自由なラジオ Light Up! 038回
「アメリカにおけるトランプ勝利を分析する」
https://youtu.be/GmVQaZDbI3I?t=21m10s
21分10秒~第038回ライトアップジャーナル
欧州に『安全な原発』ができたってほんと?
http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-038/
西谷文和:
今中さん、今日もよろしくお願い致します。
今中哲二さん:
こちらこそ。
西谷:
今中さん、今日のテーマは『ヨーロッパで安全な原発ができたって本当?』と題して、このヨーロッパの原発事情をお聞きしたいのですが。ずばり伺いますが、フランスが次世代原発、この欧州加圧水型原子炉EPR、一体これどんな物なんでしょうか?
今中さん:
EPRのことですねえ。ヨーロッパ型の加圧水型炉っていって、たしかフランスが中心になってドイツなんかも入って、ずいぶん前から開発してますよ。
西谷:
そうなんですか。これは本当に安全なんですか?どうなんです?
今中さん:
安全な原発と言われると、ちょっと言葉に引っ掛かって、安全な原発というのはあり得ないんですよ。
西谷:
やっぱりあり得ない。はい。
今中さん:
はい。原発は危険なものだと思って下さい。
西谷:
はい。
今中さん:
安全な原発と言われたら、私からしたら落ちない飛行機というイメージになってるんですよ。
西谷:
なるほど。
今中さん:
はい。ですから、飛行機でも、より安全な危険性のより少ない飛行機というのはありますよね。
西谷:
この欧州型のEPRというのは、この日本と違ってどこがいわゆる安全度を高めてるんでしょうか?
今中さん:
基本的に頑丈にできてるのと……
西谷:
原子炉の窯とかがですか?
今中さん:
はい。窯ももちろんですけども、壁とかいわゆる格納容器がたしか二重になってると思いますし、いろんな飛行機とか飛行機衝突とかテロ対策とかはやってます。
西谷:
やっぱりあれですか、そのフランスやドイツの場合は地震というよりもテロをきっかけに安全にしなあかんという。
今中さん:
そうですね。テロがありますね。それと、やっぱり炉心溶融ですね。1979年のスリーマイル事故を経験して、炉心溶融を起きるという前提で原発の安全対策をやってますよ。
西谷:
なるほど。ということは、日本は事故は起きないという風に前提で安全対策するのと、「いや、事故が起きる」と安全対策するのと全然違いますよねえ。
今中さん:
はい。福島が起きた時にベント、ベントとか言って。
西谷:
ベント、ベントと言ってましたねえ。
今中さん:
いわゆるガス抜きです。あれは、スリーマイルの事故を受けてヨーロッパがすぐやったんですよ。
西谷:
なるほど。ベントは。
今中さん:
日本はたしか1990年代になって、それは各電力会社が「自主的にやりなさい」ということになったんです。
西谷:
ヨーロッパは強制的にいち早くやったけども。
今中さん:
だと思います。
西谷:
日本はかなり遅れて。
今中さん:
そうです。
西谷:
自主的にやれと。
今中さん:
ええ。それで、もたもたしたというのもあると思いますよ。
西谷:
結局、二号機はベントいかんかったんでしょ?
今中さん:
はいはい。
西谷:
壊れちゃいましたよね?
今中さん:
はい。
西谷:
ということはですよ、結局、原子力安全神話が日本にはあって、「潰れへんねんから、ベントもいらんやろ」と、こういう考え方?
今中さん:
はい。「余計なことはするんじゃないよ」という発想だったと思います。
西谷:
なるほど。よくね、言われるのは、ヨーロッパ型はいわゆるコアキャッチャーというのがありましてね。
今中さん:
ですから、炉心溶融を起こしますよね?
西谷:
はい。
今中さん:
そうすると、その溶けたやつが底に落ちて、コンクリートを溶かしてズブズブズブっとチャイナシンドロームの恐れがあるわけですけども。
西谷:
まさに福一じゃないですか。それが。
今中さん:
はい。それをですね、今度溶けたやつを平べったく流して誘導して、何か冷やして冷えるようなシステムですねえ。
西谷:
これをヨーロッパは付けているけど。
今中さん:
そうですね。EPRは対応してると思います。
西谷:
日本はない?
今中さん:
日本は検討はしてますけども、実際には付けてませんね。
西谷:
なるほど。その日本の方が地震が多いわけですが。私は、個人的にはなんぼ安全でも造ったらあかんと思うんですけど。これですね、最近よく出てくるフランスですから、アレバという企業が三菱と組んでますよね?日本の。
今中さん:
そうですね。
西谷:
日立とGEが組んでますよね?
今中さん:
はいはいはい。
西谷:
それから、東芝とウェスチングハウスやったんかな?結局、なんかこのとんでもない原発企業を日本が金出して助けてるような風に見えちゃうんですけど。
世界の原発メーカー
今中さん:
そうですねえ。それ東芝さん、もうガタガタになってますよねえ。
西谷:
東芝、今、ガタガタでしょ?
今中さん:
ええ。やっぱり、あれはねえ、無理やりウェスチングハウスを買い込んだり。
西谷:
ですよねえ。
今中さん:
ええ、あれで相当効いてるんだと、ボディーブローになってるんだと思いますよ。
西谷:
これ、何もいい事ないじゃないですか。その原発造って地元住民も嫌やし、それがペイしなかったら。そのお金は日本が出すって、それ止めて欲しいなと思うんですけどねえ。
今中さん:
はいはい。なんか不思議な世界ですねえ。
西谷:
そんな中でね、ベトナムは何とか日本とロシアの原発を中止させましたよねえ。これ懸命な判断ですねえ。
今中さん:
そうでしょうねえ。もちろん安全性の問題もありますし、経済性の問題もあったんだと思いますよ。
西谷:
そう思うんですよ。これ原発って、もうこれから21世紀、この再生可能エネルギーが出てきて、専門家から見てもこんなんねえ、一番コストが高いということがバレてきてますしねえ。
今中さん:
ただねえ、電気代というマジックがありますからねえ。一種の公共料金みたいな形で、これまでは無理やりに集めてたと。
西谷:
総括原価方式でしょ?
今中さん:
はい。
西谷:
掛かった金。
今中さん:
それがこじれたら、原発は生き残れないと思いますよ。
西谷:
ねえ。だから、そういう意味では今回のヨーロッパの安全な原発のこの問題については、もちろんそれは危険なやつよりは安全な方がいいんやけど。
今中さん:
はい。その分、どんどんどんどんお金が掛かることも確かですよね。
西谷:
その分、電気料金が上がったり、あるいは国が税金突っ込んだら、税金分が上がるわけでしょう?
今中さん:
そうでしょうねえ。はい。
西谷:
だから、結局、いくら安全でも止めた方がいいってことでしょうねえ。
今中さん:
いくら金掛けても、完全に安全な物っていうのは出来ませんから。やっぱり、別のオプションで我々生きていくべきだろうと思います。
西谷:
はい、どうも今中さん、ありがとうございました。
今中さん:
はい、どうも。
「強度不足」揺れる仏原発 日本は本当に大丈夫?
(東京新聞【こちら特報部】)2016年11月17日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016111702000139.html
フランスではこの冬、十二基の原発が順次停止を迫られる異例の事態となっている。いずれも重要設備の強度不足が発覚し、仏当局が点検を指示したためだ。トラブルの渦中にあるのは、日本の大型鋳造品メーカー「日本鋳鍛鋼」(北九州市)が製造した部品。国内の電力各社は自社原発に問題はないとするが、フランス並みの検査を求める声も強い。欧州発の「原発危機」はどこまで広がるのか。
(白名正和、橋本誠)
前代未聞の運転停止
全58基のうち12基点検
問題部品 日本製
「フランスの原子力政策の歴史において最大の危機だ」
欧州の原発政策に詳しい環境保護団体「グリーンピース・ドイツ」のショーン・バーニー氏がこう切り出した。全電力の約75%を原発に頼るフランスの商業用原発は五十八基あり、いずれもフランス電力(EDF)が所有する。「十八基で強度不足の可能性が指摘され、うち十二基で日本メーカーの部品が使われている。このスキャンダルは各国にも飛び火しつつある」
実際、英字業界誌「パワー」(電子版)は十一月一日付の記事で、検査のために停止する原発は二十基になり「五十八基の半分以上が影響を受けるだろう」との見方を示している。
フランスを混乱に陥れている強度不足問題は二〇一四年、建設中のフラマンビル原発3号機で発覚したのが発端だ。同国の鍛造メーカー「クルソ・フォルジユ」社製の鋼材に強度不足がある可能性が浮上したことから、仏の原子力安全局(ASN)が調査を指示。今年六月、EDFの報告を受けて「ほかの十八基の原発でも同様の異常が含まれている恐れがある」と発表した。
ASNはさらに十月、このうち日本鋳鍛鋼の製品を使う十二基について「特に高い(不純物)濃度」であり、原子炉を停止し検査する必要があると発表。現在、点検のため順次停止されている。
バーニー氏は「EDFの株価は下がり、(電力不安から)欧州の電力卸売価格は値上がりを続けている。EDFにとっては金銭的に大惨事だ」と指摘する。
上智大客員教授で一般社団法人「環境金融研究機構」の藤井良広代表理事も、フランスの原発政策が「異常事態に陥っていると言える」とみる。「(卸売価格の値上がりが)すぐに消費者の電力価格に転嫁されることはないだろうが、足りない電力を購入しなければならないEDFの経営は影響を免れない。電気購入コストがかかり収益が悪化すると市場はみている」
バリ出身で共立女子大のジャニック・マーニユ教授も「原発がこれほど一気に止まるのは、これまでにはなかったことだ」と説明する。「フランスは東京よりも寒く、(電力不足で)冬を越せるかどうか不安がる市民も出ている。やっぱり原発はダメじやないか、という声も出ている」と話している。
フランス当局から報告を受け、日本の原子力規制委員会も九月、電力各社に自社原発の調査を指示した。同じ製法でつくられた圧力容器などの部品は、日本鋳鍛鋼製だけで八原発十三基で使われているが、電力各社は先月三十一日、「強度不足の可能性はない」と規制委に報告。規制委は今月中に電力会社の報告が妥当かを判断するとしている。
稼働止めて調査を
電力会社「問題ない」…致命傷になる重要設備
メーカー「仏が法改正」
「日本鋳鍛鋼」によると、フランスで強度不足の疑いが指摘されたのは一九九〇~九七年に発注を受けた原発の蒸気発生器の部品。鋼鉄の塊をたたいてのぱす「鍛造」で造られており、含まれている炭素がフランスの基準値の「0・22%以下」を超えていると指摘された。
同社の広報担当者は「強度不足が発生したわけではなく、強度不足の懸念がある炭素の偏りが確認された」と断ったうえで、二〇一〇年のフランスの法改正の影響を説明。「炭素が多くなる部分を切り捨てることで、製造時に検査した部分では基準を下回っていたが、法令が変わって別の部分の検査が必要になり、そこでは基準を上回った。現在フランスのメーカーの調査に協力している」としている。
同社は日本国内でも、原発の圧力容器の上ぶたなどを製造。こちらも鍛造製品だが、原子力規制委員会が電力各社に求めた調査の中で、炭素濃度が日本の基準値の「0・25%以下」を超えるものはないと報告した。「日本ではメーカーの要求で、多くの箇所を調査している」とフランスのケースとの違いを強調している。
炭素濃度が高いと、何か起きるのか。井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)は「炭素が多いと硬くなる半面、粘り強さがなくなり、もろくなる。引っ張る力には強いが、傷があると、割れる方向に進む」と説明する。
元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏も、鋼鉄か脆弱(ぜいじゃく)になる現象を懸念する。「原子炉は中性子で時間とともに劣化するが、炭素でも同じようなことが起こり得る。高温では破壊は起きにくいが、事故で冷却水を入れて急激に温度が下がると、一瞬で圧力容器や蒸気発生器が割れる可能性がある」
同社はフランスの法改正を理由としているが、原子力資料情報室の松久保肇研究員は「原子炉の基準は年々厳しくなっている。日本でも新しい規制基準で確認しており、新しい知見に合わせて変わっていかなくてはならない。それは企業のリスクを減らすことにもつながる」と指摘。フランスは原発依存率を現在の75%かち50%に下げて維持する方針だが、「老朽化が進んでおり、とくに大型の原子炉は見通しが立たない。単一エネルギーに頼ることの影響が注目され、自然エネルギーなど分散型のエネルギーにシフトしていく可能性もある」とみる。
問題は国内の原発にも飛び火しているが、原子力規制委が電力会社に指示している調査は、製造時などのデータの提供にとどまる。十六日の定例記者会見でも、フランスで行われているような破壊検査や非破壊検査を求める声が出たが、田中俊一委員長は「必要が無いことまでやれないし、稼働している原発の検査は簡単ではない」と否定的だった。(¬_¬)
井野氏は「国内の原発には鍛造のほかにも鋳造や鋼板の製品も併存しているが、炭素濃度の具体的なデータが示されていない。調査の難易によって、安全性の検査が左右されるのもおかしい。フランスのように非破壊検査をし、廃炉になっている原発でも検査すれば傍証になる」と訴える。
後藤氏は、原発部品の規制に対する意識の緩さに危機感を抱く。
「どこかの配管とは違い、圧力容器や蒸気発生器は事故があれば致命傷になる。それほど重要な材料について、検査する部分で基準を満たせば良いという考え方は甘い。はっきりしなけれぱ稼働中の原発も止め、徹底的に調べるべきだ」
NNNドキュメント’16 2016年12月19日
その哭き声が聞こえるか~避難区域の動物たち~
http://dai.ly/x55miya
http://www.ntv.co.jp/program/detail/21855704.html
福島県の原発事故避難区域では、イノシシやアライグマが街を荒らし、イヌやネコの野生化が進んでいた。事故から5年、動物たちは人々の帰還を妨げる存在となっていた。
無人の商店街をわがもの顔でうろつくイノシシの群れ。主のいない家を荒らすアライグマ。かつて家族の一員として飼い主と暮らしていたイヌやネコは野生化が進み、保護に来た人間に牙を剥いて威嚇した。原発事故で人が住めなくなった福島県の避難区域に広がった光景だ。事故から5年、避難指示の解除が進む今、増え過ぎた動物たちは人々の故郷への帰還を妨げる存在に…原発事故で生きる道筋を狂わされた動物たちの姿を追った。