TBS・岸井キャスターを狙い撃ち
異様な意見広告 真の狙い
(日刊ゲンダイ)2015年11月26日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/170376
今月14日付の産経新聞と15日付の読売新聞に掲載された全面意見広告が大きな話題になっている。「私達は違法な報道を見逃しません」とデカデカ見出しの意見広告は、TBSの報道番組「NEWS23」のメーンキャスター・岸井成格氏を名指しで批判、問題視する中身だったからだ。
全国紙の紙面を買い取って広告を出しだのは「放送法遵守を求める視聴者の会」。呼びかけ人には作曲家のすぎやまこういち氏、上智大名誉教授の渡部昇一氏ら安倍応援団”の面々が並んでいた。
彼らが問題にしているのは岸井氏が安保法案成立直前の9月16日放送で「メディアとして(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と発言したこと。コメンテーターならともかく、番組メーンキャスターである岸井氏がこう言うのは「政治的に公平であることなどを定める放送法に反する」と主張しているのである。
岸井氏といえば、毎日新聞の特別編集委員。読売も産経も、よくもまあ、ライバル紙の個人攻撃広告を載せたものだが、驚くのは早い。自民党の礒崎陽輔前内閣補佐官は早速、「極めて冷静で妥当な意見です」とツイート。与党との二人三脚ぶりをうかがわせた。安倍政権との“連携プレー”のにおいがプンプンだ。
「安倍政権や、そのお仲間は全局を“安倍サマのテレビ”にしたいのでしょう。安保法案は国民の8割が、なぜ成立を急ぐのかと反対していた。岸井氏の発言は国民の声の代弁です。それなのに、政府に逆らうものはみなダメだと言わんばかり。それもひとりに対して、全面広告を使って、集団で吠えて弾圧しようとしているのは極めて異常なことです。こんな広告を出されて、何も言わなければ、テレビが死んでしまいますよ」(評論家・佐高信氏)
安倍応援団の偏向キャスターは山ほどいるのに、まったくフザケた話である。このタイミングで、こんな意見広告が出てきたのは恐らく、放送倫理・番組向上機構(BPO)の存在があるのだろう。今月6日、BPOの番組検証委員会は自民党がNHKやテレ朝に事情聴取を行ったことを問題視、異例の政権批判を展開した。そうしたら、安倍首相が国会答弁で「(介入は)至極当然だ。まったく問題ない」と切れまくった。自民党内には「BPOを潰せ」という意見がある。TBSは擁護派である。そうしたさなかでの意見広告は、TBSへの“牽制”にも見える。TBSは当然、大反論しなけりゃおかしいのだが、本紙の取材にこう言った。
「番組にはさまざまな意見がさまざまな形で寄せられており、意見広告もその中のひとつと考えております」(広報部)
まるで“他人事”なのである。
TBS局内には「岸井更迭論」もあると聞いた。後任にはライバル紙の編集委員の名も浮上している。
一方、「視聴者の会」の事務局長で文芸評論家の小川榮太郎氏はこう言った。「出稿のお金は基本的に有志の方の寄付です。(掲載紙が産経、読売になったのは)保守系という縁故関係からです。今後、発表紙が広がる可能性はあります。(また、放送法に反するようなことがあれば)何かしらのアクションはすると思います」
安倍首相たちの言論圧力に屈すれば、テレビが“死ぬ日”は遠くない(。-_-。)
『NEWS23』でキャスター岸井成格の降板が決定の情報!「安保法制批判は放送法違反」の意見広告にTBSが屈服?
(LITERA)2015年11月25日
http://lite-ra.com/2015/11/post-1718.html
BPOの意見
政権のねらいは放送の「取り締まり」
松田浩氏
(しんぶん赤旗)2015年11月13日
「安倍首相の論の最大の問題点は、放送法の核心が政権の介入から放送の自由と自律を保障することにあることに目をつぶり、放送事業者の倫理規定として設けられた「放送番組編集準則」(第4条)を実効規定にすり替えることで、「放送の自律を守る放送法」を「政府が放送を取り締まる放送法」に百八十度転換させようとしている点にある。」
言論抑圧・暴言の自民「懇話会」
源流は靖国派政治団体
(しんぶん赤旗)2015年9月6日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-06/2015090601_04_1.html
「沖縄の新聞はつぶせ」「マスコミ懲らしめるには広告収入をなくせばいい」など言論抑圧、沖縄侮辱の暴言が飛び交った自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」の源流ともいえる靖国派政治団体の存在が本紙の調べでわかりました。
「九条の会」に対抗
改憲「国民運動」化
全都道府県に組織 危ない“実績”
(しんぶん赤旗)2015年11月22日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-11-22/2015112213_01_1.html
右翼改憲派が最近、大規模な集会を開きました。「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(共同代表・ジャーナリストの櫻井よしこ氏ら)が東京都千代田区の日本武道館で開いた「今こそ憲法改正を!1万人大会」(10日)です。「九条の会」に対抗する、きなくさい動きが広がっています。
(竹腰将弘)
署名・映画製作も
「新憲法制定」を呼号する「日本会議」主導の集会に、安倍晋三首相は「自民党総裁」の肩書でビデオメッセージを寄せました。もはや憲法擁護義務などどこ吹く風です。
メッセージは「21世紀にふさわしい憲法を追求する時期にきている」としたうえ、「第1次安倍政権で国民投票法が制定され、第2次安倍政権で宿題とされていた投票年齢の18歳への引き下げが実現した。憲法改正に向け渡っていく橋は整備された」とみずからの“実績”を誇示。「憲法改正へ、共に、着実に、歩みを進めていきましょう」と呼びかけました。
「成果」を報告
主催した「国民の会」は昨年10月、日本会議、神道政治連盟、改憲派の個人を糾合して結成されました。集会への動員を担ったのも、各都道府県の神社庁、遺族会などです。
注目されるのは、「全国代表者会議」の下に各都道府県の「県民の会」が組織され、「国民運動推進団体」としての体裁が整えられていることです。
集会では、「会」結成から1年の「国民運動の成果」として(1)全国47都道府県すべてでの「県民の会」結成(2)31都府県議会での改憲決議(3)改憲賛同の国会議員署名422人(4)改憲賛同国民署名445万人余―が、誇らしく報告されました。
さらに、『永遠の0』の百田尚樹氏総指揮によるドキュメンタリー映画「今こそ日本国憲法を改正しよう(仮題)」を年内に完成させ、全国的な上映運動を展開するなど、いっそうの運動拡大を狙っています。
思い起こされるのは、第1次安倍政権当時の憲法をめぐる国民世論と改憲派の激しいせめぎ合いです。
憲法をめぐるキナ臭い動きが極限に達した当時、読売新聞の世論調査(2008年4月8日付)で、1993年以来15年ぶりに改憲「反対」が「賛成」を上回りました。世論の流れの大きな転換点となったのは2004年の「九条の会」結成でした。
「一頓挫」受け
安倍氏の政権投げ出しによる改憲運動の「一頓挫」を受けた08年3月の新憲法制定議員同盟の総会で、愛知和男・同同盟幹事長=当時=は「われわれと正反対の勢力、『九条の会』と称する勢力が、全国に細かく組織づくりができておりまして、それに対抗していくには、こちらも地方に拠点をつくっていかねばなりません。そこが今後の活動の大きな焦点になる」と、九条の会への対抗意識をむき出しにした「国民運動」志向が表明されました。
この「運動」はながらく低調でしたが、第2次安倍政権登場後、各種保守団体にベルトがかかり始め、それなりの到達となっているとみるべきかもしれません。
一内閣の解釈変更で、集団的自衛権行使容認という憲法破壊の行動をとった安倍首相が明文改憲を目指すというのは、大いなる矛盾です。当面の国民のたたかいの焦点は、立憲主義と民主主義を取り戻し、反立憲主義と独裁の政治にストップをかけることにあります。
安倍政権の暴走の行く手は明文による憲法破壊にまで向かっていることを見すえ、戦争法廃止を実現する政府の樹立に向け、世論と運動をいっそう大きく広げていくことが求められています。
憲八おじさんとタマ001
https://youtu.be/DueYPXbJsUk
憲八おじさんとタマ002
https://youtu.be/AvjyR_jnf9A
憲八おじさんとタマ006
https://youtu.be/kBxYKNImTIY
ナショナリズム団体「日本会議」の危険性:エコノミスト紙や仏誌が相次いで指摘
(THE NEW CLASSIC)2015.06.16
http://newclassic.jp/24129
英 The Economist紙 や仏 L’Obs 誌 などが相次いで、日本の危険な右翼団体「日本会議」が、安倍政権の政策に大きな影響を与えていると報じている。
民族主義の思想を掲げた、日本で最も強力なロビー団体
The Economist紙 は「Right side up」と題した記事で、「ナショナリズムを掲げた、日本で最も強力なロビー団体」として日本会議を紹介している。
記事によれば、日本会議は第二次世界大戦において、西洋人の植民地主義から日本がアジアを解放したと主張し、再軍備や、左翼教師によって洗脳された生徒への愛国心の鼓舞、戦前における天皇崇拝の復活などを求めている。
安倍政権に多大な影響力
中略
日本ではほとんど報じられず
このように、世界的にも影響力の高い雑誌が、次々と日本会議に危機感を表明してるにもかかわらず、その報道は日本国内においてはそれほど目立たない。
The Economist紙は、「奇妙なことに、この集団は政府中枢部への強い影響力が拡大しているにもかかわらず、日本のメディアからはほとんど注目されていない」と述べている。
果たして戦後70周年となる8月15日に、安倍首相はいかなる発言をおこなうのだろうか。先日、韓国・朴槿恵大統領は「慰安婦問題、交渉は最終段階」と発言して、様々な憶測を呼んでいる。
こうした中で、安倍首相は日本会議の影響力を露わにするのか、あるいはそのナショナリスト的な言動を抑えることで国際社会からの信頼を得ることができるのか、大きな注目を集めている。
頼みは中国脅威論
改憲派1万人集会 「紙上ライブ」で再現
(東京新聞【こちら特報部】)2015年11月12日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015111202000147.html
今の改憲運動をリードするのは、安倍晋三首相のグループ、その支持基盤の右派運動組織「日本会議」である。10日、同会議が中核をなす「美しい日本の憲法をつくる国民の会」主催の「今こそ憲法改正を! 1万人大会」が都内で開かれ、首相がビデオメッセージを寄せた。大会の様子を再現しながら改憲派の本音を読み解く。
(佐藤圭、白名正和)
インドやベトナムの識者も投入
会場の日本武道館は三階席まで埋まった。参加者は主催者発表で約一万一千人。年配者の姿が目立つ。
国歌斉唱の後、「国民の会」共同代表でジャーナリストの桜井よしこ氏が最初にあいさつした。「戦後七十年の今、憲法改正の機は熟しつつある。発議に必要な(衆参両院の総議員の)三分の二の確保が可能な状況が生まれている。来年七月の参院選を一つの目標に全員の力を結集しよう」
「国民の会」は昨年十月に発足した。共同代表は桜井氏、日本会議会長の田久保忠衛・杏林大名誉教授、同会議名誉会長の三好達・元最高裁長官の三人。代表発起人にも同会議メンバーが名を連ねる。桜井氏は同会議の役員ではないが、同会議の集会の常連講師だ。
安倍政権の間に国民投票を実現し、過半数の賛成を得て新憲法を制定する―。これが「国民の会」が思い描く日程だ。改憲の是非を問う国民投票の実施目標は、来年の参院選。それに向けて「賛同者一千万人」署名集めを展開する。この日の発表では、現在の賛同者は約四百四十五万三千人。四十七都道府県すべてに地方組織を設置した。
では、改憲内容はどうか。桜井氏は「緊急事態条項さえない現行憲法では国民の命を守り通すことは困難。家庭のあり方も含めて、いくつもの問題点がある」と指摘した。
大災害や有事の際、首相に権限を集中する緊急事態条項は、自民党が優先的な改憲項目に挙げる。家庭のあり方とは、現行二四条に「家族は助け合わなければならない」との一文を加えるものだ。この「家族尊重条項」は、国防軍の創設や緊急事態条項と並び、右派が重要視する。国防軍はもちろん、他の二項目も、個人の権利を大幅に制限したり、特定の価値観で縛ったりする危険をはらむ。
しかし、大会を通じて前面に押し出されたのは、中国脅威論である。
桜井氏に続いて登壇したインド政策研究センター教授のブラーマ・チェラニー氏と、ベトナム外務省元顧問局長のディン・ホアン・タン氏は、「日本は安全保障を強化するか、(中国に)包囲されるかという厳しい選択を迫られている」「中国の軍や警察船が漁民に偽装して乱暴狼藉を働いている」などとあおった。
ちなみに両氏はどんな人物か。岐阜女子大南アジア研究センターの福永正明特別客員教授(インド政治)は、チェラニー氏について「インドで中国の脅威を明言する研究者はいないが、チェラニー氏は中国を念頭に、海上自衛隊とインド軍との結びつきの重要性を説く。最近はほぼ毎月来日し、安保関連の講演をしている」と評した。
一方のタン氏については、京都大の伊藤正子准教授(ベトナム現代史)によれば「ベトナムで有名という話は聞いたことがない。少なくとも私は知らない」。
首相の「お友達」大集合
メーンイベントは、何と言っても安倍首相のビデオメッセージである。本紙「首相の一日」によれば、五日に首相官邸で収録されている。主催者側は「本来は出席する予定だったが、衆院予算委のためやむなく欠席した」と説明した。
大型スクリーンに映し出された首相が強調したのは、連合国軍総司令部(GHQ)による押しつけ憲法論だ。「二十一世紀にふさわしい憲法を追求する時期に来ている。現行憲法は日本が占領されていた時代に、占領軍の影響下でその原案が作成されたものであることも事実」と触れた後、「国民的なコンセンサスを得るまで議論を深めたい」と改憲の意思を明言した。
次世代の党の中山恭子党首のあいさつに続き、駆け付けた国会議員が紹介された。衛藤晟一首相補佐官を筆頭に、下村博文・前文部科学相、山谷えり子・前国家公安委員長、有村治子・前女性活躍担当相、礒崎陽輔・前首相補佐官ら「首相のお友達」が目立った。
「憲法改正へのご提言」と称して登場したのは、「日本会議福岡」会長で九州電力相談役の松尾新吾氏。玄海原発(佐賀県玄海町)再稼働に絡む「やらせメール」問題が起きた二〇一一年当時は九電会長だった。翌一二年三月末に引責して会長職を退いた。
日本会議は過去、ワコール創業者の塚本幸一氏や、稲葉興作・元日本商工会議所会頭(いずれも故人)を会長にいただいている。松尾氏は中央での知名度は低いものの、九州では「大物」。財界の改憲姿勢をアピールしたかったのか。
もう一人の「ご提言」者が、米カリフォルニア州の弁護士ケント・ギルバート氏。かつてクイズ番組で人気を博したタレントだが、昨年夏ごろから改憲派として露出している。抻しつけ憲法論を意識してか、「現憲法を作成したアメリカ出身です」と笑いを誘った。
安保逆風で弱音「国民投票難しにい」
大会もいよいよ終盤だ。
「国民の会」の打田文博事務総長は「国会で安保法制の審議が延長したこともあり、目指してきた来夏の参院選での国民投票の実現は大変厳しい」と吐露した上で、今後の運動方針として発表したのが、改憲啓発映画の上映運動だ。年内に完成するらしい。
総指揮は、自民党の勉強会で「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」と発言して物議を醸した作家の百田尚樹氏である。この日も「憲法のむちゃくちゃさ、矛盾をたっぷり描いている。ただ残念なことに、国民の多くはそのことを知らない。七十年の間に左翼マスコミが散々工作した」などと、マスコミたたきを交えて映画を宣伝した。
地方議員を代表して「意見表明」した松田良昭・神奈川県議は、自民党県連の憲法改正推進プロジェクトチームリーダーだ。「今、三十一都府県の(改憲推進の)地方決議ができている。十二月(議会での可決予定)は北海道、秋田、福岡だ。もう間もなく四十七全部で決議となる。そうなればいよいよ国会だ」と声を張り上げた。 ‘
最後に日本青年会議所の森本勝也副会頭が「憲法改正へ、国民的大議論を巻き起こす」などとする大会決議を朗読。参加者の拍手で採択し、「ガンバローコール」で閉幕した。終了後、参加者に話を聞いた。神奈川県横須賀市の元自衛隊員男性(七八)は「素晴らしい大会だった。一日
も早く憲法を変えないといけないという思いを新たにした」と感じ入っていた。東京都青梅市の七十代の女性は「中国は話が通じる国じゃない。日本のために憲法改正が必要だ」と中国脅威論を繰り返した。
日本会議 1997年、右派宗教団体などでつくる「日本を守る会」と、右派文化人らを中心とする「日本を守る国民会議」が統合して結成された。「誇りある国づくり」を目指す運動方針では、皇室を尊び、同胞感をかん養する▽新憲法制定▽祖国への誇りと愛情を持った青少年の育成-などを掲げる。会員は約3万8000人。同会議の国会議員懇談会(会長・平沼赳夫元経済産業相)には約280人が参加。安倍首相は特別顧問を務める。
安倍政権を完全支配する
「日本会議」の正体 根底から暴く!
(FRIDAY) 2014年8月4日29号
http://friday.kodansha.ne.jp/archives/20623/
■安倍首相、麻生副総理含め13人の閣僚が名を連ねる右派組織。
■「自衛隊を国防軍に」「8・15靖国参拝」「美しい国・日本」の発想はすべてここから来た。
■女性蔑視ヤジ都議、ネトウヨと呼ばれる地方議員たちもこの組織に属している…
旧日本軍参謀らが創設
「安倍政権が誕生したことは、憲法改正への千載一遇、絶好の機会です。われわれの悲願、英霊の悲願がかなうのです。私たちは憲法改正のため、国民の啓発運動に立ち上がっていきたいと思います。ご協力、よろしくお願いいたします!!」
壇上の男がこう叫ぶと、会場は大きな拍手が響いた。8月3日、福岡県の福岡国際ホール大ホールで行われた「英霊顕彰・県民の集い」。終戦から69年目の夏を迎えるにあたり、「大東亜戦争」で亡くなった人々を追悼するというこの会では、先の戦争で日本はアジア開放のために戦ったことや、いますぐに憲法を改正すべきだという主張が延々と語られた。会場には400ほどのイスが用意されていたが、すぐに満席となって増席、最終的には500人近くで埋まった。
この会を主催した団体がいま、注目を集めている。「日本会議」。「誇りある国づくり」を目的とする任意団体で、会員数は全国に約3万5000人、総支部数228を誇る。この団体がいま、安倍内閣の“後ろ盾”となり、憲法改正と国防力の強化に邁進している。「日本会議」とは、一体何なのか―。
発足したのは1997年5月。「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」の二つの保守系団体が統合され、今日の姿になった。同会に詳しいジャーナリストの魚住昭氏が解説する。
「日本の歴史や伝統を守ることを目的に、1974年、主に神社本庁などの保守系宗教団体によって構成されたのが『日本を守る会』、保守系文化人や旧日本軍の関係者などが中心になって1981年に発足したのが『日本を守る国民会議』です。両者の憲法観、歴史認識はほぼ一致していたので、日本の伝統回復、憲法改正のために大きな団体を作ろうと1997年に統合した。初期の日本会議の幹部は、旧日本軍参謀の故・瀬島龍三伊藤忠相談役らが名を連ねていました」
現在の役員には、神社本庁の総長、神道政治連盟常任顧問、霊友会常務理事、靖国神社宮司、黒住教教主ら巨大宗教団体の幹部、ブリジストン関連会社の元社長ら財界人、東京大学名誉教授ら学者、そして保守系ジャーナリストなどの名前が並ぶ。機関誌「日本の息吹」では、「南京虐殺はなかった」「東京裁判は誤り」「首相の靖国参拝を」といった主張を展開。「教育改革」も大きなテーマの一つで、これまでの歴史教育を“自虐的”と批判する「新しい歴史教科書をつくる会」の活動を支援してきた。
日本会議の特徴は、国会議員と強いつながりを持つことだ。日本会議を支援する「日本会議国会議員懇談会」には、289人もの国会議員が参加する。懇談会メンバーである自民党中堅議員が明かす。
「積極的に献金したり、パーティー券を買ってくれるわけではないが、この懇談会に参加していないと、保守議員と名乗ってはいけないような空気が党内には漂っています。自民党本部には日本会議のイベントの告知ビラが貼られていますし、党との結びつきも強い」
注目すべきは、日本会議と安倍政権の関係だ。麻生副総理をはじめ、閣僚19人中13人が「懇談会」に参加している。むろん、安倍首相も同懇談会のメンバーで、日本会議主催のシンポジウムやイベントに頻繁に参加している生粋の支援者だ。
安倍内閣は「日本会議内閣」といっても過言ではないのだ。
安倍政権の政策ブレーン
「首相は日本会議のほうを向いて政治を行っているのでは、と思うことがある」
こう漏らすのは、官邸関係者だ。
「昨年2月、安倍さんは小泉政権時から議論されてきた、女系天皇を認めるという皇室典範の改正論議を白紙にすると発表しました。さらに、年末には靖国神社に参拝しましたが、これは日本会議へのアピールの意味が強かったのではないかと思います。いずれも日本会議が強く安倍首相に訴えて来たことです」
首相就任後2年弱の間で、安倍首相は「皇室典範改正の白紙化」「靖国参拝」「集団的自衛権の行使容認」「道徳の教科化の推進」など、日本会議と歩調を合わせるような政策・行動をとってきた。
実は、安倍首相は日本会議の幹部を“ブレーン”としている。自民党ベテラン議員が説明する。
「2006年に発足した第一次安倍政権では『五人組』といわれるブレーンが活躍しましたが、そのうちの一人は日本会議の常任理事を務める(日本政策研究センター代表)伊藤哲夫氏でした。また、同じく五人組の一人だった高崎経済大学の八木秀次氏(現在は麗澤大学教授)は、日本会議で講師として活躍している。
2012年12月に誕生した第二次安倍政権では、日本会議の代表委員を務める長谷川三千子氏をNHKの経営委員に任命しています。安倍政権と日本会議は切っても切り離せない関係なのです。安倍首相の著書『美しい国へ』(2006年刊行)を読めば、その歴史観、安全保障観、教育観が日本会議と大きく重なっていることがわかります」
首相の悲願である憲法改正でも、日本会議は大きな役割を担う。日本会議の関係者が明かす。
「憲法改正の意義を説明するDVDの配布や街頭での署名活動などを積極的に行っています。日本会議は憲法改正のための『3か年構想』を描いています。今年は『全国に憲法改正の推進本部を設置』、来年は『憲法改正への国会発議要請運動開始』、そして2016年には『国民投票の実施』という流れです」
全国の地方議員によって構成される「日本会議地方議連」には、1700人を超える議員が参加しているが、日本会議は彼らと連携して、草の根の憲法改正運動を活発化させるつもりだという。
「来年は日本武道館で、憲法改正を訴える大規模集会を行う予定です」(同)
「朝日が日本を滅ぼす!」
勢いづく日本会議 だが、 危うさも見える。日本会議の支援者には、問題を起こす議員が目立つのだ。
今年3月、社会学者の上野千鶴子・東京大学名誉教授が山梨市で介護問題についての講演をしようとしたところ、日本会議地方議連のメンバーである望月清賢市長が、上野氏のこれまでの思想や発言に問題があるとして、講演を中止しようとして騒動になった。
今年6月、東京都議会で塩村文夏都議に向かって「早く結婚しろ」とヤジを飛ばした鈴木章浩都議も日本会議のメンバー。彼は2012年に尖閣諸島に上陸して、事情聴取された経験もある。同じく6月、新宿で集団的自衛権に抗議した男性が焼身自殺を図ったことについて、ツィッター上で「迷惑極まりない行為で明らかに犯罪」「マスコミはイカれている」とつぶやき、「ネトウヨ議員」と批判を浴びた小野寺秀(まさる)北海道議もやはり日本会議地方議連のメンバーだ。
彼らに共通するのは、自分と違った考えや意見を持つ人間を排除しようとする姿勢だ。8月3日の福岡のイベントでも参加者からは「朝日新聞は日本を滅する新聞だ」「左翼団体に騙されてはいけない」といった言葉が飛び交った。前出の魚住氏は、安倍首相と日本会議の距離の近さに危機感を覚えるという。
「歴史観ひとつとっても、『日本会議』の考え方はあまりに一面的です。過去の戦争を賛美しているが、『あの戦争は正しかった』と一言でいえるものではないでしょう。今後、彼らは憲法改正、そして日本の軍備強化のために尽力するでしょうが、その憲法観も安全保障観も短絡的では、と不安になります。安倍首相の思想・歴史観もやはり短絡的なところがあるが、他者の意見を聞かずに進んでいくことの危うさを感じています」
安倍首相と日本会議が作る国は、本当に「美しい国」なのだろうか。
2012年12月に発足した第二次安倍内閣には「日本会議国会議員懇談会」のメンバーがたくさん。
安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相、谷垣禎一法務相、甘利明経済再生相、古屋圭司拉致問題担当相、稲田朋美行革担当相、茂木敏充経済産業相、岸田文雄外務相、菅義偉官房長官、小野寺五典防衛相、根本匠復興相、世耕弘成官房副長官、下村博文文部科学相、加藤勝信官房副長官、田村憲久厚生労働相。
日本会議国会議員懇談会の主な役員・メンバー
(2014年4月1日現在の役員名簿参照)
特別顧問(麻生太郎、安倍晋三)
顧問(谷垣禎一、石原慎太郎、亀井静香)
相談役(額賀福志郎、石破茂、山東昭子、鴻池祥肇)
会長(平沼赳夫)
会長代行(中曽根弘文)
副会長(古屋圭司、森英介、小池百合子、下村博文、菅義偉、高市早苗、新藤義孝、渡辺周、松原仁、藤井孝男、中山成彬、松野頼久、西村真悟、橋本聖子、山崎力)
幹事長(衛藤晟一)
副幹事長(加藤勝信)
政策審議会長(山谷えり子)
政策審議副会長(萩生田光一、稲田朋美、磯崎陽輔)
事務局長(鷲尾英一郎)
その他のメンバー(渡辺喜美、浜田靖一、伊吹文明、前原誠司、竹下亘、河村建夫、塩崎恭久、園田博之、山本幸三)
民主党の主な日本会議所属議員:長島昭久、原口一博、前原誠司、松原仁、御法川信英、笠浩史、鷲尾英一郎 ヾ(  ̄ヘ ̄)
障害児出産「減らしていける方向に」
茨城県教育委員の発言が波紋
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年11月19日
「茨城県では(障害児の出産を)減らしていける方向になったらいい」。同県教育委員の長谷川智恵子氏(七一)の発言が波紋を広げている。長谷川氏は発言を撤回した上で辞意を表明した。だが、不見識なのは長谷川氏だけか。日本社会に根強く残る差別意識の表れではないのか。
(中山洋子)
差別意識 日本に根強く
関係者に徒労感、憤り
長谷川氏の「本業」は東京・銀座の日動画廊副社長だ。茨城県笠間市の笠間日動美術館副館長を務めている縁で、今年四月に県教育委員に就いていた。
問題の発言は、十八日の県総合教育会議で飛び出した。橋本昌知事も出席する中、長谷川氏は、障害者らが通う特別支援学校二校の視察に触れながら「妊娠初期に(障害の有無が)分かるようにできないのか。特別支援学校には多くの方が従事し、県としては大変な予算と思う」「生まれてきてからでは大変」「減らしていける方向になったらいい」などと主張した。
この発言が報じられるや、ツイッター上では、「五体不満足」の著書がある作家で東京都教育委員の乙武洋匡氏が「私も生まれてこないほうがよかったですかね?」と書き込むなど批判が噴出。県教育委員会にも二十日夕までに六百件を超える抗議の電話やメールなどが殺到した。
長谷川氏は十九日、「言葉足らずの部分があった。数多くの方に多大な苦痛を与えた」と謝罪した上で発言を撤回した。当初は長谷川氏の発言を「問題ない」と擁護していた橋本知事も、同日深夜に「誤解を与えないよう(問題ないとの自らの)発言を撤回する」とのコメントを発表。これを受ける形で長谷川氏は二十日、県教委に辞職する意向を伝えた。
しかし、騒動は収まりそうもない。来年四月の障害者差別解消法施行を前に、茨城県も障害者差別を禁じる県条例を今年四月に施行したばかりだけに、関係者の徒労感は深い。
茨城県ダウン症協会の渡辺千代子会長は「出生前診断が広まり、周囲から『なぜ検査しなかったのか』と言われた若いお母さんもいる。長谷川氏も、障害者を無駄な存在と思っているから言ってしまうのでしょう」と歯がみする。
日本ダウン症協会は二十日、事情説明を求める質問状を知事と県教育長宛てに送付。全国の障害者団体でつくるNPO法人「DP1日本会議」も県への抗議声明を準備している。
DPIの佐藤聡事務局長は「障害者は生まれてこない方がいいとの発想で、日本も批准する障害者の権利条約の理念を理解していない。障害があってもなくても等しく大切にされる社会を目指すため、変わるべきは社会の側だ」と憤る。
一九九九年に当時の石原慎太郎都知事が重度心身障害者に「人格あるのかね」と放言して問題視されたが、障害者への差別発言はその後も絶えない。
「重大な人権侵害でうやむやにはできない。辞職で終わる問題ではない」と断じるのは、筑波技術大の一木玲子准教授(障害児教育)だ。まずは長谷川氏が教育委員として障害者や保護者らと会って学び、自らの偏見と向き合うべきだと訴える。「障害者を『かわいそう』な存在としてしか見ていない。残念だが長谷川氏のような発想をする大は少なくない」
茨城大で教えた経験がある金沢大の井上英夫名誉教授(福祉政策論)は、あらゆる弱者を軽視する昨今の風潮を危ぶむ。
「高齢者に金をかけない福祉政策も差別を助長している。人の命は等しく価値がある。障害者は生まれてこなかったらいいという戦前の優生思想を克服する方向で曲がりなりにも進んできた障害者政策を後退させてはならない」
日本ファシズムと優生思想
藤野豊 著 かもがわ出版
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/na/377.html
「存在に値しない命」とは何か。
病気・障害者への断種政策はナチスだけではなかった。優生思想が政策として社会に受容されていく過程を克明に描いた労作。
序章 日本ファシズムと優生思想―研究の現状と課題
第1章 第一次世界大戦と優生思想
第2章 優生運動の展開
第3章 人口問題と優生政策
第4章 ナチズムへの憧憬と警戒
第5章 アイヌ民族と優生思想
第6章 ファシズム体制下の優生政策
補論1 近代日本と優生思想の受容
補論2 部落問題と優生思想
補論3 近代日本のキリスト教と優生思想
終章 「戦後民主主義」下の優生思想
↧
悪を操るモノ…蠢(うごめ)く (ΦωΦ)フフフ…
↧