原発広報施設に四国電マネー
愛媛県、伊方町が設置 揺らぐ中立
(東京新聞)2015年10月27日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201510/CK2015102702000114.html
知事が四国電力伊方(いかた)原発(愛媛県伊方町)の再稼働への同意を表明した愛媛県で、県や町が独自に設置した原子力広報センターの設立費用や運営費に、四電からの多額の出資や寄付金が充てられていたことが分かった。新潟県の同種施設では全額自治体が出資。立地自治体には、原発安全性を監視する役割も期待されるが、電力会社と共同での原発PRに、中立性を疑う指摘もある。
(荒井六貴)
1/3出資 運営の4割寄付
知事が四国電力伊方(いかた)原発(愛媛県伊方町)の再稼働への同意を表明した愛媛県で、県や町が独自に設置した原子力広報センターの設立費用や運営費に、四電からの多額の出資や寄付金が充てられていたことが分かった。新潟県の同種施設では全額自治体が出資。立地自治体には、原発安全性を監視する役割も期待されるが、電力会社と共同での原発PRに、中立性を疑う指摘もある。 (荒井六貴)
問題の施設は、伊方町役場とは道路を挟んだ場所にある伊方原子力広報センター。四電のPR施設とは別に、県などが独自に、市民に原発のことを知ってもらう施設として設けた。
運営は同名の公益財団法人が担うが、愛媛県や伊方町、四電の三者がそれぞれ二百万円を出資し、一九八三年四月に設立された。法人登記簿の目的欄には「原子力の平和利用の円滑な推進に寄与する」と書かれている。
常勤理事には、伊方町を管轄する県南予地方局の総務県民課長OBが再就職し、役員には山下和彦町長や県幹部、伊方原発所長ら四電幹部三人も名を連ねている。
現場でセンターの展示を見ると、東京電力福島第一原発事故には全く触れていない一方で、原発全般の安全性や必要性を強調する内容になっていた。
毎年の運営費は、約四千八百万円の事業費のうち約二千八百万円は県と伊方町からの委託事業となっているが、残る二千万円は寄付金で約四割に当たる。センターに取材した結果、全て四電からで、ここ数年は同額ずつが寄付されてきたと分かった。
県原子力安全対策課の二宮久課長は、本紙の取材に対し「独自に専門家による委員会をつくり、伊方原発の安全対策を検証してきた」と中立性が担保されていると強調する。
その上で「原子力規制委員会の議論もチェックしている。センターに委託する事業費は県で負担しており、電力会社と一体化しているということはない」と説明している。
東電柏崎刈羽原発(新潟県)の近くには、同県の柏崎原子力広報センターがあるが、出資金も運営費も自治体だけで賄っている。
一線を画さなくては
五十嵐敬喜(たかよし)法政大名誉教授(公共事業論)の話 福島の事故の教訓の一つは、監視役である行政は、推進側の電力会社と一線を画さなければならないという点だ。今回のセンターの問題は、教訓に全く学んでいないことを示している。原発は安全だとPRしたい電力会社の意向に、県と町が乗ってしまっている構図だ。中立性が疑われる。
福島の教訓 置き去り
伊方再稼働 知事同意
(東京新聞【核心】)2015年10月27日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2015102702000131.html
愛媛県の中村時広知事が二十六日、四国電力伊方(いかた)原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に同意し、年明け以降、動きだす見通しとなった。しかし、いまだに住民の避難に不可欠な道路の整備さえ終わっていない。県は専門家による委員会で安全対策を検証した上の同意だと強調するが、安全性だけでなく、新たに中立・公平性を疑わせる問題も浮上した。
(荒井六貴、小倉貞俊)
事故伝えぬ展示・避難ルート整備途上
■まるで3・11前
知事が四国電力社長に再稼働への同意を伝えた午前十時ごろ、原発への理解を求めるため県や伊方町が設立した伊方原子力広報センターを訪れた。
センターは県OBの再就職先になっていたほか、運営費として毎年二千万円か四電から寄付されていた。この問題は、本紙か原子力にからんだ天下りを取材していた過程で判明。本来なら事業者とは別に中立・公平な立場で県や伊方町が広報する施設なのに、四電抜きには存続できない状況だった。
展示物を見て回ったか、福島の原発事故以前の情報が多く、3・11前に戻ったかのようだった。
福島の原発に関する展示は一切なかった。重大事故を起こした旧ソ連チェルノブイリ原発の断面図の脇には「日本の原発と構造的に異なり、同じような事故は極めて考えにくい」と、昔ながらの解説文を添えていた。原発の発電コストは安く、環境にも優しいとPRし、地震や津波対策も十分だとした安全性を訴える展示か並んだ。
伊方原発は細長い佐田岬半島に位置し、地形そのものか事故時の住民避難や収束作業の障害になる。行政の施設だからこそ、避難計画の内容を住民に理解してもらう場になるはずだが、何の展示もなかった。
福島の事故後、ほとんどの展示物を更新していないのは明らかで、センターの担当者に問うと、「展示物のリニューアルを考えてはいるか、資金的に難しい。(原発に関する大きなニュースがあるときには)新聞のコピーを掲示するなどで対応している」と答えた。
■完成はまだ先
伊方原発の周囲も見て回った。事故に備えた道路の拡幅などは、どれもまだ工事中の状態だった。
事故時に資材を運び込むため、敷地の急傾斜地の途中に緊急用ヘリポートを建設する工事が進められてきた。のり面が固められ、ヘリポートらしき平面も見えてきたが、完成するのはまだ先だ。
外部からの支援や住民避難の重要なルートの一つが半島北側の海沿いを走る県道。途中、崖崩れの危険地帯がいくつもあるため、拡幅工事が続けられてきたが、これも継続中だった。
少なくとも再稼働には間に合わないように見えた。
■隣県からノー
伊方原発がある愛媛県に隣接する高知県では、三つの市町村議会か相次いで再稼働反対の意思を表明している。重大事故が起きれば県境を越えて放射能被害を受けかねないためだ。
原発から約百三十キロ東の香美市議会は九月定例会で、伊方原発を動かさないよう求める意見書を決議し、首相と衆参両院議長に送った。「毒性の強いプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使い、事故時の被害は甚大となる」と懸念を示し「夏も冬も電力不足は生じておらず、再稼働に切迫性はない」と指摘している。
ともに伊方原発から約百六十キロ離れている高知県田野町と北川村の両議会も九月、再稼働反対の意見書を決議し、愛媛県知事と経済産業相に送った。「高知県のどの市町村も原発から五十~二百数キロ圏にあり、すべて(偏西風の)風下に当たる。自然環境のすべてを一瞬で失う恐れがある」としている。
脱原発あきらめない
伊方再稼働同意に揺れる地元
(東京新聞【こちら特報部】)2015年10月27日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015102702000128.html
愛媛県の中村時広知事が再稼働のゴーサインを出した四国電力伊方原発3号機(同県伊方町)。「こちら特報部」では、十五日に六十八歳で亡くなった元記者の近藤誠さんの連載「別冊 南海日日(にちにち)新聞」で再稼働問題に揺れる地元の様子を伝えてきただけに、住民不在の「同意」は看過できない。風雲急を告げる中、近藤さんの仲間たちに脱原発への思いを聞いた。
(木村留美)
伊方原発から半径十キロ圏内に入る愛媛県八幡浜市。伊方町の山下和彦町長が中村知事との会談で「再稼働を容認する」と表明した翌日の二十三日、脱原発グループの市民らが商業施設の近くで「原発いらん!」などと書かれた横断幕やプラカードを手に、「伊方原発、再稼働反対。ふるさと守れ」とシュプレヒコールを繰り返した。
抗議行動に参加した「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」代表の斉間淳子さん(七二)は、近藤さんらと一緒に、地元の脱原発運動を引っ張ってきた。近藤さんは、淳子さんの夫・斉間満さん=故人=が一九七五年に八幡浜市で創刊し、二〇〇八年に休刊した「南海日日新聞」の最後の記者だった。
淳子さんは「原発と共存できないということを福島の事故で私たちは見てきたはずなのに、住民のことを何も考えていない」と怒りをあらわにした。同時に「私たちの仲間が先日亡くなった。生きていたら今日もここに来ていただろうと思うと悔しい」と近藤さんの死を悼んだ。
松山市の市民グループ「伊方原発をとめる会」は今月五日、再稼働を判断する前に公開討論会を開くことなどを県に求める十三万人余りの署名を中村知事に提出した。近藤さんは生前、「伊方原発では、この
ような署名運動はかつてなかった。ぜひ連載で書きたい」と願っていたが、かなわなかった。
山下町長は再稼働容認する際、「町民と話す機会は多く、意見を聴いている」と報道陣に説明したものの、住民説明会は開かれていない。愛媛県も、公開討論会の開催要求をまともに取り合わなかった。まさに住民不在である。
いま一度、冒頭の抗議行動に戻る。「伊方原発なくそう!八幡浜市民の会」メンバーの八木健彦さん(七二)は「住民の意見を聞いていると町長は言うけれど、町長の前で反対と言う人がどれほどいるのか」といぶかる。「知事と伊方町長が同意したとは言っても、事故が起きれば伊方町と周辺だけの問題ではすまない」
抗議行動中には、メンバーらに駆け寄って「頑張って」と直接声をかける人や、軽くクラクションを鳴らして通り過ぎる自動車も少なくなかった。
買い物中に足を止めて抗議を聞いていた男性(八一)は、原発が立地する佐田岬半島の伊方町三崎地区に住む。事故の際には避難が難しい場所だ。「原発ができた時から自分たちはいつか切り捨てられると思ってきたけれど、いよいよその日が近くなったようだ」と不安を隠しきれない。
四歳の子どもを持つ八幡浜市の主婦(三二)も「安全性について大丈夫と国や電力会社は言っているが信用していない。子どものことを考えれば再稼働は反対だ」と言い切った。
伊方の脱原発グループは法廷闘争も繰り広げてきた。古くは、日本で最初の原発訴訟となった1号機設置許可取り消し訴訟、現在は、全三基の運転差し止めを四国電に求める訴訟の審理が松山地裁でヤマ場を迎えている。近藤さんは原告団の共同代表を務めていた。原告側の主張整理まで進んでいるが、結審は年明け以降になる見通し。原告側は、3号機再稼働前の早期判決を望んでいる。
訴訟の最大の争点は、原発から約六キロの瀬戸内海に走る巨大活断層「中央構造線」の危険性の評価だ。超巨大地震の可能性を指摘する原告側は「安全性を立証できない限り運転を止めるべきだ」と迫ったが、四国電側は答弁書で「何重にも安全対策を講じている」と反論。原発を運転できなければ「投資に見合う回収ができず、事業運営に影響を及ぼす」と主張する。
弁護団長の薦田伸夫弁護士は、四国電側の反論を「原子力規制委員会の審査に合格したから大丈夫ということ。全然話にならない」と一蹴。四国電側が、運転停止による経済的デメリットを強調している点にも、「札束で頬をたたいて純朴な人たちをだましてきた構造は今も昔も変わらない」と憤る。
全国では、伊方を含む十五の原発や関連施設で差し止め訴訟などが係争中だ。
従来、裁判所の判断は国や電力会社の主張の追認に終始してきた。だが、昨年五月、福井地裁は関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について安全対策の甘さを指摘し、再稼働を認めない判決(控訴審中)を言い渡した。福島第一原発事故後、初の判断として注目を浴びた。
今年四月、福井地裁は関電高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを求めた仮処分についても、住民側の主張を認める決定(異議審中)をした。同決定では、原子力規制委の新規制基準についても「合理性を欠く」と踏み込んだ。
ところが一週間後、九州電力川内原発―、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の差し止めをめぐる仮処分では、鹿児島地裁は新規制基準に「不合理な点は認められない」と判断し、住民側の訴えを却下(住民らが即時抗告)した。
こうした状況に薦田弁護士は「(却下となった)川内の訴訟でも、決定文に論理矛盾があった。司法の側も問題点を十分認識しており、勝つ可能性は十分にある」と自信を見せる。「これをやれば原発が止まるという手段がない中で、裁判は勝てば止めることができる。有効な手段だ」
脱原発グループは法廷闘争とともに、住民の再稼働への意思を示そうと、八幡浜市で住民投票の実現を目指している。斉間さんは「原発について行政任せではなく、自分たちのことは自分たちで決めていかなくてはいけないと、市民が考えるきっかけにしてほしい」と期待する。
取材の最後、近藤さんの妻・亨子(じゅんこ)さん(六一)を八幡浜市の自宅に訪ねると、亡くなる四日前の十一日、入院先から伊方原発ゲート前の集会に参加した際に撮影した写真を見せてくれた。写真の姿は痩せて顔色も悪かったが、その訴えは「電力の皆さんも含め、原発をなくす社会づくりをしていきたい」と力強かった。亨子さんは「廃炉を目指し、ずっと取材してきた人。廃炉にならないうちに死んだことは本当に無念だっただろう」と声を詰まらせたが、「少し休んだ後、また活動を再開したい」と前を向く。「廃炉を目指していた夫の遺志をそのまま引き継ぎ、八幡浜のきれいな海と山を守っていきたい」
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トイレ紙で自衛官募集
滋賀地本 6中学校に配布
滋賀・高島 保護者反発、回収へ
(しんぶん赤旗)2015年10月8日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-08/2015100815_01_1.html
自衛隊宣伝番組に警戒を
若者に゛親近感”うえつけ
メディア総合研究所研究員
加藤久晴さんが講演
(しんぶん赤旗)2015年10月28日
メディア総合研究所研究員の加藤久晴さん(元日本テレビプロデューサー)がこのほど、テレビが自衛隊をどう扱ってきたかをテーマに都内で講演しました(主催・たんぽぽ舎)。3回にわたって戦争や原発とメディアの関係を考える講座を開いた最終回です。
加藤さんは、「戦争法を国会で強行成立させるまでに、自公政権側はかなり周到に準備をしていたのではないか。最近に限って言えば、その始まりは2013年4月14日から10回放送されたドラマ『空飛ぶ広報室』(TBS系)だと思う」と指摘しました。
「空飛ぶ…」は、エンドロールでも防衛省と航空自衛隊の「協力」が明示されました。女性記者と自衛官の恋物語を通して、自衛隊が″普通の人たちの集団”だと強調しました。
「憲法」問わず
「終わった時、自衛隊の機関紙『朝雲』が『大ヒット』と報じました。自衛隊を宣伝するためにつくったドラマということだと思います。そして、政府や放送局、自衛隊は、世論がどう反応するかを見ていたのでしょう。ところが、憲法9条に違反する自衛隊を堂々と肯定的に描いたことへの批判は、あまりありませんでした。まともに反発されないということで、このあと自衛隊番組がものすごく増えます(表参照)」
一連の番組の特徴として、①装備賈の高さを強調②憲法9条との関係を説明する部分は一切なし③災害救助にあこがれで自衛隊に入隊したのに軍事訓練をさせられていることへの疑問も一切なし-などを挙げました。
加藤さんは、今年に入っても「ナイナイのお見合い大作戦!自衛隊の花嫁スペシャル・ln沖縄」(TBS系)や、アニメ「GATE~自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」(TOKYO MX)など、自衛隊を宣伝する番組が相次いで放送されていると紹介。若者に自衛隊への親近感を抱かせる役割があるとのべました。
加藤さんは自衛隊PRの背景にある軍事費の増加についても指摘しました。16年度の概算要求額は5兆911億円で、これまでの最高額になっています。加藤さんは、「政府に都合よく放送される自衛隊宣伝番組からは、国民をだまして、軍国主義にもっていこうという意図さえ感じられる」と批判します。
戦争法後押し
今年、自衛官応募者は前年の2割減。防衛省が若者の獲得に必死になっていることも宣伝攻勢の要因になっているとみられます。
60年代には、自衛隊と軍国主義を賛美したドラマ「列外一名」(日本テレビ系、64年)に対し、市民や労組の力で放送を中止させるなど、自衛隊番組を平気で垂れ流す放送局への批判がわき起こりました。
「戦争法の強行成立に、今でも世論の反発が非常にあります。自民党は、この反発が来年の参院選まで続くのではないかと心配しています。これからも、戦意を高揚させるようなテクニックを持った番組が、ドラマやアニメなどいろんな形でつくられるのではないか。そうなる前に警戒を強め、出てきたときには抗議していくことが大事だと思います」
(加藤さん)
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安全保障関連法に反対する学者の会
【学者と学生によるシンポジウム】2015年10月25日 第1部
https://youtu.be/KVoXJHANLB8
知の共闘 希望継ぐ
戦争法反対 学者と学生のシンポ 4氏の報告
(しんぶん赤旗)2015年10月26日
東京都千代田区の法政大学で25日、安全保障関連法(戦争法)に反対する学者と学生が開いたシンポジウム「岐路に立つ囗本の立憲主義・民主主義・平和主義 大学人の使命と責任を問い直す」。4人の研究者・学生が基調報告し、6氏がショートスピーチに立ちました。
市民による大改革を
専修大教授
広渡清吾さん
前日本学術会議会長で専修大学教授の広渡清吾さんは「安保関連法案を成立させられた悔しさを糧にして、新しいたたかいの意思統一ができれば、うれしい」と意気込みを語りました。
安保法制成立のもとで憲法9条、平和主義を擁護するため、▽新安保法制の実動を阻止し、法制自体を廃止し、閣議決定を取り消すための国会多数派をつくる▽安倍政権と自民党による9条改憲の動きを警戒し、これを許さない▽沖縄の基地問題を9条の平和主義の問題として絶えず位置づけ、辺野古への新基地建設を許さない沖縄の運動と連帯する▽武器輸出と軍事研究の推進を阻止する課題を明確にする-の四つの課題をあげました。
「憲法9条に託された約束と希望は新しい世代に受け継がれていっている」と語り、「9条を戦後100年までつなぐために、市民による戦後はじめての大改革を進めていきたい」と結びました。
一人ひとり誇り持ち
東大名誉教授
樋口陽一さん
東京大学名誉教授の樋口陽一さんは「立憲主義・民主主義・平和主義は予定調和するものではないが、戦後70年間、ともかくも日本で三つの価値が追求された。それを支えたのは憲法」だと指摘しました。安倍首相が憲法への粗暴な攻撃を繰り出してきたことをあげ、「安倍首相がいう『法の支配』とは、自分たちの都合のいい法で人々を支配しようとするもので、無法な人治国家への逆戻りだ」と批判し、「知の遺産が危ういというのが、人々の共通した思いだ」とのべました。
重大な選択がされようとしているとき、「それは危ない道だ」と声を発する義務が専門家にはあるとし、専門家の「専門知」に対して市民一人ひとりの知が向き合い、支え合っている絵柄が浮かび上がっていると強調。「市民知と専門知の担い手が辱めを受けてはならぬ。『国民なめんな』と若者たちが声をあげた。日本の知性と品性を救うため、一人ひとりが誇りを持とう」と呼びかけました。
野党の協力で変わる
慶応大名誉教授
小林節さん
慶応大学名誉教授の小林節さんは、今回の会場が立教大学から法政大学に変更になったことにふれ、大学人の政治的言動について語りました。
「学者になっだのは、学内で自己満足的な学説論争をしたいからではなく、各分野の前進で、全人類や全国民の幸福に寄与したいからだ」とのべ、「今は言論空間が狹まってきている」と話しました。
「『政治性があるから、学問の府としては貸せない』という理屈だが、政治学であれ、経済学であれ、最後には政治を評価しないとやっていけない。これは大学人として自己矛盾だ」と指摘しました。
来年の参院議員選挙に関わって、「選挙制度のせいで自民党は、4割の支持で7割の議席を占めている。今は空気が変わっている。誠実に野党が協力すれば、議席を取り返させることができる。そうすれば、すべてが変わる。戦争法を廃止できるし、言論空間も変わる」と語りました。
私たちは無力でない
シールズ関西
大澤茉実さん
シールズ関西の大澤茉実さん(21)=大学2年生=は「自民党憲法草案では、国家権力を縛るための憲法が私たちを縛ろうとしています。しかし中身のない言葉では、もう私たちを動かすことはできません。なぜならこの夏、私たちは決して無力ではないことを知ったからです」と強調。
「本とパソコンの前から動かなかった学者が路上に立った。多くの芸能人がタブーを破り、政治的な意見を発言した。友だちは初めて来たデモで黙ってプラカードを掲げたし、臆病な私が国会前でマイクを握った」とこの間の変化を指摘。「空気を読んでいては、空気は変わらない。武器をもち、人を殺すことが普通の国だと言うなら、私はその普通を変えたい」と話し、日本政府に、世界と日本の平和と、一人ひとりの生活を守る姿勢を取るよう求めました。
「希望も語れなくなったら本当の終わりです。だから私は明日からも路上に立ちながら、大いに理想を語ります」と訴えました。
新しい政治文化■仲間とつながった■
軍学共同体に反対■沖縄のように団結
6氏のスピーチ
6氏がスピーチしました。
法政大学教授の山口二郎さんは「今回の戦争法制反対運動の意味は能動的な市民が生まれ、新しい政治文化が現れたことです」と強調。「社会のレベルで自由を放棄してはいけない。たたかっていかないといけない」と訴えました。
シールズ東北のメンバーで東北大学2年生の久道瑛未さんは「2ヵ月前は不安にかられていたけれど、全国でともにたたかう仲間とつながり、社会に思いを表明できる場が東北にも生まれ、他の活動をする人々ともつながった。若者が政治について声をあげる動きは全国各地に広がるべきものだと確信しています」と話しました。
名古屋大学名誉教授の池内了さんは「安保法制とともに軍学共同が進んできた」と指摘。「軍事研究が進むと大学の自治や学問の自由が破壊されていきます。戦争法廃止と軍学共同に対する反対の運動をすすめてほしい」と訴えました。
シールズ琉球のメンバーで専修大学2年生の豊島鉄博さんは、沖縄の新基地建設に反対するたたかいにふれ、「保守革新を超えた『オール沖縄』のように私たちは団結することができます。この夏の歩みを止めず進んでいきたい」とのべました。
立教大学名誉教授の栗原彬さんは「安保法制によって憲法9条の本丸に手がかかっている。辺野古も原発再稼働も個別の問題ではなく関連しています」として、安倍政権の危険性を指摘。「それに異議の声をあげ続けなければならない」と語りました。
日本弁護士連合会憲法問題対策本部長代行の山岸良太弁護士は、弁護士法1条で基本的人権擁護と社会正義を実現することが弁護士の使命であると明記されていると紹介。今後は大学人とも連帯し、弁護士会で安保法制に対して違憲訴訟を検討していると話しました。
【スピーチ全文掲載】「中身のない言葉では、もう私たちを動かすことはできない」SEALDs KANSAI・大澤茉実さん 憲法改正で「国民を縛ろう」とする安倍政権の退陣を求めスピーチ!(IWC)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/272784
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国民なめんな凸(゚Д゚#…「武器を持ち人を殺す事が普通の国だと言うなら、私はその普通を変えたい」
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