【小出裕章ジャーナル~第50回】
福島第一原発事故による子どもたちへの影響について
http://youtu.be/S2ym32tfjaA
聞き手:
今日は福島第一原発事故による子どもたちへの影響についてお聞きしたいと思います。
小出さん:
放射線というのは子どもであろうと大人であろうとどんなに低線量であろうと危険です。
ただし、同じ被ばくをした時に、子どもは大人に比べてはるかに大きな危険を背負わなければいけません。
なぜかというと、生き物というのは自分の情報、遺伝情報というものをみんな持っているわけですし、人間の子どももそうですけど、一番はじめの命というのは母親の卵子と父親の精子が合体してできたたったひとつの細胞なのですね。
そこに遺伝情報というのが書き込まれているわけですが、細胞分裂というのをやりまして、はじめ1個だったものが2個になる、それが4個になっていくという形で、どんどん大きくなっていくわけです。
その時に必ず遺伝情報を間違えないで複製して渡していくということをやりながら生き物が生きていくわけです。はじめ1個だった細胞がどんどんどんどん細胞分裂を繰り返して、胎児として生まれてくる時には、一丁前の人間の体をして生まれ落ちてくるわけですね。
でもその後もどんどんどんどん細胞分裂を繰り返しながら、大きくなっていくわけです。毎日見ていたって面白いほどに赤ん坊というのは成長していくわけですし、ちゃんと遺伝情報を複製しながら命というのを維持しようとしているわけです。
そういう状態で細胞に傷を受けてしまう、遺伝情報に傷を受けてしまうということになりますと、傷を受けた遺伝情報を次々と複製してしまうということになりますので、成長途上にある子どもというのは、一番放射線に敏感だということになってしまいます。
聞き手:
チェルノブイリ周辺では、甲状腺がんの子どもたちが急増したというデータがあります。母乳や水、それから食べ物を介して、放射性ヨウ素が子どもたちの体に蓄積されたと言われています。まずこの放射性ヨウ素ってなんですか。
小出さん:
ホルモンを作っているのは、人間の場合、甲状腺というところで作っています。喉の両側にあるとても小さな臓器でして、そこでホルモンを作り出して全身に送り出しているわけですが、そのホルモンを作るためにヨウ素という元素が必ず必要だとそういう生き物なのです。人間は。
ただし、自然界にあるヨウ素というのは、番号で言うと127番という番号のついたヨウ素でして、放射能を持っておりません。
人間が原子力というのを利用してしまいますと、127番ではない、131番であるとか132番、133番という様々な番号のついたヨウ素を作ってしまうのです。そして、そういうヨウ素は放射能を持っているのです。
人間の側から見ると、元々あった127番のヨウ素も新たに作り出した別の番号のヨウ素も、同じヨウ素にしか見えませんので、そういうものが環境に出てしまいますのと喜んでそれを甲状腺に蓄積していってしまうわけです。
そうすると、甲状腺が傷を受けて、甲状腺腫瘍、あるいは甲状腺がんというものを作ってしまうことになるわけです。
※福島甲状腺がん 世界最速最悪レベル チェルノブイリを超えた
日刊ゲンダイ2013/11/26「日々担々」資料ブログ
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-10367.html
聞き手:
小さな子どもを持つお父さんお母さんにまずはこれだけはしてくれということがありましたら、アドバイスをお願いします。
小出さん:
福島の事故というのは残念ながら起きてしまいました。それを防げなかった責任というのは様々な方々に、様々な重さであると思います。原子力の旗を振ってきた人たちは重たい責任があると思いますし、私にしても原子力の場にいる人間としてそれなりの責任があると思います。
ただ、日本で生きてきた大人の人というのは、これまで原子力をここまで許してしまった責任が何がしかあると私は思います。
ただし、子どもは原子力を選んだ責任がないわけですし、先ほども聞いていただいたように被ばくに関しては危険を一手に引き受けてしまうというような生き物ですので、今、日本で生きている大人の責任として、何としても子どもの被ばくを少なくするということが必要だと私は思います。
※継続調査でみる原子力発電に対する世論
過去30年と福島第一原子力発電所事故後の変化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taesj/12/3/12_J12.039/_pdf
2010年調査
そのために、できることは山ほどありますけれども、一番いいことは、本当は子どもを汚染地帯から避難させることです。
それが生活上困難であるというのであれば、一週間でもひと月でもいい、短い単位であってもいいから、汚染地からできる限り子どもを遠ざけるというようなことをやっていただきたいと思います。
それから、もし可能であるならば、子どもたちが食べるもの、家庭で食べるものもそうですし、特に私は学校給食というもの、子どもが食べるというものに関しては、できる限りきちっと検査をして子どもたちには汚染の少ない食べ物を回すという体制を作るべきだと思いますので、それを大人の責任として皆さんに考えていただいて、行政に働きかけるなり何なり、工夫を凝らしてやっていただきたいと思います。
東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律
(平成二十四年六月二十七日法律第四十八号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H24/H24HO048.html
(目的)
第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故(以下「東京電力原子力事故」という。)により放出された放射性物質が広く拡散していること、当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと等のため、一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、又は居住していた者及び政府による避難に係る指示により避難を余儀なくされている者並びにこれらの者に準ずる者(以下「被災者」という。)が、健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられており、その支援の必要性が生じていること及び当該支援に関し特に子どもへの配慮が求められていることに鑑み、子どもに特に配慮して行う被災者の生活支援等に関する施策(以下「被災者生活支援等施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、被災者の生活を守り支えるための被災者生活支援等施策を推進し、もって被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事故による災害の状況、当該災害からの復興等に関する正確な情報の提供が図られつつ、行われなければならない。
2 被災者生活支援等施策は、被災者一人一人が第八条第一項の支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。
3 被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事故に係る放射線による外部被ばく及び内部被ばくに伴う被災者の健康上の不安が早期に解消されるよう、最大限の努力がなされるものでなければならない。
4 被災者生活支援等施策を講ずるに当たっては、被災者に対するいわれなき差別が生ずることのないよう、適切な配慮がなされなければならない。
5 被災者生活支援等施策を講ずるに当たっては、子ども(胎児を含む。)が放射線による健康への影響を受けやすいことを踏まえ、その健康被害を未然に防止する観点から放射線量の低減及び健康管理に万全を期することを含め、子ども及び妊婦に対して特別の配慮がなされなければならない。
6 被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事故に係る放射線による影響が長期間にわたるおそれがあることに鑑み、被災者の支援の必要性が継続する間確実に実施されなければならない。
略
(支援対象地域で生活する被災者への支援)
第八条 国は、支援対象地域(その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域をいう。以下同じ。)で生活する被災者を支援するため、医療の確保に関する施策、子どもの就学等の援助に関する施策、家庭、学校等における食の安全及び安心の確保に関する施策、放射線量の低減及び生活上の負担の軽減のための地域における取組の支援に関する施策、自然体験活動等を通じた心身の健康の保持に関する施策、家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 前項に規定する子どもの就学等の援助に関する施策には、学校における学習を中断した子どもに対する補習の実施及び学校における屋外での運動が困難となった子どもに対する屋外での運動の機会の提供が含まれるものとする。
3 第一項に規定する家庭、学校等における食の安全及び安心の確保に関する施策には、学校給食の共同調理場等における放射性物質の検査のための機器の設置に関する支援が含まれるものとする。
4 第一項に規定する放射線量の低減及び生活上の負担の軽減のための地域における取組には、子どもの保護者等による放射性物質により汚染された土壌等の除染等の措置、学校給食等についての放射性物質の検査その他の取組が含まれるものとし、当該取組の支援に関する施策には、最新の科学的知見に基づき専門的な助言、情報の提供等を行うことができる者の派遣が含まれるものとする。
以下略
「子ども被災者支援法」が骨抜きの危機
原発事故被災者や自治体が、国に“異議申し立て”
(東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/21068
天然放射能と人工放射能は違う!
http://youtu.be/gjbwiKNlULc
20120714 小出裕章さん質疑 自然放射線と人工放射線の違い
http://youtu.be/_J9cCWfypMQ
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Chernobyl Heart Children
http://www.youtube.com/playlist?list=PLC3C9747674B58952
çernobil
http://youtu.be/_LA_PnAQONo
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