事件記者が問う人の幸せ、世の平和とは?
(ラジオフォーラム#145)
https://youtu.be/DWq7564Ua7g?t=14m42s
14分42秒~第145回小出裕章ジャーナル
原発にこだわる日本企業「日本を使って実物を造ってですね、売り込んでパテントを握っているので儲ける、米国が日本を逃がしてくれないという構図があるだろうと思います」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no145/
今西憲之:
すっかり季節も秋になりましてですね。大阪で今まで味わっておられた日本酒の味もですね、長野県ではちょっと違うんかなあと思うんですが、小出さんいかがでしょうか?
小出さん:
お酒はどこで飲んでもおいしいです。
今西:
今日はですね、不正会計問題で大きく揺れてます東芝ですね。原子力部門の会計処理についても注目をされておるのですが、日本では東芝、そして日立、三菱重工の3社がですね、いわゆる原子力事業の中核会社であり、俗に言われるプラントメーカーというようなことなんですけれども、世界的にはもう採算性がよくない、悪い原子力事業から撤退する大手企業がたくさんある中で、日本のメーカーは今も原発に執着し、こだわっているということなんですが、なんで小出さん、そこまで原発にこだわるんでしょうか?
小出さん:
皆さんご存知だと思いますが、日本には2つの形の原子力発電所がこれまで動いてきました。ひとつは東京電力が使っていて、福島第一原子力発電所の原子炉もそうだったのですが、沸騰水型と呼ばれている原子炉です。
もうひとつは関西電力が使っている加圧水型という原子力発電所があるのです。どちらも米国で開発された原子炉で、沸騰水型の方はゼネラル・エレクトリック、加圧水型の方はウェスティングハウスという巨大メーカーが開発した物だったのです。
それを日本では、加圧水型の方は三菱が引き受ける。そして沸騰水型の方は日立と東芝が引き受けるという形でこれまでやってきました。ほとんど沸騰水型と加圧水型、同数が日本ではできたのですが、世界全体を見ると加圧水型の方が圧倒的に優勢だったのです。
そういう状況をずっと見てきた東芝が2006年になりまして、このままゼネラル・エレクトリックと結びついて沸騰水型を続けていると、海外に売り込むことができないと考えたわけです。
世界の原発メーカー
今西:
そこはそうするとですね、要するにもう日本ではこれ以上、原発の数を増やすのが難しい、海外にマーケットを求めないといけないというようなやはり計算もあったということなのでしょうか?
小出さん:
もちろんです。1970年から敦賀、美浜というように沸騰水型と加圧水型の原子力発電所ができたのですが、1990年までは毎年1基を三菱が加圧水型を造る。沸騰水型の方は、日立と東芝が1年交代ずつで造っていくという、そんなペースで1990年ぐらいまでは来れたのですが、もうそれ以降は、日本の中で原子力発電を建てていくということができないということがわかってしまいまして、建設できる数もどんどんどんどん減ってきてしまったのです。
そこで、とにかく海外に売り込まなければいけないということで、三菱も日立も東芝も何とか頭を捻っていたわけですが、そのうちの東芝が2006年に奇策に打って出ました。沸騰水型をこれからやろうとしたらダメなので、自分としては何としても加圧水型を海外に売りつけたいと思ったのです。
それでどうしたかと言うと、加圧水型というのを造ってきた米国のウェスティングハウスという巨大なメーカーを丸ごと買収してしまうということをやったのです。それまでウェスティングハウスと結び付いていたのは三菱だったわけですけれども、三菱はそのおかげで弾き出されてしまいまして、仕方がなくてヨーロッパの加圧水型メーカーであるアレバという会社とくっついて、世界に売り込みを図ろうという形になったのです。
2006年の頃は、まだ日本では原子力立国計画なんていう計画があって、これからガンガン原子力をやるんだとふうに言っていたわけですし、
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/nuclear_subcommittee/pdf/nuclear_subcommittee_003.pdf
東芝はウェスティングと結び付くことで、とにかく金儲けができると思ってしまったのです。
しかし残念ながら、世界ではあまり原子炉の数が増えませんし、福島第一原子力発電所の事故が起きてしまいましたので、もうほとんど海外に原子炉を売るということすらができなくなってしまって、東芝は原子力部門で大幅な多分赤字というのを抱えてしまった。それを粉飾決算でなんとか言い逃れようとしたわけですけれども、それが発覚して苦境に陥っているということです。
今西:
なるほどなるほど。要するに原子力事業が今回問題になっていますデタラメな不正会計の原因のひとつというようなところにつながっていくかなあと思うのですが、今世界的に見ても、冒頭に申し上げた通り、原子力事業から撤退する会社が多々あるわけですねえ。そういう中でですね、日本の東芝であり、日立、三菱ですね、日本勢は世界の原発の勢力図から見ていくと、今や最大勢力になりつつあるっていうことなんですが、なんで日本の原子力関連会社がそこまで原発に執着するのか?おまけに、福島第一原発でこれほど大きな事故を起こしてるのにということで私、小出さん、不思議でならんのんですが。
小出さん:
米国という国が、世界の原子力を牽引してきました。ゼネラル・エレクトリックとウェスティングハウスなのですが、しかしその米国ではもう四半世紀以上にわたって新しい原子力発電所の建設がないということで、ウェスティングハウスもGEも生産ラインも何も全てもう失ってしまっているのです。
今西:
もう何もないんですか?
小出さん:
そうです。ですからGEやウェスティングハウスが原子力で金儲けをしようと思うと、日本を使って実物を造ってですね、売り込んでパテントを握っているので儲けるという、そういう方法しかないわけで、米国が日本を逃がしてくれないという、そういう構図があるだろうと思います。
今西:
ただですね、そういう背景にはですね、どうなんでしょうか? 日本も今、安倍総理大臣自らがトップセールスをかけて、海外に原発を売り込みを展開していますよね? トルコですとかベトナムなんかではですね、優先交渉権も獲得しています。やはりそういう国策というものが、さきほどから出ている原発関連事業の大手3社を後押ししている部分もあるんでしょうか?
小出さん:
もちろんあります。日本では、原子力発電というのは平和利用と言われてきて、ほとんどの方もそうやって聞いてきているはずなのですが、実は日本の国というのは、平和利用と言いながら、核兵器を造る潜在的な能力を持ちたいんだということで、原子力発電をやり続けてきたわけです。
今でも原子力を放棄してしまうと、核兵器を持つという点でマイナスになってしまうので、原子力は放棄できないというようなことを自民党の首脳達がいまだに言っているわけですし、原子力からもう抜けることはできないと思っているわけです。そして、安倍さんなんかはとにかく経済最優先ということで、金儲け金儲けと言ってるわけですから、原子力も使って金儲けをしたいという、そういうことになっているわけです。
今西:
なるほど。日本は世界唯一の被爆国であり、世界最大の原発事故を起こした国なんですが、相変わらず反省がないんですねえ。
小出さん:
安倍さんなんていうのは、反省という言葉すら知らないというような人ですから、たぶん今後もダメだと思います。
今西:
分かりました。小出さん、ありがとうございました。
小出さん:
はい。ありがとうございました。
『原発の闇 その源流と野望を暴く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/html/book/201111-genpatu-book.html
そもそも世界で唯一の被爆国に原発を導入し拡大させてきた"力"はなんだったのか。
その歩みを日米関係から探り、大手マスコミも巻き込んだ「原発利益共同体」というべき癒着の構造に迫るルポ。
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~
http://dai.ly/xki6uk
ETV特集 シリーズ 原発事故への道程(前編)
「置き去りにされた慎重論」
http://youtu.be/IG-uP_wxnxY
広大な大地を不毛の地に変え、人々を放射能被ばくの恐怖に陥れている福島第一原発事故。世界で初めての多重炉心溶融事故だった。原子力発電の安全性神話は、たった一度の“想定外”の地震・津波によりもろくも崩れ去った。なぜ福島原発事故は起きてしまったのか。事故原因の直接的な究明とともに今必要なのは、歴史的な視点で安全神話形成の過程を見直すことである。
私たちはある資料を入手した。『原子力政策研究会』の録音テープ。1980年代から90年代にかけて、我が国の原子力発電を支えてきた研究者、官僚、電力業界の重鎮たちが内輪だけの会合を重ね、原発政策の過去と行く末の議論をしていたのだ。議事は非公開と決めていたため、当事者たちの本音が語られている。さらに、生存する関係者も福島原発事故の反省を込めて、今その内幕を率直に証言し始めた。
この資料と証言をもとに、福島原発事故までの歩みを2回シリーズで徹底的に振り返る。前編は、原子力発電所の我が国への導入を決めた1950~70年代前半のれい明期をみる。当初は安全性の不確かな未知のテクノロジーを地震大国に立地することへの疑問など慎重論が主流であった。しかし米ソ冷戦の論理、そして戦後の経済復興の原理によって強引に原発導入が決まっていった。太平洋戦争に石油などの資源不足で敗北した過去や、世界で唯一の被爆国という過去を背負った日本が、原発建設に至るまでの道のりで「経済性追求」と「安全性確保」の矛盾を抱えていった過程を検証する。
(再掲)2013/02/03
【IWJブログ】CSIS「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/56226
より
エネルギー安全保障
原子力エネルギー
2011年3月11日の悲劇は、未だ生々しい記憶であり、地震、津波、その後の炉心溶融によるすべての被害者に対し、謹んで哀悼の意を表明する。当然ながら、福島の原子力災害は、原子力にとって大きな躓きの石となり、その影響は、日本全国だけでなく、世界中に波及した。英国や中国のように原子力拡張計画を慎重に再開した国もあるが、ドイツのように原子力を段階的に全廃することを決定した国もある。
日本は、原子炉の徹底的な調査と原子力保安規定の改定を行なっている。原子力に対する一般市民の強い反対にも関わらず、野田佳彦首相の政府は、2基の原子炉の再稼動を開始した。さらなる再稼動は、安全性の確認と地元の合意に依存する。我々の見解では、このような状況において原子力発電を慎重に再開することは責任ある正しい措置である。(`・ω・´)
日本は、エネルギー効率の向上において非常に大きな進歩を遂げ、エネルギーの研究開発で世界的なリーダーとなっている。日本人は、エネルギー消費の削減と、エネルギー効率に関する世界最高の基準の設定において、驚異的な国民的結束を発揮してきたが、近未来における原子力エネルギーの欠如は、日本に重大な影響を及ぼすであろう。原子力発電所の再稼動なしでは、日本が2020年までに二酸化炭素 (CO2) 排出量を25パーセント削減する目標に向って有意義な進歩を遂げることは不可能であろう。原子力は、現在も将来も、排ガスのない基底負荷発電の唯一の実質的ソースとして残るであろう。環境省のデータによれば、日本の排出量は、原発再稼動なしでは、2020年までにせいぜい11パーセントしか削減できないが、再稼動できれば、20パーセント近くまで削減できるという。1 原発を永久に停止した場合は、輸入した石油、天然ガス、石炭の消費量が増大するだろう。さらに、国のエネルギー政策に関する決定の延期は、エネルギーに依存する重要な産業を日本から追い出しかねず、国家の生産性を脅かす可能性がある。
また、開発途上国は原子炉の建設を続けるので、日本の原発永久停止は、責任ある国際原子力開発を妨害することにもなるだろう。フクシマ以後一年以上にわたって原子炉認可を中断していた(ただし、進行中のプロジェクトは中断しなかった)中国は、新規プロジェクトの国内建設を再開しつつあり、最終的には重要な国際ベンダーとして台頭する可能性がある。中国が民生用原子力発電の世界的開発のメジャー・リーグでロシア、韓国、フランスに加わろうと計画しているとき、世界が効率的で信頼性の高い安全な原子炉や原子力サービスから利益を得るためには、日本が遅れをとることはできない。
他方、米国としては、使用済核廃棄物の処理にまつわる不確実性をなくし、明確な許認可手続きを導入する必要がある。我々はフクシマから学習し、是正措置を導入する必要性を十分に認識しているが、原子力はエネルギー安全保障、経済成長、環境上のメリットなどの分野でまだ巨大な可能性を保持している。日本と米国は、国内/国外の安全かつ信頼性の高い民生用原子力を推進する上で共通の政治的、商業的利益をもっている。東京とワシントンは、フクシマからの広範な経験を生かしながら、この分野で同盟関係を活性化し、安全な原子炉の設計と健全な規制業務の普及を世界的に促進することにおいて指導的役割を再び演じる必要がある。3.11の悲劇のために、経済と環境をこれ以上大きく衰退させてはならない。安全でクリーンな責任ある開発と利用によって、原子力は日本の包括的な安全保障に欠かせない要素を構成する。そしてこの点において、原子力研究開発での日米の協力は不可欠である。
唐突にちょっと脱線(^ω^)
https://youtu.be/VfqVGL2NBas
閑話休題( ̄▽ ̄;)
東芝問題で露呈 原発に固執する日本企業
(東京新聞【こちら特報部】)2015年8月31日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015083102000123.html
不正会計問題で揺れる東芝。経営陣刷新などで信頼回復を図ろうとしているが、注目されたのが、原子力事業部門の会計処理だ。日本では、東芝を含む大手3社が原子力事業を続けている。世界では採算の悪い原発をあきらめる企業が少なくない中、日本メーカーがこだわるのは、なぜなのか。政府が進める「国策」も見え隠れする。
(木村留美)
不採算、欧米では撤退加速
「東芝グループとしては、原子力事業での燃料サービスビジネスに軸足を置いていく」。新経営陣などを発表した今月十八日の記者会見で、室町正志社長は、こう強調。国際エネルギー機関(IEA)による世界のエネルギー需要予測や原子力発電容量の予測が増加することを引き合い
に、原子力事業の将来性に強い期待を示した。
東芝は、収益目標の達成に向け、損失の先送りなど不正な会計処理を繰り返していた。経営幹部は、不正会計処理について、社員に圧力をかけていたとされ、歴代三社長が辞任に追い込まれた。
批判にさらされた東芝は、半導体事業やパソコン事業などの資産価値をあらためて見直し、経営陣を刷新することで、信頼回復を図ろうとしている。
実は、一連の不正会計問題の中で、市場関係者の注目を最も集めていたのは、原子力事業をめぐる会計処理だった。東芝は二〇〇六年、米原子力関連企業ウェスチングハウスーエレクトリック(WH)を買収。世界の原発市場に本格的に乗り出した。
買収額は約六千四百億円。当時から「評価額が過大では」との指摘があったが、東芝は、WHの資産と買収価格の差額約三千五百億円を会計用語で言う「のれん代」として資産に計上した。これは、将来の収益が見込めず、回収が難しいと判断されれば損失処理する必要がある。
業績開示せず
東芝は、WHに関して「(損失の処理が必要となるような)状況の変化は生じていない」(室町氏)とし、今も評価を変更していない。アナリスト説明会の出席者からは、WHや原子力事業に関する質問が相次ぎ、原子力事業の業績開示を求める声も上がったが、東芝側は「(業績開示は)検討しているところ」と回答するにとどめ、懸念はくすぶったままだ。
世界の原子力プラントメーカーなどが置かれている環境は厳しい。
スリーマイル島、チェルノブイリ、東京電力福島第一と大きな原発事故を経て世界の原子力産業の勢力図は大きく変化している。
資源エネルギー庁によると、一九八〇年代には原発プラントを製造する主なメーカーは欧米と日本を中心に十二社あった。
その後、欧米で原発の新増設が困難になったことや福島第一原発事故の影響などから、撤退や再編が進み一四年には八社にまで減少した。米国単独のメーカーは消滅。欧州でも次々姿を消し、代わって韓国や中国のメーカーが台頭している。 `’
ドイツのシーメンス社は○九年に本格的に原発事業に乗り出そうと、ロシアのロスアトムと合弁会社設立の覚書まで交わしたが、一一年に計画を撤廃してしまった。シーメンス社の広報担当者は「原発事業は収益が望めないと判断した。将
来的にも原発の主要な技術にはかかわらない」と説明する。福島第一原発事故とドイツ政府が脱原発を宣筥したことが決定的だったという。
丸抱え国策見え隠れ
国内ダメなら海外売り込み
米国のゼネラルーエレクトリツク(GE)は今のところ「原子力事業は重要な位置付け」(担当者)としているが、一二年にはジェフリー・R・イメルト最高経営責任者(CEO)が「原発の正当化は難しい」と発言したことがあった。
日本ではこの間、三菱重工、東芝、日立の三社が合弁会社をつくるなどして生き残った。三菱重工は、フランスのアレバとの共同開発にも乗り出しており、世界の原発勢力図で占める割合は、日本勢が最大となっている。
業績に関しては、東芝と三菱重工はともに「個別の事業の業績は開示しない」とし赤字か黒字かすら公表していない。日立は原子力事業の収益について本業の利益を示す営業利益ペースで「一二~一四年度まで黒字だった」としているが、広報担当者は「売り上げ自体は落ち込んでいて厳しいのは間違いない。コスト削減などの努力で何とか黒字にしている」と説明する。
東芝にしても、WH株については「株式を過半数持つことは必要だが、多ければ多いほどいいとは思っていない」(東芝担当者)として、○六年以来、一貫して売却先を探し続けている。パートナーとなる引き取り手を見つけられずにいるのが実情だ。それどころ
か、当初は77%だった持ち株が、現在では87%にまで膨らんでしまっている。一般的に市場から有望な事業とみられていれば、買い手を見つけるのはこれほどまでに難しくないはずだ。
業績が見通しづらく先進国のメーカーが撤退する中、それでも日本勢が原子力事業に固執するのは、なぜなのか。
「日本の株主の性質」を理由に挙げるのは経済ジャーナリストの町田徹氏。
「世界的には原子力事業は曲がり角にきている。米国であれば、不採算事業を株主が許すことはない。日本では『(原子力事業は)国策だから大丈夫』などと説明されれば、納得してしまうことも多い。本来は切るべき不良債権も見逃されがちだ」と指摘する。
世界の流れに逆行
元経済産業省官僚でエネルギー政策に詳しい古賀茂明氏は「各社は原発技術者をたくさん抱えていて、その中から出世した幹部もいる。過去にはプラントなどを電力会社に高値で売って、もうかってきた歴史もある。いまだに夢を見ているのだろう」と話す。
実際に「国策」そのもののような国の政策も進んできた。
東芝がWHを買収し、日立とGE、三菱重工とアレバが連携して、三つどもえの現在の構図ができあがったのは○六年だった。これは、「原発は二〇三〇年以後も発電電力量の30~40%以上」とすることを盛り込んだ資源エネルギー庁の原子力立国計画が策定された時期と重なる。
ところが、福島第一原発事故で、国内での原発の新増設が見込めなくなる。すると、今度は安倍晉三首相自らトップセールスを働き掛けるなど海外への積極的な原発輸出を展開。トルコ、ベトナムとの優先交渉権を獲得し、複数の国への輸出も模索している。
さらには、経済界や電力会社からの要望の強い将来的な原発の新増設の動きもちらつく。
「原発事業はもうからなくなっているのに、国があらゆる面で支えている構図だ」と古賀氏。「日本は先進国が進めている再生可能エネルギーでも後れを取ってしまっている。世界の流れに逆行している」
https://youtu.be/pFqNnEGIDG8
膨らんだ「のれん代」1兆円超
東芝がひた隠す「原発事業の不都合な真実」
町田徹「ニュースの深層」2015年07月21日(火)
http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44271
より
ほとんど報じられていないが、今回のケースで怠ってはならないのは、同社の重要部門だった原子力事業の精査だろう。
中でも、鳴り物入りで2006年10月に4800億円あまりを投じて77%の株式を取得した米原発プラントメーカーのウェスチングハウス(WH)の子会社化は重要だ。当時の西田厚聡社長は、わざわざ説明会を開き、原発の建設や保全サービスなどで2015年には最大7000億円のビジネスが見込めると胸を張っていた。
この買収に伴って、東芝のバランスシート上ののれん代は急膨張した。2006年度(2007年3月末)の計上額は7467億円と1年前の6.5倍に急増した。
問題は、こののれん代の処理にある。
ちなみに、のれん代とは、買収金額と、買収対象になった会社の正味価値の差額を指す。買い手候補が2社以上で競合すれば、のれん代は膨らみがち。経営の実態を決算に反映しようとすれば、膨らみ過ぎたのれん代の償却は不可欠だ。
償却のやり方は、国際会計基準(IFRS)や米国基準と、日本基準で異なっている。IFRSや米国基準では、買収した企業(事業)の価値が下がったら償却するのに対し、日本基準は20年程度をかけて費用として計上し償却することになっている。
そこで東芝だが、同社は米国基準を採っている。WH買収前のことだが、2005年度第3四半期決算発表の席で、担当副社長がWHののれん代について「弊社は米国会計基準を採用しているので、毎年、(下がっていないか)公正価値の再評価を実施します」としながら、有望な事業なので「直近2、3年の間に減損をすることは想定しておりません」と言明した。
そもそも、この償却をしないという方針に無理があった疑いがある。WHの本国である米国では、1979年のスリーマイル島の原発事故以降、新たな原発の建設がストップしており、原発は有望なビジネスではなくなっていたからだ。
さらに、福島第一原発事故から約1カ月が経った2011年4月14日の佐々木則夫社長(当時)の言葉は不可解だ。日本経済新聞やロイター通信のインタビューで語ったもので、「会計監査人に見てもらって今の経営の中から減損のリスクはほと
んどないと評価されている。実際の収益の源は(既存の)運転プラントと燃料から来ているので、新規プラントが少し遅延しても減損に至らないと思う」と述べたのだ。
福島第一原発事故で東京電力の企業としての存続が危ぶまれ、米国に続いて日本でも原発の新設が難しくなろうとしていた時期に、減損を不要と言い張る佐々木社長の態度は、リスクの過小見積りとみなされてもやむを得ない。ちなみに、東芝が2010年12月末に計上していたのれん代は約5489億円。このうち半分強がWH分だったとされる。
2012年10月、佐々木社長はさらに約1250億円を投じて20%分のWH株を追加取得した。米エンジニアリング大手のショー・グループから契約に基づく買い取りを迫られて、拒否できなかったのだ。この価格が妥当だったかどうかも精査が必要だ。
WH買収以来、すっかり安易なM&Aが定着した東芝の2014年末のバランスシートには、実に1兆1538億円ののれん代が計上された。仮に、全額を一括償却すれば、巨大に見える東芝の株主資本(1兆4264億円)があっさり吹き飛ぶ規模だ。そもそもWHののれん代の先送りは、必要なコストの計上や損失の処理を先送りするという点で、今回、問題になっているインフラ工事の経費先送りなどと同根の問題でもある。繰り返すが、精緻な調査を避けては通れない。
以下略
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小出裕章先生:(原発利権のために)米国が日本を逃がしてくれないという、そういう構図がある
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