特定秘密保護法はジャーナリズムに何をもたらすか
(ラジオフォーラム#158)
http://www.rafjp.org/program-archive/158-3/
■圧力に屈しないメディアであれ
今回は、スタジオにジャーナリストの青木理さんをお迎えしてお送りします。テレビのワイド番組のコメンテーターや報道系のラジオ番組のパーソナリティで活躍中の青木さん。元共同通信の記者で、主にノンフェクションのルポルタージュを得意とされるフリージャーナリストです。
番組前半では、昨年成立した安全保障関連法の新聞報道を振り返り、安倍政権下で起きているメディアの二極化について考えます。特に与党側に好意的な新聞・テレビ各社は、企業としての社論を色濃く打ち出しており、社会で起こっている事実報道の公正さを欠いてはいないか? そのことは昨年8月30日にあった大規模な国会前デモ翌日の朝刊各紙を読み比べると明確だといいます。青木さんは、この日を「メディアの死んだ日」といい、戦後ジャーナリズムの最大の汚点のひとつだと指摘します。
番組後半では、特定秘密保護法の成立とメディアについて考えます。メディアによる報道取材が萎縮の傾向にあることを危惧する青木さん。同法違反容疑でメディアに強制捜査が入ること、これによってメディアにどのような影響が及ぶのか? 具体的に分析いただきます。
安倍政権のメディアに対する様々な圧力に対して、ジャーナリズムはどう立ち向かっていくべきか? じっくりと議論していきます。
■クロ現問題、そして萎縮するNHK報道体制を考える
~みんなジャーナル
元NHK職員で、元岐阜県御嵩町長の柳川喜郎さんにお電話をつなぎし、NHK不祥事に見る同局の弱体化、また安倍政権下での報道の萎縮などについて伺います。
またご自身が町政をめぐり暴漢に襲われ瀕死の重傷を負われた事件(時効成立)のご経験から、「力に屈せず声を上げることの大切さ」を考えます
https://youtu.be/Z743CEmNI20?t=13m25s
~第158回小出裕章ジャーナル
中間貯蔵施設の行方「これからは強権的にどこかの地に押し付けるというようなことになるのだろうと思います」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no158/
今西憲之:
小出さん、新年おめでとうございます。
小出さん:
はい、おめでとうございますとあまり言えるような時代ではないような気もしますけれども。でも、とにかく年が明けたということで、時っていうのは面白いなと思います。
今西:
はい、よろしくお願い致します。
小出さん:
はい、こちらこそよろしくお願いします。
今西:
今日のテーマはですね、福島第一原発の事故にともなって、除染で出ました放射性物質を含んだ汚染度などの一時置いておく中間貯蔵についてお伺いしたいと思います。中間貯蔵の予定地ですね。福島県の福島第一原発のある双葉町、大熊町なんかに搬入が予定されておりましてですね、一部は搬入されておるようですけども、用地の確保がなかなかうまいこといかず進んでないというような現状なんですけれども、私も実際、この中間貯蔵の予定地ですね、一部すでに放射性物質で汚染された土なんかが置いてある所行きましたけど、小出さん、すさまじい高い放射線量を計測するんですねえ。
小出さん:
そうですね。今西さんが現場に行って下さるのでわかって下さるのですけれども、もっともっと大手のマスコミの記者の人達もですね、きちんと現場に行って取材してほしいと私は願います。
今西:
いわゆる線量計がもう見る見るうちに数値が上がっていく。もう普通では考えられない、もう想像を絶するような放射線量の高さに本当に驚くばかりだったのですけれども、中間貯蔵と言いながら最終処分場になってしまうのではないかという不信感ですね、地元では非常に強いようなんですが。
小出さん:
必ずなります。中間で終わるわけがないのであって今、今西さんが話して下さったように、猛烈な放射性物質を抱えたゴミがそこに置かれてしまうわけで、30年経ったらそれをまたどこかで引き受けてくれるなんてことは到底あり得ない話なのです。中間貯蔵と言っていますけれども、政治の場にいる人達、官僚の人達というのは、本当にいい加減なことをするものだなと私は思います。
今西:
はい。それでですね、放射性物質を含んだ汚染土ですとかね、がれきですとか、あと草とかそういった物は、決して福島県だけの物ではないわけですよねえ。
小出さん:
そうですね。宮城県にもあるし、茨城県にも栃木県にも群馬県にも、もうそこらじゅうにあるのです。
今西:
そういう物もこちらのいわゆる中間貯蔵として双葉町、大熊町に搬入されてくるのではないかという危惧もある。逆に、そういう汚染された物はできるだけ1ヶ所、というか小さなエリアで固めて貯蔵した方がいいというような話もある。その辺なかなか難しいところなんですが小出さん、いかがでしょうか?
小出さん:
もちろん、1ヶ所に集めた方がいいのです。ただ今の日本の政府は、それぞれの県の単位で中間貯蔵施設を提供しろというようなことでやっているわけです。弱いところ弱いところが狙われて落とされていくわけですから、仮に福島県だけが引き受けたとすれば、他の県の物も引き受けさせられてしまう可能性が高いと私は思います。
ただし、私自身は放射性物質というのは1ヶ所でキチッと保管するというのがいいと思いますし、どこかに集めるというのがいいのだと思います。ただしそれが今、政府が進めてるような、いわゆる民有地を住民から借り上げて、そこに入れるというようなやり方は論外で、もともとこのゴミというのは、東京電力の所有物だった放射性物質なわけですから、東京電力の敷地に搬入するというのがいいと私は思います。
本当は、もともとは福島第一原子力発電所の敷地に戻すのがいいのですけれども、残念ながら今、福島第一原子力発電所の敷地は放射能の沼のような状態になってしまっていて、そこでたくさんの労働者が放射能と格闘しているわけですから、そこに戻すことはたぶんできないと思います。それならば、福島第一原子力発電所南15キロの所に、福島第二原子力発電所という広大な敷地がありますので、まずはそこに持ち込んで保管をするというのが私は一番いい方法だろうと思います。
今西:
なるほど。今、小出さんですね、やっぱりそういう放射性物質を帯びた、いわゆる汚染土なんかは1ヶ所に留めておいた方がいいということでしたよね?
小出さん:
はい。私はずっと京都大学原子炉実験所という所で働いていて、原子炉実験所の中でも放射性廃物の管理ということを責任を持って仕事をしてきた人間なのですが、
放射性物質というのは、とにかく1ヶ所に集めて厳重に管理をするというのが一番いい方法だと私は思います。
今西:
はい。そうですよねえ。これ、どうなんでしょうか? 政府の話なんかを聞きますとですね、30年経てば放射線量がかなり落ちているのでとかですね。こう都合のええような話をよくしてるわけなんですけども、30年でそんなに落ちるもんでしょうか?
サザエさん 1957年
小出さん:
落ちません。すでに事故から5年経ってしまってるわけで、短い寿命の放射性物質はすでにもうなくなってしまっていまして、今残っているのは、セシウム137が中心になっています。そのセシウム137という放射性物質は、30年経ってやっと半分に減ってくれるという寿命の長い放射性物質ですので、これから30年後になってもやっと半分になってくれるという、せいぜいその程度にしか減らないのです。
今現在も猛烈な放射線を出しているわけですし、30年経ってもその半分に減るというだけに過ぎないわけで、ほとんどもう移動させることすらが難しいだろうと思います。
今西:
はい。それでですね、いわゆるこういう放射性物質を帯びた残土なんかを地下深く埋める、いわゆる地層処分という方法が今、政府の中でも検討されておるようです。これはですね、原発の使用済み燃料なんかもそういうかたちで処分していこうというようなことがよく言われますけども、その地層処分について、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか?
小出さん:
はい。日本の国というのは、これまで生み出してしまった核のゴミというのが、どうしていいかわからないまま、とにかくもう埋めるしかないということで進めてきたわけです。ただし埋めたとしても、その場所にじっとしておいてほしい時間の長さというのが10万年、100万年という長さなのです。
そんなことは現在の科学で到底保障できませんので、私は埋め捨てにすること自体に反対だと言ってきました。でも、日本の国はもうこれ以外に方策がないのだということで、ひたすらその道を突っ走ってきて、とにかく埋め捨てにさせてくれる場所さえ見つけてしまえば、あとはもうどうなれ山となれという、そういうやり方でやってきたわけです。
しかしさすがに10万年、100万年も管理をしなければいけないようなゴミを引き受けてくれるような自治体は、日本の国内では、未だにひとつも見つかっていないのです。日本の国は少しずつやり方を変えてきまして、これからは強権的にどこかの地に押し付けるというようなことになるのだろうと思います。
そしてこういうことを言うのは、福島の方には大変申し訳ないことですけれども、もし福島の人達が、福島第一原子力発電所のゴミの中間貯蔵施設というものを受け入れてしまうならば、おそらくそこが日本で生み出した核のゴミの最終処分場にされてしまうだろうと、私は危惧しています。
嘘つき( ̄^ ̄)凸
今西:
はい。本当に悩ましい問題なのですけども、何とか1日も早くいい解決策が見つかればなあと思うんですが、それも現実的にはなかなか難しいということで、そうすると原発やめてしまうというのが一番の近道ということですよね?
小出さん:
もちろんです。自分が生み出すゴミの始末の仕方も知らないまま今日まで進めてきてしまったわけですけれども、そんなことは始めからやってはいけなかったんだと気が付かなければいけないと思います。
今西:
はい、わかりました。小出さん、ありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
Japan: Drone captures TONNES of nuclear waste being stored at Fukushima
https://youtu.be/5ZI9xrqTByY
富岡町仏浜仮置場
トイレのないマンション 小出裕章さん NO NUKES
https://youtu.be/RyiedwjGoKM
金子勝×室井佑月×大竹まこと
「石原環境大臣の金目発言と中間貯蔵施設」
https://youtu.be/37Q7wO2xHFU
汚染土 行き場なし
3年の約束なのに仮置き場にずっと…
(東京新聞【こちら特報部】)2015年10月16日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015101602000151.html
東京電力福島第一原発事故後、除染作業で出た汚染土など除染廃棄物を一時的に保管する「仮置き場」が福島県内の各地に設けられた。その利用契約が満期を迎え始めている。地権者との契約期間は「三年」が基本だ。政府が「三年程度」保管した後、中間貯蔵施設に搬送する約束をしたからだ。しかし、用地買収交渉が難航し、中間貯蔵施設は建設のめどが立たない。汚染土は行き場を失っている。
(榊原崇仁、鈴木伸幸)
「3年の約束国は守って」
「私たちはごくごく当たり前のことを求めているだけ」。南相馬市議の水井清光さん(七六)はそう訴える。市議会は先月二十五日、汚染土など除染廃棄物を、仮置き場から早期に搬出することを求める意見書を可決した。提出者が、震災関連の特別委員会の委員長を務める水井さんだった。
「朝、目が覚めると、汚染土の入った黒い袋が近所に見える。子どもの通学路沿いにも黒い袋が積まれている。復興を考えようにも、そんな状況がある限り気が滅入ってしまう」
環境省が二○一一年十月に示した除染ロードマップでは、本格的な除染を一二年一月に始め、汚染土などを仮置きし、三年程度たったら中間貯蔵施設に搬出する計画だった。南相馬市は三十数カ所の仮置き場を設け、計画に沿って地権者との土地貸借契約期聞は「三年」とした。
いま、中間貯蔵施設に本格的に搬送する時期は、はっきりしなくなっている。用地買収がほんの一部にとどまるなど、施設整備が大幅に遅れているからだ。
先月二十五日、望月義夫環境相(当時)は記者会見で、「仮置き場の使用延長をお願いせざるを得ない状況だ」と語り、ロードマップの破綻を事実上、認めた。だが、南相馬市原町区の十ヘクタールの仮置場について、市が使用契約延長を求めたところ、地権者は首を縦に振らなかった。契約は来春までなので、代替地の確保が必要となる。
水井さんは「『仮置きは三年』と示したのは国だ。約束を守り早く搬出してほしいというのが地元の思い」と語る。とはいえ、今後、契約延長の話が次々に出てくる。「現実的には、その期間の問題も含め、きちんと議論しないといけないのに、今後について国からは十分な説明がない」
汚染土を抱える他の地域も事情は同じだ。川内村では十カ所の仮置き場で、計二十二万トンを保管するが、先月末から順次、契約期限を迎えている。
遠藤雄幸村長は「私なりの責任の取り方」として今月から三カ月間、給与約七十万円を半分にした。そのかいあってか、村の担当者は「地権者の方々の協力は得られそう」と言うが、「除染の進み方次第で、仮置き場がさらに必要になったら、その場所を確保できるか…」と頭を悩ませる。
仮置き場の地権者はどう思うのか。避難指示が続く川俣町山木屋地区の田んぼを貸す六十代男性は「黒い袋が置きっぱなしになるのが分かっていたから、みんな、田畑が仮置き場になるのを嫌がった。でも、俺は頼みに頼まれ、仕方なく引き受けた」と地権者の当時の心境を語る。
長引く避難で変化がみられるという。「帰還や営農再開を諦める町民も少なくない。そんな中で、『カネになるから』と貸したがる人も出てきているよ」と明かした。
中間貯蔵施設めど立たず
山積み 850万立方メートル
環境省と福島県によると、福島県内の仮置き場などに置かれた汚染土など除染廃棄物の量は計約八百五十万立方メートル。東京ドームの約六・九個分に相当する。
内訳は、国直轄で除染している「除染特別地域」の仮置き場二百四十カ所に約四百十四万立方メートル(七月末現在)。県内の市町村が設置する八百三十三カ所の仮置き場と事業所や学校など約十一万六千カ所に、計約四百三十七万立方メートル(六月末現在)。除染は続いており、仮置き場は増え続けている。
仮置き場の地面には、放射性物質が地中に染みこまないよう遮水シートが敷かれている。その上に置く汚染土など除染廃棄物は「フレコンバッグ」と呼ばれるポリエチレン製の大型の袋などに入れられている。さらに、全体をブルーシートなどで覆う場所もある。
仮置き場で一時保管を予定した期間「三年」を想定し、耐用年数が三年以上のフレコンバッグが使われている。しかし、三年以内で破損したケースもある。仮置き場での保管が延長されたら、耐久性の問題が出てくる。
環境省の担当者は「フレコンバッグの耐用年数の最低三年というのは、雨風や日光にさらされる野外にむき出しの場合を基準にしている。多くの仮置き場には覆いがあるので三年ということはなく、もっと長く耐えられる。破損した場合は、その都度、処置している」と説明した。
先月、別の問題が起きた。関東・東北水害で、飯舘村の仮置き場などから四百三十九袋が真野川などに流された。回収した三百九十八袋のうち、半数以上は中身が空だった。
真野川下流の真野ダムで水質調査をしたが、放射性物質は「不検出(ND)」で、環境省は「影響はほとんどない」とみる。原発事故で飛散したセシウム134の半減期は約二年で、事故直後より汚染土に含まれる放射性物質の量は減っているのは間違いない。
だが、低線量の長期被ばくによる健康被害については不明な点が多く、不安を抱く住民は少なくない。「影響はほとんどない」としても、大熊、双葉両町に建設予定の中間貯蔵施設に、「早く汚染土を持っていってほしい」と要望するのは当然だろう。
除染計画の再考必要
その中間貯蔵施設は、用地買収交渉でつまずいたままだ。二千三百六十五人の地権者のうち、半数近くと連絡を取れず、九月末までに用地取得に応じたのは九人しかいない。
また、除染ロードマップによれば、中間貯蔵施設に搬送した汚染土などは三十年以内に、福島県外に移して最終処分をする約束だが、現状からすると、守られるとはとても思えない。
約百人の地権者でつくる「三十年中間貯蔵施設地権者会」の門馬好春事務局長は「環境省とはこれまで七回交渉した。『最終処分場はどうなるのか』といった質問を投げかけたが、まともな回答はない。そんな状況で、国に土地を売っていいのか判断材料がないので困惑している」と話す。
三月から、双葉町の双葉工業団地などの土地を無償で借り、各地の仮置き場から汚染土約一万七千トンが試験的に鍛送された。全体の量に比べ微々たる数字だが、中間貯蔵施設が最終処分場になるのではと地権者は不快感を抱く。
「地権者を蚊帳の外に置き、勝手に事業を進めているかのようだ。私たちにはあきらめに近い感情がわき上がっている。国はそれを狙っているのかもしれない」(門馬さん)
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小出裕章先生:自分が生み出すゴミの始末の仕方も知らない…始めからやってはいけ事に気が付くべきです
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