ジャーナリストの危険地帯取材はどうあるべきか
(ラジオフォーラム#112)
http://youtu.be/o46ECd3GTBE?t=14m8s
14分8秒~第112回小出裕章ジャーナル
IAEAとは?「ひとつは原子力発電を世界中に広めるということですし、もうひとつは広めながらも核兵器だけでは他の国に持たせてはいけないというその2つの目的を担うために設立されたのがIAEAです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no112/
石丸次郎:
福島第一原発、廃炉に向けた重大な任務があります。これに向けて、日本がどのような取り組みを行っているのか、それを調べるための調査団IAEA、国際原子力機関の調査団が2月9日に訪日しました。
IAEAは「福島第一原発の廃炉、これを世界の技術を結集して廃炉にあたるべきだ」と言っているということなんですが、今日はですね、このIAEA、国際原子力機関とはどんな組織なのか?小出さんに伺っていきたいと思います。このIAEAなんですが、本部はオーストリア・ウィーンにあります。予算は2012年度で3億3千万ユーロ。ざっと日本円で4千億円以上の予算を持つ。そして職員は2,200人。うち原子力査察官は250人ということですが、国連の機関でありますけれども、一言でどういう機関だと捉えられていらっしゃいますか?
小出さん:
はい。もともと原子力と日本で呼ばれているものは、原爆から始まったわけですし、いわゆる核兵器という技術と切っても切れない裏表の関係にあるわけです。もともと原爆というものは米国が造ったわけでそれ以降、ソ連、英国、フランス、中国というような国々が次々と原爆を造っていったわけです。
その中で今、聞いて頂いた5か国が、国連の常任理事国ということになっているわけですが、その5か国はいわゆる核兵器保有国として、他の国には絶対核兵器を持たせないという路線をずっと敷いてきました。
ただし米国等にすると、原爆を造るために膨大な施設を造ってしまって、それが国家にとっての重荷になってきましたので、造ってしまった施設を原子力の平和利用、アドムズ・フォー・ピースという演説を米国大統領のアイゼンハワーが1953年にしたのですが、それまでに軍事的な目的で作った工場を平和利用などと言いながら、金儲けのために利用したいと考えたわけです。
そのためには、世界中に原子力発電を売りつけて金儲けをしなければいけないわけですけれども、先程聞いて頂いたように、原子力と呼ばれてる技術と、核の技術とは全く同じ物なわけで、平和利用と称してですね、世界中に原子力技術、核技術をばらまいてしまうと、核の独占が崩れてしまうということで、なんとかしなければいけないと米国が思ったわけです。
そのためにつくられた組織がIAEAであって、その組織がやるべき仕事は2つあります。ひとつは原子力発電を世界中に広めるということですし、もうひとつは広めながらも核兵器だけでは他の国に持たせてはいけないという、その2つの目的を非常に難しい目的なのですけれども、担うために設立されたのがIAEAです。
石丸:
つまり、原発は大いに普及させよう…
1957年から始まった放射線によるイジメ
小出さん:
そうです。
石丸:
しかし、核物質が軍事目的に転用されるのは阻止するために監視をしていこう。そういう目的だと考えていいですか?
小出さん:
はい。おっしゃる通りです。石丸さんが今、極めて明快にまとめて下さった通りの組織なのです。
石丸:
はい。このIAEA、実は2005年にノーベル平和賞を授賞していますが、これはどういう理由で授賞したんですかね?
小出さん:
ノーベル平和賞って、昔から変だなあと私は思ってきました。かつて、例えば佐藤栄作さんがもらったわけですし、イスラエルの首相ももらっている。米国大統領のオバマさんももらってるというようなことで、ノーベル平和賞というのは大変政治的な思惑の下に、与えられてきたんだと思います。
IAEAも世界中に原子力発電をばらまきながら、なおかつ核兵器の拡散を防止するというために、功績があったという政治的な理由で認められたんだと思います。
石丸:
この相矛盾する原発を普及しながら核物質の拡散を止めるという、相矛盾する仕事を同時にやってるのがIAEAですね?
小出さん:
そうですね。はい。
石丸:
じゃあ、この日本との関わりなんですが、ちょっと資料を見てみましたところ、日本は、非常に多くの施設がIAEAの査察対象になってるんですね。
小出さん:
そうです。
石丸次郎: 250ヶ所前後ということなですが、これは小出さんが働いておられる京大原子炉実験所も査察対象なんですか?
小出さん:
そうです。
石丸:
ということは、査察官が来るんでしょうか?
小出さん:
そうです。
石丸:
どういう査察を具体的にするんですか?
小出さん:
私の原子炉実験所にももちろん核燃料というものがあるわけですし、一部にはすぐに原爆に転用できるような高濃縮ウランというような物も私の所にはあるのです。ですから、それがキチッと軍事用に転用されていないかということを調べるのがIAEAの役割ですから、頻繁に私の職場にもやってきます。
石丸:
それは、日本人の職員ですか? それともウィーンから?
小出さん:
ほとんどは外国の職員です。
石丸:
具体的には、どういうことをするんですか?来て。
小出さん:
実験所の中に、核物質を格納している場所があるわけです。それが、どういう場所にどれだけの核物質があるということは、例えば私自身も教えてもらえないという、原子炉実験所の中でも超機密事項に属しているわけです。そういう場所をIAEAの査察官が来て、1か所ずつ回って行って、ほんとに機密を握っている人達が査察官を案内しながら、「ここにちゃんとある」ということを見せて歩くわけです。
石丸:
それが日本中の原子力施設、関連施設、全てに同じような査察が入ってるということですね?
小出さん:
そうです。
石丸:
これはこれで、当然キッチリやってもらわなきゃいけないことではありますねえ。
小出さん:
もちろん私自身はいかなる核兵器にも反対ですから、核兵器が広がっていくということに関しては反対です。ただし私自身は世界は公平であるべきだと思っていますので、核兵器保有国の5か国だけは核兵器を持ち続けていて、その他の国は絶対持ってはいけないというような、まず理念自身がおかしいと思います。
ですから、核兵器保有国がどんどん核兵器を減らしていくという努力とともにですね、他の国は持たないということが、同時並行で行われなければいけないのですが、残念ながら、現在の世界というのは大変不均衡な世界で、米国を中心とするいわゆる支配をする国々がますます支配を強めるというようなことになってるわけです。
石丸:
なるほど。当然、そのアメリカ、ロシア、中国などの核大国も国際原子力機関の査察を受けてると思うんですけれども。
小出さん:
受けていないのです。
石丸:
受けていないんですか?
小出さん:
はい。核兵器保有国は受けないのです。
石丸:
受けないんですか?
小出さん:
はい。核兵器に関するものは、査察対象外になっているのです。
石丸:
じゃあ、原子力発電所はどうですか? その中国とかロシアの。
小出さん:
たぶん原子力発電所という所は、査察を受けていると思います。軍事施設に関しては、全く査察を受けないでいいということになっているのです。
石丸:
それは、やっぱり不公平は不公平ですね。
小出さん:
全く話にならないほどの不公平だと、私は思います。
石丸:
なるほど。この原発を普及しながら核物質の拡散は止めなきゃいけない。しかも国によって、大国はその中で免除されてる部分がある。
小出さん:
そうです。
石丸:
不公平は不公平。しかしながら、核拡散を止める権限は与えられてるところは、ちょっとやっぱりしっかり仕事はしてもらわなきゃいけないというところはあるわけですね。
小出さん:
そうです。はい。ですから、現在の世界の矛盾の集約のような場所でIAEAというのは仕事をしているわけです。
石丸:
なるほど。ちなみに、現在のIAEAのトップ、事務局長は日本人の天野之弥さんでございます。
小出さん:
そうです。
石丸:
小出さん、今日はどうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
国際原子力機関IAEAの迷走
独立性には程遠い原子力産業の憲兵
(アニェス・シナイ女史の調査報告)
http://www.diplo.jp/articles12/1212iaea.html
Fukushima Decommissioning Mission: A Report from the Team Leader
http://youtu.be/HAEILUTGyjo
真実はどこに?―WHOとIAEA 放射能汚染を巡って
http://youtu.be/oryOrsOy6LI
真実はどこに? - WHOとIAEA 放射能汚染を巡って -(原題:Controverses nucléaires)
WHO世界保健機関と IAEA国際原子力機関が共同で開催した、2001年キエフ国際会議の模様を捉えた、とても貴重なドキュメンタリーです。
特に福島の原発事故以来、私たち も避けて通れなくなった内部被曝の実態や、その証拠がどのように隠されてきたかを目の当たりにすることが出来ます。
ウラディミール・チェルトコフ(Wladimir Tchertkoff)監督、エマヌエラ・アンドレオリ、ロ マーノ・カヴァッゾニ助監督作品
フェルダ・フィルム、2004年、51分
日本語版制作 Echo Echanges France、りんご野
字幕翻訳 藤原かすみ、藤本智子、辻俊子、コリン・コバヤシ
字幕・ナレーション制作 岩城知子
ナレーション 東陽子
長崎市で撮影された人間の影
2015 焦点・論点
シリーズ 被爆70年 核兵器のない世界を
国連軍縮問題担当上級代表 アンゲラ・ケイン さん
核兵器の非人道性 決定的な影響 広島での署名を集める姿に感銘
(しんぶん赤旗)2015年1月1日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-01/2015010103_01_0.html
広島・長崎の被爆から70年となる今年、ニューヨークでは4~5月にかけて、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。核兵器廃絶をめぐる状況や会議の焦点について、アンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表に聞きました。
(ニューヨーク=島田峰隆)
(写真)アンゲラ・ケイン ドイツ生まれ。2012年3月から国連軍縮問題担当上級代表。政治担当の事務次長補、政治局や広報局の局長を歴任した後、08年から12年まで、人事や財政、機構改革など国連の運営全般を担当する事務次長(管理局長)を務めました。1982年の第2回国連軍縮特別総会で決議された「世界軍縮キャンペーン」の活動に関わるなど平和・軍縮問題に長年携わってきました。
(撮影・島田峰隆)
1945年の国連発足のすぐ後に、新たな核保有国が現れたことは懸念される出来事でした。冷戦時、特にその最高潮の時には7万から7万5千発もあった核兵器は、今は1万6千から1万9千発に減っています。
ただ率直に言って、この数は多すぎます。核兵器はいっさい持つべきではありません。NPTは原子力の平和利用を管理するだけではなく、核兵器を廃絶する条約であり、それが第6条です。
NPT体制有効
NPT体制は核拡散防止に役立ってきたし、成功しているメカニズムといえます。
しかし第6条に基づく核軍縮・撤廃の約束が果たされていない。この点によりはっきりと焦点を当てる必要があります。
核兵器を持たない国々は、核軍縮が進んでいないと失望の声を上げています。市民社会も、この状況が続くことは許されない、核保有国は核兵器を廃絶するべきだと、強く主張しています。私たちは今年のNPT再検討会議を、核兵器廃絶を求める圧力がいよいよ強まるなかで迎えることになります。
最近、特に強まっているのが、核兵器の問題を人道的な影響の側面からとらえる声です。
これまで「核兵器の人道上の影響に関する国際会議」がノルウェー(2013年3月)、メキシコ(14年2月)、オーストリア(14年12月)と3回開かれました。ノルウェーで約120カ国だった参加国は、オーストリアでは約160カ国になっています。これは国連加盟国の4分の3以上であり、極めて目立った増加といえます。国連総会では、ますます多くの国がこの会議の趣旨の決議に賛同しています。
(写真)ウィーン大学で開かれた「原爆と人間」展を訪れた人たち=2014年12月10日(島崎桂撮影)
被爆体験を証言
オーストリアでの会議で重要だったのは、核兵器国5カ国(米英仏中ロ)から2カ国、米国と英国が参加したことです。会議ではカナダ在住のサーロー節子さんが広島での被爆体験を証言し、核実験被害にあった人々も健康や環境への影響を語りました。こうした証言が、核兵器を違法なものにしようという各国や市民社会の要求を強める力になっています。
過去3回の国際会議が積み重ねてきた成果は、今年のNPT会議に決定的に強烈な影響を与えると確信します。
被爆から70年にあたる年のNPT再検討会議で、核兵器国がこうした声にどうこたえるのか。その点を見ることが重要です。もちろん核兵器国5カ国以外の核保有国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮というNPT外の国々の対応にも注目しなければなりません。
市民社会の支持
2010年の再検討会議は64項目の行動計画をまとめました。核兵器国に対しては、行動計画のどこを実践したのか、どこをこれから実践しようとするのかを明確にして再検討会議に参加することを希望します。
核兵器を禁止する国際条約を求める声が強まり、特に非同盟諸国からは具体的な提案が出ています。市民社会からの強力な支持もあります。
一方で認識しなければならないのは、条約ができても、仮に核保有国が署名しないならば、前進しないわけです。核保有国に条約の考えに賛同させ、その中身を実施させる必要があります。
核保有国の参加が得られないかもしれないものを結ぶよりは、核保有国を関与させたり、彼らと協議しようとしたり、何ができるか考えたりするほうが、より良いとの考え方も根強くあります。
核保有国は核抑止力論を主張していますが、私の回答は、それは再考する必要があるし、変更されなければならない、ということです。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国の多くは核抑止を軍事政策に取り込んでいます。核の傘のもとにある国も多くあります。彼らは核兵器国による“保護”から利益を得ているというわけです。
しかしそれは持続可能ではありません。「ええ、私たちは核兵器を持っています。持ち続けます」と言う主張は、“それならこちらも核兵器を持ったほうがいいかもしれない”という考えを広げます。結局、抑止というのは神話です。私は、どの国もその方向に進まないことを強く希望します。
世界の人々や環境をむちゃくちゃに破壊し、筆舌に尽くしがたい苦しみを与える必要はありません。
以下略
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過ぎたる3月1日はビキニデーです。
<金口木舌>ビキニデーに考える
(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-239630-storytopic-12.html
3月1日は「ビキニデー」だ。1954年のこの日、日本の漁船「第五福竜丸」が、米国の水爆実験によって被ばくしたことにちなむ
▼米国が第2次大戦後、初めて太平洋のビキニ環礁で原爆実験を行ったのが46年。その8年後に悲劇は起きた。映画「ゴジラ」を生むきっかけにもなったとされる
▼核廃絶を求める日に当たり、事件を報じた61年前の本紙を読み返した。首をかしげるのは日米政府の対応だ。外務省は米国から危険水域の連絡があったにもかかわらず、海上保安庁や水産庁に通告していなかった
▼米国も事件から約3週間たった時点で「(被災は)誇張されている」と主張した。米国の世界戦略に口を出すなということか。現代の米軍普天間飛行場移設問題やオスプレイ配備と同じ考えが発言の裏に透けて見える
▼半世紀以上たったが、放射線被害の恐怖は今も去ったわけではない。例えば福島県の東京電力福島第1原発だ。高濃度の汚染水が流出したが、東京電力は知っていながら公表しなかった
▼今も昔も強者の都合で情報が選別され、市民は危険にさらされる。54年3月21日の本紙社説はこう説いている。「原子力は兵器や政治の問題を超え、人類と人道につながっている課題」だと。原子力に限らず、市民が求めるのは情報を共有することだ。多くの知恵が集まってこそ過去の教訓は生かされるはずだ。
そこで、過去の当ブログ記事より一部転記いたしますね。
1954年3月1日にビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験
ブラボー実験のキノコ雲
キャッスル作戦 - Wikipedia
The Deadly Miscalculation at Castle Bravo
http://youtu.be/yjiWBkiBZQU
により日本漁船第五福竜丸が被災しました。
広島・長崎への原爆投下への憤りとかさなって、原水爆を禁止する要求が全国民的な署名運動が開始されるきっかけとなったものです。
通信士の久保山愛吉氏(当時40歳)が9月23日に亡くなり、日本人初の水爆による犠牲者となった事件です。
第五福竜丸
http://youtu.be/__vm9JrEWaE
1954年第五福竜丸 3.1ビキニ環礁でアメリカの水爆実験にまきこまれた。
第五福竜丸展示館
http://d5f.org/
詳しい経緯は
「今日(3月1日)はビキニデー「原水爆の被害者は私を最後にしてほしい」久保山愛吉」
http://ameblo.jp/m08068469/entry-11179508688.html
を参照してください。
この水爆実験による大気放射能汚染は地球規模に拡大し、海水、漁獲物(マグロ)の放射能汚染は北太平洋全域に及びました。焼津港に荷揚げされたマグロやサメは、第五福竜丸帰港の翌日、3月15日に東京、大阪等の市場に既に出荷されていたそうです。3月16日の朝これが放射能で汚染したマグロやサメであることがわかり、マグロを食した人の不安が広まり「原爆マグロ」騒動が始まました。汚染したマグロは地中深くに埋めたり、或いは沖合に投棄されたのです。全国の家庭で魚は敬遠され市場が一時閉鎖されるところもでたそうです。
米国の一連の水爆実験が続き、この年の12月末までの集計によると、放射能で汚染した日本の漁船は856そう、廃棄されたマグロは456トンであったのです!
5月になると強い放射能を含む雨が日本各地に降り、不安は日本全体に広がり、1954年3月から12月の期間、太平洋の各所で放射能により汚染した魚が漁獲されたのです。
太平洋における米国の水爆実験は、この後も続き、1956年4月には、ビキニ・エニウェトク環礁で13回原水爆実験が行われた。
グリーンハウス作戦ジョージ実験の爆発20ミリ秒後の火球
Top 10 Most Powerful Nuclear Bombs In History
http://youtu.be/4rElV_w_DPQ
A Time-Lapse Map of Every Nuclear Explosion Since 1945
http://youtu.be/LLCF7vPanrY
米ビキニ水爆実験60年 放射能は怖いんだ 三崎港の元船員 苦悩語る(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022702000251.html
一九五四年、太平洋・マーシャル諸島のビキニ環礁で米国が行った水爆実験で、マグロ漁船「第五福竜丸」が被ばくした事件から三月一日で六十年となる。放射能で汚染された魚を水揚げした日本の漁船は延べ約千隻に達し、マグロ漁の一大基地である三崎港(神奈川県)の漁船も魚の廃棄などの損害を受けた。遠く離れた海域まで及んだ汚染に直面した元船員たちは「体験を若い人たちに伝えなければ」と語る。 (橋本誠)
「放射能は怖いと思った。風に乗り、落ちた灰も海流に乗っていくんだから」
「第11福生丸」の船長だった今津敏治さん(84)=神奈川県三浦市=が当時を振り返る。
実験があったその日、今津さんらはビキニから数千キロ離れたフィジー周辺で操業中だった。焼津港(静岡県)に帰った第五福竜丸の被ばくが十六日に報道された後、船主からの無線で実験を知る。帰路はビキニに近づかないよう遠回りし、船体をせっけんで洗って四月に帰港した。
上陸すると、検査官が船員や魚に測定器を当てた。汚染はないと思っていたが、船体やカジキ、サメから国の廃棄基準を超える放射能が検出され、驚いた。約百六十トンの魚のうち十~二十トンが廃棄され、魚の価格低迷にも苦しんだ。「漁師にとって、魚は生活の資源なのに」。米国への憤りが収まらなかった。
「灰かぶりは来るな」。「第13丸高丸」の甲板員だった鈴木若雄さん(82)=三浦市=は五四年春、静岡県の漁港で飲食店の女性から入店を拒まれた。操業していたのはビキニの数千キロ東のミッドウェー島付近。方向が違うと説明したが、いわれのない偏見に「一番こたえた。こんなところまでうわさが来ているのかと」。
港には報道陣が押し寄せていた。白衣の検査官が選別した魚は、廃棄のため岸壁の方へ運ばれていったのを覚えている。
長い間体験を話す機会がなかったが、今月二十日、原水爆禁止神奈川県協議会のビデオメッセージ撮影に応じた。二十八日午後、静岡市で開かれる「被災六十年三・一ビキニデー集会」で上映される。
鈴木さんは、とつとつと繰り返した。「百年も二百年もたったら人間は忘れてしまうが、水爆を使うばか者が出たら困る。経験したことを見ていただき、皆さんが覚えていてくれれば」
ビキニ水爆実験と慰謝料 1954年3月1日に広島型原爆の1000倍の威力を持つ水爆を爆発させるなど、米国が同年5月までに計6回の実験をビキニ環礁で実施。第五福竜丸はビキニ環礁の約160キロ東の海上で放射性物質を含む「死の灰」を浴び、無線長の久保山愛吉さんが同年9月、急性放射線障害により40歳で亡くなった。第五福竜丸展示館(東京)によると、米国の見舞金による漁船への慰謝料約5億8000万円は25都府県に配分され、神奈川県が最も多かった。慰謝料は船主を通じて支給されたが、一般船員にはほとんど行き渡らなかった。米国は第五福竜丸の事件後の54年3月19日、危険区域を拡大した。
第五福竜丸乗組員、福島思い語り継ぐ(ビキニ60年)
http://youtu.be/Uasq9dOkHYg
120411大石又七氏インタビューダイジェスト
http://youtu.be/vBXgTu4ux50
2012年4月11日(水)、元第五福竜丸乗組員である大石又七氏への、岩上安身によ?るインタビューの模様。
1954年3月1日、漁業に出ていたマグロ船、「第五福竜丸」に乗船していた大石氏は?、ビキニ環礁沖で行われていた米軍の水爆実験に遭遇し、被ばく。大石氏は肝臓ガンに冒?され、最初の子どもは奇形児、死産。白内障や気管支炎、不整脈を患い、嗅覚も失った。?30種類以上の薬を飲みながら生活している。政治の中で翻弄されたビキニ事件。内容も?ほとんど表面化されないまま解決済みにされた事件の全貌をうかがった。
重要
母親たちの反核運動~3000万の署名、大国を揺るがす(再掲)
http://www.dailymotion.com/video/xp4jye_yyyyyyyyy-3000yyyy-yyyyyyy_news
「3000万の署名、大国を揺るがす
~第五福竜丸が伝えた核の恐怖~ 【そのとき歴史が動いた】
昭和29年に起きた第五福竜丸の被ばくをきっかけに日本の女性たち、母親たちが立ち上がり、世界に広がった反核運動の軌跡。なぜ広島と長崎に原爆を投下された直後ではなく、それから9年もかかったのか、それはどういう動きだったのか、そしてこの動きは1955年(昭和30年)8月6日に第一回原水爆禁止世界大会につながっていった ‥」
原爆マグロという言葉が広がり他の魚までもが売れなくなった当時の状況は、野菜や魚の汚染が始まり売れなくなっている現在と似ています。また高い放射能を含んだ雨が観測されたそうです。ところが‥
「原爆の灰がいつ何時降ってくるかわからない世の中だもの。なにが起きたって仕方ないよ」夫は新聞を読みながらそう言う。「原爆をつくることをやめれば」わたしがそう言うと、夫はあきれかえったようにわたしをながめていた。‥そんな新聞への投書がきっかけで女性たちの思いがつながりはじめたのは、3000万もの署名が集まる1年4ヶ月前のことでした。
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~(再掲)
http://dai.ly/xki6uk
「原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略」/
(NHK 現代史スクープドキュメント 1994年放送)
http://homepage2.nifty.com/voices/genpatsu/donyu.pdf
こんなにもヒドイ核実験だった!(ビキニ環礁沖核実験)
http://youtu.be/WeX5fjGP840
核実験の島はいま ~住民帰還は実現するのか~
http://www.dailymotion.com/video/xx567e_yyyyyyyy-yyyyyyyyyyy_news
NHK BS1 ワールドWave トゥナイト 2013.1.30。
南太平洋に浮かぶマーシャル諸島共和国のロンゲラップ島。50年余り前まで行なわれていたアメリカの核実験で汚染されたこの島に住民が戻れるように、除染作業が進められている。作業を実施しているアメリカ政府は、健康への影響のない水準まで下がったとしているが、帰還をめぐって住民の心は揺れている。除染されたのは島の3分の1に過ぎず、以前のようにヤシやヤシガニなどを自由にとって食べることはできない。さらに、「安全だ」というアメリカ政府の言葉を信じて戻った住民が被爆し、甲状腺障害などに苦しんだ過去も。ロンゲラップ島の現状とこれからの課題を探る。
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小出裕章先生:核兵器保有国が核兵器を減らしていくという努力と共に、他の国は持たないことが重要。
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