少々、ブログ更新が滞りまして、すいませんでした
m(._.)m
持病の腎臓病が悪化したのか?それとも投薬変更で副作用が出たのか?先週の後半に三日ほど寝込んでしまいまして、ブログの更新やイイネ・ペタをすることが出来ませんでした…( ̄▽ ̄;)
各方面にご迷惑をおかけしたのをこの場を借りて、お詫びいたします。
(・ω・`)
絶望のススメ~国際政治学者が説く、日本政治に可能性を見出す方法
(ラジオフォーラム#126)
https://youtu.be/oF56EE7fe8Q?t=17m2s
17分2秒~第126回小出裕章ジャーナル
伊方原発「適合」の問題「日本最大の活断層、中央構造線が動くようなことになれば、おそらく壊滅的な被害を受けるだろうと思います」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no126/
湯浅誠:
今日はですね、伊方原発3号機の適合問題ということなんですけれども、5月20に原子力規制委員会が伊方原発3号機が新規制基準を満たしているという審査案を了承したと。九州電力の川内原発1・2号機、そして、関西電力の高浜原発3・4号機に続いて3例目ということなんですが、今回の伊方原発が抱えている独自の問題点というかですね、というのは、どういうところにあるんでしょうか?
小出さん:
はい。原子力発電所というのは、みんな問題を抱えているわけですけれども、それぞれにかなり特色のある問題を抱えています。
例えば伊方原子力発電所の場合には、愛媛県に佐多岬という細長い半島があってですね、四国から九州に向かって伸びているのですが、一番太い所でも6キロ程度だろうと思います。長さで言えば、40キロもあるというようにですね。細長く九州に向かって伸びているのです。
それの付け根の所に伊方原子力発電所が立地しています。もし原子力発電所で事故が起きた場合に、岬の先の方にいる人達は一体どうやって逃げることができるのだろうかと、私は昔から思っていましたし、福島第一原子力発電所の事故が事実として起きた今、もう到底、岬の先端の方の人達は逃げることができないだろうと、私は思うようになりました。この佐多岬という半島には伊方町のですね、多分5000人を超えるぐらいの人が住んでいるはずで、その人達がもし逃げるとすれば、何か船に乗って九州に逃げるという、そんなやり方しかたぶんないだろうと思います。
湯浅:
そういう避難計画っていうのは、愛媛県ないし伊方町は作ってるんですかね?
小出さん:
ええ、これから要するに作ることになるのでしょうけれども、一番初めに新規制基準に適合されたと認められた川内原子力発電所の場合も、もう到底逃げることなんかできないよということで、鹿児島県の知事自身がそのことを認めてしまうという状態になったわけです。
伊方の場合にはもっと厳しく、逃げることができないだろうと思います。
湯浅:
鹿児島県知事は、だいぶ原発再稼働に前向きだった人でしたけども、愛媛県は中村知事ですかね、中村知事はどういう態度?
小出さん:
今のところ曖昧な態度ですので、どうなるのかは予断は許しませんけれども、基本的には原子力発電所を立地されてしまった自治体というのは、原子力発電所によって、私は麻薬患者にされたと言ってるわけですけれども、さまざまなお金でがんじがらめに縛られてしまっていますので、これからも認める方向に行くんだろうなと私は心配しています。
湯浅:
伊方町長はもう前のめりというか。再稼働して欲しいという立場なんですね?
小出さん:
はい。残念ながらそうです。
湯浅:
周辺自治体はどうですか?
小出さん:
多分、もし意見を言えるようになれば、あれこれと意見を言い出すだろうと思いますけれども、川内原子力発電所の場合も立地自治体、薩摩川内市と鹿児島県の同意だけあればいいということにされてしまったわけですし、伊方原子力発電所の場合も伊方町と愛媛県さえ「うん」と言えば、あとの自治体はほったらかしにされるという可能性が高いと思います。 (´・ω・`)
湯浅:
それに加えて、伊方原発の近くには大きな活断層がある。南海トラフ地震の被害を受ける可能性があるということも言われているようなんですけれども。
小出さん:
はい。昔、小松左京さんが『日本沈没』という小説を書いたことがあるのですが、あの小説は日本最大の活断層に中央構造線という活断層があるのですが、中部地方からずーっと関西を横断して、四国を横断して、九州まで伸びていくという巨大な活断層なのです。
その『日本沈没』では、巨大な中央構造線の活断層が割れて、日本が太平洋に滑り落ちていくという、そういうことを書いた小説だったのですが、伊方原子力発電所の敷地の前面に、その日本最大の活断層、中央構造線が走っているのです。
もし、それが動くようなことになれば、おそらく壊滅的な被害を受けるだろうと思います。
中央構造線地震被害想定
その上、伊方の場合にはそれだけでは済みませんで、「日本でこれから巨大な地震が起きる」と世界中の地震学者が言っていまして、東海地震、東南海地震、南海地震と呼ばれているような中部地方から関西、四国、九州に伸びてくような地域に、巨大なやはり地震の渦がありまして、そこで、近い将来必ず大きな地震が起きると世界中の地震学者が言ってるわけですから、伊方原子力発電所というのは中央構造線のおそれ、そして、南海地震のおそれというように、南北から挟まれた形で存在しています。
湯浅:
非常にまあ危ない…伊方原発だけじゃないですけどねえ。危ない所にあるということですが、川内、高浜、伊方と、結構ここのところ続々というか、いよいよ本格的にというか、再稼働に向けての準備が進んでいて、高浜原発は運転延長まで申請したと、20年間のですね、ということなんですが、小出さんからしてみれば、「それはそう来るに決まってんだよ」ということなんでしょうけども、いかがでしょうかね?
小出さん:
あまりにも愚かな選択だなと、私は思います。大きな原子力発電所の事故など決して起きないと言ってきた人達が、事実として事故が起きているのに、未だに目を覚ますことができない。ほんとに、この国の指導者達、あるいは経済界の首脳達、どういう人達がやってるのかなあと、私は大変残念だし情けなく思います。
湯浅:
今日もありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。
中央構造線断層帯(金剛山地東縁-伊予灘)の長期評価(一部改訂)について
(地震調査研究推進本部 地震調査委員会)
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/11feb_chuokozo/index.htm
伊方原発問われる「安全神話」
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ref=em_over&ch_userid=eichieichi&prgid=43697837
"フクシマ"によって崩壊することになった原発の安全神話。その神話が形作られていくきっかけとなったのが、四国電力の伊方原子力発電所の安全性を巡って30年近く争われた裁判である。当時、四国電力で原発設置を担当したある技術者は、裁判後、徐々に社内で蔓延していく「絶対安全」に対して、異論を訴えたが黙殺され続けてきた。裁判資料を読み解くと、地震のリスクなど専門家の調査結果が無視されている部分も多い。
第2のフクシマは防ぎたいと、今でも原発の危険性を訴える技術者の思いを軸に、現在でも"安全神話"が続く原子力発電の現場を見つめる。
伊方原発の新安全対策なるものの虚妄性
http://dai.ly/xjuc5c
沖合走る中央構造線 伊方原発の耐震は
(四国新聞)2011年6月12日
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/555/
東日本大震災による福島第1原発の事故を受け、全国の原発で地震への備えに関心が高まっている。四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)でも、すぐ近くの海底を断層が走り、激しい揺れが予想される。電力各社は緊急の安全対策に取り組んでいるが、専門家からは地震が原発に与える影響を抜本的に見直すべきとの声が聞かれる。
「想定外をなくすには、最悪のケースに備えるのが基本」として、地震の評価と原発の耐震性を抜本的に見直すよう求める岡村教授に対して、四電は「もっと長い断層による地震の可能性を排除しているわけではない」と説明。地震の評価では360キロ、130キロ、69キロなど断層の長さを複数パターン設定。さらに断層の傾斜角や強い揺れを引き起こす箇所の位置を変えるなどしてシミュレーションした。その結果、長さ54キロの断層による地震が最大と判断したとする。
福島第1原発の事故後、原発の「安全神話」は崩れさった。安全規制を担う原子力安全・保安院、原子力安全委員会には不信の目が向けられている。定期検査で停止した原発の運転再開をめぐり、地元自治体は国に新しい安全基準を求めるが、従来の「原子力村」で安全基準をまとめるのでは不信は払しょくできない。電力会社が地震対策に取り組み、安全性を訴えても、なかなか説得力を持たないのが実情だ。
2011/4/26 石橋克彦先生講演 「福島原発震災」の彼方に
http://www.ustream.tv/recorded/16808571
地上の脆弱な高度文明社会が、地下の動乱時代に遭遇するのは、人類史上初である。
地球上で最も過酷な地震空間が、最も活動的時間にあるという、厳然とした自然条件。→大自然の猛威を何とかすりぬけてきた日本人が、それに直撃される。
「人々の幸せのための物々交換」から「金儲けのための自由貿易至上主義」へ、「暮らしを支えるための技術」から「利潤追求のための欲望刺激型技術開発」へ、「大自然をよりよく知りたい科学」から「欲望実現の用心棒としての科学」へと発展してきた現代文明。それが「進歩」だったのか。
このような人類史を根底から問い直すべき秋が到来したのではないか?
(石橋克彦「史料地震学と原発震災」報告レジュメより)
「原発震災」予言した地震学者が批判 川内原発規制委審査は「無効」
(東京新聞【こちら特報部】)2014年10月6日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014100602000158.html
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)は新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の審査書について、「無効だ」と主張する地震学者がいる。石橋克彦神戸大名誉教授(70)。福島原発事故の14年前から、大地震による「原発震災」に警鐘を鳴らしてきた。石橋氏は「審査は法令違反とさえ言える」という。何が問題なのか。
(沢田千秋)
法令違反なみ手抜き
「新規制基準は、安倍政権がいう『世界で最も厳しい水準』から程遠い欠陥品だが、その根本問題に目をつぶっても、審査があきれるほどずさん。鉄道や航空機の安全に関わる事例だったら世間の袋だたきにあうような手抜きがあり、省令なみの規制に違反している」。川内原発の審査に対する石橋氏の批判は強烈だ。
新規制基準は、原発の耐震設計の基準となる揺れ(基準地震動)を策定する際、「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について、敷地に大きな影響を与えそうな地震を複数選定し、それらによる基準地震動を検討するよう求めている。
しかし、九電は川内原発の基準地震動の策定に当たって、内陸地殻内地震しか検討しなかった。プレート間地震と海洋プレート内地震については、発生位置が敷地から十分離れているため震度5弱に達せず、原発に影響を与えないとして検討対象から除外したのだ。規制委は、それをあっさり認めて「合格」させた。
だが石橋氏は、「九電が『震度5弱に達しない』と言って、規制委が『はい、そうですか』で済ますとは、地震学的にもってのほかだ」と指弾する。
なぜなのか。プレート間地震ついては、内閣府の検討会が二○一二年八月に公表した最大クラスの南海トラフ巨大地震の想定がある。マグニチュード(M)9級で、震源域は駿河湾から宮崎県沖まで広がる。石橋氏は「川内原発付近の予想最大震度は5弱に達している。しかも、この震度予想は広域の傾向をみるための目安にすぎない。原発のような重要施設は、より安全を考えた震源モデルを設定して再検討するのが当然で、震度6弱になる可能性もある」という。
海洋プレート内地震については、九電も例示した一九○九年の宮崎県西部の地震(M7.6)で、宮崎、鹿児島、大分、佐賀で震度5を記録し、各地に被害をもたらしている。これは、九州の地下に沈み込んだ海洋プレート(スラブ)の中で発生したスラブ内地震だ。石橋氏は「スラブは鹿児島県の地下にも存在するから、川内原発にもっと近いところでもスラブ内地震は起こりうる。しかもM7.6が最大とは限らない。最悪の場合は震度6に達するかもしれない」と話す。そして「それを指摘しなかった規制委は能力と熱意・使命感に欠けているのではないか」と手厳しい。
川内原発の基準地震動の最大加速度は620ガル(ガルは加速度の単位)である。これは、M6.1の地震が原発直下で発生するとした場合の値だ。しかし石橋氏によれば、「活断層が認められなくてもM7級の大地震が起こるから、これは明らかに過小評価だ」。
再び「原発震災」招く
一般に基準地震動は複数策定される。地震の種類によって揺れの性質が違うからだ。しかし、九電は川内原発について、直下地震のほかは、原発周辺の活断層で発生する内陸地殻内地震による基準地震動しか策定しなかった。「なぜプレート間地震とスラブ内地震を考慮しないのか。両者の揺れ方は独特だから、基準地震動を策定して重要施設の耐震安全性をチェックすべきだ」と石橋氏は言う。
新規制基準は、東日本大震災の教訓に立ち、「想定外」を起こさないように作られたはずだ。石橋氏は、「川内原発の審査は新基準による第一発目。今後の再稼働審査の模範になるべきものだ。手順を丁寧に踏んで説明責任を果たさなければいけない。それが、こんないいかげんなのは許されない。九電の言いなりになった規制委は、まるで”子どもの使い”だ。最初が肝心だからこそ、審査を無効にしてやり直すべきだ」と主張する。
石橋氏が「原発震災」という概念を提唱したのは一九九七年。大地震による揺れや津波に起因する原子力施設の大事故と通常震災との複合災害を警告した。○六年八月、石橋氏は原発の耐震設計の指針を改訂する委員会の委員だった。しかし、不徹底な改訂案に抗議し、最終回で辞任・退席した。福島原発事故が起きたのは、その五年後だ。
福島第一原発の基準地震動は、このとき改訂された新指針に沿って、それまでの最大加速度370ガルから600ガルに引き上げられた。しかし、肝心の耐震補強工事を東京電力が実施していなかったことが、12年、国会事故調査委員会の調査で明らかになった。東日本大震災の際の福島第一の揺れは675ガルを記録している。石橋氏は「原発内の重要設備が、揺れで損傷した可能性を慎重に検討すべきだ」と指摘する。
実際に福島第一で現場検証し、地震による損傷を調べることは不可能だ。だからこそ、「安易な結論を出してはいけない」と石橋氏。「基準地震動を超えてしまったと反省するのと、超えたけれど大丈夫だったと思うのは大きな違いだ。『想定外の大津波が来たら事故はしょうがない』では教訓にならない」
規制委は、川内原発で想定される火山についても「大規模な噴火の可能性は小さい」としている。しかし、現に御嶽山(おんたけさん)では、予測できなかった噴火で多くの犠牲者が出た。「現在の科学では、原発に影響を与える地震の強さや噴火の発生確率、規模などに正確な答えは出せず、可能性の提示にとどまる部分が多い。それをどう考慮するかは最終的に社会が判断すること。今は安全性が軽視され、利権集団の経済的判断が最優先されている」と憂慮する。
「この地震火山列島では原発は危険すぎる。今後も川内原発のようなずさんな審査が続くと、日本は再び原発震災に襲われるだろう」と石橋氏は警告する。
「世間が福島事故を忘れつつあるというより、強大な勢力が忘れさせようとしているようだ。震災直後は多少鳴りをひそめていた原発ムラの住人や御用学者が現政権のもとで息を吹き返し、審査にも影響を与えているのだろう。国民は福島事故の理不尽さを決して忘れてはならない」
【いしばし・かつひこ】
神戸大名誉教授。1944年、神奈川県生まれ。東京大大学院理学系研究科博士課程修了。専門は地震学。2008年まで神戸大教授。国会の東電福島原発事故調査委員を務めた。1976年に発表した「駿河湾地震説」は、東海地震の防災対策強化のきっかけとなった。97年、月刊誌に論文「原発震災─破滅を避けるために」を発表し、地震と原発事故による複合災害を警告。浜岡原発の閉鎖や原発依存からの脱却を訴えている。
常磐富岡インター入り口
自民、賠償打ち切り提言
住民の帰還促進狙う 一方的な避難指示解除
(東京新聞【こちら特報部】)2015年5月25日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015052502000170.html
東京電力福島第一原発事故の被害で避難している住民の帰還を加速しようという動きが強まっている。政府は、「お試し」帰宅などで帰還を促し、自民党は、二〇一八年三月で賠償を一律に打ち切ることを提言した。住民は、放射線量だけでなく、生活インフラの不備などへの不安が強い。一方的な避難指示の解除には、国際的なルールに反していると指摘する声も上がっている。
(白名正和、榊原崇仁)
消えぬ不安
商店や病院 人間関係は…
「家はイノシシに荒らされて、建て直すための金も捻出できるか分からない。店や病院などがなければ生活ができない。本当は帰りたい、けど帰れないんだ」
福島県楢葉町からいわき市に避難する石田一二(かつじ)さん(八五)はため息をつく。
妻が数年前に心臓の手術をしており、胸の苦しさを訴えて横になることがある。「いざというときに駆け込める病院が近くにないと困る。医師の体制も十分かどうか分からない」
、福島原発事故で、ほぽ全域が避難指示区域に指定され全町避難を余儀なくされた楢葉町。政府は七月上旬にも避難指示の解除が可能か判断する方針だ。四月下旬から今月上旬にかけて十二回開いた住民懇談会で、政府はインフラなどの復旧状況を示し「安全に帰還できる環境がおおむね整った」と説明した。
しかし町民の不安はぬぐい切れてはいない。
いわき市の仮設住宅で一人暮らしをする女性(七〇)は運転免許を持っていない。
「遠くまで買い物に行くことはできない。仮設商店街やコンビニでは手に入らないものもある」
同じく一人暮らしの女性(九〇)宅では最近、玄関に差し込んだ鍵が抜けなくなるトラブルがあった。困っていると、聞き付けたほかの住民数人が集まり、潤滑油を使って鍵を抜いてくれた。「困った時に助け合える人間関係があるから、この年で家族がいなくても生きていける。楢葉に今戻っても独りぼっちだ。まだ仮設の方がいいよ」
楢葉町では、避難指示解除の前段となる「準備宿泊」も四月上旬から始まっている。夜も自宅で一定期間過ごすことで、帰還をスムーズに進めるのが狙いで、富岡町など他の避難自治体のモデルケースにしたい考えがある。
だが、楢葉町の準備宿泊を利用する動きは低調だ。事前登録を済ませた住民は三百十世帯。全町民約二千七百世帯の一割強という数字。実際に泊まり込んでいる人はさらに少なく、町が五月中旬に調べた結果では、約百世帯に満たなかった。町議の結城政重さん(六八)は「町民はみんな帰りたいはずだが、帰れない状況だと分かっているのだろう」と指摘する。
楢葉町の南北に走る幹線道路・国道6号は、乗用車や工事用のトラックが多く行き交う。役場前のスペースでは、仮設の食堂やスーパーが営業している。
しかし路地に入ると途端に人けはなくなる。修理や建て替えが必要な住宅が多いが、業者が不足して手が回っていないのが現状だ。玄関の窓ガラスが割れたままの家もあった。
JR竜田駅前の酒店や薬局、菓子店、鮮魚店などはみな閉まったまま。偶然通りかかった住民の男性は「これが現状だよ」とつぶやいた。
住民不在
「一方的避難解除 国際ルール違反」
自民党の東日本大震災復興加速化本部は今月二十一日、住民に対して帰還を強く促す提言をまとめた。
政府が避難指示を解除する要件は現在、①年間の積算放射線量が二〇ミリシーベルト以下②日常生活に必須なインフラなどが復旧する③自治体や住民との協議-の三つ。解除の一年後までをめどに月額十万円の精神的損害賠償(慰謝料)が東電から支払われている。
自民党の提言は、避難指示区域のうち、「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」については、一七年三月までに避難指示を解除するよう明記。精神的賠償もその一年後の一八年三月で一律終了するよう求めた。提言を受け、政府も検討を進める。
現行の制度では、避難指示の解除時期が早いほど賠償金の受取総額が少なくなる。これが帰還を消極的にしているとみて、一律に打ち切ることで、帰還を促したい考えとみられる。
「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」の人口は約五万五千人に上り、避難指示区域全体の約七割を占める。提言はこれだけの人たちの意思を十分に確認することなく、帰還
や賠償打ち切りに関する方針を打ち出した。
これまでも政府は川内村や田村市の避難指示区域について、住民の反発がありながらも解除を進めてきた。
「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」副代表の福田健治弁護士は「国が避難関連の指示を解除する場合、守るべきルールがある」と指摘する。
それは、○八年十月に国際放射線防護委員会(ICRP)が出した勧告と、一一年八月に原子力安全委員会(当時)がまとめた「福島第一原発事故における緊急防護措置の解除に関する考え方について」だ。
ICRP勧告は「(避難指示などの)防護措置の終了に関する話し合いに利害関係者を参加させることが重要」と明記している。’これを参考にして原子力安全委員会がまとめた「考え方」では、「地元の自治体・住民等が関与できる枠組みを構築し、適切に運用すること」と定める。つまり、避難指示解除の意思決定には住民を参加させるよう求めている。
ICRP自体は民間の国際学術組織で、国家間の取り決めをするわけではない。それでも日本政府は信頼を置き、避難指示解除の要件の「年間線量二〇ミリシーベルト以下」を設定する際はICRPの勧告を踏まえた。
福田弁護士は「政府も自民党も、耳の痛い勧告だけ無視していいわけがない」と訴える。「避難指示の解除について、政府は一応、住民説明会を開いている。だが、一方的な説明にしかすぎず、解除するかどうかの意思決定に住民を関与させていない」と切り捨てる。
南相馬市では昨年末、放射線量が局地的に高く政府が避難を促す「定避難勧奨地点」が解除された。これに反発した住民が今年四月に提訴した。福田弁護士が原告代理人を務めるこの訴訟では、ICRPの勧告や原子力安全委員会の「考え方」などを根拠に、「住民不在の解除は違法」と主張している。
強権的な手法に抵抗すべく、住民同士が連携する動きも芽生えつつある。
南相馬の訴訟では、市外の住民も加わる形で支援組織ができた。
今月二十四日には、福島原発事故で被害を受け、損害賠償を求めている原告団体など全国の十団体が「原発事故被害者団体連絡会」の設立集会を二本松市で開いた。
連絡会の共同代表を務める福島原発告訴団長の武藤類子さんはこう訴える。
「みんなが手を取り合えば、決して無視できない大きな力になる」
原子力被害者団体連絡会(ひだんれん)設立総会
https://youtu.be/AY2T7wZXszI
↧
小出裕章先生:この国の指導者達・経済界の首脳達に…私は大変残念だし情けなく思います。
↧