高校1年の男子生徒(15)は通学用のかばんの中に入れていたが、かばんを持ち歩くのは平日のみで、週末は自宅に置きっ放しになっていた。
「ずっと車の中に置いていた」と話す主婦(73)もいるが、車に乗るのは買い物の時ぐらいだ。
モモ農家の男性(64)は日中、屋外で農作業に汗を流しているが、「個人線量計を首から下げるのは仕事の邪魔になる。だから一日中、家の中に置いていた」と話す。
夫婦2人暮らしの主婦(62)は、自宅の軒下に2人分の個人線量計をぶら下げていたという。
環境省の新たな方針は、同省と福島、郡山、相馬、伊達の4市でまとめた勉強会の中間報告の中で示された。
中間報告では、4市の住民計7万人余りに1カ月~1年の間、個人線量計を持って生活してもらったところ、年間の追加被ばく線量が推計1ミリシーベルトになるのは、空間線量が0.3~0.6マイクロシーベルトの地域に住んでいる住民が多いことが分かったとする。
住民を無視 帰還ありき 「国の本音は無駄金削減」
政府はこれまで、長期の除染目標を、年間追加被ばく線量1ミリシーベルトと規定。一定の生活パターンを想定して1時間当たりの空間線量を算定すると、毎時0.23マイクロシーベルトになることから、これを各自治体が除染目標としてきた。中間報告では「被ばく線量は生活パターンによる差異が大きい。空間線量率に基づく除染による対応のみでは、被ばく線量低減に結び付かない」とし、個人被ばく線量に基づいた除染に転換すべきだとした。
福島市で1日に会見した井上信治環境副大臣は「個人線量を基準とすることで、きめ細かい対応ができる。除染を加速し、復興を進めたい」と強調した。
伊達市の仮設住宅に避難している渡辺計・飯舘村議(56)は「なぜ4市の意向だけで国が動くのか。住民の意向というより、役所の要望にしかすぎない。除染しても線量がなかなか下がらないから、数字のごまかしを国に促したとしか思えない」と切り捨てる。「国も『除染しても無駄』『無駄金は使いたくない』と考えたのだろう。まったくふざけた話だ」
全村避難する飯舘村の住民が抱くのは、単に「いいかげんな除染が横行する」という危惧だけではない。
伊達市の仮設住宅で暮らす村民の女性(60)は「国は除染を無理やり終わらせ、早く帰還させようとしているに違いない。これ以上、除染にも避難にもカネを出したくないというのが本音のはずだ。彼らにとって私たち避難者の意向は二の次、三の次。会議室の中、テーブルの上で都合良く話を進めているだけだ」と怒りを口にした。
中間報告は「毎時0.23マイクロシーベルトは、年間1ミリシーベルトを単純に1時間当たりの空間線量率に置き換えただけで、国が目標として定めた数字ではない。これまで訂正する説明や周知が不足してきた」とも記している。
環境省除染チームの玉谷雄太参事官補佐は「あくまで4市との勉強会の中間報告で、除染や放射線防護に関する知見を示した。誤解されているが、年間1ミリシーベルトという基準を変更する考えはない」と話す。
とはいえ、環境省が、新たな考えを示せば、各市町村とも「0.3~0.6マイクロシーベルト」という数字に引きずられかねない。
国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花(みつたかんな)理事は「これまでの環境規制のあり方を根底から覆す発想だ」と話す。
大気汚染や、工場から排出されるばい煙などの基準を決める際、これまで国や自治体が根拠としてきたのは空間の濃度だ。「個人の管理を前提とした基準など、これまではなかった。個人の責任にするようなやり方が許されるのか」と疑問を呈す。
満田氏は「毎時0.23マイクロシーベルトは最低でも堅持すべきラインだ」と説く。
「その上で土壌汚染の対策や、健康調査をする範囲を広げるかどうかといった点を考える必要がある。そもそも今回の中間報告には、最大のステークホルダー(利害関係者)である住民の意見が反映されていない。住民のためになるとはとても考えられない」
『舞鶴でいきていく?』作家 広瀬 隆さん 2014.08.02
http://youtu.be/1TW4Z2Dcl_s
舞鶴で生きていく?
ー8.2福島の現実をもとに若狭の原発を考える集い in 舞鶴ー
http://www.greenaction-japan.org/modules/wordpress/index.php?p=705
”防災”こそ国民への安全保障! 広島市土石災害によせて・・(´・_・`)
広島で大規模土砂災害、懸命の捜索・救出続く
(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2278744.html
19日から猛烈な雷雨に見舞われた広島市で土砂崩れなどが相次ぎ、警察庁によりますと、これまでに32人が死亡、9人が行方不明となっています。
「災害が起こった上空です。幾筋もの土石流の跡をこちらから確認することができます」(記者)
広島市北部で20日未明に発生した大規模な土砂災害。幾筋にも、まるで裂けたかのように茶色い地肌をのぞかせる山すそ。その先に広がる住宅街は、広範囲にわたって土砂にのみ込まれ、家が倒壊している様子が見てとれます。建物の間を縫うように道路に泥や流木が流れ込み、住民の避難や救助活動を困難にしています。
土砂災害が確認されているのは、安佐南区の山本や八木、緑井、安佐北区の可部など、広島市北部の山間部。広島県は、南から大量の水蒸気が流れ込んで、19日夜から激しい雨となり、20日未明には、線状の雨雲がかかっていたことがレーダーでわかります。
広島市安佐北区の雨量計は、午前3時50分までの1時間に130ミリという猛烈な雨を観測し、気象庁は午前4時前、数年に1度の大雨とされる記録的短時間大雨情報を出しました。土砂災害の被害は広範囲に及び、自衛隊も県の要請に基づいて現場に救助に入りました。車が入ることができず、空からの救助活動も続けられています。
安佐南区山本では午前3時過ぎ、住宅の裏山が崩れ、11歳と2歳の男の子が生き埋めになりました。2人は救出されたものの、その後、死亡しました。
「朝の3時くらいに裏山から崩れた土砂が家に当たって地震みたいに家が揺れた」(周辺住民)
男性の家の中にも、大量の土砂が流れ込んでいました。男性の子どもは亡くなった男の子と仲が良かったといい、男性は男の子たちの家に逃げるよう連絡を入れたといいます。
「もっとはっきりちゃんと逃げてねって『1階に居たらだめよ』とか。そういうのちゃんと明確にはっきり言っとけば良かった。すごく悔しい思い」(周辺住民)
また77歳の女性が土砂に流され、遺体で発見されるなど、複数の住民が犠牲となっています。
「土石流が直撃したとみられる現場です。この一帯の住宅すべてが姿を消してしまっています。そしてあちらの住宅、屋根の上からぺしゃんこにつぶれてしまっています。捜索隊が住人の捜索を今でも続けています」(記者)
土砂や流木、流された家屋の一部や車。それらが消防や自衛隊の行く手を阻み、救助も困難を極めています。
「もう一人おられるんですか?」
「私じゃなくて主人が透析行かなきゃいけないんですよ」(住民)
「家全体が崩れてしまって流されてしまっているお宅もあります。大きな木が根こそぎ倒されて道を塞いでいます」(記者)
(Q.この家はどこにあった?)
「この上、この上。この高台の上にあった家が私の家の玄関を直撃した。窓から出て(逃げた)。玄関はもう全滅した。山に砂防ダムがあったが、それが崩れて一気に流れた」(避難した人)
「土砂崩れが起きた可部の上空に来ています。こちらの住宅街は四方を山で囲まれています。したがって、こちらの山も各所、複数箇所で土砂崩れが起きております」(記者)
安佐北区では、可部東で53歳の消防隊員、政岡則義さんが死亡しました。政岡さんは住民の救出活動中、崩れた土砂に巻き込まれたということです。
「可部東地区の災害現場です。ちょうどあの山の上辺りから崩れ落ちた土砂が家をのみ込み、下の団地にまで流れ込んでいます」(記者)
現場は坂になっていて、障害物も多く、お年寄りらは警察や消防に付き添われながら避難先へと向かっています。
なぜこれほどの土砂崩れが起きたのでしょうか。土砂崩れには主に土の層が崩れる『表層崩壊』と、その下の岩盤が崩れる『深層崩壊』があります。専門家は今回の土砂崩れは、『表層崩壊』の可能性があると分析します。
「今回はこの表層を構成している森林土壌と呼ばれる表土がなだれ下った崩壊現象が起こっているのでは」(国土技術政策総合研究所 國友優 土砂災害研究室長)
また、表層崩壊を引き起こした原因は、この地域の地盤にあると指摘します。
「花こう岩が風化してできたものでできている土壌。比較的、風化しやすくて、もろいといわれている」(国土技術政策総合研究所 國友優 土砂災害研究室長)
今回の被害に政府は・・・
「政府一体となって救命、救助、対応にあたるように指示をいたしました」(安倍首相)
安倍総理は、被災者の救助や避難の支援、被害の拡大防止の徹底などを指示しました。安倍総理はもともと夏休み中で、20日朝は山梨県で、森元総理らとおよそ1時間ゴルフをプレー。それを急きょ中止し、東京に戻りましたが、そもそもゴルフを始めたことに野党各党からは批判の声が上がっています。
未明の住宅街を突然襲った今回の大規模土砂災害で、これまでに死者32人、行方不明者9人に上っています。現場では、今も懸命の救出・救助活動が続けられています。(20日17:57)
広島土砂災害警危険箇所
土砂災害ポータルひろしま より
広島市土砂災害解説 2014-08-20_0710
http://youtu.be/7QGZC1kMnhc
土砂災害とは
(国土交通省 中国地方整備局 太田川河川事務所)
より
「土砂災害」ってなに?
http://www.cgr.mlit.go.jp/ootagawa/sand/west/page1/index02.html
自然災害の中でも、「土砂災害」は大きく3つ、土石流、がけくずれ、地すべりに分けられます。
土砂とは土や砂のことですが、山の土砂がくずれたり、くずれた土砂が雨水や川の水とまじり、わたしたちに襲いかかり、人・家・道路などが被害を受けることが土砂災害です。
土石流とは
大雨などによって、山の岩や土砂が自動車並みの速度で谷を流れ下る現象です。
流木が混ざるとさらに破壊力を増し、人家や橋などを破壊します。
平成11年6月広島市安佐北区で発生した土石流
提供:広島県砂防室
がけくずれとは
大雨や地震などによって、斜面がゆるんで一気に崩れ落ちる現象です。
突然起こるため、被害が人命に及びやすいのが特徴です。
平成11年6月呉市警固屋(けごや)で発生したがけ崩れ
提供:広島県砂防室
地すべりとは
地下水などの影響によって斜面がゆっくりと下方に移動する現象です。
広い範囲にわたって大量の土砂が移動するため、被害が大きくなります。
昭和60年7月長野県地附山(じづきやま)で発生した地すべり
出典:長野県
なぜ日本では「土砂災害」が多いの?
http://www.cgr.mlit.go.jp/ootagawa/sand/west/page1/index03.html
わが国は、四季折々の季節の変化に富み、山や緑、川や海など豊かな自然に恵まれた国です。しかしその一方で、この美しい自然は、時として私たちに災害をもたらす厳しい自然へと姿を変えます。
わが国は、国土の約70%が山地で占められており、大変険しい地形となっています。そのため、川は、もろくて崩れやすい岩や土から出来ている山々を深く削りながら、山の上から海までの短い距離を一気に流れ下ります。
また、世界全体の1割を超える活火山が分布し、大きな地震にも見舞われるなど、地球全体で見れば大変せまい地域のもかかわらず、大きな自然のエネルギーが集中しています。
このような地形や地質などの条件に加えて、梅雨(つゆ)や台風などによりたびたび大雨が降るため、わが国では土砂災害や洪水などの自然災害が発生しやすいのです。
さらには、山を背後に抱えたせまい平地が多くの人々の暮らす場となっており、特に都市部では山を切り開いて開発され、がけのすぐそばや谷の出口にまで住宅地が形成されている例が多く見られます。
このことも、わが国で土砂災害が多いひとつの大きな要因となっており、土砂災害のおそれのある箇所は増え続けています。
世界の川と日本の川の流れの比較
世界の都市と日本の都市の年降水量の比較
山裾まで開発が進む住宅地(広島市安佐南区)
崩壊した山の斜面(広島市安佐南区)
広島県に「土砂災害」が多いのはなぜ?
http://www.cgr.mlit.go.jp/ootagawa/sand/west/page1/index04.html
雨に弱いマサ土
広島県の山地は、主に広島花こう岩といわれている岩石から出来ています。広島花こう岩は、長い間、雨や風にさらされると『マサ土』と呼ばれる砂のような土に変化していきます。この『マサ土』が、水を含むと非常にもろくて崩れやすい性質を持っています。このため、斜面の表面を『マサ土』が広くおおう広島県では、土石流やがけ崩れなどの土砂災害が起こりやすいのです。
筒を人の手で簡単に押し込める程もろいマサ土
マサ土が水によって削られた状況
広島市周辺の地質分布
マサ土地域の災害発生状況
山に迫る住宅地
人口が集中する広島市周辺では、山を切り開いて斜面の直下や谷の出口付近まで住宅が開発されてきました。
山に住宅が開発されてきたことにより、土石流やがけ崩れなどの被害を受けるおそれのある箇所が増えてきました。
宅地化の変遷 山裾まで宅地開発が進んでいるのがわかります(広島市佐伯区)
※この写真は、国土地理院長の承認を得て、同院撮影の空中写真を複製したものです。
(承認番号 平13中複 第217号)
各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域
(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link_dosya_kiken.html
都市化域での豪雨土砂災害
-広島の土砂災害から学ぶ-
広島大学 福岡捷二
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/kyodo/kyodo12/12s-2/pdfile/fukuoka.pdf
大地のパワー!ザ・地すべり&がけ崩れ-災害と対策-
http://youtu.be/bShSbzFtGko
防災は自助、共助、公助が基本と言われるが・・
公助の中心となるべき災害予防予算の低さはどいうことだ?
平成25年版 防災白書 より
平成 26 年度予算決定概要
(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/common/001023013.pdf
主張
大型開発の“膨張”
またバラマキを繰り返すのか
(しんぶん赤旗)2014年1月10日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-10/2014011001_05_1.html
安倍晋三政権が大型開発事業の推進・復活の動きを本格化させています。消費税率を17年ぶりに引き上げる2014年度予算案は、公共事業費を2年連続で増加させ道路、港湾、空港などの建設・整備の予算を大きく上積みしました。“国は財政危機で、社会保障に回すお金がない”と国民に消費税増税を迫っておきながら、大企業やゼネコンのもうけのために不要不急の大型開発に巨額な税金をバラまくことは、まったくスジが通りません。
「強靱化」の始動
一昨年末に政権復帰した安倍政権の2度目の予算となる14年度予算案で、公共事業費は13年度比12・9%増の5兆9千億円余となり、軍事費と並び優遇されました。
中身も大型公共事業への大盤振る舞いの数々です。「1メートル1億円」といわれる東京外郭環状道路(外環道)を含む三大都市圏環状道路などの整備に1681億円も計上しました。船が来ないなど行き詰まりが明らかな「国際コンテナ港湾」(京浜港と阪神港)の機能強化には、昨年より46億円も増額して446億円も投じます。
国民の命と安全を守るために緊急を要する「防災・減災」対策の伸び率の低さと比べると、対照的な手厚さです。しかも「防災」対策には、国民の批判を浴びて民主党政権時に一時凍結された八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の本体工事費を5年ぶりに復活させる費用まで紛れ込ませています。
“公共事業費削減の流れを断ち切れ”と要求してきた日本建設業連合会がただちに歓迎表明したように、安倍政権の姿勢は大企業・ゼネコンの期待に応えたものです。
14年度予算案での大型開発推進・復活の動きは、“序の口”にすぎません。「大企業の国際競争力の強化」を第一に掲げる安倍政権は、大型開発事業を「成長戦略」の大きな柱と位置づけ、「産業インフラの整備」などを大々的にすすめる構えです。昨年12月の臨時国会で成立した国土強靱(きょうじん)化法は、それを強力に推進する仕組みです。
国土強靱化法はもともと政権復帰前の自民党が「10年間で200兆円の公共投資」を実行すると打ち出したものですが、あまりに露骨な大型開発推進の内容に国民の批判が高まったため、「防災・減災等に資する」などを法律名に書き足したものです。しかし、「国際競争力の向上に資する」ことが理念に明記されるなど当初の自民党構想と本質は変わっていません。
同法にもとづき内閣に「国土強靱化推進本部」(本部長・安倍首相)が設置され、5月にも「基本計画」を閣議決定する方針です。政府が音頭をとる「国土強靱化」が呼び水となり、過去にムダと批判され凍結された海峡横断道路計画が復活する動きなどが表面化しています。国の財政をますます危機的にするムダと浪費の拡大を繰り返すのは絶対に許されません。
きめ細かな施策こそ
「強靱化」という大風呂敷を広げ、乱開発をすすめることは防災そのものにも逆行します。
老朽インフラの修復・整備こそ急がれます。自然災害から国民の生命や財産を守るため、建物やライフラインの耐震化、住宅密集地の解消、液状化対策など地域と住民に密着したきめ細かな施策を最優先にすべきです。そこにこそ政治の役割が求められます。
東京新聞【社説】施政方針演説 弱者切り捨てでは困る
2013年3月1日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013030102000137.html
安倍晋三首相による施政方針演説は「自立」に貫かれた。その大事さは理解するが、自立したくてもかなわない弱者にこそ手を差し伸べるのが政治の姿である。基本を忘れてもらっては困る。
この国会二度目の首相演説である。冒頭、福沢諭吉の「学問のすゝめ」から「一身独立して一国独立する」を引き、「誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で自らの運命を切り開く意志を持たない限り、私たちの未来は開けない」と訴えた。
長期の経済低迷と巨額の財政赤字、本格的な少子高齢化社会の到来、東日本大震災と福島第一原発事故による甚大な被害、周辺諸国の日本領域への挑戦など、日本が直面する課題は多く、深刻だ。
それらを克服するにはどうすればよいのか。自立して懸命に生きる人同士が苦楽を共にして助け合う。被災地での支え合いに感銘を受けた首相は、そうした姿こそが「強い日本」復活の原動力になると訴えたかったのだろう。
自立心を持つことも、支え合って生きていくことも大事なことである。それ自体に異存はない。
ただ危惧するのは自立を強調するあまり、自立できない人が置き去りにされてしまうことだ。苦楽を共にできない人が支え合いの輪の外に置かれてしまうことだ。
首相も演説で「どんなに意欲を持っていても、病気や加齢などで思い通りにならない方々がいる」と指摘した。頑張りたくてもかなわない、立場の弱い人々を支えるのが、政治本来の役割である。そのことを忘れてほしくはない。
社会保障と税の「一体」改革は消費税増税だけが決まり、社会保障制度改革は後回しだ。有識者の国民会議は始動したが、議論の遅れも指摘される。社会保障制度は今のままで、消費税増税だけが強行される事態は見たくない。政治の覚悟が問われる場面だ。
社会保障の在り方について、首相は「自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べる」と主張し、民主党は先の党大会で決めた新しい綱領に「個人の自立を尊重しつつ、同時に弱い立場に置かれた人々とともに歩む」と明記した。
ニュアンスの違いはあろうが、個人の自立を重んじ、弱者を支えることでは同じではないか。ならば、社会保障のあるべき姿の議論を急ぎ、夏の参院選前に結論を出し、堂々と国民に問うべきだ。それが政治の責任でもある。
一度入ったら好きな時にチェックアウトは出来ても、根本的に逃れることは決して出来ない…のか?(´・
イーグルス/ホテルカリフォルニア
http://youtu.be/NqaYruye_LA
Hotel California
On a dark desert highway,
Cool wind in my hair,
Warm smell of “colitas”
Rising up through the air,
Up ahead in the distance
I saw a shimmering light,
My head grew heavy and my sight grew dim,
I had to stop for the night.
There she stood in the doorway,
I heard the mission bell
And I was thinkin’ to myself :
“This could be heaven and this could be hell”
Then she lit up a candle,
And she showed me the way,
There were voices down the corridor,
I thought I heard them say
Welcome to the Hotel California,
Such a lovely place,
(Such a lovely place)
Such a lovely face
Plenty of room at the Hotel California,
Any time of year,
(Any time of year)
You can find it here
Her mind is Tiffany-twisted,
She got the Mercedes Bends,
She got a lot of pretty, pretty boys
she calls friends
How they dance in the courtyard,
Sweet summer sweat
Some dance to remember,
Some dance to forget
So I called up the Captain
“Please bring me my wine”
He said, “We haven’t had that spirit here
Since nineteen sixty-nine”
And still those voices are calling from far away,
Wake you up in the middle of the night
Just to hear them say:
Welcome to the Hotel California,
Such a lovely place,
(Such a lovely place)
Such a lovely face
They’re livin’ it up at the Hotel California,
What a nice surprise,
(What a nice surprise)
Bring your alibis
Mirrors on the ceiling,
The pink champagne on ice, and she said:
“We are all just prisoners here,
Of our own device”
And in the master’s chambers
They gathered for the feast,
They stabbed it with their steely knives,
But they just can’t kill the beast
Last thing I remember, I was running for the door,
I had to find the passage back to the place I was before,
“Relax,” said the night man, “We are programmed to receive,
You can check out anytime you like… but you can never leave”
ホテルカリフォルニア
暗い砂漠の高速道路で、涼しい風が髪をなびかせる
コリタスの温かい匂いが、あたりに立ち上ってる
頭を上げて見る彼方に、私は輝く光を見つけた
頭が重くなり、視力がかすんできたので
夜を過さなければならない
彼女が入り口に立っているところで
私は礼拝の鐘を聞いて
そして私は自分自身のことを考えた
「これは天国か、それとも地獄かもしれない」
すると彼女はろうそくを灯し、私に行き先を示した
廊下をおりるとの声がした
私は思った、彼らがこんなふうに言ってのが聞こえたと…
ようこそホテルカリフォルニアへ
なんて素敵な所
なんて素敵な所
なんて素敵な顔
ホテルカリフォルニアの部屋の豊富です
年中無休で
年中無休で
あなたはここで見つけることができます
あなたはここで見つけることができます
彼女の心はティファニーのねじれ
彼女はメルセデスの曲線を持っている
彼女は多くのかわいい、かわいい男の子を持っている
彼女が友人と呼んでいる
彼らは中庭でダンスを踊っている
甘い夏の汗
何人かは思い出すためにダンスを踊る
何人かは忘れるためにダンスを踊る
さて、私はボーイ長(給仕長)を呼んで頼んだ
「ワインを持ってきてください」
彼は言った
「私たちは1969年以来のスピリット(魂)をここには置いていないんです」
そして、まだ彼らの声が遠くから呼んでいる
あなたは夜中に目を覚ます
ほら聞こえるだろ、彼らが言っていることが…
ようこそホテルカリフォルニアへ
なんて素敵な所
なんて素敵な所
なんて素敵な顔
彼らはホテルカリフォルニアで生きてくのさ
なんて素晴らしい驚き
なんて素晴らしい驚き
あなたのアリバイを持ってきて
天井のミラー、
氷の上のピンクシャンパン
そして彼女は言った
「私たちはみんなここの囚人、私たちが作り上げた所」
そしてまた、支配人の部屋に、
彼らは祝宴に集まった
彼らは磨かれたナイフでそれを刺す
でも、彼らは獣を殺すことはできない
私が覚えている最後のこと、
私はドアに向かって走っていた
私は私が前に居た場所への通路を見つけなければならない
「リラックスして」と夜警の男たちは言った、
私たちは補助のための要員です。
あなたは、好きな時にチェックアウトできます、
しかし、あなたは二度と立ち去ることはできません!
GDP大幅減
しんぶん赤旗日曜版2014年8月24日
”日本経済は崖から突き落とされた”-。米経済紙ウォールーストリートージャーナルも指摘する深刻な事態が起きています。消費税大増税で家計消費の落ち込みは戦後最大級。4~6月期の国内総生産(GDP)は年率換算で前期比6・8%減です。消費の現場では…。
北村隆志記者
東京都江東区の砂町銀座商店街。テレビでもよく紹介される都内屈指の元気な商店街の一つです。
総菜屋の3代目・石塚貴之さん(28)は「増税直後よりも今のほうが厳しい。去年より売り上げは1割減だ」とこぼします。
手芸店を営む堀内勝彦さん(61)も「消費税と景気と暑さのトリプルパンチ。お客さんの収入が増えなければ、引き締め気分は続く。政府の『想定内』との見通しは甘すぎる」と語ります。
全国各地で
高知県・高知市商店街振興組合連合会の広末幸彦理事長も嘆きます。
「中心街を外れれば、半分の店がシャッターを閉めた商店街もある。地方には給料を上げられるような大手企業はない。政府は7~9月期以降、持ち直すなんていうが、絶対に無理だ」
長野県岡谷市の三枝(みえだ)路子さん(43)は夫と小中学生の子ども3人の5人家族。中小企業に勤める夫の給料は定昇据え置きの上、夏のボーナスも出ませんでした。
「2月は1万円を切っていた消費税負担が、6月は1万6千円でした。ガソリンの値上がりも痛い。野菜を家で作ったりして節約していますがもう限界。消費税10%なんて生活できません。やめてほしい」
やはり給料が上がらなきやダメ
経済ジャーナリスト
荻原博子さん
国内総生産の大幅マイナスは、日本経済の悪化を数字ではっきりと証明しました。
もともと賃金が増えないのに物価が上がり、実質賃金の減少が続いていました。そこに消費税を増税したのですから、景気が落ち込むのは当然です。
安倍政権は、円安で輸出が増え、大企業の利益が下請けや従業員に回る「トリクルダウン」(したたり落ちる)効果で、家計も潤うと言ってましたよね。例えば自動車大手は海外生産を増やし、為替差益でもうかっています。一方、四輪車の輸出台数は7ヵ月連続で減っています。
親会社はもうかるんだけど、国内の下請け会社には利益が回っていかない。つまり、「トリクルダウン」は起きてないっていうことです。
やはり、給料が上がらなきやダメだって話ですよ。給料を上げる政策を取ることが必要なのに安倍政権は、「残業代ゼロ」とか、もっと賃金を下げる政策を打ち出している。方向が逆です。10%への消費税増税などとんでもありません。
大増税が家計直撃
戦後最大級の落ち込み
実質賃金減に追い打ち
内閣府が13日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報には、衝撃的な数字が並びました。家計消費は戦後最大級の落ち込みとなりました。
実質GDPは前期比でマイナス6・8%(年率、以下同じ)。東日本大震災のとき(6・9
%滅)に匹敵する落ち込みです。
GDPは国内の経済活動の大きさを金額で示します。それが減るということは、それだけ経済活動が縮小するということです。
特にGDPの6割を占める家計消費は、実質19・2%(年率)も減少しました。下落率は前回消費税増税時(1997年4~6月期、13・3%減)を大きく上回り、過去20年で最悪。戦後最悪を記録した第1次石油ショック時(74年1~3月期、20%超の消費減少)に匹敵する戦後最大級の落ち込みです。
家計消費が大幅に減少したことが、GDP全体を大きく押し下げました。
想定内のうそ
安倍政権は「想定内」と繰り返しています。増税前の駆け込み需要で増えたものが増税後に減っただけだという主張です。
しかし、4~6月期の家計消費は、増税前の駆け込み需要があった1~3月期の増加分(8・5%増)を差し引いても、10%以上のマイナス。単なる「反動減」でないことは明らかです。
なぜ、これほど家計消費が落ち込んだのか-。
消費税増税前から、賃金が増えないのに円安で物価が上がり、実質賃金は連続で減少してきました。そこに消費税増税による物価上昇が追い打ちをかけ、実質賃金は4月以降、3%を超える大幅減少を続けています。
賃金が増えた月でも小数点以下の増加率で、物価上昇より1ケタ小さい水準です。首相が強調する「経済の好循環」どころか、実質賃金下落の悪循環が起きているからです。
利益の行方は
アペノミクスの恩恵は大企業と役員・株主に集中しています。昨年度決算で上位500社の利益はほぼ倍加。株主配当や役員報酬は増えましたが、肝心の従業員給与はほとんど増えていません。その一方で内部留保は1年で20兆円も増えています。(図)
大企業の利益が増えても、お金が回るのは役員と株主だけ。あとは内部留保に積み上げられ、労働者の貨金には回らない-。ここにこそ、メスを入れるべき日本経済の最大の病理があります。
海外経済紙も指摘
大企業の内部留保が問題
英経済紙フィナンシャル・タイムズ社説(14日付)は「GDP収縮の最大の理由は消費税増税だ」と指摘。消費税10%への増税をめぐり「安倍首相は、資金力のある企業にもっと財政負担をさせ、家族の負担を軽くする方が賢明かもしれない」とのべています。
税制以外の根本問題として、「企業が日本への信頼を欠き、新規設備投資でなく現金ためこみをしている」と内部留保の問題を取り上げました。
また、「多くの被用者の実質賃金がインフレに追いついていないことが需要を抑えている」問題にも言及。「実質賃金低下を逆転させることが特に重要だ」としています。
◇
米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル社説(13日電子版)は、「日本経済は4~6月期に崖から突き落とされた」と指摘しました。「突き落とされた」と表現したのは、「4月に消費税を5%から8%に引き上げたことがGDPの落ち込みにつながったからだ」とのべています。
息とまりそうな状況
元三菱総合研究所研究理事・顧問
高橋乗宣さん
実質GDP、特に個人消費の減少は、実質賃金の大幅減の反映です。駆け込み需要の反動というのには落ち込みが大きすぎます。
今の日本経済は、人間でいえば「息が止まりそうな」状況です。
企業の設備投資は海外向けが主流です。いまや、海外の生産拠点から商品を供給する構造になっており、日本からの輸出が増える見込みはありません。つまり、消費だけでなく、従来の成長のエンジンが一つもなくなってしまった状況です。
アペノミクスは「異次元の金融緩和」と称し、為替を円安誘導しました。その結果は、ガソリンなどの価格高騰で国民生活を痛めつけただけです。新たな法人税減税を打ち出していますが、法人税を払える黒字企業は日本全体で3割。ごく一部の大企業が恩恵を受けるにすぎません。
こんな状況で消費税を10%にしたら、あの「リーマンーショック」より影響が大きくなるおそれがあります。今回は成長力がみな奪われてしまっているわけで、一時的な「ショック」とは違う。アペノミクスでは、経済が立ち直る見通しは立たないということです。
増税中止と賃上げを
日本共産党副委員長
小池晃さん
今回のGDPの大幅な落ち込みについて、米紙ウォールーストリートージャーナルは社説で「日本経済は崖から突き落とされた」とのべました。
最大の原因は個人消費の急激な冷え込みです。その土台には国民所得の減少があります。約1年前から実質賃金が低下しているのに、過去最大の消費税増税を強行したからです。非常に深刻な事態です。来年10月に、消費税を10%に再増税することなど断じて許されません。増税中止の
決断を求めます。
そして、賃金と雇用を緊急に立て直すことです。270兆円もの大企業の内部留保を今こそ活用し、抜本的な賃上げとともに、労働者派遣法改悪などを撤回し、正規雇用に転換することが必要です。
一体この国はどうなる安倍政権の未来
日刊ゲンダイ2014年8月21日
事故から3年以上も経つのに、福島第1原発の事故収束は、ますます手詰まり感が鮮明になってきた。地下トレンチにたまった高濃度汚染水をせき止めるための「氷のフタ」が、3ヵ月以上経っても凍らない。そうなると、汚染水封じ込めの切り札とされた凍土壁だって実現不可能だ。
凍土壁は、もともと実現性に疑問符がつく対策だったのだが、安倍政権は。やってみないと分からない”と、見切り発車した。それがうまくいかず、東京電力はきのう(19日)、とうとう原子力規制委員会に泣きを入れた。凍結止水を断念し、別の工法を考えるという。320億円もの税金を投じる計画が、「やっぱりダメでした」。政府と東電は、今後どうやって事故を収束させるつもりなのか。それ以前に、収束は可能なのか、もはや完全にお手上げなのか。事故収束は、出口がまったく見えない。
同じことは日銀の金融緩和策にもいえる。異次元緩和に踏み出したはいいが、果たして出口があるのかどうか。
4~6月期のGDPが年率換算で6・8%ものマイナスになったことで、経済専門筋には激震が走った。異次元緩和で景気回復、経済成長によって財政健全化というアベノミクスのもくろみは完全に外れ、異次元緩和の「出口」シナリオを狂わせたからだ。
「日銀関係者から聞いた感触では、昨年4月に日銀の黒田総裁が異次元緩和を発表した時には、きちんと出口戦略を用意していたそうです。ところが、思ったように国内投資は増えなかった。それどころか、円安なのに、海外投資が増える一方。輸出も増えないし、市中に出回るお金
もたいして増えず、実体経済は少しも良くなっていない。誤算に次ぐ誤算で、当初想定していた出口戦略が実行不可能になってしまったのです」(RFSマネジメントーチーフェコノミストの田代秀敏氏)
出口は「言わない」のではなく「ない」
朝日新聞(14日付)の名物コラム「経済気象台」にも、こんなことが書かれていた。
〈金融緩和の成否は、物価目標の達成だけでなく、「出口」を成し遂げられるかどうかで決まる〉〈不思議なのは、日銀が「時期尚早」といまだに出口戦略を明らかにしていないことだ〉〈日銀はこれまで物価目標を掲げ、人々の「期待」に働きかけてきた。しかし、出口に関しては戦略を示さず、市場や国民に「期待」を抱かせないようにしている〉
ドキッとずる指摘ではないか。抑制的な表現ではあるが、異次元緩和の失敗を告発しているのである。黒田総裁は出口を言わないのではなく、言えない。なぜなら、出口が「ない」からだ。
慶大大学院准教授の小幡績氏が言う。
「今の国債市場は日銀が新規発行の7割という大量の国債を買っているから成り立っているわけで、出口に言及した瞬間に国債は暴落しかねません。だから、マーケットを刺激しないよう、黒田日銀は『時期尚早』と言い続けるしかない。出口を探るとすれば、国債の買い入れ量を徐々に減らし、国債保有残高を数年にわたって圧縮していくソフトランディングしかないが、景気の減速で、緩和縮小は難しくなっている。出口を見つけるのは至難の業です」
日銀の資産循環統計を見ると、今年3月末の国債保有残高は過去最高の201兆円。前年比57・2%増と、狂ったようなスピードで買い増していることがわかる。それだけの国債を圧縮しようと思っても、問題は買い手がいないことだ。メガバンクはすでに保有残高を大幅に減らし姶めている。株価維持のため、GPIFの資金も国債から日本株に振り向けられ、購入余力はない。最後は海外投資家頼みなのだが、それは欧州危機の轍を踏むリスクが高まる。日本の財政赤字はギリシヤやスペインの比ではないからだ。
異次元緩和は、出るに出られない袋小路にハマり込んでしまった。
妄想首相が早める破滅のカウントダウン
国債市場の動きを見ても、異次元緩和の限界が顕著になってきた。7月には、短期国債の8ヵ月物や6ヵ月物が業者間で”マイナス金利”で取引され、市場関係者に衝撃を与えた。
金利を払ってでも短期国債を手にするのは、日銀の大量購入で確実に利益が期待できる投資対象だからだ。しかし、日銀が今のペースで国債の買い入れを続けると、あと数年で、市場から国債が枯渇し、国債市場が消滅してしまう。そうなる前に金融機関は保有する国債を売り逃げようとする。買い手が日銀しかいない状態は、禁じられた財政ファイナンスでもあり、国債への信認は失われ、国債暴落、通貨も暴落……。その先はハイパーインフレだ。
前出の田代秀敏氏が言う。
「かといって、緩和を縮ふすれば、金利がハネ上がり、金融機関は立ち行かなくなってしまう。日銀の試算によれば、金利が1%上がっただけで金融機関の保有国債に7兆5000億円もの含み損が発生する。ニッチもサッチもいかない状態です。アベノミクスの楽観論はもはや通用しない。それは日銀もわかっていて、14年度実質成長率の見通しを1月に1・5%から1・4%に引き下げ、4月には1・1%、7月には1・O%と、どんどん下方修正している。とうとう黒田総裁は成長率には触れず、物価上昇率のことしか言わなくなりました。しかし、物価目標達成だけに固執するインフレターゲットは本末転倒。不況とインフレとが同時進行するスタグフレーションを引き起こす懸念が高まるばかりです」
どう転んでも、出口が見えない状況は、イーグルスの代表曲「ホテルーカリフォルニア」を思い起こさせる。
〈出口を求めて走りまわっだ もとの場所に戻る道を見つけなければ〉という歌詞は、こう終わっている。〈受け入れるしかない。チェック・アウトは自由だが、永遠に出ることはできない……〉
まるで黒田総裁の胸の内を歌っているようだ。
中央銀行が債務超過に陥る悪夢
金利上昇による含み損は、日銀自体も直撃する。日銀のもくろみ通り2%の物価目標に達して、金融を引き締めようとすれば、当然、長期金利も2・〇%という水準を意識した数字になってくる。そのうえ、安倍政権が予定通り来年10月に消費税を10%に引き上げると、物価水準は異次元緩和スタート時から9%近くも上昇することになる。金利はあっという間に2・5%、3%とハネ上がっても不思議はない。
日銀は200兆円以上の国債を保有している。仮に2・5%に上がれば、日銀の自己資本(5兆円)を割り込む可能性も出てくる。通貨を発行できる日銀の場合、札をジャンジャン刷れば債務超過に陥ることはないとしても、急速な通貨増刷はハイパーインフレを誘発する。
「安倍首相が本気で経済第一と考えているのなら、人口減社会に適合するように産業構造そのものを変えるしかなかったのに、金融緩和という安易な方法に頼った。しかも、それが間違っていた。おかけで日本経済は深刻な事態に陥っている。一刻も早く方針転換しなければ、本当に後戻りできない地点に達してしまいます。それは半年後かもしれないし、3ヵ月後かもしれない。自分たちの過ちを認めたくないからといって、意固地になっている場合ではありません」(立教大教授・郭洋春氏=経済学)
安倍が妄信して進めてきたアベノミクスが日本経済にもたらしたのは、破滅へのカウントダウンだ。それでもまだ「この道しかない」と言い続ける鉄面皮。本当に救いがたい。「愛国心」だの「日本を取り戻す」だの囗では言うが、やっていることは正反対だ。
資金循環統計(2014年第1四半期速報)
(日本銀行調査統計局)
http://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf
え?家計にこんなにあるの??(・・?
あるところにはあるんですね・・(;^ω^)
「家計の金融資産に関する世論調査」(平成18年)
(金融広報中央委員会)
http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/yoron2006/pdf/yoron06.pdf
「貯蓄なし」世帯 3割の驚愕(゚д゚)!
平成25年 国民生活基礎調査の概況
(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/index.html
トマ・ピケティ氏「21世紀の資本論」 格差拡大の構造警告
(東京新聞【こちら特報部】)2014年8月17日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014081702000126.html
辞書のように分厚い経済専門書が欧米で異例のベストセラーになっている。パリ経済学院のトマ・ピケティ教授(四三)の著書、格差問題や不平等の構造を論じた「21世紀の資本論」だ。原語のフランス語版が昨秋に発売されると経済学の専門家の間で評判となり今春、英訳が出版された。米国での講演には大観衆が集まり、米メディアは「ピケティ現象」と書き立てた。どんな本なのか。
(鈴木伸幸)
「世界共通、資産課税を」
「極めて重要な本だ。それは、私たちの社会や経済学への考え方を根本から変えてしまうだろう」。英訳版の出版と前後して米紙ニューヨークータイムズに掲載されたコラムで、ノーベル経済学賞受賞者でプリンストン大教授のポール・クルーグマン氏は絶賛した。「資本主義は放置すれば格差を拡大させる仕組み」と同書は分析し、富裕層への累進課税を主張していることから「保守層には脅威だ」ともあった。
「資本論」といえば、カール・マルクスが一八六七年にドイツ語で出版した「Das Kapital」が知られる。「現代のマルクス」とも称されるピケティ氏だが欧米メディアの取材には「(マルクスとの比較は)ほとんど意味がない」と話している。「私がデータを集め始めたとき、どんな分析ができるか全く分からなかった。データを見れば、マルクスはもう少し別の考え方をしただろう」
欧米や日本など二十カ国以上を対象に、各国の研究者の協力も得ながら十五年もかけて集めた膨大な税務データを研究の基盤としているという。データを統計学的に分析し、過去二百年以上にわたる「富と所得分配の変遷」を明らかにした。世界的な傾向として。
「資本収益率は経済成長率を常に上回る」という検証は大事なポイントだ。’
資本収益率とは、不動産や株などへの投資によって増えた利益の割合のことで、いわぱ資本家の富の伸び率。検証によると、十九世紀から二十世紀にかけて資本主義国の資本収益率は平均4~5%。一方で経済成長率は1~2%の範囲だった。経済成長率は国民所得の増加率なので、少し粗くかみ砕けば、「資本家の富の伸び率は、労働者の賃金の上昇率を上回り、格差は常に拡大する」ということになる。
ただし、例外的な時期があった。二十世紀前半に起きた二度の世界大戦と大恐慌の時代だ。戦争で軍需産業が活性化する一方、戦闘による資産の破壊、富裕層への課税強化で、格差は縮小した。一九七〇年代以降は、再び格差が拡大する時代に入っている。
もうひとつのポイントは、格差は親から子への資産相続にも影響することだ。ピケティ氏は「世襲資本主義」と表現する。
フランスの文豪バルザックの一八三五年発表の小説「ゴリオ爺さん」で、法律家を目指す若者が、専門職に就くより銀行家の娘と結婚する方が、早く裕福になれると諭された。現代では、そこまで能力主義は否定されないが、何の手も打たないと富はますます偏在し、中間層は結果的に転落し、貧困は貧困を再生産すると、ピケティ氏は警鐘を鳴らす。
社会の不安と合致
第1次大戦前と同傾向 指摘も
ピケティ氏は現在を「第二のベルエポック(良き時代)」と呼んでいる。ベルエポックとはフランス語で、第一次世界大戦前の戦争のない平和な時代。パリでは万博が開催されエッフェル塔が建てられ、米国では大量生産のT型フォードが登場した。だが、格差が社会不安につながり、世界大戦勃発の一因となった。
格差が顕著な米国では、格差は既に大きな社会問題になっている。二〇一一年九月にニューヨークの金融街「ウォール街」で「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」を合言葉に抗議行動が始まった。スローガンの一つは「We are the 99%」。
米国では上位―%の富裕層はより裕福になり、取り残される99%が私たちだ-という主張だ。
経済協力開発機構(OCDE)のデータによると、米国の上位1%の年間所得は、一九八〇年には国民総所得の8%だったが、二〇一二年には20%を占めるまでに増えた。階層の固定化は、才能と努力で出世できるという「アメリカンドリーム」の否定にもつながる。
日本でも第二次世界大戦後、上位1%の年間所得は一貫して伸びていて一二年には全体の9%を占めた。一方で、高度経済成長期に急増した中間層は緩やかに減少しており、貧困層が増えている。ピケティ氏は少子高齢化が深刻な日本では今後、世襲による格差が拡大すると懸念している。
格差解消策としてピケテイ氏は、世界共通の資産への課税を提唱する。富裕層が活用する「タックスヘイブン(租税回避地)」をな
くし、資本を呼び込むための減免税といった措置を世界中で取れなくする。国際的な協調によって課税の抜け穴をなくすことが重要だという。
格差拡大に多くの人々が不安を抱く中、問題点を的確に指摘したことで、「21世紀の資本論」はベストセラーになった。特に米国ではクルーグマン氏のほか、ノーベル経済学賞受賞でコロンビア大教授のジョセフ・スティグリッツ氏ら左派系とされる経済学者が高く評価し、人気に火が付いた。四月に訪米した際の歓迎ぶりを、米紙は「ロックスター並み」と報じた。
保守色が強い英紙フィナンシャルータイムズから、「データの取り方が恣意的だ」という批判もあった。ピケティ氏は必要な部分を修正したが、検証の根幹は揺るがなかった。クルーグマン氏は「データを提示して、ピケティ氏の主張に反論できた経済学者はいない」と断言している。
ピケティ氏の分析で不気味なのは、格差のバロメーターとする資本(富の蓄積)と所得の比率が徐々に第一次世界大戦直前に近づいていることだ。世界全体でみると、一九一〇年に資本は国内総生産(GDP)の七倍だったが、第二次世界大戦直後の五〇年には二倍まで縮小した。それが、最近では再び五倍以上に膨らんでいるのだ。
ピケティ氏は四月のニューヨークの講演会で、資産課税の国際協調を「非現実的」と言う声が強いことを認めつつ、「格差が第一次大戦前の水準まで拡大する可能性はあると思う。不平等が行きすぎると、危険な社会的緊張が生まれてしまう」と警告した。
富の再分配 議論必要
欧米で「21世紀の資本論」がベストセラーとなっていることについて、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は「日本で小林多喜二の「蟹工船(かにこうせん)』が売れたことと似ていると思う。格差や貧困問題が身近となり、将来を見通せない。そんな不安感は先進国に共通していて、特に中間層が意識している」と話す。「日本の場合、高齢者が持つ資産をどうやって若年層の所得に変えていくかが大きな問題で、まだ解決策は見えていない」
経済評論家の山崎元氏は「世界的に格差は、政治が無視できないレベルに拡大している」と指摘する。「問題は富の再分配についての議論が不十分なこと。資本主義は株主総会と同じで出資額に応じて投票権は増えるが、民主主義では1人1票で平等。その意味で、格差問題は民主幸義が試されている。ピケティ氏の分析も参考に、再分配の仕組みについて日本も考えるべきだ」と話した。
蟹工船
小林多喜二
http://www.aozora.gr.jp/cards/000156/files/1465_16805.html
「おい地獄さ行(え)ぐんだで!」
小出裕章先生:残念ながら経験が活かされなかった・・必要な費用を削った
戦争をどう記録し伝えていくか(ラジオフォーラム#86)
http://youtu.be/L1BMxOgDtDk?t=12m28s
12分28秒~第85回小出裕章ジャーナル
日本初の原発死亡事故(美浜原発事故)から10年を迎えて「壊れた時には、配管が腐食と摩耗で、わずか0.4ミリしかなかった。そういう状態だったのです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no85/
石丸次郎:
今からちょうど10年前に起こった重大事故について振り返ります。2004年の8月に福井県にある関西電力美浜原子力発電所で、5人の作業員が死亡するという重大事故があったことを覚えてらっしゃいますでしょうか?
事故からちょうど10年を迎えました。今日は、この日本の原発の事故で初めて死者が出た関西電力美浜原発事故を振り返り、改めて事故の教訓について考えたいと思います。
10年前に、この美浜原発で起こった事故というのは、私の解釈で言えば、簡単に言えば、核エネルギーの熱で沸かした熱湯が通る配管が破裂して、水蒸気と熱水を浴びた作業員が亡くなったという、そういう事故。こういう理解をしてるんですけど、これでよろしいでしょうか?
小出さん:
はい。基本的にはその通りですけれども、ウランが核分裂して、まず水を温めるのですが、この事故が起きた水は、実はその水自身ではなくてですね、2次系と言われているタービンを回した蒸気がまた水に戻って、それが蒸気発生機に送られるという、途中の配管が破れました。
石丸:
当時、小出さんは、この事故を受けてリポートのような物を作っておられるんですけれども、初めての原発における稼働中の死亡事故の報を聞かれた時、そして原因について、だんだん状況が明らかになった時は、どういうふうに感じられましたでしょうか?
小出さん:
まずは、5人の方々が亡くなったのですが、いわゆる関西電力の社員ではなくて、そのひ孫請けという所の方々が犠牲になりました。140度という高温の水が10気圧という圧力がかかった状態で配管の中にあったのですが、その配管が一気に大きく穴が空きまして、大量の高温の水と蒸気が、音速に近いような形で吹き出してきたのです。
それを浴びて、あるいは吸い込んでという事で、ほとんど、たぶん4人の方は一瞬のうちに絶命したと私は思います。残りの1人の方は、全身の9割に火傷を負って重体になっていたのですが、やはり、その後、半月ほど苦しい戦いをした後で、お亡くなりになってしまったという事になりました。まことに苦しい形で命を奪われたんだろうなと、まずは感じました。
そして、その原因が一体何なのかという事をまずは知らなければいけないと思って、私自身も調査を始めたのですが、あまりにも馬鹿げたというかですね。もともとは、1センチもあるような分厚い配管だったわけですけれども、
壊れた時には、もうその配管が腐食と水による機械的な摩耗ということで、わずか0.4ミリというような厚さしかなかった。 それに、全く気が付かない、検査もしないまま、何10年も来ていたという、そういう状態だったのです。
石丸:
やっぱり、これは怠慢、杜撰(ずさん)のために起きた人為事故という他ないですね。
小出さん:
まさに、そうですね。ほんとであれば、キチッとした検査体制を作ってやるべきなのですけれども、検査にお金がかかるという事で、関西電力も検査の費用を次々と削減してきてしまっていました。そのために、キチッとした検査も行わないまま事故に突入してしまったのです。
頭を下げる藤社長の顔をのぞきこみ怒りをぶつける高鳥裕也さんの父、実さん。右は母の千津江さん=10日午後7時50分ごろ、小浜市北塩屋
石丸:
この美浜の事故の教訓というのは、2011年の福島の事故まで活かされていたとお考えですか?
小出さん:
残念ながら活かされていなかったわけですね。検査ということも、どんどんどんどん手を抜く方向に来たわけですし、福島の場合にも、本当だったら事故の時には使わなければいけないようないわゆる、事故時の装置があるのですけれども、そういう装置の点検もしなければ、運転の訓練もしていなかったという事が福島の事故でも起きました。
ですから、今、石丸さんが聞いて頂いたように、「経験が活かされたか?」という問いであれば、「残念ながら活かされなかった」という事になると思います。
石丸:
なるほど。この10年前の事故、2011年の福島の事故があまりにもですね甚大すぎて忘れがちになられかねないんですけれども、考えてみると、10年前すでに関西電力の美浜原発事故で我々が考えなきゃいけない大きな、やっぱり杜撰な管理体制があったっていうこと。これは、忘れてはならないというふうに思います。小出さん、今日はどうもありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
※美浜原子炉の燃料棒をめぐる問題(1)今中哲二・小出裕章
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/100/PDF/Mihama1.pdf
※美浜原子炉の燃料棒をめぐる問題(2)今中哲二・小出裕章
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/100/PDF/Mihama2.pdf
福島の原発訴訟
97年「津波高さ2倍」国、資料提出したが…
大震災級の10メートル津波
「2000年想定あるはず」
東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡2014年8月24日
福島第一原発事故をめぐる損害賠償請求訴訟で、原告が求めてきた津波の高さ想定を2倍に引き上げて分析した資料を、国 が提出した。非常用ポンプの水没などの記載がある。たた、資料は1997年のもので、原告側は「2000年に東日本大震災規模の津波を想定した資料も存在するはず」と、あらためて国に提出を求めている。
(白名正和)
除染や損害賠償を求めて訴えているのは「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟」原告団の約2600人。
この訴訟で、国は先月、上申書と添付資料を提出した。上申書には「電力会社らから提出されたと認められる資料」と説明があり、資料には「平成9年7月25日」の記載がある。
資料の中で「津波」と明記されているのは、「7省庁津波評価に係(かか)わる検討結果(数値解析結果等の2倍値)について」と題した表だ。福島第一原発を意味する「1F」は津波の2倍値が「9.5m」、検討結果は「非常用海水ポンプのモーターが水没する」と記載されている。
1993年の北海道南西沖地震後、97(平成9)年に旧建設省や気象庁など7省庁が津波対策を見直したことと関係する資料のようだ。原告側の馬奈木厳太郎弁護士は「旧通商産業省が津波想定を2倍に引き上げるように電力会社に要請したことを受けての試算ではないか」とみる。
「『太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査』への対応について」という表題の文書もある。この調査も北海道南西沖地震を受けたもので、旧建設省など4省庁による調査の名称だ。文書には、「十分な精度とは言えない検討結果を基に想定しうる最大規模の津波の数値を公表した場合、社会的に大きな混乱が生ずる」「具体的な数値の公表は避けていただきたい」と、電力会社の要望らしい文言が並んでいる。
ただ、この資料を見ただけでは、福島第一原発が受ける被害想定ははっきりしない。「こちら特報部」は法務省に対し、資料内容の説明を求めたが、担当者は「次回期日(の口頭弁論)で必要な範囲で回答を予定している」と回答した。
原告は13年3月の提訴以降、津波の想定高さを2倍に引き上げた資料の提出を国に求め続けてきた。これまで、国は「当時の資料が現存しない」などと主張していたが、先月になって突然、今回の資料を提出した。
しかし、「原告が求めているのは、電力会社らでつくる電気事業連合会(電事連)が00年2月に国に提出した資料だ」と久保木亮介弁護士は言う。
資料が存在する根拠は、国会事故調査委員会報告書の添付資料だ。各原発ごとに、津波の高さ想定を1.2倍、1.5倍、2倍にした表がある。福島第一原発は3想定全てに、海水ポンプモーターが止まり冷却機能に影響が出るという意味の「✕」が付いていた。
表に記載はないが、報告書の本文には、福島第一原発の「1.2倍」は「5.9~6.2メートル」とある。この数値で計算すると、高さは最大10.3メートル。福島第一原発の敷地がある海抜10メートルを上回る。
電事連は「当時の資料が残っていないので分からない」と言うが、久保木弁護士は「国の要請で電事連が想定したのだから、国に報告してなければおかしい」と主張する。馬奈木弁護士は、「今回出てきた97年よりも新しい00年の資料も残っていると考える方が自然だ。国は資料を出すべきだ」と訴えている。
氷のフタが凍らない!
汚染水対策320億円が溶けて消える
日刊ゲンダイ2014年8月22日
川内原発 要援護者の避難計画
また後退 規制庁「5キロ圏」
東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡2014年8月23日
再稼動を急いでいる九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の避難計画で、入院患者や老人施設の入所者など「要援護者」が置き去りになっていることが分かった。国の指針では、30キロ圏での避難計画作成が求められているが、県は要援護者については10キロ圏に限定する方針。原子力規制庁は「5キロ圏」とまで言い出している。
(鈴木伸幸)
再稼動に一番近いとされる川内原発。国の原子力災害対策指針に基づき、同原発から30キロ圏の9市町村は、昨年末までに住民の避難計画を作成した。
ただ、要援護者については、病院や施設に計画作成は任されている。県の指導で、10キロ圏の17施設でようやく完了したが、10キロ圏外では作成できていないところがほとんどだ。
再稼動に前向きな鹿児島県の伊藤祐一郎知事は今年6月、国の指針を無視し、要援護者については「10キロ圏内の避難計画で十分」「30キロ圏は現実的ではない」との認識を示した。事実上の地元自治体による再稼働の後押しに見える。
こうした中、原子力規制庁はどういう姿勢を示しているのか。
「原子力規制を監視する市民の会」などはこの間、規制庁の担当者らと質疑を重ねてきた。今月21日までの質疑で、原子力規制庁の担当者らは要援護者の避難計画について、5キロ圏外なら「必須ではない」「事故(発生)後に調整する仕組みがあればいい」と発言してきた。つまり、監督庁自体が、県の緩い方針を一段と緩めている。
21日に参院議員会館で開かれた質疑では、市民団体側から「(5キロ圏外の)要援護者の施設の避難先を決めない理由は」「調整する仕組みとは何か」といった質問が出された。
これに対し、原子力規制庁の担当者は「要援護者の状況や病状が変化するため、決められない」「調整は県のコンピューターシステムによる」「避難先の候補リストはあるが、(相手側の)了解は得ていないと思う」などと回答し、参加者たちを驚かせた。
要援護者の避難については、原子力災害対策指針に「自力避難が困難な災害時要援護者に対する配慮が必要である」と明記されている。指針には、福島原発事故で要援護者が長時間の避難所生活で疲弊したり、受け入れ先の施設で十分な対応を受けられなかったことへの反省がある。
再稼働ありき 弱者ないがしろ
さらに昨年10月に発表された国の「共通課題についての対応指針」では「避難準備重点区域内(30キロ圏内)にある医療機関や社会福祉施設等は、入院患者・入所者の避難に関する計画をあらかじめ作成する」と具体的に明記された。
原子力規制委員会は先月16日、川内原発について新規制基準を満たすとする審査結果案を了承した。ただ、避難計画は原子力規制委の審査対象ではない。
原子力規制庁など政府との質疑に参加した国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花理事は「川内原発の再稼働に向けたスケジュールがすでにできあがっていて、それに間に合わせるために国の指針までが、ないがしろにされているようだ」と懸念する。
「ハードルを下げてでも再稼働させようとする鹿児島県と原子力規制庁のやり方が許されるのなら、何でもありになる。福島原発事故の反省と教訓はいったい、どこに行ったのか」
原発延命コスト 国民に 高い発電経費 国が保証検討
(東京新聞【核心】)2014年8月23日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014082302000164.html
政府が原発の新増設や維持を支援する姿勢を鮮明にし、原発延命に躍起になっている。電力会社と政府が決めてきた家庭向けの電気料金は2016年4月から自由化されるが、原発を例外扱いにし、国民負担で採算がとれる仕組みを検討している。国が自ら定めた「脱原発依存」の方針に反し、「原発は安い」という従来の主張にも矛盾する。
(岸本拓也、吉田通夫)
自由化ゆがめ「脱依存」に矛盾
▼穴埋め
経済産業省は21日の有識者会議「総合資源エネルギー調査会原子力小委員会」で、日本の原発延命策の参考になる仕組みとして英国が導入を決めた制度を紹介した。
原発の建設から稼働、廃炉、使用済み燃料の処分まですべての必要経費をはじき出し、すべての消費者の電気料金に上乗せして徴収。原発の発電事業者に損をさせないよう、損失穴埋めの資金に充てる。
原発の発電コストについて英エネルギー・気候変動省のリズ・クラーク副部長は小委員会で「(石炭など)化石燃料より高い」と語った。家庭が電力会社を選べ、料金競争がある英国で、コストの高い原発に手を出す事業者はいないが、英政府は二酸化炭素(CO2)削減対策としての原発を重視し、穴埋め制度を導入しようとしている。
経産省は英国と似た制度があれば、自由化後も電力会社に損をさせずに原発の新増設や建て替えを促すことができるとにらみ、作業部会などで詳細を詰めていこうとしている。
▼逆行
しかし、原発費用を特別扱いする制度の導入は4月に閣議決定したエネルギー基本計画で掲げた「原発への依存度を可能な限り引き下げる」という方針に逆行するばかりか、電力自由化の意義をも失いかねない。
自由化後は、電力会社と新規参入事業者との競争が進み、電気料金の値下がりが期待されている。だが、英国のような支援策が導入されれば、火力や太陽光などの電源にも原発コストの上乗せを義務付けられ、原発を持たない新規参入事業者はその分不利になる。
公平な競争環境をゆがめるだけでなく、消費者は原発を持たない新規事業者を選んでも、知らないうちに原発延命のコストを負担することになる。
しかも、使用済み核燃料の再利用計画も最終処分場も実現のめどはなく、事故時の賠償金など、底知れぬ原発コストをどのように扱うのかはっきりしない。
議論ネット中継拒否
▼推進派
原発の延命コストを電気料金に転嫁するような重大な議論は、国民に広く公開される必要があるが、原子力小委でひっそりと行われている。
6月から開催されている小委には21人の有識者がいるが、大半が原発に肯定的。脱原発の委員が「原発の利点ばかり議論している」と指摘しても、「原子力は欠かせない」という多数派の意見にかき消されている。原発延命策も「(自由化で)制度が変わっても国の支援は当たり前だ」(岡素之・住友商事相談役)などと肯定する意見が相次いだ。
議論を聞けるのはわずかな傍聴者だけで、一部の委員がインターネットによる動画中継を強く要望しているが、安井至委員長は「意見を言いにくい人がいる」などとして公開中継を拒否。議事録が出るのも会議から約1カ月後だ。議論の過程が不透明なまま国民の負担による原発推進路線が敷かれていく恐れがある。
焦点・論点
「原発の経済性」を問う
立命館大学教授(環境経済学)
大島堅一さん
(しんぶん赤旗)2014年8月25日
原子力規制委員会が川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に「合格」をだしましたが、これをふくめて現在19基の原発の再稼働申請がでています。
「原発のコスト」についての著書がある大島堅一立命館大学教授(環境経済学)に再稼働をめぐる経済性の問題について話を聞きました。
福島事故費用11兆円は国民負担
東電は破綻させ廃炉こそ”経済的”
―電力会社が原発事故後も再稼働をすすめようとしていることを、とうみていますか。
電力会社か再稼働に走るのは、事故を起こしたときに自らは損害賠償費用を払わなくてもいいという仕組みを政府がつくったことが大きい。福島第一原発事故の費用とは賠償や放射能の除染の費用などですが、これを東京電力が実質払わなくてもいい仕組みをつくりました。国民にはわかりにくいようになっていますが、税金を国費として投入することと、電気料金に上乗せするという二つのやり方をとっています。それで広く国民の負担にしています。
そういう制度をつくると、他の電力会社もいちぱん心配な事故のリスクとそのためのコスト(費用)を負わなくてもいいことになる。だから早く再稼働をして利益を上げたくなる。
いま電力会社は火力発電を動かすとともに、原発を維持しています。原発の場合は動いていなくても燃料を水につけて冷却しなけれぱならず、放っておくとどんどん施設が劣化するので、転時の3分の2以上もの維持費がかかり、額は年一兆円以上にのぽります。動かしていない原発の維持費を国民は電気代として払っているのです。原発がいますぐ廃炉のプロセス(過程)に入れぱ維持賢はいらなくなります。これは、電気料金が下がる方向に作用します。
―福島原発事故の社会的出費「少なくとも‥11兆円」になるという試算を発表されました。消費税でいうと4%分以上の巨額ですね。
そうです。「福島原発事故のコスト」の表を見てください。(大島堅一・除本理史「福島原発事故のコストを誰が負担するのか」から、岩波書店「環境と公害」7月刊)
これは原発事故による現時点での費用が固く見積もっていくらになるか、それを誰が負担しているのかをあきらかにしたものです。大さくいって損害賠償費用、原状回復費用、事故収束・廃炉費用、行政による事故対応費用から成り立っており、合計で少なくとも11兆円にのぽります。
この額は政府の報告書や東京電力の公式文書からつくっているので、誰がやってもこの額になります。原発は不透明な部分が多いので将来的に増えていくと思いますが、現時点での最釿資料にもとづいて算出しました。
―これは誰が負担することになるのですか。
大部分が国民の負担です。東電が自力で賠償すらできなくなったため、『原子力損害賠償支援機構』(以下、支援機構」がつくられ、政府と東電の間に入っています。支援機構に政府が資金交付していますが、その原資は政府発行の交付国債で、銀行に国債を引き受けてもらい借金をして支援機構に渡している。「交付」は貸し付けるのでなく、簡単にいえば『あげてしまう』ものです。貸し付けではありません。
東京電力は支援機構から賠償金の原資を受け取り、それ賠償金に充てている。
右から入れて左に出しているだけです。東電は11兆円のうち2兆円ほどは積み上げていますが、肝心の賠償と除染という根幹部分が税金から出ています。表面上は黒字というおかしなことになっている。これでは経営者に痛みがなく責任感も生まれません。
借金の元本の返済は電力会社が支援機構に払っている『一般負担金』を充てますが、この分は電気料金に含めて徴収していいと経済産業省が省令の変更で決めてしまいました。ここでも電気利用者、国民の負担になっているのです。
―なぜこんなことになっているのですか。
東京電力にたいして支援機構が仮に資金を貸し付けるとしたら、貸付額は5兆円、6兆円の巨額になってしまい債務超過に陥ります。それでは経営破綻してしまう。政府はそうしないために貸し付けでなく、『あげてしまう』交付にして東電を救済したのです。東電を生かし賠償の窓口を東電に負わせることで、国の責任をかわしているのです。この仕組みは民主党政権ではじまり、安倍政権で固めうれました。
いうまでもなく福島の被災者への賠償も除染も、生活と営業を完全に回復するために必要です。そのためには加害者・汚染者の責任で支払うということが基本です。公害や薬害でもそれが経済の原則です。東電には優良な資産がいっぱいあるのでそれらを売り払い賠償に充てる。さらに投資した銀行や株主にも責任を負わせます。法的に破綻処理すれば東電という企業はなくなるが、電気供給の事業は別のところで継続できます。
こうして事業者から出せるものはすべて出させる、それでも11兆円を超える事故のコストには足りないでしょう。そのときは国が「全部やれぱこれだけかかります」ということを国民の前にはっきりと出す、歴代政府が原発を推進してきた責任も明らかにして国民におわぴをすることが必要です。そうすれぱ国民はいかに「原発が高くつく」のかがよくわかり、税金投入の是非を判断できるわけです。「原発は安い」などといって国民をだましてはいけません。
―再生可能エネルギーの固定買い取り制度導入(2012年)後の状況をどうみていますか。
変化が明らかに生まれています。制度運用の失敗とかほころぴもあり、太陽光に偏っているなどの問題がありますか、大枠では成功に向かっています。省エネ・節電をすすめるとともに、再生可能エネルギーをティクオフ(離陸)させることが必要です。
原発推進論者は、再生エネの先進国ドイツがいま電気料金で悩んでいるなどといいますが、「悩み」のレベルかぜんぜん違います。ドイツは再生エネ普及率が全電源の28%ですでに基幹電源になっています。普及率を50%以上にのぱそうという国と、まだ1、2%の日木とではおとなと赤ちゃんほどの違いがあります。
5月の大飯原発差し止め訴訟の福井地裁判決は、人問の生存を基礎とする人格権が憲法上最高の価値をもち、原発の稼働という経済活動の自由はその劣位にあるといいました。福島原発事故の現実をふまえたこの判決をしっかり受けとめ、原発はすぐやめるべきです。いま廃炉のプロセスに入ったほうが傷口が広からず、ずっと経済的なのですから。
(聞き手・山沢猛)
安倍政権打倒デモ 全国に広がる
東京新聞【こちら特報部】2014年8月24日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014082302000153.html
「安倍政権打倒」を掲げるデモが全国各地で起きている。「反政府デモ」は海外ではおなじみだが、日本では、安倍晋三首相の祖父である岸信介元首相を標的にした「安保反対、岸を倒せ」ぐらいしか思い浮かばない。特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認など個別テーマで反対しても、自民党独り勝ちの「一強多弱」の政治状況では数の力で押し切られる。それならば、国民の声で安倍首相を引きずり降ろすしかないというわけだ。
(上田千秋、林啓太、佐藤圭)
自民一強 怒りの受け皿なし
「安倍はやめろ」「ファシストうせろ」。今月2日、「安倍政権打倒」のスローガンのもと、約3000人のデモ隊が東京・渋谷の繁華街を練り歩いた。
主催団体のひとつである市民グループ「東京デモクラシークルー」のぬらりのさん=男性、ハンドルネーム=(27)は、安倍政権への怒りをあらわにする。「立憲主義を否定し、国民の声を聞かない。極右政権、現代のファシズムだ」
中心メンバーには、毎週金曜日に脱原発を訴えている首相官邸前デモや、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)デモに現場で直接抗議する「カウンター」活動の参加者が多い。ぬらりのさんは「政権打倒デモは、カウンターの流れをくんでいる。怒りの気持ちを肯定し、それを直接ぶつけて可視化する」と強調する。
「安倍政権打倒」のはしりは今年3月、安倍首相が「笑っていいとも!」(フジテレビ系)に出演した際の騒動だ。JR新宿駅に面するスタジオアルタ周辺には、首相に批判的な人たちが自主的に集まった。「バラエティーに出てる場合か」と怒号が飛び、「安倍晋三は今すぐ辞めていいとも!」と書かれたプラカードも登場した。
冒頭のデモの主催団体でもある市民グループ「怒りのドラムデモ」は5、6、7月に各1回、「安倍政権打倒デモ」を都内で繰り広げた。東京の動きに呼応する形で、今月17日には福岡で「政権打倒デモ」があった。福岡デモ実行委員会の宮崎雄士さん(29)は「鹿児島や佐賀から駆けつけた人もいた。安倍政権に対する反発の強さを実感した」と話す。
2012年12月の安倍政権発足以来、改憲や原発再稼働に反対するデモや集会は毎週のように実施されてきたが、なぜ今、「政権打倒」なのか。「東京デモクラシークルー」と連携する市民グループ「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田健さん(69)は「昨年12月の秘密法の強行成立がきっかけ」とみる。
「個別のテーマで幅広く結集する方法に知恵を絞ってきた。だが、秘密法が強行される中で、いくら頑張っても、最後は数の力でやられる。安倍政権を打倒しなければ、らちがあかないと、みんなが思い始めた。与野党の力が拮抗(きっこう)していれば、野党に政権打倒を託せるが、今の政治状況では、どうにもならない」
今後、静岡や大阪でも「政権打倒デモ」が予定されている。高田さんらは、秋の臨時国会の冒頭、国会周辺で「安倍政権打倒」の統一行動を計画している。高田さんは「政権打倒を掲げると、警備が非常に厳しくなる。安倍政権が警戒していることの表れではないか」と気を引き締める。
60年の「反岸」デモ 危機感は同じ
「政権打倒」を掲げたデモは、海外では珍しくない。中東・北アフリカでは2010~12年、「アラブの春」と呼ばれる反政府行動が相次いだ。タイやウクライナなど政情不安の国でも反政府デモが頻発している。
日本では、1960年の日米安全保障条約の改定を契機に、岸政権打倒を叫ぶデモが全国に広がった。岸政権は同年1月、51年に締結された同条約の改定について米国と同意。5月に強行採決で衆院を通過させたことで国民の不満が一気に高まると、改定が承認される前日の6月18日夜には30万人もの人が国会周辺を埋め尽くした。
当時は、終戦からわずか15年。しかも岸氏は、太平洋戦争開戦時に閣僚を務め、戦後はA級戦犯として投獄された人物だ。後に不起訴となったものの国民の警戒心は強く、「反安保」から「反岸」へと流れが変わっていった。政治評論家の森田実氏は「米国の手先になって、また戦争をするんじゃないかという危機感が強く、『ここで動かないと大変なことになる』と多くの人が考えた」と説明する。
それから50年余、強引な手法を取る政権はあったが、安倍政権ほど国民との関係が悪化したことはなかった。上智大の中野晃一教授(政治学)は「さまざまな悪条件が重なった結果」とみる。
ここ十数年ほどの間、小泉政権や民主党政権の改革路線が続いた。しかし、小泉政権は格差問題、民主党政権は政治主導の迷走で国民の不興を買う。そこに再登場してきたのが安倍首相だった。12年衆院選と13年参院選で圧勝した自民党は、内紛を繰り返す野党を尻目に、「一強多弱」の政治状況を謳歌(おうか)する。
「安倍政権は多くの国民の支持を得たのではなく、相対的に得票数が多かっただけ。ただ、ライバルとなり得る野党がいない現状が続けば、自民党は次の衆院選でも勝てる。国民の声に誠意を持って対応する姿勢がなくても、政権を維持できる状況になっている」(中野氏)
反戦も反原発も 一つにつながる
そうした国民の閉塞(へいそく)感が現れた一つの形が「安倍政権打倒デモ」といえる。文芸評論家の柄谷行人氏は「秘密法も集団的自衛権も原発再稼動も、すべての問題は一つにつながっている。安倍政権の露骨なやり方を見ていれば、デモのテーマがシングルイシュー(一つの論点)から政権打倒に変わっていくのは当然の流れだ」と指摘する。
安倍政権にも、ほころびが見え始めている。7月の滋賀県知事選では、自民党が推薦した候補が民主党の前衆院議員に敗北。広島市の土砂災害をめぐっては、第一報を受けながら静養先の山梨県でゴルフを続けたことが批判を浴びた。共同通信社の調査によると、一時は70%を超えていた内閣支持率は、52%にまで低下している。
高千穂大の五野井郁夫准教授(政治学)は「安倍首相はアベノミクスが評価されているから大丈夫と思っているかもしれないが、経済状況の善しあしでしか判断しない人は、悪くなればすぐに離れる。政権を維持したいなら国民の声をきちんと聞き、噴出している不満や不安が払拭(ふっしょく)されるような政策を示すべきだ」と唱える。
中野氏は「岸氏も世論の高まりの前に、最後は辞任に追い込まれた。安倍政権にくさびを打ち込むことも可能だろう」と説く。
「秋に福島や沖縄で県知事選があり、来年には統一地方選が行われる。ここで負けが続けば、政権基盤は弱体化する。加えてデモで国民が声を上げ続けていけば、流れは変えられる」
安倍政権打倒!怒りのブルドーザーデモ
http://youtu.be/UBrgAWthrng
お知らせ
昨日、家族が入院しました..(´・_・`)
ブログ更新が時間的に難しいです。
よって、しばらくブログをお休みします。
申し訳ございません m(_ _)m
なお、音楽ブログは通常更新の予定です。
精神的・肉体的な疲労回復に。体質改善 ヒーリング 質の良い睡眠
http://youtu.be/6ld63H-0s18
みなさまが健康で幸せに暮らせますように・・( ´-`)
復活します~(^-^)/
お久しぶりです。皆様いかがお過ごしですか?(^ω^)
「お知らせ」で告知しましたように、家族が病気により入院していました。
この度、完治したと主治医から診断されました(^-^)/
良かった!よかった~~~!!(´∀`)
実は、病名は「胃がん」でした・・(´д`)
主治医の診断では患部が筋層まで進んでいるのではないかとされ(T2)、リンパ節に転移している可能性もあるということで、胃がんステージⅡAということでした…。
日本胃癌学会による胃がんの進行度分類
日本胃癌学会編
胃癌治療ガイドライン
http://www.jgca.jp/guideline/
手術を受けて、手術は無事成功しました!しかし、リンパ節に転移しているかどうかの検査結果が出たのは昨日だったのです。その結果は「リンパ節に転移はなし!」ヤッターヽ(・∀・)ノ
本人が退院してその検査結果が出るまで精神的に辛かったでしょうが、私も切なくてせつなくてブログ復帰宣言する気持ちになれなかったのです・・(;^ω^)
ここに、目出度く復活します~(^-^)/
数多くの方から、コメントやいいね!をいただき、ありがとうございました(=^0^=)
感謝いたします!m(_ _)m
特定秘密保護法が施行されるまでは何とか頑張っていきたいと思います(^0_0^)
なお、音楽ブログはもう一回お休みします。m(._.)m
みなさま!あなた自身の命とあなたを愛する者のために、40歳を過ぎたら、年に一回はがん検診を受けましょうネ(’-’*)
http://www.gstrcancer.info/
より
進行度別・胃がんの症状と治療法
http://www.gstrcancer.info/stage/
胃がんの進行度は、がんの深さとリンパ節転移、遠隔臓器への転移状況によってステージ1~4のステージがあり、さらに細分化していて全部で8段階に分類されます。
胃がんの進行度を表すステージ
それぞれのステージによって、適切な治療方法が変わるため、この進行度が治療方針を決めるうえで重要となってきます。
ステージ1~2は初期段階で完治しやすい
胃がんの初期段階であるステージ1は、A期とB期に分類されます。
A期は、中でも、もっとも初期の胃がんで、自覚症状もなく発見が難しい段階です。しかし、この段階で発見できれば、転移の心配もなく、がんを切除することが可能です。
一方のB期は、A期よりもさらにがんが進行した状態です。転移の心配はあるものの、すべて切除することで完治が可能となります。
ステージ2は、がんが粘膜から転移して、胃の外部やリンパ節まで進行した状態を指します。
広範囲にわたる進行したがんは3~4期
ステージ3も、A期とB期に分かれており、いずれも周囲の臓器にまで転移した段階です。広範囲を切除することになるため、大手術が必要となります。
ステージ4は、手術によって切除することができない段階。そのため、治療はがんがこれ以上進行しないようおさえることを中心に行います。
ステージ1A期
ステージ1B期
ステージ2期
ステージ3A期
ステージ3B期
ステージ4期
がん検診の大切さ ママら250人が学ぶ
名古屋でフォーラム
(中日新聞)2014年9月17日
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140917132518726
家族の健康や子育てを考える「Happy Mama健康フォーラム」(アメリカンファミリー生命保険、中日新聞社主催)が15日、名古屋・栄のナディアパークで開かれた。子育て中の女性を中心に約250人が参加し、がん検診の大切さなどを学んだ。
新婚の女優加藤夏希さんは、夫が過去にがんになっていたことを告白。「克服したとはいえ、2人ともがん家系でもあるし心配。検診に行くだけでなく食事にも気をつけている」と語った。
ともに2児の父で、お笑いコンビ「ペナルティ」も登壇。健康のため、がん検診を受けたりストレスをためないようにしたりしていることを笑いを交えて紹介した。
県がんセンター中央病院の岩田広治副院長(53)は「がん検診は定期的に受けることで早期発見につながる。症状がなくても受けてほしい」と呼び掛けた。
健康について話す(左から)加藤夏希さん、ペナルティのヒデとワッキー=名古屋・栄のナディアパークで
がん・検診について
(日本対がん協会)
http://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E3%81%8C%E3%82%93%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%A8%E3%81%AF
がん対策情報
(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/index.html
胃がん予防の重要性知って 金沢で癌学会講座
(中日新聞)2014年5月25日
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140526143155182
ほとんどはピロリ菌が原因
がんの予防や治療法を紹介する研究者=金沢市南町で
日本癌(がん)学会の市民公開講座が24日、金沢市南町の北国新聞赤羽ホールであった。金沢大などの研究者が、がんの予防や治療に関する最新の知見を紹介。300人が参加した。
北海道大の浅香正博特任教授は胃がん予防の重要性を解説した。東アジアのピロリ菌は毒性が強く、日本の胃がんのほとんどはピロリ菌が原因。「若い人は除菌によって100パーセント抑制できる」と指摘し、自治体の先進的な取り組みとして、北海道稚内市、大阪府高槻市などの中学生を対象にしたピロリ菌検査を示した。
日本は早期診断の技術、内視鏡治療ともレベルが高く、中年以降の人も除菌と経過観察で重症化のリスクが激減することを強調。「胃がんで亡くなるのはもったいない時代。除菌により、がん以外の胃の病気も抑えられる」と呼び掛けた。
金沢大の太田哲生、矢野聖二、後藤典子の3教授もそれぞれ膵臓(すいぞう)、肺、乳がんをテーマに最先端の治療について話した。
(日下部弘太)
病とは 安保徹
http://youtu.be/ObTmur8kKd4
誠実かつ率直に過去と向かい合うこと・・。 あなたはそれ相応の努力をしてますか?
心に刻む歴史「水に流してはならない」
―ドイツと日本の戦後50年―
ワイツゼッカードイツ大統領講演
1995年8月7日、東京虎ノ門ホール
より
不信を解消していくことが大切ですが、不信が生まれたのは戦争に原因があることを年配のドイツ人ならばはっきりと覚えています。不信の解消に成功すること、これこそ現在および将来にわたる死活の関心事であります。これはアカデミックな論争だけに任せておいてよいテーマではなく、今日われわれの政治的責任なのです。
自らの歴史と取り組もうとしない人は、自分の現在の立場、なぜそこにいるのかが理解できません。過去を否定する人は、過去を繰り返す危険を冒しているのです。このようにドイツにおきましては、歴史を心に刻み、それと取り組むことが、いつも現在の政策の本質的な構成要素のひとつであったのです。
歴史はわれわれの記憶に重くのしかかるものであってはなりません。われわれの精神を啓発できるものなのです。心に刻んで記憶することができるというのは偉大な力であります。明暗双方をもつ過去の全遺産を受け入れ、ともに責任をもってこれを担うことこそ、ひとつの国民の本質を形作るのであります。
人間同士の個人的な付き合いの上での経験が、国と国の関係にも当てはまります。時には謝罪が必要ですが、嘘偽りのない謝罪でなければ効果がありません。心からの謝罪でなければ、むしろ止めておくべきでしょう。本気で表明するのでなければ、しない方がましです。
人類が歴史から学べるという証拠はありません。しかしながら、誠実かつ率直に過去と向かい合うことは、遠近の隣人との、信頼にみち、国民としての利害にもっとも役立つ協力関係にプラスの作用をもたらすもので、このことをわれわれは経験で知っています。
第2次安倍内閣の外交防衛政策
― 当面する主要外交防衛問題 ―
外交防衛委員会調査室 矢嶋 定則
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2013pdf/20131001003.pdf
The Great Dictator- Globe Scene
http://youtu.be/IJOuoyoMhj8
独裁者 (映画) - Wikipedia
安倍内閣「日本会議」が占拠
改憲タカ派議連から15人
「男女共同参画」に反対
しんぶん赤旗2014年9月6日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-09-06/2014090601_01_1.html
安倍晋三首相を含めて第2次安倍改造内閣の19人の閣僚のうち15人が、日本の侵略戦争を正当化する改憲・右翼団体「日本会議」を支援するためにつくられた「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)の所属議員であることが、本紙が入手した同議連の名簿などから明らかになりました。超タカ派・改憲勢力が政権中枢に躍り出た形で、まさに「日本会議」内閣です。
2013年2月現在の役員表によると、日本会議議連には安倍首相と麻生太郎副総理・財務相が特別顧問に就任。高市早苗総務相、菅義偉官房長官、下村博文文部科学相が副会長、山谷えり子国家公安委員長が政策審議会長、有村治子女性活躍担当相は政策審議会副会長を務めています。衛藤晟一、礒崎陽輔両首相補佐官、加藤勝信官房副長官らも役員に名を連ねます。
自民党役員でも、谷垣禎一幹事長が同顧問、稲田朋美政調会長が政策審議会副会長を務め、また茂木敏充選対委員長も議連メンバーです。
日本会議は「憲法改正をめざす国民運動」を進めるとして各地でフォーラムなどを開催。同議連や地方議員懇談会が、地方議会で「憲法改正の早期実現」を求める意見書を採択させる先頭にたっています。
また、日本会議は「男らしさや女らしさを否定する男女共同参画条例が各県で制定され、子供や家庭をめぐる環境がますます悪化」しているなどとして男女共同参画や夫婦別姓に反対。2010年3月の「日本の国柄と家族の絆を守るためストップ!夫婦別姓」と題した集会には、高市、山谷、有村、稲田各氏が参加して意見表明。同11月の集会では、山谷氏が「国民世論を無視している」と夫婦別姓に反対を表明しています。
安倍内閣が憲法破壊と歴史修正を強引に推し進める根源に、これら極右グループの存在があります。
今年2月に米議会調査局がまとめた報告書は「日本会議」を名指しで警戒。「安倍氏は、戦時中の行為について、日本は不当な批判を受けていると議論するグループと連携」とし、安倍政権の歴史修正の動きの背景に日本会議の存在があるとしました。
日本会議国会議員懇談会に加入する閣僚
安倍晋三総理
麻生太郎副総理
高市早苗総務相
岸田文雄外相
下村博文文科相
塩崎恭久厚労相
望月義夫環境相
江渡聡徳防衛相
菅義偉官房長官
竹下亘復興相
山谷えり子公安委員長
山口俊一沖縄・北方相
有村治子女性活躍相
甘利明経済再生相
石破茂地方創生相
日本会議国会議員懇談会 1970年代から改憲や元号法制化、夫婦別姓反対の運動を進めていた右翼改憲団体を再編・総結集し、97年に発足したのが「日本会議」です。「日本会議国会議員懇談会」は、「日本会議」発足の動きに呼応して同年5月に発足。日本の侵略戦争は「アジア解放」の「正義の戦争」だったと美化する「靖国」派の歴史観に立ち、「自主憲法制定」、天皇元首化のほか、国民に「国防の義務」を課すべきだなどの主張を展開してきました。自民党のほか、民主党、日本維新の会、次世代の党、みんなの党などの国会議員が加盟。同懇談会の資料によれば、2013年2月現在、231人の国会議員が加盟しています。
政権に巣食う改憲・右翼団体「日本会議」勢力
主張・言動に見る異常
(しんぶん赤旗)2014年9月7日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-09-07/2014090701_03_1.html
安倍晋三首相を含む19人の閣僚のうち15人が、改憲・右翼団体「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)に加盟している第2次安倍改造内閣。その日本会議と同議連が展開する主張や活動はどのようなものなのでしょうか―。
侵略戦争を 「正義の戦争」
「諸悪の根源は、東京裁判史観」。日本会議議連の平沼赳夫会長(次世代の党党首)が日本会議設立10周年のさいに寄せたあいさつ文の言葉です。戦後、日本がサンフランシスコ条約で受諾し、国際社会復帰の基礎となった極東国際軍事裁判(東京裁判)が下した日本の侵略戦争に対する断罪を否定しようというのが、日本会議の根本思想です。
日本会議は、過去の日本の侵略戦争を「アジア解放」の「正義の戦争」と美化してきた靖国神社への「二十万人参拝運動」を展開。天皇参拝実現に向け、歴代首相に参拝を強く要求してきました。
改憲目指して「愛国心」強制
日本会議は、日本国憲法、とりわけ不戦と戦力不保持を定めた憲法9条への攻撃を続け、「国防体制」充実のための改憲を主張。日本会議議連や「靖国」派の地方議員でつくる「日本会議地方議員連盟」が地方議会で「憲法改正の早期実現を求める意見書」を採択させる先頭に立っています。3日の内閣改造を受け、「この日が憲法改正運動のスタートとなる」(日本会議大阪のフェイスブック)と改憲に期待を寄せています。
日本会議は改憲に向けた世論構築のために「愛国心」教育強化などを求めてきました。
女性活躍相に就任した有村治子氏は、昨年の参院選で日本会議推薦候補として当選。推薦を受け有村氏は「戦後の教科書からは、万世一系という言葉は消えました。そこから始めていかなければいけない」(日本会議の月刊誌『日本の息吹』13年6月号)などと天皇中心の「日本の国柄」を教育に持ち込む狙いを語っています。
「慰安婦」記述教科書を攻撃
日本会議は、南京大虐殺や旧日本軍「慰安婦」問題での教科書の記述などを指して「わが国の歴史を悪しざまに断罪する自虐的な歴史教育」(「日本会議がめざすもの」=同会議ウェブサイト)などと攻撃しています。
通常国会で「慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認め公式に謝罪した「河野談話」(1993年)の検証や見直しを政府に求めたのは山田宏議員(当時=日本維新の会所属、現・次世代の党幹事長)ら、日本会議議連所属の国会議員です。
今回入閣した山谷えり子国家公安委員長は12年5月、「慰安婦」記念碑を設置した米東部ニュージャージー州パリセーズパーク市を訪問し、同市市長らに記念碑撤去を求める行動に及んでいます。
「男女共同参画」に反対
男女の社会的差別をなくす「ジェンダーフリー」の運動や教育が世界で広がっていますが、これを否定しているのも日本会議です。
日本会議議連所属議員らも「性差別」の廃止をうたう政府や各県の「男女共同参画」の動きまで「男らしさや女らしさを否定する」ものと批判。10年3月に「日本の国柄と家族の絆を守るためストップ!夫婦別姓」と題して開いた集会には、今回初入閣した高市早苗総務相や山谷、有村両氏のほか、自民党政調会長に就任した稲田朋美氏が参加しました。
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 - Wikipedia
「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)実施状況第7・8回報告書」に盛り込むべき事項に関する意見書2013年7月17日
(日本弁護士連合会)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130717_2.html
日本最大の右派組織 日本会議を検証
(東京新聞【こちら特報部】)2014年7月31日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014073102000168.html
女性蔑視やじ、ツイッター上で差別的表現…。最近世間を騒がせた地方議員には、日本最大の右派組織といわれる「日本会議」の地方議員連盟メンバーが少なくない。その影響力は地方のみならず、政権中枢にも及ぶ。安倍晋三首相は、同会議に賛同する国会議員懇談会の特別顧問だ。憲法改正や集団的自衛権の行使、伝統的家族観の尊重などの主張は、首相の政治信条と重なる。知っているようで知られていない日本会議を徹底検証した。 (篠ケ瀬祐司、林啓太、佐藤圭)
女性蔑視やじ、ツイッター物議・・・地方議連のメンバー
今年六月の東京都議会で女性都議に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」とやじを飛ばした鈴木章浩都議=自民党会派を離脱―は、日本会議の地方議連メンバーである。
「(日本会議とは)いろいろな分野でおおむね方向が一緒だ」
鈴木氏は「こちら特報部」の取材に淡々と語った。鈴木氏は二〇一二年八月、地方議連メンバーらとともに、政府が立ち入り禁止にしていた尖閣諸島(沖縄県石垣市)に上陸した。タカ派的な行動でも物議を醸した人物なのだ。
女性蔑視やじほどには話題にならなかったが、北海道でも、地方議連メンバーが一騒動起こした。道議会の自民党会派に所属する小野寺秀(まさる)道議がツイッター上で、集団的自衛権の行使容認に反対する男性が東京・新宿で焼身自殺を図ったことについて「愚行」と発言、これを批判したコメントヘの反論で差別的表現を使った。自民党は今月三日、道議に口頭で注意した。
ネット上では、小野寺氏‘を「ネトウヨ(ネット右翼)議員」と揶揄する向きもあるが、小野寺氏は「日本が好きで、次の世代にどう良い国を残すかという思いでやっている。ネット右翼と言われるのは不本意だ」と話す。
そもそも日本会議とは何か。
結成は一九九七年五月。保守系宗教団体などでつくる「日本を守る会」と、保守系文化人や旧軍関係者などを中心とする「日本を守る国民会議」が統合した。現会長は元最高裁判所長官の三好達氏だ。
「誇りある国づくり」を目指す運動方針では、皇室を尊び、同胞感をかん養する▽新憲法制定▽祖国への誇りと愛情を持った青少年の育成▽安全を保障する防衛力を整備し世界平和に貢献-などを掲げる。
その規模は、右派の民間組織としては国内最大級だ。同会議の広報によれぱ、会員数は三万五千人にのぽる。四十七都道府県本部のほか、二百二十八支部を擁する。
中央政界とのパイプも太い。日本会議の発足と同時一に立ち上げた「日本会議国会議員懇談会」(会長・平沼赳夫衆院議員)は五月現在で二百八十九人が加盟する。役員には政権の主要メンバーが並ぶ。安倍首相と麻生太郎副総理兼財務相は特別顧問、幹事長は衛藤晟一首相補佐官だ。会員向けの月刊誌「日本の息吹」○九年九月号で紹介された加盟議員と照らし合わせると、安倍内閣の閣僚十九人のうち十三人が懇談会メンバー。「日本会議内閣」との声も漏れる。
冒頭で紹介した地方議連は、会議設立十周年の○七年にスタートした。加盟議員は千六百人に達する。
国旗国歌法、改正教育基本法 首相の政治信条と重なる
「日本の安全は守られるのかと考える若者は増えている。大手メディアの報道に疑問を持つ人が日本会議の門をたたいている」
日本会議広報担当の村主(むらぬし)真人氏は、これまでの運動の成果に自信を見せる。
実際、国旗国歌法(99年)や、第一安倍政権での改正教育基本法(06年)、尖閣諸島付近の中国漁船衝突事件を機に海上警察権が強化された改正海上保安庁法と改正外国船舶航行法(12年)などは、会議の主張に合致している。
会報の8月号には「集団的自衛権行使、限定容認へ」の大見出しが躍った。「今後は、集団的自衛権行使の関連法案の成立を急ぐよう政界に働き掛けるとともに、憲法改正に向けた運動を全国で展開していく」(村主氏)
なるほど日本会議は、日本の政治に強い影響力を持つにいたった。ところが、日本会議に関する研究はあまりない。数少ない「日本会議ウォッチャー」は現状をどう見るか。
山口智美モンタナ州立大准教授(文化人類学)は「国会議員のみならず、地方議員や宗教関係者の動員力を駆使した運動は、教育基本法改正や首相の靖国神社参拝、選択的夫婦別姓導入の阻止など90年代後半からの右傾化の流れを確実にした」と強調する。
山口氏は、共著『社会運動の戸惑い』の中で、日本会議の反フェミニズム運動を取り上げた。03年、東京都立七生(ななお)養護学校(日野市、現七生特別支援学校)の性教育を非難した都議には、のちに日本会議地方議連に加わった人もいた。「00年代前半、日本会議は集中的に反フェミニズム運動を展開した。その中心にいたのが安倍首相。都議会での女性蔑視やじの主が地方議連メンバーだったことは、伝統的家族重視という日本会議の方向性からして全く驚かない」
山口氏は、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)が社会問題化している在日特権を許さない市民の会(在特会)などとの関連にも注目する。「在特会などの『行動する保守』は、日本会議などの主流保守運動を『きれいごと保守』として批判してきたが、慰安婦問題などの歴史修正主義や排外主義のおおもとは、日本会議などの運動の中で培われたものだ」
右傾化「草の根で対抗を」
「議員を通じて中央と地方の政治を動かしている」と指摘するのは、市民団体「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長だ。特に地方の動きを危惧する。
俵氏の独自集計によれば、地方議連メンバーが4割を超える県議会は15に及ぶ。そのひとつの群馬県議会は今年6月、県立公園「群馬の森」(高崎市)の朝鮮人強制連行追悼碑の撤去を求める請願3件を採択した。紹介議員の南波和憲、狩野浩志両県議は地方議連メンバーだ。
前出の村主氏は「団体として『歴史修正主義』『反フェミニズム』を見解や方針に掲げたことは過去に一度もない。批判のためのレッテル貼りだ。学校教育では、自国の歴史に対する理解と愛情を育むことを第一の目標とし、家族の問題では、自国の伝統や生活様式を尊重すべきだ」と反論する。
日本の右傾化を憂う人たちからすれば、このまま放置はできない。
俵氏は「9条の会のような草の根で対抗していくしかない」と訴える。
歴史研究者らでつくる「日本の戦争責任資料センター」の上杉聡事務局長は「前身の『日本を守る会』は、旧満州(中国東北部)侵略を主導した将校らの思想的バックボーンとなった宗教右派の流れをくむ。同じく『国民会議』は右翼と結びついた組織だった。そうした日本会議の危険な実態をもっと知らせていくべきだ」と警鐘を鳴らした。
七生養護学校事件 - Wikipedia
東京都教育委員会の都立七生養護学校の性教育に対する処分に関連する警告書要約版(東京弁護士会)
http://www.toben.or.jp/message/jinken/post-179.html
雑誌ライフに掲載された、1938年ニュルンベルクで行われたナチ党党大会の様子
世界基督教統一神霊協会 - Wikipedia
国際勝共連合 - Wikipedia
欧州なら即刻辞任
高市総務相らが「ネオナチ」とツーショット写真
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月12日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014091202000174.html
高市早苗総務相や自民党の稲田朋美政調会長が、ナチス・ドイツを信奉する極右団体男性とツーショット写真を撮影していた。海外の主要メディアは「安倍政権のネオナチ関与疑惑」などと盛んに報じている。議員側は「人物像は知らなかった」と釈明するものの、もともと右翼的な言動で知られる政治家だ。日本の政界やメディアの反応は鈍いが、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の惨禍を味わった欧州の基準では、即刻辞任モノの一大スキャンダルである。
(鈴木伸幸、上田千秋)
「ネオナチの写真が安倍晋三首相の頭痛の種」。英紙ガーディアン(電子版)が九日、こんな見出しで問題のツーショット写真を掲載した。「日本のネオナチ」を標ぽうする極右団体「国家社会主義日本労働者党」の山田一成代表と一緒に高市、稲田両氏が写っている。いずれも二〇一一年夏に議員会館で撮影された。
高市氏の事務所によれば、雑誌の取材を受けた際に山田氏が補助員として現れ、取材後に写真撮影を求められた。稲田氏の場合も事務所によると、同様の経緯だったそうだ。両氏とも撮影時に山田氏の素性を把握しておらず、その後も接触はないという。
同党は、ナチスと同じく国家社会主義や反ユダヤ主義を掲げている。ホームページ(HP)には、ナチスのシンボル「かぎ十字」が躍る。英文の団体名は「National Socialist Japanese Wiorkers Party」。「Japanese」を「German」に入れ替えればナチスそのものだ。海外でのイメージはすこぶる悪い。
ツーショット写真もHPにアップされ、今月三日の内閣改造前後からネット上で問題視された。現在は削除されている。ガーディアンは「両政治家が山田氏に共感しているかは、何の証拠もないが、安倍政権がより右傾化したという批判を勢いづけた」と論評した。
ガーディアンの記事が話題になっているが、もともと口火を切ったのはAFP通信だった。八日に配信すると、欧米を中心に世界各地で大きく報じられ、ガーディアンも引用した。AFPの小澤治美記者は「偽造でないかを確認して記事化した。国際基準からすればニュース」と説明する。
ここに来て高市氏が、ヒトラーの名前を冠した選挙指南書「ヒトラー選挙戦略」(一九九四年の出版直後に絶版)の広告に推薦文を寄せていたことも発覚。同氏の事務所は「本人が著者を知らず、推薦文について記憶がないのでコメントできない」としている。
一方、日本のメディアは、ようやく共同通信が九日夜に配信したが、ガーディアンなど海外の報道ぶりを紹介しているにすぎない。国際基準では即刻辞任でもおかしくないスキャンダルだ。八八年には、ナチス肯定とも取れる発言で西ドイツのイエニンガー連邦議会議長が辞任している。ところが、日本のメディアの反応はすこぶる鈍い。
国際ユダヤ人権団体「サイモンーウィーゼンタールーセンター」(米ロサンゼルス)のエーブラハムークーパー副所長は、「こちら特報部」に寄せたメールで「安倍首相はアジアで指導力を発揮しようにも、不幸な過去の歴史が邪魔をしている。今回のような事態は、日本への不信感を深めるだけだ。高市、稲田両氏はあらゆる機会を使って説明責任を果たすべきだ」と主張した。
中央も地方も右傾化する政界
国際社会の信用失う
実は、高市、稲田両氏だけでなく、自民党自体も二〇〇〇年六月の衆院選直前、山田氏との関係が取り沙汰されたことがある。白民党広報本部が各事務所などに対し、山田氏が社長を務める会社が出版した単行本の購入を指示したと共産党の機関紙「赤旗」が報じた。単行本は共産党を批判する内容で、選挙戦に活用するつもりだったようだが、自民党報道局は「資料が残っていないほか、当時の担当者も辞めていて確認できない」としている。
ツーショット写真騒動の背景には、自民党の右傾化がある。高市、稲田両氏は、右派政治家の筆頭格なのだ。日本最大の右派組織といわれる「日本会議」の国会議員懇談会の役員名簿(今年四月一日)によると、高市氏が副会長、稲田氏が政策審議副会長に就いている。
八月十五日の終戦記念日には、両氏とも靖国神社参拝を欠かさない。今年の参拝時は、稲田氏が行政改革相、高市氏が自民党政調会長の要職にあった。稲田氏は参拝の際に「今の平和で豊かな日本が、国のために命をささげた方々の積み重ねの上に成り立っているという思いで参拝した」と胸を張った。
もっと言えば、中央のみならず、政界全体で右傾化が進んでいる。ジャーナリストの安田浩一氏によると、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)を繰り返す排外主義団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などが主導するデモでは、保守系地方議員の姿を見かけることがよくあるという。
在特会とは直接関係はなくとも、同じような考え方を持つ議員は少なくない。一例を挙げれば、金子肺之(やすゆき)・札幌市議はツイッターに「私が在特会のメンバーだとの風評があるようですが、そのような事実はありません。但(ただ)し、在日特権の見直しは必要だと考えます」と書き込んでいる。金子氏は「アイヌ民族なんて、いまはもういない」などのつぶやきが物議を醸し、所属していた自民党札幌市支部連合会を除名になった人物だ。
安田氏は「地域に貢献すべき議員が、地域を分断するようなデモに加わったり、考えを持ったりするのは問題があるだろう。マイノリティーに対する差別や偏見、排外主義は草の根の社会だけではなく、政治の世界にも浸透していると言わざるを得ない」と懸念を強める。
官房長官「責任ない」差別・偏見広がる懸念
菅義偉官房長官は十一日の会見で、ツーショット写真について問われたが、高市、稲田両氏が山田氏の素性を知らなかったことを理由に「(責任は)全くないと思う」と突っぱねた。
このまま幕引きとなってしまうのか。麻生太郎副総理兼財務相が昨年七月、「ナチスの手口を学んだらどうか」という趣旨の発言をしたにもかかわらず、結局うやむやになった「先例」もある。
東京造形大の前田朗教授(刑事人権論)はこう警告する。
「国連人種差別撤廃条約は、日本を含む加盟国の政府に差別撤廃を求めているが、高市、稲田両氏は逆の
ことをしている。(山田氏を)知らなかったでは済まされず、欧州などでは辞任を迫られるような事案だ。政治家の持つ影響力への自覚に欠ける。第二次大戦後、国際社会が一定の共通認識のもとに平和な世界をつくる努力をしてきたのに、日本は価値観を共有していないのかと思われてしまう。このままでは国際社会の信用を失う結果になる」
「説得できない有権者は抹殺」
高市早苗推薦、自民党のヒトラー本が怖すぎる
(ite-ra.com)
http://lite-ra.com/2014/09/post-459.html
候補者と認知された瞬間から始まる誹謗、中傷、脅迫。私も家族も苦しみ抜いた。著者の指摘通り勝利への鍵は「強い意志」だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!
衆議院議員 高市早苗
ヒトラー冠した選挙本
批判続出で絶版に
自民東京都連の広報部長が著者
(朝日新聞)1994年6月14日
自民党東京都支部連合会の広報部長が出版した選挙指南書『ヒトラー選挙戦略──現代選挙必勝のバイブル』(千代田永田書房)が13日、絶版にされることが決まった。著者は「ヒトラーを正当化するつもりはなかった」としているが、ヒトラーを肯定的に取り上げた内容に、イスラエル大使館などから批判が集中。
「政府や自民党にも迷惑をかけた」と、著者、自民党都連、出版社で絶版を決めた。店頭の本もできるだけ回収するという。
著者は小粥(おがい)義雄・自民党都連広報部長(45)。「来春の統一地方選挙を念頭に、あくまでも個人の考えとして、選挙戦に臨む心構えや戦略を示した」と話す。
本は冒頭、「短期間に国論を統一、政権を奪取して第三帝国を建設したヒトラーは、現代選挙を考えるうえで、とても重要な教えを私たちに示している」 「大衆の側に立って、大衆の声を聞き、大衆の心に訴えた政治手法は、混迷の時代、大衆文化時代の今日、『ピタリ』とあてはまる政治戦略」とうたい、「ヒトラーの残した独裁政治、ユダヤ問題など歴史的評価は後世に譲る」としている。
そして「後援会組織」「戦う運動員」「宣伝の役割」「女尊男卑の精神」「きれいな資金」などの章立てで、選挙の戦い方を解説。各章にヒトラーの著書『我が闘争』などからの引用文を掲載。ヒトラーのキャラクターイラストや、ハーケンクロイツ(カギ十字)をデザイン化したカットをちりばめている。
4月20日付で数千部出版されたが、小粥氏によると、出版記念パーティーには自民党のほか、新生党、日本新党、連合の関係者も出席したという。
これに対し、今月10日、イスラエル大使館のヤコブ・ケイダール参事官らが自民党都連を訪れ、秋葉信行都連事務局長らに不快感を表明した。
さらに、ナチスの戦争犯罪を追及している在米のユダヤ人団体「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」が、イスラエルの日本大使館に出版の中止を求める抗議文書を送付。
ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストにも取り上げられ、国際問題に発展しかねない情勢になってきたため、絶版を決めたという。
「ナチ・エリート」「ヒトラーの抬頭」などの著者、山口定・立命館大学政策科学部教授の話 ヒトラーが民衆の味方だったと思わせかねない本だ。ナチスの選挙戦略は大衆宣伝と突撃隊による反対党への暴力の行使がセットになったものであり、大衆に対するエリート意識やゆがんだ人間観に基づいている。この本はその基本の部分を言わず、都合よく作っている。噴飯物だ。
つらい気持ちを抱えているあなたへ・・・そして、ごめんね・・(´・ω・`)
自分の感受性くらい
ぱさぱさにかわいていく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
何もかもへたくそだったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子
喪失感と自責、そして経済苦
自殺で親を亡くした若者たち
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月7日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014090702000153.html
日本の自殺率は世界平均の一・六倍-。世界保健機関(WHO)の報告書による数字だ。日本の自殺者はかつて年間三万人を超えていた。二〇一三年は約二万七千人と減ってはいるが、それでも交通事故の犠牲者の六倍以上だ。親を自殺で亡くした若者の話を聞いた。経済的な苦しさだけでなく、喪失感や自責の念を背負っていた。
(白名正和)
「母方の祖父の支援で私立高校の学費を払っていたが、母が自殺してからは家族仲が悪くなり支援がなくなった。第一志望だった私立大学は断念し、学費の安い国立大に進路を変えた」。関東地方に住む大学四年生の女性(ニー)が話す。
高校一年だった○八年九月、母親が自宅のベランダで首をつった。休日の昼間で、女性は自室で宿題の裁縫をしていたが気付かなかった。帰宅した父親が発見。意識不明で病院に搬送され、一ヵ月後に死亡した。
「私に悩みがあるときは察してくれて、母の方から話を持ち掛けてくれた。良い相談相手だった」と女性は振り返る。
母の死後、母方の祖父母は父親を「おまえが殺したんだ!」と罵倒した。生活費も祖父から借りており、父親との仲が以前から悪かった。高校の学費の支援は打ち切られ、奨学金を借りてまかなった。大学卒業までの総額は一千万円以上になりそうだ。
「自殺の有無に関係なく奨学金は受けていたと思う。ただ父は生活への不安からか、かなり多めに借りている。母がいてくれたらブレーキをかけて、額はこんなに膨らまなかったんじゃないか。来春から社会人になるが、返済できるか不安が残ります」
母の自殺は誰にも打ち明けられなかった。高校の友人らには「病死」とうそを言った。「病死なら『大変ね』で済むが、自殺だとイメージが悪いから」。学校で何度も泣きたくなったが、我慢するしかなかった。スタールカウンセラーにも、自殺だと言えなかった。
遺書はなく、自殺の原因はわからない。父が転職を繰り返し家庭の収入は不安定だった。母は家計のやりくりに苦労していたようだった。母親は統合失調症を患い通院していたが、日常生活に支障はなかった。
首をつる直前、母は自室の壁越しに、女性に何か話し掛けた。宿題に集中していた女性はよく聞き取れず、「何?」と大声で返事をした。母の返事はなかった。母が意識不明で見つかったのは、その後だ。
自責の念が消えない。あの時、宿題をやめていれば、母は生きていたんじゃないかと、いつも考える。「母の自殺は、自分のせいだと思っています」
女性はいつも、母の形見の腕時計を身に着けている。奨学金返済への不安、自責の念、家族のいない寂しさにさいなまれた時に、じっと見詰める。「腕時計を見ているだけで、心の支えになるんです。同時に、ごめんねっていう気持ちにもなります」
関東地方の私立大学二年の男性(ニー)は小学四年生だった二〇〇三年五月、建設業を営んでいた父親を亡くした。「当たり前の存在だった父が突然いなくなったことが、何よりショックだった。ほかの家庭と比べて劣等感にもなったけど、我慢するしかなかった」と話す。
父は、建設現場にあるプレハブ事務所で、練炭やストーブから一酸化炭素を発生させて自殺した。
「いつも一緒にいた父が急にいなくなったのが悲しくて、寂しかった」。母からは「事故で死んだ」と聞かされた。担任から父の死を知らされたクラスの友人が、家族の話を避けてくれたことがありかたかった。
「自分はほかの子どもとは違うんだ」という負い目のような気持ちが消えなかった。
高校二年の時、母に詳しく尋ね、真相を知った。仕事関連の借金苦だった。
「自殺は病死よりイメージが良くない。自殺であってほしくなかった」。父親の死をますます、人に話せなくなった。
母がガソリンスタンドで、夜間や土日も働いて家計を支えた。父の生前より会話をする時間は減ったが、母の姿を見て「自分も頑張らなきや」と考えさせられた。
父の自殺から十年以上がたった。「もう吹っ切れた。父は死ぬ前に悩んだのだろう。。父を恨んではいない」と男性は話す。
「でも、自ら命を捨てるという選択肢が正しかったとは思えない。僕も悲しかったし、母もつらかったはずだ。借金の話は、家族でどうにかできたんじゃないか。何とか生きる方法を考えてほしかった」
誰か話を聞いて
内閣府などのまとめによると、国内の自殺者は一九九八年から二〇一一年まで十四年連続で年間三万人を超え、○三年には過去最多の三万四千四百二十七人に上った。一二年に二万七千八百五十八人と三万人を割り込み、一三年は二万七千二百八十三人だった。
国は○六年に、自治体や企業に自殺防止に取り組むよう明記した「自殺対策基本法」を制定した。世界自殺予防デーの九月十日から一週間を「自殺予防週間」とし、啓発も始めた。自治体の予防活動に充てる基金も設置した。
ただ、WHOが今月四日に発表した報告書では、十万人当たりの自殺者数を示す自殺率(年齢調整後)は、日本は一八・五人で、世界平均の二・四人よりも約60%高い。
「自殺は今も大きな問題だ」と、命を絶とうとする人の相談に乗るNPO法人「自殺防止ネットワーク風」代表で住職の篠原鋭一さんは話す。
厚生労働省の人口動態統計によると、一二年は男性の十五~四十四歳、女性の十五~二十四歳の死因の一位は自殺だった。小さな子どものいる親の年代が含まれる。「自殺で生活の柱を失うことで、遺族が経済苦につながるケースが多い」(篠原さん)
親を失った子どもたちを支援するNPO「あしなが育英会」は、自殺や病気で親が他界した世帯などへのアンケートを、昨年末に実施した。回答した二千二百七十三世帯のうち、保護者が働いているのが74・7%で、四分の一にあたる23・4%は仕事がなかった。就労世帯でも月収十五万円未満が過半数だった。
篠原さんは続ける。「遺族の若者は身近な人がいなくなった喪失感、悩みに気づけなかった自責の念などを抱えている。話を聞いてくれる人が一人でもいれば心の負担は軽くなる。周囲にそういう人がいれば、気を配ってほしい」
平成26年版自殺対策白書 概要
(内閣府)
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2014/pdf/gaiyou/index.html
WHO自殺に関する報告書
自殺を予防する:世界の優先課題
http://www.who.int/kobe_centre/mediacentre/ja/
自殺は多大な犠牲を強いる。毎年、80万人以上の人々が自殺により死亡し、15歳から29歳の死因の第2位である。成人1人の自殺による死亡には、20人以上の自殺企図があると指摘されている。
自殺は世界的な現象である。すべての国が影響を受ける。自殺は高所得の国々によく見られるものであるという先入観に反し、現実には自殺の75%は低中所得の国々で起きている。自殺は生涯をとおしての重要な死因である。自殺の企図や自殺で死亡する個人へのインパクトに加え、強力な波及効果は、家族、友人、地域、そして国々と広範囲に及ぶ。
自殺は予防可能である。国としての対応が効果的であるためには、包括的な多部門による自殺予防戦略が必要である。
その効果を確かなものにするために、国の戦略は政府や民間レベルでの保健医療および保健医療以外の部門の連携を含むべきである。それは地域を関与させ、メディアによる責任ある自殺報道を促すべきである。特にそれはメンタルへルスとアルコールに関する政策とともにサーベイランスを改善すべきものである。早期予防は開発されるいかなる戦略においても核をなす要素とすべきである。
自殺手段へのアクセスを制限することは効果がある。自殺や自殺企図を予防するための効果的な戦略は、農薬、銃器、特定の医薬品を含む最も一般的な手段へのアクセスを制限することである。
手段へのアクセスの制限は、特に衝動的な自殺の場合に、自殺予防における重要な役割を果たす。地域介入を伴う効果的な政策の実施は、手段への制限による自殺の減少に役に立ってきた。
ヘルスケアサービスは、自殺予防を核となる構成要素として組み込む必要がある。精神障害やアルコールの有害な使用は、世界中で多くの自殺の一因となっている。早期発見と効果的なマネジメントは、人々が必要なケアを受けることを確実にするための鍵となる。
援助を希求する人々へのケアの質を向上させると、早期介入が効果的なものになる。ケアの質の向上は、精神障害やアルコール使用障害、その他の危険因子の結果として生じる自殺を減少させる鍵となる。メンタルへルスやアルコールの政策はケアを優先事項とし、ヘルスケアサービス全体への良好な統合を促し、これらのサービス向上への十分な資金を支援すべきである。
地域は自殺予防において重要な役割を果たす。地域は脆弱性の高い個人への社会的支援を提供し、フォローアップケアに取り組み、スティグマと闘い、自殺で遺された人々を支援することができる。
すべての国々で、特に資源が限られた国において、地域と地域における自殺予防のための支援プログラムが重要であることは言い過ぎることはない。地域における効果的な社会的支援や個人のレジリエンスは、社会的つながりや困難への対処スキルを構築し改善することで、脆弱性の高い人々を自殺から守ることができる。特に、地域は危機的状況において支援を提供し、自殺企図をした人と定期的に連絡を取り、自殺で遺された人々を支援することができる。
○●○●○●○●○●
FLASH発売中止と「報ステ」記者の謎の自殺について。- 2014.09.09
http://youtu.be/7SM3MZCLz5o
FLASH:最新号を発売中止「一部の記事に不備」(毎日新聞)
<反原発>ディレクター衝撃の自殺!テレ朝が古舘伊知郎を見限った!(FLASH)
セレブSEX写真で?フラッシュ発売中止(日刊スポーツ)
訃報 報道ステーション 岩路真樹記者 ホンマ、悲しいです 追記あり
http://www.imanishinoriyuki.jp/archives/40635070.html
昨夜、いっぱいやっていたら、よういっしょに仕事してた、テレビ朝日の報道ステーション、岩路記者が亡くなったとの報が飛び込んできた。
絶句やった。
原発報道、テレビでは、岩路記者の右に出る記者はおらんかった。
テレビ局の中には、TEPCOにとりいって、原発独自取材を目論むヤツ、けっこといるんやって。
原発、ヤバイと報じる岩路記者。
風当たり強いことあったそう。
けど、岩路記者は、まったくTEPCOにとりいるようなかけらもなく、被災者目線で報じていた。
今年3月の福島の甲状腺ガン問題を報道ステーションでやったのも岩路記者。
聞いた話やけど、古舘キャスターも、高く評価していたそうよ。
ワシと原子力ムラの陰謀もやった。
福島のデタラメ除染も、いっしょに報じた。
こないだも、広島の被災現場のことや、次にいっしょにやろうってしていた、新しいネタの話をしたばっかり。
いまも、信じられんです。
なんでやのん?
しかも、自殺とは。
ご冥福をお祈りしますm(_ _)m
追記
岩路記者のご逝去について、たくさんのメッセージが寄せられました。
私は先に書いた内容の情報しかを持ち合わせていません。
そないな状況なので、これ以上、なにもわかりません。
いろいろな話が出ているようですが、ご遺族もいらっしゃいます。
そのような中で、仮定で話をするような気持ちにはなれません。
いっしょに仕事をし、ネタを追っかけ、権力と戦ってきた同志として、ただ、涙するばかりです。
岩路さん、ありがとう、おおきに。
ご冥福をお祈りいたします。
報道ステーション、岩路記者「最後の仕事」にまた涙
http://youtu.be/tJ71VqhGmgM
9月5日放送の報ステ内で不自然なテロップが流れる
<メッセージテロップ>「原発事故関連のニュースをきょうも放送できませんでした 時間がなくなったからです。」8/5報道ステーション
(みんな楽しくHappy♡がいい♪)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3885.html
番組の最後に流れたテロップ。
確かに、ちょっと変な文章です。
わざわざ、「今日も時間がなかったからできなかった」と、テロップで流すでしょうか?原発事故関連のニュースをするかどうかは、お約束事ではないのですから。
そして、この不自然なテロップは亡くなった岩路ディレクターに関しての暗号ではないかと今、ネット上で言われています。
この事に気が付いた人はすごいと思います。
確かに、テロップが流れたモニターを見た古舘さんは、いつものようにさらさらと流れるように話していませんでした。
言葉で「ディレクターが亡くなった」という事を言えないほどの状況になっているのだと、私は思いました。
原発事故関連のニュースをきょうも放送できませんでした時間がなくなったからです。申し訳ありませんでした 原発事故関連のニュースをきょうも放送できませんでした 時間(じま=路真=岩路真樹ディレクター)がなくなった(亡くなった)からです。
申し訳ありませんでした
自宅で亡くなっているのを発見されたのが2014年8月30日。
そして7日後金曜日の放送の出来事でした。
FLASHが発売中止 光文社「記事に不備」
(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201409/CN2014090801001927.html
光文社は8日、写真週刊誌FLASHの最新号を発売中止にすると明らかにした。同社広報室は「一部の記事に不備があった。読者や関係者にご迷惑をお掛けし、深くおわびします」としている。
最新号は9日発売予定。同社は、問題があった記事の内容について明らかにしていない。「外部からの指摘ではなく、社内の精査で引っかかった。最新号は一般に流通していないので、記事の内容についてはコメントを差し控える」とした。
書店への配本は始まっているが、回収を進めるという。
日本雑誌協会が公表する同誌の部数は約21万4千部。
週刊フラッシュ9月23日号を入手した読者はご一報ください
2014年9月9日 8時50分 天木 直人 | 外交評論家
http://bylines.news.yahoo.co.jp/amakinaoto/20140909-00038952/
きょう9月9日の産経などが一段のベタ記事で書いていた。
光文社が明らかにしたと。
記事の一部に不備があったのできょう9月9日に発売予定の9月23日号の発売を中止したと。
しかし、私は朝5時に近くのコンビニですでにそれを買った。
そこにはテレ朝報道ステーション担当のディレクターの自殺にまつわる記事があったからだ。
このディレクターの自殺は、原発に反対して殺されたのではないかという声がネット上に飛び交っている。
しかし大手メディアは一切取り上げない。
果たして週刊フラッシュの急遽発売中止発表は、この記事が原因だったのか。
しかし私は既にこの週刊フラッシュ9月23日号を手に入れた。
読者の中で他にも手に入れた人がいたら教えてほしい。
光文社は、発売中止と発表しておきながら、間に合わなかったと言わんばかりに放置しているのではないか。
ばら撒いているのではないか。
権力側からの圧力に対する光文社の無言の抵抗ではないかとさえ思う(了)
<反原発>ディレクター衝撃の自殺!
テレ朝が古舘伊知郎を見限った!
(FLASH)
「番組の上層部が内々に”『報ステ』はあと1年で終わる”と関係各所に申し伝えているんです」
こう語るのは、現役のテレビ朝日局員。'04年4月にスタートしたテレビ朝日の看板番組「報道ステーション」が来年には終了するというのだ。
「早ければ来春の改編期に終了させる可能性がある」(前出の局員)
これまで10年間、『報ステ』に君臨してきた古舘伊知郎(59)。視聴率が再び低迷傾向にあるテレ朝において、10%台をコンスタントに稼ぎ出す古舘の「報ステ」に何が起こっているのか。
まず思い当たるのは、大問題となっているあの騒ぎだろう。
8月5日にテレ朝の大株主・朝日新聞に掲載された従軍慰安婦検証記事。これによって、同紙がこれまで「事実」と報じてきた従軍慰安婦問題の記事が誤報だったことが明らかとなったわけだが、そのことについて『報ステ』の中では一切触れられていない(9月5日現在)・『報ステ』関係者が語る。
「局内でも『番組で報じないのか?』という視聴者からの問い合わせも多く、当然、報道局にもその声は伝わっている。報道機関としてけっして無視しているわけではないが、どうしても朝日新聞の意向を汲まざるをえない」
看板キャスターである古舘にも責任はあるだろう。昨年の都知事選で元航空幕僚長・田母神俊雄氏を支援した経世論研究所所長の三橋貴明氏は言う。
「立候補者全員が集まって討論をしたんですが、古舘さんは明らかに反原発の立場で司会をしていて、原発再稼働て必要と訴えた田毋神さんに割り振られた時間も短かった。コメンテーターが思見を言うのはいいですが、司会の古舘さんが自ら突っ込んで意見を言うのはよくない。不偏不党、中立公正でないのだったら、最初から自分たちの考えを表明すればいい。『朝日新聞』り従軍慰安婦報道を含めて、古舘さんは報道機関として、国民のために報道していますかと問いたい」
「所詮、タレントだから…」テレ朝新社長はアンチ古舘
古舘を取り巻く環境も逆風が吹いている。折しも6月から『報ステ』の”生みの親”である早河洋・現テレ朝ホールディングス会長(70)から、朝日新聞政治部出身の吉田慎丁新社長(64)に代替わりした。この吉田氏が古舘のことを毛嫌いしているという。
「もともと早河氏の肝いりで古舘が起用されたため、幾度か降板説が流れた」ともあったが、早河政権時は安泰だった。しかし、吉田新社長はもとより古舘のことを”所詮、タレント”と低く見ており、早々に追い払おうとしている。朝日新聞から落下傘で社長になっただけにテレビの報道番組のことはよくわかっていない」(テレ朝関係者)
早河氏と古舘の間にも最近は距離があるという。別のテレ朝関係者の談。
「原発再稼働路線を邁進する安倍政権と緊密な早河会長は、反原発報道に力を入れたい古舘さんと考えの乖離が起きている。もともと東電は『報ステ』のスポンサー。原発再稼働を否定的に扱う報道を嫌う政府サイドの見えない力には逆らえない立場だ」
実際、古舘は原発報道に際し、3月11日放送の震災特集の中で、「日本には”原子力村”という村が存在し、積極的に原発を誘致してきた部分があった。(中略)もし圧力がかかって番組を切られても、それは本望です」と語っている。テレ朝サイドとなんらかの衝突があったことは想像に難くない。
そんな最中、さらなる衝撃情報が飛び込んできた。8月下旬、「報ステ」のディレクターで原発担当だったI氏(49)が自殺していたのだ。
「8月29日に都内の自宅で練炭自殺を図り、遺体となって発見されました。そこには遺書が複数残されていたそうです」(警察関係者)
前出・『報ステ』関係者によると。
「Iさんはとても正義感が強い人で、権力からの圧力をいちばん嫌っていた人。指図されるのが大嫌いで、ニュースは現場で自ら拾う。社会事件が専門で、原発問題ではその後の福島がどれだけ危険か、現地で徹底的に取材をしていた。それだけに”反原発”の企画が通らない現状に不満を抱いていた」
「まいったよ」取材先でもI氏は番組側に不満を…
I氏の知人によると、ここ最近は家庭の問題も抱えていたという。
「子供が3人おり、かわいがっていました。毎年、彼から来る年賀状には、妻を含めた家族全員で干支にちなんだ動物の着ぐるみを着て写っていたほど、子煩悩でした。しかし、最近は妻と不和だったそうで、彼自身が情緒不安定になっていたんです。公私の苦悩が彼を追い込んでいた可能性もあります」
I氏の別の知人も、彼が「報ステ」並びに古舘側に対し、「まいったよ」と愚痴をこぼしていたと本誌に証言する。I氏が担当したフランスでの現地取材の際、日本から訪れた古舘はじめスタッフ一同、車で長距離を移動する予定だったが、土壇場で古舘の事務所関係者が”体力的に疲弊してしまう”と、車での移動を拒否したという。
「結局、ヘリコプターを用意しなくてはいけない事態になったそうです。「あのときは疲れたよ」などと言っていました。あまり仕事のことは話さないIさんでしたが、飲みながら話していたんで、よっぽど不満を持っていたのでしょう。『テレビにいるとやれることと、やれないことがある』とも言っていました」(前出・知人)
本誌はI氏が住んでいた都内の自宅を訪れたが、家族の姿はなく、玄関には友人からと思われる花束や線香が供えられているだけだった。
「現在の報道局の雰囲気は最悪に近い。I氏の自殺で、「報ステ」はこのままでいいのか・という報道局員の疑念が生まれているのは確か」(テレ朝関係者)
古舘降板の”Xデー”が近づきつつある「報ステ」。昨今のテレビ界における懐事情も影響していた。
「以前、ウチは『ニュースステーション』時代に久米と制作会社「オフィスートウー・ワン」に年間20億円を払っていた。『報ステ』になり、古舘本人と、彼が所属する『古舘プロジェクト』へ年間約10億円と半減させた。だが、現在はこれより上がっている。正直、ギャラの高騰も打ち切りの大きな理由のひとつだ。ただ、この放送枠はニュース番組にする方針は変わらない」(テレ朝関係者)
「以前の久米時代の『オフィスートウー・ワン』のように、『古舘プロジェクト』が「報道ステーション」以外の番組人事や金銭面にも口を出して、局側が煙たく思うようになっている。ある女性アナウンサーは『あの空気が苦手。芸能プロダクションのやり方で、報道番組ではない』とつぶやいていた」(番組関係者)
”後任”は誰になるのか。一部では昼の情報番組『ミヤネ屋』(日本テレビ系)でお馴染みの宮根誠司(51)の名前が挙がっているが…。
「テレ朝に奪われた年間視聴率ナンバー一の座を再び奪還しようと目論んでいる日テレが、上半期の視聴率3冠王の立役者である「ミヤネ屋」の宮根を最大のライバル局に放出させることはまず考えられない。宮根の流出阻止のため、待遇もギャラも上げていると聞いている」(芸能プ囗関係者)
では後釜の”本命”は-。
「現在はテレ朝の朝の情報番組『モーニングバードー!』キャスターを務める羽鳥慎一が最有力だ。もともと1年に日テレを退社し、宮根と同じ芸能事務所に所属したときから”ゆくゆくは『報ステ』の後任を”という約束をしていたという話もある。会長の早河氏は大手芸能プロ幹部と蜜月の関係といわれており、その意向を無視できない面もある」(芸能プ囗関係者)
早河氏の真意やいかに。9月上旬の朝、都内の自宅前で迎えのハイヤーに乗り込むところで声をかけたが、苦虫を噛み潰したような顔で無言のまま、何も答えることはなかった。
I氏の自殺と「報ステ」の来春打ち切りについて、テレ朝と古舘プロジェクトに質問状を送ったところ、テレビ朝日広報部が代表してこう回答した。
「当社の番組にとって大切なスタッフを失い、残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。ご指摘のような悩みについては聞いておりません。詳細についてはプライバシーの問題もあり差し控えさせていただきます。
また、「報道ステーション」の存続やキャスターの降板に関しては、ご指摘のような事実はありません」
《口にさるぐつわした状態で10年経った-》
7月14日号の「AERA」で約10年ぶりというインタビューに登場した古舘は「報ステ」との10年について、次のような辛辣な言葉で語っている。
《口にさるぐつわした状態で10年たったわけです》
《世の中ってうそ八百で成り立ってるし、ホントのところは新聞も雑誌もテレビも伝えないし、(略)ほとんどがお約束で成り立っているわけ》
《ニュースに向いてないんです。無理してやってるんですよ》
かつて実況していたプロレスでは、過激な言動を連発していた古舘。その過激さにさるぐつわをされ、逆に過激な言葉で自らの心境を吐露したのか。
「今年の春に古舘さんの右腕ともいわれ、「報ステ」の立ち上げから参加している古参の「古舘プロジェクト」幹部が一線を退くなど、信頼できる人材が去ったことも影響している。明らかに古舘も局サイドに不満があり「もうやめたい」と漏らしていた。11年ぶりに単独トークライブを再開するのは、「報ステ」後を考えた”就活”ともいわれている」(番組関係者)
元「週刊朝日」編集長の川村二郎氏は古舘氏についてこう語る。
「そもそも古舘」はプロレス中継でわかるように絶叫タイプで、事実を伝える報道番組には不向きな気がします。取材経験が乏しいのに、深刻な顔をして使いなれない言葉で解説しても、トンチンカンで説得力がない。我々のようにNHKの「ニュースセンター9時」の磯村尚徳キャスターを知る者には痛々しい。磯村さんには知性と教養とユーモアがありましたから。古舘さんには、日本語の勉強をしてもらいたいですね」
古舘がいまだに強く意識する久米宏が『ニュースステーション』を降りたのは59歳だった。古舘は今年12月に還暦を迎える-。
報道SPエンディングで古舘伊知郎決意表明3/11
http://youtu.be/850uNigyfik
平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業
(不正確情報対応)
http://www.enecho.meti.go.jp/appli/advertisement/110624b/
次のとおり一般競争入札に付します。
平成23年6月24日
支出負担行為担当官
資源エネルギー庁長官官房総合政策課長 小宮 義則
仕様書
http://www.enecho.meti.go.jp/appli/advertisement/110624b/pdf/aplad_110624b_0212.pdf
1.件名
平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)
2.事業目的
ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する。
3.事業内容
① ツイッター、ブログなどインターネット上の原子力や放射線等に関する情報を常時モニタリングし、風評被害を招くおそれのある正確ではない情報又は不適切な情報を調査・分析すること。モニタリングの対象とする情報媒体及びモニタリングの方法については、具体的な提案をすること。
② 上記①のモニタリングの結果、風評被害を招くおそれのある正確ではない情報又は不適切な情報及び当庁から指示する情報に対して、速やかに正確な情報を伝えるためにQ&A集作成し、資源エネルギー庁ホームページやツイッター等に掲載し、当庁に報告する。
③ Q&A集の作成に際して、必要に応じて、原子力関係の専門家や技術者等の専門的知見を有する者(有識者)からアドバイス等を受けること。また、原子力関係の専門家や有識者からアドバイス等を受ける場合には、それらの者について具体的な提案をすること。
④ 事業開始から1ヶ月程度で30問以上、事業終了時までには100問以上のQ&A集を作成すること。
以下略
「不適切な情報」とは何ですか!(;`O´)o
原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報に対する常時モニタリングに関する会長声明
(日本弁護士連合会)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110729_4.html
政府は、本年7月、「ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する」ことを目的とする原子力安全規制情報広聴・広報事業について業者に発注した。
原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報に対する常時モニタリングは、新聞・テレビを対象に過去3年間行われていたが、今年度は、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、ツイッター、ブログなどを対象に予算を8300万円とこれまでの数倍規模に拡大して行うこととしたものである。
この事業においては、「常時モニタリング」すること、さらには、不正確とされる情報等に対して「速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くこと」とされているが、原子力発電や放射性物質の健康被害に関する情報は、科学的に評価が定まらないところもあり、何が「不正確な情報」であるかの根拠が不明確である。そのため、これによって、政府が「不正確」と考える情報を一方的に批判することにより、情報を発信する者に対して萎縮効果を与える結果となり、憲法21条の表現の自由を侵害する恐れが大きい。
そして政府の考える正確な情報に導くことは、政府の発信する情報と異なる情報の流通を制限し、国民の知る権利を制限することとなり、原子力発電についての世論形成をゆがめるなど、民主主義社会の根幹を揺るがせる重大な問題であると危惧せざるを得ない。
そもそも、政府による原子力事故に関する情報開示自体が不十分なものであることは、事故直後に放射性物質拡散予測情報が公開されなかったこと、炉心内の状況について事故直後の原子炉の状態に関する情報がいまだに明らかにされていないこと、メルトダウンしていることが隠ぺいされ続けたこと、放射性物質が健康被害をもたらす閾値などについて十分な根拠が示されていないことなどから明白である。また、九州電力のやらせアンケート事件によって、原発問題については、不正な情報操作さえ行われる事実が明らかになった。そればかりか、本日の報道によれば、経済産業省原子力安全・保安院が2007年8月に国が開催したプルサーマル発電に関するシンポジウム前に、地元の住民に賛成の立場で発言してもらう「やらせ質問」を中部電力に要請していたことが判明した。
このような背景の下、市民はより正確な情報を求めようとして、これまでインターネットを利用する機会が少なかった人までもが、専門家やジャーナリストらがツイッターやブログで発信する情報を得ようとしたり、有益だと思える情報をツイッターなどで相互に伝えようとしているのである。
むしろ政府が行うべきは、正確な根拠を引用した具体的網羅的な情報の開示であり、自らが十分な情報を開示しないでおきながら、市民の間における情報流通の制限につながる試みを行うことは、情報統制である。その上、前述のとおりの情報操作の動きがあることも併せ考えれば、問題の深刻さを示している。
当連合会は、政府に対し、直ちに本件モニタリングを中止することを求めるものである。
2011年(平成23年)7月29日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
第86~89回小出裕章ジャーナル
女優・木内みどりさんが語る無関心の大罪。この国に生きる責任とは?
(ラジオフォーラム#89)
http://youtu.be/dIMckc7KH6k?t=14m36s
14分36秒~第89回小出裕章ジャーナル
新安全基準は世界一厳しい?「ほとんどの日本の原発は90年頃までにできてるわけですから、そんな古めかしい原発が世界一の基準に合うはずがないわけです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no89/
今西憲之:
政府や総理大臣の安倍さんが最近、「また原発再稼働させます」みたいなPRを始めました。鹿児島県の川内原発は審査に合格しました。世界で一番厳しい規制基準だということで、政府は胸を張って言っておりますけれども、「世界で一番厳しい基準」これ聞かれて、小出さんはどのようにお感じになられますか?
小出さん:
はっきり言ってしまえば「冗談を言わないでくれ」と思いました。
今西:
けど、その冗談を当たり前のように本気になって言っておるようなんですが、実際、原発を持つ国はたくさんありまして、欧米の基準なんかと比べまして、今回、世界で最も厳しい規制基準だと言っている点について、実際、どうなんでしょうか?
小出さん:
今、日本で基本的に動いている沸騰水型原子力発電所、加圧水型原子力発電所というのは、米国のエネルギー省の分類に従えば、第2世代と呼ばれている機体に属しています。その機械の事故の経験とか、様々なトラブルの経験を経て、第3世代の原子力発電所を造るという、今、時代に入っています。
沸騰水型原子炉
加圧水型原子炉
例えば、ヨーロッパでは、欧州加圧水型原子炉というものを造ろうとして、私達「EPR」と呼んでいますが、そのEPRでは、もちろんフィルターベルトはもう義務付けられていますし、溶けてしまった炉心を受け取めるだけのコアキャッチャーというような構造物を付けるということも義務付けられていますし、格納容器も頑丈なもので二重構造にするというような基準にもなっているわけで、そんなものから比べれば、日本で今動いている原子力発電所など全くもう古めかしいものでしかないということになってしまいます。
今西:
EPRというのは、もうヨーロッパにはどれぐらいの数あるんでしょうか?
小出さん:
ないのです。今のフィンランドでオルキルオトという所に造ろうとしていますけれども、安全性を高めようとすれば、高めようとするほどお金もかかってしまうし、建設も大変だということで、ヨーロッパでなんとかこれからやろうとはしているわけですけれども、本当に、これが実用化できるかどうかわからないという、そういう状態になっています。
今西:
なるほど。商業ベースで考えると、それが採算に合うかどうか、なかなかわからないと。
小出さん:
多分、合わないと私は思いますし、安全性を求めれば求めるだけ、今度は、経済性が成り立たなくなりますので、やはり、原子力というものは無理だと思った方がいいと思います。
今西:
なるほど。今回の世界で最も厳しい規制基準だということで、胸を張ってるわけなんですけれども、逆に上がもう存在しているということなんですね。
小出さん:
そうです。ですから、もう日本の古めかしい原子力発電所、70年頃から、例えば敦賀美浜なんて動いているわけですし、ほとんどの日本の原子力発電所は、90年頃までにできてるわけですから、そんな古めかしい原子力発電所が世界一の基準に合うはずがないわけです。
今西:
そんな中で、もし、その欧州型の原発がそれほど安全性が高いということであれば、これ逆に考えれば、「東京ですとか大阪の大都会に、そういう原発を造ったらどうなんだ」みたいな論議が出たりしないのかなあとか思ったりもするんですが。
小出さん:
もちろん、当初からそうやるべきだったのですね。「原子力発電所が安全だ」というなら、電力が消費地に造るのが一番合理的なわけです。でも、それができないで、原子力発電所だけは過疎地に押しつけるということを日本もやってきましたし、世界中でそれをやってきたのです。本当に原子力を推進する人達が、絶対に安全な原子炉が造れるというなら、もちろん電力の消費地に造るべきだと私は思います。
今西:
そうですよね。結局、電力の消費するのは都会が圧倒的に多いわけででして、原発の周辺住民がそういう危険を引き受けるという構図というのは、やっぱり、終わりにせんといかんですよね。
小出さん:
そうです。そんなことは始めからやってはいけなかった。そのことだけ考えてもやってはいけなかったんだと、皆さんが気が付かなければいけないと思います。
今西:
小出さん、今日はスタジオに女優の木内みどりにお越し頂いておりまして、木内さんもぜひ、小出さんにいろいろお伺いたいということなんですが、木内さんから、ぜひ聞いて頂ければと思います。
木内みどりさん:
原子力のことじゃなくてもいいですか?
今西:
どうぞ。
木内さん:
私が小出さんに聞きたいのは、お育ちになる過程で誰かの言葉がすごく自分の変わり目だったとか、例えば少年期に読んだ本とか、どっかの誰かが言った言葉とかで影響されたことって何かありますか?
小出さん:
特別、象徴的な、この言葉がというのは特に記憶にありません。ただ、私の周りにももちろん、みどりさんの周りにも、今西さんの周りにもたくさんの方が生きていたはずですし、私の周りにもいろいろな方がいて、そういう方々一人ひとりからいろいろな影響を受けたということはもちろんありました。実際にお会いできなかった人の中でも、例えば田中正造さんであるとか宮沢賢治さんであるとか、私が生きていく上で、指標になるような言葉を彼らから学んだということはあります。
木内さん:
私の場合は、小出さんが私にとっての指標なんですね。なので、その秘密をどうしても知りたいんですけど、例えば、お母様からは相当な影響を受けていると思うんですけれど。お答えになれる範囲で結構なんですが、やっぱり小出さんのお母さんというのは、時代的にも、そしてお兄様のことを考えてもすごく頭のいい方で、そして、その時期、お兄様も含めて、どうやって小出少年、2人の男の子を育てたのかなあって。お母さんが、他のお母さんと違っていた点というのを思い付きますか?
小出さん:
思い付きません(笑)。というか、私は東京の下町の零細企業の家に生まれたのです。父親は戦争に招集されて出て行ったのですが、その父親も本当であれば、大学などに行って勉強したかったと思っていたはずなのですが、そういうことも許されない時代に私の父親が生きていました。
それで、私と兄を育てる時に、私の父親は何も残してやれるものはないけれども、勉強だけはさせるという風に言っていました。その中で、実際に私の面倒をみるというか、学校に行かせる、あるいは、弁当を作るというようなことも含めて、ひとつひとつのことを私のお袋はやってくれたということです。
ただ、大学に行く時には、もうこの親からは自立したいと思いましたので、必ず自宅からは離れる、東京からも離れるというふうに思っていました。それで実際に、東北大学という所に私は行ったわけですが、その時点で、私は家というつながりからは切れたし、お袋というつながりからも基本的には切れたわけです。ですから、ときどきお袋は「あの時、あんたは出て行っちゃって、それ以降帰ってこなかったね」というようなことは、よく聞かされてきました。
木内さん:
お母さんはお元気ですか?
小出さん:
はい。2年半ぐらい前になりますけれども脳梗塞で倒れまして、今、療養中です。あまり元気とは言えませんが、まだ生きていてくれますので、ときどき顔を見に行きたいと思っています。
木内さん:
私にそういう力があればですけど、小説を書く力があれば、私は小出さんのお母さんを取材して、いっぱい聞いていろんな写真を集めて、少年・小出裕章子育てとお母さんの時代というのに迫ってみたいなあっていう風に時々思います。
小出さん:
そんなことをしても何にも出てこないです(笑)
今西:
たまには、こういう話がオンエアされるとリスナーの方も、逆の意味で、興味を持って聴いて頂けるかなあと思ったりもいたしますが。小出さん、どうもありがとうございました。
「新安全神話」というリスク 原子力規制委員会の虚妄
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月11日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014091102000173.html
原子力規制委員会は十日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の再稼働にお墨付きを与えた。安倍首相が「世界で最も厳しい」と評する新規制基準をクリアしたとするが、当の規制委員長は「絶対に安全とは言えない」と語っている。福島原発事故をどうみているかが、信用の基準になりそうだが、分析しているメンバーは原発推進派一色。「名ばかり規制」の懸念は強まるばかりだ。
(榊原崇仁、林啓太)
「絶対安全」と言えず
「火山審査をやり直せ」「再稼働反対」。10日午前、東京・六本木の原子力規制委員会前。川内原発の審査結果の決定に反対する市民団体のメンバーたち約50人が抗議していた。
国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花(かんな)理事は「噴火予知の専門家が審査書に疑義を示し、避難計画の実効性は審査の対象外だ。委員らは再稼働ありきの政治的判断を科学に優先させた」と憤った。
福島原発事故で安全神話は崩壊した。ただ「新規制基準への適合」には新たな安全神話の匂いがする。
安倍首相は新基準を世界で最も厳しいと評価し、規制委の田中俊一委員長も、新基準に基づく川内原発の安全性を「ほぼ最高レベル」と自画自賛している。
規制庁技術基盤課の担当者は「非常用電源を確保する日数は米仏が3日なのに対して、日本は7日」とその理由を力説する。
しかし、そこに本質はない。福島原発事故以前の安全基準と今回の規制基準には大きな隔たりがある。それは、今回の基準が過酷事故が発生する可能性を否定していないことだ。
過酷事故想定 対策おざなり
新基準の目玉は、5層の防護だ。旧基準は①非常用電源などを充実し、異常や故障の発生を防止②異常や故障が起きた際、素早く検知し対応③炉心の損傷を設計基準内に抑制─の3層によって過酷事故発生を否定した。だが、これが崩れたことで、新基準では過酷事故を想定し、④放射性物質の放出の抑制⑤放射性物質の放出による人的被害の緩和─の2層を加えた。
しかし、川内原発では避難計画の策定を自治体任せのまま「適合」とした。最後の1層は有名無実だ。規制庁広報室は「地域の方々が地元の実情に応じて対策をつくっている」と「不介入」の姿勢を強調した。
過酷事故の可能性を否定せず、対策もおざなり─これが現実だ。規制委の田中委員長も会見で「絶対に安全だとは私は申し上げません」と繰り返している。2006年に初めて原発運転の差し止め判決を出した元裁判官の井戸謙一弁護士は「新基準に適合と判断することは、安全だと判断することと同じことだ」と、この釈明に首をかしげる。
では、事故が起きた際に誰が責任を取るのか。
政府は安全性について規制委に責任を負わせる考えを示す。4月に閣議決定したエネルギー基本計画では「原発の安全性については規制委の専門的な判断に委ねる」などと明記した。安倍首相も川内原発をめぐり「安全だという結論が出れば、再稼働を進めたい」と規制委にげたを預ける。
ところが、規制委は田中委員長が「(再稼働は)事業者(電力会社)と地域住民、政府という関係者が決める。私たちは関与しない」と明言している。つまり、福島事故同様、誰も責任を取らないつもりだ。
組織の中立性も疑問
それでも、規制委は福島原発事故後にできた組織なので、安全は保証されるはずだと考える人は少なくない。だが、それが「思い込みにすぎない」と言わざるを得ない根拠がある。
規制委員会も福島原発事故を分析析している。「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」という有識者会合を昨年5月から始めた。
政府や東電は「津波が原因」という見解だ。検討会ではこれを追認する方向で議論が進んでおり、7月の中間報告案では地震で機器が破損し、事故につながった可能性に言及した国会事故調の指摘を否定した。
元東芝の原発設計技術者の後藤政志氏は「原因究明には炉心溶融などの現場を徹底調査することが不可欠だ。だが、まともに立ち入ることができず、『津波が原因』とは言い切れない」と見立てを批判する。
だが、この方向性は検討会のメンバー一覧を調べてみると、納得がいく。破綻した安全神話をかつて流布していた人たちばかりで、原発に批判的な専門家は完全に排除されている。
原発業界との関係でみてみる。メンバーの一人、京都大の高木郁二教授は2010年度から2年間、核燃料などを研究する「日本核燃料開発」から計140万円の研究助成を受けた。
東京大の高田毅士教授も原子炉建屋を建設した竹中工務店から、計150万円の寄付を受けていた。
北海道大の奈良林直教授は、東電から10年度に研究費425万円を受け取った。同教授は7月の検討会で、国会事故調による作業員の聞き取り調査について「発言を強要するようなことがあったと聞いた」とまで発言している。
国会事故調委員だった放射線医学総合研究所の元主任研究官、崎山比早子氏は「全く失礼な話。国会事故調は法律に基づいて設置されており、委員は職責の重みを感じて調べた。国民の信頼を裏切る行為などできるわけがない」と憤る。
国会事故調は福島原発事故の原因に「規制当局が電力事業者の虜(とりこ)になった」と指摘し、中立的な立場からの規制を求めた。しかし、現実はそれとは程遠い。
検討会の事務方も原発推進の経済産業省出身者が目立つ。緊急事態対策監の安井正也氏は資源エネルギー庁原子力政策課長などを歴任。山本哲也審議官は原子力安全・保安院首席統括安全審査官だった。
こうした傾向は検討会に限った話ではない。
規制委の5委員のうち、田中俊一委員長、中村佳代子、更田豊志両委員は09年度以降、原子力関連の団体から講演料など50万円前後を受け取った。今月から委員に就く東京大の田中知教授も日本原子力産業協会の理事を務め、東電の関連団体「東電記念財団」から11年度に50万円以上の報酬を得ていた。
「規制側の倫理観が完全に崩懐」(崎山氏)している現状は、規制委の人員配置からも明らかだ。
規制委は各地の原発再稼働を急ぐためか、新基準の適合審査には事務方(規制庁)の100人を割く。昨年7月の審査申請開始時と比べて、40人も増えた。一方、汚染水問題が暗礁に乗り上げている福島第一原発の現場には、わずか10人を割いているだけだ。
前線基地の福島第一原子力規制事務所の大林昭所長はため息を漏らす。「365日、24時間の対応が求められる。初めて経験するトラブルも少なくなく、入手が足りない。限られた人員での仕事なので、被ばく線量が集中的に多くなる。増員を求めたが、応じてもらえてない」
汚染水は確実に周辺地域をむしばんでいる。本来なら、再稼働ところではないはずだ。規制委には解体的な再編が求められている。
原発事故自主避難を考える(ラジオフォーラム#88)
http://youtu.be/0g_g6rg2izc?t=15m59s
15分59秒~第88回小出裕章ジャーナル
中間貯蔵施設受入れと避難の関係性について「押し付けられてしまえば、もっと長い間にわたって戻れなくなるということです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no88/
景山佳代子:
まず、最初にちょっと簡単な伝言があります。この間、先日仙台の方に行ってきた時に、女川の高野町会議員の方が、「実は先日、小出さんが来てくださって、加藤登紀子さんと講演してくださったんですよ。ありがとうございました」ということと。まだもうひとつあるんですが、前双葉町長の井戸川さんが、「小出さんのお話聞いてると、ずっとぶれずに情報発信してくださって信頼できる人です」ということをおっしゃっていたので。
小出さん:
井戸川さんこそそうで、ありがたいと思っています。
景山:
というのは、最初に伝言をお伝えして、早速なんですけど、まず「2014年8月30日、除染で出た汚染土等を保管する中間貯蔵施設を受け入れる」というふうに、福島の県知事の表明がありましたが、これ中間というからには、やっぱり最終処分場へいずれ移すということなんだと思うんですけれども。実際、こういうことって可能なんですかね?
小出さん:
できないです。
景山:
できないですよね。やっぱり、これで帰還しようと思ってる人達というのは、さらに帰還が難しくなっていくんではないかなあというふうに考えてるんですけれどね。
小出さん:
そうです。中間貯蔵施設を押し付けられてしまいそうになっているのが大熊町と双葉町ですけれども、今でも大変汚染の強い状態にあって、100年経って戻れるのか200年経って戻れるのか私にはわかりませんが、中間貯蔵施設というようなものを押し付けられてしまえば、もっと長い間にわたって戻れなくなるということです。
景山:
今回実は、そういう放射能の被ばくのこういう不安とか恐怖というところから、実は自主避難されてきてるのが、森松さんと太田さんなんですけれども。このおふたりが今回、子どもの健康というのが一番関心事ですね、母子避難されていて、この際ですからということで、小出さんに聞きたいことがあるというので、まずは、森松さんから質問させて頂きますので、よろしくお願いします。
森松明希子さん:
いつも本当に、情報発信をしてくださいましてありがとうございます。今日はよろしくお願いします。事故直後に政府は、私達普通の人間は当初、1ミリシーベルトまでが 放射線被ばくの限度だったのが、法律で20ミリシーベルトに引き上げて、未だにそういう基準値を引き上げたまま放置していて、「耐えなさい」というような、基準値を引き上げるというのは、我が国は法治国家ですよね、子どもも含めて耐えなければいけないというのは、どう考えたら・・・。
小出さん:
普通の皆さんは、日本が法治国家だと思ってきたのだと私は思います。でも実は違ったのです。この国は、普通の方々には1年間に1ミリシーベルト以上の被ばくをさせないということを法律にしてきた国なのですけれども、福島第一原子力発電所の事故があまりにも過酷だったがために、もう自分で決めた法律も守れない、もう反故にしてしまうと彼らは勝手に法律を決めてしまったのです。ほんとに、デタラメな国だと私は思います。
景山:
続きまして今度は、水戸から避難されている太田さんからご質問があるので、こちらも聞いて頂いてよろしいですか?
太田歩美さん:
小出先生、太田と申します。こんにちは、よろしくお願いします。私が小出先生にお聞きしたいことは、内部被ばくと外部被ばくのことについてです。特に、内部被ばくなんですけれども、内部被ばくについては、放射性物質というのを一度身体に取り込むということですよね?
小出さん:
そうです。
太田さん:
そうすると、その体内に入った放射性物質というのは、もう出ていかないんですかね?
小出さん:
そんなことはありません。人間というのは、この環境中で生きてるわけで、人間の身体も含めて流れの中にありますので、例えば、食べ物を食べるということもちろん、外部から様々な物を身体の中に入れるわけですが、一方では、人間は排泄という機能を持っていますので、また外に出していってるわけです。
太田さん:
じゃあ、1回取り込んでも大丈夫な部分もあるということですよね?
小出さん:
放射能に関しては、私は皆さんにお願いしていることがあるのですが、「大丈夫だ」とか「安全だ」とか「安心だ」とかいう言葉は使わないでくださいとお願いしています。 被ばくは、どんな意味でも危険を伴います。
そして、一度身体の中に放射性物質を取り込んでしまえば、もちろん被ばくをするわけですし、必ず危険を伴います。そして、特に、発育盛りの子どもが放射線に大変敏感ですので、もし、小さなお子さんをお持ちで汚染区域にいるのであれば、私はできる限り避難をしてほしいと願っています。
ただし今、景山さんもおっしゃってくださったけれども、国の方が「避難しろ」と指示してる所もあるわけですが、そうではない所の人達に対しては、「勝手に出て行くなら勝手に出て行け」と言ってるわけで、そういう状態のもとで避難をしようと思うと、生活が崩壊してしまったり、あるいは、家庭が崩壊してしまったりという大変な重荷をまた別に背負ってしまいますので、一概にどうするのがいいのかと、私には申し訳ないけれども言えないのです。
やはり、おひとりおひとりがそこに居続けることで被ばくする危険、そして、避難することで負わなければいけない重荷というものをそれぞれの方に判断して頂くしかないと思います。
森松さん:
ありがとうございます、小出先生。
小出さん:
ありがとうございました。
景山:
ひとつだけ最後に、森松さんから。
森松さん:
森松なんですけれども、もちろん、本当に私達自身も避難という選択をたまたまできたということにとても感謝をしていて、ただ、避難をしたいと思う人達が避難できるような、そういう取り組みをぜひご一緒にしていただけたらというふうに思います。
小出さん:
ありがとうございます。私は本当に力足らずで、事故も防げませんでしたし、今、たくさんの方々が汚染地域に取り残されていて、なんとかしたいとは思うのですけれども、あまりにもデタラメな国なので、私の力でなかなかどうにもならないことが沢山あって申し訳ないと思っています。
森松さん:
とんでもないです。
景山:
じゃあ、太田さんもよかったら。
太田さん:
小出先生がずっとぶれずに発信してきてくださったことで、私達もすごく励まされてますので、本当にありがとうございます。
小出さん:
とんでもないです。大変だろうと思いますけれども、くじけずにまた頑張ってください。
太田さん・森松さん:
はい、ありがとうございます。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
現代のストーカー問題を考える(ラジオフォーラム#87)
http://youtu.be/yOhO8sXItIY?t=16m42s
16分42秒~第87回小出裕章ジャーナル
川内同型原発は審査簡略化可能か?「そんなもの簡略化できる道理がないのです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no87/
湯浅誠:
今日は、原子力規制委員会との話の中で、「川内原発同型の原発は審査の簡略化が可能なんじゃないか」と、菅官房長官が言ったというニュースについてお伺いしたいんですが。これは、どういうことなんでしょうかね。
小出さん:
彼らとしては、なんとしても早く早く再稼働をさせたいと思っているわけで、審査に関しては、出来る限り手を抜いて速やかに完了するようにしたいわけです。
日本では、2種類の原子力発電所を使ってきました。福島第一原子力発電所で使っていたのは、「沸騰水型原子炉(BWR)」と言います。一方、関西電力等は、「加圧水型原子炉(PWR)」と私達は呼んできました。基本的には同じものなのですけれども、仕組みが違うところもあるということで、2種類のものを使ってきたのですが、事故を起こしてしまった沸騰水型の方は、容易に安全だということを言えないだろうと、たぶん菅さん達も思ってるんだと思います。
ですからそうなれば、一方の加圧水型(PWR)という原子炉の方は、できる限り早く再稼働させたいと思っているはずですし、「川内原子力発電所が安全だと認めたのであれば、他だってみんな安全だと認めろ」という指示を菅さんが発信したのだと思います。
湯浅誠:
沸騰水型というのは水を沸騰させて、その蒸気でタービン回して発電と。
小出さん:
非常に単純な原子炉なのです。
湯浅誠:
小出さんは、ずっと湯沸しと同じ原理だとおっしゃってる。それ、字を見るとわかりやすいんですけど、加圧水型というのは何が違うんですか?
小出さん:
沸騰水型は文字通り、今湯浅さんがおっしゃってくださったように、水を沸騰させて蒸気を出して、その蒸気でタービンを回すのですけれども、原子力発電所の場合には、その沸騰した水がもう既に放射能で汚れてしまっているわけです。
それで、タービンというものを回そうとすると、タービンは非常に巨大な構造物ですし、タービンすらが放射能で汚れてしまって、管理をすることが大変になるということが一方にあったわけです。
ですから、加圧水型という方は、放射能で汚れた水をタービンに持っていきたくないと。だから、一次系と私達は呼んでいますけれども、放射能で汚れた水は一次系というところで閉じ込めて、途中で蒸気発生器という熱交換器を使って、二次系に熱を渡して、二次系を沸騰させるというシステムを作ったのです。
ですから、システムとしては沸騰水型より面倒なシステムになったわけですね。冷却系がもう一つ増えてしまっているから。
湯浅誠:
そうですね。間にワンクッション入ったということですね。間にワンクッション入ったことで、より安全だと言えるんですか?
小出さん:
言えません。もちろん、良いこともあるし悪いこともあるわけで、タービンという巨大な構造物が放射能で汚れないという点では、もちろんよかったわけですけれども、一次系から二次系に熱を渡すためには、蒸気発生器という巨大な装置をそこに置かなければいけないし、蒸気発生器というのは、もちろん一次側から二次側に熱を渡すべきものですから、なるべく熱を渡したい構造、つまり金属のパイプなんですけれども、パイプの厚さをなるべく薄くして、効率よく熱を渡したいわけです。
しかし一方で、薄くしてしまうと、今度はそのパイプが破損する可能性が高くなりますので、一次系の放射能が二次系に漏れてしまうということになるわけです。ですから、相反したその目的を両方担わなければいけないということで、蒸気発生器というのは大変難しい設計になりまして、なんとかそれを上手くやりたいと思ってきたわけですけれども、世界中の加圧水型原子炉では、たびたび蒸気発生器が壊れてしまいまして、日本でも、しきりに事故を起こしましたし、世界的にも事故を起こしたし。
例えば、米国の西海岸にサンオノフレという加圧水型の原子炉がありましたが、その原子炉の蒸気発生器は日本の三菱重工が造ったのです。それがあまりにも欠陥だということで、サンオノフレは閉鎖になってしまいましたし、三菱重工が多額の賠償金を請求されるというようなことにもなっているのです。
湯浅誠:
係争中の案件ですね。ありましたね。メリットとデメリットは背中合わせというか、ある問題が解決しようとすると、次の問題が起きてしまうというのが 原子力というものの難しさなんだと思いますけど。これを簡略化するというのは、ちょっとイマイチよく分からないというかですね。
小出さん:
全く分からないです。
湯浅誠:
加圧水型という建物の構造、原子力を生み出す構造は、今おっしゃったように、加圧水型というものはある種、同型なんだろうと思うんですけど。にしても建ってる所は別の場所だし、海沿いにあるのか、海面から何メートル上にあるのか、そういうような地下に地震のリスクが、どれぐらい活断層があるのかないのか。そういうことも含めて審査するという話だったですよね?
小出さん:
そうです。新規制基準では、「活断層をより厳密に審査しろ」ということであったり、あるいは、「津波の影響がどれだけあるかを審査しろ」とかいうことであったわけで、そういうものは全て敷地に依存していますので、加圧水型という原子炉のかたちとは違うことをキッチリと評価しなさいというのが新規制基準の目玉ですので、そんなもの簡略化できる道理がないのです。
敷地の条件でなくて、要するに立地している地域の住民の安全をどう守るかという、もっと重要なことがあって、それは新規制基準で言えば、原子力規制委員会は「自分達の責任でない」と言ってしまって、「それぞれの自治体で勝手に考えろと」いうようなことにしているわけですね。
ですから、川内原子力発電所に関しても、原子力規制委員会は、「避難計画とかそんなことは一切知らない」と言ってしまっているわけです。
でも、一番大切なのは、本当に住民の安全が守れるかということなのであって、それこそ大切であって、個別敷地に依存しているのです。ですから簡略化というのは、ほんのごく一部でできる場所もあるかもしれませんが、ほとんどのものはできないと思った方がいいと思います。
湯浅誠:
小出さん今日もありがとうございました。
小出さん:
どうもありがとうございました。
震災とシングルマザー(ラジオフォーラム#86)
http://youtu.be/yKhj9W_mJzw?t=15m6s
15分6秒~第86回小出裕章ジャーナル
空間放射線量から個人被ばく線量へ除染基準転換の意味とは?「できる限り小さな数字が出てくるような測定の仕方をしたいと、彼らが思っているわけです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no86/
谷岡理香:
東京電力福島第一原発事故に伴う除染をめぐって、環境省は8月1日、「これまでの空間放射線量から、より実態に近い個人被ばく線量に基づいた除染に転換すべきだ」という報告書を発表しました。
なぜ急に、これまでの空間放射線量から個人被ばく線量に変えようとするのでしょうか?その目的は何なのか、小出さんに伺います。小出さん初めまして、どうぞよろしくお願い致します。
小出さん:
初めまして。こちらこそお願いします。
谷岡理香:
まず、この空間放射線量と個人被ばく線量の違いについて教えて下さい。
小出さん:
はい、空間線量というのは、それぞれの場所がどの程度の放射線が飛び交っている場なのか、ということを測定します。
例えば、学校の教室がどれだけ放射線が飛び交っている、校庭に出ればどれだけだ、あるいは家庭はどれだけだ、道路はどれだけだということを測るのが『空間線量』です。
これまで福島の事故の後、あちこちでそういう線量を測ってきて、どこで何時間その場にいるのであれば、どれだけ被ばくをしてしまうという事を推定しながらきたのでした。そうやって推定してしまいますと、人々の被ばく線量を1年間に1ミリシーベルトに抑えることが、ほとんどもう出来ないということが分かってきたために、今度は国は、「一人ひとりの被ばく線量を測ってしまって、それが1ミリシーベルトを下回ればいいことにしてしまおう」ということを考え始めたのです。
個人の被ばく線量というのは、一人ひとりに放射線の被ばく量を測る測定器を持たせまして、それがいくつの値になるかということを調べるわけです。
ただし、なかなか難しくてですね。例えば、ずーっとほんとに一人ひとりが放射線を測定する機械を肌身離さず、1日24時間365日持っていられるかと言えば、恐らく多分私はできないだろうと思います。ですから、個人の被ばく線量を測定するということ自体が、まずは無理だろうと私は思います。
谷岡理香:
これまでの環境省の除染の目標基準からは、どういうふうに変わっていくのでしょうか?
小出さん:
これまでは、日本の普通の方々は、「1年間に1ミリシーベルト以上の被ばくをしてはいけない」と定められていました。しかし、福島第一原子力発電所の事故というものはあまりにもひどい事故であったために、福島県を中心として、到底それはもう守れないという状態になってしまったのです。
そのため、日本の政府は、今はもう守れないのだから、1年間に20ミリシーベルトを超えないような地域には人々が住んでもいいし、一度逃げた人達もそこに戻れと言って指示を出しているわけです。
でも、それはあまりにもひどいことだという事で、これまで原子力を推進してきた人達の中にも、やはり納得しない人達がいる。そのために、できる限り早く1年間に1ミリシーベルトを下回るように、除染というものをやろうということになっていたわけですけれども、除染がほとんど効果がないのです。
もともと除染というのは、汚れを除くと書くわけですけれども、汚れの正体は放射能であって、人間が放射能を消す力はありませんので、言葉の本来の意味で言えば除染はできないのです。
出来ることは、人々が生活している場の一部から放射性物質をはぎ取って、どこかに移動させるということが、唯一できることなわけですけれども、もう大地全部が汚れてしまってるわけで、除染ということ、私は除染は正しくないので、「移染」(汚れを移動させる)という言葉を使っているのですが、移除できる場所というのも、ほんとに限られた場所しかないのです。
それで、これまで環境省等がやって来た、いわゆる除染活動というものがほとんど効果が無いということが、既に分かっているわけです。
そうなると、もう基準自体を引き上げるしかないだろうということで、なんとかその1年間に1ミリシーベルトという基準すら変えたいと彼らは思っているわけですし、出来る限り小さな数字が出てくるような測定の仕方をしたいと、彼らが思っているわけです。
谷岡理香:
先程ちょっとお話して頂きましたけれども、個人の被ばく線量というのは具体的にはどうやって計るんですか?
小出さん:
私自身は毎日、「ガラスバッチ」という放射線測定器を身に着けて仕事をしています。同じように、個人の被ばく量を計るための測定器を一人ひとりにずっと持っていてもらうというかたちで測定します。
谷岡理香:
ずっとというのは、ほんとにさっきおっしゃっていた24時間ということですか?
小出さん:
そうです。そうしなければ、要するにほとんど意味がないわけですけれども、私のことを言っても、放射線の管理区域に入る時にはもちろん持っていきますけれども、そうでない時には、肌身離さず持っているということはほとんどできないわけです。
谷岡理香:
そうですね。苦しいですね少し。生活する中で。
小出さん:
ですから、おそらく私でも出来ないような事ですから、普通の方々が丸1日24時間持ち続けるということは、まずできないはずですし、1年365日ずっと持っているという事もできないだろうと思います。
そして、個人の被ばく線量の測定器というのは、例えば、ひと月間ずっと肌身離さず持っていたとしても、ひと月経った後に「あなたはどれだけ被ばくをしました」という結果が出てくるのです。
私はそういう測定に関しては、私のような放射線業務従事者と法律で決められてる人間にとっては、もちろんやらなけばいけないし、ある程度意味があると思いますけれども、一般の人々の場合には、とにかく被ばくを少なくするということが何よりも大切なことだと思うのです。
そのためには、ひと月間測定した後に「あなたはどれだけ被ばくをしてしまいました」というように教えるようなやり方は私はダメだと思います。
ですから、従来と同じように空間線量というものを測って、「この場所に近づいてしまうと被ばく線量が多くなってしまうよ。だから、できる限りそういう場所には行かないように」と言って、予防できるようにするという事の方がむしろ私は大切だと思います。ですから、空間線量を測るのと個人線量を測るのは、二者択一ではなくて、本当であれば両方をやらなければいけないという、そういうものです。
谷岡理香:
環境省がそういった個人被ばく線量に方向転換した目的というのは何だとお考えですか?
小出さん:
要するに、これまでは空間線量だけ測ってきたわけですけれども、空間線量を測ってきて、人々の被ばく線量を1年間に1ミリシーベルト以下に抑えるという事がほとんどできないと。だから、今度は個人線量という形で測定をして、なんとか上手く逃れることはできないかなと彼らが考えているのだと私は思います。
谷岡理香:
小出さん、どうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
「放射線と放射能」日映科学映画製作所1973年製作
http://youtu.be/Q60ZwQTlD6g
ただの自殺にしたくない!! 東電・原発問題は、いまの社会のすべての矛盾が集約されている!
私がお休みしている間に起こった出来事で、とても重要なことだと思いましたので、ソースは古いですが記事にしてまとめてみました。
避難と自殺 関係初認定
「ストレス予見できた」
東電に4900万円賠償命令 福島地裁
東京新聞2014年8月27日
東京電力福島第一原発事故で避難していた福島県川俣町の渡辺はま子さん=当時(五八)=の自殺をめぐり、東電に約四千九百万円の賠償を命じた二十六日の福島地裁判決で、潮見直之裁判長は、事故と自殺の因果関係を明確に認め「展望の見えない避難生活への絶望と、生まれ育った地で自ら死を選んだ精神的苦痛は極めて大きい」と判決理由を述べた。
東電によると、原発事故が原因で自殺したとして東電に賠償請求した訴訟で初の判決。判決理由で潮見裁判長は、原発事故が起きた場合の想定について「住民は避難を余儀なくされ、ストレスで自死(自殺)に至る人が出ることも予見できた」と、東電の責任を厳しく指摘した。
判決によると、二〇一一年三月十一日の原発事故で、渡辺さんが住んでいた同町山木屋(やまきや)地区は四月二十二日、計画的避難区域になった。はま子さんは六月、夫の幹夫さん(六四)らと福島市内のアパートに避難。一時帰宅していた七月一日、自宅敷地内で焼身自殺した。
判決は、はま子さんが原発事故で地域の密接なつながりや仕事を失ったとした上で「過酷な避難経験で耐え難い精神的負担を強いられ、うつ状態になった可能性が高い」と認定した。
訴訟は、遺族四人が計約九千百万円を求めて提訴した。東電は一定の心理的負担を認める一方、「事故以外の原因も考慮するべきだ」として争っていた。
東電は判決後、「原発事故により、福島県民の皆さまをはじめ、多くの皆さまに大変な迷惑と心配をお掛けし、心よりおわびします。渡辺はま子さんが亡くなったことに、心よりご冥福をお祈りします。今後は判決の内容を精査し、真摯に対応してまいります」との談話を出した。
原発事故に関しては、東日本大震災から間もない一一年三月二十四日に自殺した福島県須賀川市の農業の男性=当時(六四)=の遺族が賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東
電が賠償することで和解した例がある。
夫「家族に寄り添う判決」
「これで、はま子も成仏できるはずだ」。渡辺はま子さんの自殺と原発事故の因果関係を認める二十六日の福島地裁判決に、夫の幹夫さんは涙を流した。
午後一時十五分、潮見直之裁判長が判決文を読み上げ始めた。原告席に座った幹夫さんは真っすぐ前を向き、東電側の弁護団が座る席を見詰めた。東電に損害賠償を命じる内容だった。「苦しみの中にある家族に寄り添ってもらえた」。幹夫さんの目に涙がこぼれた。
「はま子をただの自殺者にしたくはなかった」。原発事故で避難を強いられ、精神的に追い込まれた妻の無念を晴らそうと闘ってき
た。「金が目当てなんだろう」と周囲から心ない言葉をかけられたこともあったが、決して諦めなかった。
判決後、幹夫さんは遺影を手に原告側代理人の広田次男弁護士らと共に報道陣の取材に応じた。「裁判をやってよかった。支えてくれた多くの人に感謝したい」
どんなに思っても、はま子さんが帰って来ることはもう、ない。悲しみは続く。しかし、判決が出たのを機に幹夫さんは少しでも前に進むつもりだ。「はま子も成仏できるはず。(天国で)ゆっくり休んでくれよ」
(福島民報社)
大竹まこと×町亞聖:原発避難自殺で福島地裁が東電に賠償命令
http://youtu.be/Ur1xQYna6Wk
原発のせいだ
避難苦に自殺 東電に賠償命令
しんぶん赤旗日曜版9月7日
福島原発事故から間もなく3年半。福島県では今なお約12万6千人が避難生活を強いられ、自ら命を絶つ人まで出ています。このなかで福島地裁が、自殺の原因は原発事故だと認める画期的判決を出し、原発事故被害者に勇気を与えています。原告の思いは…
藤川良太記者
夫 渡辺幹夫さん(64)
福島の悲劇繰り返さない
「女房の自殺は、原発事故のせいだと分かってもらえた」
原告の渡辺幹夫さん(64)=福島県川俣町=は語ります。
一瞬で奪われた
渡辺さんと妻・はま子さん(当時58)はともに川俣町山木屋地区に生まれ、この地で結婚し、家を建て、3人の子どもを育ててきました。
その生活を原発事故が一瞬で奪いました。
福島原発から30キロ以上離れていましたが計画的避難区域(当時)に指定され、親戚宅や福島市のアパートを転々としました。はま子さんは不眠に苦しみ、やせていきました。
「避難生活に慣れれば元の明るい女房に戻ると思っていた。異変に気づいてやれなかった」
自宅に一時帰宅した2011年7月1日。はま子さんは、自宅前の木の下でガソリンをかぶり、自ら火をつけ命を絶ちました。
妻の自殺を東京電力に伝えましたが、謝罪の言葉もありません。
「ただの自殺で終わらせたくない」。渡辺さんは19一年5月、裁判に訴えました。
東電は裁判で、はま子さんは″ストレスに弱かった、自殺は事故が原因ではない″と主張しました。
つらいなかで励まされたのが、東京に住む長女から送られてきたビデオ映像です。孫娘(15)が学校の弁論大会で、はま子さんの自殺について話し、原発被害の恐ろしさを訴えていました。
「孫の勇気に感動し、頑張ろうと思った」
判決に涙あふれ
福島地裁は8月26日、「自死(自殺)と原発事故との間には、相当因果関係があると認める」として東電に約4900万円の賠償を命じました。
潮見直之裁判長が読み上げた判決文。「展望の見えない避難生活へ戻らなければならない絶望、そして生まれ育った地で自ら死を選択することとした精神的苦痛は極めて大きなものであった」。その言葉に渡辺さんの目から涙があふれました。
8月31日、判決後初めて山木屋の自宅に帰った渡辺さんは、仏壇に手をあわせました。
「あともう少し頑張るから」
渡辺さんは、東電に判決を真摯(しんし)に受け止めること、自宅に来て現地を見ることを求めています。
「原発事故が一度、起きれば大きな被害が出る。福島のような悲劇を繰り返さないためにも、原発は再稼働すべきではない」
原発事故避難で
精神的苦痛は深刻
再稼働は断じて許せぬ
避難者の自殺は福島原発事故が原因と認定した福島地裁判決(8月26日)。弁護士、専門家、避難者から判決を歓迎する声が上がっています。
国と東電に損害賠償を求める「福島原発かながわ訴訟」の村田弘原告団団畏(71)は8月26日、妻が自殺した渡辺幹夫さんを支援するため福島地裁にかけつけました。
村田さんは喜びます。「判決は原発事故と自殺の因果関係を認めただけでなく、被害の深さをしっかりと受け止めてくれた。私たちのように避難を強いられ故郷に戻れない人たちにとって救いとなる判決だ」
村田さんは福島第1原発から約16キロ離れた福島県南相馬市で果物や野菜を栽培していました。事故で横浜市の団地に避難した1年目は、屋内に引きこもり、うつ状態になっていました。
「誰にも会いたくないし、日常生活も満足にできない。強い不安とストレスがあった。渡辺はま子さんの自殺は人ごととは思えない」
村田さんは、渡辺さんの裁判に注目してきました。裁判で東電が放ったある言葉に強い憤りを覚えました。
「東電は、自殺の原因を個体の脆弱(ぜいじゃく)性と主張した。加害企業が人を”個体”とよぶとは…」
経済的にも精神的にも被害があることを東電に認めさせたい、とかながわ訴訟をおこしました。
村田さんは怒ります。
「原発事故は人を絶望させ命まで奪う。しかし、東電は加害者としての自覚も反省もない。それなのに柏崎刈羽原発を再稼働しようとしている。再稼働なんて断じて許せない」
積み上げた人生崩した事故
夫が自殺し同様の裁判をたたかう
五十崎(いそざき)栄子さん(65)
福島地裁の判決は、原発事故が原因で自殺した被害者に寄り添っていると感じました。
原発事故で私たちの生活は一変させられました。自宅があった福島県浪江町から二本松
市に避難。その直後の2011年7月に夫の喜一(当時67)が自殺しました。
私たち夫婦は早くに亡くなった長男に代わり、孫を育てていました。原発事故で私は職を失い、住宅ローンが残りました。孫は専門学校への進学をあきらめざるを得ませんでした。
人生で積み上げてきたものが原発事故ですべて崩れました。知らない土地にきて、一からのやり直しを強いられました。
今回の判決は、原発事故が原因の精神的ストレスを認めましたが私たちも同じストレスを抱えています。私たち自殺者の遺族が一番求めているのは東電の謝罪です。東電には判決を真摯(しんし)に受け止め謝罪してほしいと思います。
福島・原発避難自殺訴訟判決の意義
原告弁護団共同代表 広田次男さん
焦点・論点(しんぶん赤旗)2014年9月8日
原発再稼働に突き進む安倍内閣に痛打を与える司法の判断が再び下りました。原発事故による避難と自殺の因果関係を認めた福島地裁判決(8月26日)です。被告の東京電力も5日に控訴を断念しました。原告弁護団の共司代表・広田次男さんに、判決の意義と今後のたたかいについて聞きました。
(聞き手 阿部活士)
東電事故責任を明確に断罪
原発差し止め訴訟にも影響
-判決は仮設住宅などの被災者を励ます明るいニュースでした。
私たちは、川俣町山木屋で生まれ、子らを育てあげた渡辺はま子さん(当時58歳)が「被告(東京電力)の福島原発で発生した放射性物質放出事故により避難を余儀なくされたことなど
が原因で自死した」と主張しました。
丁寧に検証
判決は、労災認定に活用するストレス評価表を用いながら、丁寧に検証しています。山木屋地区が計画的避難地域に設定されたため、生まれ育った地域を離れたストレス。仕事(養鶏場)もなくなったストレス。子どもらと別居し住環境の違うアパート住まいのストレス。いずれも人生のなかでまれにしか経験しない強度のストレスだったと指摘しています。
その出来事に「予期なく、かつ短期間に次々と遭遇することが余儀なくされた」「自死と本件事故との間には、相当因果関係がある」と、明確に東電の責任を断罪しました。東電が放射性物質放出事故を犯した行為は璽いと判定したわけです。
-脱原発の運動にも影響を与えるとも。
とくに、判決が次のように踏み込んだことを評価しています。
「被告(東電)は、原発が仮に事故を起こせば、核燃料物質等が広範囲に飛散し、当該地域の居住者が避難を余儀なくされる可能性があることを予見することが可能であった」
「避難者が様々なストレスを受け、そのなかにはうつ病をはじめとする精神障害を発病する者、さらには自死に至る者が出現するであろうことについても、予見することが可能であった」
この予見可能な対策をとらないかぎり、原発の再稼働はできないし、設置もできないとクギをさしたのです。一つの損害賠償裁判の判決にとどまらず、原発差し止め訴訟まで大きな影響を与えます。
被害者目線
基礎的な判決の姿勢として大事なのは、被害者の立場に寄り添っていることです。被害者の目線からの判決。たとえば、最後の部分には次のようにあります。
「58年余の間生まれ育った地で自ら死を選択することとした精神的苦痛は、容易に想像しがたく、極めて大きなものであったことが推認できる」と。
-血の通った判決に東電も判決に服することになりました。
彼(夫で原告の幹夫さん)は、自殺から半年後に私のところに訪ねてきました。”おれはいったいどうしたらいいんだ”と、心の整理がつかなくて、迷いに迷っていました。
何回も話を重ねました。私は、彼の気持ちをくんだ長い手紙を東電に書きました。しかし、答えは1枚限り。「要求にはいっさい応じられません」というもの。柬電はソロバン勘定だけの冷たい対応でした。
”では、明るい女房がなんで自殺したのか”。彼は悔しい思いで裁判に踏み切りました。
人の死は、もっとも尊厳をもって扱われなけれぱならないことでしょう。たとえば社長がお線香をあげる、墓前に行く。いわぱ、彼の閉ざされた心を人間の心として開くような行動が東電にあったら、こんなことにはならなかったでしょう。
石原伸晃環境相(当時)が「金目でしょ」と発言したように、国も東電もわかっていないです。被害者の気持ちが。問うているのは、「金目」の話ではないのです。
彼は、「どんな判決文になっても、はま子はもどってこない」と私にいいました。どの災害とも違う原発事故の本質をつく言葉です。原発でひとたぴ事故を起こせば、古里も地域社会も”もどってこない”。幹夫さんに限らず、被災者だれもが日々思う喪失感です。
完全救済を
東電は、その加害者なんです。今回、この判決に従ったことは一定評価しますが、被災者は渡辺さんひとりではありません。私たち弁護団は、「控訴断念」について声明を発表し、東電にたいし「判決を真摯にうけとめ、原発事故がもたらした被害の実相を正しく理解し、すべての被害者の完全な救済を果たすこと」を求めました。今後の東電の動きを注視したいですね。
-判決を力に、原発ノーのたたかいを広げたいですね。
B型肝炎、薬害など被害者が弁護団とともに裁判に立ち上がり、判決を積み重ねるなかで解決方式を生み出してきました。原発被書も、この方式をとるべきです。
原発事故は歴史上最大級で最悪の被害をもたらした公害です。国家権力が起こした公害犯罪にたいし、私たち在野法曹の視点から起こした訴訟を通じて、賠償でも原状回復でも、その基準が確立されるべきです。
自殺や関連死であれば、裁判所が一定の基準値金額を決めて、被害者が訴え出ればそれが自動的に出る形をつくる。これが方向性です。今回の判決は、一つの基準ができたともいえます。
原発ノーのたたかいでは、意識的に廃炉の訴訟だけはやらないんです。被害地・福島の責任として、世論で廃炉かちとる超党派の運動をつくらなければ、恥ずかしいと思っているからです。共産党が提唱している「一点共闘」ですよ。元福島県知事の佐藤栄佐久氏、作家の玄侑宗久氏らがよびかけ人になって「県内の全原発の廃炉を求める会」が結成されました。その活動を無党派市民の方々まで広げたいですね。
-多忙ななか精力的な活動を支える源は。
安全神話とダーティーマネーで築いた巨大な利権構造とブラック企業の体質-。東電・原発問題は、いまの社会のすべての矛盾が集約されています。そこにどう立ち向かうのか。社会正義を実現する弁護士として当然の仕事です。
私の個人的な思いもあります。全学連を再建させた世代です。原発事故以来、大学で学生運動をした活動家仲間が、いわき市内にある事務所で毎年激励会を開いてくれています。ありがたいものです。その友情を誇りに、青春に恥じない、負けられない一戦なのです。
「目でみる福島第一原子力発電所」日映科学映画製作所1991年製作
http://youtu.be/aIPVWO1_mSE
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除染基準緩和~空間線量から個人被ばく線量へ
http://youtu.be/aCRyKvR-Hs4
東京電力福島第1原発事故に伴う除染の目標をめぐり、環境省は福島市など4つの市とともに、空間の放射線量より個人の被ばく線量を重視して除染を進めるとする中間報告をまとめた。環境省の井上信治副大臣が1日、福島県内の4市長らと会合を開いて発表した。
「毎時0.23マイクロシーベルトは目標ではない」
中間報告では、これまで年間1ミリシーベルトを達成するための指標とされてきた「毎時0.23マイクロシーベルト」は、除染目標や除染直後に達成すべき空間線量両立の目安ではなく、あくまでも「汚染状況重点調査地域を指定する際の基準」であると説明。伊達市などが実施していたガラスバッチの計測などを踏まえ、「空間線量率が毎時0.3から0.6マイクロシーベルト程度の地域に住む住民の平均的な年間追加被ばく線量は1ミリシーベルト程度になっている」として、空間線量より個人線量を重視する方針を示した。
今回の除染目標に関する見直しは、多額な費用をかけながらも除染の効果が十分にあがらないことを受け、福島市、郡山市、相馬市、伊達市の4つの市が今年4月、環境省と会合を持ち、「毎時0・23マイクロシーベルト」を見直すよう要望したことがきっかけだ。4市は環境省と会合を重ね、空間線量よりも被爆線量が低く計測される個人線量の実測値を用いることで除染目標を緩和し、復興予算を他の分野に振り向けるための地ならしに取り組んできた。
住民の不安解消に向けては、個人線量計の配布やリスクコミュニケーションの充実を進めていくとしている。会談後、井上環境副大臣は「福島県内のできるだけ多くの人に線量計を持ってもらい、データに基づいて防護対策を取りたい」と強調。記者から「福島県民全員に個人線量計をつけさせるのか」と追及されると、「できるだけ多くの方につけていただきたい」と否定せず、線量計の配布を増やす考えを示した。
国は2011年6月、年間の追加の被ばく線量が1ミリシーベルト以上、空間の放射線量に換算して1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の場所がある市町村を「汚染状況重点調査地域」に指定。国が直接、除染を行う「避難区域」とは異なり、国の手順に従って市町村が除染することにしている。同地域に指定されている岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県の計102の市町村のうち、今年の春までに除染が終了しているのは16市町村にすぎない。今回の除染目標見直しが、4市以外にどのような対応をするのかについて、環境省は明らかにしていない。
専門家「場の管理に個人線量は使えない」
個人線量をめぐっては、田村市や川内村などの避難指示解除をめぐり、内閣府の原子力被災者生活支援チームが去年8月以来、放射線医学研究所や日本原子力研究機構との協力のもと、空間線量率との関係について調査を実施。空間線量に0.7を乗ずることによって、大人の個人線量を推定することができると、今年3月に公表した。
しかし公表の際、子どもは大人よりも遮蔽効果が低く、空間線量からの推計とあまり変わらないことや個人線量は「場の管理」には利用できないことなどが言及されていた。また支援チームが調査に使用したのは、公衆被曝を計測するために開発された新型の線量計であるのに対し、環境省と4市がモデルに使用したのは、検出限界の高いガラスバッチ。ガラスバッチと新型線量計の双方を販売している千代田テクノルの担当者は、OurPlaneTVの取材に対し、ガラスバッチは公衆の被爆線量を計測するにはふさわしくないと回答している。
8.24脱原発デモ『なくそテ原発 柏崎大集会パレード』
http://youtu.be/joRZU-3hoc8
140830川内原発再稼働やめろ! 0830再稼働反対★国会前大集会
http://youtu.be/AldMtHunVsc
2014.08.30「…再稼働反対★国会前大集会」志位和夫、笠井亮、吉良よし子議員
http://youtu.be/k9Nd4BU_GhI
小出裕章先生:あまりに遅いとは言え、やっぱりやるべきだと思います
安倍政権・橋下維新による“カジノ計画”に迫る
(ラジオフォーラム#90)
http://youtu.be/Jjz0Q_BEvkI?t=16m9s
16分9秒~第90回小出裕章ジャーナル
3つの東電発表から垣間見える事故の実相について「漏れたストロンチウム90が本当に1兆4600億ベクレルだとすればそれは4100万人分の年摂取限度に相当します」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no90/
西谷文和:
東電の公表によりますと、8月29日に3号機の使用済燃料プールでがれき除去作業中に機器が落下したと。重さ400キロの「操作卓」と呼ばれる機器だけではなくて、操作卓を据え付ける170キロの架台も絡まって落下したと。接触した可能性のある燃料集合体は2体ではなくて10体もあるという、こういう大変恐ろしい発表があったのですが、小出さん、これ燃料集合体にこういう物が当たるということは、これかなり危険なんじゃないですか?
福島第一3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業中における燃料交換機操作卓の落下について【9/1動画追加】(東京電力)
http://photo.tepco.co.jp/date/2014/201408-j/140829-01j.html
小出さん:
燃料集合体は一応、ラックという集合体1体1体を収納できるような格子状の金属製の置き場という物の中に収まっているのです。頭も、その金属製のさやの中に格子の中に収まっている状態で、基本的には保護されているはずだと思いますが、
ただし今、西谷さんがおっしゃってくださったように、400キロの操作卓と170キロの架台も一緒に落ちてしまっているわけで、水中ですので何がしか衝撃のクッションはありますけども、それでもラック自体が破損をした可能性は私は十分あると思いますし、そうなると、燃料集合体がまた損傷をしているということはあるだろうと思います。
そうなると、もちろん放射性物質がまた使用済燃料プールの水の中に漏れてくる、あるいは、気体状のものは外部に出てしまうということが起きたんだろうと思います。
西谷:
ブクブクと泡になって出た可能性もあるということですか。それと、同じく東電が2号機の圧力抑制室の下部外面調査を発表したと。ロボットが繰り返し落下したため調査範囲が限られたと。これ、ロボットの画像で放射線量が高いと思われる画像の乱れが確認されたということを発表してるんですが。まず、ロボットが繰り返し落下したって、これ遠隔操作ですから落下しますよね?
小出さん:
そうです。先程の3号機の使用済燃料プールで、瓦礫を落としたという作業も全ては遠隔操作なのです。でも、現場に行くことができませんので、遠い所から無線操縦しながら作業をしているわけです。
大変難しい作業を燃料プールでもやってるし、この圧力抑制室なんていう所は、全く人が行くこともできないほどの猛烈な被ばく環境ですので、遠隔操作をするしかないし、ロボットという物も基本的には放射線に弱い機械ですので、なかなか上手くいかないし、これからも難航するだろうと思います。
西谷:
同じく東電が9月8日に発表したのですが、今年5月までの10か月間にストロンチウム90、それからセシウム137が2兆ベクレルも港湾に漏れていたということなんですが、これは東電自身の放出管理目標の10倍を超えているという数字なんですけども、先生これ大変な数字じゃないですか?
平成26年9月8日付 時事通信配信記事「海流出、さらに2兆ベクレル=ストロンチウム
(東京電力)
http://www.tepco.co.jp/news/2014/1241559_5918.html
小出さん:
はい。皆さん、2兆ベクレルという数字を聞いても、多分ピンとこられないだろうと思います。いずれにしても、放射性物質ですので危険なものです。例えば、比較の例を聞いて頂こうと思うのですが、ストロンチウム90という放射性物質、それを例えば食べてしまう、あるいは飲んでしまうということをすれば、もちろん、その人が被ばくをするわけですね。
西谷:
内部被ばくですね?
小出さん:
そうですね。普通の一般の方々は、1年間に1ミリシーベルトという被ばくを超えてはいけないという法律になっているわけですが、そのために、一体どれだけストロンチウム90を食べたり飲んだりしたら、そうなってしまうかということは計算で出てくるわけです。その計算に従って言うと、仮に1兆ベクレルというストロンチウム90があれば2800万人分になります。
西谷:
1兆ベクレルのストロンチウム90は2800万人分の限界値、1日に?
小出さん:
1年間にそれ以上摂ってはいけないという量になります。
西谷:
2800万人といえば、これは日本の人口の4分の1?
小出さん:
そうですね。それから、セシウム137の方はストロンチウム90よりは少し内部被ばくの危険度が低いのです。そのため、もしセシウム137が1兆ベクレルあるとすれば1300万人分になります。
西谷:
1300万人って東京都ひとつ?
小出さん:
を超えてしまうかもしれません。それで、先日の東京電力の発表だと、ストロンチウム90が1兆4600億ベクレル、セシウム137の方が6100億ベクレルという発表の数字になっていまして、2倍ストロンチウム90の方が約多かったということになっています。それで、もしストロンチウム90が本当に1兆4600億ベクレルだとすれば、それは4100万人分の年摂取限度に相当します。
西谷:
ほぼ日本の人口の半分近く?
小出さん:
半分近くですね。それからセシウムの方は約800万人分です。
西谷:
大阪府の人口ぐらいですね。
小出さん:
いずれにしても両方出ているわけですから、日本人の約半分が1年間に許される限度の量ということになるだろうと思います。
西谷文和: ちなみに、ストロンチウム90というのは骨に溜まりやすくて、セシウム137は筋肉に溜まりやすいと。
小出さん:
おっしゃる通りです。
西谷:
だから、ストロンチウムの場合は白血病とかそういうものの可能性が高くなって、セシウムの場合は肺がんとか胃がんとか、そういうもの。
小出さん:
そうです。全身に危険が及ぶと思います。
西谷:
極めて危険な物質が大量に海に放出されてしまったんですけど、ここまで出たのは、もしかしたら建屋のトレンチから直接漏れてる可能性があると言われているのですが。
小出さん:
私は当然だと思います。2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が起きて散々な被害にそこら中があっているわけですね。福島第一原子力発電所の敷地の中でも沢山の機器が壊れたと思いますし、コンクリート構造物というのはもともと割れてますし、その上巨大な地震に襲われれば。
西谷:
マグニチュード9ですもんね?
小出さん:
そうです。そこら中でひび割れているのです。ですから、事故直後にトレンチがむき出しになっている岸壁の部分から水がジャージャーと流れていたのも確認されました。何か所もそういう所があったわけですけれども、それは、目で見えている所で割れていたから見えただけであって。
西谷:
地下になったら見えませんもんね。
小出さん:
地下は見えないままどんどん漏れていたのです、当時から。
西谷:
これ、今からでも先生がおっしゃるように、タンカーか何かに積みかえてというふうにした方がいいですかね?
小出さん:
私は必ずやるべきだと思います。
西谷:
これ、このまま放っといたら外洋に出ていくだけですもんね。
小出さん:
はい。このままではもう手の打ちようがありませんので、私はタンカーに移すべきだというのは、2011年3月の段階から発言をしてきました。もう既に3年半も過ぎてしまいましたけれども、あまりに遅いとは言え、やっぱりやるべきだと思います。
西谷:
今からでも遅くないということですね。
小出さん:
遅いのですけれども、やった方がいい。
西谷:
とりあえず遅いのだけれど、やった方がいいと。大変な事態だということが分かりました。小出先生、今日はどうもありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
201110813
「放射能と子どもたち」in 沖縄 小出裕章先生
https://www.youtube.com/watch?v=OURFwaFOcUo
世界は恐怖する死の灰の正体(亀井文夫監督)
http://youtu.be/yCk2Qf6RA_s
1957年制作原水爆実験後の日本の実態
単位換算
1キュリー(Ci)=約370億ベクレル(Bq)、
1マイクロキュリー(µCi)=約37,000ベクレル(Bq)
1マイクロマイクロキュリー(µµCi)=約0.037ベクレル(Bq)
1レントゲン=約10ミリシーベルト
小渕経産相「廃炉や汚染水対策 必ずやり抜く」と出来ない約束を明言(9/7 NHK)
(東京江戸川放射線)
http://radiation7.blog.fc2.com/blog-entry-4462.html
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廃炉をやりきる規制は十分に準備されていない=原子力規制委員長
(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H50JG20140910?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29
[東京 10日 ロイター] - 原子力規制委員会の田中俊一委員長は10日の定例会見で、今後の廃炉問題について、「解体するといろいろな廃棄物が出てくる。廃炉をやりきる規制は十分に準備されていない」と述べた。
規制委はこの日、九州電力川内原発について、新規制基準に適合していると判断した審査書を決定。川内原発の再稼働については田中委員長は「再稼働の是非については原子力規制委員会の判断の外にある」と従来通りの見解を繰り返した。田中氏は、「規制基準に合致しないで稼働できない原子炉も出てくると思う」と語った。
議論進まぬ原発廃炉 解体コスト不透明
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月17日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014091702000195.html
関西電力大飯原発4号機が停止し、原発稼働ゼロとなって15日で丸1年がすぎた。九州電力川内原発の再稼働に向けた動きの一方、老朽原発を廃炉にする話がようやく出始めた。ただ、解体した原子炉など汚染ごみの受け入れ先がないほか、立地自治体の税収減といった不都合があり、議論は進まない。廃炉は、もはや避けて通れない問題なのだが-。
(上田千秋、篠ケ瀬祐司、社説<5>面)
解体費 数百億~数千億円
「廃炉を検討するなら、使用済み核燃料の中間貯蔵、放射性廃棄物の埋設、地域経済への影響とセットで議論しないと話し合いにならない」
福井県の杉本達治副知事は8日、関西電力の岩根茂樹副社長に対し、こう述べて警戒感を示した。運転開始から40年を超す美浜原発1、2号機(美浜町)の廃炉を関電が検討していると報道されたことを受けての面談だった。
同県は高速増殖原型炉「もんじゅ」を含め、全国最多の14基の原発を抱えるが、うち8基の運転期間は30年を超す。廃炉は、経済面でも、放射性廃棄物の処理の面でも、地元に大きな影響を与える。
関電広報室は「今後どのように対応していくか検討しているところ」と廃炉について具体的なコメントはしていない。だが、老朽原発を廃炉にするかどうか決断しなければならない時期は近づいている。
原子力規制委員会は昨年7月、原発の運転期間を原則40年とする新規制基準を決定した。この基準に当てはめれば、美浜原発1、2号機は廃炉だ。しかし、20年以内の延長が可能という規定もあり、経済産業省は延長申請の期限を来年7月に設定し、年内にも電力会社に移行を確認する方向で検討している。
ただ、運転延長のハードルは高い。原子炉圧力容器に傷や割れがないか超音波などを使って調べる「特別点検」をした上で、川内原発で行われた適合審査に合格しなければならない。安全対策だけでも総費用は1000億円単位とみられる。
その一方で、電力会社には簡単に廃炉に踏み切れない事情がある。会計上、廃炉を決めた後は、原子炉格納容器などは資産とみなされなくなる。昨年、当該年度の決算に一度に特別損失として計上するルールが分割処理できるよう改められたが、廃炉は財務状況を悪化させる。
廃炉費用をどうするかという問題もある。経産省令で積み立てが義務付けられているものの、どの電力会社も十分な費用を準備できていないのが現状だ。
立地自治体、税収減を懸念
電力会社だけでなく、原発立地自治体が受ける影響も計り知れない。まず、原発を中心とした関連産業による雇用が失われる。国からの電源三法交付金、電力会社の固定資産税などがなくなる。さらに、核燃料税も徴収できなくなる。
同税は、原子炉に装填(そうてん)される核燃料の価格に応じて課税する仕組みで、1976年に福井県が初めて導入した。原発が立地する他の12道県も次々に導入した。福島の原発事故後、福島県は廃止したものの、他の道県の多くは運転停止中でも発電能力によって課税する「出力割」を併用するようになった。福井県は昨年度決算によると、出力割で61億円の収入があり、「決して小さな金額ではない。廃止になると困る」(税務課)。
危機感を強める同県の西川一誠知事は9日、小渕優子経産相に会い、原発の撤去が終わるまで電源三法交付金を続けるなど、廃炉になった際の国からの支援を求めた。
高濃度汚染ごみ どう処理 「まず責任の主体 明確に」
ところで、原発の廃炉はどのように進められるのか。電力会社などは廃炉を「廃止措置」と呼び、おおむね4段階の作業がある。
まず使用済み核燃料を原子炉から外に運び出す。次に原子炉冷却系や計測制御系統の施設の解体を行う。続いて原子炉本体の解体、そして建屋解体と進めていく。
廃炉費用にはいくらかかるのか。80万キロワット級の中型炉で440億~620億円程度、110万キロワット級の大型炉の場合570億~770億円と経産省は見込んでいる。だが、試算額で収まるとは限らない。
例えば、2003年に運転を終え、廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)。解体費400億円、廃棄物処理費350億円を見込む。だが、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の原子炉廃止措置研究開発センター管理課の担当者は「具体的な廃炉の実績がなく、民間の電力会社の計算式を参考にした。使用済み核燃料の輸送費用は含まれておらず、廃炉までの期間が延びれば維持費などがさらに必要になる」と費用が膨らむ可能性を示唆した。
公益財団法人「自然エネルギー財団」は経産省試算の何倍も費用が必要だとみる。大林ミカ事務局長は「ドイツなどは原子炉1基の廃炉コストを、約2500億円から3500億円程度とみている。政府や電力会社の見積もりでは到底足りない」と話す。
廃炉費用だけでなく、技術面の問題もある。1998年に営業運転を終え、商業用原発で国内初の廃炉作業に取り組んでいる東海原発(茨城県東海村)では、低レベル放射性廃棄物処理施設の屋上から出火したり、作業服などを洗って出た汚染水の流出事故が起きたりしている。他の原発を廃炉にする作業でも、不安がつきまとう。
もっと深刻な問題がある。廃炉で出る廃棄物の処分場を受け入れる自治体がないことだ。
東海原発の廃炉について、日本原子力発電(原電)は、原子炉周辺の解体に入る時期を今年4月から19年度へと5年間先送りした。原子炉解体によって出る、比較的汚染度の高い放射性廃棄物の行き先が決まらないことが主な理由だ。こうした放射性廃棄物は、地下50メートル以上の人工構築物の中で、300年間管理しなければならない。原電ではこうした廃棄物が東海原発から約1600トン出ると試算している。
08年に廃炉を決め、中部電力が作業を進める浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)は先月29日、解体作業で出た廃棄物の一部を初めて原発敷地外に搬出した。本年度中に約20回、計約50トン運び出される予定だが、これらは汚染の可能性が低い廃棄物だ。汚染度の高い廃棄物の処分方法は、「今後検討する」(浜岡地域事務所)。
ともかく今後、多くの原発が運転開始から40年超の廃炉期間を迎えることは間違いない。前出の自然エネルギー財団の大林氏は「福島の原発事故で出た放射性廃棄物の処理について、東京電力は責任をあいまいにしようとした」と指摘し、電力会社の体質を改めるよう求める。
「まず、どこまでが誰の責任かを明確にすべきだ。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す核燃料サイクルは機能していないのに、使用済み核燃料をごみと呼ばない。このように責任をはっきりしないまま、さらに廃炉費用を電気料金に上乗せするような施策をとるべきではない」
放射線影響、政府広報
1億円で「安全」強調 主張一方的
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月22日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014092202000137.html
「放射線についての正しい知識を」。そんな大見出しの政府広報が先月中旬、全国紙に一斉に掲載された。福島原発事故の健康影響を正しく伝え、風評を打ち消す狙いだという。ただ「安心神話」に偏ったような内容になっており、登場する学者も放射線の影響を軽く見る人物だ。投じた費用は一億円超。被災者の怒りの声が聞こえてくる。
(榊原崇仁)
リスク議論 本格化しないのに…
15日に東京都内であった原発問題の市民集会。「政府広報の内容は問題がある。政府こそ正しい知識を持つべきだ」。原爆症認定訴訟で原告側の証人を務めるなど、放射線被ばくに精通する旭川北医院(北海道旭川市)の院長、松崎道幸医師はこう訴えた。
やり玉に挙がったのは8月17日付朝刊に掲載された政府広報だ。朝日、毎日、読売、産経、日経の全国5紙と福島県の地元紙の福島民報、福島民友の2紙に掲載された。翌日は夕刊フジにも出た。
1ページを全面使い、8月3日に都内で開かれた講演会の内容を伝える体裁をとっている。
講師は国際原子力機関(IAEA)のレティ・キース・チェム保健部長(当時)と東京大病院放射線科の中川恵一准教授だ。
チェム氏は「放射線は医療やエネルギーなどの分野で活用され、大きなメリットをもたらす」と語り、放射線の効用を強調する内容が目立つ。
首をかしげたくなるのは中川氏の言葉だ。
放射線の健康影響で特に強い関心が集まるのは小児甲状腺がん。その原因となるのが放射性ヨウ素の内部被ばくだ。福島原発事故によるこの被ばく線量について、中川氏は「最大でも約35ミリシーベルト未満」と語っている。しかし、測定できた子どもは1000人程度にすぎない。限られたデータで最大値を語るのは難しい。
がんの発症についても、中川氏は「福島で増えないと考えられる」と語るが、うのみにはできない。
被ばく線量に応じてどの病気がどう増えるかは不明な部分が少なくなく、特に100ミリシーベルト以下の影響は、専門家の間でも意見が分かれている。このことは、文部科学省が作成した放射線教育の副読本にさえ明記されている。
しかし政府広報では「100ミリシーベルト以下でがんの増加は確認されていない」「福島では最大でも約35ミリシーベルト未満。甲状腺がんは増えない」という中川氏の持論だがけが載る。「放射線について慎重になりすぎることで、生活習慣を悪化させ、発がんリスクを高める」という同氏の発言も掲載されている。
しかし「福島でがんは増えない」は、現段階で政府の正式見解にはなり得ない。国や福島県の専門家らの会合では、原発事故後の放射線の健康影響について議論がまだ本格化してないのだ。
先の松崎医師も15日の集会で楽観論を戒めた。
小児甲状腺がんについて「自然発生の場合、男女比は1対5前後だが、今の福島では年齢によって異なるが1対1.1~1.6となっている。これはチェルノブイリ原発事故のケースに近い」と指摘する。
中川氏は遺伝的な健康影響は「広島や長崎でさえなかった」と語り、「福島も問題なし」と印象づけている。だが、原爆被害者の健康状況を調べる公益財団法人「放射線影響研究所」のホームページでは、原爆による遺伝的影響は「今後の追跡調査が必要」と記されている。
健康被害 過小評価の恐れ
中川氏は、避難指示が遅れた福島県飯舘村で放射線との向き合い方を話し合うリスクコミュニケーションに関わってきたが、自らの著書では健康影響について楽観論を展開する。
例えば、近著「放射線医が語る福島で起こっている本当のこと」では、福島ではがんが増えない以上、県が子ども向けに行う甲状腺検査は、摘出の必要がないがんまで見つけるとして「即刻やめるべきだ」と説く。汚染水問題にも触れるが、可能な限り放射性物質を取り除いた上で薄めれば「過度な心配は不要」として「海に流すべきだ」と訴える。
政府広報に登場するIAEAも放射線のリスクを楽観視しがちだ。チェルノブイリでは小児甲状腺がんが多発したが、1991年の事故報告書では「被ばくに直接起因する健康の変調はない」と判断している。
ところで、今回の政府広報はどういう経緯で掲載されたのだろうか。
政府広報に問い合わせ先として記されていた復興庁によると、中川氏らの講演会は、復興庁が外務省や環境省などの協力を得て準備したという。正式には「放射線についての理解促進のための勉強会」という名称で、8月3日の初開催と、同月17、18日の政府広報の掲載、そして講演の動画配信がワンセットになっている。
講師の人選について、復興庁の担当者は「放射線の健康影響に非常に詳しい方にお願いした。政府広報に掲載した内容は(原発事故による健康管理を担当する)環境省のチェックを受けており、間違いはないはずだ」と語る。
これに対し、放射線研究が専門で広島の被爆者でもある名古屋大の沢田昭二名誉教授は「政府の思い通りに話す人間だけを選んだように思えてならない」と人選の偏りを批判する。
経緯をめぐっては不自然に思える点がある。
講演会は非公開で、報道機関の取材も不可だった。復興庁は「参加者のプライバシーを守るため」などと釈明するが、いまだに会場名すら明らかにされていないのだ。
「福島の風評被害を抑えるために正しい情報を全国に発信する」ことが趣旨というが、長い時間をかけて念入りに準備したのではなく、夏前になって急に実施が決まったという。漫画「美味しんぼ」の騒動があった少し後のようだ。
さらにこの企画自体、復興庁の内部的な議論だけで実施が決まったわけではないらしい。
被災者ら憤り「政府の本音出た」
復興庁のある関係者は「こちら特報部」の取材に対し、「上の方の意向もあった」と明かす。「上」というのが誰なのかという点も尋ねたが、明確な答えは返ってこなかった。
この企画には1億円超の税金が投じられた。福島市の主婦(53)は「一方的な意見ばかり強調しているのは誰の目からも明らか。そんなに『事故の影響は大したことがない』と言いたいなら、政治家なり、官僚なりが自腹を切って広報すればいいことだ」と憤る。
市民団体「内部被ばくを考える市民研究会」(埼玉県川口市)の川根真也代表(52)は、政府広報に込められた位置をこうみる。
「政府は『国民は権威に弱いはず』という見立てで、東大やIAEAといった肩書を持つ専門家、さらには全国紙までも使い始めたのだろう。政府の本音がにじみ出ている。ただ事故の影響を過小評価すれば、しわ寄せが及ぶのは住民たちだ。今のやり方を許していいはずがない」
20121128【必見】《索引付》松崎道幸講演 第6回 女たちの『一票一揆』 dkworks
http://youtu.be/npO4w6d7vzA
武藤類子さん:原発はつながりを断ち切る最大のものです・・自分の頭で考えようって
女の闘い、日常の中から
脱原発福島ネットワーク 武藤類子さん
考える広場 福島と「つながる」とは
(東京新聞)2014年9月27日
福島は今、深刻な分断に直面しているといいます。二○一一年九月、東京で開かれた脱原発集会で、福島を代表して武藤類子さん(六一)は「私たちとつながってください」と呼び掛けました。私たちは、その振り絞る声に応えられたのでしょうか。電力の消費地と被災地福島は、つながりあえるのか。武藤さんと考えます。
(聞き手・佐藤直子)
佐藤 三年前の「さようなら原発五万人集会」で語られた「私たちは静かに怒りを燃やす、東北の鬼です」という言葉は衝撃的でした。事故当時、福島県三春町で喫茶店「燦(きらら)」を営んでいた武藤さんはあのスピーチの後、福島原発告訴団の団長となって東京電力の当時の会長、社長ら三十三人の刑事責任を問う運動を始めます。東北の鬼の静かな怒りは、どう変わっていきましたか。
武藤 東北には鬼の踊りがたくさんあって、私は岩手の「鬼剣舞」が好きなんですね。勇壮というより、どこか悲しい感じで。鬼の面には角がなくて、「仏の化身」という解釈なんです。鬼は「悪者として迫害されながらも、大きな力にあらがおうとしている人」であり、福島の人たちの姿に重なったんですね。すべてを奪っていった原発事故への怒りそのものは消えません。この国のあり方がよく見えてきましたし。怒りは一層深く、静かになっています。
佐藤 福島は今、どのような状況にあるのですか。
武藤 原発事故の直後から家族や職場、地域で、残るか、逃げるか、考え方の違いで無数の分断が生まれました。根っこにあるのはもちろん、放射能の問題です。でも、分断はつくられたものもあるんですね。通り一本隔てただけで、賠償を受けられたり受けられなかったり。
「いつまでも被害者でいるのはやめて、復興していこう」という帰還・復興政策が、「気を付けていれば放射能も大丈夫」という安全キャンペーンと一つになり、人びとを切り裂いています。被害者であり続けるのはつらいから、「大丈夫」と言われれば、忘れたい気持ちとも結び付く。亀裂は深刻になっています。
佐藤 対立する必要のない被害者同士が対立するのは、沖縄の普天間飛行場を名護市辺野古に移設しようとすることで、県民が分断させられているのと同じですね。移設に反対する人も、反対派の警戒につく人も、同じ県民、地元の人です。
除染とワンセットになった住民の帰還政策は、福島の問題を複雑にさせています。住民の年間被ばく線量の基準を、事故前の一ミリシーベルトから二○ミリシーベルトまで大幅に緩め、避難指示を解除し、補償を打ち切っていく。放射能の不安の残る所に帰還を促すことが、どんなに混乱させるか。避難先での生活費が続かず地元に戻った人は大勢います。「古里に帰りたい」という素朴な思いが政府に都合よく利用されているようで、報道の仕方も悩ましく思っています。
武藤 理不尽なことがたくさん起きています。被害者への賠償の範囲や金額を、加害者の東電が審査するのも、被害者があまりにもバカにされている。事故のことが何も解決されていないのに原発再稼働の話が出てきて、元通りの社会がつくられようとして。加害者の責任が問われていないのも原因だと思います。事故から一年たった十二年三月に「福島原発告訴団」を立ち上げたのは、被害者が再び一つにつながり、声をあげ、力を取り戻したかったからです。
人を罪に問うのは、とても怖い。私に資格があるのかも悩みました。でも事故の真実を、責任を誰が取るべきかを明らかにさせるのは、被害に遭った者の責任ではないかと思いました。
佐藤 業務上過失致死傷容疑などでその年の六月に第一次告訴をしました。対象は東電の旧経営陣から政府関係者、学者まで三十三人。その異例の規模から、福島第一原発の事故をこの国の社会構造の問題として問うのだという覚悟を感じました。でも、事件は翌年九月九日に突然、合同捜査をしていた東京地検に移され、不起訴になる。東京五輪の招致が決まった翌日でした。
武藤 不起訴になったら福島の検察審査会に申し立てると決めていたので、東京でしかできないと分かったときは、がっかりしました。福島の検審だからこそ希望も持てると思ってましたから。それでも東京の人に訴えるリーフレットを作り、月に1回ほど東京の検審前で起訴を求めて訴え、東電前で自首してほしいと訴えました。
佐藤 東京第五検察審査会は今年七月末、勝俣恒久元会長ら東電旧経営陣三人について「危機管理が不十分だった」と判断し、「起訴すべきだ(起訴相当)」の議決をしましたね。
武藤 本当にうれしかったですね。希望になりました。十一人いる審査員のうち八人以上の意見が一致しないと「起訴相当」にはならない。そういう感覚を都民の大多数が持っていてくれたということは、日本の市民の大多数が同じ感覚を持っているということですから。
佐藤 原発事故の後、東京の繁華街から消えたネオンはいつの間にか戻りました。原発を立地する自治体が過疎地にあり、そこで作られた電力を都会が消費するという構図は全国どこも同じです。三年前の集会で武藤さんは「私たちとつながってください。福島を忘れないでください」と呼び掛けました。私たちは本当の意味で福島とつながることができるのでしょうか。
武藤 東京という都会のありようにがっかりすることは、もちろんあります。あるけれど、その分断もまた、つくられてきたものだと思うんですね。原発はつながりを断ち切る最大のものです。私たちが分断される必要は全くないわけですね。事故後の福島第一原発では毎日六千人が働いていて、七割が福島県人。事故で仕事をなくした人もいます。被ばく労働がどんなに大変かということが、今になって分かってくる。
佐藤 その「分かる」とか「知る」ということが、つながりを考え直す一歩かもしれません。「コンセントの向こう側」を想像することが必要ですね。原発が誰かの命の犠牲の上にあるシステムだと知ることで、社会を変えるのかどうかを考えていく。
武藤 システムの中で生かされているという状況は都会の方だって同じですから、一緒に考えていきたい。えらそうに言えないけれど、自分の頭で考えようって。都会の消費者も、福島の犠牲者も、一人一人が自分で立ってつながろうとしなければ共倒れになります。
よく観察してほしいのです。福島で何が起きているのか、人々はどんな状況にあるのか。国は何をしているか。人権侵害とか、人の尊厳が失われていくさまとか、それは日本中どこでも起こりうる。観察すればわがことだと分かると思うんですね。
佐藤 原発再稼動には今も大勢が反対しています。都会の人が原発問題に関心がないわけじゃない。イメージを固定化させないことですね。運動の中で大切にしていることは何ですか。
武藤 英国で一九八一年に起きた「グリーナムの女たち」の闘いに影響を受けました。核ミサイル配備に反対し、米軍基地の周りで十八年間、平和キャンプを続けて、ついに基地を撤去させたのです。
女たちの闘いは、特別なことではなく、ユーモラスで、日常感覚を大切にしてるんですね。歌ったり、ご飯を作ったり。
運動は、ややもすれば相手をたたき伏せるまでやってしまいがちですが、女たちの目的は考え直してもらうことで、たたき伏せることではないんですね。
私も、告訴団の団長になったときはこの役目は重いなって思ったのですが、私以上の私は生きられないですよね。
原発事故があって、一人の人間としての殻をほんの少し破ったというか、一段上がったというか。私のささやかな夢も原発事故のせいでだめになってしまって。でも、神様がいるとしたら、「もっと前に進みなさい」と言われたのかなと、そう思ったのですね。
むとう・るいこ
1953年、福島県生まれ。養護教員だった80年代、チェルノブイリ原発事故に衝撃を受けて脱原発福島ネットワーク設立に参加。廃炉を訴える「ハイロアクション福島」の準備中に3・11震災に遭う。著書に『どんぐりの森から』。
福島原発告訴団
福島原発事故の被害住民で構成し、2012年6月、福島県民1324人が福島地検に第1次告訴。被告訴人は東京電力幹部や国の関係者ら33人。同11月、全国・海外から1万3262人が第2次告訴を行う。検察の不起訴処分を不服として検審に申し立て、今年7月、「起訴相当」を含む議決が出た。現在、検察による再捜査中。
9/19 【さようなら原発】 武藤類子さん
http://youtu.be/5xdszFXI2J0
Greenham Common Women's Peace Camp
1982年12月12日にグリーナム・コモン米軍基地に巡航ミサイルが配備されることに反対して30,000人の女性が米軍基地の周囲(9.7キロ)を人間の鎖で包囲して抗議の意を示しました。
Greenham Common, dancing on the Silos on New Years Day, and scenes from outside the court case clips
http://youtu.be/Ipmh_27AADk
Greenham Common peace sign
崩壊寸前の福島事故直後の行動調査
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014090802000158.html
福島原発事故直後に被災者たちがどう行動したのかを記録する調査が崩壊寸前だ。放射線による健康影響を調べるため、一人一人が浴びた線量を推計する切り札として福島県が三年前に始めた。しかし、全県民を対象にした行動記録の回収率は26・4%にとどまっている。これでは健康管理はおぼつかないが、県は有効な手だてを打っていない。本気で健康影響と向き合う気があるのか、という疑問の声すら上がっている。
(榊原崇仁)
出足遅れ 記憶曖昧に
福島原発事故 被災者の行動記録
「毎回申し上げていますが、満足できるものではありません」。先月二十四日に福島市であった県民健康調査検討委員会。この席上、県双葉郡医師会顧問の井坂晶氏は低迷する回収率に不満をあらわにした。
国立がん研究センターの津金昌一郎氏も「一般的な世論査では、最低でも60%が求められる」と発言した。だが、県から調査を委託される県立医科大(県医大)の担当者は「どう回答率を向上するか、検討委で十分議論し、助言いただければ…」と受け流した。
行動記録の調査は、事故後の健康状況を調べる県民健康調査で「基本調査」と位置付けられている。二百万人余の全県民が対象で、東日本大震災があった二○一一年三月十一日から四カ月間、どこにいたか、一時間単位で記録に残す。
県医大によると、外部被ばく線量はこの行動記録と場所ごとの空間線量などとを組み合わせることで唯一、推計できるという。
被ばく線量の濃淡が健康にどう影響するかを調べるには不可欠だ。さらにこのデータ抜きでは、影響があった際の立証が難しく、支援や賠償を求める根拠も乏しくなってしまう。
この健康影響ではとりあえず、甲状腺がんが焦点になるが、これを引き起こす放射性ヨウ素の内部被ばく線量の推計でも行動記録の活用を検討している。
ヨウ素は専用機器で被ばく状況を把握できるが、半減期が八日と短く、事故直後の測定が求められる。ただ現状では千人程度のデータしかないため、新たな方法による推計が必要だ。
しかし、行動記録の回収率は低迷している。
行動記録を書き込む問診票の全県配布は一一年八月に始め、記入後に郵送してもらっているが、回収率は同年十一月末で18.0%。その後、微増という状況が続いてきた。
昨年十一月には、打開策として移動距離が少なかった日は、時間などを省ける簡易版も使い始めた。
しかし今年六月末でも、回収率は26.4%。原発に近い相双地区だけでも45.3%と半数以下だ。県医大はこれらのデータから一般人の外部被ばく線量について「最高で二五ミリシーベルト。健康影響は考えにくい」と発表しているが、県全体で約四人に一人の回答では、根拠が薄いと見ざるを得ない。
ただ、今から回収率を上げるのは簡単ではない。
避難指示区域の浪江町から二本松市の仮設住宅に避難する大学一年生の女性(一九)は問診票を返送していないが「避難先が四回ほど変わったし、もう記憶は曖昧」と回答をためらう。同じ仮設の女性(六八)も未回答だが「はっきりと覚えてない。細かく思い出さないと、と思うと、面倒な気持ちが強くなる」と話した。
専門家会議「被ばくの線量小さい」
不備なデータで判断
事故直後の行動を記録する作業は記憶との勝負、時間との勝負だ。福島の行動調査の場合、出足の遅れが記憶を曖昧にさせた。
そもそも全県的な問診票の配布が始まったのは事故から五カ月後の一一年八月だったが、県側が意図的に遅らせた節がある。
同年五月にあった県の内部会合では、インターネットで県民に行動記録を入力してもらい、外部被ばく線量を推計する試みが独立行政法人・放射線医学総合研究所から提案された。
これに対し、県側は「現段階では住民の不安をあおる」と強く批判し、中止に追い込まれた。つまり、混乱回避という理由で、行動記録をつかむ試みは先送りされてしまったのだ。
頼りにならない結果しかない現状だが、これを「利用」しているのかと疑いたくなる動きもある。
環境省は福島原発事故後の健康管理について議論する専門家会議を開いているが、元放射線影響研究所の長滝重信座長は7月の会議で、行動記録に基づく線量推計に触れ、「大半の人は五ミリシーベルト以下」という点ばかりを前面に押し出した。
データ不足なのに「被ばく線量は小さく、健康影響は考えにくい」という一方的な判断を打ち出すような姿勢は反発を呼び、翌月の会議では開会直前、市民団体のメンバーらは浮島智子環境政務官(当時)に座長解任の要請書を渡した。
調査方法が「県民の自己記入式」でよかったのか、という疑問もある。
京都大原子炉実験所の今中哲二助教らの研究グループは県とは別に、避難住民の行動を記録し、外部被ばく線量を推計した。同グループでは各世帯を巡回し、対面式で聞き取った。
今中助教は「相手の顔を見ながら、回答をお願いした方が協力を得やすい。正確さの面でも、対面方式の方が勝る。原発事故があってからの行動について、順を追って丁寧に聞くことで相手の記憶がよみがえる。『この時、世の中でこんなことが起きていましたけど、あなたはどうしていましたか』と水を向けることで、少しずつ思い出すことも少なくない」と語る。
今中助教らの調査は避難指示が遅れた飯舘村の住民が対象だが、昨年七月から十月という短期間にかかわらず、全村民約六千人の三割程度から回答を得た。
実は県医大も、対面式の調査が全く頭になかったわけではない。
「こちら特報部」が情報公開した資料などによると、問診票配布から約一年後の一二年七月、県医大は有識者会議を開いている。
今後の大学のあり方がテーマだったが、県医大の重要事業になっている行動調査が話題になり、菊地臣一理事長は「いま選択を迫られている」と報告。対面調査で回収率を上げるか、全県民となっている調査対象を絞り込むか、という2つの道があると説明した。
そのうえで、対面調査を実施した際の費用は数十億円と語り「資金がかかりすぎる。それほど使えないという意見もある」と否定的な見解を述べた。結局、対面調査に切り替えないまま、現在に至っている。
「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」副代表の福田健治弁護士は「除染に毎年、数千億円かける中、行動調査の費用を渋る理由があったのか」と憤り、こう訴える。
「そもそも福島県に調査をまかせていいのか。費用の確保がどうのという以前に、信頼を失っている。さらに放射性物質が県境で止まらないということを考えると、県外でも行動調査をする必要がある。そうなれば、国が責任を持って対応しなければならない。いまの行動調査はもう限界。全面的に見直すべきだ」
飯舘村住民の初期外部被曝量の見積もり
(今中哲二)飯舘村初期被曝評価プロジェクト
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/etc/Kagaku2014-3.pdf
福島・6号線ルポ バリケードずらり、残る高線量
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月18日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014091802000140.html
福島県の浜通りを縦断する国道6号富岡町-双葉町間(14.1キロ)の通行規制が15日、解除された。全線開放は3年半ぶり。国道は除染されていても、放射線量の高い場所がまだ残る。復興に弾みがつくと期待が高まる半面、住民らの不安は続く。帰還困難区域を貫く国道を17日、車で往復した。
(白名正和、沢田千秋)
解放されてもバリケード
午前 四時二十分、富岡町の富岡消防署前。通行規制が解除されるまで、検問所があった場所だ。
「この先、帰還困難区域」「自動二輪車 原動機付き自転車 軽車両 歩行者は通行できません」などと書かれた看板が出ている。警察官や警備員ら五人ほどが警戒に当たっていた。
周辺の空間放射線量を測定してみると、毎時○・九五マイクロシーベルト。道路の真ん中は一・六五、道路脇の草むらでは、三.一○まで上がった。
内閣府のモニタリング調査によると、規制が解けた富岡町から双葉町までの平均空間線量は毎時三・五マイクロシーベルト。除染前は毎時五・一マイクロシーベルトで、担当者は「三割から四割低減できた」と話す。最大値は、福島第一原発近くの大熊町内の一四・七マイクロシーベルトで、高い場所も残っている。
二輪車や歩行者の通行が禁止されているのは、被ばくの恐れがあるためだ。四輪車であっても駐停車はできない。政府は、窓を閉めてエアコンは内気循環にするよう呼び掛けている。
早朝のこの時間も、マイクロバスやトラック、乗用車が行き交う。バスやトラックには、福島第一原発の通行証らしい黄色い標章が付けられていた。ナンバーは、いわき、福島、水戸、仙台とさまざまだ。
北上 する。脇道はバリケードなどでふさがれ、侵入できない。民家との間にも、バリケードが左右に並んでいる。
福島第一原発に近づくにつれ、社内の空間線量は二、三、四マイクロシーベルトと上がっていく。福島第一原発から西約二キロの中央台交差点付近で、六・三八マイクロシーベルトに達した。
双葉町の双葉厚生病院入口交差点からは、数十メートル先に「原子力明るい未来のエネルギー」という標語の看板が見える。
この標語を小学六年の時に考案した大沼勇治さん(三八)は、規制解除の当日、避難先の茨城県古河市から現場を訪れた。看板を写真に収める人々を目にし、複雑な心境になったという。
大沼さんの自宅は、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の候補地の目と鼻の先。候補地は、福島第一原発を取り囲むように、国道6号の東側に広がる。「一般車両にとっては確かに便利になった。けれど、本当の目的は復興に見せかけた汚染ごみの運搬ルートの確保と思わざるを得ない」
侵入を防ぐバリケードは沿道に約三百カ所。「バリケードは、東電とともに歩んだ私の人生に付けられた✕印に見えた。そして、6号は今後、人が住める側と住めない側とに、町を分断する象徴になった」
便利になるが人はいない 「子や孫は通らせたくないな
住民が心配しているのは、人の出入りが増えることによる盗難などの犯罪の増加だ。双葉、大熊、富岡を含む八町村を管轄する福島県警双葉署管内の刑法犯認知件数は、原発事故前の二○一○年に四百二十三件だったのが、事故後の一一年は千十五件に激増。住民が避難し無人となった住宅の空き巣被害が相次いだ。
このため、富岡町では四十四カ所に防犯カメラを設置。大熊、双葉両町も防犯カメラや自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)の設置準備を進めている。
双葉町にあるゲートまで約二十分だった。そのまま南相馬市に入る。国道沿いの食堂駐車場で、まきストーブにあたっていた同市の男性(七三)は、「子どもや孫は通らせたくないな。原発の近くは線量が高いから」と話した。同市のJR原ノ町駅前で喫茶店を経営する吉田至巴(よしとも)さん(七五)は、「今まで南に行くことのできる道路がなく陸の孤島のようだった。これからは南北の人の交流が増えるだろう」と歓迎した。
ここでUターン。今度は南下する。
同市小高区の避難指示解除準備区域。夜間の立ち入りや宿泊が制限されている。同区で二○一二年四月から理容室を再開した加藤直さん(六四)は、国道の規制解除について、「利便性は向上するだろうけど、宿泊制限も解除にならなければ、変わらない。人がいないと町は活気が出ないよ」と話す。
同区にある南相馬市ボランティア活動センター。一時帰宅する住民などから片付けやがれきの処分、農業用ビニールハウスの解体などの依頼が月百件ほどある。センター長の松本光雄さんは「やってもやっても終わらない。交通が便利になり、ボランティアに来てくれる人が増えてほしい」と期待している。
進行 方向の左手に太平洋が見える。海岸の整備のためか、重機がいくつも動いている。草むらの中に、上下逆さになった乗用車が一台、放置されていた。
双葉町に再び入る。明るくなったため、早朝には分からなかった町の様子が見て取れた。国道沿いにラーメン店、ガソリンスタンド、クリーニング店、食堂などが並ぶが、いずれも人影はない。
富岡町にあった衣料品チェーン店は天井が落ち、壁やガラス窓が破れ、店内にはハンガーに服が掛けられたまま。ホームセンターも商品のコーン標識や鉄柱が、屋外の商品棚に置きっ放しになっていた。どの店も朽ち果て手付かずになっているという印象だった。
国土交通省磐城国道事務所によると、八月の平日の一日平均交通量は六千四百台だったが、解除後の今月十六日は一万台に増えた。
富岡町のゲートを過ぎて、さらに南下する。避難指示解除準備区域で夜間の立ち入りと宿泊が制限されている楢葉町。町役場庁舎前に今年七月、町のPRと地元の復興につなげるための共同店舗「ここなら商店街」がオープンした。飲食店「おらほ亭」を経営する横田峰男さん(四九)は「今までは人通りが少なく隔離されているような閉塞(へいそく)感を感じていた」と喜ぶ。
ただ、店に客としてきていた同町の宿泊業の男性(三九)は、「正直、規制解除に特段の思い入れはない。楢葉に人が住むことができて、商売も軌道に乗るようにならないと、町が元気になったという実感は湧かない」と話した。
いわき市に着くまでに、原発作業員を乗せたバスを何度も見かけた。国道6号は通行できるようになったが、原発事故はまだ収束していないということを実感した。
帰還ありき 住民苦悩 来月1日 川内村避難解除
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2014年9月25日
福島第一原発から二十キロ圏にある福島県川内村は、来月一日に避難指示解除準備区域の指定が外される。今月十七日には安倍首相が来村し、住民帰還を促す考えを示した。だが、事故から三年半がたち、それぞれの事情で古里に戻れない人も多い。今後、賠償打ち切りという痛みばかりを強いることにもなりかねない。
(榊原崇仁)
避難先の生活、賠償打ち切り…懸念大きく
川内村は原発事故直後、二十キロ圏内は警戒区域、二十キロ圏外は緊急時避難準備区域となった。二○一一年九月には緊急時避難準備区域の指定が解除され、一二年四月には、警戒区域も避難指示解除準備区域と居住制限区域に再編された。
今回指定が解除される避難指示解除準備区域は、百三十九世帯二百七十五人の訴人が対象。政府は十二日に解除を正式決定した。
村側は帰村を促すため、復旧復興を急いできた。
村によれば、除染は住宅のみならず、道路、農地、森林などで一通り終えた。震災で傷んだ道路の補修は半分ほど済み、来年度中に完了する。雇用面では、金属加工メーカーや野菜栽培などの工場を誘致。来春に災害公営住宅、来夏は特別養護老人施設ができる。
ただ、帰還ありきで前掛かりになっている面は否めない。村が設けた有識者会議「川内村への帰還に向けた検証委員会」は先月八日に「除染の効果はあり、日常生活に必須のインフラなどが整った。避難指示解除準備区域の解除は妥当」という中間答申を出した。
これが解除決定を後押ししたが、検証委は七月にスタートし、中間答申まで二回しか会合を持っていなかった。検証委の委員長は県立医科大の山下俊一副学長に師事する長崎大の高村昇教授、副委員長は電力会社出資の財団法人「電力中央研究所」の井上正・名誉研究アドバイザーが務める。
安倍首相も解除決定から五日後に、川内村にある仮設住宅を訪れ、「住民の不安を受け止めながら、帰還に万全を期す」と宣言した。だが、実際はそう簡単にはいきそうにない。
村側は避難指示解除準備区域の外部被ばく線量について年間一~二ミリシーベルトにとどまると推定する。しかし、雨どいの下など放射性物質が集まりやすい場所などでは、空間線量は毎時一~二マイクロシーベルト(年換算で四~五ミリシーベルト)と高くなっている。
全村民二千七百人余のうちの九割は、既に避難指示の対象から外れているが、半分程度しか帰村していない。村の担当者は「若い世帯は、村に戻らない例が目立つ。避難先で新しい仕事を見つけ、子どもも避難先の学校になじむと、腰が重くなる」と語る。
避難指示が解除されると、一年後に東電からの精神的損害賠償(一人月十万円)が打ち切られる。これが帰還を思いとどまらせる要因にもなりかねない。
避難指示解除準備区域から郡山市内の仮設住宅に避難する女性(七七)は「家業だった畜産はもうできない。賠償金を打ち切られれば、ほんの少しの年金で暮らすしかない」と話す。「店が多い郡山は商品が安い。川内村の店の半額ぐらい。お金のことを考えると、郡山にとどまるしかないのかなと思ってしまう。川内に帰りたい気持ちは強いが…」
同じ仮設の男性(八○)は膝の調子が悪く、週に一回病院に通うが「川内は小さな診療所しかなく、村に戻っても郡山まで通院しないといけない。交通費もばかにならない」と嘆く。
仮設住宅の自治会長を務める志田篤さん(六五)は今後をこう見通す。「避難者はそれぞれが事情を抱える。十月一日になったからと言って、急に帰村する住民が増えるとは思えない」
追記しました 災害列島に住む者の宿命(´・ω・`)…しかし、お寒い体制…
御嶽山 大噴火!
http://youtu.be/7Ea3uED1Zgc
大滝口登山道 九合目 避難小屋の少し上から撮影開始。
避難小屋に間に合わず 1回目の噴煙に飲み込まれる。(動画はここで終了)
この後 避難小屋に逃げ込んで2回目 3回目の爆発→噴煙に耐えてから下山しました。
自分たちは避難小屋が近く助かりましたが 今回の噴火で たくさんの方々が犠牲になられてしまいました。
飛び交う噴石
http://youtu.be/yvrXrosZ9TM
御嶽山噴火
20140927 奥ノ院付近
火山弾の大きさ参考画像(落下速度720km/h)
噴火警戒レベル「3」桜島などと同水準
しんぶん赤旗2014年9月29日
登頂多い時間 被害拡大
御嶽山の噴火で気象庁が引き上げた「噴火警戒レベル」については、御嶽山と同じ「3」とされている火山は、ほかに鹿児島県の桜島と口永良部島があります。
噴火警戒レベルは、噴火の大小と周辺住民の防災対応を5段階で示した指標。気象庁が2007年に従来の火山活動度レベル(6段階)を改めました。地元自治体との協議に基づき、全国110活火山のうち30火山で運用されています。
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生したか切迫している場合は最高の5(住民避難)、予想される場合は4(避難準備)。居住地域近くまで影響を及ぼす噴火の発生または予想が3(入山規制)、火口周辺に影響を及ぼす噴火の発生または予想が2(火口周辺規制)、静穏な状態が1(平常)。5と4が特別警報、3と2が警報として扱われます。
紅葉見頃、好天…登山者多く
噴火した御嶽山は紅葉が見頃を迎え、観光客数がピークにさしかかる時期で、好天に恵まれた週末の27日には多数の登山者らが訪れていました。噴火が発生したのは、頂上付近に登山者が特に多い時間帯で、被害拡大の要因になったとみられます。
御嶽山は例年、9月下旬から10月上旬に紅葉がピークとなります。この週末は8合目以上で見頃を迎えていました。
長野県木曽町観光協会の須藤邦男事務局長(58)によると、標高約2150がにある駅と山麓とを結ぶロープウエーの利用客は、この時期に年間で最も多くなります。今年は、7月に同県南木曽町で発生した土石流災害の影響でJRの特急が利用できなかったり、8月に長雨が続いたりした影響で利用者は落ち込んでいましたが、9月は好天が続いていたといいます。
ロープウェーは登山者も多く利用し、駅から山頂までの所要時間は3時間程度。噴火が発生した正午前は、朝から登り始めた人が昼食を取るなど、頂上付近に多くの人がいる時間帯でした。
火山弾で屋根に穴が開き窓の割れた山小屋の中の様子
山小屋に入らずに、一晩を外で過ごし、奇跡的に生き残った人
噴火警戒レベルの説明
(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/level_toha/level_toha.htm
噴火警戒レベル(「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」)
噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。
国全体の火山防災の基本方針を定めた防災基本計画(火山災害対策編)と「噴火時等の避難に係る火山防災体制の指針」に基づき、各火山の地元の都道府県等は、火山防災協議会(都道府県、市町村、気象台、砂防部局、火山専門家等で構成)を設置し、平常時から噴火時の避難について共同で検討を行っています。 火山防災協議会での共同検討の結果、火山活動の状況に応じた避難開始時期・避難対象地域が設定され、噴火警戒レベルに応じた「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」が市町村・都道府県の「地域防災計画」に定められた火山で、噴火警戒レベルは運用が開始(導入)されます。
噴火警戒レベルが運用されている火山では、平常時のうちに火山防災協議会で合意された避難開始時期・避難対象地域の設定に基づき、気象庁は「警戒が必要な範囲」を明示し、噴火警戒レベルを付して、地元の避難計画と一体的に噴火警報・予報を発表します。 市町村等の防災機関では、あらかじめ合意された範囲に対して迅速に入山規制や避難勧告等の防災対応をとることができ、噴火災害の軽減につながることが期待されます。
※なお、平成19年12月より、火山活動度レベルに代わって、噴火警戒レベルが運用されています。
政府インターネットテレビ「火山災害から命を守るために~避難計画を知る大切さ」
リーフレット「噴火警報と噴火警戒レベル」(全般的な解説)
火山別に設定された噴火警戒レベルを解説したリーフレット
噴火警戒レベルの活用にあたっては以下の点に留意する必要があります。
・火山の状況によっては、異常が観測されずに噴火する場合もあり、レベルの発表が必ずしも段階を追って順番どおりになるとは限りません(下がるときも同様です)。
・各レベルで想定する火山活動の状況及び噴火時等の防災対応に係る対象地域や具体的な対応方法は、地域により異なります。
・降雨時の土石流等、噴火警報の対象外の現象についても注意が必要であり、その場合には大雨情報等他の情報にも留意してください。
噴火警戒レベル
注1: 住民等の主な行動と登山者・入山者への対応には、代表的なものを記載。
注2: 避難・避難準備や入山規制の対象地域は、火山ごとに火山防災協議会での共同検討を通じて地域防災計画等に定められています。ただし、火山活動の状況によっては、具体的な対象地域はあらかじめ定められた地域とは異なることがあります。
注3: 表で記載している「火口」は、噴火が想定されている火口あるいは火口が出現しうる領域(想定火口域)を意味します。あらかじめ噴火場所(地域)を特定できない伊豆東部火山群等では「地震活動域」を想定火口域として対応します。
注4: 火山別の噴火警戒レベルのリーフレットには、「大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流等が居住地域まで到達するような大きな噴火が切迫または発生」(噴火警戒レベル5の場合)等、レベルごとの想定される現象の例を示しています。
火山防災協議会、噴火警戒レベル、避難計画の関係について(防災基本計画)
噴火警戒レベルが運用されている火山
噴火警戒レベルは、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された47火山のうち、30火山(平成25年7月現在)で運用されています。今後、このほかの火山も含め、地元の火山防災協議会における避難計画(いつ・どこから誰が・どこへ・どのように避難するか)の共同検討を通じて、噴火警戒レベル(いつ・どこから誰が避難するか)の設定や改善を地元の気象台を含む関係機関が共同で進めていきます。
各火山の現在の噴火警戒レベルについてはこちら
噴火警戒レベルが運用されている火山
御嶽山噴火 火山ガス心肺停止とは
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2014年10月2日
御嶽山の火山活動が続く。登山者の救助・捜索活動は続いているが、事故に関連して耳慣れない用語も出てくる。あらためて確認した。
(篠ケ瀬祐司)
硫化水素を検知 救助中断
警察や消防、自衛隊などによる救助・捜索活動の障害の一つになっているのが「火山ガス」だ。地下のマグマに溶けている水素や酸素、硫黄などは、噴火に伴って水蒸気や二酸化硫黄、硫化水素という化合物となり、火山ガスとして地表に放出される。
東京工業大・火山流体研究センターの野上健治教授によれば、火山ガスのほとんどが水蒸気で、「多い時はガス全体の95%以上を占める」。水蒸気だけなら問題ないが、毒性を持つ二酸化硫黄や硫化水素が含まれていると、人体には有害だ。
気象庁の火山監視・情報センターによれば、九月二十九日の時点で、二酸化硫黄の放出量は一日当たり千トンだった。火山活動に伴う放出量としては多い。
二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、野上氏によれば、二~五ppm程度で、せきが出る。ぜんそくなどの疾患を持つ人は、より大きな影響を受ける。
「卵の腐ったようなにおい」と表現される硫化水素は「一〇〇ppm以上で危ない状態になり、五〇〇ppmなら重篤に、一〇〇〇ppmなら即死する」(野上氏)という。長野県・王滝口から登った救助隊は、身に着けた検知器が五ppm以上の硫化水素を検知し、活動を打ち切った。
この「ppm」は、大気中における気体の大気汚染物質の濃度を表す単位だ。
「百万分の一を意味し、一ppmは一立方びの空間に一立方センチの気体が含まれている状態を指す。
「死亡」は法律上 医師判断
火山ガスに阻まれながら続く救助・捜索活動中には、新たに「心肺停止」の人が見つかったという報告も相次いだ。
心肺停止とは、どんな状態なのか。消防庁救急企画室は「生命を維持するために必須の二つの機能である、心拍と呼吸が停止した状態を指す」と説明する。心肺停止になっても、救命措置で一命を取り留めることがあり、死亡とは言えない。
そして、死亡の確認・宣告は法律上、医師と歯科医師が行う。日本法医学会理事で和歌山県立医科大教授の近藤稔和氏は「心肺停止に加え、目に光をあてても瞳孔が反応しないことなどを確認し、亡くなっているか判断する」と解説した。
この原則を踏まえ、長野。県警などは、心肺停止の人と亡くなった人の数を分けて発表している。
多くの人は、「噴石」が頭や体に当たった外傷性ショックによって亡くなったと発表されている。気象庁は、噴火によって噴出した固形物の名称を、大きさで呼び分けている。直径二ミリ未満を火山灰、直径二ミリ以上を噴石と呼ぶ。
また、噴火で起きた「火砕流」とは、高温の火山灰や岩、水蒸気などが一体となって山肌を下る現象のことを言う。時速は数十キロから百数十キロで、通過した地域は焼失、埋没など大きな被害を受ける。
火山監視・情報センターは三十日に発表した「御嶽山の火山活動解説資料」で、火口から四キロ程度の範囲で、大きな噴石の飛散や火砕流に対する警戒を呼びかけている。
雲仙普賢岳火砕流の発生状況(平成3年)
http://youtu.be/r0gFFJUsIrE
雲仙火砕流災害 巻き込まれる直前まで撮られていた映像
http://youtu.be/bnLYksi3YAE
日本列島 110活火山 噴火リスクいつも
(東京新聞【こちら特報部】)2014年9月30日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014093002000157.html
いきなり噴火し、大惨事となった御嶽(おんたけ)山。日本には、百十もの活火山があり、気象庁はうち四十七を常時監視する。だが、噴火予知は、技術的に限界がある。火山災害は、一度発生すれば大きな被害をもたらすが、対策は遅れている。火山列島は突然、噴火が起こる危険性を常にはらむ。
(篠ケ瀬祐司、上田千秋)
避難計画 策定自治体15%
日本には、世界遺産・富士山を含め百十の活火山がある。世界には約千五百五十の活火山があるとされ、その約7%に当たる数だ。
活火山は全国各地にある。北方領土・択捉島の茂世路岳から、硫黄島の南南東約二百十キロの海底火山、日光海山まで。北海道や東北、関東甲信越、中部、九州を中心に、二十六都道県に活火山がひしめいている。
かつて、活動を続けている火山を「活火山」と呼び、そうでない火山を「休火山」「死火山」と呼んでいた。
一九五〇年代になると「火山にとって数百年程度の休止はわずかな期間だ」として、噴火の可能性がある火山は活火山とする考え方が国際的主流となり、気象庁も六〇年代から、噴火記録のある火山を活火山と呼ぶようになった。
七五年には、火山噴火予知連絡会(予知連)が「噴
火の記録のある火山および現在活発な噴気活動のある火山」と定義し、七十七を活火山とした。
その後の研究で、記録はなくても噴出物などから噴火の証拠が見つかるケースが相次いだ。予知連では九一年に定義を「過去、約二千年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」と改め、数を八十三に修正した。
二〇〇三年には過去の噴火時期を「約二千年以内」から二万年以内」に延ばして数も百八に増えた。一一年に二つ加えて現在の百十になった。
千年、万年単位の休止後に噴火する火山は珍しくない。御嶽山もそうした歴史を歩んでいる。
国土地理院の資料などによれば、御嶽山は約七十五万年前から約四十二万年前までの間に活発に活動した。約三十万年の休止を挟んで活動を再開し、約九万年前の大噴火では直径五~六キロのカルデラができた。約二万年前まで、溶岩や火砕物などの噴出が続いた。
記録に残る最初の噴火は一九七九年の水蒸気爆発だ。産業技術総合研究所で活断層・火山研究部門の主任研究員を務める及川輝樹氏の研究では、七九年噴火と同程度か、それ以上の噴火は、最近二百五十年間はなかった可能性が高い。
及川氏は「御嶽山は噴気や噴煙は上かっていても、噴火は起きないと思われてきた。それが七九年に噴火し、さらに活火山の見直しを促すきっかけになった」と話す。
岐阜県のホームページでは、七九年噴火の火山灰などの推定総噴出量は約十八万トンで、百五十キロ離れた群馬県内でも降灰が確認されたことが紹介されている。九一年、○七年にも小規模の噴火があった。七九年以降はそれまでと別の場所でも噴気・噴煙が起きている。
大災害前提に備える意識を
活火山の観測態勢や、噴火した際の自治体の対策はどの程度整っているのか。
気象庁は二〇〇九年、百十の活火山のうち、〈噴火した場合に社会的影響が大きい四十七の火山を選定し、二十四時間監視するようになった。地震計や衛星利用測位システム(GPS)を設置し、地殻変動のデータなどを精査。活動が静穏で「平常」なレペル一から、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生または切迫していて「避難」が相当のレベル5まで五段階に分け、警戒情報を随時発表している。
噴火後にレベル一から「入山規制」に当たるレベール3に引き上げられた御嶽山と同じく、現在3になっているのは桜島と口永良部島。阿蘇山や三宅島など五つの火山が2で、それ以外は1もしくは「レベルの発表なし」となっている。
ただし、火山の専門家が常駐する観測施設があるのは、桜島や有珠山など一部に限られる。
噴火した場合の各自治体の備えは、遅れている。内閣府が三月にまとめたデータでは、四十七の火山のうち、防災協議会を設置していたのは三十三、ハザードマップ(被害予測図)を作成していたのは三十七にとどまる。具体的な避難計画いを定めていたのも、関係する百三十市町村のうち二十しかなかった。
国の研究予算 地震の9分の1
地震に比べ火山のリスクは過小に見積もりがちだ。琉球大の木村政昭名誉教授(地震地質学)は「地震は頻繁に起こり、防災に対する住民の意識も高い。火山は数十年に一回、噴火するかどうか。火山から離れた場所に住んでいる人は関心も薄い」と話す。
こうした傾向は、国の予算面にも表れている。文部科学省は毎年、地震と火山の研究に関する政府機関や国立大学法人などの予算額を発表している。○九年度以降は二つまとめて集計するようになったが、分けてまとめていた○八年度までは百億~二百億円程度で推移していた総予算額のうち、おおむね地震が九割、火山が一割の配分になっていた。
研究者の数も少ない。内閣府の有識者検討会(座長・藤井敏嗣東京大名誉教授)が昨年五月にまとめた「大規模火山災害対策への提言」によると、大学で火山の観測や調査に従事する研究者は四十人程度。また国立大学では、噴火の実例が少なく学術論文につながりにくいため、調査研究費が縮小傾向にある現状を紹介。火山学専攻の学生が減っているとも指摘している。
神戸大大学院の鈴木桂子准教授(火山地質学)は「大学院博士課程まで研究を続けても、大学にポストがないために民間企業に就職し、成果を生かせない学生も珍しくない」と話す。
東日本大震災後 火山活動活発に?
火山噴火のリスクは減っていない。有識者検討会の提言は「東日本大震災後の日本列島は、同じく三陸沖で大きな地震が発生し、火山活動が活発になった九世紀に状況が似ている。大規模噴火が短期間に連続して発生することも考えられる」と警告している。
過去には有珠山や三原山など噴火を予知して住民の避難に成功したこともあるが、こうした例はむしろまれだ。鈴木准教授は「予知が可能なのは、比較的頻繁に噴火を起こしていて観測データがしっかりしている火山に限られる」と指摘する。
静岡大の小山真人教授(火山学)は「二十世紀は比較的噴火が少なかった時代と言えるが、これからどうなるかは分からない。どの活火山も噴火することを前提に対策を進めていく必要がある。国や自治体、住民それぞれが意識を高めていくべきだろう」と話した。
NHKスペシャル <巨大災害 MEGA DISASTER>
第4集 「火山大噴火 迫りくる地球規模の異変」
/高度に発達した文明社会で大噴火が起きると何が起きるのか?
http://v.youku.com/v_show/id_XNzg3ODEyMTI4.html
富士山や浅間山など110もの活火山が集中する日本列島。その地下100km付近には、大量のマグマが存在し火山に向かって上昇している様子が、最新の“地震波トモグラフィー”によって捉えられている。
年間800回以上も爆発的な噴火が起きている鹿児島・桜島では、マグマが溜まり続ける様子が観察され、近い将来、大規模な噴火のおそれがあることがわかってきた。アメリカ最大の火山地帯・イエローストーンでは、地下2000km以上の深さから「マントルプルーム」と呼ばれる巨大で高温のマントル物質が上昇、その熱によって長さ60km・幅30kmに達するマグマが生まれ、地下5km付近にまで迫っていることが確認されている。
高度に発達した文明社会で、大噴火が起きると何が起きるのか。世界で最も詳細なシナリオが描かれているのが、ポンペイの悲劇で知られるイタリア・ベスピオ火山だ。噴火すれば100万人近くが暮らすナポリ市を火砕流が襲い、市街地の多くが焼き尽くされることが想定されている。
一方、アメリカ・イエローストーンで巨大噴火が起きれば、火山灰が地球全体を覆い、世界の気温が平均で10度以上も下がることが最新のシミュレーションで導き出されている。
地球の歴史上、繰り返されてきた火山大噴火。現代の私たちが経験していない大噴火は、地球環境や人類にどれほどの影響をもたらすのか。火山研究の最前線を取材し、その脅威の姿を見つめていく。
世界有数の火山国・日本で
問われる監視・観測体制
(しんぶん赤旗【とくほう・特報】)2014年10月4日
火山災害として戦後最悪の犠牲者を出した御嶽山の噴火。世界有数の火山国・日本で、これから火山活動の活発期に突入する可能性が指摘されるなか、観測機器の維持や充実だけでなく、門家の育成さえ危ぶまれる状況があります。その噴火監視体制の不十分さにたいして、早くから疑問の声があがっていました。
(内田達朗、中村秀生、松沼環)
関連予算 政党助成金より一桁少なく
日本には110の活火山があります。そのうち47火山は、火山噴火予知連絡会によって「監視・観測体制の充実等が必要な火山」に選定され、24時間体制で常時観測・監視されています。
2011年の東北地方太平洋沖地震によって、日本と周辺の地殻の状態が変化し、各地で活発な火山活動が発生する可能性があります。現在の日本は、貞観地震(869年)前後に伊豆諸島、富士山、鳥海山、新潟焼山などの噴火が続いた9世紀の状況に似ているという指摘もあります。
年間十数億円で推移
まさに今、火山防災は待ったなしの課題です。ところが防災のための大前提となる監視観測や調査研究は、不十分です。
昨年5月に内閣府などの有識者検討会がまとめた「大規模火山災害対策への提言」は、科学技術・学術審議会が建議する観測研究計画にもとづき大学が実施する火山噴火予知研究の予算が年間―億円程度にすぎず、「噴火シナリオの作成に欠かせない噴火履歴の調査等には十分な予算が投入できない」と窮状を訴えました。
文部科学省の資料によると、国の火山関連予算の総額は、最近20年間は大ざっぱにみて年間十数億円規模で推移しています(09年度以後の予算は地震と火山を合算しており内訳は不明)。これは米軍への「思いやり予算」(2000億円規模)より二桁小さく、憲法違反の政党助成金(350億円規模)より一桁小さい額です。
提言は「(常時観測の)47火山でさえ必ずしも観測体制が充実しているとは言えない状況」だと指摘しています。実際、気象庁によると、47火山のうち、地震計が一つしか設置されていない火山が複数力所あります。
一方、04年の国立大学法人化にともなって国の予算が削られてきた結果、技術職員の削減で大学の観測所が無人化されたり、観測機器の維持が困難な状況も生まれました。
学者は伊の30分の1
深刻な事態は、現在の問題にとどまりません。人材の欠乏が将来の火山監視体制に暗雲を投げかけています。
現在、大学で火山観測などに従事する研究者は40人程度。火山学で博士課程に進む学生の減少も顕著です。
火山活動の推移や発生する現象の予測にとって、個々の火山活動のくせを知ることが重要。そ
のためには火山ごとの″ホームドクター″(かかりつけ医)が欠かせません。
ところが、日本の1火山あたりの研究者の数は0・36人。イタリアの10・7人、インドネシアの0・85人、米国の0・83人と比べて見劣りする数です(今年3月、防災担当相の国会答弁)。
今回の御嶽山の噴火は比較的小規模とされていますが、多数の犠牲者を出しました。日本各地では歴史的にさらに大規模な噴火による災害に見舞われてきました。火山国・日本で将来の噴火への備えの充実が急がれます。
今こそ人員・設備の拡充を
火山観測を行う現場からは、人員体制の充実を求める声が上がっています。
気象庁の火山の観測は、東京にある本庁と三つの管区気象台が担当しています。各地の火山に地震計、観測カメラなどを設置していますが、気象庁職員は常駐していません。各地の管区気象台では、5人の職員が24時間2交代で、地震計などのデータやカメラの映像をもとに観測を続けています。
災害発生時などは、観測に従事していない職員などの応援を受けて対応しています。しかし、政府は7月、今後、気象庁職員の定員を1割削減する方針を決定しました。
人員体制の充実を求めている国土交通労働組合の安藤高弘委員長は、「人員が不足しているのが現場の実態です。職員が減らされれば、正しい観測に必要な経験・知識が継承されず、国民の安全を守ることができなくなります。今こそ人員・設備の拡充が必要です。労組としても体制の充実へ引き続き声を上げていきたい」と話しています。
御嶽山
3ヶ所で地震計ストップ
気象庁によると、御嶽山の火山活動監視は13力所に設置した地震計などによって行っています。このうち気象庁の地擴計は2ヵ所。1ヵ所で、地表に設置され、強風による雑音が問題となっていました。このため2ヵ所目は、地下に地鰹計を埋設しました。
このほか、長野県が3ヵ所、岐阜県が2ヵ所、名古屋大学などが地震計を設置して、観測体制をしいていました。
しかし、御嶽山の観測体制について詳しい東濃地震科学研究所の木股文昭副首席主任研究員は、「火山の場合、精度が1キロぐらい欲しい。現在は、密度が十分ではなく、地震の回数はわかるが、どこに起きているか、どの深さか非常に曖昧だ」と指摘します。
しかも、噴火当時、両県が設置した5ヵ所のうち、長野県が山頂に設置した1ヵ所を含む、3ヵ所の地震計が動いていませんでした。
長野県によると、県が設置した3ヵ所のうち2ヵ所が老朽化により昨年6月と8月から停止していました。名古屋大学が機材を提供し、今年10月にも更新する計画を進めていたところでした。岐阜県が設置した2ヵ所のうち1ヵ所は、電源を供給しているスキー場の電源が夏季には停止するため停止していました。
木股氏は、「予知できたかは別として、山頂の地震計が勳いていれば、予知につながる一つのステップを進めた可能性があります。3000メートルを超える御嶽山で、県が地震計を維持するのは困難です。大学もひっ迫していて、観測網の維持が困難な状況です。国の責任で整備すべきです。火山地域にある測候所を廃止するなど、国は火山活動監視から大きく後退しています。地域の切り捨ての一環として、火山も切り捨てられている」と懸念を示しています。
小出裕章先生:原子力を進めてきた人達にも、自分達が何をやってきたのか考えてほしい
ファインダーから見た貧困と災害(ラジオフォーラム#91)
http://youtu.be/sQ2vj-bEgl8?t=15m45s
15分45秒~第91回小出裕章ジャーナル
廃炉の抱える問題点について「40年で廃炉にするということがよく言われるわけですけれども、それは単にその時点で運転停止するということなのです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no91/
湯浅誠:
今日は、廃炉の抱える問題点ということなんですけれども、運転開始から40年前後が経過した古い原発は基本的原則的に廃炉にすると。そういう話になっておりますが、それに当たって、そもそも廃炉についてちょっと学びたいという感じなんですけれども。まず、廃炉というのは何なんでしたっけね? 単に原子炉を停止させるだけじゃないんですよね?
小出さん:
そうですね。ですから、皆さん40年で廃炉にするということがよく言われるわけですけれども、それは、単にその時点で運転停止するということであって、それまで動いていた原子力発電所をどうやって始末するかという長い長い年月がその先に待ち構えているのです。
最終的に、放射能のゴミそのものは消すことはできませんけれども、少しでも安心できる状態にするまでに、それこそ50年経つのか100年経つのかという、そういうことが廃炉ということの作業なのです。
東海原発の廃止解体工程
湯浅:
ということは、40年経ったところで廃炉にするけども。
小出さん:
運転停止するけれども、それから廃炉の作業が始まるということです。
湯浅:
そうですね。廃炉に着手するのは40年で、完了するのは…
小出さん:
いつになるかわかりません。
湯浅:
なるほど。そうすると、当然ながらその間の工事費・維持管理費、もちろん放射性廃棄物の後処理、いろんなことがかかると思うんですが、電力会社がなかなか廃炉にできないで、この間来ているのは、何が一番の原因なんですかね?
小出さん:
まずは、金儲けに原子力発電所を使いたい。40年経ってまだ動いているなら、それからまた20年使いたいとか、彼らはまずは思うわけですね。それが一つの一番大きな理由だと思いますし、もうひとつは、運転停止したところで、それ以降の廃炉という作業がどうやってできるかが分からないのです、今現在。ですから、彼らとしては少しでも先延ばしにしたいと思っていると思います。
【解説】福島第一原発 廃炉・解体をどう進めるか(科文・大崎記者)
(NHK「かぶん」ブログ)
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/600/91196.html
湯浅:
世界的に廃炉の例がない?
小出さん:
はい。大きな原子力発電所を廃炉にした例は一度も、1基もありません。
湯浅:
そうなんですね。そうすると、この間の原発事故と同じとは言いませんが、やったことのないことをやらなければいけなくて、その間いろんなことがまた起こると予想されるということですね。
小出さん:
もちろんです。
湯浅:
この廃炉費用というのは、それでも一応計算上は見積もってるはずじゃないかと、電力会社は思うんですが、いくらぐらいということになってるんですか?
小出さん:
確か、当初は200億とか300億とか言っていたと思いますが、そんなものでは到底済みませんので、何千億円というケタになるはずだと私は思います。多分、それでも済まないんではないかと思っています。
湯浅:
それはやっぱり、放射性廃棄物の地層処分とか、そこにかなり莫大なお金がかかるであろうということですか?
小出さん:
そうです。一番危険な放射性廃物というのは、使用済み燃料そのもの、あるいは、再処理ということをやってしまえば、高レベルガラス固化体という物が 一番恐ろしい物なわけですけれども、その次に恐ろしいものが原子炉本体です。30年なり40年動いて、放射能の塊になってしまったその鋼鉄をどうするかということなのです。
使用済み燃料、あるいはガラス固化体は深地層、深い場所に埋めようと。深さ300メートルから1000メートルの所に埋めようというのが日本政府の方針なのです。では、放射能の塊になった鋼鉄をどうするかということで、それを300メートルや1000メートルの深さに埋めるのは大変なので、「余裕深度」と彼らは言っているのですが、「50メートルとかそれぐらいの穴を掘って埋めてしまいたい」と彼らは言っています。ただし、その場所すらが未だにありません。
湯浅:
地下300メートルって何か現実的なんですか?
小出さん:
私は全然そうは思いません。私は地震学者ではありませんので、正確な判断ではないかもしれませんが、地震というのは深さ何キロ、何十キロという深い所で発生して、岩盤をバリバリ割りながら地表まで断層が現れてくるというような現象ですから、300メートル、1000メートルなんていうのは全然深くないのですね。
例えば、東海地震なんていうのは、100年か150年に一遍ずつ起きてきたということが分かっているわけです。今、次に起きた東海地震で仮に被害がなかったとしても、また100年か150年後にはまた襲ってくるわけですね。
そらから、また100年か150年後にはまた襲ってくるということになるわけで、一度埋めてしまった放射能のゴミが、曲がりなりにも安全になるまでに10万年とか100万年と言ってるわけですから、仮に100年後に来るとすれば、1000回とか10000回とか耐えなければいけないということになります。そんなことはあり得ないと私は思います。
変動帯・地震列島で高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分ができるか?
石橋 克彦(神戸大学名誉教授/地震学)
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/121202gakujyutsu_haifu.pdf
湯浅:
そういうことが表立って言われなくてもわかってる以上は、技術的に可能かどうかの前に、受け入れ自治体の問題ということが大きく出てくると思うんですけど。
小出さん:
そうです。未だに、高レベル放射性廃物を受け入れるという自治体はひとつも日本にはありません。そのため、ある時にはモンゴルに押し付けてしまおうというような案まで出てきて、日本という国は恥ずかしい国だと私は思いました。でも、今後も高レベル放射性廃物を引き受ける自治体は恐らくなかなか出てこないだろうと思います。
http://www.yunnan-k.jp/yunnan-k/attachments/article/670/2013-04-nuclear-issue-in-mongolia.pdf
湯浅:
ドイツは日本の原発事故を受けて、原子炉から脱却することを決めたと聞いてますが、ドイツの場合は、その廃炉を順次どんどんしていくんでしょうけども、どうするんですか?
小出さん:
ドイツは、カンブリア台地という古い地層にヨーロッパというのはあるわけですけれども、地下に岩塩層というのが広がっていまして、要するに塩の塊が地下に眠っているわけですね。
塩の状態であるということは、そこには水が入ってこなかったという証拠だとドイツの人達は考えたのです。ですから、岩塩層に放射能のゴミを埋めてしまえば、水が浸入してこないから、外に放射能のゴミが漏れていくこともないだろうと考えて、一時期そのテストを始めたのですけれども、人間が岩塩層の中に穴を掘ってしまったら、そこに水が入ってくるようになってしまったのです。
そのため、ドイツも岩塩層に処分するという方策を諦めてしまいました。でも、どうすればいいのかということに関しては、まだドイツも決めかねています。
Schachtanlage Asse
※関連アーカイブ 第27回「脱原発・ドイツの廃炉事情レポート」(ゲスト:広瀬隆さん)
湯浅:
ということは、世界中どこでも原発事故は起こらなくても、この原発の廃炉問題は私達の少なくても今のところ手に負えない問題としてあるということですね?
小出さん:
「科学がいつかなんか良い方法を見つけてくれるだろう」と思って、これまで原子力をやってしまったわけですけれども、いくら経っていい方法が見つからないというまま、今があるわけです。
湯浅:
どこまで先延ばしを続けるんですかね?
小出さん:
ほんとですね。ちゃんと原子力を進めてきた人達にも、自分達が何をやってきたのか考えてほしいと私は思います。
湯浅:
私達にも十分関心を寄せてこなかった責任がありますね。
小出さん:
そうですね。
湯浅:
小出さん、どうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
原発廃炉は可能か? ~計画とその現実~
http://dai.ly/x18kovf
NHK BS世界のドキュメンタリー 2013.12.18.
原題:Decommissioning Nuclear Power Plants: Mission Impossible?
制作:Eclectic Presse / ARTE France (フランス 2012年)
原子力発電を進めてきた国々は今、老朽化や閉鎖などによる廃炉を着実に行うという局面を迎えている。ドイツやフランスなどで進む廃炉プロセスと、それぞれが直面する状況を見つめる。
ドイツではかつて、岩塩採掘所に放射性廃棄物を埋めていたが、岩塩が割れ地下水が流れ込む状態になり、回収もままならなくなるという苦い経験をした。廃炉が始まって18年になるルブミン原発では、安全な管理方法が見つからないため、使用済み核燃料が現地にそのまま保管されている。
2005年に廃炉となったアメリカ・メイン州の原発では、建屋の取り壊しをダイナマイトで爆破する形で行った。1960年代には放射性廃棄物を海に投棄していたフランス。現在は、地下深くの粘土層に多重のバリアシステムを持つ地層処分場を建設中だが、住民から反対の声が上がっている。
専門家は、放射性廃棄物の処理は、予想されていたより難しく、コストがかかると指摘。原子力分野の“先進国”と言われる各国は、高レベル放射性廃棄物の有効な処分方法をなかなか見いだせていない。
NNNドキュメント「活断層と原発、そして廃炉 アメリカ、ドイツ、日本の選択」
http://dai.ly/xx30uu
・11大震災 シリーズ 活断層と原発、そして廃炉
アメリカ、ドイツ、日本の選択 55分枠 放送 : 1月27日(日)
今、原発敷地内の破砕帯が活断層かどうか?が問題となっている日本の原発群。今後を考えるヒントとなる原発をアメリカで見つけた。伝えたい3つの事。①フンボルト原発では、操業後に敷地の近くに活断層が見つかった。そして後に廃炉となる。どういう経緯だったのか?②ボデガ原発でも建設中、直下に一本の小さな断層が見つかり、建設中止となった。なぜ?③ディアブロ原発は、5㎞沖に活断層が見つかり44億ドルかけて耐震補強した。存続させるのに、超巨額が必要な事がわかる。更に、原発ゼロを決定し廃炉作業を進めるドイツの廃炉会社を取材。見えて来たのは廃炉完了までに途方もない労力とコスト、気の遠くなる歳月が必要な事…まさに活断層上の原発を続けるも地獄、廃炉も地獄…。
原発問題~廃炉について~
http://youtu.be/KgM4_nOEqAg
姜尚中/ドイツの脱原発・廃炉作業
http://youtu.be/3mWzIFIGlSQ
死の地帯——ドイツ政府の原発事故シミュレーション
http://youtu.be/Tl-FVTsUorA
廃炉への道(1)「放射能"封じ込め" 果てしなき闘い」(前)
http://dai.ly/x1pzc1h
NHKスペシャル シリーズ 廃炉への道 第1回 2014.4.20
「放射能"封じ込め" 果てしなき闘い」(前半)
数十年という時間の重みを、私たちは想像することができるだろうか-。
3年前の東日本大震災で、3つの原子炉がメルトダウンするという世界最悪レベルの事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所。現場では、溶け落ちた核燃料を取り出し、強い放射性物質を帯びた原子炉を解体する「廃炉」の作業がようやく始まろうとしている。3つの原子炉を「廃炉」し、避難した住民を帰還させるという、人類史上例を見ない試みは、果たしてどのような経過をたどるのか、福島第一原発の「廃炉」を長期にわたって徹底記録。科学的、社会的課題に向き合う大型シリーズを4月からスタートさせる。第1回は、「廃炉」がいかに果てしない作業か、数十年という歳月が人びとや社会にどのような影響を与えるのかを探っていく。NHKは、廃炉の“先進地”である、アメリカ・スリーマイル島原発やチェルノブイリ原発も徹底取材、廃炉に関する貴重な内部映像を入手した。福島第一原発の廃炉作業にもカメラを入れ、廃炉の大前提である「放射能の封じ込め」に苦闘する現場を見つめる。さらに、廃炉の行方を、固唾を飲んで見守る福島の人びとや自治体も取材。廃炉が人間や社会に与えるインパクトを探っていく。シリーズは、数十年かかる廃炉の作業を、取材制作スタッフも代替わりしながら長期的に記録していく、新たなテレビ的挑戦としたい。
廃炉への道(2)「誰が作業を担うのか」
http://dai.ly/x1ratxt
NHKスペシャル シリーズ 廃炉への道 第2回 2014.4.25
「誰が作業を担うのか」
第2回のテーマは、廃炉の成否を左右する課題のひとつ、「作業員の確保」だ。東京電力は、今後必要とされる作業員の数を大幅に上方修正。作業環境の改善や労務単価の引き上げなど、要員確保に向けた対策に乗り出した。
しかし、今後、数十年続く廃炉の担い手を確保していくには、多くの課題が立ちはだかっている。高線量の現場での作業は人海戦術を取らざるを得ないが、労働条件が割に合わないなどの理由で、作業員が別の仕事を求めて廃炉現場を離れていく実態。繁忙期と閑散期が繰り返される不安定な発注状況も、要員集めを難しくしている。
番組では、廃炉作業の「発注」から「人繰り」そして「作業」に至るまでのプロセスの中で、現場はどのような課題に直面しているのか取材。さらに、専門家などによる検証チームを結成し、人員確保の見通しについて長期シミュレーションを実施する。また30年近くチェルノブイリ原発の廃炉作業を続けるウクライナで、作業員を確保する仕組みなども紹介。「廃炉」を実現するために、現場の作業員を長く安定的に確保し、持続可能な体制を構築するために、国は、東電は、そして社会は何をすべきなのか考える。
原発廃炉で廃棄物どこへ 「適地」化警戒の声
(河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141003_21026.html
電力各社が老朽化した原発の廃炉を検討する中、原発解体に伴って出る放射能レベルが比較的高い廃棄物の行き先が焦点に浮上している。深い地中での長期管理が必要だが、処分事業の実施主体や受け入れ先は決まっていない。青森県内では六ケ所村で処分施設整備の可否の検討が進められており「一時保管の名目で、青森が処分候補地になる可能性がある」と警戒する声が出ている。(青森総局・狭間優作)
<地下に試験空洞>
廃炉廃棄物は低レベル放射性廃棄物に分類され、原子炉圧力容器などの炉内構造物や制御棒は、中でも放射性物質濃度が最も高い「L1」に属する。国や電気事業連合会(電事連)は生活圏から隔絶するため、地下50~100メートルの場所に埋める「余裕深度処分」とする方針を示している。
余裕深度処分の技術は未確立で、国内では唯一、六ケ所村の核燃料サイクル施設で研究が進む。地下約100メートル、幅約18メートル、高さ約16メートル、奥行き約100メートルの試験空洞を、電事連の要請を受けて日本原燃が2006年に完成させた。
原燃は既に「安定した大規模空洞を構築できる」と電事連に報告している。現在は原子力環境整備促進・資金管理センターが、空洞内に埋設施設の設置が可能かどうか調査している段階だ。
<「要請があれば」>
原燃の工藤健二社長は9月30日、取材に対し「(余裕深度処分は)あくまで調査研究の段階。事業化するかどうかは一切決まっていない」と話した。ただ副社長だった5月、自民党の会合に出席した際には、「電力側からの要請があれば」との条件付きながら、廃炉廃棄物の受け入れに前向きな姿勢を見せている。
仮に原燃が手を挙げても、現状では青森県内の受け入れ対象ではない。原燃は、県、村と1985年に結んだサイクル施設の立地基本協定に基づき、低レベル放射性廃棄物の埋設施設を同村で操業中だが、受け入れているのは全国の原発の運転に伴う放射能レベルの低い廃棄物のみ。県は廃炉廃棄物は協定の範囲外との認識だ。
県エネルギー総合対策局の八戸良城局長は「日本原燃から事業計画の説明があれば、各界各層の意見を聞く必要がある」と慎重な構えを見せる。
<運転35年は11基>
資源エネルギー庁の試算では、全国の原発56基が廃炉になれば、L1の廃棄物は計7613立方メートル出る。原子炉等規制法の改正で原発の運転期間は原則40年となった。運転開始から35年以上たった原発は3月末で11基。近い将来、行き場のない廃炉廃棄物が全国にあふれかねない状況だ。
核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団代表の浅石紘爾弁護士は「核のごみを一度受け入れたら適地として永久に狙われる。高レベル放射性廃棄物一時貯蔵施設がなし崩し的に押し付けられたように、余裕深度処分も青森が候補地になる恐れが十分にある」と心配する。
※写真は六ケ所村の地下に設けられた試験空洞
高知県・高知県教委――廃炉をめざしたら、後援拒否
(BLOGOS 週刊金曜日編集部)
http://blogos.com/article/95936/
グリーン市民ネットワーク高知主催の講演会の「後援」拒否を告げる文書。(撮影/編集部)
高知市内の市民団体「グリーン市民ネットワーク高知」が主催する「被曝のリスクを考える講演会シリーズ」の後援を、高知県と高知県教育委員会が拒否した。
これは福島第一原発事故で危険性が高まった被曝について確かな情報を共有し、暮らしに役立てようと企画されたもので、10月中旬から来年2月にかけて高知市や四万十市で開催される6回の連続イベント。放射能の研究者、崎山比早子氏や北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏ら、被曝問題に詳しい医師や医学博士4人が登壇の予定だ。「グリーン市民ネットワーク高知」は今回、高知市と高知市教育委員にも後援を依頼したが、市と市教委はこれを受け入れた。県と県教委が後援を拒否した理由は、主催する団体の規約にある「原発廃炉をめざす」という文言が政治的だからだという。
高知県知事の尾崎正直氏は「再稼働がやむを得ないこともありうる」という立場を表明している。その意をくむ知事部局危機管理防災課の担当者は、「原発についてはいろんな意見があり、特定の方向に沿うものは後援できない」と回答してきた。
県の衛生研究所は、マーシャル諸島での米国水爆実験以降、とくに高知県に放射性物質の降下が多かったので、土壌や食品の放射線測定を長年、続けてきた。被曝のリスクを知り語り合う企画は、「県の保健行政に寄与」し「公益性」も高いはずなのだが。
一方、県教委の担当者は、後援拒否の理由として「中立の立場」を強調する。だが、同県教委は昨年2月に行なわれた「人類は様々な放射線と今後も付き合っていく必要がある」とする高知工科大学主催の「環境・放射線セミナー」については、文部科学省や原子力発電環境整備機構(NUMO)と並んで後援した経緯がある。これで「中立」とする県教委の見識を問いたいものだ。
(外京ゆり・同市民団体共同代表、9月26日号)