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Channel: 私にとって人間的なもので無縁なものはない
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反知性主義の果てに…茹で蛙?はダメよ~!(。-_-。)

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知識より数、愚の安倍政治!


この国の民主主義は死んでいる
すでに日本は全体主義の風潮との指摘もある
目くらましペテン政治に騙され続け、権力の横暴に飼いならされた結果、異様な集団になりつつある国民の悲喜劇

内閣支持率60%超のカラクリと謎解き
(日刊ゲンダイ)2016年12月10日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/195498

この国の民主主義は死んでいる内閣支持率60%の謎

 テレビ中継を見ていた国民は思わずのけぞったのではないか。7日に行われた今国会初の党首討論。衆院内閣委員会で、わずか5時間半の審議時間で強行採決された「カジノ法案」について、民進党の蓮舫代表が「どこが成長産業なのか」と迫ると、安倍首相は少しも悪びれた様子も見せず、こう言い放ったのだ。
(議員立法の法案で)内閣提出法案ではないから、私は説明の義務を負っていない
 おいおい、ちょっと待て。何をスットボけているのか。カジノを「成長戦略」の本丸に位置付けていた“張本人”は、安倍政権だったのではないか。党首討論で安倍は2014年5月にシンガポールのカジノ施設を視察した時の感想を語っていたが、当時、視察を終えた安倍は記者団に「外国人観光客を2020年までに年2000万人へ倍増させたい。(カジノを含む)IRは成長戦略の目玉になる」とハッキリ言っていた。議員立法であろうが何だろうが、「成長戦略の目玉」であるならば、安倍には説明する義務があるだろう。
 まっ、国会答弁で度々、「国民に丁寧に説明」とか言いながら、一度も丁寧に説明したことがない男である。党首討論のデタラメなやりとりも、ある程度は予想できた。

国の民主主義は死んでいる内閣支持率60%の謎_2

 とはいえ、その安倍の首相在任期間が中曽根元首相を上回る戦後歴代4位になり、60・7%の内閣支持率(11月、共同通信調査)を維持しているのは奇々怪々だ。

政府・与党は国民をナメている

民主主義(デモクラシー)」の語源は、ギリシャ語の「デモス(人民)」と「クラシア(支配)」が組み合わさったものだ。つまり、そのまま訳せば「人民支配」であり、民主主義とは、政府や立法者ではなく、国民に主権があるということだ。間違っても国会で「私は総理大臣なんですから」と、中世ヨーロッパの「王権神授説」を彷彿させるような発言を繰り返す安倍の姿勢は断じて民主主義ではない。にもかかわらず、今の高い支持率を得ているのを見ると、果たして日本国民は民主主義を理解しているのか、前提となるマトモな判断力を備えているのか、と疑わずにはいられない。一体なぜ、安倍政権の支持率はこんなに高いのか。聖学院大の石川裕一郎教授(憲法・フランス法)はこう言う。
まずは安倍政権の負の部分をきちんと噛み砕いて報じない大手メディアの報道姿勢に原因があると思います。政府広報のような報道ばかりで、マイナス情報はごくごく少ない。だから、高い支持率を保っていられるのだと思います。ただ、政府・与党もそれを意図的に仕向けている面もあります。例えば、賭博を合法化するという大問題のカジノ法案をはじめ、TPP法案も年金カット法案も、強行採決に踏み切ったのはすべて金曜日。おそらく、土、日の休日は報道が減って国民の目に触れる機会も少なく、そのうちに忘れるだろう――と考えているのでしょう。国民は政府・与党にナメられているのです
 年金やTPP関連法案の議論を深めるために国会の会期を延長したはずなのに、いつの間にかカジノ法案に突き進んでいること自体が「詐欺行為」と言っていい。そんな政権が6割を超える支持を得ているようでは、この国の民主主義は死んでいるのに等しい

騙されていることが平気な国民は何度も騙される

 そもそも、どう考えても「数の力」に驕り、ブッたるんだ閣僚ばかりの安倍政権が世論の支持を集められるはずがないのだ。代表的なのは、山本農相だ。自民党の佐藤・衆院議院運営委員長のパーティーに出席した際、「(TPP案件を)強行採決するかどうかは佐藤氏が決める」と仰天発言。担当大臣が審議前から強行採決をほのめかすなんて前代未聞だ。
 沖縄・東村高江の米軍オスプレイ基地の建設に反対する市民に対し、機動隊員が「土人」と差別発言をした問題では、鶴保沖縄北方相は機動隊に反省を促すどころか「差別だとは断定できない」と擁護する始末。菅官房長官、稲田防衛相、高市総務相らの政治団体による「白紙領収書」だって犯罪的行為なのに、そろって国会で追及されると「合法」と開き直った
 外交も失敗続きだ。TPPは、米国のトランプ次期大統領が離脱を明言した以上、発効はほぼ絶望的。それなのに、8日の参院特別委で、ダラダラと無意味な審議を続けていた。15日に来日するロシアのプーチン大統領との日ロ首脳会談だって、最初は経済協力と引き換えに「北方領土が返還される」みたいな騒ぎだったが、11月中旬にペルーの首都リマで行われたプーチンとの会談後の安倍は暗い顔で「大きな一歩を進めることは簡単でない」とトーンダウン。もはや北方領土どころか、2島返還の道筋すら怪しくなったというのが外交専門家の共通した見方だ。要するに安倍政権は内政も外交も何一つうまくいっていない。にもかかわらず、国民は支持しているから、ますますワケが分からない。政治評論家の森田実氏はこう言った。
国民が目先のことしか考えない、近視眼的な思考になっているのでしょう。背景には『もうかればいい』という拝金主義、新自由主義が、政財界、メディアに至るまで隅々に浸透していることがあると思います。例えば、刑法で禁止されたバクチであるカジノ法案が成立すればどんな悲劇を招くか――などと考えず、政府・与党が喧伝する『経済効果』ばかりに目が向いている。日本の政治や将来はどうあるべきか、という大局的視点に立って物事を見ない。だから、安倍政権が耳当たりのいいことを訴えるほど、支持してしまうのです
 端的に言うと、国民が「思考停止」状態になっているワケで、こうなるとコワイのは、戦前のように「一億火の玉」化しかねないことだ。映画監督だった故・伊丹万作氏は著書「戦争責任者の問題」で、先の大戦に至った経緯を振り返りつつ、こう書いていた。
〈騙す者だけでは戦争は起こらない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起こらない(略)騙された者の罪は、ただ単に騙されたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作もなく騙されるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切を委ねるようになってしまっていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである
〈専横と圧制を支配者に許した国民の奴隷根性とも密接につながるものである。(略)『騙されていた』といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でも騙されるだろう〉

 安倍は7日に自民党の茂木政調会長と会談した際、今の支持率が「民主主義国家ではこれ以上いかないだろう」と余裕シャクシャクで語ったらしいが、ペテン政権に「騙されている」ことに国民は早く気付かないとトンデモないことになる


大衆は見たくない真実より安心できるウソを好む
大衆は「見たくない真実」より「安心できるウソ」を好むそうである。


「日本には抵抗の文化がない」 福島訪問したノーベル賞作家が指摘
(ハフィントンポスト)2016年11月29日
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/29/svetlana-alexievich-_n_13295940.html



注目の人直撃インタビュー
社会そのものが全体主義へと変わりつつある
作家 平野啓一郎
(日刊ゲンダイ)2016年12月2日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/194937
 一方的にまくし立てるような国会答弁から「反知性」の烙印を押されている安倍首相。当然、作家・文化人など言論人からの批判が多いが、平野啓一郎氏(41)も急先鋒のひとりだ。SNSなどで非常に多くの発信をしているし、「世の中は新自由主義から全体主義に移行している」と警鐘を鳴らす。安倍政権の危うさと時代の危機を語ってもらった。
社会そのものが全体主義へと変わりつつある

理念的にも現実的にも愚かな安倍外交

 ―平野さんもそうですが、作家、文化人の方は総じて安倍政権に対して批判的ですね。
 基本的に自由であることが作家にとっては、というか、一人の人間として、大変、重要ですから、その自由が拘束されていく感覚に対する抵抗感ですね。それに作家は政治的発言がしやすいというところもあります。職種によっては原発反対とか五輪反対とか言うと不利益があるでしょうけど、僕らにはありません。むしろ、よくぞ言ってくれたと読者が応援してくれたりしますし。

―やはり、安倍政権になってから、世の中、きな臭くなったと思いますか?
 小泉政権も評価していないし、民主党の野田政権にもものすごいフラストレーションがありました。でも、小泉政権時代には今の自民党の改憲草案のようなものがメーンストリームになるとは思ってもみなかった。小泉氏も決してリベラルではないが、今の自民党の中心にあるような暗い国家主義はなかったと思います。あの時代は、新自由主義で、勝ち組は努力の結果であると。苦境の人は努力が足りないという考え方でした。そうやって、弱者は見捨てられたわけですが、今は経済的苦境にある人は見捨てられるだけでなく、批判される。社会保障という面で国に「迷惑をかけている存在」だと、糾弾の対象になってきている。これは非常に危ない風潮だと思います

―ナチスの優生思想に通じるような?
 自民党はかつてと同じ党ではないですね、もはや。安倍政権だけじゃなく、社会的風潮そのものが新自由主義から全体主義へと変わりつつある危惧を覚えます

―安保法制の審議の進め方や中国を敵視するような外交姿勢、この辺はどう思われますか?
 とにかく、象徴的な「敵」が必要なんでしょう。日本という国が戦後、曲がりなりにも続けてきた平和国家としての歩みが急激に変化しています。これは理念的に間違っているだけでなく、現実的にも何の得もない南スーダンや中東はどうしようもない泥沼です。一体、どういう期間、何を目指して、どう関わっていくのか? 何のビジョンもない。自衛隊員の犠牲も出かねないし、日本もテロの標的となり得る。愚かとしか思えません。北朝鮮や中国に対しても、強気に出れば、いつか相手が参りましたと言うと思っているのでしょうか? 拉致問題しかり、どういうプロセスで問題の解決をイメージしているのか、まったくわかりません。中国に対しても日米同盟の軍事力を強化して、抑止力が高まったのか? 尖閣問題で中国と軍事的に衝突したとして、どんな収拾のつけ方があるのか? 中国だって国内のナショナリズムが沸騰して、引くに引けなくなる。恐れ入りましたとおとなしくなるはずがない。

国家が弱体化しその反動で軍事力強化

―何のための軍事力強化なのか。政治家が自分の力を誇示したいだけではないのか。そんな印象すら受けますが、さて、米国ではトランプ大統領が誕生します。来年には世界中で国家主義者が誕生、台頭する懸念があります。
 フランスも極右のマリーヌ・ルペンが支持を伸ばしている。ポーランド、ハンガリーなど、東欧では右派政権が誕生していますし、とんでもない法案を通しています。

グローバリズムへの反動ですか?
 それもありますが、いまは世界的に国家そのものが弱体化しているのだと思います。国家が財政的にも弱体化し、アイデンティティーも失いつつある。その反動が起こっているのではないか。

―どういうことでしょうか?
 アップルやグーグル、アマゾンみたいなグローバル企業が通信だけじゃなく、社会的なインフラを広範に担うようになると、人々にとって、国家への依存度が低下していく。それに対して、国家にはものすごい危機感がある。そこで、グローバル企業が担えない国家権力の源泉、徴税権であったり、軍事力が反動として強化されていく。本来であれば、外交交渉や民間の交流で国際平和を維持していくべきなのに、やみくもに軍事力を強化する。しかし、国家がなければ困るのは社会的弱者であって、むしろその点でこそ機能すべきなのに。

―安倍首相の場合はどうですか?
 彼の場合、確固たる国家観というよりも祖父の悲願である憲法改正をやりたいというだけではないでしょうか。そこに至る過程、最終的な国家像は支離滅裂です

―それなのに、選挙のたびに大勝している。
 選挙制度がこれでいいのか、という問題もあるし、そもそも、安倍政権の態度は小選挙区的ですよね。1票でも勝てば、何をやっても許される。相手がどれだけ票を取ろうがお構いなし。悔しかったら選挙で勝ってみろ。そんな態度じゃないですか。もちろん、民主主義ですから、選挙で多数派の布陣を握った方が有利に議論は進められる。しかし、その前提として少数派の意見に真摯に耳を傾けなければならない。それなのに多数決で勝てば、全権委任を得たように誤解しているとしか思えません

民主主義の前提が崩れている

―閣僚の暴言、放言も後を絶ちませんね。
 政治倫理は現政権になってからガタガタになりました。これを回復するのに、どれだけ時間がかかるのか? そもそも回復できるのか? 16年前、元首相は「日本は天皇中心の神の国だ」と発言し、これが政権の命取りになった。このレベルの暴言は今、ゴロゴロあります。機動隊員の土人発言を「差別と断じることはできない」と言って擁護した鶴保沖縄担当相なんてメチャクチャなのに、辞めさせられない。閣議決定でこの発言を擁護までする。山本農水大臣の強行採決発言だって、本来であれば、クビが飛んでいなければおかしい

―選挙で選ばれた政権が暴走していく。民主主義の限界、欠陥という気もします。
 民主主義以外の制度は考えられないけれど、その民主主義が機能するにはいくつかの前提があって、それが崩れているのではないでしょうか。年齢別人口構成を見ると、日本は逆ピラミッド形になりつつあり、成人して社会に出た労働力の中心が有権者の中ではマイノリティーになっている。こうしたことって、民主主義ができたときには誰も想定していなかったのではありませんか。マスコミがきちんと政権を監視、批判しているのか、という問題もあるし、そもそも、マスコミはそれだけの力を持てなくなっているのではないか。これは日本に限った話ではありませんが、有権者の情報源としてネットの影響は非常に大きいと思います。そのネットの世界では言っていいことと悪いことのタガが外れてしまったというか、思想的に歪んだ言論が、国民の本音を代弁したかのように扱われたりする。中国、韓国に対する差別発言が「よくぞ、本音を言ってくれた」みたいになって広がっていく。実際は一部の人間の醜悪な差別意識が露呈しただけなのに。その過程で、死語になっていた差別用語が復活しています。90年代には言葉狩りと批判されたような社会的プレッシャーが差別を抑え込んできましたが、それが弱まると、排外的な言葉がどっとあふれだしている。

ネットによって社会が分断されていく

―そうした風潮はネットでますます、拡散、拡大されていますね。
 自分にとって居心地がいい場所を定めるのがネット社会ですから、偏った情報にだけ接するようになる。そうやって、一面的な価値観が固定化され、社会が分断されていく。そんな状況だと思います。

―そんな中、平野さんはネットでよく発信されていますね。
 ツイッターの140文字は議論をしない設定ですし、ネット空間には次々に話題が出てきますから、スレッドが立ってもどんどん過去のものになっていく。それに自分と考えが違う人と議論するのは面倒くさいし、関わりたくない。正直、僕にもそういうところはあります。なので、事実として信用できることをリツイートして投げる。それよりも小説を読んでもらって、その中で考えてもらいたい。「マチネの終わりに」という小説を書きましたが、ヒロインは日本人とクロアチア人のハーフです。彼女を魅力的に描くことで、国籍問題に引きずり込まれることに対して、ツイッターとは違うレベルの議論が盛り上がる効果を期待しています。


国民生活?知らんがな。この道しかない。


真の内閣支持率

Facebook調査世論調査


【ツイッター世論調査】今週の安倍内閣支持率「支持する」34%「支持しない」43%(4000人投票)
(健康になるためのブログ)2016/12/12
http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/24906
ツイッター世論調査







論理や「知」軽んじるな
聖学院大学教授:石川裕一郎さん
「戦争法案」今言わなければ
(しんぶん赤旗)2015年6月27日

理論や「知」軽んじるな 石川裕一郎

 去年の集団的自衛権行使を容認する「閣議決定」(7月)は、PKOやインド洋・イラクへの自衛隊派遣とは質が違うと感じた研究者が多かったのではないでしょうか。だからこそ今回、憲法に決められた範囲でしか権力は勦けないという立憲主義の原理が侵されつつあると感じ、短期間に憲法研究者が反対の声明に賛同したのだと思います
 安保関連法案(戦争法案)は、改憲派から見ても、本来、憲法を変えてからやるべきことです。まともな憲法研究者でこの法案を合憲だという人はほとんどいません。これは右、左や保守、革新といった政治的なイデオロギーの問題ではなく、論理の問題だからです

立憲主義が危機

 日本国憲法のスピリットは、13条の「個人の尊重」と「幸福追求権」だと思います。それらは仮に多数決でも侵してはいけない。この考え方も立憲主義です。その根本が危機にさらされているのです
 法案が通るとどうなるのか。それに基づいて自衛隊がなんらかの武力行使をともなう行動に出て、死傷者がでる。あるいは外国の兵士や市民を殺してしまうかもしれません。そこで裁判が起きたときに、裁判所はこの一連の法案は違憲だったと判断を下す可能性があります。そうした不安定な状態で自衛官に命をかけさせるのは、はたして国家権力の指導者として許されるのか
 安倍首相や中谷防衛大臣は、私を信じてください、私の政府ではそんなことはやりませんと言いますが、〃私”の次の政府はやるかもしれない。今の政府がその責任を取れるのでしょうか。

「反知性」広がる

 ここ数年の日本の状況を見ると、「反知性主義」が広がっています。朝日新聞やNHK、大学の自治が攻撃され、いわゆる「専門家」が攻撃されています。標的になっているのは特定のメディアや研究者ではなく、アカデミズムとジャーナリズムという日本の「知」そのものです。立憲主義もそのひとつです
 論理だけで日本が滅びてもいいのかと言う人がいますが、論理や知を軽んじて栄えた国は、歴史上ありません。ましてや、法律学にとって論理は命です。研究者が政治家や権力におもねる必要はない。
 私たち研究者も研究者として言うべきことは言い、わかりやすく問題の本質を説明する努力が一層必要です。

 聞き手・写真 北野ひろみ


自由からの逃走
エーリヒ・フロム
より要約抜粋

主題

 「人間がもっとも恐れているのは「孤立すること」である。しかし人間は普段そのことを意識すらしていない。
 人間は、意識の上では自らの意思で動いているものと信じているが、実際は「無意識的な力」によって動かされている。
 人間は、自由になればなるほど、心の底では耐えがたい「孤独感」や「無力感」に脅かされるようになる。人間は、自由になればなるほど「孤立の恐怖」に直面させられる。
この絶望的な恐怖に人間は耐えられない。
 人間は、意識の上では自らの意思で積極的な自由を求めているものと信じているが、実際は、孤立の恐怖から逃れるために、「逃避のメカニズム」が働き、自由を求めるより、自由から逃がれることを選択している。」

自由の二面性-進むべき道の選択

「自由は個人に「独立」と「合理性」を与えたが、その一方で、個人を「孤独」に落とし入れ、個人を「不安」で「無力」なものにした。これが自由がもたらすことの二面性である。
 個人を「不安」で「無力」なものにする「孤独」に、人間は耐えることができない。彼は進むべき二つの道の二者択一に迫られる。一つは、愛や生産的な仕事の「自発性」の中で外界と結ばれ、人間の独自性と個性とに基づいた「積極的な自由」の完全な実現に進む道である。もう一つの道は、自由や自我の統一を犠牲にする「絆」によって結ばれ、自由の重荷から逃れて、新しい「依存」と「従属」を求める道(『隷属への道』)である
 人は誰もが「積極的な自由の完全な実現に進む道」を選択できる、という訳ではない。
人間は、無意識的な力によって動かされるために、多くの人びとが、実際は「自由から逃れる道」を選択している、ということを理解しなければならない。
 自由と民主主義に対する脅威は、われわれ自身の「態度」と、われわれ自身の「制度」の中に存在する。ファシズムと戦うために、われわれはそれを理解しなければならない


自由からの逃走

「資本主義が個人にもたらした新しい自由によって、個人はますます「孤立」するようになり、外部の圧倒的で強力な力によって操られる「一つの道具」となってしまった。 新しい自由により、彼は「個人」となったが、途方にくれた「不安な個人」となった。不安を抑えるために役立ついくつかの条件はあった。その第一は、自我を支えるための「財産の所有」である。
 不安を抑えるための条件の他の要素は、「名声」と「権力」を手に入れることであった。財産や社会的名声を持たない人間にとっては、「集団への帰属」が不安を抑えるための支えとなった。個人的には無に等しくても、自分の属している集団が、同じような他の集団よりも優れていると感じることができれば、それを誇ることができた。(集団のナルシシズム)しかし個人の不安を抑えるためのこのような要素は、不安や懸念を根絶させたのではなく、それらを覆い隠したのである
 資本主義の独占的傾向は、個人の「無力感」や「孤独感」を増大させ、個人はますます巨大な力に脅かされるようになった。
 このような個人の「孤独」と「無力」の感情を、一般の普通の人びとはまったく意識していない。なぜなら、その感情を意識することは、あまりにも恐ろしすぎることなのである。「孤独」と「無力」の感情は、日々の型に嵌った活動、事業の成功や他者からの称賛、あらゆる種類の気晴らしによって覆い隠される。しかし、暗闇で口笛を吹いても光は現れない。孤独や恐怖や昏迷は依然として残り、人はいつまでもそれに耐えることはできない。人間は、「積極的な自由の完全な実現に進む道」へと進むことができない限り、結局は自由から逃れようとする他はない。


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