Als die Nazis die Kommunisten holten..
彼らが最初共産主義者を攻撃したとき
「その建物(死体焼却炉)の前に1本の木が立っていて、そこに白く塗った板がかけてあり、黒い字で何やら書いてありました。
Baracke X
この板は、ダッハウで生き残り、最後にアメリカ兵によって発見・救出された囚人たちの、いわば最後の挨拶のようなものだったのです。つまり、彼らが、先に死んでいった仲間のために書いた挨拶です。こう読めました。
『1933年から 1945年までの間に、23万8765名の人々がここで焼かれた』。
それを読んだとき、妻が失神しそうになってわたしの腕に中に沈み、ガタガタ震えているのにわたしは気がつきました。わたしは彼女を支えてやらなければなりませんでしたが、同時に冷雨のようなものがわたしの背すじを走るのを覚えました。妻が気分が悪くなったのは、25万人近くという数字を読んだためだと思います。この数字は、わたしにはどうということはなかった。
わたしはもう知っていましたから。その時わたしを冷たく戦慄させたものはいくらか別のこと、つまり『1933年から 1945年まで』という2つの数字だったのです。…1937年の 7月 1日から 1945年の半ばまでは、わたしにはアリバイがあります(注・その間彼は捕えられていた)。しかし、そこには『1933年から』と書いてある。…1937年の半ばから、戦争の終わりまでは、お前にはなるほどアリバイがある。だが、お前は問われているのだ。『1933年から 37年の 7月まで、お前はどこにいたのか?』と。そしてわたしは、この問からもう逃れることはできませんでした。1933年には、わたしは自由な人間だったのです…」
アメリカ軍に歓声を上げる解放されたダッハウ強制収容所の囚人
「ナチスがコミュニストを弾圧したとき、私はとても不安だった。が、コミュニストではなかったから、何の行動も私は行わなかった。その次、ナチスはソシアリストを弾圧した。私はソシアリストではないので、何の抗議もしなかった。それから、ナチスは学生・新聞・ユダヤ人と順次弾圧の輪を広げて行き、その度に私の不安は増大した。が、それでも私は行動しなかった。ある日、ついにナチスは教会を弾圧して来た。そして私は牧師だった。が、もうその時はすべてがあまりにも遅すぎた。」
「ナチスに責任を押しつけるだけでは十分ではない。教会も自らの罪を告白しなければなりません。もし教会が、本当に信仰に生きるキリスト者から成り立っていたならば、ナチスはあれほどの不正を行うことができたでしょうか…」
マルティン・ニーメラー
Else and Martin Niemöller in 1961
NHKスペシャル 2015年12月20日
新・映像の世紀「第3集 時代は独裁者を求めた」
http://dai.ly/x3j114s
http://dai.ly/x3j11b4
ミュンヘン近郊の山荘で、くつろぐ柔和な表情のヒトラー。その傍らには、23歳年下の愛人エヴァ・ブラウンの姿がある。物語は、地下壕でヒトラーと心中したエヴァの遺品の中から発見されたプライベートフィルムから始まる。
5000万を越える人々が犠牲となった第二次世界大戦。しかし、あの惨劇は一人の独裁者の狂気だけが生み出したものではない。
世界恐慌で資本主義に幻滅した人々はファシズムを支持し、世界中の企業がナチスへの支援を行った。
自動車王ヘンリー・フォードはナチスに資金援助したと言われ、空の英雄リンドバーグは、ヒトラーと手を組むことが世界を平和に導くと信じた。
アウシュビッツ収容所の大量の囚人管理を可能にしたのは、アメリカ企業(IBM)の開発したパンチカードシステムだった。
なぜ世界は独裁者を迎え入れたのか、なぜ止められなかったのか。
未公開映像から浮かび上がる、独裁者に未来を託し、世界を地獄に追い込んでしまった人々の物語である。
戦前戦中派どう見ているのか
恐ろしいのはグロテスクな極右戦前回帰政権の蛮行に世論が怒らず、支持率も高止まりしている現実だ。あのときも国民が支持して無謀な戦争に突き進んだ教訓があっという間に雲散霧消という国と国民の痴呆性
民主主義なんて、国がその気になればいつでも葬ることができるのだ。情報統制、監視強化、洗脳教育、国家主義の台頭、先制攻撃論まで出てきた狂乱政権の正体
たった70年で教育勅語復活という痴呆
(日刊ゲンダイ)2017年4月4日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202773
この平成の世で「教育勅語」が復活するとは思いもしなかった。
安倍内閣は先月末、教育勅語について「憲法や教育基本法に反しない形で教材として用いることを否定しない」という答弁書を閣議決定した件である。
1890年に発布された教育勅語は「朕」=明治天皇が「臣民」に与えたもので、戦前・戦中の教育の基本理念とされた。親孝行や夫婦相和など臣民が守るべき徳目が示されているが、それらはすべて最後の「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」につながる。つまり、危急の大事が起きた時は皇室国家のために身を捧げよと説いたものだ。
こうした教えが軍国主義の礎になったとの反省から、また「基本的人権を損ない、国際信義にも疑点を残す」として、戦後の1948年、衆参両院で教育勅語の排除・失効が決議された歴史がある。それから70年が経ち、戦前回帰政権が教育勅語を復権させようとしている。
12歳の時に敗戦を迎えた筑波大名誉教授の小林弥六氏が言う。
「われわれの少年時代は、学校内の『奉安殿』に天皇・皇后の御真影と教育勅語謄本が納められていて日常的に教育勅語を暗唱させられた。それで完全に洗脳されていたんですね。大きくなったら軍人になって、お国のために戦い、天皇のために命を捧げるのが当たり前だと信じ込んでいました。
教育勅語は子どもから大人まで一般に広く浸透し、国家主義的な道徳観の柱になっていた。国民に批判の自由もなかった。それが軍国主義につながり、無謀な戦争に突き進んでいったことは疑いようがない。戦中派からすれば、グロテスクな教育勅語の復活は恐ろしく、戦争の悲惨な教訓があっという間に雲散霧消してしまう状況は悲しいとしか言いようがない。自分が生きているうちに暗黒日本のテーゼが復活しようとは、白昼夢を見るような思いです」
危険なイデオロギー教育
森友学園事件で一躍、注目を集めた教育勅語。学園が運営する幼稚園で、いたいけな園児たちが教育勅語を暗唱し、「安倍首相がんばれ!」「安保法制、国会通過よかったです!」と宣誓する姿に、多くの国民が戦慄したものだ。そして、安倍政権と共通するおぞましさを直感的に感じ取った。
作家の中島京子氏は2日の毎日新聞のコラムで、森友事件についてこう書いていた。
〈森友学園=塚本幼稚園を支えてきたのが、戦時中の思想に帰ろうとする政治運動であることは、いまやもう誰も否定しないだろう〉
〈私が恐ろしいのは、戦時中の思想に帰ろうとする政治運動に賛同している人たちが、日本の教育を変えようとしている事実、そのものだ。関与が取りざたされた政治家の誰一人として、「教育勅語」を否定しなかった。それどころか擁護発言が相次いだ〉
〈政権の中枢にある政治家、官僚、民間企業(学校法人)が、ある偏ったイデオロギーに染まり、国民の共有財産の使い方を勝手に決めて、「彼ら」の信奉するイデオロギー教育を実践する施設を作ろうとしていた。そういう事件に私には見える〉
国有地の格安譲渡が発覚しなければ、今ごろ教育勅語を教える愛国小学校が開校していたのだ。
その森友学園は、事件をきっかけに理事長が交代。新体制では「1947年に制定された教育基本法の指針を常に念頭に、カリキュラムを見直していく」と声明を発表して、教育勅語からの決別を宣言した。ところが、わが国の政府は、教材使用を認める閣議決定をして、教育勅語にお墨付きを与えた。戦前教育の推進に熱心なのは、森友学園より安倍政権の方なのである。
中学校の保健体育に「銃剣道」が復活のおぞましさ
安倍首相は第1次政権時代から、教育への介入を強めてきた。教育勅語の廃止後、戦後民主教育の柱になってきた教育基本法は、第1次安倍政権の06年に改正され、「我が国と郷土を愛する態度を養う」という文言が加えられた。森友学園は、この教育目標を忠実に実践してきただけだという声もある。
道徳の教科化や、修正主義的な歴史教育によって、愛国心の押し付けを強力に進めようとしているのが安倍政権だ。先月末に告示された幼稚園の新教育要領には「伝統的な行事、国歌に親しむ」ことが加えられた。中学校の新学習指導要領では、保健体育の「武道」に「銃剣道」が新たに盛り込まれた。
終戦時、陸軍幼年学校に入学していたという作家の三好徹氏は「銃剣なんて信じられない」と絶句し、こう続けた。
「旧日本軍の訓練に用いられていた銃剣術は、白兵戦で人を殺戮するための武術です。日本古来の武道ではないし、礼儀を重んじる剣道や柔道とは根本的に性質が違う。中学生に教えるようなものではありません。戦前の国家主義を美化するような、この政権の右翼路線は、目に余ります。青少年期の重要な時期に国家主義を叩き込み、教育勅語の復活とともに国家のシステムまで変えてしまおうという蛮行は、絶対に許してはなりません」
中学の剣道では「突き」が禁止なのに、銃剣で突きまくることは許容される根拠がよく分からない。大体、ボタンひとつで国が亡ぶ時代に銃剣道などという時代錯誤の発想は、どこから生まれてくるのか。自衛隊員の再就職先を確保するためか? それとも、近い将来の白兵戦を想定しているのか。
専守防衛の原則も空洞化の一途
自民党の安全保障調査会は先月30日、敵基地攻撃能力の保有と高高度防衛ミサイル(THAAD)システムの導入など、防衛力の強化を求める提言をまとめた。いわゆる先制攻撃論だ。この提言を受けた安倍は「政府として受け止めて対応をしていきたい」と、前向きな発言をしたという。集団的自衛権の行使容認に続き、憲法の専守防衛の原則がどんどん空洞化されようとしている。
「安倍政権は周辺国の脅威を煽り、それを利用することで戦前の価値観への回帰を強めようとしている。教育勅語を認める閣議決定も、その一環です。幼稚園から日の丸、君が代で愛国心を植え付け、道徳の教科化によって小中学校で国家主義的な道徳心を叩き込む。さらには大学自治の原則も無視して、教育現場への国家統制を強めている。日本中の学校を森友学園にしようとしているのです。これに情報統制や監視強化が加われば、あっという間に戦前の軍国主義が復活です。国家権力がその気になれば、民主主義はあっという間に葬り去られてしまう。自民党が早期の審議入りを狙う共謀罪も、軍国主義的な発想そのもので、この国の民主主義は危機的な状況にある。不気味なのは、これだけ狂乱政権の正体が明らかになってきても、支持率が高止まりしていることです」(小林弥六氏=前出)
まったく、恐ろしいのはそこだ。教育勅語の復活にも、銃剣道の導入にも、国民が何も感じないとすれば末期的というほかない。ここまできて、不安も恐れも、怒りも感じないまでに呆けてしまっては、国民が支持して破滅に向かっていったあの戦争と、同じ道を繰り返すだけではないのか。
「共謀罪」法案―安倍政権の狙いは
立命館大学大学院教授(刑事法) 松宮孝明さん
焦点・論点(しんぶん赤旗)2017年4月4日
今国会で政府・与党が成立を狙う「共謀罪」法案の問題点について、松宮孝明立命館大学大学院教授(刑事法)に聞きました。
(聞き手・中祖寅一)
一般人は明確な処罰対象
完全な監視社会へ日本を変える
-政府・与党は、最終案になって「テロリズム集団その他の」という文言を挿入しましたが。
改めて国民のみなさんに知っていただく必要があるのは、もともと立法理由が国連の国際組織犯罪防止条約を批准するためということですが、この条約は「テロ対策」条約ではありません。ですから、その批准のためにつくる法律が「テロ対策」だということ自体がまず一つのウソです。
「共謀罪」の対象犯罪に「テロ」に関係ないものがたくさんありますが、もともとテロと関係ない条約なので当然です。
-テロ対策を付け加えて対象犯罪を絞り込んだかのようにいっていますが。
676の対象犯罪を277に絞ったからましになったかというと、ここにもウソがあります。なぜか。676の中には、初めから共謀罪が成り立たないものがたくさん入っているからです。
例えば過失犯が入っていますが、過失つまり注意義務違反を「共謀」することはあり得ない。また、殺人未遂のように未遂段階でも犯罪が完全に成立するもので、未遂を共謀することはないですね。ここに共謀罪をつくる必要はありません。
また、傷害致死罪などの重い結果については共謀が成立するはずはない。共謀や陰謀を処罰する内乱罪や、爆発物取締罰則4条の爆発物使用の共謀罪に、重ねて共謀罪はいらない。
準備罪や予備罪は、目的とする本来の犯罪を実行するための準備罪なので、既遂の罪の共謀だけしか問題になりません。
つまり、性質上そもそも共謀罪の対象にならない犯罪がたくさん入っている。さらに、ここ10年間適用がない罪とか、組織的犯罪集団が現実に実行することが想定しがたいとか、およそ適用が想定されないものがどんどん除かれたので、実質的数字的にはあまり変わらない。「限定された」という公明党の宣伝はウソです。
-共謀罪は刑法原則の大転換になるといわれています。
刑法の原則は、内心は処罰しないというものです。共謀罪が持ち込まれると、まさに内心が処罰されることになります。しかも、共謀自体が、まったく無限定で、処罰範囲がどこまで広がるかわからない。
高校の時、無限大と無限大の2倍はどちらが大きいかという問いに、「2倍のほうが大きい」というと、「どちらも無限大だから変わらない」というのが正解だと教わりました。
共謀罪の適用範囲は無限定なので、「676×無限大」と「277X無限大」は、どちらが大きいかというのも同じことです。
注意がいるのは、今回の法案の6条の2の第2項です。
共謀罪の対象となる行為で、「組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持し、もしくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者」について、準備行為を誰かがやれば処罰されると書いています。
これは要注意です。例えば、銃砲刀剣の所持を計画した人たちが、組織的犯罪集団の不正な権益獲得を支援する、そのような計画をすることが処罰対象ですが、ここでは組織、集団に含まれない人も当然含まれます。
また非常に微妙ですが。「目的でやる」と書いていない。「目的でおこなわれるものの遂行」と書いてあります。
犯罪集団の不正権益を確保するなどの「目的」をはっきり持っている必要がないと思われるのです。
この条文があることで、一般の人も共謀罪、計画罪で捕まることがあるとはっきり言えるし、処罰範囲は広い。
-一般の人は処罰されないといいますが、危険ですね。
組織に属していないから安心だとはいえません。
さらに共謀罪の核心である「計画」の意味が問題です。
「計画」というからには、その中身を自分がたてる必要があるのか、それとも相手が計画して「それはいいね」と、相づちを打つただけで計画になるのか。おそらく後者です。
今はネット時代なので、ネット上のやりとりでも「計画」は成立する。SNS上のいろいろな会話、メールでもラインでもフェイスブックでもツイッター上の賛同でも。
「いいね」を押したら「やれば」という意味になる。
さらにここに、悪名高い「共謀共同正犯」で使われている「順次共謀」という考えを持ってくる。共謀者と一堂に会する必要はなく、持ち回り閣議のように、AさんがBさんと、BさんがCさんと相談したというふうに順番に合意が重なっていく。はじめは冗談みたいにいっていたのが、ずっと伝わっていって、最後の人がISの人で「これはいい」となり、実行準備をしたら、全員が計画罪(共謀罪)になる可能性もあります。
つまり、ネット上に組織的犯罪集団の不正権益に役に立ちそうなアイデアを載せただけで、「いいね」を押しただけで共謀罪になる可能性がある。
ですから一般の人が対象ではないということ自体がウソです。ラインやネットを見ただけでは犯罪にはならないが「いいね」をしただけで犯罪になる。6条の2の第2項はそういう条文になっています。
-日常生活にはどのような影響が出てくるでしょうか。
現実に起こってくる重大問題が二つあります。
一つは、通信傍受法のさらなる拡大のための法改定です。今は長期10年以上の罪が対象だが、共謀罪は4年以上なので、それに合わせようという話になるかもしれないし、そこには会話盗聴もないので、会話盗聴も対象にということになるかもしれません。室内の会話を傍受できるようにという法改定が入る可能性もあります。
もう一つが密告です。法案には、実行に着手する前に自首した者は「刑を減軽し又は免除する」とはっきり書いてあります。こうなると、共謀罪の実際の発覚は、密告によってなされることになるでしょう。
今でも、公安警察は金を払って密告を奨励しています。これがもっと盛んになるのではないか。
このような中で、安心・安全を囗実に、圧倒的なプライバシーコントロール、完全な監視社会に日本をつくり替える。それが安倍政権の狙いであるとしか考えられない。そのために「共謀罪」導入が活用できると思っているのではないかということです。
まつみや・たかあき 195&年滋賀県生まれ。 85年京都大学大学院法学研究科学修退学。南山大学講師、立命館大学法学部助教授などを経て1995年から立命館大学教授。10年から16年3月まで同大学院法務研究科長。法学博士。著寰に『刑法総論講義 第5版』『過失犯論の現代的課題』など多数。
ストップ 共謀罪
警察権拡大し監視社会へ狙い明白
(しんぶん赤旗)2017年4月7日
相談だけで処罰の恐れ
●何が処罰されるか
「共謀罪」法案は、組織犯罪処罰法の一部改定として狙われています。同法に追加する6条の2の部分がその中心です。政府は「テロ等準備罪」と呼び、国民の内心を処罰する「共謀罪」の本質を隠しています。
しかし6条の2を見れば明確なように(傍線②)、一定の重大犯罪の遂行を「計画」することが処罰の対象です。
過去の法案で「共謀」とされていたのを「計画」に変えました。しかし犯罪実行の計画、合意を処罰することに変わりありません。「計画」と言葉を変えたこと自体が一つの「共謀隠し」です。
「計画」は、犯罪の相談をすることですが、犯罪を実行する合意が前提であり、内心を処罰するものです。
むしろ「計画」と置きかえたことで、犯罪の合意抜きに、相談だけで処罰する拡張解釈の危険があります。
「準備行為」を処罰の条件とし、政府は「共謀罪」ではなく「準備罪」だといいます(傍線③)が、処罰の対象は「計画」=「共謀」にほかならず、ここにも「共謀隠し」があります。
「準備行為」自体は、お金を下ろす行為など犯罪の危険のない行為を広く含みます。「準備行為」に犯罪の本体があるかのように「準備罪」というのは悪質な欺瞞(ぎまん)です。
●内心処罰へ大転換
犯罪は、動機の形成、決意、計画、準備を経て、実行に着手し結果が発生します。
刑法はそのすべてを処罰するものではなく、犯罪が実行され、殺人や建造物破壊などの犯罪結果が発生したとき初めて処罰します。
「殺してやりたい」「あのゲームを盗もう」などと思つただけでは処罰しないのが大原則です。
未遂罪の処罰も、例外的に個別の犯罪ごとに規定され、準備行為である予備罪や、その手前の陰謀・共謀・扇動などは、限られた重大犯罪についてごく例外的に処罰されます。
それを一気に300近い犯罪について、「話し合っただけ」「合意しただけ」で処罰するのは、刑法原則・体系の大転換であり、国家の刑罰権の異常な拡大をもたらすものです。160人を超す刑法学者が反対の声明を出し、厳しく批判しています。
SNSまで監視明確に
犯罪の結果はおろか実行行為もなく、準備行為よりも手前の、犯罪実行の相談や合意を広範囲に摘発し、処罰するためには、警察権、捜査権の大幅な拡大が必要になります。
単なる拡大でなく、国民生活の私的領域への侵入が不可欠になります。犯罪の実行段階と異なり、犯罪の相談は、広範な国民の日常生活や本来のプライバシーの領域に多様な形で存在しうるからです。
電話盗聴の拡大、室内会話の盗聴、さらには高性能指向性マイクなどで街頭の会話の盗聴まで狙われる恐れがあります。またメールやライン上のやりとりでも「相談」「合意」になるため、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)全体が監視対象になることが国会審議でも明確になっています。さらに自首したものに刑の減免を規定し(傍線④)、密告を奨励します。
警察権の拡大とプライバシーを否定した総監視社会が「共謀罪」法案の最大の狙いです。安保法制=戦争法体制の下で、国民監視の治安国家づくりが進められようとしているのです。
一般人も対象にされる
政府は6条の2に規定された「組織的犯罪集団」の行為のみが対象となる(傍線①)から、「一般人は処罰の対象とならない」と宣伝しています。
しかし、法務省は一般の団体が犯罪を目的とする団体に「一変した場合には、組織的犯罪集団に当たりうる」と正式に表明しています(2月16日)。安倍晋三首相も犯罪集団に一変したらその構成員が「一般人のはずがない」とし、共謀罪の対象となるのは「当然」と言い放っています(同17日)。
「組織的犯罪集団」が何かについては、6条の2の条文の仕組みから、法案が定める犯罪の実行を「結合関係の基礎」とするとされています(傍線①)。
「結合の基礎」として法案が定める犯罪には、騒乱罪(刑法106条)が含まれています。もしデモで「安倍政権を倒せ」と叫ぶ行為を「騒乱」と認めれば、デモを計画する市民運動団体が組織的犯罪集団とされる危険があります。
実際、石破茂元防衛相は2013年11月、秘密保護法案の審議中に、国会を取り巻く市民のデモに対し「単なる絶叫戦術はその本質においてテロ行為と変わらない」と発言。さらに「大音量で人に恐怖を与えるやり方」「民主主義と異なる」などと攻撃しました。デモを計画する市民団体や政党が宀組織的犯罪集団」とされる危険を感じるのは当然です。
また6条の2の第2項は、そもそも「組織的犯罪集団」に属さない一般市民を対象にしています(傍線⑤)。マフィアなど組織的犯罪集団による不正権益の獲得、維持、拡大をはかるために対象犯罪を「計画」したものを処罰するものです。
海渡雄一氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/l6GtoBJh9lc
有田芳生氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/TFZHeTXEZM4
田村智子氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/UTZRyT28cgo
福島みずほ氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/4sWIuTd1L2I
山本太郎氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/njiqT7PlymE
伊波洋一氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/0kVG2gUrXso
テロ対策は名目、
危険な法案
話し合いが罪とはゴメンだ
大会参加者の想い 東京・日比谷野音
(しんぶん赤旗)2017年4月7日
「話し合うことが罪になるなんてゴメンだ」。安倍政権が「共謀罪」法案の審議入りを強行した6日、廃案を求める「4・6大集会」に駆けつけた市民たちで、日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)が埋まりました。国民が望む森友学園疑惑の解明には頬かむり。被害者が求める性犯罪に関する刑法改正の審議は後回し。なのに「共謀罪」法案を最優先にする…そんな安倍政権の姿勢に憤り、集会で声をあげた人たちの思いは―。
「集まって話し合うということは、人間の基本。学校でもサークルでも話し合いから社会活動がはじまります。それが監視され、罪に問われることは人間社会の否定です」。集会開始の1時間前に野音にきた黒川朝子さん(66)=神奈川県藤沢市=は言います。
野目がある日比谷公園は、ソメイヨシノが満開です。開会前に会場の外で、「桜が満開になるように共謀罪反対の声を花びらのシールに書いてください」とシール投票を呼びかけていた梅原真理子さん(69)と中西綾子さん(78)。横浜市から「全国シール投票の会」の仲間と一緒にきました。シールには「『テロ対策』は名目としか思えない。危険な法案だ。39歳男」などの書き込みが。
東京都世田谷区の藤井真由美さん(37)は高校の養護教員です。「話し合いが罪になると聞いて、共謀罪のことを勉強しなくてはと思って参加しました。本来のテロ対策ではないことに、きっと使われる」と危機感を持っています。
新日本婦人の会東京都本部の岡林奈緒子さん(40)、佐久間千絵さん(46)、岡田尚子さんは、「ラインやツイッターの『いいね』で逮捕されるなんてありえない」「私のプライバシーと人権は私のもの。国が土足でずかずかと入ってくること自体が気持ち悪い」と怒りをのべました。
常石登志子さん(71)は、地元の神奈川県で共謀罪法案の賛否を問うシール投票をしています。
「シール投票を始めた2月ごろは、半分の人が『よく知らない』に投じていました。法案の内容が広まるにつれて65%が反対に投じるようになりました」といいます。
東京都世田谷区の壺井須美子さん(71)は「森友学園問題をみても、日本を右傾化する政府ぐるみの動きがはっきりしてきました。サクラの花は咲いたけど、世の中暗いことばかりという気がします。めげたらおしまいという気持ちでがんばっています」と語ります。
鄭恩珠(ジョン・ウンジュ)さん(26)は、韓国からの留学生。「韓国で平和運動にかかわっていましたが、先輩や後輩の携帯が当局から盗聴されていました。共謀罪法案が成立すると日本も同じようになるかもしれません」
吉岡忍氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/_UzeIXqA1pE
佐藤学氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/5VppkGliV9k
山口二郎氏 スピーチ「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」2017.4.6 @日比谷野音
https://youtu.be/4apyocee5r8