共謀罪「成立なしで五輪開けない」(¬_¬)
共謀罪「必要」欺瞞再び テロ?五輪?
口実コロコロ
(東京新聞【こちら特報部】)2017年1月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017011302000134.html
政府が今月二十日召集の通常国会で新設を目指す「共謀罪」法案は、これまで三度廃案になったいわくつきの法案だ。「テロ対策」に欠かせないとする主張の欺瞞(ぎまん)性を専門家らに批判されてきた経緯がある。政府は共謀罪がないと組織犯罪と戦う国連の条約を批准できないとする主張を今回も繰り返すが、それも十年前に論破されたロジックだ。共謀罪「必要論」はなぜ繰り返されるのか。
(白名正和、安藤恭子)
「国際条約のため」欺瞞再び
現行法で十分対応可能
「いいかげん勘弁してほしい」。うんざりした口調で話すのは、日本弁護士連合会共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士だ。
共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、政府は「国連の国際組織犯罪防止条約の締結に必要」とする説明を蒸し返している。菅義偉官房長官も五日の記者会見で「国際社会と協調して、テロを含む組織犯罪と戦うためには、国際組織犯罪防止条約を締結することが必要不可欠」と強調。「共謀罪」法案はそのための法整備と説明した。
海渡氏は「日本の現在の法制度は条約の目指したレベルに達しており、新設の必要はない」と指摘する。
日弁連はすでに二〇〇六年九月に、国連の条約起草をめぐる議論などを精査して条約締結に「共謀罪は不要」とする意見書を国に提出し、徹底的に批判してきた。
あらためて政府の「必要論」が揺らいだ経緯をたどろう。 一
そもそも共謀罪はマフィア取り締まりの一環で浮上した。国際犯罪が多いマネーロンダリング(資金洗浄)や麻薬の密造・販売などを取り締まる条約が国連で採択されたのは二〇〇〇年十一月。政府は当初から、共謀罪新設が条約の要件と説明してきた。だが、○六年六月に保坂展人衆院議員(当時)が「条約を批准した国のうち、新たに国内法を制定した国はどこか」と問うと政府は「例えばノルウェー」とだけ回答。同年十月の衆院法務委でのやりとりでニュージーランド、オーストリアも付け加えたが、六百以上もの犯罪を対象に大幅に国内法を変えた国がほかにあるかは明らかにしていない。
一方、国連が条約に合わせて各国の参考に作成した「立法ガイド」には「締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行う」とある。そもそも条約は、共謀罪の導入が法体系にそぐわない日本のような国を無視してはいない。実際、米国では州ごとに共謀罪の規定がまちまちで、一部の州では極めて限定された共謀罪の法制しかなかったが、共謀罪をどうするかは留保したまま、○五年十一月に条約を批准している。国際社会に批判されたわけでもない。
海渡氏は「日本では現行法でもすでに、殺人や放火などの重大犯罪は準備や計画をしただけで罪となる『予備罪≒準備罪』などの規定がある」と強調する。共謀罪が三度廃案となってきたのも、こうした専門家や野党の追及に政府の「論拠」がもたなかったからだ。
だが、再び共謀罪創設を目指す政府は「現行法は条約が定める義務を充たしていない」(法務省ホームページ)と同じ論理を繰り返す。
海渡氏は「いつまでも法案が通せず、政府が意地になっているのか。すでに対応できる法体制があるのに、一切何もできないかのような政府の説明はデマゴギー(悪質な宣伝)のようなものだ」と批判した。
政権に従う社会狙う
さらに看過できないのが、今回の法案も懲役・禁錮四年以上の「重大な犯罪」が対象となりそうなことだ。一挙に六百以上もの犯罪を対象にする大がかりな法改正に懸念は根強い。
足立昌勝・関東学院大名誉教授(刑事法)は「『テロ等組織犯罪準備罪』と言い換えているが、中身を見れば、テロ対策を名目とした共謀罪法案の復活だ」と指摘する。今回の法案では新たに凶器購入資金の調達などの「準備行為」を処罰の要件とするが「歯止めをかけたことにはならない」と足立氏は否定する。
「計画だけで起訴はできなくても、逮捕や家宅捜索といった強制捜査は可能となる。対象犯罪も広範で、市民を萎縮させるには十分でしょう」と語る。
日本の刑事法体系は犯罪の処罰について「既遂」を原則としている。着手したものの「未遂」ならば、刑を減軽でき、さらにごく例外の重大犯罪には、実行行為のない「予備」が処罰できると限ってきた。それよりさらに手前の犯罪計画を話し合うだけで罪に問う「共謀罪」は、こうしたしくみを根底から変えかねない。実際、国連での条約起草段階では、日本政府自らが「わが国の法的原則と相いれない」と意見を述べていた。
村井敏邦・一橋大名誉教授(刑事法)も「『テロ等準備罪』と言い換えたことで、国民の目をごまかしたいのだろうが、本質が見えづらくなりかえって問題を抱えた」と指摘する。
十九世紀の英国で生まれた共謀罪は米国で発展し、メディアの政権批判や労働者の賃上げといった市民運動を、未然に抑えるために利用されてきたという。特定秘密保護法の成立前には、自民党の石破茂幹事長(当時)が、国会周辺の抗議デモについて、自らのブログに「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と書き込んだこともある。
「内心」を処罸法体系一変
村井氏は「権力側から見れば、国会前のデモもテロと同じだ。この法案が意味するのは内心の処罰で、現行の刑法の法体系を根底から変えてしまう。今後、どれほどの市民の行動が規制されていくのか恐ろしい」と危ぶむ。
実際、共謀罪について、日本政府は二〇〇〇年代以降に大規模テロが深刻化すると、「後付け」でテロ対策を言い始めた。東京五輪・パラリンピックが決まったら、今度は五輪開催に必要だという。
ジャーナリストの斎藤貴男氏は「国会に提出されるたび、目的が変わる法案なんておかしい」と、破綻したロジックが繰り返されることに憤る。「五輪のためなんて見え透いたうそをついて、ぱかにするのはいいかげんにしてほしい。権力側はカジノやTPPと同様に強行できると思っている。国民もメディアもなめられている」と訴える。
共謀罪があれば、テロは未然に防げるのか。斎藤氏は「百八十超の国や地域が条約を締結しているのに、テロが横行する世界を見れば、防げないのは明らかだ。テロリストを生む差別や迫害といった問題に取り組まずに、テロ対策なんてあり得ない」と断言する。
法案の先にあるのは「密告社会の到来」という。「思想を取り締まることができる共謀罪は、自民の憲法改正草案とリンクする。市民同士も監視し合い、反体制的な発言や思想が許されなくなる。改憲の実現に向けて、政権に黙って従う社会の実現が真の狙いだから、法案提出が繰り返されるんじゃないですか」
とくほう・特報
共謀罪
現代版「治安維持法」
「戦争する国」へ市民抑圧
(しんぶん赤旗)2017年1月12日
「話し合いが罪になる」共謀罪。かつて市民や法律家から強い批判を受け、2003年から07年にかけて国会で3回にわたって廃案になりました。しかし与党が多数の議席を占める中、安倍政権は名称を「テロ等準備罪」と変え、テロ対策の装いを凝らして次期国会での成立をねらいます。「現代の治安維持法」とも呼ばれる新「共謀罪」の危険性を改めて考えます。
こんなことでも犯罪になる危険
2人以上で「犯罪について話し合い、計画した」とみなされればそのこと自体が犯罪となります。政府は何らかの「準備行為」をした場合にだけ処罰する方針とされますが、捜査機関は「ATMで現金をおろす」「Eメールを送る」などのごく普通の行為を「準備行為」とみなすことが可能とみられます。
日本の刑事法制では犯罪が実際に行われた場合(既遂)に処罰するのが大原則。重い犯罪は例外的に「未遂」を処罰し、殺人や強盗など極めて重大なものだけを「予備」段階でも処罰します。
共謀罪はこの原則に反し、窃盗や公職選挙法違反を含む600以上の犯罪について、未遂や予備より前の「計画」段階で処罰します。処罰対象の拡大とともに、処罰機会を大幅に前倒しします。
恣意的な捜査で自由な社会圧迫
権利を求める正当な市民運動の抑制に悪用されるおそれがあります。構成要件があいまいで、法務省幹部は国会で「目くばせでも共謀は成立する」と答弁しました(2005年10月)。警察・検察の恣意(しい)的な判断で立件される余地があります。
日本弁護士連合会の山下幸夫・共謀罪法案対策本部事務局長は昨年9月、都内での集会で「捜査機関は日常的に特定の団体について監視する捜査を行えるようになる」と指摘。盗聴捜査が拡大される恐れがあるとも述べました。
安倍政権は秘密保護法や戦争法、拡大盗聴法の成立を強行し、戦争ができる国づくりにまい進します。
「これらは戦争を準備する法律。軍事法制の露払いだ」。昨年11月の集会で神奈川大学の白取祐司教授は、共謀罪を念頭にこう批判しました。
戦前の治安維持法は「社会防衛」を名目に制定されましたが、戦争に批判的な市民の弾圧に猛威を振るいました。共謀罪はしばしば「現代の治安維持法」と形容されます。
同教授は著名なジャーナリストの発言を引いて「悪法はあるだけで社会への圧迫になる。作ること自体が自由を圧迫する」と警告しました。
対象の大多数はテ囗とは無関係
政府は「テロ対策」を前面に押し出します。
しかし日本ではすでに殺人予備罪、内乱予備陰謀罪、身代金目的誘拐予備罪、凶器準備集合罪などが定められており、テロで想定される多くの犯罪について未遂以前の段階で対処する制度があります。
逆に今回の共謀罪案で対象となる罪の大多数が、テロとかかわりのない通常の犯罪です。
共謀罪なくても条約批准は可能
政府はテロ対策として国際組織犯罪防止条約を批准するために、共謀罪の導入が不可欠だと説明します。
しかし条約はそもそもテロ対策を主眼としておらず、「金銭的利益その他を得るために犯罪を行う集団」を対象としています。マネーロンダリングなどの経済犯を想定しているとの見方が強い。
日弁連は「共謀罪の導入なしでの同条約の批准は可能。国内法の基本原則に基づく立法を行えばよい」との立場を示しています。
決めつけで内心を処罰
自由法曹団治安警察問題委員会委員長
三澤麻衣子弁護士
大分県警が野党統一候補の事務所を盗撮した事件がありました。
共謀罪は、こうした監視の口実となります。600を超える対象犯罪の何か一つに引っかけて「共謀している」と警察が”容疑”をかけて”捜査”といえば、正当化されてしまいます。監視社会づくりのシステムです。
共謀罪では、例えば沖縄・高江のヘリパッド建設反対運動で「きょう座り込みに行こう」と話し合ったとします。座るためのゴザを誰かが購入したら逮捕ということがありえます。
政府は「準備行為を要件にしており、思想を処罰するわけではない」と説明します。
しかし、ゴザを買うことはおかしいことでもなんでもありません。それが、なぜ共謀罪では処罰できるのかと言えば、他人が知りようがない人の内心を捜査機関が決めつけるからです。結局、内心を処罰することなのです。
自由法曹団では、法律家や市民団体と共同して法案を提出させない運動を広げたい。団の弁護士による講師派遣も進めるなど、危険性を広く知らせていきたいと思います。
説明そっくりでも結果は―
戦前の治安維持法
「世間の人が心配するほどのものでない」
現代の新「共謀罪」
「一般人が対象になることはあり得ない」
(しんぶん赤旗)2017年1月15日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-15/2017011515_01_1.html
映画「母 小林多喜二の母の物語」
https://youtu.be/5tHNI_TxyYA
映画『母 小林多喜二の母の物語』
主演・寺島しのぶ
監督・山田火砂子
原作・三浦綾子
製作・現代ぷろだくしょん
プロデューサー・上野有
ラインプロデューサー・櫻井陽一
脚本・重森孝子 坂田俊子 山田火砂子
キャスト・寺島しのぶ 塩谷瞬 趣里 山口馬木也 徳光和夫 赤塚真人 佐野史郎 渡辺いっけい
真行寺君江 磯村みどり 浅利香津代 神田さち子 加藤純平 松本若菜 水石亜飛夢 月船さらら 草薙仁 上野神楽
福原圭一 露のききょう 進藤龍也 安田陽子 崎野亜紀子 秋元辰美 平尾仁 小磯聡一郎 松野木拓人 井上智之 関戸将志 中泉英雄
小林多喜二29年の人生
https://youtu.be/Lk6xIpsmpY4
いのちの記憶
小林多喜二 二十九年の人生
http://www.hbc.co.jp/info/dvd/inochi/
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大衆はナメられている!( `-´ ) 秘密と国民監視は戦争への道 (´・_・`)
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