「民主主義って何だ」
私の言葉で問い続ける
SEALDs KANSAI 大澤茉実さん(21)
ゆうPress 若者のページ
(しんぶん赤旗)2015年11月2日
戦争法反対の抗議行動を通じて、考え、行動する大切さを実感した若者がいます。立命館大学2年生で、「SEALDs KANSAI」(シールズ関西)のメンバー、大澤茉実(まみ)さん(20)です。少し前まで、社会や政治に関。して「きちんと理解しないと、意見をいってはいけない」「いくら反対しても、止められなければ無意味」と思っていたと話します。
(前田智也)
福島第1原発事故が起こった2011年。初めてデモを見ました。「そのときは、何をしているんだろう。これで社会を変えられるのかな」と感じていました。
考えが変わったのは昨年でした。イスラエルに占領されているパレスチナを訪れ、入植者に対して抗議の声をあげ続ける人びとと出会いました。「黙っていては、今よりもっと抑圧されてしまう。一人ひとりの行動、声、それ自体が尊厳や自由を守っていると実感した」
もうひとつは、就職、結婚、出産、将来について友人と一緒に悩み、「私が見ている現実と、安倍政権のいう政策があまりにも乖離(かいり)していること」でした。「雇用に年金、女性が輝く社会…。政治と切り雕して、生活を考えることはできないと思った」と話します。
仲間と勉強会やって
この夏、「SEALDs KANSAI」のメンバーになりました。学習会の企画や、メンバーとの勉強会を積極的におこなっています。デモや街頭宣伝(街宣)のときは、ツイッターで様子をつぶやく係です。「話すのは苦手」。ずっと断り続けていたスピーチをしたのは、9月19日の未明の国会正門前でした。参院本会議で戦争法が強行採決された直後です。
「安倍首相は、数の力で憲法違反のことを押し進めることはできますが、ここに集まっているこの声を消すことはできません。国民の多くが気づき始めた政権の危うさに対する疑念を拭い去ることはできません」「国会で寝ている議員よりも、ずっと真剣に政治のことを考えている自信があります。それは、かなえたい夢と、生きていきたい未来があるからです。毎日、命を懸命に生きているからです」
名もなき一人として
スピーチは「自分に向けての言葉。絶対にあきらめないという気持ち」をこめました。
スマートフォンを見せてもらうと、日常で感動したことや思ったことを書き留めています。「街宣をしていたとき、スーツ姿の人が、かぱんからプラカードをスツと出して掲げてくれた。すごくかっこいいと思った。私も名もなき一人として、そういう人を代表して話したい。私自身の言葉で話したいと思いました」
10月25日、大澤さんは学者と学生が共同で開催したシンーポジウム(東京・法政大学)で発言しました。
「この夏、普通たったことは、どんどん普通じゃなくなりました。昨日までファッションの話しかしなかった学生が、政治を語り始めた。本とパソコンの前から動かなかった学者が、雨に打たれながら路上に立つた」
「臆病なわたしが、国会前でマイクを握った。当たり前に順応するのではなく、何を当たり前にしたいのか常に思考し行動し続けること、どうやらそれだけが、未来を連れてきてくれるようです」
「空気を読んでいては、空気は変わらないのです。そのことを、デモをするたび、街宣をするたび、一緒に声をあげる名前の知らな。い人たちがその勇気でもって教えてくれました」
大澤さんはいま、「いろんなことがすぐに変わるなんて思っていない。もっと政治について話せる場所をつくっていきたい」と話します。「戦争法が強行採決されてから、関心を持った人も多いと思う。そんな人たちに、『民主主義って何だ?』つて問い続けたい。また明日からもがんぱります」
安全保障関連法に反対する学者の会
【学者と学生によるシンポジウム】2015年10月25日
大澤茉実さんの感動のスピーチです!
https://youtu.be/4W2N_cG9dfA
勇気が政治を動かす
戦争法反対 学者と学生のシンポ
自由闊達に 討論(第2部から)
(しんぶん赤旗)2015年10月28日
25日、東京都内で開かれたシンポジウム「岐路に立つ日本の立憲主義・民主主義・平和主義一大学人の使命と責任を問い直す」。第1部で基調報告やスピーチが行われました(既報)。第2部は、5人の学者と学生・院生がパネリストになり、自由闊達(かったつ)に討論しました。
自分の意思で声あげる
各氏が戦争法反対の運動の新しい特徴について発言しました。
早稲田大学の長谷部恭男(やすお)教授は「成立前も成立後も多くの一般国民、一般市民の方が自分で考え、判断し、ご自身の意思で反対の声を上げていることだ」と述べ、自覚的に行動した国民の変化に注目しました。
「立憲デモクラシーの会」の立ち上げなど、学者らによる戦争法反対のだたかいをふりかえりながら語っだのは、上智大学の中野晃一教授です。これまで平和運動にそれぞれ取り組んできた団体
が「総がかり行動」として共同し、さらにSEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)が加わり「個人で来ることができる場をつくった」ことが運動を広げたと指摘。「勇気をもって個人が立ちだして、”あなたも主権者だから来てよ″といわれて、一人ひとりが勇気をもって来た。そういう形になっだのが画期的だ」と語りました。
そのうえで中野氏は、シールズの学生について「理性、感受性がすばらしいと思うが、すごいのは勇気だと思う」と指摘。「勇気をもって動くと、それが伝播(でんぱ)する。その連鎖反応が起きて、がんばる国会議員が出てきた。そういうことが院内にも入っていった」とのべました。
「安全保障関理法に反対する学者の会」の呼びかけ人である慶応大学の小熊(おぐま)英二教授は、日本において「平和と民主主義、憲法」とは、フランスにとっての「自由、平等、友愛」にあたると言及。「この価値観、秩序をおかす動きが起きた場合には、(国民は)かなり激しく反撃するということがみられた」と
分析しました。2011年の原発事故、12年の脱原発の運動が起きたときのメディアの対応と比較して、2015年の対応は変わったという印象をもっているとして、「日本社会といえども変わりつつある」と語りました。
SEALDsの奥田愛基(あき)氏は「だれかのせいにするんじゃなくて、自分がやることをやるのが大事。ぼくもそうしてきた。それがこの数カ月間の歩みだった」とふりかえりました。
学者と学生がともに立ち上がった意義について、SEALDsの干葉泰真氏は両者が対立した
歴史があったことにふれ、「いまあるべき関係性になりつつあるのではないか。この夏、会前で一緒にコールしたり、スピーチしたり、怒りを共有することができたことに、社会全体の意義の深さを感じている」とのべました。
立憲主義の言葉広がる
運動を通じて、戦争法の問題点とあわせて、立憲主義という言葉が広がりました。
奥田氏は「議会で多数派をとっていても守らないといけないコンセプト(概念)が立憲主義。立憲主義そのものが壊されている感じがする。いま危機感をもっている」とのべました。
長谷部氏は、立憲主義は世界観や価値観が多様な中で、人間らしい社会生活の枠組みをつくるものだと指摘。あわせて戦争法について「政府の説明に従来の見解との整合性はない。憲法9条に違反するという道理が通らない政権だ」と批判しました。「損得勘定で考えても得になる理由はない。アメリカにつきあって世界中で兵たんを担う。他国との紛争に巻き込まれるリスクを増やす。どう考えても損になる」と語りました。
民主主義の未来感じる
安倍政権をどう見るか。
千葉氏は、与党、政権、安倍首相だけが政治を行うならば、独裁といわれる政治体制と何か違うのか、と批判。安倍政権はすでに国民の代表ではないとして、政権にとどまりつづける大義はないと語りました。
千葉氏は「主権者たる強い意志をもった国民の姿に、民主主義の未来を感じずにはいられない。運動はこの先も続く」と強調。「安倍政権が後世に伝えられるときは、集団的自衛権を行使できるようにした総理大臣としてではなく、悪政によって日本の民主主義を再び目覚めさせた人物として伝えられるでしょう」と語ると、大きな拍手に包まれました。
長谷部氏は、非合理的な判断をする安倍首相の行動を「どうも政治の問題を、『好き』『嫌い』で判断するようだ」と指摘。「今の政権がずっといることになると、日本の政治を壊す、さらには日本という国を壊すことになりかねない。大変危険だ」と警鐘を鳴らしました。
今後の展望をどう開く
戦争法が成立したもとで、今後の展望をどう開くのか。
小熊氏は、「どの国でもインターネットを通じた自由参加型の運動を選挙結果につなげるのに苦労がある。日本もこれからだ」とのべました。
奥田氏は、「若者は無関心だという話があるが、おとなは無関心だという人がいるのか」とのべ、こうした議論に意味はないと語りました。6月に野党5党をよんだ街頭宣伝を困難があったなかでも実施し、戦争法の成立後も渋谷の街頭宣伝で野党5党が参加したことにふれ、「現実は変わっています」と強調。そのうえで、「あの政党は選挙協力をしない」「政党の名前のイメージが悪い」などの議論があることについて、「好きな人、嫌いな人の1人や2人はいるでしょう。しかし、そんな予定調和の世界をわれわれはこえることができます」と語りました。
シンポは、「安全保障関連法に反対する学者の会」が主催し、SEALDsの共催、「立憲デモクラシーの会」の協力で開かれました。
学者と学生によるシンポジウム第2部(2015年10月25日)
https://youtu.be/3J3kDNbnctM
「私の闘争宣言」
弁護士・元最高裁判事 浜田邦夫さん
焦点・論点(しんぶん赤旗)2015年10月8日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-08/2015100803_01_0.html
9月の参院安保法制特別委員会の中央公聴会で、公述人として戦争法案(安保法制)を「違憲です」ときっぱりと述べ、今の政治のあり方に「日本の民主主義の基盤が崩れていく」と危機感を表明した浜田邦夫弁護士・元最高裁判所判事。”危機”の内容について聞きました。
(若林明)
反知性の抵抗勢力による
暗黒日本への逆コース阻止しよう
幻想と思い込み
―どういう意味で日本の危機なのでしょうか。
今日本で起こっていることは、日本の行く末を左右するような大きな問題です。戦争法の問題もそうですが大学の人文系を減らして武器生産につながる軍事研究をやれというあからさまな圧力があります。だから千人以上の大学の先生たちが学問の自由の問題としても立ち上がっています。理性にもとづいて現実を正確に見ないで、幻想と思い込み、偏見にもとづいた反知性の政治が行われており、それをサポートする一部の“ウルトラ右翼”のような人たちがのさばる風潮があります。
単に戦争法の問題ではなく、自由で平和な日本を守る、民主主義社会を守るための“全面戦争”です。そこまで視野を広げて国民各層のエネルギーを持続させ、来年の参議院選挙、さらに次の総選挙で安倍政権に審判を下すというプランをもって動かないといけない。私もそういう思いで運動していきます。
法の秩序を無視
―戦争法についてはどうですか。
今回の戦争法で日本にとってのデメリットはたくさんあります。一番大きいのは憲法と法の秩序をまったく無視している点です。結局ナチスがやったようなクーデター的手法で成立させました。麻生副総理が「ナチスのやり方を学べ」といいましたが、それが冗談ではない状況です。
“現実的に他国から攻めてこられたら怖い、だからアメリカの助けを借りるため”ということだけですべてを正当化するのが、安倍政権の論理です。
しかし、民主主義国家には国民主権などの原理にもとづいて国民の権利を守るための憲法があり、法の支配があります。それでこそ民主主義社会です。仮に他国が攻めてきたときにアメリカの力を借りるためには、それを無視してもいいという安倍政権の考え方は基本的に間違っています。
この考え方の根拠となっているのが「抑止力」論です。安倍政権は今回の戦争法の「メリット」について抑止力が高まったことだといいます。私は政権を支持する人たちが、この“抑止力”というマジックワードに目をくもらされていると思います。安倍政権がいう抑止力は実在するのか。私はかなり疑わしいと思います。アメリカは自国民の死傷者を減らし、税金をセーブし、その肩代わりをしろといっているにすぎない。
いざというときにアメリカが助けてくれるから戦争法をつくりアメリカの肩代わりをしようという言い方ですが、仮に、日中間で軍事的な問題があっても、アメリカが日本を助けてくれるとはかぎりません。いざとなると経済的理由で、中国の方を選ぶ可能性があります。
「抑止力」の存否について、国民にもわかりやすく検証し、その実像を明らかにしていくことが必要です。
―そのほかのデメリットはどうですか。
「平和国家」という国際社会でのイメージを失うことです。人道的な国際支援活動をしている人はもちろん、一般企業もテロの対象になる可能性が高まるなど大きな影響を受けると思います。一般の消費財の製造業やIT関連の技術を持っている企業は、今後の国際的に展開するうえで大きなマイナスのはずです。さらに日本の中で経営が厳しく、海外に出て行こうとする中小企業にもものすごく影響があります。
大きな問題は徴兵制です。アメリカで徴兵制が無くなったときに兵隊になっていったのは経済的に恵まれない人たちです。実際に海外に派兵して紛争に巻き込まれたとき、被害者は日本の中でも弱い立場にある人の子弟です。
民主運動育てる
―戦争法のほかにも日本社会の危機というべき点はありますか。
言論の自由への攻撃をはじめ“右傾化”といえる傾向が現実に起きています。SEALDs(シールズ)の奥田愛基くんに殺人予告が送られました。テロ国家のように日本の社会全体が変えられてしまう危機感を覚えます。
公聴会での私の発言に対してもインターネット上で、「極左」「無国籍者」という誹謗(ひぼう)中傷が行われました。私が「極左」になると私より「左」だった人はどこに行ってしまったのか。「無国籍者」という非難は、つきつめれば、国を愛するなら安倍政権を支持しなさい、そうでないと日本人ではないという考えです。戦前の「あいつは『赤』だ」「あいつは『非国民』だ」という言い方と同じです。
さらにNHKはじめ一部メディアの偏向の問題があります。日本の言論の自由、民主主義が問われる重大な問題です。
―これからの戦争法廃止の運動についてどう思いますか。
私も国会前の行動に数回参加しました。新しい民主主義が始まった。それを育てる。今の戦争法に限らず原発の問題などいろんな問題で新しい民主的な運動を社会的に育てていくことが日本全体として必要です。安倍首相は時間がたてば反対はおさまると思っているようですが、国民をばかにした話です。だから運動を持続的にいっそう広げることが大事です。私もできることをやっていくつもりです。そこで私個人のマニフェスト=闘争宣言を掲げました。
「自由で、平和な美しい日本を守ろう! 抵抗勢力は、知的なものに反発しこれを圧迫し、人の尊厳を冒す言動をし、また幻想を追って自らのそして世界の現実を冷静に見つめることを拒否する人々だ。第2次世界大戦終戦後70年で日本が築き上げてきた自由で豊かな社会、ユニークな国際的信用を大きく傷つけてはならない。この抵抗勢力がたどっている戦前の暗黒の日本への逆コースを阻止しよう! そのため、言論の自由、学問の自由そして憲法と法の支配をあくまでも守るために、皆で立ち上がろう!
2015年10月2日 弁護士 濱田邦夫」
私はこの考えにもとづいて行動したいと思います。
元最高裁判事・濱田邦夫
「今は亡き内閣法制局」と批判「採決強行は問題」
9/15公聴会
https://youtu.be/oV5ux9uOmbs
【全文文字起し→http://iwj.co.jp/wj/open/archives/264771 】
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大澤茉実さん:「空気を読んでいては、空気は変わらないのです。」゚・*:.。. 感(*´ω`*)動
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