大接戦米大統領選 トランプ氏の勝利
懸念・期待 迷いながら選択
激戦州の有権者の声は
(しんぶん赤旗)2016年11月10日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-10/2016111003_01_1.html
米大統領選挙が実施された8日、激戦州の北東部、南部の投票所を訪ね、有権者の声をききました。民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補それぞれに入れた人たちから出てくる言葉は、格差の拡大など現状に対する懸念や怒り、それを打開する方向への期待が入り交じっており、迷いながらの選択であることをうかがわせていました。
(ノースカロライナ州ロッキーマウント=遠藤誠二、ペンシルベニア州フィラデルフィア=洞口昇幸)
「庶民 まともに暮らせるのか」
「政治をかえる絶好の機会」
ノースカロライナ州の町、ロッキーマウントに向かう高速道路をまたぐ路上では、「トランプ」と書かれたポスターを掲げ有権者にアピールする市民の姿をみかけました。
投票所では、クリントン、トランプ両陣営の運動員が、投票の仕方や候補者の紹介などを訪れる有権者に説明していました。
アフリカ系の中年女性、リンダさんは、「今回の選挙の争点は、人口の1%の人たちに富が集中する経済システムを変えるかどうかです。一部の大企業がもうけをあげるのではなく、庶民がまともにくらせるようにしてほしい。トランプ氏は自身の利益のことしか考えていない」と話します。
たいして白人の中年女性は、「経済、移民、同性婚。選挙の焦点はたくさんあったが一番の問題は、女性候補者による私的メールの使用など犯罪まがいの行為。今回はトランプ氏が勝利し政治をかえる絶好の機会。もしクリントン氏が大統領になったら弾劾にかけられるべきだ」と言い切りました。
「歴史をつくろう」
ペンシルベニア州最大の都市フィラデルフィア。投票場に向かう道すがら、「投票済」を表すシールを胸元などに貼り付けた通行人が目立ちました。
歩道にはチョークで、「歴史をつくろう」「投票場はこちら」などの文字が。環境保護団体の人たちが市民に投票を呼び掛けたり、投票場の場所を知らせたりするイベントを路上でくりひろげていました。
投票を終えた白人の男子大学院生(23)は、「クリントン氏にそんなに多くは期待していないが、どちらに大統領の資質があるかで選びクリントン氏に入れた。トランプ氏の政策には中身がなく、(経済やテロで)不安感を持つ人々をあおるだけです。とにかく中間層や勤労世帯の暮らしを良くしてほしい」。
白人の看護学生のクイン・クレッグさん(22)は「クリントン氏の外交政策、中東のシリアに関連する公約で、危険な部分があると思います。でもトランプ氏と比較して、クリントン氏が大統領になった場合の政策決定のほうが、最悪な事態を避けられると思いました」と迷いながらの選択であったことを語ります。
「答える必要ない」
ロッキーマウント、フィラデルフィアの双方ともトランプ支持という有権者の口は概して重く、「支持した理由は」という質問に、「答える必要はない」と怒る人もいました。
経済格差広がり、中間層消滅
既存政治への不信・怒りを反映
接戦となった米大統領選挙を制したのは共和党候補のドナルド・トランプ氏でした。政治経験の全くないアウトサイダー(部外者)候補のトランプ氏が民主党候補のクリントン前国務長官を抑えて勝利した背景にあるのは、経済成長や繁栄から取り残された有権者の既存政治に対する怒りや不信です。
「雇用がなく、人口は減り、地方都市は荒廃するばかりだ。このままでは未来がない」(トランプ氏を支持する30歳男性)。「医療や教育を受けられない人々が多すぎる。こんな国を次の世代に残せない」(クリントン氏支持の46歳女性)。各地の取材で出会った有権者が共通して語っていたのは“このままでは米国が立ち行かなくなる”という切迫した危機感でした。
米国の経済政策研究所(EPI)によると、2009年から13年にかけて富裕層上位1%の収入の伸び率は残りの99%の約25倍になりました。これまでにない経済格差が広がり、中間層が消滅し始めています。
中高年の自殺増加
今春発表された研究によると、米国民の現在の自殺率は過去30年で最も高くなっています。特に中高年で増加しており、専門家は背景に「貧困や絶望」があると指摘します。若い世代でも、学費ローンを利用した大学生の4人に1人が滞納や債務不履行の状態です。努力すれば夢を実現できるというアメリカンドリームは消え去ろうとしています。
「腐敗した既存政治がつくったのは貧困だけだ。特権を持ったワシントンの連中に、置き去りにされた中間層の声を聞かせよう」
トランプ氏は自らが既存の政治家でないことを強調し、国民の不満や怒りを吸い上げました。「強い米国を取り戻す」という公約のもと、工場の海外移転や鉱山の閉鎖などによって失われた雇用を回復すると力を込めて訴えました。
同氏はイスラム教徒の入国禁止やメキシコ国境への壁建設、女性蔑視など過激な発言・暴言で物議を醸しました。また法人税の大幅減税や経済活動のいっそうの規制緩和を提案するなど、国民や労働者の利益にかなった経済政策を掲げたわけではありません。
それにもかかわらず勝利したことは、現状を変えてほしいと願う有権者の不満や怒りの根深さを示しました。
クリントン氏は「すべての人のためになる経済が必要だ」と語り、富裕層や大企業が利益を上げれば庶民に回るという「トリクルダウン理論」を批判しました。オバマ政権の政策の継続を掲げ、富裕層や大企業への増税、学費ローンの負担軽減、最低賃金引き上げ、製造業の雇用回復などを公約しました。
しかし上院議員や国務長官を務め、ウォール街から多額の献金を受け取る同氏が、有権者の目に既得権益を代表する政治家と映ったことは否めません。国務長官時代に私用メールを公務に使った問題も影響し、さらに苦戦を強いられました。
変革求める運動も
今回の選挙は候補者の暴言や中傷で、米国史上で最も険悪な論戦になったとされます。一方で予備選段階では格差是正を正面に掲げたサンダース上院議員が善戦し、変革を求める運動が広がりました。
「政治的大変革が必要だ」と訴えたサンダース氏の論戦は、ウォール街の高額報酬や企業献金、低すぎる最低賃金、国民皆保険の欠如など、米国の直面する課題を争点に押し上げました。
サンダース氏の主張に共感した20~30代の若者が大挙して運動に加わり、うねりとなった運動が今後どういう展開をみせるのか。注目点の一つです。
(ワシントン=島田峰隆)
ヒラリーもトランプもTPP反対なのに日本だけがなぜ強行するのか? 安倍政権のTPPインチキ説明総まくり
(リテラ)2016.10.30
http://lite-ra.com/2016/10/post-2657.html
「結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と言ったのは誰だったのか。──安倍政権は早ければ11月1日に環太平洋経済連携協定(TPP)承認案と関連法案を衆院で強行採決する見込みだという。
しかし、一体何のために政府はこれほどまでにTPPに前のめりなのか。安倍首相は「日米関係の強化」などと述べ、政府筋も「オバマが成立したがっているのだから仕方がない」と言うが、当のアメリカの世論はTPPに批判的で、トランプもヒラリーも反TPPの姿勢を強調。さらにオバマ大統領が任期中にTPP発効の承認を議会で得ることは難しく、アメリカが批准する可能性はゼロに近づきつつある。こうした事態に自民党の茂木敏充政調会長も「TPPも通せないような大統領は、私はアメリカの大統領じゃないなと思いますね」と言い出す始末だ。
「アメリカのためのTPP協調」だったならば、日本にもはや意味をなさなくなったはず。なのになぜ強行採決までして押し進めようと躍起なのか。その理由は、呆気にとられるようなものだ。
「オバマなんてたんなる言い訳で、TPPは経産省の“悲願”だからですよ。戦前、軍部が悲願のために暴走したのと同じで、走り続けてきたものをもう引き返せなくなっているだけ。とくに安倍首相の主席秘書官である今井尚哉氏は経産省出身で第二次安倍政権のTPP交渉を後押ししてきた人物。官邸も“TPPありき”で進んできたので、何の合理性もないんです」(大手新聞政治部記者)
制御不能のフリーズ状態に陥りながら、満足な説明もないままTPP承認案・関連法案はいままさに強行採決されようとしているというのだ。国民を馬鹿にするにも程があるだろう。
しかも、安倍政権は馬鹿にするだけでなく、嘘の説明によって国民をあざむき続けている。
まず、安倍首相は「TPPの誕生は、我が国のGDPを14兆円押し上げ、80万人もの新しい雇用を生み出します」と今年1月の所信表明演説で述べたが、これは空言虚説と言うべき恣意的な数字だ。
そもそも、安倍政権は2013年の段階では「TPPによって10年間でGDPが3兆2000億円上昇」と公表していたが、これに対して理論経済学や農業経済学、財務会計論などの多岐にわたる研究者たちで構成された「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は、同年、「GDPは約4兆8000億円減少」「全産業で約190万人の雇用減」という影響試算を出している。
さらに、アメリカのタフツ大学も今年1月、「日本のGDPは10年間で0.12%(約56億4000万円)減少、約7万4000人の雇用減」という影響試算を公表。これらは政府とはまったく真逆の評価だ。
この影響試算の食い違いについて、元農水相でTPP批准に反対してきた山田正彦氏は著書『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!』(サイゾー)で、政府試算は〈関連産業や雇用への影響など、ネガティブな面を考慮に入れず、地域別の試算もなされていないため国民生活への悪影響が出てこない〉ものだとし、一方の「大学教員の会」やタフツ大学の試算はネガティブな面も含めて試算された結果であることを指摘している。つまり、政府試算は〈ネガティブな面をほぼ無視した数字〉でしかないのだ。
しかも、安倍首相は昨年10月のTPP大筋合意の後の記者会見で、農産物重要5品目(コメ、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖)の“聖域”を死守したとし、「国民の皆様とのお約束はしっかりと守ることができた」「関税撤廃の例外をしっかりと確保することができました」と語ったが、これもとんだ詭弁だ。山田氏は前掲書で、〈重要5品目の分野が586品目あり、そのうちに関税が撤廃されるものは174品目、残りは関税が削減されるものなので、それだけでも約3割は「聖域は守れなかった」と断定できる〉と批判する。
さらに、同年11月に公表された協定案では、アメリカ、オーストラリアなど5カ国と、相手国から要請があれば協定発効から7年後には農林水産物の関税撤廃の再協議に応じる規定があることがわかった。これはあきらかに日本を狙い撃ちした規定であり、7年間の“執行猶予”を与えられただけだったのだ。
にもかかわらず、テレビは大筋合意を政権の言うままに「歴史的快挙」などと大々的に取り上げ、「牛肉や豚肉が安くなる」「これで品薄状態のバターも安価で手に入りやすくなる」などと強調。報道によって、他方で甚大なリスクがあるという事実を隠してしまったのだ。
少し考えればすぐわかるように、輸入品が増えることによって国内の農畜産物が大打撃を受けることは明々白々で、廃業に追い込まれる生産者は続出するだろう。となれば、食料自給率も低下するのは必然だ。日本の食料自給率は2015年のデータでもカロリーベースで39%と主要先進国のなかでも最低水準なのだが、農林水産省は2010年の試算でTPPが発効されれば食料自給率は14%に低下すると発表している。それでなくても命に直結する食を海外に依存している状態であるのに、もしも気候変動で農作物が凶作となり輸入がストップしても、そのとき国内に広がっているのは生産者のいない荒廃した農地だけだ。
それだけではない。アメリカなどでは牛肉や豚肉、鶏肉などに発がん性リスクが懸念されている成長ホルモン剤を使っており、食肉だけではなく牛乳などの乳製品にも健康リスクへの不安は高まる。くわえて心配なのが、遺伝子組み換え食品の問題だ。前述した山田氏は〈TPP協定では、何とこれらの遺伝子組み換え鮭など数多くの遺伝子組み換え食品を安全なものとして、域内での自由な貿易を前提にさまざまな規定が置かれている〉と指摘し、現行では遺伝子組み換え食品には表示がなされているが、これもTPP協定下ではできなくなってしまう可能性にも言及。そればかりか、「国産」「産地」といった表示もできなくなる可能性すらあるのだという。
しかし、こうした問題点は氷山の一角にすぎない。TPPをめぐる問題は、挙げ出せばキリがないほど多岐にわたる。たとえば、山田氏が前掲書で提起している問題を一部だけ取り出しても、この通りだ。
・リンゴやミカンなどの果樹農家が打撃を受け、水産業・関連産業で500億円の生産額減少
・残留農薬や食品添加物などの安全基準が大幅に下がる
・薬の臨床試験や検査が大幅にカット。また、ジェネリック薬品が作れなくなる可能性
・医薬品はさらに高額となり、タミフル1錠7万円のアメリカ並みかそれ以上に
・健康保険料が現在の2〜3倍になり、国民皆保険も解体される可能性
・パロディなどの二次創作物が特許権に反するとして巨額の損害賠償を求められるように
・政府はプロバイダを規制できるようになるため「知る権利」「表現の自由」が大きく損なわれる
・外国企業から訴えられるために最低賃金引き上げができなくなる
そして、最大の問題が、「ISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)」だ。前述した遺伝子組み換えの食品表示などもISD条項が問題の根本にあるが、それはISD条項が企業などの投資家を守るためのものであるためだ。しかも、国内法ではなく国際仲裁機関が判断を下すISD条項は、〈最高裁判所の判決よりも、ワシントンD.C.の世界銀行にある仲裁判断の決定が効力を生じることになっている〉(前掲書より)。これは日本国憲法76条第1項「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」に反することになる。さらに〈私たちに憲法上保障されている基本的人権もTPP協定によって損なわれていくことになる。憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるが、TPPでは貧富の格差がさらに拡大して、金持ちでないと医療も受けられず、安全な食料も手に入らなくなってくる〉のだ。
昨年、来日したノーベル経済学者のジョセフ・E・スティグリッツ教授は「ISD条項で日本国の主権が損なわれる」と指摘したというが、この言葉通り、TPPはわたしたちのいまの生活を悪化させるだけでなく、憲法という根底さえも崩す。そう、「TPPは、グローバル企業のロビイストたちが書き上げた世界の富を支配しようとする管理貿易協定」(スティグリッツ教授)でしかないのだ。
このような問題点は国会でも野党が追及、参考人質疑でも専門家から厳しく指摘がなされたが、安倍首相は「TPP協定には、わが国の食品の安全を脅かすルールは一切ない」などと大嘘をつくだけで、同じように山本有二農水相も石原伸晃TPP担当相も納得のいく具体的な説明を一切行っていない。情報開示を求められた交渉記録さえ、いまだ黒塗りのままだ。
国民からあらゆるリスクを隠蔽し法案を強行採決する──特定秘密保護法や安保法制でも安倍首相のそのやり口を見てきたが、またしても同じことが、いままさに繰り返されようとしているのである。
(野尻民夫)
TPP法案が衆院通過 トランプ氏当選翌日に・・・(16/11/10)
https://youtu.be/Ir-8bEGD8tg
【謎】日本だけのTPPが本会議で採決され衆院通過!?公共放送NHKは「うまいッ 抜群に辛くて香り高いしょうが!」 「凄ワザ!紙飛行機で飛距離対決」を放送!?
(健康になるブログ)2016/11/10
http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/24041
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00000044-mai-pol
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認案と関連法案は、10日の衆院本会議で与党と日本維新の会の賛成多数により可決され、衆院を通過した。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/tppnhk-b264.html
このトランプ氏が当選を果たした翌日に、日本の国会が、TPP承認案を衆院本会議で強行採決することは正気の沙汰でない。
しかも、この衆院本会議をNHKはテレビ中継せず、
「うまいッ 抜群に辛くて香り高いしょうが!」
「凄ワザ! 紙飛行機で飛距離対決」
などの再放送を行った。
このようなNHK=日本腐敗協会はいらない!
とほとんどの主権者が判断するだろう。
なぜ日本はTPP採決を急ぐのか?
「米国の批准あり得る」
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2016年11月3日
環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案の衆院特別委員会での採決が二日、延期された。とはいえ、政府が成立を急いでいることに変わりはない。米大統領選では両候補ともTPPに反対している。それなのになぜ急ぐのか。「米国が批准する可能性はないとはいえない」。NPO法人アジア太平洋資料センター(東京)の内田聖子共同代表はそう語る。
(安藤恭子)
内田さんは衆院特別委でTPP反対の立場から参考人として発言している。
「米国のTPP批准はあり得る。オバマ政権が八日の米大統領選から新大統領就任までの二ヵ月間(影響力を失うレームダック期)に議会の承認を得て批准するかもしれない。そうした動きが出てきている」。内田さんはそう指摘する。
注目したのは、米共和党の有力議員で製薬業界と深くつながるハッチ上院財政委員長をめぐる報道だ。
ハッチ氏はバイオ医薬品の臨床データ保護期間をめぐり、TPP参加十ニカ国が「実質八年」で合意したことに反発。米国と同じ十二年を主張してきた。保護期間が長いほど、ジェネリック薬品(後発薬)が作れなくなり、新薬を開発する米業界の利益につながるためだ。
ところが米通商専門誌は先月二十八日、ハッチ氏とオバマ政権がこの問題で合意したと報じた。ハッチ氏は「(議会で)批准に協力してもいい」と述べ、日本を含む参加国に交渉スタッフを派遣したという。
先月中旬には、米農務長官がTPPの年内批准について楽観的な見通しを述べるなど、TPPをオバマ氏の「実績」につなげる動きが相次いでいるという。
米有力議員 オバマ政権に「協力」の報道
米国では、北米自由貿易協定(NAFTA)後の大量失業の教訓や、TPPの経済効果は限定的とみる米政府の試算から反対の世論が強い。内田さんも米国での批准のハードルの高さは認めつつ「ハッチ氏のような動きは、企業側が政府に自分たちの要求をのませる代わりに『レームダック批准』への協力を持ち掛けている表れでは」とみる。
TPPの発効は、参加国の国内総生産(GDP)の合計の八割近くを占める日米の批准が前提だ。内田さんは「安倍政権がいち早くTPPを承認すれば、その動きはTPPを批准したいオバマ政権に対して追い風になる」と、成立を急ぐ日本側の意図を推測する。
対オバマ政権だけではない。十一の関連法案の中には、著作権の保護期間を五十年から七十年に延長し、権利者の告訴がなくても捜査当局が著作権侵害を摘発できるようにする著作権法改正案が含まれている。
関連法案はTPPが発効した時点で効力を持つとの条件がついている。だが、政府側は十月のTPP特別委での答弁で、現時点では発効に先立って関連法の改正をするつもりはないとしながらも、「一般論としては、TPPの発効を待たずに著作権法の改正を行うか否か、あらためて検討する」と含みを持たせた。
内田さんは「米国の批准がなくても改正される恐れがある。同案には創作活動を萎縮させるといった批判も強い」と懸念する。
採決をめぐる攻防は大詰めだが、内田さんは「TPPは貿易自由化に向けて、内容が変わり続けるエンドレスゲームだ。農業や食の安全、医療、保険共済などさまざまな分野で規制緩和を求められる恐れがある。米国が批准する以前に、日本側が『配慮』する可能性がある。水面下で何か起きているのか、注視していく必要がある」と話した。
Congress “Don’t Duck Democracy!”NoTPP!
「レームダック期の議会採決は絶対にさせない!」
そもそも総研 2016年11月10日
トランプ氏勝利 TPPで日本は得する?損する?
https://youtu.be/j8OyCQIiG-k