(#゚Д゚)プンプン(゚A゚)ヤメレ!!!!
MX「ニュース女子」沖縄ヘイトデマ問題 - 東京新聞が謝罪。
https://youtu.be/4wDF8de4J4c
問われる報道倫理
東京新聞「反省」したが…
(しんぶん赤旗)2017年2月3日
沖縄県東村高江で米軍オスプレイパッド建般に反対する人たちを「テロリスト」「金で雇われている」などとデマ攻撃した東京MXテレビ「ニュース女子」で東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が司会を務めたことについて、東京新聞は2日付I面で、「『ニュース女子』問題深く反省」「論説主幹・深田実が答えます」という記事を掲載しました。
論説副主幹の責任に触れず
記事は、「ニュース女子」の内容について「本紙のこれまでの報道姿勢および社脱の主張と異なる」「事実に基づかない諭評が含まれており到底同意できるものでもありません」としています。
さらに「他メディアで起きたことではあっても責任と反省を深く感じています」としたうえ、長谷川論説副主幹が出演していたことについて「重く受け止め、対処します」としています。
同日の5面に掲載した「読者部だより」では、榎本哲也読者部長が、長谷川論説副主幹の出演問題での厳しい批判や社としての見解表明を求める電話、ファクス、メールなどが読者部に届いただけでも250件を超えたことを明らかにし、「1ヵ月にわたり連日、ご意見が相次いでいることに、きょうまでお答えしていませんでした」と謝罪しています。
しかし、深田論説主幹も榎本読者部長も、同紙として長谷川氏の責任をどう問い、対処するのかについては触れていません。
市民が抗議 沖縄からも駆けづけ
東京MXテレビが1月2日に放送した番組「ニュース女子」はデマで沖縄への偏見をあおるものだとして、市民180人が2日、東京都千代田区のMXテレビ本社前で抗議行動をしました。
沖縄から駆けつけたヘリ基地反対協議会共同代表の安次富(あしとみ)浩さんは「沖縄の二つの新聞は『偏向だ』という攻撃をされてきたが、あの番組こそ偏向だ」とのべ、「わたしたちは非暴力を貫いて長いたたかいをしてきた。いまそれが『オール沖縄』のたたかいになっている。この民意がどういう歴史で生まれたか、それこそ報じるべきだ」と強調しました。
リレートークでは「誹謗(ひぼう)・中傷された沖縄の人に謝るべきだ」(沖縄・反戦地主
会の女性)、「視聴率1%は100万人ということを認識して責任ある態度を取るべきだ」(江東区の男性)などの発言が次々。東京新聞に抗議に行った女性は「読者部長に直接会い、ニュース女子の司会をした長谷川幸洋論説副主幹を処分するよう要求した」と報告しました。
大株主″人ごと″ではない
長谷川幸洋氏は「東京新聞・中日新聞論説副主幹」の肩書で「ニュース女子」に出演してい
ます。
同氏は「私はジャーナリストが本業」「記者が社説と異なる主張をする自由こそ、ジャーナ
リズムの基本だ」(「現代ビジネス」13年2月1日)とかねがねジャーナリストとしての自負を囗にしてきました。
しかし、東京MXテレビが1月2日に放送した「ニュース女子」では、事実確認もなく、反対派の声を一切聞かずに行われたデマリポートを制止することもしませんでした。
そればかりか、次の週の番組では、番組にたいして抗議が殺到したことを「炎上した」と紹介したうえ「こういうふうに報道するとこういうふうにどう喝されるのがよく分かった」と、完全にデマを流す側に立つ発言をしました。
これは、報道に携わる者に最低限求められる倫理観やバランス感覚を欠くもので、「ジャーナリスト失格」と宣告されてもしかたがありません。東京新聞がどれだけ厳しく対処できるのかが注目されます。
深田論説主幹が2日付の記事で「他メディアで起きたこと」といっていることも疑問です。
「ニュース女子」の沖縄デマを放送した地上波テレビ局は、東京MXテレビだけです。他の局は、あまりにもひどい番組内容に、放送を見送るだけの見識を示しました。
東京MXの第1位の大株主は発行済み株式の6・27%を所有する中日新聞社です。MXテレビの不見識は、東京新聞にとって、人ごとではないことを深く受け止めるべきです。
(竹腰将弘)
『ニュース女子』長谷川幸洋の正体
東京新聞は謝罪も本人は…『ニュース女子』司会・長谷川幸洋の正体! 安倍政権との癒着関係、なぜ論説副主幹に
(リテラ)2017.02.02
http://lite-ra.com/2017/02/post-2891.html
IWJから長谷川幸洋論説副主幹に宛てた質問状を公開!「ニュース女子」で東京新聞が放送一ヶ月後に謝罪記事を出すも長谷川氏本人は雲隠れ!? IWJが深田実論説主幹に直撃!(第10弾) 2017.2.3
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/360990
映像‘17 沖縄 さまよう木霊(こだま)
~基地反対運動の素顔~
http://dai.ly/x5a0b0l
2016年夏。沖縄県北部にある東村高江地区での動きが全国ニュースで伝えられました。
米軍の新たなヘリの離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事が進む中、それに反対する地元住民など県民たちが連日座り込みを続けていたゲートの前に大量の機動隊員が投入され、住民たちが強制排除されたのです。工事用ダンプの進入を阻止するため、住民たちがとった手段が座り込みでしたが、この日以来機動隊との緊張関係が一気に高まっていきました。
沖縄の小さなこの村に全国の府県警から機動隊員の派遣が続く中、フェンス越しに抗議していた県民にむけて、一人の大阪府警機動隊員が「ボケ、土人が」と発言。沖縄県民を辱めるものとして県内外から大きな批判を浴びましたが、一方で「そもそも住民側の暴言が原因だ」として機動隊側を擁護する声が広まりました。それに呼応するかのようにヘリパッドに反対して抗議行動をする人々を「沖縄県民はいない」「過激な暴力集団」、はては「テロリスト」呼ばわりする言葉がインターネットを中心に拡散していきました。反対派住民が「患者搬送中の救急車を止めた」という架空の話がSNS上で広げられたことが、「無法な暴力的集団」とのイメージづくりに大きな役割を果たし、東京のローカル局はそうした「風説」に沿うかたちでこの1月に番組を放送、メディアがお墨付きを与える情況になっています。
いま沖縄の新基地反対運動に対して投げかけられる、様々なことばとレッテル。
沖縄のやんばるの森で展開される運動を覆うこれらの「風説」は、虚と実がないまぜにされ、まるで木霊のように反響し、拡散されていきます。わたしたちは昨秋から沖縄・高江地区に入って住民たちの話を聞きました。「過激派」とレッテルを貼られた人に会い、「反対派住民が救急車を止めた」とSNSに発信した人物を訪ねました。そうして、さまよう「風説」の真偽を確かめて歩きました。そして見えてきたのは…
安倍政権が今国会で重要視している「テロ等準備罪」。
過去3度も廃案になった「共謀罪」が形を変え、市民の権利が制限されかねないと危惧される「テロ等準備罪」法案提出の動きが、いま沖縄を覆っている言説の背後に潜んでいるのではないだろうか…
ヘイトあおる偽ニュース
(東京新聞【こちら特報部】)2017年1月28日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017012802000150.html
「韓国人による日本人女児強姦(ごうかん)事件でソウル市裁判所が一転無罪判決」-。「大韓民国民間報道」と称する偽(フェイク)ニュースサイトが今月中旬、ヘイトをあおる偽記事を公開すると、ネット右翼(ネトウヨ)らの手で大量に拡散された。サイトを運営していた東海地方在住の無職男性(25)は「嫌韓の人たちにウケると思った」と語る。米大統領選では偽ニュースが飛び交ったが、男性もこれに触発されてフェイクに手を染めていた。
(安藤恭子、三沢典丈)
25歳男性「嫌韓派にウケると思い」
ネット右翼が大量拡散
男性は、今年に入ってから「大韓民国民間報道」を立ち上げた。「こちら特報部」が二十七日、同名のツイッターアカウントを通じて取材を申し込んだところ、サイト運営者の男性が電話取材に応じた。
「すべて自分一人でつくったフェイクニュースです」。男性は、記事がデマであることをあっさりと認めた。続けて「失業中の小遣い稼ぎ。広告収入が得られれぱと思って」。悪びれる様子もなく、偽サイトを始めた動機を明かす。
「大韓民国民間報道」の画面には「事件」「政治」「芸能」といったタブが並び、普通のニュースサイトと間違えそうだ。人気上位の記事の見出しは、「人肉工場摘発缶詰に高齢者バーガー 韓国」「韓国財閥系企業三社、合同で慰安婦像建設に百億円拠出へ」などと衝撃的である。
サイト説明には「日本で知られているニュースは韓国で報道される1%だけ。日本に出てないニュースをかき集めて伝えます」とある。中でも注目を浴びたのが、十七日に配信された「韓国、ソウル市日本人女児強姦事件に判決 一転無罪へ」という記事だった。
二〇〇〇年、ソウルを観光に訪れた日本人の十一歳と九歳の姉妹が強姦される事件が起き、ソウル市裁判所が、韓国人の男に一審を覆す無罪判決を出した―。これが偽記事の骨子であ
る。デパートの非常階段に連れ出して刃物で姉妹を脅すという詳細な手口や。「被害者が日本に帰国したため無理に罰する必要はない」とする裁判長のコメントまで紹介し、加えて韓国内にも、判決への異論が相次いでいるなどとウソを重ねた。
もちろん、記事には「ウソです」との断りはない。事実ならば、外交問題に発展しかねない大ニュースだ。実際、この記事はツイッターやフェイスブックなどで拡散され、閲覧数は七万八千件に達した。
とりわけ拡散に大きく貢献したのが、ヘイトスピーチ団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元会長の桜井誠氏だ。記事配信から三日後、ニュースへのリンクとともに「これこそヘイトです。日本は強姦大国韓国に行くべきではありません」とつぶやくと、二千件超もリツイード(転載)された。
フォロワーから「これってウソ記事?」「このサイトのニュース、全般的に信憑性が怪しいんですが」と批判されると再び投稿し。「虚構だったとの話がありますが『韓国ならばさもあ
りなん』という話をもってきた」「虚構記事を流した本人から謝罪も釈明もないから本物の記事として見なす」と強弁した。
気軽な「小遣い稼ぎ」
男性によると、韓国ネタの偽ニュースサイトを開設したのは今回で二度目。きっかけは、米ニュースサイト「バズフィード」が流した「米大統領選で若者たちがフェイクニュースサイトを作って収益を稼いだ」という記事だった。偽ニュースで広告収入を得ようというわけだ。
さっそく昨年十一月。「大韓民国現地ニュース」と題するブログをスタートしたものの、運営側から公開停止に追い込まれた。あらためてつくったのが「大韓民国民間報道」である。
男性は他のニュースサイトの文章を参考に、一つの記事を三十分程度で仕上げたという。「韓国が嫌いな人や、韓国の話題が好きな人が対象。二つのサイトを合わせて百六十~百七十以上の記事をつくったと思う。やっていくうちにヘイトをあおる記事や、韓国をばかにしたり、危ういと思わせる記事が拡散されやすいと分かった」と振り返る。
思惑通り、ネトウヨたちが偽ニュースに釣られた。拡散に貢献した桜井氏については「インフルエンサー(ネット上で大きな影響を与える人)として期待はあったが、政治団体もやっているので、真偽に気を使うと思った。桜井さん周辺のフォロワーが反応するとは思っていたが、ご本人が拡散してくれたのは想定外だった」と評する。
目的が小遣い稼ぎだけに、男性自身の韓国観を尋ねると、「好きでも嫌いでもない。政治思想なんて持っていないし、慰安婦問題なども詳しくないから、語れない」と素っ気なかった。
「デマで韓国の人たちが傷つくとは思わないのか」という質問には「僕自身、国家への帰属意識があまりない。だから、韓国の人たちやだまされた人たちへの罪悪感はない」と断言した。
これからもサイトは続けるのだろうか。「批判を浴びるリスクや記事をつくる作業量を考えると、収入が少なくて割が合わないから、もうやらないと思う。生活が切迫しているわけでもないので、たぶん今日中にはサイトをたたむ。良い社会実験になった」。取材後の二十七日午後には「大韓民国民間報道」は閲覧できなくなった。
識者は今回の偽ニュース騒動をどう見るか。
奥薗秀樹・静岡県立大准教授(現代韓国政治外交)は「釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像が設置された問題で、韓国に辟易としたムードが高まる中で、今回の偽ニュースが広まった」とみる。
虚構気にせぬ排外主義者
かつて戦争の原因にも
情報源を探ればウソと分かりそうなものだが、奥薗氏は「偽ニュースを拡散した排外主義者から見れば、虚構でも、嫌韓の流れをつくれれば良い。韓国語に翻訳されれば、韓国内でも反日の世論が高まることになる」と危ぶむ。
運営者の男性がヒントを得た米大統領選では、選挙戦の終盤、フェイスブックなどで「いいね!」やコメントが付いた関連ニュースのうち、「ローマ法王がトランプ氏を支持」などの偽ニュースの方が、新聞、テレビなどの報道より多かったとの分析がある。
八田真行・駿河台大専任講師は、偽ニュース横行の背景について「この二十年、民主党、共和党ともほぽ中道。報道が公平、中立にとらわれ、本音でないと感じる保守層が大量にいた」と解説する。
トランプ大統領誕生を後押しした「オルト・ライト」と呼ばれる保守層は、白人至上主義者や女性差別主義者など多様で「他者から不当に攻撃されていると感じている」(八田氏)。そこに目を付けたのが、米ネットニュースサイト「ブライトバート」の会長を務めていたスティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問。八田氏は「閲覧数を稼げばもうかるネットの仕組みを活用し、真偽は二の次に、この層に受ける話題を提供した」と説く。
映画評論家の町山智浩氏は、今回の偽ニェース騒動の題材が「強姦事件」だったことに注目する。「他民族による女性への性的暴行は、人間の本能的な恐怖を呼び起こすため、何度も偽ニュースに使われてきた」
町山氏は「トランプ氏自身も選挙中、『メキシコは強姦魔を米国に送っている』とあおり、このウソが決め手となって当選した」と嘆く。「今、個人のニュース発信力は飛躍的に向上した。だが、偽ニュースによって米西戦争(一八九八年)すら勃発した歴史を肝に銘じておくべきだ」
焦点・論点
「ポスト真実」にどう向き合うか
名古屋大学大学院准教授 日比嘉高さん
正確な事実を伝え続けていく
届く言葉を届く経路と方法で
(しんぶん赤旗)2017年1月11日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-11/2017011103_01_0.html
イギリスのオックスフォード辞書が昨年末、年間の世界の言葉に「ポスト真実(post―truth)」を選びました。日本共産党の志位和夫委員長が4日の党旗開きのあいさつで、この「ポスト真実」の政治にふれたことが話題を呼びました。事実に基づかないうそと偽り、「ポスト真実」の政治とどう向き合うか―。この問題に詳しい名古屋大学大学院准教授の日比嘉高さん(近現代日本文学・文化研究)に聞きました。
(山沢猛)
―「ポスト真実」とは耳慣れないという声がありますが。
「ポスト真実」は二つの言葉が連なっています。ポストは「後の、次の」という意味なので、「真実の次に来る」「脱真実」というニュアンスになります。オックスフォード辞書は「世論を形成する際に、客観的な事実よりも、むしろ感情や個人的信条へのアピールの方がより影響力があるような状況」を指す言葉だとのべました。「事実よりも感情」ということです。
米大統領選挙ではトランプ陣営が大小さまざまなうそを並べ、同氏が大統領になりました。イギリスのEU離脱の国民投票でも、EUに支払っている拠出金が1週間で約480億円に達すると離脱派が主張、離脱の結果が出てから残留派のいう数字が正しいと訂正し怒りを呼びました。
日本でも首相が福島第1原発の状況を「統御(アンダーコントロール)されている」といったり、防衛大臣が南スーダンの首都は「治安が落ち着いている」とのべたりしています。
こうした事実に基づかない主張がまかりとおることが社会で起きています。これはインターネットの文化と深くかかわる問題で、一部の国でなく世界で見られます。政治的立場の左右を問わない、社会的な風潮として考えるべき問題です。政治の場合、それを「ポスト真実の政治」と呼んで問題点を考えることが増えてきました。
世界で日本で
―世界でも日本でも起きていることなのですね。
そうです。インターネットで、内容まで読まないでニュースなどのタイトル(表題)だけをみる。あやしいものも多いが、それを本当なのかということを確認しないで受け入れてしまう。
全くの偽のニュース(いわゆるフェイク・ニュース)を意図的に金もうけのために、大量に流しているサイトもあります。そのニュースを読者がチェックしないまま信じる。その結果、偽の情報が独り歩きするのです。
デマの問題というのは日本でもあります。たとえば昨年の熊本の震災のあと、動物園のライオンが逃げ出したというデマが「映像」とともに流されました。沖縄・高江でのヘリパッド建設に抗議する人たちが金で雇われているというひどいデマは私自身、目にしました。
―なぜそうした風潮が起きているのですか。
原因の一つに、私たちがニュースに接触する仕方が変わってきていることがあります。これまでは、まず新聞やテレビから知るという形だったのが、パソコンやスマホで見る。情報に接する仕方が変わってきています。
とりわけ、ツイッターとかフェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で友達関係、フォロワーの関係になっている人たちの間でニュースが共有される仕方に、特徴があります。個人的な感覚が近い人たちが友達になっていますから、自分が正しいと思ったり、求めたりするニュースにより多く接することになっていきます。
「事実」を伝えるニュースをただ単にそのままシェアするのでなく、「いいね」とか「ひどいね」という感情をつけ加える。つまり「感情が付着した状態」でニュースを共有しているのです。
これがインターネット、とりわけSNSの世界の特徴です。
言葉言い換え
―客観的事実を二の次にする風潮を政治も担っているということですね。どういうものがありますか。
これはたくさんあげられると思います。最近ひどいなと思ったのが、公約していた消費税引き上げを延期し据え置いたときに「新しい判断」と言っていましたが、びっくりしました。明らかに公約と違っていても「新しい判断」だといってすませる。そして世論もそれを大きな問題とはしませんね。
「ポスト真実」の日本の状況で違っているのは、トランプ陣営ほどあからさまなウソはそれほど多くないのですが、かわって言葉を言い換えたり、ぼやかしたりすることが多い。たとえば武器を「防衛装備品」と呼びます。武器輸出は「防衛装備移転」。意図的に言い換えていますね。
「積極的平和主義」という言葉もそうです。これまでだったら違う言葉で言っていたものをぼやかした、口当たりのいい言い方に変えています。
―所得格差が拡大し、鬱屈(うっくつ)した不満が蓄積していることが、日本でも「ポスト真実」の風潮の背景にあると指摘していますね。
イギリスのEU離脱派もアメリカのトランプ支持者も、多くは没落した中間層だと言われています。日本も同じかもしれません。
不遇な環境に置かれた不満や怒りのはけ口が排外主義的な言動や行為に向かいます。自分をおびやかすものや、自分が信じる「正しさ」と相いれない考えに敏感に反応します。
そうした強い感情や信条と結びついていますから、事実の正確さだけを示しても簡単にはカタがつきません。
警戒感上がる
―「ポスト真実」の時代にどう向き合うべきなのでしょうか。
最近インターネット上の複数の情報サイトが、健康にかかわるいいかげんな記事などをのせていたと問題になり、休止する事件がありました。米大統領選でも偽ニュースが話題になりました。
この間の出来事を通じてネット上の情報に対する警戒感が、わずかですが上がってきたように思います。
同時に、新聞など既存のメディアが時間も金もかけてつくった情報の価値が見直されているように感じます。
地力のあるメディアには、手間暇をかけた質の高い記事、正確な記事を出し続けてもらいたいと思います。
それをちゃんと届く言葉、届く経路と方法で伝えていくことも大切です。専門家の中でわかっていることでも、それをわかりやすい言葉で一般の人に伝えていく。極端な政治信条、偏った意思に凝り固まった人たちを説得するのはなかなかむつかしいですが、右でも左でもない一般の人たちに向けて正確な事実を伝えていくということをしてもらいたい。
一般の人たちはこの情報の出どころや掲載媒体、執筆者などを確認し、それが信頼に足るものなのか確かめる習慣を身につけなければなりません。そうしないと容易にだまされます。ネット上の目を引く情報には危険もあるのです。
「人間の思考によって対象的真理が得られるかどうかという問題は、なんら理論の問題ではなく、一つの実践的な問題である。実践において人間は真理を、いいかえれば自分の思考の現実性と力とを、すなわち自分の思考の此岸性を、立証しなければならない。実践から遊離されている思考が現実的であるか非現実的であるかという論争は、一個の純然たるスコラ学的(神学論争的)な問題である」
フォイエルバッハに関するテーゼ より