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第034・035回ライトアップジャーナル

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自由なラジオ Light Up! 034回
「なぜこの国は『永続敗戦国家』になってしまったのか? 」


https://youtu.be/G9D-uydAtCk?t=18m17s
18分17秒~第034回ライトアップジャーナル
こんなにも地震が多いのに、原発再稼働していいの?

http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-034/

西谷文和
今日は、今中哲二さんと電話が繋がっています。今中さん、今日もよろしくお願い致します。

今中哲二さん:
よろしく。

西谷:
今中さん、今日は『こんなにも地震が多いのに原発を再稼働していいの?』というテーマでお送りしたいと思いますが、地震多いでしょ。この前、鳥取で起こったじゃないですか。調べてみたら、鳥取では1943年にも起こってる。

今中さん:
そうですね。はい。

鳥取地震

西谷:
これ戦中だったので、あまり報道されてませんけどね。その5年後に福井大地震が起こってるんですよ。1948年。

今中さん:
福井でもありましたね。はい。


https://youtu.be/AEZfL6-n-F4

西谷:
これ今、もしこの公式に当てはまると、あと5年後に福井大地震がきたら、これ大変やなあと思うんですけど。

今中さん:
まあ予言になりますけど、よう分かりませんね。

西谷:
でも、15基もあるじゃないですか。福井県に。

若狭湾の原発銀座

今中さん:
福井で地震が起きたら大変ですし。

西谷:
大変でしょ?

今中さん:
ただね、原発を造り始めた頃の地震に対する考え方っていうのは、凄く甘かったですよ。今だったら、皆さん、地震は断層が揺れてすべって起きると。

原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断の

西谷:
正に熊本なんかそうですね。

今中さん:
みんなそう思ってますよね?

西谷:
はい。

今中さん:
ですから、40年前、50年前は偉い先生方も断層というのは地震の後だと。それで地震が起きるのは、また別だと

西谷:
そんなことおっしゃってたんですか?

今中さん:
ええ、そんな事を言ってました。それで、私がですから、今の職場に来た1976年頃は地震の起き方というのが議論になってました。ですから、今問題になってる伊方原発ですけども。

伊方原発03

西谷:
伊方というのは四国にあって、中央構造線

中央構造線断層帯

今中さん:
あれは中央構造線のその上に乗ってるんですけども、電力会社や国は「あれは断層ではない」とか

西谷:
えっ?断層ではないって言ってるんですか?

今中さん:
そういう話をしてました。

西谷:
いや、あれは断層でしょ?

今中さん:
はい。誰が見ても断層なんですけどね。それで、断層であっても動かないとか。そういう事で、当時、例えば伊方原発で考えられたのは、あの太平洋で起きる大きな地震。

中央構造線地震マグニチュード予想

西谷:
南海トラフとか。

今中さん:
というか、それが一番大きな影響があると。それで、その後、どんどんどんどんいろんな新しい知見、新しい地震のデータ等が得られてきて、どんどんどんどん厳しくなってますよ。これは間違いないです。

西谷:
この状態で動かすということは、おそらく狂気の沙汰ではないかと思うんですが、どうでしょう?今中さんから見て。

今中さん:
動かすということは、我々が受けるリスクがどんどんどんどん大きくなると。

原発集中 リスク不問

西谷:
でも、このリスクが大きくなりましたよって。それで、「でも、やりましょうか」って言って、ほとんどの人思わないと思うんですけど。なぜ、ここまで拘るんでしょうか?

今中さん:
私にも分かりませんねえ。電気そのものは足りてますし、余ってる状態ですよね。じゃあ、原発に経済性があるかと言うと、これもかなり疑問ですよね。

「原発の本当のコスト」大島堅一

西谷:
例えば、使用済み燃料棒を冷やすだけでも、何十年ってかかるんでしょ?

今中さん:
はい。もしも事故を起こしたら、福島を見たら10兆円とか20兆円とか。

西谷:
膨大に膨れ上がりましたよ。この前の。

今中さん:
お金かかりますし。

西谷:
この前の専門会議で、かつて言ってた値段の何倍にもなりましたからねえ。

今中さん:
そうですねえ。はい。

西谷:
そういう意味では、なぜ動かすのか?今中さんでも分からないまま、動かそう動かそうとしているのが今の日本。

今中さん:
どういう力がどういう風に働いているのか。

西谷:
そうですね。ほんとに、そういうその闇の部分で再稼働をされようとしている原発ですが、やはり、こんなに地震が多いから、即刻止めていかないといけない、廃炉にしないといけないということでしょうか?

今中さん:
はい。

西谷:
はい、よく分かりました。今中さん、今日はどうもありがとうございました。

今中さん:
いえ、こちらこそどうも。

$私にとって人間的なもので無縁なものはない



地震のたび「原発大丈夫?」 いつまで
(東京新聞【こちら特報部】)2016年11月23日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016112302000168.html
 二十二日早朝の福島沖地震では、東京電力福島第二原発3号機(福島県富岡町、楢葉町)の使用済み核燃料プールの冷却装置が一時停止した。幸い大事には至らなかったものの、多くの人が肝を冷やしたに違いない。3・11以降、災害が起きるたびに「原発は大丈夫か」との心配が頭をよぎる。地震大国ニッポンで原発再稼働に血道を上げる愚。いつまで事故の恐怖におびえ続けなければならないのか。
(木村留美、安藤恭子)

地震のたび「原発大丈夫?」 いつまで_1

福島第二の核燃料プール冷却停止
楢葉町民 不安また不安

 福島第二原発が立地する楢葉町住職早川篤雄(とくお)さん(七七)は「真っ先に頭をよぎったのは、原発は大丈夫かということだった」と振り返る。
 東京電力によると、午前六時十分ごろ、3号機の使用済み核燃料プールの冷却水を循環させる系統が地震の影響で自動停止。安全を確認した上で午前七時四十七分に冷却を再開させた。プールには核燃料二千五百四十四体が保管されているが、水漏れや放射性物質の漏えいはないとしている
 早川さんは、あらためて原発への憤りを感じている。「第一原発は、大きな津波が来たらひとたまりもないのではないかと、地震が起こるたびに冷や冷やする。第二原発も使用済み核燃料を取り出さない限り、不安は払拭されない

「5年前の爆発を思い出した」

 楢葉町議の結城政重さん(六九)は、避難先の福島県いわき市で今回の地震に遭遇した。「3・11のように原発が爆発するのではないかと怖かった
 第二原発の四基は、二O一一年三月の東日本大震災以降、停止中だが、東電は再稼働に含みを残している。結城さんは「地震自体は揺れが収まればすむことだが、原発はそれだけですまない。議会の中にも第二原発は再稼働すべきだという人がいるが、あり得ないことだ」と憤る。
 富岡町から福島県会津若松市に避難中の主婦古川好子さん(五三)も東電や政府の姿勢が許せない。「立地自治体の人たちが経済的な理由から動かしたい気持ちは分からないわけではない。でも、原発事故が起きた時の被害はあまりに大きい。五年前の事故をなきものにしようとして再稼働しようとする政府や東電にはふざけるなという思いだ
 国内以上に海外の関心は原発に向いている。英BBC放送(電子版)は「地震による原発損傷の兆候はみられない」と断った上で、3・11の福島第一原発事故の被害に触れた。ロイター通信も、第一原発など周辺の原発の状況を伝えた。英経済誌「エコノミスト」のデイピッド・マックニール記者は「日本政府の原発に対する発言を海外メディアが信用していないからだ」と指摘する。
 世界的に見ればフクシマはチェルノブイリ事故と同列に考えられている。安倍晋三首相が『アンダーコントロール(制御されている)』とアピールしても、実際にはいろいろな問題がある。福島での地震と聞けば、原発を思いおこすし、記者らも五年前の地震への思い入れもあるだろう
 日本を訪れている外国人旅行者からも不安の声が漏れた。東京駅近くで母親と買い物中のシンガポール人女性(二七)は「ホテルで寝ているところに地震がきた。シンガポールでは地震がないので驚いた。原発の放射能が心配になった」。
 米国人女性(三二)らは「報道で地震を知った家族から心配するメールが届いた」と困惑した様子だった。

地震のたび「原発大丈夫?」 いつまで_2

3.11のトラウマ 国民多くが抱える
政府「問題ない」に不信感

 最大震度7の地震が連続して起きた四月の熊本地震では、稼働中の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)への影響が不安視された。政府は最初の揺れから二日後に「プラントの状態や、モニタリングポストに異常はない」と発表。同市では震度4が観測されたが、原子炉を自動停止させるレベルよりかなり小さいとされ、運転は継続された。(¬_¬)
 七月の県知事選では県民の不安も背景に、川内原発の一時停止を公約に掲げた三反園訓氏が初当選した。九電に即時停止を求めたが拒まれた。ー号機では、定期検査と並行して熊本地震の影響を調べる「特別点検」を実施しているが、2号機は稼働中だ。
 豊後水道を挟んで四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)から最短で約四十五キロの大分県では、復数の市町議会が、再稼働への反対や慎重な対応を求める意見書を可決した。原発に近い日本最大の断層帯「中央構造線」の活発化を恐れてのことだが、政府は原子力規制委員会の新規制基準の審査に適合した原発は再稼働させる方針で、八月には3号機が再稼働した。
 「政府や電力会社が言う原発の状況に不信感がある」と話すのは、川内原発建設反対連絡協議会会長の烏原良子さん(六八)だ。熊本地震で最初の大きな揺れがあった後すぐに、同原発の事務所に状況を電話で問い合わせたところ、「大丈夫です」と即答されたという。「点検中と言ってくれれば、まだ信用できたのに」と顔をしかめる。鹿児島に震源地が広がることを恐れ、高速道路や新幹線が使えなくなる現実を知ったことで「市の避難計画なんて役立たず。熊本のような地震がここで起きたら、逃げられない」と確信した
 十月には鳥取県で震度6弱の地震が発生。中国電力島根原発(松江市)は運転停止中で異常は確認されなかったが、原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「多くの国民が地震と原発事故を結び付けて見るようになった。熊本、鳥取と続けば、次は原発が立地する中央情造線や南海トラフ沿いで起きないか心配する心理がはたらく」と説く。
 伴氏は、メルトダウン(炉心溶融)の公表が遅れるなどした福島事故を機に、災害時の原発広報が信用されなくなったとみる
 「十分な根拠を示さず拙速に『問題はない』と発表するやり方は、熊本地震も福島沖地震も通底し、国民の不安を解消できない
 元京都大原子炉実験所助教の小出裕章氏も、福島沖地震で「原発は大丈夫か」と考えた。福島第二原発の使用済み核燃料プールの冷却設備が停止したと聞き、さらにひやりとした。「プールに亀裂が入り、放射能が漏れる事態も想定した。いつまで不安を抱え続けなければならないのか」
 精神科医の香山リカ氏は「多くの国民が3・11の不安をトラウマ(心的外傷)として抱えている。原発の冷却ができないといった今回の情報は当時をフラッシュバックさせ、原発の爆発や、食べ物の放射能汚染など、先を見越した『予期不安』が心の中で起きている」と分析する。
 ネット上などで原発への不安を口にすると非難される風潮も、ストレスを高めているようだ。香山氏は「政府が再稼働を進めれば、原発はいつ終わるとも知れないので、事故への恐怖は洛ち若くことがない。今すぐでなくとも、将来的に全ての原発を廃炉にしていくんだというビジョンを示さない限り、国民が抱える不安感は今後も増す一方だ」と警鐘を鳴らした。

地震のたび「原発大丈夫?」 いつまで_デスクメモ


『フタバから遠く離れて 第二部』映画オリジナル予告編

https://youtu.be/H3YpWH-g2qk



自由なラジオ Light Up! 035回
「福島県双葉町現地ルポ(第1部)
& 前西成区長が振り返る公募区長の3年8か月(第2部)」


https://youtu.be/rDDlujUWsZk?t=5m51s
5分51秒~第035回ライトアップジャーナル
Light Up!ジャーナル特別編:福島県双葉町ルポ・未だ続く帰還困難区域の高線量

http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-035/
「原子力明るい未来のエネルギー」看板

いまにしのりゆき
先だって、私は福島県双葉町ご出身の大沼勇治さん。自由なラジオLight Up!にも何度かご出演頂いておりますが、大沼さん、ご出身の福島県双葉町、今も期間困難区域に指定されているということで、なかなか簡単に足を踏み入れることができないのですが、大沼さんと二人で双葉町の方に行ってきました。
子供の頃ですね、大沼さんが作られました原子力明るい未来のエネルギーという看板ですね、ちょうど一年程前に外されまして、町はえらい変わった印象でありました。福島第一原発事故で故郷を追われたことから、愚かな原子力政策に反対をし続け、その看板のアーチを震災遺構として残す活動も大沼さんはされてきました。看板ですね、先程も申し上げましたように昨年12月、老朽化を理由に取り外されてしまいました。
双葉町、今、どないなってんのかと思いまして今回は足を運びました。 
その大沼さんのルポをこの後お届けしますが、5年と8ヵ月経ちました福島第一原発の事故、その放射能の現状について、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお電話でお話を伺います。小出さん、今日も宜しくお願い致します。

小出裕章さん:
はい、こちらこそ宜しくお願いします。

いまにし:
小出さんですね、私、大沼さんと一緒に双葉町に行ってまいりました。今も、やはり非常に放射線量が高い場所が数多くあります。そして、所謂、ホットスポットというような感じで、急に高放射線量がガーッとアップするような所が双葉町ですとか、同じく隣接します大熊町ですとか、そういう所にあります。そして、モニタリングポストですね、放射線量を計測する機械が設置されておるのですけれども、いつもあれを見て、「これ、どのようにして計測してるのかなあ?」と思うのですが、ちょっとその辺、先生教えて頂けますでしょうか?

小出さん:
はい。今、いまにしさんが見て下さったというモニタリングポストというのは、空間ガンマー線量というものを測定しているものだと思います。空間、今、ある時には放射性物質自身が空気中に漂ってる時もあるわけですし、事故の初期を過ぎれば、空気中にあったものが地面に降り注いで地面にくっついているわけですけれども、そういうものから、空間のある場所でどのぐらいの放射線を浴びてるのかということを測定しているものです。

いまにし:
はいはい、なるほどなるほど。それで、このモニタリングポストというのはどうなんでしょうかねえ。示してる値というのは正確なものなんでしょうか?

小出さん:
国の手によって設置されてるモニタリングポストというのは、私はインチキだとむしろ思っています。というのは、例えばモニタリングポストを設置する時に、周辺を整地しているはずだと思います。そういう時には、その場所のまず汚れた土を例えばはいだり。仮にそれがないにしても、その上にコンクリートを打ってしまったりするわけですから、所謂、普通の何も手を加えない場所での空間線量率というものに比べれば、かなり低い値をもともと表示しているはずだと思います

いまにし:
なるほど。その中で、私が双葉町に行った時に、1.147マイクロシーベルトという普通では考えられないような高い数値だと思うのですが、記録しているような所もありましたが、この数値というのは小出さんから見られていかがでしょうか?

小出さん:
私は長い間、京都大学原子炉実験所で放射能を相手に働いていました。放射能を扱う時には、原子炉実験所の中に入っても、どこでも放射能を扱っていいというわけではなくて、放射線管理区域という指定された特別な場所でしか扱うことができません。そして、1時間あたり0.6マイクロシーベルトを超えるような場所というのは、必ず放射線管理区域に指定しなければいけない。人々の立ち入りを禁じなければいけないという、そういう場所だったのです。今、いまにしさんは1.4とおっしゃった。

いまにし:
1.147ですね。はい。

小出さん:
普通の人はそんな所に立ち入ってはいけない。私のような人間が仕事上、どうしてもしょうがなくて入る場合でも、そこに入ったら水も飲むなというそんな場所なのです。今、双葉町の広大な場所が未だにそうやって汚れてしまっているということです

いまにし:
なるほど。それで小出さん、大沼さんからちょっと質問がありましたのでいくつか伺います。
「双葉町に帰還する度に、高い放射線量の区域なので防護服が支給されます。しかし、目だけは何も用意されていません。放射線量と目の関係について、ゴーグル等を付けた方がいいのでしょうか?」とおっしゃられてます。

小出さん:
はい。「つけた方がいいのか?」と問われてしまえば、もちろん付けた方がいいです。但し、あの防護服というのは、ガンマー線を遮る力はもともと何にもないのです。ですから、汚れが体に付着するのを防ぐという、ただそれだけの意味しかありません。ですから、「目の所にゴーグルをかけた方がいいか?」と言われれば、もちろん目の部分に放射性物質が付着するのを防ぐという意味では、やった方がいいと私は思いますけれども、今現在、双葉町で大量の放射性物質が空気中に漂ってるということはないはずですので、目という極小的な部分をゴーグルで覆うということで、避けられる被ばくの量はそんなに多いとは私は思いません。但し、目も被ばくをしますと、白内障になったりするということが既に分かっていますので、できればした方がいいと思います。

いまにし:
そうなんですか。目も被ばくすると、白内障になる可能性が結構あるんですねえ。

小出さん:
はい、あります。

いまにし:
はい。あと、私なんかも双葉町に夏場なんかに行くと、結構、途中疲れて道端で座って休んでしまうことがあるのですが、大沼さんはその辺を凄く心配されておられて、「やはり、地べたに直接座ると、被ばくしやすくなるのでしょうか?」と伺われておられます。

小出さん:
はい。大沼さんはその時に、防護服を着ていらっしゃるんだと思いますが、防護服を着た状態で座るということになると、放射性物質自身は防護服にくっつきますので、大沼さんの身体に付くことはないはずだと思います。そして、防護服を脱いでしまえば、防護服にくっついた放射性物質から被ばくをするということはなくなるわけです。但し、ガンマー線自身は全く避けられませんので、防護服を着た状態であっても地面に座れば、地面が汚れていますので余計な被ばくをしてしまいますし、防護服が汚れた状態でそれを着続けていれば、ずーっとまたガンマー線で被ばくをしてしまうということになりますので、出来るならば座ったりはしない方がいいと思います

いまにし:
はい。そして、次ですね、大沼さんが伺いたいなとおっしゃられておったのがですね、「この5年8ヵ月の間、半減期で消滅した放射能とそうでない放射能がありますが、空間線量計を持っていくのですけれども、空間線量だけに頼っていて大丈夫なのでしょうか?」ということを聞かれております。

小出さん:
もちろん大丈夫ではありません。今の半減期のことを話して下さいましたけれども、原子力発電所から放出された放射性物質の中には、いわゆる寿命が長いか短いかということで大きな違いがあります。例えば、ヨウ素131という放射性物質があって、それが現在、福島で見られている子どもの甲状腺がんを引き起こした主要な原因だと私は思っていますけれども、そのヨウ素131は8日経つと半分に減ってくれる。また8日経つと、その半分になるというように、かなり急速に減ってくれて、今現在、5年8ヵ月経っているわけですが、もうヨウ素131は全くないのです。逆に、寿命の長い放射性物質もあって、私が一番問題だと思っているのはセシウム137という放射性物質ですが、それは半分に減るまで30年かかる。
主要な放射性核種の半減期
事故からこれまで5年8ヵ月経ってるわけですが、まだほとんど減っていないまま汚染が続いているのです。それが、これからずーっと人々を被ばくさせ続けるということになります。
空間ガンマー線量というのを、今皆さん測っているわけですけれども、そのほとんどはセシウム137からきているものです。ですから、空間ガンマー線量を測っていれば、その場所を測ってる、
その場所の周辺がどの程度セシウム137で汚れているということぐらいは目安として分かると思います。但し、特別な場所では未だに空気中にセシウム137が舞い上がってきていたりする場所もありますので、空間ガンマー線量だけを測るというやり方では不十分だと私は思います。しかし、一人一人の住民達、避難をした人達が空間ガンマー線量を測ることすらなかなかか難しいと思いますし、ましてや空気中に漂ってるセシウムを測定するということは、基本的にはもうできないと思うしかないと思います。

不安定な核種が崩壊しながら放射線を出す

いまにし:
はい、分かりました。小出さん、ところで小出さんは先日、双葉町の町長をされておられました
井戸川克隆さんにお会いになられたというようにお話を伺いましたが、どのようなお話をされたんでしょうか?

小出さん:
はい、井戸川さんとは時々お会いする機会がありますが、一番最近彼とお会いしたのは11月1日でした。多分、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、世界的な名ピアニストのクリスチャン・ツィメルマンさんという方がいらっしゃって、その方が東京でコンサートをやるということで、私も招待して頂いたのです。
私そのコンサートに行きましたら、井戸川さんも招待されていたということで、その場所でお会いしました。

いまにし:
どのような感じのお話をされましたでしょうか?

小出さん:
事故があって5年8ヵ月、ほんとに超人的に活動されてきたと思います。お疲れにもなっているし、彼自身がかなりの被ばくをしたということで、事故直後にも鼻血を出したということもあったわけですが、未だに鼻血が出るし体調が良くないと。凄い疲れやすいというようなことを彼はおっしゃっていました。

井戸川克隆 鼻血

いまにし:
はい。それで、先程お話が出ましたポーランドのピアニストのクリスチャン・ツィメルマンさんについてちょっと教えて頂きたいのですけれども、ちょうど東日本大震災の時には東京にいらっしゃったということで、毎年のようにチャリティーコンサートを続けておられるということだったのですが。

小出さん:
はい。私がツィメルマンさんから招待されたコンサートも、彼自身が無償で出て下さったということでした。ポーランドという国で彼が生まれた、私と確か6歳違いで、ちょうど今60を過ぎた頃だと思います。昔から美男子でしたけれども、今は真っ白な白髪になって、ますます素敵な風貌になっていました。
福島の事故を東京でたまたま出会ってしまって、それ以降、福島の人達にとにかく寄り添わなければいけないということで、チャリティーコンサートのようなことをずーっとやってきてくださった方です。

いまにし:
そのコンサートを聴かれたご印象はいかがだったでしょうか?

小出さん:
はい、彼は、こうやって限定つけるのよくないですけれども、多分一番いいのはショパンだと私は思いますが、私が聴かせて頂いたのはベートベンでした。でも、大変力のこもった演奏で、若い団員達と大変スリリングな掛け合いの演奏で、私はそれを聴けただけでも良かったと思っています。

いまにし:
はい。ここで小出さんから頂戴しましたクリスチャン・ツィメルマンさんのメッセージがあります。このメッセージですね、とても素晴らしいので、是非リスナーの皆様にも聞いて頂きたいと思いまして、その一部をご紹介させて頂きます。

小出さん:
はい。ありがとうございます。

いまにし:
小出さんと一緒に、是非皆さんお聞き下さい。
朗読は鵜飼一嘉(うかいかずよし)アナウンサーです。

Krystian Zimerman

いまにし:
小出さん、ほんとに素晴らしいメッセージですねえ。

小出さん:
はい。私はこのメッセージを添えて、約1週間ぐらい前だったと思いますが、コンサートの招待状を頂きました。私は11月1日という、その日1日だけは空いていたのですが、31日も2日も別の約束が入っていてどうしょうかと悩みましたけれども、このツィメルマンのメッセージを見たらばもうどうしても行くしかないと思って、当日日帰りで松本から出掛けました。ほんとに素晴らしい方でした。

いまにし:
もう日本では、今、福島第一原発の事故が忘れ去られよう、逆に、忘れろ忘れろと云わんばかりの政府ですとか東京電力の姿勢が垣間見えるのですが、一方で、忘れてはいけませんということを発信して頂いてるツィメルマンさん。本当にありがたく思いますよねえ

小出さん:
はい。福島第一原子力発電所の事故を起こした責任というのは東京電力や日本の政府にあるわけで、私は彼らを犯罪者と呼んでいます。
原子力マフィアは犯罪集団
彼らを徹底的に処罰をしなければいけないと思っていますが、逆に、彼らから見れば、とにかくこの事故をなかったことにさせてしまいたい、忘れさせてしまいたいということで、周到な行動を彼らはとっているわけです

忘れさせようとする策謀

でも、ツィメルマンは、彼は忘れないと言って下さってるわけですし、その為に、彼ができることを自分でやるんだということを言ってくださって、実際にそれをやって下さっている。
ツィメルマンさんが世界的に本当に素晴らしいピアニストだということは、おそらくほとんどの方が認めると私は思いますが、それ以上に、彼は人間として素晴らしと私は思いました。

いまにし:
分かりました。小出さん、ありがとうございました。

小出さん:
いえ、ありがとうございました。


Ballade NO.1 in G Minor.Op23
(作曲:Fryderyk Franciszek Chopin・演奏者:Krystian Zimerman)

https://youtu.be/Ce8p0VcTbuA


いまにし:
それではここで大沼勇治さんと訪れました福島県双葉町、帰還困難区域の様子をお聞き頂こうと思います。大沼さんの考えられました標語のアーチ、看板がありました双葉町のメインストリートで、大沼さんにいろいろお伺いしました。現地でのルポを録音でお聞き頂きます。

原子力明るい未来のエネルギー

いまにし:
大沼さん、看板がなくなって1年が経ちました。なんかこれまである看板が急になくなると、えらく風景が変わってしまったなあと思うんですが、現実この場所に立たれていかがでしょうか?

大沼勇治さん:
そうですね。全く別の場所になってしまい、自分の故郷じゃない気がします。何ですかね、これまでいろいろ原発と共に歩んできた町そのものも終わった感じがして、ただそれを残すことで、やっぱり全てありのまま伝えたかったんですけども、なんかその過去まで全てを否定されるかのような感じで、やはり、この場所で残したかったですねえ。

原子力明るい未来のエネルギー大沼勇治

いまにし:
双葉町ですね、ちょうど1年前にも、私と大沼さんはこの看板のあった場所に来ていたのですけれども、あれから1年、全く今も人通りがなく、まれに警備のための車が通るだけという寂しい感じがするのですが、もともとここは双葉町のメインストリートだったわけですよね?震災前は。

大沼さん:
そうですね。ここは商店街や駅に向かうメインストリートでして、それで多くのこの時間、町民の方が行き来してました。車も結構走ってました。

いまにし:
見た雰囲気では1年前とほとんど変わらず、ひと気が全くなく、ほとんど時が止まったままかなあという気がするのですが。

大沼さん:
そうですね。今日驚いたのは、街中の商店街に大きなイノシシがいたんですね。それはびっくりしました。山でしか、たまに夜とかしか見かけなかったんですけども、街中で人がいないと分かってるせいか、動物の糞のようなものが沢山あったりですね。大きな通りは、確かに倒壊した家屋等が少し整理されたみたいなんですけども、その他の道は全然変わってないので、全然、復興してるとは思えないですね。

帰還困難区域のすぐ外側にて

いまにし:
大沼さんの考案されました原爆の標語の看板撤去されまして、その後どうなってるんでしょうか?

大沼さん:
はい。まず、役場敷地内の場所にそのままシートを被せて、16メートルあった看板の方はそのまま置かれてて。先月、福島の県立博物館さんの方でアクリル板だけ運んで、それで「明るい未来」の「み」だけがちょっと線量が高かったみたいなので、第二原発のけがやクリーニング場で高圧洗浄かけて線量を落として、それで運んだということを聞いて。とりあえず、アクリル板の方はきちんとしたとこで保管されてるので、そういった面では安心なんですけども。肝心の鉄板の方はやっぱりサビによる塩害腐食によって、今も劣化し続けてるので、そちらの方はちょっと保管して欲しいなと。
また何らかの形で早く展示して。痛まないうちにですね。それで伝えたい思いですね。

いまにし:
双葉町もしくは福島県がどこかに展示、皆さんが見れるような状況になるということなんでしょうか?

大沼さん:
そうですね。その震災以降のプロジェクトというのが博物館さんの方でやってるみたいで、県立博物館さんの方で、何らかの形で展示される可能性はあると思います。あと、その東北大学さんの方で3D映像の測量のデータ残してるみたいなので、その3Dでは見れる日が来るのではないかと思ってるんですが。やはり、現物の看板とそのアクリル板が一体化されて展示されるのが理想なので。それは、復興記念講演に展示される可能性はあると役場の職員の方はおっしゃってたんですけども。まだ、ここ2年ぐらいは動かないという風に。その間、劣化しないことを祈るばかりです。

いまにし:
まだ原発の終息作業も充分に進んでいない中、双葉町の未来というのは、大沼さんから見られてどうあって欲しいという風に、今お考えですか?

大沼さん:
そうですね。原発と共に舵を切った町が、現代、中間貯蔵施設により放射性廃棄物の汚染されたものが運ばれて、なんか人からゴミに変わってしまったので、ここにいつか僕も子供達を連れて、自分の故郷だというのを伝えたいんですが、まだちょっとこの状況では厳しい感じがします。
ゴミバックが5段ぐらい積んでるのを見ると、なんかそこがかつて住宅があった場所が津波にさらわれて、仮置き場になってる光景、そこからまた草が覆い茂ってるという光景ですね。ほんとにせつないです。

いまにし:
はい。大沼勇治さんに伺いました。ありがとうございました。

大沼さん:
ありがとうございました。

いまにし:
実際に双葉町に行ってみますと、本当にゴーストタウンというのか、死の街というのか、全く人通りもなく、活気もなく、原発事故の奥深さというのを思い知らされます。そして、つくづく国と東京電力の無責任さというのも考えさせられます。心の傷の深さを感じずにはいられない、そんな取材になりました。
以上、今日は特別編でお送りしましたLight Up!ジャーナルでした。


原発避難者13万人の選択 事故から3年

http://dai.ly/x1fiih9
東京電力福島第一原発の事故から3年。未だ故郷に帰れない原発避難者は13万人いる。いま国は事故以来、前提としてきた避難者の「全員帰還」という方針を転換し、年間50ミリシーベルトを超える帰還困難区域の2.5万人には事実上の“移住”を求め始めている。その一方、3.4万人が暮らしていた年間20ミリシーベルトを下回る避難指示解除準備区域では、住民の早期帰還を進めようとしている。
故郷へ帰ることを諦めざるを得ない避難者。逆に放射能への恐れから帰れといわれても帰りたくない避難者。それぞれが現実を突きつけられ、厳しい選択を迫られているのだ。番組では13万人が直面する震災3年目の現実を取材。原発避難者を救済するために何が必要か考える。


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