「怖いけど ついのすみか」
川崎・簡易宿泊所火災1カ月ルポ
(東京新聞【こちら特報部】)2015年6月18日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015061802000185.html
10人が死亡した川崎市川崎区の簡易宿泊所(簡宿)火災から17日で1カ月。簡宿は、高齢の生活保護受給者の最後のトリデとなっている。現場を歩くと、身寄りのない「住人」たちは「火事は怖いが、ほかに居場所がない」と口をそろえた。対策はあるのか。困窮者を支援するNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛さん(45)は、民間アパートの借り上げによる公営住宅の拡充などを提案している。
(白名正和)
2畳1間トイレ・風呂共同 布団とTV
85歳二簡宿で30年…焼け出され また
川崎市川崎区の京急八丁畷駅から東に約二百メートル、ちょうど神奈川県警川崎署の裏手に火災現場はあった。周辺にはマンションが立ち並ぶ。全焼した簡宿二軒のうち一軒はすでに更地になっていたが、隣接するもう一軒は焼け焦げた柱や壁が残る。
火災現場から北へ約二百メートルほど行くと、約三十の簡宿が密集する一角に出る。どの宿や一泊二千円前後。かつては日雇い労働者が多く滞在していたが、現在は、年老いた生活保護受給者が大半を占める。市の調べでは、簡宿街一帯の受給者は約千三百人、七割が六十五歳以上の高齢者だ。
火災で焼け出され、簡宿街の宿に移った男性(八五)に話を聞いた。やはり生活保護受給者だ。二畳一間でトイレと風呂は共同。布団と備え付けの小さなテレビで部屋がほとんど埋まる。
火災現場から逃げる時に足をけがしたものの命に別条はなく、歩行に不自由はない。「あっという間に燃え広がった。逃げられたから良かったが、怖かったよ」と振り返る。簡宿は真っ平ご免ではないのか。「怖いけど、もうこの部屋がついのすみかだ。アパートに入れればいいが、その生活が想像できないんだ」。なぜ想像できないのか。男性の簡宿生活は三十年の長きにわたる。関東地方の大学病院や役所の建設現場で汗を流してきた。独身で身寄りはなく、寝起きは簡宿。二十年前に熱中症が原因で仕事をやめた後も、簡宿にとどまった。「深い話をする相手はいないが、顔なじみはいる。ここしか居場所はない」
近くの公園では、簡宿街で暮らす福島県出身の男性(七〇)がたばこを吸っていた。火事には直接遭遇していないが、「やっぱり怖いな。俺は好きで住んでいるんじゃない。出て行きたいんだけど、行くところがないんだ」と明かした。
青森や秋田、新潟の高速道路建設現場を渡り歩いた。結婚して娘も生まれたが、すぐに離婚して妻と娘とは疎遠になった。「今更、世話にはなれないんだよ」とさみしがる。
この男性も、宿泊者との人間関係は薄い。人恋しいのか、記者が公園を離れる時に「もう少しここにいるから、また来いよ」と声をかけてくれた。
火災現場に戻ると、全焼した簡宿に住んでいた男性(六九)と出会った。火災後、簡宿街とは別の簡宿に落ち着いたが、気になって何度か足を運んでいるという。簡宿を選ばざるを得ない理由は、前出の男性たちと同様、簡宿以外で生活するのが不安だからだ。
男性は「生活保護受給者はアパートには入れない」と勘違いしていた。話は年金に及んだ。「年金はもらっていない。保険料は支払っていたはずだが、会社がつぶれたりして分からなくなってしまった」。悔しそうに言うと、自転車に乗って立ち去った。
困窮と住宅 一括議論を
建物は国交省・生活保護は厚労省 縦割りで対策進まず
公営住宅増設
自治体が民間アパート借り上げ+公的入居保証
今月十日、東京・霞が関の厚生労働省。稲葉さんは「もやい」の仲間とともに、担当者に「困窮と住宅問題を統一的に議論してほしい」と申し入れた。
「過去に起きた類似の火災の際も要望したが、建物は国土交通省、生活保護は厚労省の管轄となるため、有効な対策が打ち出せていない。根本的な解決策がないまま悲劇が繰り返されている」。要望の後、稲葉さんは記者に強調した。
「類似の火災」の一つが、群馬県渋川市の無届け老人施設「静養ホームたまゆら」だ。二〇〇九年三月、入所する高齢の生活保護受給者ら十人が死亡した。施設の壁の一部にはベニヤなど燃えやすい素材が使われ、火災報知設備も設置していなかった。
二年後には、東京・大久保の築四十八年の木造二階建てアパート「ローズハウス林荘」が全焼し、生活保護を受ける単身高齢者五人が死亡。アパートは四畳半一間がほとんどだった。
「川崎の火災も含め、高齢の受給者が住宅の選択肢を失って劣悪な環境に追いやられ、火災によって命を失った点で共通している」と稲葉さんは指摘する。
困窮高齢者の住宅確保は難しい。本来の受け皿は公営住宅だが、川崎市内の約一万七千戸に空きはなく、新規建設の予定もない。
民間アパートもハードルが高い。保証人が確保しづらく、孤独死を嫌う大家も貸し渋るためだ。実際、日本賃貸住宅管理協会の一〇年の調査では、高齢者の入居に拒否感がある大家は全体の59・2%に達した。
稲葉さんが、ある契約書類を見せてくれた。「もやい」が法人として高齢者の保証人となった際に大家と交わしたものだ。「(孤独死した場合は)部屋全体の原状回復を行わなければならず、相応の費用をご負担いただくことになります」との一文が明記されていた。これでは、一般の人は二の足を踏むだろう。
中には受給者を受け入れる「福祉可」という物件もあるが、「建物が老朽化していることが多く、住環境が良いとは言えない」 (稲葉さん)。こうなると選択肢は簡宿などに限定される。(´・ω・`)
川崎市は一三年十一月、簡宿の利用者にアパートへの転居を促す取り組みを始めた。今年三月末までに百十五人が簡宿を出たが、簡宿で生活保護を受ける人の数は、制度の導入前後でほぼ変わらない。
川崎市保護課の担当者は「受給者が出ても、別の受給者が入ってくる」と説明する。一時的な宿であるはずの簡宿が、住宅に困る困窮高齢者の受け皿となっている実態が見て取れる。火災現場や簡宿を歩いた記者の実感とも重なる。
では、どうするべきなのか。稲葉さんは以前から「自治体が民間アパートを借り上げる形の公営住宅を増やし、さらに公的な入居保証制度を導入することで、アパートが借りやすくなる。空き家対策として、民家への入居を促す方法もある」と唱えてきた。
公営住宅の新規建設よりは、現実的な提案に聞こえるが、これまでの行政の反応は鈍かった。川崎の火災を受けても、国交省は違法建築の確認と是正を徹底する通知、厚労省は情報収集にとどまる。川崎市は、再発防止に向けた対策会議を開いているが、違法建築対
策が主な議題だ。
稲葉さんは「通知を出すだけでなく、今こそ、困窮高齢者の住宅対策を一から話し合うべきだ。(簡宿の利用者は)これまでの住宅政策の不備によって『ここでいい』と思わされてしまっている。住宅政策の不備をこれ以上押しつけてはいけない」と訴える。
簡易宿泊所 室内の様子
日本国憲法前文
より
「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」
日本国憲法第25条
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
生活保護法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
(無差別平等)
第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。
(最低生活)
第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。
もはや“他人事”ではなくなった!
あなたの知らない「貧困の惨状」を追跡
http://diamond.jp/articles/-/6599
「貧困とは、どういう状態を言うのか?」
今回の特集は、こんな基本的な議論から始まりました。
格差社会の議論は今に始まったことではありませんが、景気の急激な悪化によって、それがさらに進んで「貧困層の急拡大」が問題視されています。
全労働者に占める非正規社員率が3割、完全失業者に占める失業保険給付率が2割、生活保護を受けるべき人の受給率が2割など、さまざまな数字がこれを裏付けています。
しかし驚くべきことに、日本では政府による“貧困”の定義や調査がなされておらず、国は「日本では貧困は大きな問題ではない」という見解を崩していません。
正直に告白すると、この問題を詳しく知らなかったのは、私とて同じ。しかし、貧困の実態取材や、貧困解消を阻む政策の問題点を探るにつれ、問題の大きさと複雑さ、そして解決方法の難しさを痛感して、頭を抱えました。
よく言われる「自己責任論」、つまり「何らかの努力が足りなくて貧困状態に陥ったのだ」とする見方も、全くの不正解ではありません。パチンコに精を出し、サラ金に手を出した挙げ句にホームレス状態に陥った人に、果たしてどこまで手を差し伸べたらよいのか――。
編集部内や友人などに聞いてみても、皆の意見はバラバラです。私自身もよくわかりません。
しかし、労働市場の歪みや公的支援の不整備に阻まれ、貧困から抜け出せない人が少なからず存在するのも、また事実。
餓死しなければよいというわけではなく、最低限の衣食住に加えて、ある程度の娯楽を楽しめるレベル、そして何より家族を持って子育てできるレベルにまで全国民の生活水準を引き上げなければ、ゆくゆく経済が崩壊し、日本人全体が苦しむことになります。
この問題の解決には、大幅な財源確保が必要になります。しかし、ただでさえ財政赤字が深刻なので、増税で賄うしかない。そのためには、国民全体が“他人事”という発想を捨て、問題意識を共有する必要があります。
脅すわけではありませんが、これを放っておけば、貧困層はさらに拡大して行き、いずれあなたや私が“ブルーシート”で暮らす日が来ないとも限りません。
参考文献を読み漁り、慣れない頭脳労働にバテた数週間でしたが、本誌は頭が疲れない程度にはわかりやすくまとめて書いたつもりです。ぜひご一読ください。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 津本朋子)
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悪玉じゃなかった?
厚労省「コレステロールと食事 無関係」
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年5月16日
血中コレステロール値を気にして食事を制限している人に朗報だ。厚生労働省が今年改定した「食事摂取基準二〇一五年版」で、食事制限との科学的相関関係が認められないことから高コレステロール食品の基準を削除。日本動脈硬化学会も今月、これを容認した。欧米の医療現場ではほとんど気にすることはないとされていたコレステロール値。これで国際基準に一歩近づいたともいえそうだ。
(鈴木伸幸)
エビ、卵、肉…「無罪」/やっと国際基準に
コレステロールは、これまでの食事摂取基準では、十八歳以上の男性で一日当たり七五○ミリグラム未満、女性は六〇〇ミリグラム未満としていた。
五年ごとに改定する「食事摂取基準」の報告書で、血中コレステロール値について「一定に保たれるようにフィードバック機構が働いている。摂取量がコレステロール値に反映されるわけではない」と説明。コレステロール含有率が高い卵の摂取量と動脈硬化との関連が認められなかったとの調査結果から「十分な科学的根拠が得られなかった」と結論付けた。
日本動脈硬化学会も今月一日の声明で基準撤廃を容認し「動脈硬化を防ぐには、高コレステロールだけでなく、血圧や血糖値のコントロール、禁煙、運動など包括的な生活習慣の改善が大切」と指摘した。
米国でも同様の動きがある。心臓病学会が二〇一三年秋に、食事とコレステロール値の相関関係が証明できないことから、卵に加え、エピやロブスターなどの高コレステロール食品の摂取制限をしないと発表。農務省などの「食事ガイドライン」も今年、摂取制限を廃止する方針だ。
ところで気になるのは、日本では悪玉とされている「LDLコレステロール」と「中性脂肪」の「正常値」の国際格差だ。コレステロールは脂質の一種で、細胞膜や神経細胞、ホルモンなどの原料となる体にとって重要な物質。日本以外では悪玉とは表現されない。
数値は個人差が大きく、米国では異常とする診断基準を血液一〇〇cc当たり「一九〇ミリグラム以上」、中性脂肪は「一〇〇〇ミリグラムリ以上」としている。
これに対して、日本ではそれぞれ「一二〇ミリグラム以上」「一五〇ミリグラム以上」とはるかに低い。
以前は欧米でも日本と同様のガイドラインだった。ところが「LDLや中性脂肪を下げても、病気の予防や治療に役立たない」とする研究結果が相次ぎ、基準は見直されてきた。米国立衛生研究所(NIH)の委員会「コレステロール教育プログラム」は、○四年からコレステロール値を下げる治療のガイドラインを出していない。「家族性高コレステロール血症」といった病的ケース以外では、人為的に下げる必要性がないとされているからだ。
米国では糖尿病や心筋梗塞の予防で一時、高コレステロール食を避けていた時期があったが、心疾患は減らず糖尿病患者が激増。NIHによると、炭水化物の摂取増が原因で、今では動物性タンパク質より穀物類が制限されている。
日本でも、LDLや中性脂肪の数値が高い方が長生きするという調査結果が明らかになっている。脳卒中のリスクにしても「高脂血症の方が低い」というデータもある。
東海大医学部の大櫛陽一名誉教授は「一部の例外もあるが、総コレステロール値は高い方が死亡率は低く、がんや感染症にもかかりにくい。健康で長生きするには、肉などをしっかり食べて、ご飯などの炭水化物を抑え、空腹時に運動をすることの方が効果がある。コレステロール値に過剰反応しないほうがいい」とアドバイスした。
日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要
(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
トランス脂肪酸
日本 規制なし
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2015年6月24日
米国で油脂の成分の一つであるトランス脂肪酸の食品添加物が三年後に原則禁止となる。過剰摂取すると、心臓疾患などのリスクが高まるとされているが、日本では規制されていない。だが、消費者の関心の高まりを受け、食品業界などでは、利用量の低減などを進めるところも増えている。
(林啓太)
米は添加禁止へ
業界は自主対策
含有量表示求める声も
トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸と呼ばれる脂質の一種。自然由来のものもあ
るが、植物油を加工する際にも発生する。マーガリンやコーヒー用のクリーム、ビスケット、スナック菓子などに多く含まれる。
トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、悪玉コレステロール値を高めたり、動脈硬化や心筋梗塞を引き起こしたりする可能性が増すと報告されている。世界保健機関(WHO)は、摂取量を一日の総エネルギー量の1%未満に抑えるよう勧告している。
米食品医薬品局(FDA)は、「食用として一般的に安全とは認められない」と指摘。二〇一八年六月までに食品添加を原則禁止とすることを決めた。FDAは「心臓病を減らし、年間数千件の命に関わるような心臓発作を防ぐことができる」とみている。
日本では、トランス脂肪酸の規制や含有量の表示義務はない。
内閣府の食品安全委員会は一二年、「通常の食生活なら健康への影響は小さい」とする評価書をまとめた。同委員会によると、日本人がトランス脂肪酸から摂取ずるエネルギーは総量の約O・3%。WHOの勧告を下回る。米国人は約2・2%で、食生活の違いが大きいという。
内閣府の消費者委員会も今年五月、「日本人の大多数は1%未満と推定され、平均的な摂取量なら健康への影響を懸念する水準ではない」とする報告書をまとめた。ただ、若年層や女性を中心に摂取量が多い傾向にあることから、今後、表示義務などを検討する必要があると指摘している。
厚生労働省食品安全部の担当者は「今のところ、摂取量に基準を設ける予定はない」と話す。
食品業界などでは、消費者の懸念をなるべく拭い去るため、使用量の低減や原料の切り替えに取り組む企業が増えている。
日本ケンタッキー・フライドーチキン(KFC)は油の改良で主力商品のトランス脂肪酸の量を○五年と比べ十六分の一に抑えた。日本KFCホールディングス広報室は「顧客から問い合わせがあれば、削減の取り組みを丁寧に説明する」と話す。
山崎製パンはホームページで主な商品のトランス脂肪酸の量を開示している。同社広報・IR部は「健康への影響を懸念する声に応える必要がある」とする。
トランス脂肪酸の問題に詳しい富山短大の竹内弘幸教授(食品栄養学)は「ごく少数だが、トランス脂肪酸の含有量が度を超えて高い商品もある。WHOの勧告を超える量を食べてしまう可能性もある。そうした商品に対しては規制も検討していくべきだ」と提案する。
食の安全・監視市民委員会の神山美智子代表は、「商品に表示があれば、消費者は自主的に摂取量を調整できる」として含有量の表示に積極的に取り組むよう求めている。
日本で規制なき「トランス脂肪酸」
避ける食べ方を専門家指南
(日刊ゲンダイ)2015年6月30日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/161243
米国では、3年後に禁止されるトランス脂肪酸だが、厚労省は「規制は考えていない」という。しかし、トランス脂肪酸の規制は世界の流れ。本当に食べ続けて、大丈夫なのか。
横浜創英大名誉教授・則岡孝子氏(栄養学)が言う。
「WHOは、トランス脂肪酸の摂取量を1日の総エネルギーの1%未満に抑えるよう勧めていて、日本はその範囲内に収まっていますが、米国は2・2倍。その差が日本の規制が甘い最大の根拠です。しかし、クリニックでの食事指導などの経験から、データは必ずしも実態を反映していないように思います。食生活によっては、米国並みに摂取している人が相当数いるはずです」
トランス脂肪酸の恐ろしさは、米国で04年に公開された映画「スーパーサイズ・ミー」で大注目された。その米国版DVDの特典映像が、2カ月常温で放置されながら腐らなかったポテトフライだ。トランス脂肪酸は、別名“プラスチック油脂”といわれ、添加された食品は劣化しにくくなる。
それが悪玉のLDLコレステロールを上昇させて、血管の内側にヘドロみたいにたまり、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす。ぜんそくや鼻炎、皮膚炎などアレルギーの原因にもなるという。33歳の主人公は30日間、3食ファストフードを食べ続けた結果、体重は11キロ増の95キロ、体脂肪率は8ポイント増の19%に上昇した。
そのすべてがトランス脂肪酸の“仕業”とはいわないが、ニューヨーク市は映画公開の翌年、トランス脂肪酸の規制を打ち出している。
「デンマークが03年にトランス脂肪酸の含有量を油脂100グラム当たり2グラムを超えないように決定。同様の含有量規制はスイス、オーストリア、カナダ、シンガポールなども導入しています。韓国や台湾、香港のほか、食料不安が根強い中国でさえ含有量の表示義務があるのです」
■重ねて摂らない、食材は厳選
実は、トランス脂肪酸は肉をはじめ天然の脂肪にもわずかに含まれるが、加工品に圧倒的に多い。典型的な“トランス食品”をチョイスしたのが上の表だ。知らず知らずのうちに口にしている人も多いだろう。
朝起きたら、コーヒーフレッシュを入れたコーヒーを飲みながら、マーガリンを塗ったパンを1枚。昼は時間がなく、マヨネーズを使ったハムサンドで軽く済まし、一段落しておやつにドーナツ1個。夜は冷凍食品の空揚げをつまみに晩酌……。
「トランス脂肪酸の含有量は、マーガリンが最大13%と突出していますが、菓子類やインスタント食品、冷凍食品なども侮れません。たとえば、パイは最大7%、カレーやシチューのルーは最大4%。トランス脂肪酸を避けるには、重ねて取らないのがコツ。たとえば、カレーはインスタントではなく、インド料理店など専門店で買う。甘いものがほしければ、ケーキやパイをやめて和菓子にする。含有量1%を超えるマヨネーズはなるべくつけず、チキン南蛮より普通の空揚げに。安い飲食店やインスタント食品ではラード(最大1%)が多用されますが、そういうのは控えて、食材を厳選した店にするといった具合です」
“目に見えない敵”は周りにあふれている。気をつけなければ、映画の主人公みたいになってしまうのだ。
トランス脂肪酸を含む食品について。- 2010.12.26
https://youtu.be/Jmj9eAlIzPA
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気になっていた話題を色々と…( ̄- ̄)
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