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米軍が1960年代、ベトナム戦争のゲリラ戦訓練などのために沖縄本島の米軍北部訓練場に設置した通称「ベトナム村」において高江の住民をかり出し、ベトナム人の格好をさせ、ベトコンを探し出して捕まえる訓練を行った。
『標的の村』劇場予告編
https://youtu.be/rJcJSZJ4qoI
日本にあるアメリカ軍基地・専用施設の74%が密集する沖縄。5年前、新型輸送機「オスプレイ」着陸帯建設に反対し座り込んだ東村(ひがしそん)・高江の住民を国は「通行妨害」で訴えた。反対運動を委縮させるSLAPP裁判だ。わがもの顔で飛び回る米軍のヘリ。自分たちは「標的」なのかと憤る住民たちに、かつてベトナム戦争時に造られたベトナム村の記憶がよみがえる。10万人が結集した県民大会の直後、日本政府は電話一本で県に「オスプレイ」配備を通達。そして、ついに沖縄の怒りが爆発した。
2012年9月29日、強硬配備前夜。台風17号の暴風の中、人々はアメリカ軍普天間基地ゲート前に身を投げ出し、車を並べ、22時間にわたってこれを完全封鎖したのだ。この前代未聞の出来事の一部始終を地元テレビ局・琉球朝日放送の報道クルーたちが記録していた。真っ先に座り込んだのは、あの沖縄戦や米軍統治下の苦しみを知る老人たちだった。強制排除に乗り出した警察との激しい衝突。闘いの最中に響く、歌。駆け付けたジャーナリストさえもが排除されていく。そんな日本人同士の争いを見下ろす若い米兵たち……。
本作があぶりだそうとするのは、さらにその向こうにいる何者かだ。復帰後40年経ってなお切りひろげられる沖縄の傷。沖縄の人々は一体誰と戦っているのか。抵抗むなしく、絶望する大人たちの傍らで11才の少女が言う。「お父さんとお母さんが頑張れなくなったら、私が引き継いでいく。私は高江をあきらめない」。奪われた土地と海と空と引き換えに、私たち日本人は何を欲しているのか?
http://hyoteki.com/
本格報道INsideOUT<シリーズ・映画で戦争を考える>
「標的の村」
http://dai.ly/x137rr3
沖縄・東村 怒りの高江
参院選の審判無視 翌日から資材搬入
米軍ヘリパッド建設強行狙う
(しんぶん赤旗)2016年7月16日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-16/2016071601_01_1.html
参院選で改めて「辺野古新基地ノー」「オスプレイ反対」の沖縄の民意が明確に示されたにもかかわらず、安倍政権は、沖縄県東村高江(ひがしそんたかえ)の米軍ヘリパッド(着陸帯)建設工事を月内にも強行する構えです。投票日翌日の11日以降、反対する地元住民らを強制排除して工事用資材の搬入を続けています。週明けには全国の機動隊約500人を投入しようとしており、現地住民らは、支援を訴えています。
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高江 米軍ヘリパット 5日連続資材搬入に抗議
ウチナーンチュは負けぬ
(しんぶん赤旗)2016年7月16日
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機動隊大量投入計画も
米軍ヘリパッド(着陸帯)建設が強行されようとしている沖縄県東村高江(ひがしそんたかえ)の米軍北部訓練場のメインゲート前では、15日も建設に反対する住民らの抗議の座り込みが続きました。
午前6時、機動隊員約60人が県道に広がり住民ら十数人の抗議行動を抑え込み、沖縄防衛局が工事用資材を搬入しました。プレハブの資材や容器、タンクなどを積んだ大型トラックや工事関係車両など約50台が基地内に入りました。資材搬入碍1111日から5日連続と
なります。
住民らは、「高江の森を守ろう」「ウチナーンチュ(沖縄県民)は負けない」と声を上げ続けました。
ゲート前の県道わきには機動隊が車両を止め、抗議行動を妨害するように柵が設置されています。週明けにも全国から機動隊が大量投入される予定で、住民らは警戒を強めています。
同村高江に住む清水亜生さん(36)は、ヘリパッドを使用する垂直離着陸機オスプレイの騒音と低周波がひどく、睡眠障害で体調を
崩し、ずっと風邪気味だといいます。5ヵ月の息子も運日の飛行で眠れず、泣いて嫌がっています。
「昨日も夜9時から1時間、飛び続けていました。落ちてくるのではないかと恐怖を感じ、ストレスになっています」と清水さん。「自然豊かで子どもの成長にもいい環境なのに、このままでは人の住めないところになってしまう。沖縄に住んでいる人の人権を考えてくれないのか]と声を絞り出すように訴えました。
現場に来て見てほしい
日本共産党東村議伊佐真次(まさつぐ)さん
機動隊を大量動員するのは今回が初めてで、何がなんでもヘリパッドを造ろうという圧力を感じます。山奥の見えにくいところでやりたい放題。県民の民意は無いに等しいのでしょうか。
米軍機の騒音がひどく、事故の危険も常につきまとっています。沖縄を犠牲にしてでもアメリカに顔を立てるためにこんなに異常なことをやるのが安倍政権だということを全国の人にも知ってほしい。これを許せば全国でもこうした無理強いをしてくるでしょう。
資材搬入がどんどん行われています。非暴力の抗議行動を続けるには多くの人数が必要です。是非、無理のない範囲で高江に支援に来ていただき、現場を見てほしいと願っています。
解説
住民を標的どこが「軽減」
沖縄県内最大の演習場である米軍北部訓練場(国頭村・東村、約78平方㌔㍍)の高江集落周辺で、同演習場の約40平方㌔㍍返還の条件として計6ヵ所のヘリパッド(すでに2ヵ所完成)建設が狙われています。
安倍政権が高江で強行姿勢を強めているのは、辺野古新基地建設が進まない下で北部訓練場「過半」の返還が実現すれば、全国の米軍専用基地面積の74%が沖縄県に集中するという現状が数字上は改善し、「負担軽減」をアピールできるからです。
また、辺野古の工事と同時並行で進めることで、抗議行動の分断を図る狙いもあるとみられます。
しかし、「負担軽減」どころか、日常的に住民を標的にした訓練が横行しているのが実態です。海兵隊員が民家に向かって銃を構えている姿もしぱしば目撃されています。
1996年のSACO(日米特別行動委員会)合意以来の日米両政府の狙いも、「負担軽減」ではなく、基地の再編・強化が主眼でした。北部訓練場は98年には正式名を「ジャングル戦闘訓練センター」(JWTC)に改称され、対ゲリラ訓練やヘリの超低空飛行、兵士のつり下げ飛行などあらゆる戦闘訓練の拠点となっています。
さらに、防衛省の2012年の内部文書からは、自衛隊との共同使用が検討されていることも判明しています。横田基地(東京都)へのCV22配備や辺野古新基地とも連動し、今後は国内オスプレイの一大訓練拠点になる可能性もあります。
小中学生騒音゛気になった”77% 東村でアンケート
琉球大工学部渡嘉敷准教授調査
東村ではヘリパッド2ヵ所が米軍に先行提供されてから「音環境」が急速に悪化しています。琉球大学工学部の渡嘉敷健准教授は今年4月、同村内の小学校4~6年生と中学校1~3年生を対象にアンケートを行い、その結果について14日、東村役場で報告会を行いました。アンケートは94人から回答を得、回収率は93%。
「学校で遊んでいるときや授業を受けているときに飛行機やヘリコプターの音が気になったことがありますか」の問いに、「よくある」39%、「ある」38%、「あまりない」19%、「ない」は4%でした。
「オスプレイの音を聞いて怖いと思ったり、嫌な気持ちになったことがありますか」の問いには、「よくある」6%、「ある」34%、「あまりない」24%、「ない」36%。
自由記述では、「いつも飛んでいるときに落ちてきそうで怖い」「うるさくで寝られない、家の上は飛ばないでほしい」「夜10時頃よく空を飛んでいるのでうるさい」「うるさくて授業に集中できないことがある」などと訴えています。
渡嘉敷氏はアンケート結果について「夜間遅くまで訓練を行っていることで、児童生徒の睡眠が脅かされていることを、調査の自由記述から知ることができた。学校周辺の音環境はとても悪化していると考えられる」と分析しています。
陸上自衛隊の特殊任務部隊が米海兵隊の戦術を観察・ジャングル戦闘訓練センター(沖縄・北部訓練場)の共同利用を検討
https://youtu.be/Xy8RnQz9umA
琉球諸島の将来に関する日本の天皇の見解
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テレメンタリー2012標的の村
国に訴えられた東村・高江の住民たち
https://youtu.be/raJ8vTr8r4c
事故が多発しているアメリカ軍機「オスプレイ」の着陸帯が自宅のすぐ近くに建設されると聞き、やめてくれと声を上げた沖縄県東村・高江の住民たち。6人の子供を抱える安次嶺現達さんは「住民の会」を作って座りこんだところ、国に「通行妨害」で訴えられてしまった。
国が、国策に反対する住民を訴えるという前代未聞の裁判。
反対意見を封じ込めることを目的に権力のある側が個人を訴えることをアメリカではSLAPP裁判とよび、多くの州で禁じている。しかし日本にその概念はなく、被告にされた高江の住民らは3年半に及ぶ裁判の間、資金も時間も奪われ身体的・精神的な苦痛を強いられた。沖縄の住民運動が最後の抵抗手段にしてきた「座りこみ」。それを「通行妨害」に矮小化して住民を裁判にかける手法が成立するなら、国に都合が悪い沖縄の声はますます封殺されてしまう。
人口160人の高江集落はアメリカ軍のジャングル訓練場に囲まれている。頭上では日常的にヘリが旋回し、住民らは「まるで自分たちがターゲットだ」と憤慨する。
それは消して大げさではなかった。実際にアメリカ軍は、高江区民を標的に訓練をした知られざる歴史があった。ベトナム戦当時、沖縄の山岳地帯に襲撃訓練用の村が作られていた。その「ベトナム村」に近くに住む高江の住民たちが連行され、ベトナム人役をやらせられていた。
現在建設予定の6カ所のヘリパッドも、ちょうど集落を取り囲む配置になっており、そこにオスプレイが来ることも明らかになった。住民らは、高江をさらに標的にするような基地建設は許せないと、(※2012年)10月のオスプレイ配備に向け、正念場の座りこみを続けている…。
米軍「対ゲリラ戦」訓練で県民を徴用
新川区民を狩り出す
(人民)1964年9月9日
激化する演習で荒らされる山村
敗北につぐ敗北をかさね、もはや南ベトナムから追い出されるのは時間の問題となっているアメリカ帝国主義は、その侵略拠点となっている沖縄で必死になって戦争拡大の演習を強化しているが、日本国民である県民をかれらの対ゲリラ訓練にかり出すという重大行為に出ている。これはアメリカの19ケ年にあたる占領支配の中でもかってなかったことであり、県民を直接侵略戦争の「協力者」に仕立てるもので、重大な問題であるとして県民各階層の間に激しい怒りの声がわきおこっている。
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米第3海兵師団は、8月26日東村高江-新川の対ゲリラ戦訓練場で、ワトソン高等弁務官、在沖第3海兵師団長コリンズ中将の観戦のもとに、「模擬ゲリラ戦」を展開した。この訓練には乳幼児や5,6歳の幼児をつれた婦人を含む約20人の新川区民が徴用され、対ゲリラ戦における南ベトナム現地部落民の役目を演じさせられた。作戦は米海兵隊1個中隊が森林や草むらに仕掛けられた針や釘のワナ、落とし穴をぬって「ベトコン」のひそむ部落に攻め入り、掃討するという想定のもとに行われた。
その日、米軍は新川区からつれてきた人々を、南ベトナム現地民の住む家として作った茅葺き小屋におしこめ、その中に仮想ベトコン2人を潜伏させた。また、彼らは南ベトナムに似た状況を作り出すためにあらかじめ部落から山羊を借りていき、小屋の周囲にこれを放った。「対ゲリラ戦」は50人の海兵隊員が彼らを悩ましている「ベトコン」2人を捉え、筋書どおりの「成功」をおさめて終わった。
以上が実戦さながらの情況のもとで行われた「対ゲリラ戦」の模様である。さて、それでは問題化している新川区民の訓練への駆り出しはどのようないきさつをだどって行われたのであろうか。
中略
「ねえさん出せ」と放火
新川区民をはじめ山に依存して生計を立てている東村の人々は、山林の中に雨露をしのぐための小屋をつくっている。「対ゲリラ訓練場」の司令官(少佐)は自らヘリコプターを操縦、小屋をめがけて焼夷弾を投下し焼き払った。これは南ベトナムにおけるナパーム弾、焼夷弾投下を地でいく訓練である。焼夷弾はさいわい、部落民が入っていた小屋に命中せず、側にそれたので、中にいた人々は九死に一生を得たと話している。
山の中には夜となく昼となく、米兵が潜伏しているため、婦人たちは一人ではもちろん、少人数で山に出かけることはできない。婦人たちは必ず、7、8名、10名ずつ組を組んで薪とりに行く。昨年9月頃、10名組の婦人たちが山に着いたとたん、偵察飛行中の米機がこれを発見し、まもなく訓練場から米兵たちがやってきて逮捕した。米軍では「訓練場に拾い物をしに入ったから捕えるのだ」といっていたが、これは明らかに口実であった。いうまでもなく彼女たちが捕えられたところは米軍のいう立入禁止区域ではなく、普通の国有林だった。このように米軍は高江の住民を本当のゲリラとみなして、これを対象に対ゲリラ戦訓練を行っているのである。
それだけではない。彼らは婦女子を恥ずかしめようとしたり、区民の家を焼き払ったり、農作物を盗んで食べるなど幾多の悪事を働いている。さらに6月の下旬、高江-小浜の上に火事がおこり、江洲義仁さん所有の三間四方の空家が全焼した。
この日午後8時頃江洲さんの家屋に隣り合わせの石原昌亀さん(62)のところに米兵3人があらわれ、「ねえさんを出せ」とせまった。石原さんが「ねえさんはいない」と答えると、「ノー、ねえさんある。ウソ!」といって、家の後ろにまわり、火を放ったのである。かれらは放火しても逃げはせず、近くの空家の床下に隠れていた。
小浜の上の部落には戦後、約9軒の家があったが、交通の不便、物騒であることなどの事情により、次々と引き上げ、事件のあった頃には石原さんと高里盛保さん(32)の家がわずかに2軒残っていただけだった。米兵は高里さんの妻カズ子さんを狙って襲ってきたのである。さいわい、30分後には新川区民が救援にかけつけたため、類焼を防ぎ、その他の被害も食い止めたわけである。
この事件でこの部落にはこれ以上住めないというので石原さん夫婦はコザ方面に出稼ぎに出ている子どものところへ、高里さんは新川にいる親戚の家に間借りし、それぞれ引き上げていった。いまや小浜の上部落は人間が一人もいない部落となり、かっては部落民が住んでいた家がそのまま残されその荒廃した姿がアメリカ帝国主義に踏みにじられた沖縄の姿を象徴しているかのようである。
自衛手段とる区民
米軍はまた、パインを盗んで食べたり、狭い道路から車を猛スピードで運行、村の電柱をへし折ったり、県民の車に衝突し、大きな被害を与えるなど、全く戦場と同じ行為をやっている。もちろん、県民に与えた損害に対しほとんど賠償を行っていない。ではこのように言語に絶する蛮行を働いている米軍にたいし新川区民はどう抵抗し、たたかっているのであろうか。
今から約10年前、米第3海兵師団対ゲリラ訓練部隊がきた直後のことである。ある日の晩11時頃、米兵が新川区のある婦人をはずかしめようとした。これに怒った区民は子どもから年寄にいたるまで全員部隊に押し掛けた。区民は婦人をはずかしめようとした犯人の米兵を引き出すよう要求し隊長にたいし謝罪と今後このようなことをしないという保証を求めたが、部隊長は当初区民の要求を一切拒否してとりあわなかった。そこで県民は部隊の前に薪を運び、これをともし、「もし米軍が犯人の米兵を捕え、このようなことは再びやらないという約束をしなければ、われわれは薪をたき、いつまでもがんばる」と宣言、そのとおり実行した。
ついに一昼夜が過ぎ、翌午前11時頃、部隊長が区民の前にあらわれ、「全将兵を整列させ、首実験をすれば誰が犯人であるか、君たちは指摘できるか」と聞いた。区民はいささかのためらいもせず全隊員を整列させるよう要求した。 米兵は整列した。いよいよ首実験だ。何百人という米兵の中から区民は3人の米兵を見つけだし、部隊長につきつけた。米兵は全区民の前で犯行を認めたのであれほど強気だった部隊長も認めないわけにはいかなかった。
結局、部隊長は「今後自分の部下にこのようなことはさせない」と約束させられたたかいは区民の完全な勝利となった。だが米軍は犯人の米兵を罰せず、事件がすんで間もなくすると、彼は再び部隊に姿をあらわしていた。
新川区民はたたかいのなかから自分たちの生命と権利を守る手段を学んだ。すなわち、米兵の悪あがきに反対して団結することを---。それ以来、新川区では米兵が区民に危害を加える場合青年会長の非常招集でまず青年会員が集合、さらに全区民を動員して対処するという自衛手段をとっている。いま、15人の青年会員は何時でも非常事態に応じられるように、その態勢を固めている。
しかしこのように勇敢なたたかいの経験をもつ新川区民の自衛手段にも限度がありいまこそ全県民がベトナム侵略反対闘争の一環として対ゲリラ訓練に抗議するたたかいをくまなければならないときである。
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東京・米軍横田基地変貌
より攻撃型へ
自衛隊との「調整所」で密接に
(しんぶん赤旗)とくほう・特報 2016年2月22日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-02-22/2016022203_01_0.html
在日米軍司令部が置かれ、首都東京に居座る横田基地がいま変貌を遂げようとしています。日米新ガイドライン(軍事協力の指針)や戦争法を実行する米軍・自衛隊の「調整所」が設置されるとともに、特殊作戦機CV22オスプレイの常駐化などで、より“攻撃型”の戦争拠点に変わろうとしています。周辺住民は「戦争の拠点、横田基地はいらない」と声をあげ続けています。
(山沢猛)
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訓練拡大で住民被害増加
「ブオーーン、ブオーーン…」
爆音が頭上から覆いかぶさるように襲い、重い低音が腹に響きます。米軍横田基地所属のC130輸送機の「夜間訓練」は底冷えのするこの日、午後6時15分から始まり、9時までくりかえされました。翼を傾けて、あきる野市の上空をぐるぐる旋回する姿も。
基地から2㌔㍍の同市二宮に住む前田眞敬さん(71)は「低空の時はもっと騒音がひどい。隣のお年寄りは『低空で迫ってくるようで怖い』といっています。わが物顔のやりかたで、市役所にたいし(当局に)抗議するよう申し入れました」と怒ります。
あきる野市は、爆音被害が最も激しい横田基地滑走路(全長3353㍍)の延長線上一帯から外れています。そのため訓練拡大の被害をうけながら、なんの補償もありません。
C130輸送機の夜間、低空、旋回訓練が激しくなったのは、航空自衛隊横田基地が新設された2012年からです。
さらに外来機が激増しています。1月20~26日に、レーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機F22が14機、F16戦闘機6機が飛来したことが、周辺住民を驚かせました。この飛来は防衛省も事前の通告を受けていませんでした。
「横田基地の撤去を求める西多摩の会」の高橋美枝子代表は「ベトナム戦争が終わった後は横田基地は兵たん・輸送基地です。これだけの戦闘機が一度に来たことはありません。横田をより攻撃的な拠点に変えたいという日米両政府の狙いがはっきり見えています」と話します。
オスプレイも特殊部隊も
昨年、米政府が特殊作戦機CV22オスプレイを2017年後半まで3機、21年まで7機、計10機配備し、要員430人を横田基地に常駐させると発表。兵士・乗組員41人の死者を出している危険なオスプレイの配備に、住民は「オスプレイは来るな」という声を高くあげました。
「特殊作戦部隊の訓練の先取り」と住民が警戒するのが、パラシュート降下訓練。2012年1月に、アラスカの部隊の訓練に始まり、その後、沖縄の特殊作戦部隊などが横田で実施。降下人数は15年までの4年間でおよそ2000人にのぼります。
在日米軍研究者の軍事リポーター石川巌さんは「横田に来るCV22の親部隊は、昔から嘉手納基地にある空軍の第353特殊作戦航空群。ここに特殊作戦機MC130コンバットタロン(たたかう猛鳥の爪)など十数機がいる。任務は敵勢力の背後に夜間に潜入し兵士を投入、回収することで、『こうもりネコ』軍団の異名を持つ。CV22はMC130の弟分だ」といいます。
CV22オスプレイは、沖縄に24機いる海兵隊のMV22と機体は同じですが、専門機器をつけています。
石川さんは東富士演習場(静岡県御殿場市)で、オスプレイ訓練通報に反して直前に中止という〝ドタキャン〟が9回も繰り返されたことを体験(2014年9月から翌年6月)。「そのとき富士山麓が雪や悪天候だったのを、自分の目と肌で確かめた」そうです。
その後調べ直した英語文献で「オスプレイは結氷が予想されている地域での飛行は、現在、禁止されている。氷結防止装置が故障しやすく、天候レーダーを持っていないからだ」(2009年米会計検査院リポート)との一節を見つけて「あっ」と声をあげたといいます。その後も、高地や砂漠に弱い、エンジン故障が起きやすいなど〝特異体質〟ぶりがいろいろわかったといいます。
この冬も10月18日以降、冬季の本州には姿を見せない一方、温暖地の長崎県佐世保には12月と1月で4回、のべ6機が飛んできています。
隣接するF35整備拠点化
2014年12月、米政府は、今後主力となるステルス戦闘機F35Aのアジア・太平洋での地域整備拠点(リージョナル・デポ)を、オーストラリアと日本におくと発表。その後、機体の整備は三菱重工業(愛知県の小牧南工場)、エンジンは横田隣接のIHI瑞穂工場(旧石川島播磨重工業)にすると発表しました。
IHIではエンジン組み立てと試運転設備のため地上5階建ての新工場建設中(3月末完成予定)で、専用ゲートもつくられます。
防衛省はF35Aを42機取得予定で、米国の同盟国も導入をすすめており、世界では3000機を超えると試算されています。
昨年9月、日本共産党が暴露した自衛隊内部文書で、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が14年12月訪米時「今回F35のリージョナルデポが日本に決まり…、本件は相互運用性向上のために重要な決定であると認識している。オスプレイのリージョナルデポも置いていただければ」と話していました。
「横田基地の撤去を求める西多摩の会」の寉田一忠事務局長は「整備工場が稼働すれば、アジア・太平洋各地からF35戦闘機が頻繁に飛来することは間違いないだろう」と懸念を表明します。
戦争に組み込む日米同盟
「横田基地は、日本にたいする政治的支配の拠点でもあり、在日大使館・太平洋軍司令部(ハワイ)・在日米軍司令部・自衛隊統合幕僚監部と密接な関係が築かれている」。こう指摘するのは、日本平和委員会代表理事の内藤功弁護士です。
2005年10月、日米安全保障協議委員会(日米2プラス2)が決めた米軍再編計画にもとづき、航空自衛隊横田基地が新設されました(12年)。米軍と自衛隊との「共同統合運用調整所」設置がされ、「平時」から「戦時」まで切れ目なく、米軍と自衛隊が情報を共有し連携する仕組みがつくられました。
在日米軍司令部と中庭をはさんで置かれた自衛隊航空総隊司令部の庁舎地下には「調整所」が置かれ、米軍・自衛隊の要員が対面で任務についています。
「西多摩の会」の高橋代表は「日米同盟の深化が安倍政権によって加速され、それが横田基地にも表れています。2000万署名はじめ戦争法廃止のたたかいを強めるとともに、日本を戦争に組み込む日米同盟そのものの危険性を告発していきたい。住民一人ひとりの平和な世界で生きたいという願いを大切にしていきたい」と話します。
横田に空軍用 海軍も検討
千葉・木更津で日米の「整備」拠点工事開始
オスプレイの”巣”に
(しんぶん赤旗)とくほう・特報 2016年3月16日
垂直離着陸機・オスプレイの「定期機体整備」拠点の工事が、東京湾に面した陸上自衛隊木更津駐屯地内(千葉県木更津市)で始まっています。昨年5月のハワイでの墜落・死亡事故など兵士・乗務員41人の死亡者を出している危険なオスプレイの整備場化に、周辺自治体の住民は「オスプレイはくるな」の声をあげています。
(山沢猛)
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木更津市の渡辺芳邦市長は2日の市議会で、整備・配備中止を求めた日本共産党・佐藤多美男議員の質問に、「現在、工事の準備作業をすすめていると聞いている」と答えました。市内外の2社が防衛省と契約し、駐屯地内の「K格納庫」にスプリンクラーなど消火設備、塗装区画の設置や機械・電気工事の準備作業をしています。工事は12月28日までの予定。経費は日本の負担です。
さらに滑走路近くに耐熱型のホバリング(空中停止)エリアを新設します。
来年から米軍機
整備場が完成すると、沖縄の米海兵隊普天間基地のMV22オスプレイ24機が順次、木更津に来て、1機当たり3~4カ月かけて分解整備を行う、対象は「年間5~10機」です(防衛装備庁)。年間10機なら常時3、4機が木更津に居座ることになります。
米軍の入札で富士重工業が昨年10月定期整備を受注。オスプレイ4機を収容できるK格納庫で分解し故障部品があれば交換・修理したり、排水・廃液をだす塗装も行います。富士重工の前身は戦前の軍需産業・中島飛行機で、戦後、財閥解体の対象になりました。
日米一体を美化
政府はこの整備拠点をどう位置づけているのか―。
安倍首相は1月22日の所信表明演説の日米同盟強化の項で、「沖縄の基地負担軽減」の一つとして「オスプレイの定期整備は千葉・木更津駐屯地で行う」と表明しました。危険な低空飛行を繰り返す24機ものオスプレイを沖縄に押し付けておきながら負担軽減はありえず、米軍機の定期整備拠点を首都圏に固定化することを〝改善〟のように言うのは、主権と国民の安全を無視した態度です。
昨年9月、日本共産党が暴露した自衛隊内部文書では、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長が2014年の訪米時に、米軍最高幹部と会談。そのなかで、安倍内閣で軍事予算が増加傾向にあるため、次期戦闘機F35、無人機グローバルホーク、オスプレイなどの自衛隊導入が決まったと報告するとともに、F35だけでなく「オスプレイのリージョナルデポ(=定期整備拠点)についても日本に置いていただけるとさらなる運用性の向上になる」と要請しました。これが昨年の米軍による木更津整備拠点化の表明につながった可能性は大です。
日本政府が佐賀空港配置を狙い18年度末から導入を開始するV22オスプレイの整備も、米軍と同じ場所でできることを「運用性の向上」といっているのです。
制服組トップが米軍と同じ兵器をそろえ、その定期整備拠点を首都圏にもってくることをお願いするという異常で危険な米国追随の姿が表れています。
住民説明会なく
木更津がオスプレイの整備拠点になれば、来年から沖縄の米軍オスプレイが年間通じて飛来し、整備が終われば周囲で「試験飛行」を繰り返すことになります。しかし、防衛省は市当局に「安全」と説明しますが、住民への説明会は一度も開いていません。
「きわめて不当。おそらく防衛省も自信がないからでしょう」と話すのは、「オスプレイ来るな いらない住民の会」(吉田勇悟会長)事務担当・野中晃さん。「その証拠に、たとえば飛行ルートの説明では、自衛隊と同じく市街地でなく海側上空の経路(場周経路)の使用を『考えている』とか、米軍には周辺に配慮した時間での離発着を『要請する』とか、試験飛行も自衛隊と同じ地域でやるよう『要請する』とか、日本側が考えたり要請しているだけです。そうなる保障を米軍から何もとれていないのではないか」と指摘します。
首都圏はどう変わるのか―。米軍横田基地(東京都)では空軍特殊作戦機CV22オスプレイ部隊の17~21年配備(計10機)が狙われています。
米海軍は空母に搭載できるHV22オスプレイの導入を決めており、横須賀や厚木基地(神奈川県)も配備の対象になりえます。米軍や安倍政権の思惑を許せば、首都圏がオスプレイ(猛鳥ミサゴのこと)の〝巣〟にされる危険が高まります。