大阪空襲訴訟は何を残したのか?
(ラジオフォーラム#129)
https://youtu.be/EZ49dyeadtw?t=15m52s
15分52秒~第129回小出裕章ジャーナル
汚染水対策の行方「すずとか鉛というような物を送ることができるのであれば、それが液体状態になって、炉心を冷やしてくれるのではないかと期待しています」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no129/
福島第一原発設置前の様子
矢野宏:
今、福島第一原発の現状ですけれども、核燃料から出る崩壊熱ですよね。それを冷やすために今もう水をひたすら入れていると。それが地下水と一緒になってしまって、汚染水として1日に400トンですか、それぐらいの汚染水が出ている。これを何とかまずしなければいけないということで、小出さんは、「この水ではなくって、すずとか鉛、融点の低い金属で冷やすことも可能だ」というふうにおっしゃってますが、それは可能なんですか?
小出さん:
分かりません。4年以上経った現在では崩壊熱が減っているので、必ずしも冷やす度に水でなくてもいいだろうと思うようになりました。
そのために水に代わる材料として、比較的低い温度で溶けてくれる金属、スズとか鉛というような物を送ることができるのであれば、それが液体状態になって、炉心を冷やしてくれるのではないかと期待しています。
でも、ほんとにそれができるかどうかということは、はじめにお伝えした通り、私もよく分からないのです。でも、このままでは、やはり放射能汚染水問題がますます深刻になって、手の打ちようがなくなりますので、いつの時点から、やはり決断してやってみるべきだと私は思っています。
放射能汚染水垂れ流し
矢野:
なるほど。金属だけではなくって、場合によっては空冷、空気でも冷やせるんだということをおっしゃってますが。
小出さん:
はい。車という物であっても、液体で大抵はエンジンをラジエーターで冷やしているわけですが、でもバイクなんかは空冷なんですね。ですから、発熱の大きさによっては、水あるいは液体でなくても、空冷ということも可能かもしれないと思います。格納容器という巨大な容器の中に、たぶん溶けた炉心がどこかにある。あるいは、一部は突き破って出ているかもしれませんけれども、格納容器という巨大な容器。かなり表面積が大きいですので、その表面をブロアーで冷やすということで、冷却ができる可能性がかなり高いと私は思います。
矢野:
わかりました。そしてもうひとつなんですけれども、小出さんは「石棺で封じ込めるしかない」というような発言をされてますよね?
小出さん:
そうです。
矢野:
私達は石棺と言うと、チェルノブイリを思い出すんですけれども、ああいった簡単にと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、コンクリートで埋めて固めて、福島第一原発は大丈夫なんでしょうか?
小出さん:
さまざまな問題があると思います。例えば、チェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、溶け落ちた炉心が地下に流れていったのですが、当時のソ連政府が、地下に液体窒素などを流す、あるいはコンクリートのスラブを造るというような形で、溶け落ちた炉心が地面の方に流れ出ていってしまうということは防いだのです。
そして、地下水がその原子炉建屋の中に流れ込んでくるというような現在の福島第一原子力発電所のようなこともありませんでしたので、とにかく壊れてしまった原子炉建屋、そこを地上の部分ですね、地上の部分をさらに大きなコンクリート構造物で覆えばいいということで、ようやくにして石棺というものを造ったのです。ただ、その石棺も事故からすでに29年経ってボロボロになってしまいまして、その石棺をさらに大きな第2石棺で覆わなければいけないという状態になってしまっています。
福島第一原子力発電所の事故の場合には、すでにもう地下の部分で地下水と混然一体となってしまっていますので、チェルノブイリのように、簡単に地上だけで石棺を造るということもできません。
地下にもやはり、地下水との接触を断つような構造物を造らなければいけませんし、地上にもやはり、コンクリートの構造物を造る必要があると思うのですが、その前に、まずは1号機も2号機も3号機も、原子炉建屋の使用済み燃料プールの中に、まだ使用済みの燃料が大量に残ってしまっていますので、それをとにかく外部につかみださなければいけないのです。
でもその現場すらが放射能で大変汚れてしまっていて、人が近づくことすらができないし、いつになったらプールの中から使用済み燃料をつかみだすことができるのか、それすらが分からないという困難な状況にあります。でも、いつの時点かで、やはりやらざるを得ないのです。
廃止措置等に向けた進捗状況:プラントの状況把握と燃料デブリ取り出しに向けた作業
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/150326/150326_01_2_05.pdf
矢野:
なるほど、そういうことですよね。今おっしゃって頂いた、そのチェルノブイリとの違い。その福島第一原発の場合には、地下水が流れ込んでくる。東京電力と国は、その地下水を防ぐために凍土壁を造ろうとしていますよね?
小出さん:
はい。
矢野:
これについてお伺いしたいんですけど、これは現実可能なんでしょうか?
小出さん:
まあやってみるしかないとは思いますけれども今、福島第一原子力発電所で造ろうとしている凍土壁は、深さ30メートル、長さが1.4キロから1.5キロの凍った土の壁を造ろうとしているわけです。
常時冷やし続けられなければ、その壁がまた融けてしまって壁の意味がなくなってしまうわけですから、まずそんな巨大な氷の壁を造ること自身が私は難しいし、たぶんできないと思いますし、仮に一時的にできたとしても、長期間そんな壁を維持することは到底できないと思います。ですから、いつの時点かで、やはり恒久的なコンクリートと鋼鉄、あるいは、ねん土という案もありますけれども、そのような壁を造らざるを得なくなるはずだと思います。
矢野:
なるほど。できないとおっしゃっいました。確かに、停電が起きると、その氷の壁は融けてしまうわけですもんね?
小出さん:
そうです。停電だけでなくて、ポンプが例えば故障したということであっても、冷媒は送れなくなりますのでだめですし、何かパイプが詰まってしまったということでもだめなわけですし、何十年にもわたってそんな物を維持できる道理がありませんので、結局破綻すると思います。
矢野:
なぜ私達でも分かるこういったことを国とか東京電力は進めようとしてるんでしょうか?
小出さん:
彼らは、やってることが失敗しても全く困らないのです。何百億円かのお金をせしめて、ゼネコンがそれを請け負うわけです。やはり、これはうまくいかないということになると、今度は次のまた壁を造ろうということになって、別のゼネコンがそれを請け負うわけです。何百億円だか何千億円だか知りませんが、それをゼネコンがせしめて儲けていくということになるわけです。
ゼネコンという組織は、原子力発電所を建設する時に儲けて、事故が起きてしまったら今、除染ということで大儲けをしているわけですし、凍土壁を造る、あるいはまた別の壁を造るという時でも、またどんどん大儲けができるというそんな構造になってしまっているのです。
矢野:
なんとも腹立たしいお話ですよね、これは。
小出さん:
ほんとにそう思います。
矢野:
このゼネコンを儲けさせるために今、そちらに向かってるということなんでしょうねえ。
福島第一原発1号機建設の様子
小出さん:
そうです。
矢野:
はい、ありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。
注目の人 直撃インタビュー
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
2013年9月13日 日刊ゲンダイ
http://gendai.net/articles/view/syakai/144541
「放射能は完全にブロックされている」「コントロール下にある」――。IOC総会で、安倍晋三首相は福島第1原発の汚染水問題について、こう豪語した。首相の言葉はすなわち、国際公約になったわけだが、現地では今も1日400トンもの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込み、海に漏れている可能性も否定できない。安倍首相の言う「完全ブロック」とは程遠い状況なのだが、原子力の第一人者はどう見ているか。
そんなに安全なら自分で現場に行けばいい
―安倍首相のIOC総会での発言を聞いて、どう思われましたか?
「ほとほと呆れました。一体何を根拠にコントロールできていると言っているのでしょうか。冗談ではありません。福島原発は今、人類が初めて遭遇する困難に直面していて、想像を絶する状況が進行しているのです。そもそも、原発政策を推し進めてきた自民党政権は、原発を安全だと説明してきたが、安全神話は事故で崩れた。それなのに『コントロール』なんて、よく言えたもので、本当に恥知らずです。そこまで言い切るなら、安倍首相自らが福島原発に行って収束作業に当たればいいと思います」
―汚染水の現状をどう見ていますか。
「これは予想できたことなのです。事故が起きた福島原発では溶けた炉心の核燃料を冷却する必要があります。水を入れれば核燃料に触れた水の汚染は避けられない。福島原発は水素爆発で原子炉建屋の屋根が吹き飛び、地震と津波で、施設のあちこちが壊れている。汚染水は必ず外部に漏れてくる。それが原子炉建屋やタービン建屋の地下、トレンチといった地下トンネルにたまり、あふれ出る。誰が見ても、当たり前のことが起こっているのです」
―小出さんは2011年3月の事故直後から、汚染水はタンカーで移送すべきだと提案していました。
「漏れた汚染水が原発の敷地内にたまり続け、今のように周辺からあふれるのは明白でした。それなら一刻も早く汚染水を漏れない場所に移さないといけない。そこで数万トンの容量があるタンカー移送を提案したのです。新潟県にある世界最大の原発、東京電力柏崎刈羽原発には廃液処理装置があります。柏崎刈羽原発は稼働停止中ですから、そこに運んで廃液処理するべきだと考えたのです」
―しかし、提案は採用されなかった。
「汚染水を海上輸送するので、地元漁協はもちろん、国際社会の反発が予想されるし、受け入れる新潟県の反対もあったのでしょう。東電が柏崎刈羽原発に放射性廃棄物がたまり続けることを避けたかったのかも知れません。私は2011年5月に原子炉建屋の周辺に遮水壁を設けることも提案しました。地下水の汚染を防ぐためです。しかし、東電側は『カネがかかり過ぎて6月の株主総会を乗り切れない』と考えたようで、結局、何もしなかった。今になって遮水壁、凍土壁をいますね」
汚染水は許容値の300万倍、制御は不可能
―政府の汚染水対策の柱は「凍土壁」と、汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去装置「ALPS」の増設・改良です。「ALPS」が稼働すれば状況は改善されるのですか。
「動かさないよりも動かした方がいいに決まっている。しかし、汚染水問題の根本解決は困難と言わざるを得ません。なぜなら、汚染水の濃度があまりに高いからです。汚染水に含まれている主な放射性物質はセシウム137、ストロンチウム90、トリチウムの3つだと思います。この実験所をはじめ、国内の原発でストロンチウム90を廃液処理する場合、法令上の基準値は1リットル当たり30ベクレル以下です。しかし、先日、福島原発の地上タンクから漏出した汚染水は1リットル8000万ベクレルと報道されていました。つまり、許容濃度にするには、300万分の1以下に処理しなければならない。私は不可能だと思っています。さらに、トリチウムは三重水素と呼ばれる水素ですから、水そのもので、ALPSで除去することはできません」
―凍土壁は効果ありますか。
「私は遮水壁は鉄とコンクリートで造るべきだと思っています。耐久性があり、最低でも10~20年は持つからです。しかし、造るのに時間もカネもかかる。待ったなしの状況を考えれば、急場しのぎの凍土壁も造った方がいい。ただ、凍土壁が冷却に失敗したら地下に巨大な穴が開く恐れがある上、何年維持できるのか分からない。最終的には、やはり、凍土壁の周囲を鉄とコンクリートの遮水壁で覆う必要があると思います」
―小出さんは最近、水を使った冷却をやめるべきと言っていますね。
「水を使い続ける限り、汚染水は増え続ける。今のような状況は何としても変えなくてはなりません。重要なことは冷やすこと。つまり、冷やすことさえできれば、手段は問わないわけです。東海原発の原子炉のように炭酸ガスを使って冷やす例もあります。ただ、ガスだと今度は汚染ガスの問題が出てくるでしょう。そこで、金属を使うことが考えられます。仮に(融点の低い)鉛などを炉心に送ることができれば、最初は熱で溶けて塊になるものの、塊が大きくなるにつれて次第に熱では溶けなくなる。その後は自然空冷という状態になると思います。ただ、これが確実に有効な対策かと問われると正直、分かりません。金属の専門家などを集めて知恵を絞るしかありません」
チェルノブイリのように石棺にするしかない
―福島原発はどうすれば廃炉できるのでしょうか。
「(1986年に事故を起こした)チェルノブイリ原発のように石棺しか方法はないと思います。ただ、チェルノブイリ原発も事故から27年経った今、コンクリートのあちこちが壊れ始めている。福島原発は事故を起こした原子炉が4基もあり、石棺にするにしても、使用済み核燃料プールにある燃料棒は必ず取り出す必要がある。その燃料棒の取り出しに一体何年かかるのかも分かりません」
―簡易型タンクで急場をしのぐだけの東電の後手後手対応にも呆れます。
「現場は猛烈に放射線量が高く、一帯は放射能の沼のようになっていると思います。その中で、貯水タンクを(壊れにくい)溶接型にしたり、漏出がないかどうかを24時間体制で監視すれば、確実に作業員の被曝(ひばく)線量が増える。つまり、作業を厳格にしようとすれば、その分、作業員の被曝線量が増えてしまう。だから、場当たり的な作業にならざるを得ないのだと思います」
―作業員の話が出ましたが、今後、数十年間は続くとみられる廃炉作業を担う作業員は確保できるのでしょうか。
「チェルノブイリ原発では、収束のために60万~80万人が作業に当たりました。27年経った今も、毎日数千人が作業しています。原子炉1基の事故でさえ、この状況です。福島は原子炉が4基もある。一体どのくらいの作業員が必要になるのか見当もつきません」
―それなのに安倍政権は原発を再稼働する気です。
「町の小さな工場でも毒物を流せば警察沙汰になり、倒産します。しかし、福島原発の事故では東電はいまだに誰も責任を問われていません。電力会社が事故を起こしても免責になることに国が“お墨付き”を与えたようなものです。だから、全国の電力会社が原発再稼働に走るのです」
▽こいで・ひろあき 1949年東京生まれ。東北大工学部原子核工学科卒、同大学院修了。74年から現職。放射線計測、原子力施設の工学的安全性の分析が専門。「放射能汚染の現実を超えて」(河出書房新社)、「原発のウソ」(扶桑社)など著書多数。
○● 見過ごし出来ない!(#゚Д゚) ●○
自民墓穴
言論弾圧政党の正体暴露
(日刊ゲンダイ)2015年6月29日
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変質する原子力協定
国内で新設困難 海外輸出に活路
(東京新聞【こちら特報部】)2015年6月24日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015062402000128.html
日本からインドに原発を輸出できるようにする原子力協定交渉が進んでいる。原発の安全性も問題だが、協定にはさらに大きな問題がある。日本が輸出した原発で核燃料を使用した後、プルトニウムを取り出す再処理をインドに認めようとしている。プルトニウムは核兵器への転用が容易だ。日本が掲げる「原子力の平和利用」が破られてしまわないか-。
(沢田千秋、榊原崇仁)
インドとの原子力協定交渉は二〇一〇年に始まった。五年たっても合意に至らないのは、日本製原発で使用した核燃料の再処理の容認を求めるインドに対し、日本が慎重姿勢を貫いてきたからだ。
日本は現在、十四の国・機関と協定を結ぶ。そのうちの七つは福島第一原発事故が起きた一一年以降に発効した。相手は、電力需要の増す新興国が多く、原発の輸出を目指す。
だが、日本が原発輸出国の立場で、核兵器に転用可能なプルトニウムを取り出す再処理を認めた協定はない。ヨルダンとUAEに対しては再処理を禁止。トルコやベトナムに対しては、再処理をするには書面による合意を必要とする。岸田文雄外相は昨年四月、衆院外務委員会で「トルコの濃縮、再処理を認めることはない」と強調した。
では、なぜインドに対しては再処理を認める方針なのか。
インドの人口は現在、十二億五千万人。国連の予測では、二八年に十四億五千万人になり世界一になるという。電力需要は高まる。国際原子力機関(IAEA)の予測では、インドを含む中東・南アジア地域の原発の数は、三〇年には最大で、現在の九倍にあたる五十五基に増える。
安倍晋三首相は一三年五月、滞っていた原子力協定の再開について、インドのシン首相(当時)と合意した。この時期、野党の質問に対し、「福島第一原発事故の経験と教訓を世界と共有することにより、世界の原子力安全の向上に貢献していくことがわが国の責務」と答弁書で答えている。(-ω-)
福島の原発事故が国内の原発メーカーに与えた影響は大きい。日立製作所、東芝、三菱重工業が原発製造の技術を持っているが現在、国内での原発新設は極めて困難な状況にある。そこで、海外輸出を目指そうとしている。ダァメ X(゚ロ゚ 三 ゚ロ゚)X ダァメ!
拓殖大大学院講師の竹内幸史氏(南アジア研究)は「インド政府は原発増設を長期的計画として表明している。日本にとって大きなマーヶツトになる」とみる。
しかし、インドは一九七四年、カナダから輸入した研究炉で得た使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して核実験を行い、核兵器保有国になった。核兵器の製造などを禁じる核拡散防止条約(NPT)には加盟していない。
再処理容認に当たり、取り出したプルトニウムの量や所在を記した目録提出の義務付けを求めても、インドは「IAEAの査察協定があるので転用の懸念はない」と拒否しているという。再処理を認めた場合、核軍縮・不拡散の観点から問題はないのか。
竹内氏は「IAEAの査察はインドの原発の全てに目が届くわけではない。日本政府は被爆国として核軍縮を進めるリーダーの役割を果たしたい一方で、インドを特別扱いして関係を深めて中国を載制したいという狙いもある。安倍政権は後者を優先している」とみる。
プルトニウム抽出
イン卞こに初容認へ
今でこそ原発輸出国として欧米諸国と肩を並べるようになった日本も、原発技術を導入する際、外国を頼った。
一九五五年、米国との間で原子力研究のための協定を結んだ。日本は有償で濃縮ウランを借り受け、茨城県東海村の日本原子力研究所(当時)に米国製の研究炉を設けた。五七年に臨界を達成し、最初の「原子の火」をともすことに成功した。
この協定では、使用済み核燃料は米政府に返還することが決められていた。元外交官で、原子力委員会委員長代理を務めた遠藤哲也氏は「原子力には『二重人格性(二つの面)』がある。平和利用の側面と核開発という軍事転用の側面だ。日本は原子力の平和利用を夢見たが、米国は核兵器の拡散を懸念し、協定を通じて規制をかけた」と説明する。
六八年には日米原子力協定が結ばれた。この原子力協定では、国内における使用済み核燃料の再処理、つまりプルトニウムを取り出すことが認められた。返還しないで他国に輸送することも容認されたが、一回ごとに、米国の承認が必要だった。
状況を変えたのは、八八年に新たに発効した現在の原子力協定だ。核燃料サイクル事業を進めたい日本の要求が通り、一回ごとの米国の承認を不要とする「包括的事前同意」に変更された。
この協定を結ぶときの交渉で日本側の首席代表を務めた遠藤氏はこう説明する。「包括的事前同意は日本だけに対する特例措置だった。米国が冷戦構造の中で日本の存在を重んじたほか、当時の中曽根康弘首相とレーガン大統領の仲もあって認められた」
当時、日本が軍事転用をしないという信頼関係も米国と築けていた。だが、日本はいま、インドと原発を軍事転用しないという信頼関係を築けているのか。
核拡散促しかねない
実は、米国は既に、インドと原子力協定を結び、使用済み核燃料の再処理を容認している。遠藤氏は「イントは核拡散防止条約(NPT)への加盟を求められても聞く耳を持ってこなかった。対話のテーブルに着くよう、日米共同歩調で手を打とうとしているのではないか」とみる。
その上で、「日米協定では安全保障上の問題や核不拡散の懸念が生じた場合、包括的事前同意を停止する取り決めがあった。インドとの協定にも取り込むべきだ」と歯止めを求める。
明治大の勝田忠広准教授(原子力政策)はそもそもの日本の姿勢を問題視する。
「いま、二政府が原発輸出にしっかりしたビジョンを持っているか疑わしい。産業界の意向第一、お金の問題として動いているようにしか見えない」と指摘する。輸出先の国々における原発の保守、点検の問題を挙げ、「安全性をどう確保するのかという議論が乏しいように思えてならない」と危ぶむ。
「核兵器の原料となるプルトニウムを手にしやすい状況をなぜつくるのか。他の国が同じ条件の原子力協定を求めるケースが出てきて、核拡散を促すことになりかねない。広島と長崎の原爆投下と福島第一原発事故を経験した日本が果たすべき役割から大きくかけ離れている」と、原子力協定の締結では厳しい規制を設けるように求めた。(`・ω・´)
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小出裕章先生:彼らは、やってることが失敗しても全く困らないのです…ゼネコンがせしめて儲けていく
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