Quantcast
Channel: 私にとって人間的なもので無縁なものはない
Viewing all articles
Browse latest Browse all 450

小出裕章先生:国というのはどんなものなのか、人々が生きるということはどういうものなのか…

$
0
0


記憶という遺産をめぐって
なぜ「南京」はこれほど問題化するのか?

(ラジオフォーラム#151)

https://youtu.be/aPqkB7WNj_g?t=13m40s
第151回小出裕章ジャーナル
伊方3号機再稼働か「既成事実を積み重ねていって、大飯でも高浜でも順番にやっていくという、そういうやり方を彼らが選んでいるということだと思います」

http://www.rafjp.org/koidejournal/no151/
伊方原発 断層が3号機直下にある
伊方原発 断層が3号機直下にある

西谷文和:
今日のテーマはですね、「伊方原発3号機、年明けにも再稼働か」と題してお送りしたいと思うのですが。伊方原発については、このコーナーでも何回も取り上げましたが、小出さん、残念なことにですね、愛媛県の中村知事、伊方町の山下町長、伊方原発3号機の再稼働に同意を示したが、これのニュースを聞かれて、小出さんご感想はどんなもんでしょうか?

https://youtu.be/vPVhD75SlNI

小出さん:
はい、もちろん残念ですけれども、予想通りというか、中村さんが少し頑張るような素振りを見せていたわけですけれども、それも結局は自分の責任を逃れられればそれでいいということだったわけで、「あ、やっぱりな」と思いました。
中村知事、伊方原発3号機の再稼働に同意
西谷:
私のような素人から見ればですね、鹿児島県の川内原発から入ったでしょ。そして伊方原発が続きますよね。これね大阪や東京や神戸や広島や、この原発に反対している人はなかなか行けないじゃないですか、こんな遠い所に。これ、大飯原発やったら行けるんですよ。だから、その国はですね、反対運動が起こりにくい所から無理やり稼働させてですね、既成事実にしたいのではないのでしょうか?

伊方再稼働反対 松山で4000人集会

小出さん:
もちろんおっしゃる通りだと思います。もうやったぞやったぞという既成事実を積み重ねていって、大飯でも高浜でも順番にやっていくという、そういうやり方を彼らが選んでいるということだと思います

西谷:
この国って結構、役人の世界もそうなんですが、この横並び志向ってあるじゃないですか? AさんもやったからBさんもやったからって、それでね次C、Dがやりやすくなりますもんねえ。この最初のやっぱり川内原発、ここでものすごく皆さん頑張ったんですけど、やっぱりここ大きかったでしょうかね。

小出さん:
はい。川内の方々、ずいぶん頑張ってくださったし、伊方の方々だって頑張ってくださってきたわけですけれども、それでも国がやると決めてることなわけですし、いわゆる私が原子力マフィアと呼んでいる国や原子力会社、原子力産業、ゼネコンを含めた土建屋さん、マスコミ、全てが一体となって、今再稼働に動いているわけですから、容易なことでは止められないだろうと思います、残念ながら
原発マネー 大学への影響力

西谷:
小出先生がおっしゃるからこの言葉重いわけですが、小出さんは伊方原発、裁判でずっと戦っておられましたよね?

小出さん:
そうです。

西谷:
佐田岬の付け根に原発があるじゃないですか? ということは、半島の人は、これ逃げられないんじゃないですか?

小出さん:
事故が起こったら、逃げることはできません。唯一、逃げられるとすれば、船に乗って大分県に逃れるという、それぐらいのルートしかありません。


西谷:
でもその船って、津波で流されてるでしょ?

小出さん:
もちろん、そうです。そんなたくさん船が来てくれるわけもありませんから、結局、住民の避難というのはできないことになると思います


西谷:
自衛隊のヘリで運ぶ言うても大した人数じゃないですもんねえ。と言うことは、もう切り捨てになるんでしょうね、実際は。

小出さん:
はい。川内の場合もそうですけれども、鹿児島県の知事自身が30キロ圏の避難なんかできないと、初めからもう言ってしまっているわけであって、避難計画ができないことはもう原子力発電所の事故を考えれば、もう仕方のないことだし、避難計画も作れないようなものは、本当はもうそれだけの理由で受け入れてはいけないということだと私は思います
30キロまでの要援護者の避難計画は現実的でない

小出裕章ジャーナル

西谷:
ただ地元の方々はね、やっぱり長年、この原発産業でもういわゆる麻薬のように打たれてるわけですから。だから地元の方を責めるというのも非常に酷ですよねえ。
原発は金になる

小出さん:
はい、そうなのです。長い間、原子力に依存して町を作ってきてしまったわけですから、原子力がなくなってしまって交付金、固定資産税等がなくなると、間違いなく財政自身が崩壊してしまうという、そんな状態になっているわけです。ですから簡単には、その地元の人達を責めるというようなことはできないと思います
細る原発マネー財政難の地元固定資産税も法人税も
電源三法交付金の交付例

西谷:
そうですねえ。本当なら鹿児島県ってすごいおいしい魚が獲れるし、愛媛県もそうですし、みかんもできますから。そういうその本当に村の産業でね、本当は村おこしができたのに、それさえも許さない原発なんでしょうね。

小出さん:
まあそうですねえ。日本というこの国が、いわゆる1次産業を潰して、工業化すれば豊かになれるんだというふうに思ってしまったわけですね。

次々と農業もつぶされ、漁業もつぶされてきて、結局地方が過疎になって、東京・大阪というような所にみんな労働者として吸い上げられてくる。結局、地方は立ち行かなくなって、原発にすがざるを得ないという、そんなことにされてきてしまったわけです。
もう一度やはり、国というのはどんなものなのか、人々が生きるということはどういうものなのかということを考え直さなければいけないのだと私は思います

田中正造 真の文明は

西谷:

その上にTPPですよ。こんなこと来たらもうねえ、もう村がつぶれちゃいますし。私、農業、農産物とかエネルギーは地産地消でないといかんと思うんですけど。

小出さん:
そうですね。農業はもちろんそれが一番いいですし、エネルギーだって、本当はそれがいいはずなのであって、都会で使う電気を過疎地から長い送電線で送るという、そんなやり方自身が間違えていたんだと気が付かなければいけないと思います。

西谷:
長い送電線を使ったらロスするでしょ?

小出さん:
もちろんです。送電ロスは、たぶん10パーセントとは言いませんけれども、それに近いロスをしてると思います

原子力発電所の災害評価

西谷:
例えば、その自然に優しい発電所が近所にあれば、そこで出た熱を供給して、高ジェネレーションと言いますけど、そういうことも都会でできますのに、原発は田舎にあるからできないですよね、それも。

小出さん:
そうです。今例えば火力発電所、高ジェネのがありますけれども、発生した熱の8割近くまで使えるというようになっているのです。
ガスタービン・コンバインドサイクル発電
ガスタービン・コンバインドサイクル発電

でも、原子力発電所だけは今、西谷さんがおっしゃって下さったように、都会に建てることができませんので、高ジェネをやることもできない。おまけに、もともとの発電効率が大変低いので、せいぜい3割ぐらいの熱しか使えないというですね、まことにバカげた装置になっているわけです

西谷:
もう先生からその話聞いて、びっくりしました。僕、なんとなく原発は効率いいもんやと思ってたら、一番悪いんですよね?

小出さん:
一番悪いです。
海温め装置
これで生態系が壊れないはずはない


西谷:
もうだから、都会につくれない効率一番悪い、コストも高い、CO2も冷やすためにものすごい出さないかん。ええとこないですよねえ。

小出さん:
はい。何にも良いことないのですけれども、自民党の人達が何を思ってるかと言うと、原子力を放棄してしまうと、核兵器をつくる能力も無くなってしまうから、やはり、原子力は止められないと彼らが言っているわけです。
核武装 右派の願望

西谷:
石破さんもね、潜在的にって言ってましたもんね、能力持ってる方がいいとおっしゃいましたもんねえ。その自民党の話が出ましたが、安倍首相がこの伊方のことでですね、「万が一、事故があった場合は国が責任を持って対処する」と言ってはるのですが、これを聞かれて、先生ご感想は?

(核を)作ろうと思えばいつでも作れると 石破茂

米各戦略の深層

小出さん:
今、福島第一原子力発電所の事故が起きて、国が責任を持って、どんな行動をとってるかと言うと、放射線管理区域にしなければいけない汚染地に、赤ん坊も含めて子供達を捨ててしまった。
過半数の村民が国の帰還政策に反旗_1
一度は逃がした人達も帰れ、2017年4月以降は、もう補償金も出さないぞということを安倍さんを率いる国がやっている。次に川内原子力発電所、伊方原子力発電所で大きな事故が起きれば、やはり周辺の人々が捨てられてしまうということになるのだと思います


西谷:
20ミリシーベルトを勝手に引き上げたのも国ですもんね?

小出さん:
そうです。

西谷:
そんな中でですね、この伊方原発にちょっと戻りますが、これ伊方原発3号機というのはプルサーマルができる原子炉ですか?

小出さん:
そうです。

西谷:
より危ない原子炉になりますよね?

小出さん:
もちろんです。どんな機械も、はじめ設計をしていくわけですけれども。例えば、石油ストーブ、ご家庭で使ってる方もいらっしゃると思いますが、石油ストーブというのは灯油を燃やすということで設計してストーブをつくるのですね。その灯油を燃やす石油ストーブで、もしガソリンを燃やそうとすれば火事になってしまう。

西谷:
はい、爆発するでしょう。

小出さん:
灯油だってガソリンだって、もともとは原油という同じ物から精製して分離した兄弟のようなもんですけれども、それでも、ちょっと性質が違えば、石油ストーブが火事を起こしてしまうということになるわけですね。

今日、使ってる原子力発電所というのは、ウランを燃やすというために設計された原子炉です。それで、無理矢理プルトニウムという物を燃やそうとしているわけで、危険なことになってしまいます。お金もかかってしまいます。
危険性が増して、金銭的にも損をするということはわかっているわけですけれども、それでもなおかつ、もうやらざるを得ないというところに日本の原子力が追い込まれてしまっているわけです。
問題だらけ 再処理とプルサーマル

西谷:
もう一度確認しますが、ウランの毒性とプルトニウムの毒性は、20万倍も毒性がプルトニウムは強いと聞きましたが。

小出さん:
はい、おっしゃる通りです。

西谷:
20万倍ですよね? 20倍じゃなくて?

小出さん:
20万倍です

西谷:
そんな危険なプルトニウムを燃やすプルサーマル計画ができる伊方の原発3号機が再稼働するというのが現実なんですね?

小出さん:
そうです。

西谷:
はい、よくわかりました。小出さん、どうもありがとうございました。

小出さん:
いえ、こちらこそありがとうございました。




伊方安全対策は脆弱
 石橋克彦・神戸大名誉教授に聞く

(大分合同新聞)2015年9月20日
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2015/09/20/005109700
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が新規制基準に合格し、再稼働に向けた動きが進む中、専門家からは安全性を疑問視する声が上がる。大分政経懇話会9月例会の講師として来県し、伊方原発の再稼働を「無謀」と指弾する神戸大学名誉教授の石橋克彦氏(71)=地震学=に聞いた。

 ―国内の原発再稼働の動きをどう見るか。
 原子力規制委員会は新規制基準の適合審査で全国3カ所の原発を合格としたが、いずれも基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)が小さ過ぎる。過酷事故を防ぐため多重の安全対策を講じる「深層防護」の考え方が徹底されておらず、脆弱(ぜいじゃく)で応急的。新規制基準は極めて不十分だ

 ―伊方原発の再稼働をめぐる審査の問題点は。
 敷地の全面に国内最大級の断層帯(中央構造線)があるにもかかわらず、基準地震動を最大650ガル(ガルは加速度の単位)としたのは信じ難いほどの過小評価だ。今世紀半ばまでに非常に高い確率で起きる南海トラフ巨大地震の影響は軽視してしまった。

 ―南海トラフ巨大地震が起きるとどうなるか。
 伊方原発は震源域の北西端の直上にあり、影響は甚大。長時間の揺れでプラント機能が健全性を保てるか疑問だ。敷地の一部は斜面を削って造られており、斜面崩落に加え、液状化や地盤沈降の危険もある四国全域が停電に陥る恐れがあり、非常用電源に問題があった場合、外部電源を喪失する最悪の事態も考えられる。「崖っぷちの安全対策」と言わざるを得ず、「第2の原発震災」が起こる可能性は否定できない。

 ―対岸にある大分県に求められる対応は。
 大分県は伊方原発の「地元」とは認められていないが、過酷事故が起きた場合、放射性物質の飛散が懸念される上、瀬戸内海が広範囲で汚染され、産業面でも深刻な損害を受ける。北海道函館市が対岸の大間原発(青森県)の建設凍結を求めて提訴したように、他県の「被災地元」と大同団結し、まずは立地自治体並みの発言権を得る努力をすべきだろう


報道特集 伊方原発の再稼働を問う2015年11月21日

http://dai.ly/x3evyom
再稼働の手続きが進む四国電力・伊方原発。今週は事故を想定した大規模な防災訓練が行われた。再稼働に舵を切った地元の事情は?大地震や津波の懸念は?再検証する。



NNNドキュメント 2015年11月8日
「再稼働元年Ⅱ 原発の“地元”のはずなのに」
鹿児島県・川内(せんだい)原発と、愛媛県・伊方(いかた)原発の「地元」を取材


http://dai.ly/x3d0dd5
今年(2015年)、鹿児島県の川内原発1・2号機が相次いで再稼働した。
ある集落は原発から5.5キロしか離れていないのに、原発が立地していないため、“原発の地元”とみなされず、電力会社からは再稼働される日さえも知らされなかった。
一方、日本一細長い半島の付け根に建つ愛媛県伊方原発。近く再稼働の予定だが、そこには“避難できる地元”と“避難できない地元”があった。
“原発の地元”のはずなのに。再稼働の現場を取材した。


伊方原発 問われる"安全神話"2011年10月1日
伊方原発 問われる
http://www.veoh.com/m/watch.php?v=v22666663KxyNTm8r
"フクシマ"によって崩壊することになった原発の安全神話。その神話が形作られていくきっかけとなったのが、四国電力の伊方原子力発電所の安全性を巡って30年近く争われた裁判である。当時、四国電力で原発設置を担当したある技術者は、裁判後、徐々に社内で蔓延していく「絶対安全」に対して、異論を訴えたが黙殺され続けてきた。裁判資料を読み解くと、地震のリスクなど専門家の調査結果が無視されている部分も多い。第2のフクシマは防ぎたいと、今でも原発の危険性を訴える技術者の思いを軸に、現在でも"安全神話"が続く原子力発電の現場を見つめる。

住民の主張
伊方原発訴訟での被告

ETV特集 シリーズ 原発事故への道程
(後編)「そして“安全”は神話になった」
2011年9月25日

https://youtu.be/ktT_v0xs0Eg
原子力政策研究会に集った原発関係者たちの録音テープと新たな証言により、なぜ福島原発事故が起きたのか、その歴史的深層を探るシリーズ。後編は原発が次々に建設された1970年代以降、日本の原発で事故は起きないという「安全神話」がいかにして誕生したか、その過程を明らかにする。
1973年石油ショックの翌年に電源三法が成立し、「安全」を前提に原発建設が加速していった。
このとき、日本で初めて原発の安全性を科学的に問う裁判「伊方原発訴訟」が始まっていた。裁判は原発建設に反対する地元住民と科学者たちによる原告と、建設を推進しようとする国によって争われた。
そこでは今回の福島原発で起きた「全電源喪失」や「炉心溶融」などの事態がほぼすべて俎上に載せられていた。公判中にスリーマイル島やチェルノブイリ原発の事故も起き、安全性の見直しが迫られる状況も生まれた。
しかし最高裁は「行政裁量の分野」だとし、反対派の訴えを退けた
原発の安全性を正面から問うルートが失われるなか、誰も疑問を挟めなくなった行政と業界、学術界により安全神話は膨張していくことになる

日本における最初で最後の本格的な原発法廷の消長を軸にして、安全神話がいかにして一人歩きしていったか、その歴史的メカニズムを検証する。

松山地裁 不可解な裁判長交代
伊方原発訴訟 突然の結審


NNNドキュメント2015年8月24日
「2つの“マル秘”と再稼働 国はなぜ原発事故試算隠したか?」/「原発事故が起きると国家予算を超える損害」「原発が攻撃されると1万8千人が急性死」

http://dai.ly/x32sx4k
国が隠した2つの試算がある。
1つ目はまだ日本に原発が出来る前のもので、「原発事故が起きると国家予算の2倍を超える損害が出る」という試算だ。マル秘の判を押され封殺された。
2つ目は、「原子炉施設に対する攻撃の影響」に関するもので、「ミサイルの命中精度は極めて高いので格納容器が破壊される」 「1万8千人が急性死」という試算だ。イラクの原子炉が空爆された1980年代に試算され、同じく封殺された。
まもなく九州電力・川内原発が再稼働する。首相は安全と言い、規制委員長は安全とは言わない。このズレは?
新基準での再稼働は都合が悪い事も隠さず公開しているか?

大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算
http://www.ikata-tomeru.jp/wp-content/uploads/2015/02/koudai28gousyo.pdf

原子力施設の破局事故についての災害評価手法1997/8/29
京都大学 原子炉実験所 小出裕章、瀬尾健
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No68/kid9708.pdf


原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察
http://www.ombudsman.jp/nuclear/1984-2.pdf
原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考_表紙

原発への攻撃3つのシナリオと被害予測



暗躍する自民「電力族」
 廃炉逃れ、再稼動・増設を推進

(東京新聞【こちら特報部】)2015年8月2日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015080202000150.html
 原発推進路線をひた走る安倍政権の下で暗躍しているのが、自民党の「電力族」である。再稼働ばかりに注目が集まるが、見逃せないのが廃炉逃れの工作だ。原発直下に活断層があれば廃炉に追い込まれる。原子力規制委員会の審査では、日本原子力発電敦賀原発(福井県)が「直下に活断層あり」と判断され、北陸電力志賀原発(石川県)なども同じ道をたどる可能性がある。そこで族議員たちは現行ルールを改めようと試みているのだ。自民党は福島原発事故から何も学ばないのか。
(榊原崇仁)

暗躍する自民「電力族」 廃炉逃れ、_1

議連100人超に拡大 新規制基準、真っ向否定

 「既設炉の直下に活断層があると結論付けられても即廃炉としない」「断層のずれに(補強工事などの)工学的対応が可能な場合、運転を認める」自民党の「電力安定供給推進議員連盟」(電力議連)は先月七日、こんな提言をまとめた。福島事故後に定められた新規制基準を真つ向から否定する内容だ。
 新基準は、原発は活断層がない地盤に設置しなければならないと明記する。活断層が動いて地盤がずれ、原子炉建屋や配管などが壊れる事態を防ぐためだ。基準を満たさなければ、廃炉を選択せざるを得ないはずだ。ところが電力議連の面々は、提言のような理屈で存続を図ろうとしている。
 電力議連は周到に動いてきた。敦賀原発は二〇一三年五月十五日に規制委の専門家チームが「クロ」と判
定したが、その前日に議連は結成された。敦賀原発を抱える衆院福井2区選出の高木毅衆院議員ら原発立地県の議員が多く名を連ねた。議連会長は、中国電力島根原発(島根県)のお膝元である島根1区選出の細田博之衆院議員。安倍晋三首相の出身派閥の長も務める党の幹事長代行だ。参加議員は百人以上に増えた。
 電力会社も意気軒高だ。日本原電は、規制委の「クロ」判定に納得せず、再調査を敢行した。今春には再び「活断層あり」の判定が出たが、秋までに再稼働の適合審査を申請し、そこで再度反論する構えだ(σ゚д゚)σ
 規制委の審査では敦賀原発のほかにも、東北電力東通原発(青森県)が「敷地内に活断層」と判定され、志賀原発が「直下に活断層がある可能性が否定できない」との評価案が示されているが、電力会社は反発している。
 電力議連の提言は、党内組織の「原子力規制に関するプロジェクトチーム(PT)」に提出されている。「こちら特報部」が提言の取り扱いについて聞いたところ、PT事務局長の井上信治衆院議員=東京25区=は「現在議論しているのは規制組織のあり方」と回答した。断層問題に深く踏み込まない考えのようだが、志賀原発運転差し止め訴訟の北野進原告団長は「忘れたころに、こっそりと提言を採用するのではないか」と警戒する。
 渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)は、電力議連の動きについて「時計の針を逆戻りさせる試みにほかならない」と指弾する。
 「福島原発事故以前は、国は『敷地内に活断層があるはずがない』という前提に立っていたため、原発直下の活断層の扱いを明確に決めてこなかった。実際はそうではないことが十年ほど前から指摘され始めると、原発推進派寄りの研究者が『工学的に対応可能』と訴えだした。しかし、ずれの大きさを想定するのは極めて難しい。対応可能と言えるはずがない

暗躍する自民「電力族」 廃炉逃れ、再稼動・増_2

 かねて原発推進の旗を振ってきた自民党も、福島原発事故後しばらくは殊勝なところを見せていた。
 二〇一一年九月に国会事故調査委員会の設置法が成立したが、主導したのは当時政権に就いていた民主党ではなく、野党の自民党や公明党だった。その事故調は一二年七月の報告書で「規制当局は事業者の『虜(とりこ)』となり、安全の監視・監督機能は崩壊していた」と厳しく非難した。
 一二年九月に発足した原子力規制委は、公正取引委員会と同じ国家行政組織法三条に基づく「三条委員会」として独立性を担保した。これも自公両党が提案していた。
 党内では一一年六月、河野太郎衆院議員=神奈川15区=ら脱原発派の国会議員有志による「エネルギー政策議員連盟」が立ち上がった。党自体も、一二年衆院選の総合政策集で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」と訴えた。
 ところが、この選挙で自民党が政権の座に復帰すると、またぞろ党内の原発推進派が幅を利かせ始めた。その先兵が電力議連だ。当然、廃炉逃れ工作だけをやっているのではない。一三年六月には、早期再稼働を促す提言を公表。半年後の提言では原発の新増設や建て替えも盛り込んだ

 実は「原子力規制に関するPT」も、再稼働への執念では議連に劣らない。一三年末にPTがまとめた緊急提言は早期再稼働をにらみ、国会議員や原子力事業者、原子力産業界などと「相互理解を確立することが肝要」と強調した。
 当時のPT座長は、首相の「お友達」と目される現厚生労働相の塩崎恭久衆院議員=愛媛1区。今は首相の出身派閥に所属する吉野正芳衆院議員=福島5区=が務めている。福島5区には福島第一原発がある。
 電力族の「努力」は実を結びつつある。
 昨年四月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、原発は「重要なベースロード電源」と位置づけられた。先月にあった経済産業省の有識者会合は、三〇年の電源構成比率について「原発の割合は20~22%」とする報告書を作成した。
 規制委も、独立性はどこへやら、安倍政権の原発推進路線に追随している九州電力川内原発1号機(鹿児島県)の再稼働をめぐっては、火山噴火などの懸念があるにもかかわらず、各種審査を通過させた。九電は十日にも再稼働させる方針だ。現在、国内の全原発が停止しており、原発の再稼働は二年ぶりとなる。
 電力会社の地震や津波の想定の甘さを繰り返し指摘した委員長代理の島崎邦彦氏が、電力会社や自民党などの意向を受ける形で一四年九月に退任した。この時点で規制委は骨抜きになつたといえる。
 金子勝・慶応大教授(財政学)は「来春の電力小売り自由化までに、原発依存度が高く、経営が苦しい電力会社を何とかしなければという思いが自民党内にはあるはずだ。そのため、できる限り前倒しで各地の原発を再稼働させようとするだろう」とみる。
 安全神話がまかり通った時代に逆戻りするのか。金子教授は「国民は黙っていてはいけないし、忘れてもいけない」と世論の高まりに期待する。
 「安倍首相や自民党は居直ったように何でも自らの考えを正当化していく。それは原発問題しかり、安保法制もしかり。国民はただただぽうぜんとしているというのが今の状況だが、内閣支持率が変わらなければ、現行路線を容認したと受け取られてしまう

暗躍する自民「電力族」 廃炉逃れ、_1デスクメモ



20151123 UPLAN
小出裕章 武藤類子「ゴメンだね!原発も戦争も!
脱原発をめざす女たちの会11.23集会


https://youtu.be/QSkP92GpTKY
【脱原発をめざす女たちの会】
全国各地で戦争法案反対の行動にご尽力されたことと思います。
法案が成立したとされたあとも、東京では9月23日の代々木公園集会、24日夜の国会­前集会と連日行動に取り組んでいます。
たたかいはこれからだという声があちこちから聞かれます。
そのとおりですね。誰がなんと言おうとも原発再稼働を推し進め、戦争法案をごり押しし­、立憲主義を破壊する現政権には一刻も早く退陣してもらいましょう。そのために衆知を­集める時が来ています。
「脱原発をめざす女たちの会」では、来る11月23日に下記の集会を開きます。
小出裕章さんと武藤類子さんの講演会です。
質疑応答の時間をたっぷりとります。
小出さん、武藤さんといっしょに次への一歩を考え、踏み出しましょう。
会場があまり広くありません。ぜひ事前のお申込みをお願いします。
講演
小出裕章「原子力を廃絶するために必要なこと」
武藤類子「福島の今」
ゴメンだね!原発も戦争も!脱原発をめざす女たち


Viewing all articles
Browse latest Browse all 450

Trending Articles