自由なラジオ Light Up! 014回
「 沖縄や福島の人たちだけに背負わせて手に入れた「偽りの安全」について考える 」
https://youtu.be/h9w9WDW-S6U?t=17m12s
17分12秒~第014回Light Up! Journal
関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁。 不服として関電が行った執行停止の申し立てを、同地裁は却下
http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-014/
木内みどり:
今日も元京都大学原子炉実験所の小出裕章さんと電話が繋がっています。
小出さ〜ん、今日もよろしくお願いします!
小出裕章さん:
はい。こちらこそ、よろしくお願いします。
木内:
それでですね、目の前に落合恵子さんがいらしてます。
小出さん:
はい。嬉しいです。
落合恵子さん:
はい。よろしくお願い致します。
小出さん:
はい。こちらこそ、落合さん、こんにちわ。
よろしくお願いします。
木内:
まず、ひとつ質問をさせてください。
関西電力高浜原発3号機、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定を不服として、関電が行った執行停止の申し立てについて、6月17日同地裁は却下する決定を出しました。まず、こちらについて小出さんご感想を。
小出さん:
私は日本の司法、裁判というものに絶望していまして、少なくとも原子力に関する限りは、期待をかけないということをしてきたのですが、今回の決定、また「高浜3号機、4号機を動かしてはならない」という決定を出してくださったわけで、大変ありがたく思いました。ただ、今回の決定を出してくださったのは山本善彦裁判長で、彼は既にご自分で仮処分の決定を出して、高浜を動かしてはならないと言ってくださった方ですので、こういうことになるだろうなとは思っていました。
木内:
はい、ありがとうございます。
今日は、落合さんがいらっしゃるので、落合さんと小出さんについて話を繋げたいなと思っているんですけど。と言いますのは、このラジオを聴いてらっしゃる方は、小出さんの発言をずっと聴きたくて、ずっと聴いてた方が今も聴いていらっしゃると思うんですね。原子力を止めたい、危ないんだということをおっしゃった小出さんを片や知りつつ、片や落合恵子さんも事故前からずっと運動をされていて、この2人が今日一緒だっていうことは、ちょっとやっぱり両方のファンとしては特殊な瞬間なので、私としてはその辺りをお伺いしたいと思うのですが。
まず、小出さんが41年も前から原子力は危険だとおっしゃっていて、落合さんも事故前から…事故の何年ぐらい前ですか?
落合さん:
そうですね、チェルノブイリの原発事故の後ですね。その前のスリーマイル島の時は、秘密のプライベートのフィルムを米国の活動家から頂いていて、それを見た瞬間にやっぱりおかしいと思い、そしてチェルノブイリ以降は特にそう思ったのですが、これは私の中の何かが緩んでしまったか、もちろん力がなかった結果ですが、原発は止められないし、気がつけば福島にいってしまった。そのことが私の中でとっても大きな、何と言ったらいいんでしょうね、罪のようなもの、意識があって。だから、今度はもう後戻りはもちろんしないっていうこと。そして、小出さんと私は、存在はもちろん知っていました。
木内:
それは生まれた時から知っているわけではないですから。小出裕章さんの発言とか本とか、なんかこうちょっと知るきっかけがあったと思うんですけど。
落合さん:
私が大変信頼をしている新聞の記者の人とか雑誌記者の人達、皆さんから小出さんのお名前はずいぶん前からお聞きしてたんですね。それで、私が直接、小出さんという存在と向かい合ったのは2011年の4月、十三での講演会をされてたんですよ。それで私は他の仕事で行っていて、小出さんの講演会があるということで入れなかったのね(笑)、それで並んだんですが。
木内:
小出さん、そのこと覚えていらっしゃいますか?
小出さん:
もちろん覚えています。
落合さん:
ありがとうございます。
小出さん:
落合さんが来てくださったんですけど、会場に入って頂けなくて、1階下の階にスクリーンで映写するというような部屋を主催者が作ってくださって、そちらに落合さんがいてくださいました。終わってから、私、落合さんにご挨拶できて本当にありがたいと思いました。
落合さん:
でも、私、その前から「種まきジャーナル」もちろん知ってまして、大阪の友人が録って送ってくれてたんですね。ですから、いっぱいその時も勉強させて頂きました。
木内:
その時に名乗り合ってというか、知り合いにもなって。
落合さん:
そうです。私がやってますクレヨンハウスからも、小出さんのお話や思想、姿勢をある意味で聞き書きのような形ですが、本を出させて頂いたこともありますしね。ずっと、どういう風に言ったらいいのかな?「いて下さってありがとうございます。学ばせてください」そんな気持ちが続いてます。
木内:
小出さんにとって落合さんというのは、それまでも原子力はダメだとかいう運動をしてらした男性も女性もたくさんいたと思うんですが、そういう女性達の中で、落合さんというのは飛び抜けた存在だったと思うんですけど。古くから活動してらっしゃる女性を傷つけないように経由して頂くとしたら、落合さんがどのように今までの活動をしてらした方と違ったかというのを教えてくださいませんか?
小出さん:
落合さんがですね、もちろん原子力に対しても反対してくださっている訳ですけれども。彼女は、もともと子供達の絵本を作るという活動をずっと続けてきてくださっていた。そしてその中から、憲法を大切にしようであるとか、沖縄の問題に関わるであるとか、非常に原則的なことをやってきた方です。そして彼女は、それら全てが繋がっているんだと、原子力も含めてですね、繋がっているんだということをしっかりと発言してくださって、それをときどき原発的なもの、原発的な社会という風な言葉で呼んでくださっていて、私は、「あっ、本当にそうなんだな。ありがたいことだ」と思ってきました。
木内:
ありがとうございます。あんまり時間がないんですけれども、今日、こうして落合さんをゲストに迎えて、私がラジオのパーソナリティをやっていて、電話で小出さんと繋ぐ、一緒にしゃべれるなんてことが、こんなことが起きるんだなと、やっぱり人生諦めちゃいけないなと。嬉しい事起きますね。
落合さん:
私が昔20年ぐらい前番組を作っていて、そこに例えば青森県で「核燃まいね、核燃は嫌だよ」という活動をしている当時は若い女性、お母さんだった人に出ていただいて、その方と何十年ぶりに再会してみると、その方達が小出さんがおっしゃってこられたことを学んできた。どっかでね、木内さんともそうですが、1つの意識を持って歩いていくと繋がっているっていうことをとても感じますよね。
木内:
ありがたいことです。
本当に聴いていてくださるリスナーの方も、ずっと小出さんを追いかけて、落合さんを追いかけて、それでたまたま私がパーソナリティをしているところに、落合さんがゲストで小出さんが出るということで本当に楽しみに聴いてくださっている。あなたも今日はラッキーですよね!本当に嬉しい嬉しい時間でした。はい。小出さんありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。今日はとても楽しかったです。
落合さん:
ありがとうございました。嬉しかったです。
木内:
今度、3人で飲みましょうね!
小出さん:
そうですね、そう願いたいです。
落合さん:
よろしくお願いします。
木内:
ありがとうございました。
そもそも福島の支援法が骨抜きになっているのではないか?
http://dai.ly/x17hs0k
自由なラジオ Light Up! 015回
「「国策紙芝居」を知っていますか? 人気メディアを巧みに利用して幼い心を洗脳していった国家権力の恐怖」
https://youtu.be/nczokaePJ7k?t=20m16s
20分16秒~第015回Light Up! Journal
核のゴミを佐賀県玄海町が受け入れ?どうなる原発の高レベル廃棄物
http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-015/
西谷文和:
今日のテーマは、「核のゴミを佐賀県玄海町が受け入れ? どうなる原発の高レベル廃棄物」と題してお送りしたいと思うのですが、今中さん、これどういう風に感想をお持ちです?
今中哲二さん:
私、細かい話は調べてませんけども、海の底って言うんですよねえ。
西谷:
海の底ですよねえ。はい。
今中さん:
やっぱり海の底はマズイでしょうし、日本でそんな掘って、ずーっと何百年も何万年も安定してるようなとこがあるとも思えませんし。はい。
西谷:
地震国ですからねえ。
今中さん:
はい。
西谷:
まさに熊本で地震が起こってる今に、佐賀県で受け入れるなんていうのはねえ。
ちょっとおさらいをしますけれども、日本の場合、原発から出る使用済み核燃料棒、これを高レベル廃棄物と呼んでいるんでしょうか?
今中さん:
原子炉の中でウランが核分裂を起こしますよね?
西谷:
起こしますよね。
今中さん:
核分裂連鎖反応。
そして、そこで核分裂で起きてできる物、我々の言葉で言えば核分裂生成物ですね。これが非常に放射能強いんですよ。西谷さん、「死の灰」っていう言葉ご存知だと思うんですけれども。
西谷:
はい、死の灰。
「死の灰」第五福竜丸船体または設備などに付着したもの
今中さん:
要するに、核分裂でできた「死の灰」が原子炉の燃料棒の中にどんどんどんどん溜まっていくという事です。
西谷:
という事はですね、同じ核燃料と言われるものでも、その使用前はまだそれほど出てないけど。
今中さん:
そうですね。使用前の核燃料でしたら私も見たことありますし、近づいて測定したことあると思いますけども。皆さんちょっと単位は分かんないと思いますけども、使用前の新燃料ですよね。新燃料の目の前で放射線量を測っても、いわゆる数マイクロシーベルト。
西谷:
数マイクロ?
今中さん:
はい、1時間あたりね。
西谷:
という事は、今の福島で…
今中さん:
福島の高い所。
西谷:
高い所ぐらいですよね、はい。
今中さん:
それが、たぶん核分裂して出してくると、それの1億倍ぐらいになるから。
初期の使用済み核燃料の表面線量は約100000Sv/hr(10万Sv/hr)
西谷:
核分裂したら、使用後は1億倍になるんですか?!
今中さん:
ええ、私ちょっと計算したことありますけども、1億倍をもっと超えると思います。一番放射能の強い「死の灰」とかいう部分は、いわゆるガラスで固めるというやり方なんですよ。
西谷:
ガラス固化体にするということですねえ。
今中さん:
そうそう。これも高レベル廃棄物です。はい。日本の一応方針は、全部再処理してガラス固化体を処理するという。地下に埋めるという方針にはなってます。
西谷:
このガラス固化体というのは、人が近づくと十数秒で死に至ると……これ本当ですか?
今中さん:
本当です。まさか本当にそんな事をやった人はいませんから。計算上は、それくらいにはすぐなると思います。裸の場合ね。
西谷:
裸の場合。そうですか。日本の場合、そういう物凄い危険なものを300メートル~1キロの穴を掘って埋めるということなんですが、仕方がないですか?
今中さん:
結局、昔の原子力安全委員会とか基礎委員会もそうですけども、要するに、「埋めたら10万年、20万年大丈夫ですよ」というような見積りなんかやるわけですよね。私には、その話苦手なんですよ。というのは、そんなもん10万年先、20万年の先、この地球がどうなってるか、日本がどうなってるか、人類がどうなってるか分かんないのに、そんな保障もしようがないでしょ、ということですね。それで、まず一番最初に確認しなきゃいけないのは、とにかく「これ以上、高レベル廃棄物、使用済み燃料を増やさない」。これが、まず第一の確認です。
西谷:
そうですよね。「これ以上増やさない」。という事は、再稼働させないことですね?
今中さん:
そうですね、もちろん再稼働させないし、これまでに日本で溜まった高レベル廃棄物あるわけですよねえ。これは、やっぱり何とかしなきゃいけない。これについてはやっぱりみんなで議論して、じっくり考えていくしかないですねえ。皆さん詳しくないから、あんなもんなんかしたら核変換とかいろんな話がいっぱい出てきて、いかにも科学技術で消せるようなことを言ってますけども、そう簡単ではないです。
オメガ計画 - Wikipedia
西谷:
そうですか。なんか物凄く暗い気持ちになるんですけど。
今中さん:
そうですね。多分ね、原子力を始めた人達は、いずれ何とかなると思ったんでしょうけども。何とかならない状態で、どんどんどんどん増えていってるわけですよね。
西谷:
それで、なんかまた過疎の村、貧しい村に、またこれを押し付けるなんて、これが一番許せないと思うんですが。
今中さん:
そうですね、はい。
西谷:
もう本当に原発は矛盾だらけ。そして、その格差の問題も絡みますよねえ。
今中さん:
そうですね、はい。
西谷:
本当に原発が問題を絡んでるところがよく分かりました。今中さん、どうもありがとうございました。
今中さん:
はい、どうも。
「核のごみ」どこへ
「沿岸海底下」が浮上
(東京新聞【こちら特報部】)2016年2月4日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016020402000134.html
原発から出る「核のごみ」を廃棄する最終処分場の受け入れ先が見つからない中、経済産業省は海底下に処分場を造り、廃棄することを真剣に検討し始めたようだ。海底下であれば、地権者はいない。だが、陸地の地下に埋めた場合でも放射性物質が漏れ出し、汚染が広がることが懸念されている。海底に埋めた場合、海が汚染される可能性があるが、大丈夫なのか。
(中山洋子、白名正和)
「沿岸海底下」が浮上
経済産業省資源エネルギー庁は先月、核のごみの処分を議論する新たな有識者会議を設置した。名称は「沿岸海底下等における地層処分の技術的課題に間する研究会」。エネ庁の担当者によると、名称中の「等」には、「海底下と言うと沖合のイメージが強いが、いわゆる波打ち際も検討するという意味がある」という。
核のごみの最終処分場のイメージはこうだ。地上に管理棟などの施設を設け、その地下を三百メートルより深く掘り進め、地下空間を造って埋める。
担当者は「沿岸部の場合、地下の最終処分場は施設の直下だけでなく、陸地から海底に向けて斜めに坑道を掘って造ることもありうる。研究会では、その場合にどんな課題があるかを洗い出す。『海底下』はあくまで選択肢の一つ」と強調した。
研究会の名称から、最終処分場を「海底下」に絞ったかのような印象を受けるが、担当者は直ちに「違います」と否定した。
では、どこに造られるのか。経産省は現在、最終処分場に適した「科学的有望地」を選定中だ。
火山から十五キロ以内、活断層周辺、地盤が軟弱、鉱物資源が見込まれる地域などを原則除外。それ以外を適性のある地域とし、海岸から二十キロ以内は「より適性の高い地域」とする。運搬中の事故や住民の被ばくリスクを考慮し、核のごみは海上輸送がメーンとなるからだ。
経産省の放射性廃棄物ワーキンググループ委員の一人で、原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「『海底下』に最終処分場を造ることは、以前から検討されてきた。だが、陸地の活断層については、一九九九年に核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)が安全評価のリポートを発表しているものの、海底についてはない。海底の断層はわかっていないことが多い」と指摘する。
その上で、「ここに来て、『海底下』を前面に出してきたのは、技術的な難しさとてんびんにかけても、反発が強い陸地よりやりやすいと判断したからではないか」と推測する。
もともと、最終処分場の選定は公募方式で進められたが、うまくいかず、「科学的有望地」を提示する現行方式になった。二〇〇七年に高知県東洋町からあった応募は、町民の反発で推進派町長が落選し、白紙撤回となっている。
核のごみ廃棄に対する自治体の警戒感は強い。共同通信の昨秋の調査では、全都道府県のうち、十三府県が「候補地に選ばれても一切受け入れる考えがない」と拒否し、八道県が「受け入れは難しい」などと否定的な姿勢を示す。
土地取得のハードル低く
経産雀は「海底下」の利点について、「基本的に公有地のため、土地利用に関する制約が小さい」などと説明する。公有地であれば、地権者との協議はいらない。首長の同意は必要だろうが、最終処分場設置へのハードルは陸地より低い。
陸地より調査に手間と金
放射性廃棄物の地層処分に詳しい藤村陽・神奈川工科大教授(物理化学)も、「海底下」の安全性について、活断層に関する文献は少なく、陸地よりも調査が難しいと指摘する。さらに、「ボーリング調査や地下施設を追って行う調査でも、陸地の地下より手間もカネも時間もかかる」。
そもそも、陸地の地下であっても地層処分には課題が多いという。埋める核のごみの主なものは、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体だ。隔離する期間は十万年以上だから、何度も地震が起きる。覆っている金属製容器、粘土の緩衝材が壊れる危険性がある。
「ガラス固化体が地下水に触れるとガラスとともに、放射性物質が地下水に溶け出す可能性がある。地下水の流れに乗って地表に出てきて、人が放射性物質を体内に取り込む恐れがある」
埋めるという処分自体にも一長一短がある。「空気と触れないため、金属容器の腐食を防げる。半面、ガラス固化体に異常が起きても近づけず、対処が難しい」(藤村氏)
どう対処するのか。エネ庁の担当者は「地層処分の安全規制は定まっておらず、原子力規制委員会がこれから決める」と話した。規制委に取材すると、担当者は「詳細の議論はしておらず、今後の検討課題」と説明した。
藤村氏は、ほかにも問題があると話す。地層処分では、低レベル廃棄物も埋めることが検討されているという。ヨウ素129や炭素14などだ。ガラス固化体のように固めずに廃棄するため、より地下水に溶け出す可能性がある。ちなみに、半減期はヨウ素129が約千五百七十万年。炭素14はそれよりは短いが約五千七百年だ。
海の汚染 消えぬ懸念
海底下に最終処分場を造れば、放射性物質が漏れ出す先が海になる危険性が高まる。海産物が放射性物質で汚染される恐れがあり、漁業への影響は大きい。
東京電力福島第一原発事故で大きな被害を受けた福島県相馬市の男性漁師(六五)は「原発事故での漁業へのダメージを考えると、海底下に処分揚を造るなんて話は、日本のどこの漁業者にとっても受け入れられない。絶対起きないと言われていた原発事故が起きた以上、海底下の処分揚の安全性も完全に信じることはできない」と語った。
「もしかしたら、福島第一原発の近くに造るということになるんじゃないか。せっかくうまく行きかけている漁業の復興が駄目になってしまう」
「万々歳の選択肢はない」
もちろん、懸念される問題が起きるとは限らない。藤村氏は、推進する側の説明が足りないことを問題視する。「問題が起きないように頑張る、という言い分は、原発事故前の『安全神話』と同じだ。地上だろうが地下だろうが、核のごみの最終処分に、万々歳という選択肢は存在しない。それでも、既に発生したごみをどう処分するか。覚悟の上での国民の合意が必要だ」
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続き、関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)が先月、再稼働した。使用済み核燃料がまた増える。最終処分揚が決まらず、再処理事業がうまく進まなければ、いずれ原発内の燃料貯蔵プールは満杯になる。
ドイツ:アッセ核廃棄物貯蔵所に浸水:二進も三進もいかない核のゴミ
https://youtu.be/-3Ur6FxmVKo
原発という「麻薬」
玄海町・最終処分場問題
(東京新聞【こちら特報部】)2016年5月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016051002000146.html
九州電力玄海原発のある佐賀県玄海町の岸本英雄町長が先月下旬、高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設をめぐり、国との協議に前向きな発言をした。町長はその後、発言をトーンダウンさせたが、背景には玄海原発1号機の廃炉に伴う町財政の減収が透ける。原発依存という「麻薬」だ。一方、国は九日の東京を皮切りに、最終処分場の必要性を訴えるシンポジウムを全国で開き始めた。
(池田悌一、沢田千秋)
最終処分場撤回せず
岸本町長が最終処分場の受け入れに前向きな姿勢を示したのは、先月二十七日のことだった。
「こちら特報部」は九日、あらためて町役場で岸本町長に真意を聞いた。
町長は「自ら手を挙げるつもりは、いまのところ全くない」としつつも、「国が玄海町を最終処分場の適地と判断し、調査を要請してくれば、協議に応じ、住民にも説明する。町民も原発には一定の理解がある。国のエネルギー政策には協力したい」と話した。
高レベル放射性廃棄物は原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムなどを取り出した後の廃液。これをガラスと混ぜて「ガラス固化体」にする。これが無害化するまで、数万~十万年の間、生活環境から隔離する必要がある。その隔離場所として、地下三百㍍より深い地層の岩盤に埋める(地層処分)方式を採用する計画だ。
岸本町長は「中山間地域の玄海町は平地が少なく、リアス式海岸で海底が浅いため大型輸送船は入りづらい。処分場には適さない」と言うが、九電の広報担当者は「玄海原発付近の地層は二百万年動いておらず、安定している」と語る。
岸本町長は二〇〇六年八月に就任。一二年に、町長の実弟が社長を務める建設会社「岸本組」(佐賀県唐津市)が○五~一一年度にかけ、電源立地地域対策交付金など「原発マネー」を財源とする同町発注工事を二十五億円以上受注していたことが発覚した。
総事業費十五億五千万円で、岸本組が建てた「次世代エネルギーパークあすぴあ」は一三年に完成した。入館無料の施設を孫と訪れた唐津市の主婦(五八)は「最終処分場が安全なら、原発立地自治体が受け入れるべきだ」と言い切る。
町内で買い物をしていた大工の男性(七〇)も「原発のおかげで町民税も電気代も安く、道路も舗装された。処分場は怖いが、よそでは無理」と笑う。漁港にいた漁師の妻(六三)は「原発が来た時から覚悟しとった」と言葉少なに立ち去った。
「これいかんどー」言える町民ほぼいない
「『これいかんどー』と声高に言える町民はほとんどいない。誰のおかげで町が成り立っとるか、と怒られるから。沈黙の町だ」
処分場建設に反対する藤浦皓(あきら)町議(七九)はそう話す。「原発が来た後も町の人口は減り、農業も漁業も衰退し、今や『限界』町だ。地場産業は育たず、町長の会社ばかり潤ってきた」
原発の誘致段階から反対を続ける東光寺の元住職仲秋喜道さん(八六)は「地震大国の日本に安全な場所などない。町長は経済産業省や九電と話し合った末に発言したに違いない。アドバルーン的な役割を町長が務めて、町民やマスコミの反応を見ているのだろう」と強い警戒感を示した。
廃炉で町財政減収
町の財政は完全な原発依存型だ。同町によると、一六年度の当初予算ベースで歳入七二億五千万円のうち、原発関連の固定資産税や交付金、補助金が59%。一四年度決算では、固定資産税の約九割が九電の負担分だった。ただ、昨年四月に玄海原発1号機が廃炉になり、一四年度に一六億円だった電源立地交付金は、一六年度には一二億円ほどに落ち込む見込みだ。
ちなみに玄海原発3、4号機は現在、再稼働に向けた新規制基準に基づく適合審査中だ。町長の発言は再稼働への弾みとなると同時に、町財政の減収を補う新たな関連施設の誘致が狙いという見方が強い。
この点を聞くと、岸本町長は「お金に貧窮して、処分場受け入れを考え付いたと思われるのは心外だ」と不快感をあらわにした。
必要性訴えるシンポ始まる
岸本町長に話を聞いた9日、東京でも最終処分場をめぐる動きがあった。
東京・大手町で、経済産業省資源エネルギー庁と電力会社が資金拠出する経産相の認可法人、原子力発電環境整備機構(NUMO)の共催で、「いま改めて考えよう地層処分」というシンポジウムが開かれた。東京を皮切りに、全国九カ所で開かれる予定だ。
最終処分場はNUMOが0二年以降、候補地を公募したが、応募は0七年の高知県東洋町だけ。しかも住民の反対運動から町長が辞職に追い込まれ、出直し町長選で反対派が当選したため、応募は撤回された。
その後、進展のない状況に業を煮やした国は昨年、自治体の公募方式から国が自治体に申し入れる方針に転換。シンポジウムはその「地ならし」に当たる。
あいさつに立ったNUMOの近藤駿介理事長は「安全性を最優先に調査を進めていく」としながら「処分場を受け入れていただければ、さまざまな事業インフラや生活インフラの整備を通じて、地域の持続的発展を実現させる決意だ」と利益誘導を忘れなかった。
質疑では、参加者らから「もし廃棄物の容器が壊れたらどうなる」「このシンポで同意を求めようというのか」といった声が上がった。それに対し、主催者側は「容器は頑丈」「ご理解をいただくためのシンポだ」と説明に追われた。┐(´д`)┌
処分場整備急ぐ国
再稼働の障害 除く思惑
ただ、国が最終処分場の決定を急いでも、前提となる再処理はできる状態にない。青森県六ケ所村の再処理工場は二0回以上、完成予定を延期している。
今回の岸本町長の発言翌日、東洋町で最終処分場の応募を撤回した沢山保太郎前町長が、玄海町役場を訪れ、抗議文を提出した。
その沢山前町長は「もし地下で事故が起きれば、手が付けられない。地域住民の考えもよく聞かずに、町長が独断で判断するのは許されない」と憤る。
「当時の東洋町も財政はじり貧状態で、負債が予算額の二倍に膨れ上がっていた。元町長は数千億円の経済効果というアメに目がくらんだのだろう。だが、電力は都会で大量に使いながら、ごみはさびれた地域に捨てればいいという差別的な考えは通らない」
九州大の吉岡斉教授(原子力政策)は「原発マネーで潤うのは、地方自治体と建設業界。いずれの利権にも関わる玄海町長は、処分場計画が国主導に転換されたことで『取り残されてはいけない』と危機感を抱いたのだろう」とみる。
「使用済み核燃料は、このまま百年置いておいても問題はない。新たな置き場がなくなると言うなら、原発を再稼働させなければいい。政府は逆に最終処分場の整備を急ぐことで、再稼働の障害を取り除こうとしているのだろう。福島原発事故の対応という喫緊の課題にも十分に取り組めていないのに論外だ」
絶対原子力戦隊スイシンジャー
https://youtu.be/0AcQJE_R0iw
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第14・15回Light Up! Journal 小出裕章先生 今中哲二先生 / 「ゴミと麻薬」
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