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Channel: 私にとって人間的なもので無縁なものはない
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小出裕章先生:国民が無関心で考えが浅く政府をしっかりと監視できていない場合は政府が暴走してしまう

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「安保法案」を成立させた安倍政権とどう向き合うか
(ラジオフォーラム#147)

https://youtu.be/3NNgyTuvKls?t=14m
14分0秒~第147回小出裕章ジャーナル
燃料デブリ取り出し工法の現状「上の方から覗いて取り出すなんてことは到底できないのです」

http://www.rafjp.org/koidejournal/no147/
実験的に作られた核燃料溶融物
実験的に作られた核燃料溶融物 アルゴンヌ国立研究所

西谷文和:
今日は「福島第一原発、燃料デブリ取り出し工法の現状」と題してお聞きしたいのですが、名古屋大学などが「素粒子、宇宙からの素粒子ですかね、を使って原子炉を透視した結果、2号機の核燃料の70~100%が溶け落ちている可能性が高いことが分かった」というふうに報道されてます。1号機も全部溶け落ちていることが分かって、2号機もこの状態だったというこの現状なんですが、この現状について、小出先生どういうふうにお考えですか?

小出さん:
何をいまさら言ってるのかなと私は思います。1号機も2号機も3号機もほぼ100%溶けて落ちていると、私はもうずっと以前から言っていますし、たぶんそうだろうと思っています

炉内の状況と課題

西谷:
政府や東京電力はまだこのデブリを取り出すというふうに言ってるんですが、これ本当にできるんでしょうか?

小出さん:
政府も東京電力もこれまで原子力に関する限り、ずっと甘い見通しでやってきたのです。もちろん事故そのものが起きないと彼らは言ってきたわけですし、残念ながらそんな彼らの甘い見通し通りにはいかないで、事故そのものも起きてしまいました

その後も常に彼らは甘い見通し、甘い見通しでこれまでやってきたわけですが、事故の収束ということも、私はもう彼らが描いてる絵があまりにも甘すぎて、「そんなものは到底実行できない」というふうにずっと発言してきましたし、今もそう思っています

西谷:
3つの工法があって、この取り出し工法を3つ考えてるということなんですが、この3つの工法の内容をもし、わかりやすく伝えて頂けるんなら教えて頂きたいのと、本当にできるのかということも。

三つの核燃料(デブリ)の取り出し工法

小出さん:
はい。もともと国と東京電力は、溶け落ちた炉心を上の方から取り出すという工程表を書いていたのです。そのためには、格納容器という放射能を閉じ込めるために設計された容器全体を水浸しにしなければいけないのですけれども。

模擬デブリを用いた特性の把握デブリ処置技術開発

西谷:
でも、穴開いてますよね?

チェルノブイリ原発事故 核燃料溶融物
チェルノブイリ原発事故 核燃料溶融物

小出さん:
はい。格納容器そのものに穴が開いてしまっているわけです。どこに穴が空いてるか未だにわからないわけですし、何とかそれを突き止めたとしても、今度はそれを修理しなければいけないのです。

1ヶ所修理したと思っても、また他の所が破れていたとすれば、やはり水を貯めることはできませんので、またどこが破れてるかを探さなければいけない。そして、修理をしなければいけないということをたぶん延々とやらなければならないことになると思います。ようやくそれで修理したとしても、もともと格納容器というのは、水を満水にするなんていう設計になっていませんので、むしろそんなことをやれば、危険がまた生じてしまうだろうと思います
その上ですけれども、やっとそれができたとしても、上の方から覗いて、溶け落ちた炉心がある格納容器の床というのは35メートルも40メートルも深い所で、そんな所から本当に物を取り出すことができるかということもものすごい大変なことなわけですし、私は実はもうそんな所にはないと、格納容器の広範な部分にもうバラまかれてしまっていますし、場合によっては格納容器の床、あるいは隔壁を突き破って外に出ているかもしれないと私は発言しているわけで、上の方から覗いて取り出すなんてことは到底できないのです
水に核燃料(デブリ)が落ちる様子
水に核燃料(デブリ)が落ちる様子

だから、まあ彼らも様々な別の案を考えているというようなことを今、言い出していて、「横の方向から穴を開けて取り出す。あるいは、下の方向から穴を開けて取り出すというような方法も考えています」というようなことを言っているわけですけれども、ああだこうだ言いながら時間稼ぎをしていると私には見えます

西谷:
そもそも水で冠水できるんであれば、汚染水漏れませんよね?

小出さん:
もちろんです。今現在、生じている放射能汚染水問題というのは、格納容器がもう穴が開いてしまって、注入している水がどんどん漏れてきてしまうということから始まっているわけですし、冠水ができるような水棺、水の棺と呼ばれていますけれども、そんなことができる道理がもともとないのです。でも彼らはできるできると、これまでずっと言ってきて時間稼ぎをしてきたと言うか、事態をいっそう悪くしてきてしまったのは彼らなのです

小出裕章ジャーナル

西谷:
最後に先生ひとつだけ、燃料デブリと下の基礎のコンクリートが混ざっているという指摘もあるんですけど。

小出さん:
もちろんです。もうとっくに。

実験的に作られた溶融物の表面の模様
実験的に作られた溶融物の表面の模様
Nuclear Engineering and Design(2003)


西谷:
とっくに入ってる?

red-blue-animation3
原子炉過酷事故実験における溶融核燃料の動き

小出さん:
はい。溶け落ちた炉心は、圧力容器という鋼鉄製の圧力窯の底を抜いて、格納容器の床の上に落ちたのですが、格納容器の床はコンクリートでできていまして、コンクリートと溶け落ちてきた炉心が猛烈に反応して、爆発性のガスなども大量に噴き出したはずだと私は思っていますし

コンクリートと溶融核燃料の相互作用実験
コンクリートと溶融核燃料の相互作用実験02
コンクリートと溶融核燃料の相互作用実験結果
コンクリートと溶融核燃料の相互作用実験結果 アルゴンヌ国立研究所

西谷:
コンクリートと混ざると、そういうガスが出てくるんですか?

小出さん:
そうです。一酸化炭素ほか爆発性のガスが大量に発生することになります。特に3号機の爆発というのが特別に巨大だったわけですが、それは私は溶け落ちた炉心と格納容器の床が反応して発生した爆発性のガスのためだと思っています
Core-Concrete Interaction
炉心溶融物とコンクリートの相互作用で発生するガス

西谷:
水蒸気だけではなくて? 他のガスもあったんではないかということですか?

小出さん:
はい。もともと水素爆発と言って、水素が爆発したというふうな推定だったんですけれども。それだけではなくて、溶け落ちた炉心が格納容器の床と反応して、爆発性のガスを大量に発生させて、それが爆発したと私は思っています

西谷:
はい。どうも、本当に考えれば考えるほど、将来のことをほんとに危惧するわけですが。小出さん、やはりここでひとつ、やっぱり今までの改めてリセットしていかないといけない、時間稼ぎをしてはいけないということですね?

小出さん:
はい。まあ時間稼ぎなんかしてはいけませんし、まずは何よりもこれまでやってきたことが間違えていたということを全ての人に知って欲しいし、やってきた人達自身もそれをきちっと認識して、自分の責任を明らかにするということが、まず一番初めに必要だと思います。

西谷:
はい、よくわかりました。小出さん、今日はありがとうございました。

小出さん:
はい、ありがとうございました。



3.11から未来へ 
~原発廃炉から始まる明るい静岡~
小出裕章さん講演会2015年10月17日


https://youtu.be/VmKvIx5KopA

質疑小出裕章さん講演会2015年10月17日

https://youtu.be/NzTpSpvzsZM
「(公衆被ばく年1㍉シーベルトに戻すには)簡単です。自民党を倒せばいいのです。」
( `・ω・´ )

原発廃炉から始まる明るい静~ 小出裕章さん講演会


2015/11/03 全国一斉スタンディング@松本駅前-小出裕章先生スピーチ

https://youtu.be/hTiBVquRB8s


小出裕章さん「松本駅に立つ理由。」- 2015.10.22

https://youtu.be/qf5Jf-kGAA0



原発と戦争を推し進める愚かな国、日本
小出裕章著
http://mainichibooks.com/books/social/post-98.html
原発と戦争を推し進める愚かな国、日本 表紙

第4章
不都合な事実を黙殺する日本メディア
より

愚かな国民には愚かな政府

 概して日本人は、報道する側もそれを受ける側も、なにか事件が勃発した時は大変だ、大変だと言って大騒ぎをしますが、先行きが見えてきたり、その状況に慣れてきたりしたところで、まるですべてが終わって解決したかのように、パタンと蓋が閉じられてしまいます。
 昔、チェルノブイリ原子力発電所の事故が起こった時もそうでした。…略…
 それから、インターネットを見ていると、例えば「地底臨界」などというニュースもたくさん流れてきます。多くの方が、その情報が真実であると思い、不安を抱えているようです。しかし、地底臨界が起こる可能性はゼロではありませんけれども、可能性は限りなく低いです。その上、仮に再臨界したとしても、巨大な爆発があるとか、猛烈に発熱するとか、そんなことは決してありません。こんなことに目を奪われることのほうが、むしろ害悪だと私は思います。
 そして何より問題だと思うのは、日本の国民は、このニュースは自分たちには関係ないと思ったとたん、無関心になることです
 …略…
 テレビで原子炉建屋が爆発する様子を見て、一瞬、危機感を抱いたかもしれませんが、その時に飛散した放射能で被曝(ひばく)することを心配するような空気は感じられませんでした。
 関西から見ると、福島はチェルノブイリよりも近いですし、放射性物質も大量に放出されました。事故時の風向きを知って、自分たちのところには飛んでこないようだ、大丈夫だ、と思ったとたんに、どこか遠いところの出来事になってしまったのです。
「愚かな国民には愚かな政府」とはよく言われることです。たとえ民主主義を謳(うた)う国家であっても、国民が無関心で考えが浅く、政府をしっかりと監視できていない場合は、政府が暴走してしまうのです。残念なことに今の日本は、まさに政府のやりたい放題になっています


暗黒の時代に向かう流れは 今もある
愚かな国民には愚かな政府

「悪魔を退くる力なきは、其(その)身も亦(また)悪魔なればなり。已に業(わざ)に其身悪魔にして悪魔を退けんは難し。茲(ここ)に於(おい)てか懺悔洗礼を要す」田中正造





「民主主義不在」の根底にある
福島原発事故

(東京新聞【こちら特報部】)2015年10月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015100802000131.html
 安保関連法をめぐっては国民主権や民主主義の空洞化が再三、指摘された。それは福島原発事故にも通じる。事故収束には私たちの資金が長期に投入されるが、工程を含めて、国民的な議論は存在しない。除染の完了にも住民合意が不可欠なはずだが、一方的に宣言と帰還が進められている。民主主義の「喪失」「不在」という現在の政治状況の根底に、福島の事故が影を落としていることは疑いない。
(榊原崇仁、中山洋子)

「民主主義不在」の根底にある 福島原発事故_1

国民負担増加
明確な説明なく


 事故発生から四年半を過ぎ、東京電力福島第一原発の事故収束作業は現在、どうなっているのか。
 廃炉までのロードマップ(工程表)は二〇一一年五月に示し、一三年六月に発表された中長期計画によれば、3号機の核燃料プールからの使用済み燃料の取り出しを本年度から、1、2号機も一七年度から始めるとされていた。
 しかし、今年六月の再改定で、取り出し開始は最大で三年遅れに。がれきの撤去や作業フロアの除染が難航しているためだ。その一方で、三十~四十年という廃炉完了までの期間はそのままになっている。
 事故処理の技術的問題点を考える「プラント技術者の会」の筒井哲郎氏は「事故を起こしていない原発の廃炉工程だけで二十五年。事故炉を三十~四十年で廃炉にできるなんて誰も信じていない」とあきれる。
 「放射線量を考えると、百年や二百年の事業だ
 安倍晋三首相が二年前、「完全にコントロールされている」と言い切った汚染水対策に限っても、貯蔵夕ンクからの汚染水漏れが相次ぎ、汚染水処理の切り札とされた「ALPS」はトラブル続き。建屋地下を氷の壁で囲み、地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」も準備作業が難航し、完了のめどはたっていない。
 費用も膨らむ一方だ。廃炉や汚染水処理は東電の負担となっていたが、汚染水の海への流出が発覚。一三年夏に、国があわてて遮水壁設置の支援を決めた。
 会計検査院によると、1~4号機の廃炉や汚染氷対策で東電の支出以外に、国は一四年度までに約千八百九十億円を投入した
 「事故直後から、地下水対策は練られた。だが、東電が費用を出し惜しみし、実現しなかった。当時ならば、もっと安くて確実な手段が可能だった。国と東電の官僚主義が費用を膨らませている」(筒井氏)
 汚染水の処理装置で使い物にならなかったものも多い。検査院の資料では、一一年六月に三百二十一億円で導入したセシウムの除染装置は三ヵ月で運転停止。一一年八月に約百八十四億円で導入した汚染水の塩分を取り除く装置三基も、やはり運転を止めた。
 東電は当初、廃炉と汚染水処理対策に約一兆円を計上したが、現在は二兆円を見込む。立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「追加の一兆円の大半は廃炉対策ではなく、汚染水対策費。総額はとても二兆円では収まらない」とみる。東電は米スリーマイル島事故を例に試算しているとされるが、福島のケースは難易度がはるかに高い。国民負担も世代をまたぐ。
 大島教授は「東電は廃炉コストをはっきり説明していない。あちこちの数字を集めて、類推するのがやっと。どのくらいの総費用になるのか。長期にわたり、ツケを支払わされる国民に対し、議論を開くことが最低限の道理だ」と憤る。

「民主主義不在」の根底にある 福島原発事故_2

除染や帰還判断
住民合意不可欠


 事故収束のみならず、被ばくや帰還をめぐっても国民不在だ。典型例は、福島県南相馬市特定避難勧奨地点をめぐる訴訟だ。
 国は福島原発事故直後、局所的に線量が高い「ホットスポット」を同地点に指定し、避難に伴う慰謝料として一人月額十万円か支払われた。しかし、南相馬市分は昨年十二月、国が「線量が下がった」として指定を解除したため、地元の住民らが今年四月、国に解除の取り消しなどを求めて提訴した。
 原告側は低線量被ぱくを懸念し、年間二〇㍉シーベルトという避難基準の撤回を求めるが、訴訟では同時に「解除の手続きは民主主義に反していた」と問うている。
 国は解除に先だって、住民説明会を開いてきた。だが、原告の一人で市民団体「南相馬・避難勧奨地域の会」事務局長の小沢洋一さん(五九)は「会場の中で解除に賛成する意見はなく、国は民意を無視して解除を強行した」と訴える。
 そもそも国の旧原子力安全委員会(一二年九月に廃止)は一一年八月、「福島第一原発事故における緊急防護措置の解除に関する考え方について」と題した文書で、避難指示などの緊急防護措置を解除する際は「関連する地元の自治体・住民等が関与できる枠組みを構築し、適切に運用すること」と求めていた。
 訴状ではこの点に触れたうえ、「解除の意思決定に地元自治体や住民が関与できる枠組みは何ら存在せず、政府が決定した方針を一方的に伝達するとの非民主的な方法で解除が強行された」と主張している。
 旧原安委の「考え方」も独り善がりではなく、論拠がある。それは国際放射線防護委員会(ICRP)○八年十月に出した勧告で、やはり「防護措置の終了に関する話し合いに利害関係者を参加させることが重要」と記している。
 民間の国際学術組織であるICRPは原発推進寄りと目されているが、そこでさえ「民意」を重んじている。ICRPの委員を務めてきた伴信彦・東京医療保健大教授は、九月から原子力規制委員会の委員に就いており、前出の小沢さんは「当たり前のことがなされていない現実をどう考えるのか」と問いかける。
 ただ現状では、住民のみならず首長も解除の決定権を持てずにいる。
 南相馬市の桜井勝延市長は二月の「こちら特報部」の取材で、特定避難勧奨地点の解除に同意したかと問われると、「そういう手続きがあるわけではない」と発言。前後して楢葉町が開いた住民説明会では、松本幸英町長が「避難指示を出したのは国。解除するのも国」と述べている。
 だが、地元では不満を表明しにくい状況がある。
 福島原発事故に伴う損害賠償を求める団体などでつくる「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」共同代表の武藤類子さん(六二)は「復興が前面に押し出され、放射線に対する不安や避難生活への不満は『我慢すべきもの』として扱われつつある」と話す。
 住民の心情を反映した数字もある。地元の福島民報などは県民対象、共同通信は全国対象の世論調査をしているが、安倍内閣の支持率は今年に入り、福島の方が10~20%前後低い傾向があり、先月も全国で38・9
%だったのに対し、福島は30・9%だった。
 武藤さんは「不満を募らせながら我慢する不健全な状況があるのは間違いない」と語り、こう訴える。
 「どうにもならないと諦めてはいけない。電力を使って、便利さを享受してきた私たちにも事故の後始末をする責任がある。被災者同士、立場を超えてつながりを広げることが私たちの世代の責任だ。黙り込んでは何も変わらない

民主主義不在」の根底にある 福島原発事故_デスク


原発天下り


「100㌔圏外に避難不可能なら
 原発再稼働 認めるな」

余命わずか 放射線研究者の「遺言」
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年11月1日

 「原発の100㌔圏外に、すぐに避難できる支援策がない限り、再稼働を認めるべきではない」-。低線量被ばくの健康への悪影響を訴えてきた一人の放射線研究者が、原発の再稼働が進む現状にあらためて警鐘を鳴らす。がんで「余命わずか」と宣告されたという。「遺言のつもり。福島の事故の教訓を無視するのはおかしい」
(荒井六貴)

余命わずか 放射線研究者の「遺言」

低線量被ばくに警鐘

 研究者は四十代で、関東地方の国立機関で二十年以上、放射線発生装置の開発などに携わってきた。「study(スタディー)2007」のハンドルネームでブログを書き、六月には著書「見捨てられた初期被曝(ひばく)」を出版した。
 実名を明かさないのは、家族や所属機関に迷惑をかけたくないからだが、「後ろめたさもある」と言う。「電力業界から奨学金を受け、研究費も受け取ってきた。恩義を感じる部分もある」と認める。
 低線量被ぱくの問題に言及するのは、二〇〇七年、自分の体でがんが見つかったことも影響している。仕事を続けながら治療をしてきたが、’肺や副腎、骨にも転移した。薬の副作用で髪が抜け、いまはもう思うように体が動かない。
 発症した当初、「がんの原因は分からないが、放射能も頭によぎった」と言う。放射線に関わる仕事のため、年間〇・三㍉シーベルトほど被ぱくしていた。「この程度では、科学的には、健康への影響は認められないということになる。だが、『これ以下なら安全』という被ぽく線量の数値が明確ではないことも事実だ
 東京電力福島第一原発事故後、ブログで、低線量被ばくの影響についても訴えるようになった。
 一一年三月十五日には「緊急」と題し、「原発百㌔以内の妊婦、幼児は圏外に出ることを推奨します」と発信した。福島第一原発から百㌔離れた茨城県東海村で、毎時一㍃シーベルト超の空間放射線量が確認されたからだ。
 「これぐらいの数値だと細胞の修復が追いつかず、有意に発がんに寄与するかもしれない」。数値が下がらないまま、毎時一㍃シーベルトの地域に三十日間とどまれぱ単純計算で七二〇㍃シーベルト被ばくする。この数値の被ぱくをすると、「十万人に四人程度」の割合でがん発症の恐れがあると指摘した
 国際放射線防護委員会(ICRP)は一シーベルト浴びた場合のがん発症確率を6%としている。この数値を基に単純計算で出した割合だが、可能性を否定できないという。一年ほど毎時一㍃シーベルトの状況が続けば、がんになる割合は「十万人中五十人」になるが、「それでも、やはり我慢なのか。特に、胎児や幼児への影響は無視できない」。
 九州電力川内原発が再稼働し、四国電力伊方原発の再稼働への動きがみられる。だがい原子力規制委員会は住民の避難計画に関わらない。原発の爆発事故で、百㌔先に放射性物質が飛散することを経験したのに、百㌔圈の避難計画を全く想定しない
 「国は、セシウムによる土壌汚染で、帰還をためらう自主避難中の人たちを、支援打ち切りで経済的に追い込むという、おかしなこともしている。規制委は、過酷事故が起きたらどうなるか、本気で考えなければいけない





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