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Channel: 私にとって人間的なもので無縁なものはない
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「あなた、これでいいんですか??(゚ε゚)」英雄待望論ではなく 、自ら声を上げよ ( *`ω´)

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内閣支持率微増の
危険なカラクリ

(日刊ゲンダイ)2015年12月3日

おそらく不破哲三の
予言は当たっている

よりによって、この首相の一強という絶望的な世論と党内事情の裏に何があるのか
いよいよカオス化する世界にはびこる強権指導者への危うい憧憬と、それを利用した空っぽ単細胞政治家のあまりに軽い勇ましさ


内閣支持率微増の 危険なカラクリ

 「大局的に見ると、自民党は結党以来60年にしてもっとも危険な段階に入ってきたんじゃないか」
 これは、共産党の不破哲三前議長が先月23日、日本記者クラブで講演した際の発言だが、本当にその通りだ。
 政高党低が定着し、安倍総裁の一強体制に自民党内は諦めムード、というか、みな羊のように従順で、誰も異論を唱えようとしない。
 そのうえ国民も「他に適当な人がいないから」という理由で安倍首相を支持し、週末に行われた最新のは論調査で内閣支持率は、共同通信で3・5㌽(48・3%)、日経新聞では8㌽(49%)も上昇した。独裁者の狂乱首相を国民の半数が支持するという異常事態。頭がクラクラして、絶望的な気分になってくる。
 民主主義とは不完全なものだ。選挙で勝った多数派は常に暴走しがちで、それを食い止めるために議論があり、少数意見にも耳を傾ける謙虚さが求められる。そこにはある種の岫力闘争”も
必要で、切磋琢磨することで不完全さが補われる。
 ところがいまの自民党にはそれがない。不破前議長は「現在の自民党はモノカラーの政党だ」と喝破していたが、野田聖子を総裁選に出馬させないようにし、党を挙げて無投票再選をつくり上げたように、自民党は安倍一強の前にひれ伏している。

内閣支持率微増の 危険なカラクリ_2

 「自民党は党内に右翼的な勢力をこれまでも抱えてきましたが、それに対抗する党内のライバルがいたし、党外には社会党や総評(労働組合)があって、チェックが働いた。いまはライバルも野党もいないので、安倍首相は怖いものなしです」(上智大教授・中野晃一氏=政治学)
 石破茂なんて情けないの一言だ。毎日新聞のインタビューで、総裁選出馬断念について聞かれ。「安倍政権の支持率が比較的高い中で、(総裁選に)出る意味って何?・ということもあった」と答えたと、きのう(1日)報じられていた。
 こんな腰抜けが、朝日新聞の自民党員意識調査では「ポスト安倍」の1番手である。これじゃあ安倍がふんぞり返るわけだが、もうひとつ、危険な兆候に拍車を掛けているのが、世界中で台頭している「強い権力者」志向である。

テロを奇貨として危険な権力者が台頭

 月刊誌「世界」(12月号)の内山節氏(哲学者)の論文は示唆に富んでいる。冷戦が終わり、保革対立で均衡しているような[秩序]の時代はわかりやすかったが、今は違う。これまでの秩序が崩壊し、有効性を失っていく時代には、さまざまな混沌が表れる。内山氏によると、そんな混沌のひとつの表れが、〈政策よりも強い大統領や首相、政治家を演じることによって、大衆を引き付けようとする手法〉だ。〈20世紀前半のファシズムの台頭期にもみられた現象〉とも書いている。
 確かに言われてみると危ない指導者がますます強権的になっている。そうした連中がテロを奇貨として、さらに力を増している。テロ被害の当事国である仏オランド大統領が「フランスは戦争状態にある」と宣言したのは序の囗。戦闘機撃墜で対立を深めるロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は強気で国内人気を爛つている。撃墜した側のトルコが謝罪を拒否すると、ロシアはトルコに経済制裁を発令。非難の応酬が工スカレートしている。
 プーチンとエルドアン。よりによって2人とも安倍のお友達だが、そもそも危険な男たちだ。2000年以降、権力の座に居座り続けるプーチンは言わずもがな。エルドアンも、かつてのオスマン帝国復活の野望を抱いているといわれ、支持者は彼をオスマン帝国の王になぞらえて「スルタン」と呼ぶ。政権を批判する市民やメディアの弾圧も露骨だ。
 こうした流れの中、英キャメロン首相は空爆をシリアに広げるよう議会に打診して指導力を強め、EUを中心で動かす独メルケル首相も軍隊を動かさざるを得なくなった。
 これらが〈ファシズム台頭期にもみられた現象〉だとすると、背筋が寒くなってくるのである

国民の不安心理を煽り「自発的な服従」狙う悪辣

 我らが首相、安倍晋三は、世界の強権指導者をマネしてキャンキャン吠え、「俺も、俺も」と前のめりだ。
 COP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)が行われているパリでは、お友達のエルドアンと5分間の立ち話。安倍は、「できることがあれば何でも言って欲しい」と伝え、いがみ合うトルコとロシアの間で仲介役を担う用意があることを申し出たという。
 安倍はイスラエルのネタニヤフ首相との会談でも、テロ対策の連携で一致したというし、その後のCOP21首脳級会合では、「私たち世界の首脳は、パリで起きたテロに屈することなくここに集まった」と雄々しく演説。この前のめりは見もやいられないが、こんな軽薄な単細胞政治家を、5割弱の国民が支持してしまうのだからつくづく恐ろしくなってくる。
 前出の中野晃一氏はこう言った。
 「東日本大震災など不安材料に事欠かない。そこヘテロの脅威というさらなる不安が煽られ、強い者にすがる心理が国民に広がっている。それを利用しているのが安倍政権です。野党の対抗軸がなく他に選択肢がないため、『この道しかない』という言葉を国民が信じてしまう状況になっていることもあります。これが進むとどうなるのか。沖縄の米軍基地の辺野古移設での強権的なやり方などがいい例ですが、DV(ドメスティックバイオレンス)のように、反対しても無駄だという無力感から、強い者に従うしかないという気持ちになっていく。私はこれを『自発的な服従』と呼んでいますが、安倍首相は国民にそうした意識が浸透していくのを狙っているのだと思います。『美しい国』とはそういうことなのです

英雄待望論は、いつか来た道

 カオス化する社会。常識が通じない閉塞感。経済も上がり目ナシ。排外主義が大手を振り、思慮の浅い、単純な勇ましさだけが受ける(´・_・`)
 そういう意味では、安倍のような中身空っぽの強権リーダーはうってつけなのだろう。だから一強になるのであり、ライバルは白旗を揚げる。それで安倍がますます独裁を強めるという悪循環だ。霞ヶ関の官僚たちも唯々諾々。安倍はやりたい放題の天下である。
 政治評論家の森田実氏はこう言った。
 「一部だけが大儲けして貧富の格差が広がると、恵まれない層に不満がたまっていき、火がっきやすい社会になる。そうした不安定化した社会を抑え込むため、政府は貧困層のエネルギーをナショナリズムに持っていったり、メディアを使って英雄待望論を起こしたりするのです。強い指導者が世の中を平定するという幻想です。強権的な政府が進むその先にあるのは、対外的な緊張をつくり出し、戦時体制に持っていくこと。こうした歴史を人類は繰り返してきました。また世界は、日本は、いっか来た道を繰り返すのではないか。そんな危うさを感じずにはいられません
 心ある識者は、安倍一強の行き着く先への懸念をいよいよ強めている。極悪首相に「他に代わる人がいない」と高い支持を与え続ければ、どんな未来が待っているのか。国民はよくよく肝に銘じた方がいい


壊したい平和憲法がある。 安倍晋三


2015.10.28
金子勝さんが途中からメチャ白熱スピーチ!
アベに対して怒りをぶちまける!

「25条大集会」 生活保護アクション in 日比谷野外音楽堂

https://youtu.be/V8qnaPK50Fg

2015.10.28
小池晃さん (日本共産党) の情熱スピーチ!
野党は力を合わせてアベを倒す!

「25条大集会」 生活保護アクション in 日比谷野外音楽堂

https://youtu.be/nxjA5AAwUKE

2015.10.28
山本太郎さんの強烈すぎるスピーチ!
野党が1つになる!

25条大集会 日比谷野外音楽堂

https://youtu.be/mjzleqrquj4



メディアの深層
芸能人より政治家に怒れ
(全国商工新聞)2015年12月7日
メディアの深層 芸能人より政治家に怒れ
 近頃は誰かが何かを言うと、すぐに「上から目線」の大合唱を浴びる。ネットは罵詈雑言(ばりぞうごん)で溢れ、本人がブログやSNSでもやっていた日には、たちまち大炎上だ。
 たとえばショートヘアの女優・剛力彩芽さん(23)が11月17日、理美容のイメージアップに貢献した著名人に贈られる「ベストスタイリングアワード2015」の20代女子部門で初受賞。「ようやく来たか! という感じ」とのコメントに、批判が殺到したという(「アサ芸プラス」11月26日配信)。
 少し前だとタレントの福田萌さん(30)が4月に、バラエティー番組で、「私たち夫婦は、自分の力で学歴を掴(つか)み取ってきた誇りがある」と語ったところ、やはり。1歳の娘に知育、英語、音楽の習い事をさせていると公言したことも反感を買ったとされる。ちなみに本人は横浜国大卒で、夫の中田敦彦さん(オリエンタルラジオ)は慶応大卒との由(「ビジネスジャーナル」5月18日配信)。
 他にもAKB48大島優子さんや女優の広瀬すずさん、俳優の杉浦太陽さんあたりが、しばしはやり玉に挙げられるらしい。統計があるわけではなくハッキリしたことは言えないが、女性が女性の発言に噛みつくケースが目立つ
 叩かれる側に配慮が欠けていた場合が少なくないのは確かである。叩く側は叩く側で、日頃のウップンをぶつけて憂さ晴らししているだけのような気もするが、格差社会の深刻化に伴うエリート層の「上から目線」が鼻につく時代であるだけに、ある程度は仕方がないのかな、とも思っていた。あまり偉そうな物言いは自分にもマイナス、という常識が世の中に必要なのだから。
 しかし―。
 こんなことでよいのか、と考えるようになった。批判の対象は芸能人か、反権力的な識者に限られている。エリート層の「上から目線」には歯止めがかからず、貧しい人間、地位の高くない人間はそれだけで見下されて当然、みたいな空気は強まっていくばかり
 とりわけ政治における状況は酷すぎる。かつて福田康夫首相や麻生太郎首相(いずれも当時)の威張った言動に憤り、自民党を下野させた有権者たちが、ここ3年ほどは呆れるほど従順だ。安倍晋三政権の「上から」どころか「上だけしか見るつもりがない」目線に、真正面から異を唱えるマスメディアも現れない。どんな追及も「その指摘はまったく当たらない」で済ませてしまう菅義偉官房長官が野放しにされている異常事態は、本来ならメディア総出で叩き潰さなければならないはずなのに
 〈何も菅氏だけでない。だが安倍政権が違うのは、この論法による言動が政権を貫いていることだ〉と書いた琉球新報(10月5日付「金口木舌」)が、ほとんど唯一の例外か。だが、これとても所詮は1面の短いコラムの一節だ。安倍政権の本質を衝く本格的なルポや論考を読みたい。
(た)


職場で使える❓【菅語】入門
週刊プレイボーイ 11月30日号
菅語 入門_1

 そもそも「菅語」とは何か❓
 その発見のきっかけから想田先生に語ってもらおう。
「ある日、菅さんが記者会見でいつものように『その指摘はまったく当たらない』って答えているのを見ていて、突然ひらめいたんですね。
ああ、この人、よくこのセリフを使うけれど、これって無敵だなと。一見、答えているように見えて実は何も答えないまま、相手の質問や批判を無料化しちゃうんだって。



 僕は普段ツイッターなどでいわゆる『ネトウヨ』の人たちにからまれることが多いものですから、彼らからくる『クソリプ』(糞のようなリプライ)に、実験的に『そのような批判はまったく当たらない』と、菅さんと同じ言葉で答えてみた。そしたらこれが想像以上に効果的で、ネトウヨが簡単に撃退できちゃうんですね。一種の『全能感』『快感』を味わいましたよ。



 「『菅語』というのは、ひと言で言うと、本来、他者とのコミュニケーションの道具である『言葉』を使って、逆にコミュニケーションを遮断するのが特徴です。
一見、相手と受け答えをしているように見えるけど、絶対に議論の土俵に上がりません『その指摘は当たらない』と断言することで、勝負を避ける。戦わないいんだから、負けるわけがない。

菅語 入門_2

人の話を、
「聞かない」人、
「聞けない」人


 「今の日本には人の話を聞かない人が増えています。安倍首相や菅さん、橋下さんなどはその典型ですが、それは別に政治の世界に限ったことではありません」と指摘するのは『他人の意見を聞かない人』(角川新書)の著者、精神科医で京都大学非常勤講師の片田珠美氏だ。
 「菅官房長官と同じように、一応、答えているフリをしながら、実際には他人の意見を聞かない人が急激に増えていて、そのなかには人の話を『聞かない』人と『聞けない人』の2種類がいます。
 菅さんや橋下さんは「聞かない人」です。彼らはそうすることで自分にメリットがあることを自覚している。
 一方の安倍さんは、自分のいやなこと、都合の悪いことは生理的に聞きたくないという『聞けない人』でしょう。
 そうした人が増えている理由は、ひと言で言えば保身です。自分の身や立場を守りたいという自己愛がとても強い。さらにこうした人は、コミュニケーションを通じて自分の価値観と他人の価値観がぶつかるとき、自分が傷つくのを過度に恐れる傾向があります。でも、自分の意見が通らないのは我慢できないの
で、人の意見を受け入れられない。
 2014年の衆議院選で選挙速報番組に出演した安倍首相が自分の言いたいことだけ言って、耳の痛い質問が投げつけられるとイヤホンを外したのは象徴的でした。あれがまさに「聞けない人」の行動。自覚的な「聞かない人」と比べると、より重症だと思いますね」(片田氏)
 また片田氏は、「他人の意見を聞かない人」に日々接している人や社会への悪影響についても次のように心配する。
 「ひとつは、人々や社会が「もう何を言っでもムダだ……」という強い無力感にとらわれてしまうということ。もうひとつは、自分たちも同一化して「それならもう、自分だって人の話なんて聞かない」と考えてしまうことです。そうした諦めはコミュニケーションの死を意味します」(片田氏)
 前出の想田氏も同じような危惧を抱いている。
 「先ほど『菅語は無敵』と言いましたけど、コミュニケーションを遮断する『菅語』って、実は民主主義にとっては非常に有害。『禁断の麻薬』なんです。安保法案に関する国会審議にしても、衆参両院でそれぞれ100時間以上審議したことになっているけれど、現実には議論などほとんどなかった。アリバイなんですね
 そういう麻薬を権力者が乱用しているということに、まずは気づくことが大事。僕が遊び半分で始めた「菅語」がそのきっかけになればと思います」(想田氏)
 ちなみに、一見「無敵」に思える菅語だが、仮に質問や批判がはね返されても、諦めずに理詰めで、第2、第3の矢を粘り強く放ち続ければ、打ち破れないはずはない。「その指摘は当たらない」と言われたら、「その指摘は当たらないという主張には合理性がない」と、こっちが切り返せばいいだけなんだからさ。



アベ政治を許さない



NHKスペシャル
<日本人はなぜ戦争へと向かったのか>
第3回 「“熱狂”はこうして作られた」


http://dai.ly/x1abojh
「坂の上の雲」の時代に世界の表舞台に躍り出た日本が、なぜわずかの間に世界の趨勢から脱落し、太平洋戦争への道を進むようになるのか。開戦70年の年に問いかける大型シリーズの第3回。
日本が戦争へと突き進む中で、新聞やラジオはどのような役割を果たしたのか。新聞記者やメディア対策にあたった軍幹部が戦後、開戦に至る時代を振り返った大量の肉声テープが残されていた。
そこには、世界大恐慌で部数を減らした新聞が満州事変で拡販競争に転じた実態、次第に紙面を軍の主張に沿うように合わせていく社内の空気、紙面やラジオに影響されてナショナリズムに熱狂していく庶民、そして庶民の支持を得ようと自らの言動を縛られていく政府・軍の幹部たちの様子が赤裸々に語られていた
時には政府や軍以上に対外強硬論に染まり、戦争への道を進む主役の一つとなった日本を覆った“空気”の正体とは何だったのだろうか。
日本人はなぜ戦争へと向かったのか、の大きな要素と言われてきたメディアと庶民の知られざる側面を、新たな研究と新資料に基づいて探っていく。



第3次世界大戦が嫌なら
「英雄待望論」ではなく
自ら声を上げよ

注目の人 直撃 インタビュ
100歳のジャーナリスト
むの たけじ
(日刊ゲンダイ)2015年11月27日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/170427/3
 戦時中、朝日新聞記者として中国や東南アジアでの惨禍を目の当たりにした後、終戦の日に新聞大としての戦争責任を取る形で辞表を提出した気骨のジャーナリストである。現在100歳。先月31日、戦争の動乱期のためもらいそこねた母校・東京外語大の卒業証書を、80年目にして受け取った。その際の挨拶には「第3次世界大戦を起こさせないように」という強い思いが込められていた。世界と日本を覆う不穏な空気に私たちはどうあらがったらいいのか。生涯、反戦を訴えてきたこの人の言葉は重い。

100歳のジャーナリスト むのたけじ

本名・武野武治 1915年、秋田県生まれ。東京外国語学校スペイン語科卒。朝日新聞記者として中国、東南アジア特派員。45年8月の敗戦を機に書いた戦争記事に責任を感じて退社。秋田で週刊新聞「たいまつ」を創刊。100歳の現在も現役記者として講演など精力的に活動。

今は人類滅亡の曲がり角

 -外語大で卒業証書をもらいました。大事なことを2つあっしゃったそうてすね。
 ひとつは80年経って卒業免状を下さる外語大に対する感謝と尊敬ね。個人でも団体でもヘマをする。それに気づいたら、何年経とうがきちっとけじめをつけるということが、どうも日本人は不得手なんだけど、外語大がそれをやっだのは偉いことです。もうひとつは、人類語大学とか人類文化大学院という校名にして、単なる言葉の養成所ではなく、もっと大きな役割を果たして欲しいと言いました。人類は700万年の歴史の中で、滅びるかどうかの曲がり角に来ているというのが私の考え。文化を根底から立て直す時なのです

 -日本人はけじめをつけるのが不得手ですか。
 私はジャーナリズムに携わっているけど、ジャーナルというのは日記で、個人日記は、何時に起きた、何時にご飯を食べたなど、1日の記録だけ。ジャーナリズムとismが付くと社会の日記になる。昨日何やった、今日こうだった、だから明日こうなるだろうと、過去現在未来のつながりの中で社会を見ていく。民族でも生き方の違いがある。世界全体の中で歴史を意識しながら生きてきた種族と、その日その日の暮らしに追われ、短い1日を生きる人間とは違う。島国の日本の場合は、その日暮らしが多いんだな。漁民も農民もそれぞれの日の天候に左右される。過去現在未来というつながりの中で生きるということが、日本人は残念ながら不得手だったと思うんです

 -だから、先の戦争のけじめがつけられていな
 昭和20年の8月にポツダム宜言を受諾した時、日本の国民と政府が一緒になってやるべきことは、戦争の締めくくりだった。それは3つある。まず、あの戦争を誰が、いつ、どうして始めたのか。軍部だというけど、軍部のどういう勢力なのか。中国の領土の一部を取ろうとした戦いが、なぜ米英仏相手の戦いになったのか。次に、戦場で何をやったのか。南京虐殺慰安婦の問題があるけど、一体どうだったのか。そして原因の究明と償い。これら3つをドイツはやったんですよ。ナチスを止められなかったドイツ国民全体にも責任があるとして、償いも一生懸命やった。それでドイツは許されて、いま欧州のリーダーになっている。日本はどうかというと、韓国や中国との関係さえもうまくいかないじゃない

戦争の背景に国家エゴイズム

 -人類が滅びる曲がり角というのは、どういうことですか?
 評論家やマスコミ関係の中で「第3次世界大戦」という言葉を使っているのは、恐らく私だけのようだけど、私はそういう捉え方をしているの。世界は第1次第2次の大戦を経験し、その流れが解決できないまま続いています。要するに国家エゴイズムだな。だから国際連合にしてみても、なかなか機能を果たせていない。例えば地球温暖化の問題。10年ぐらい前から工場の生産と人間の生活スタイルを変えようとしているけれど、後進国と先進国の責任のなすりつけ合いで、全然決まらないでしょ
う。そして原子力の問題。原子力はすでに兵器として利用されているけど、実際、世界に(核兵器が)何発あるのか。国連できちっと調べるべきなのに、それがない。1万5400発というのがいま一番多い数字だけれども、冷戦時にロシアも米国も3万発を目標に生産を開始したという話もある。いまもこれを持っているのか。第1次も第2次も、ちっぽけなことがきっかけで世界大戦になった。いまも世界のあちこちで戦争の種になりうるようなことが起きています。IS(イスラム国)の行動は、宗教と政治の危険な絡み合いを物語っている。それがパリ市のど真ん中に現実に悲劇を生む状況は、極めて血なまぐさい暗黒を示しています。

米ロ中が2対1になれば危険

 ―世界情勢がかつてないほど危険な状態にあるという認識ですね。

 国連加盟国が約200ある中で、決定的な影響力のある国は、米国、ロシア、中国の3カ国でしょう。ところがどこも安定していない。米国は間もなく大統領が交代する。中国は1党独裁に対する民衆の不満がある上、好景気に見えた経済が足踏みして止まった。そして重要なのは、米ロ中に少数民族が多数いること。彼らが、圧迫や侮辱はごめんだと動きだしているけれど、きちんと対応できていない。超大国が米ロ中の3カ国になってしまったから、これが2対1になれば戦争が始まる危険性がある。だから、独や英や日本などが、この3カ国を2対1にしないように努力しなければいけないわけだ。ところが日本は、オバマ大統領の手下のような格好で、それでいて安倍首相はオバマにほとんど相手にされていない。ぶざまなもんだ。英独だって、ロシアの100ある少数民族を解体して、ロシアをグチャグチャにしたい。どこにも戦争を止めるプラス要素がないのが現状です。

9条は連合国からの罰則

 ―そんな状況下で、安倍政権が違憲の安保法を成立させ、日本も危ない状況になってきています。
 憲法9条、あれは何だと思いますか? 日本の側は9条を、あの15年戦争の後に行き着いた、誇りを持って地球上で生きていくための美しい旗印と受け止めた。戦争のない世界をつくるために先頭に立って頑張るぞと。しかし、連合国にとって9条は「日本を国家として認めない」という罰則だった。現代国家の条件は軍隊を持ち、戦争をやれるということですから。美しい旗印ならば、戦後70年経って、国連加盟の200カ国の中で、日本と同じ9条の条項を作る国が出てきてもいいのに、聞かないじゃない。本当は昭和20年の段階でこの矛盾に気が付いて、日本人はおいおい泣きながら、これは違うぞ、と問題にすべきだったんです

 ―それを理由にして、安倍首相たち自民党のような憲法改正を目指す勢力があるわけですが…。
  だけど、日本は戦後70年間、実際に戦争をしなかったし、ひとりの戦死者も出なかった。それで、憲法9条が連合国の罰則だったということを抜きにして、やはり日本人として平和憲法は大事だなと思う人が育ってきたのだと思うんです。それじゃあダメだというのが安倍首相で、米国と手をつなぎ、強国と一緒に発展していきたい。そのために、米国との軍事同盟を強くして、戦死者が出てもやむを得ないような体制に持っていこうとしている

 ―第3次大戦を回避するため、日本人はどうしたらいいのでしょう?
 非常に困難で危険な状態になると、出てくるのが「英雄待望論」です。昭和の初め、爆発的に売れた本が、哲学者の鶴見俊輔の父・祐輔の「英雄待望論」だった。日本人の悪い欠点なんだけど、神様、仏様と全部、人様頼み。そして、そういう苦しい社会状況を助けるのに「解放」という言葉がある。「解放」には2種類あって、ひとつは「解き放つ」、もうひとつは「解き放ちやる」。「解き放つ」は苦しむ人たちが自ら縄をブッタ切ることで、「解き放ちやる」は英雄を待って解き放ってもらうこと。これまではずっと「解き放ちやる」できたけれど、それじゃあダメだ

―受け身ではなく、能動的に動けということですね。
 第3次大戦が始まれば、酷い目に遭う。それが嫌なら、英雄を待っていてはダメ。人類の長い歴史の中で、こうなったら困るという事態に直面しているのなら、困る人間が動かなければならない。何にも難しい理屈はいらない。人間にとってこれは許せない、という感覚で、声を上げるということ。国会周辺だけじゃなく全国で「安倍政権打倒」の声が上がった。今後、憲法改正に向かうような動きになれば、叫び声はもっと高くなるでしょうが、一番の問題は民衆なんだ。だからマスコミも、こうした危機的な現状について「あなた方、これでいいんですか」と読者にブツけなきゃいけないね

今の日本は “戦争前夜”
そもそも総研
「100歳の現役ジャーナリストは戦後70年の今、何を語るのだろうか?」


http://dai.ly/x31i1hk
むのたけじさんは、100歳の現役ジャーナリストです。
太平洋戦争中は従軍記者だったというむのさんは、「ジャーナリストとして“戦争の真実”を伝えられなかった責任」をとるべく、終戦の日(8月15日)に「朝日新聞」を去ったといいます。
その後は故郷の秋田県に戻って「たいまつ」という新聞を創刊したそうです。
従軍記者として戦場の過酷な現実を目の当たりにしてきたむのさんは、「戦争とは、人間から人間性を奪い去る最大の罪悪である」と語ります。
戦前の空気感を肌で知るむのさんは、「いまの日本には、戦争前夜の状況と重なる部分が多分にある」とおっしゃいます。
戦時中のマスコミは軍部に過剰に気を遣い、自らの判断によって「社内検閲」を強化していったのだそうです。
当時の新聞記者たちは、自分も含めて、取材を通じて様々な現実を知っていたにもかかわらず、自主規制して報道を差し控えた」と語るむのさんは、そのことを深く悔いているそうです。だからこそ100歳となった現在もなお、現役のジャーナリストであり続けるのだといいます。
むのさんは「戦後70年、今の日本人に伝えたいこと」として次のように語りました。
私は日本人に言いたいことは人様に頼むのはやめよう と。我々の悩みは我々たち自身で考えて。お偉い人が来て世の中を良くしてくれることは過去にもなかったように、今後そういうことは未来永劫にあり得ないと。だから今、戦争になったらどうなるといったら、戦争になって一番苦しむ者たちがじゃあどうすると(考える)。俺ら皆で 家の中で語りあえばいいわけ。そうすると道が開かれてくる。それを言いたいのよ


戦争を絶滅させる
NHK・ETV特集
「むのたけじ 100歳の不屈 伝説のジャーナリスト 次世代への遺言」


http://dai.ly/x398s26
ことし(2015年)100歳を迎えたジャーナリスト、むのたけじ。
戦前・戦中は朝日新聞の記者だったが、「大本営発表のウソを書き続けた責任」をとって敗戦と同時に退職。戦後は、故郷の秋田で地方紙「たいまつ」を30年にわたって自力で発行した。
記者として戦前・戦後の日本社会を取材し続け、膨大な記事と発言を残してきた伝説のジャーナリストである。
「戦争を絶滅させる」
その言葉や生き方は、読者のみならずジャーナリストをめざす若者にも影響を与えてきた。
95歳を過ぎた頃から特に年少者や若者への関心があふれだしたという。
今の若者たちと話していると、新しいタイプの日本人が出てきたと感じる。絶望の中に必ず希望はある。戦争のない世の中を見るまでは死ねない」。
100歳になった今も食欲は旺盛、講演や取材をこなし気力は衰えない。
戦後70年のいま、伝説のジャーナリストの足跡とそのこん身のメッセージを通じてこの国の未来を考える“熱血”ヒューマンドキュメント。


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