ホームレスをファーマーに~農業から社会を変える
(ラジオフォーラム#109)
http://youtu.be/RyOgNAkEmzA?t=15m33s
15分33秒~第109回小出裕章ジャーナル
原子力小委員会の中間報告について「一切の反省もしなければ、一切の責任も取らないまま、今まで通りの方策をどうやったら続けられていかれるかということで、この報告が書かれています」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no109/
湯浅誠:
今日は「原子力小委員会の中間報告について」ということなんですが、東京新聞の昨年12月26日の特集、特報欄によると、原子力小委員会が中間報告を出したんだが、その内容が会議での委員会の議論を反映しているというよりは、最後に事務局がばばっと書き足したようなものになっていると。政権の意向を反映した形で原発の再稼働や建て替えに前向きな下りが見られるといったことに、委員のひとるである原子力資料情報室の伴さんが憤っておられるというような話が載っているんですが、小出さん、この中間報告はご覧になっていかがでしたか?
小出さん:
はい。日本というこの国はいわゆる官僚国家なんだなと思いました。
湯浅誠:
やっぱり、相当前のめりと言うか、という表現が多い形なんでしょうかね?
小出さん:
はい。もちろん各所に散りばめられているわけです。ただし皆さんご承知の通り、福島第一原子力発電所の事故が事実として起きたわけで、従来通りのような表現はとりにくいところももちろんあったわけです。それでも、福島の事故があっても、なおかつ変わらずに原子力を進めたいという彼らの希望というか、原則的な姿勢というのがしっかりと出ているという、そういう報告書になっています。
湯浅誠:
表現としては、よく報道もされている「原子力はベースロード電源だ」という言い方とか、「地球温暖化対策への取り組みは国際的な課題だ」というような表現が書き足されたというふうに言われていますが、小出さんが特に読まれて、気になった箇所っていうのはございますか?
小出さん:
要するに今、湯浅さんがおっしゃった通り、「原子力がベースロードだ」と。それから「温室化ガスを減らさなければいけない」「地球温暖化対策だ」というような、彼らが昔から言っていたことが全く何の反省もなくて、同じようにここに書き込まれているのです。
ベースロード電源と言いながら、原子力を進めてきて、福島の事故を起こしてしまったわけですから、その反省を彼らがすべきだと思いますし、本当なら彼ら責任を取って、たぶん何がしかの人は刑務所に行かなければいけないという立場の人達だと思うのですけれども、一切の反省もしなければ、一切の責任も取らないまま、今まで通りの方策をどうやったら続けられていかれるかということで、この報告が書かれています。
湯浅誠:
いわゆる再稼働とかに慎重派の委員の方っていうのは、伴さん以外におられるんですかね?
小出さん:
すいません。私はこういう委員会というのは、いわゆる政府の推進のための隠れみのだというふうにずっと思ってきていて、こういう委員会に、誰が行っても決して意見は通らないというふうに思っていて、一切関わらないと私自身は宣言してきたのです。
ただ伴さんもそうですし今、九州大学の吉岡さんもそうですけれども、中に入って戦おうという方が何人かいらっしゃっているのですね。ただ、残念ながら、そういう方々の努力はなかなか実ることがないという、そういう委員会というか、政府の諮問機関は全てそうだと私には見えます。少なくとも原子力に関する限りは、どなたが行っても意見は通らないと私は思います。
湯浅誠:
なんかその表現の中間報告書の方向性を見ると老朽炉の取り壊し、こないだも5つ廃炉するということを決めたというような話が出てましたが、それの代わりに、新しい炉を建てるというような話が出てきている。
小出さん:
そうです。
湯浅誠:
こういうこと考えるんですねって、ちょっと私はビックリしましたけど。
小出さん:
いや、私もビックリというか、本当にこの人達は何の反省もないし、責任も取る気もないし、責任を取らなくても済むということは、今度の福島の事故でむしろ分かってしまったのですね。
どんなに失敗しても、どんなに他の人に犠牲を負わせても、自分達は責任を問わずに済むということが、今度の福島の事故で分かってしまったわけですから、彼らとしては今後もやりたい放題ということになってしまっています。
http://youtu.be/0AcQJE_R0iw
湯浅誠:
他にも、原発のある自治体に出ている電源立地地域対策交付金ですね。これを稼働した、再稼働した自治体へは増やして、停止したままの自治体には減らすという方針を固めたというんですが、これ、今まではそうじゃなかったんでしたっけ?
小出さん:
今までもそうです。
湯浅誠:
そうですよね?
小出さん:
要するに、言うことを聞くところにはお金をたくさんやると言ってきたわけですし、それで釣られて、自治体はなびいてきてしまったということがあるわけですね。
そんなことは政治の世界ではずっと続いてきたわけで、例えば沖縄もそうですね。
「辺野古を認めれば金をやるぞ」と言って、
仲井真さんが転んだわけだし、
翁長さんがようやく当選したら、東京に出て来ても誰も政府の要人は会わないというようなことで、対処しようとするわけで、
政権の側からはアメとムチを使い分けて、とにかく自分達の主張を通そうということだと思います。
湯浅誠:
沖縄に約束した3000億も減らすこともあり得るというような発言が出始めてますよね?
小出さん:
そうです、はい。
湯浅誠:
そして、それとは別の委員会なんですかね? これ。経済産業省の審議会、1月8日に開かれた、ここの会合で2050年の目標として、原発を地球温暖化対策に不可欠だと位置づける事務局長案が示された。これには、委員から国民の視点に立ってないという批判が相次いで、案を作り直すことになった、こういうこともあって。これは別の委員会ですよね?
小出さん:
多分そうだろうと思いますし、委員会はたくさんありますので、委員も様々な人がもちろん参画しているわけですね。その中で、意見をほんとに積極的に言ってくださるという人ももちろんいらっしゃるわけですから、その意見で審議が少し変わったということはあり得るだろうと思いますけれども結局、経済産業省の審議会というような所は、私は最後は駄目だと元から思っています。
湯浅誠:
それは小出さんから見て、なんかこう原発事故直後、経産省のことは相当大きく取り上げられて、保安院の分離とかですね。ずっと議論されていたわけですけれども、ターニングポイントだった、あそこでもうひとつ行けていたらという、そういう時ってありました? この4年で。
小出さん:
ありません。
湯浅誠:
ありませんか?
小出さん:
はい。申し訳ないんですけれども、私はこの日本という国家というか自民党がずっとその支配してきた組織、そこで官僚がずっと育ってきてしまった今の状況では、どのような委員会、どのような審議会をつくったところで、たぶん政治を変えることはできないだろうと思っています。
4)日本のエネルギー政策では3つの“E”が重要と言っているが、その他に「技術」「軍事」も要素として存在する。
5)米国は日本の原子力技術を必要とし依存している。
やはりもし、今の政治を変えることができるのであれば、国民一人ひとりがもっと賢くならなければ駄目だろうと思っています。とても難しいことなのですけれども、原点に戻って私はやりたいと思います。
湯浅誠:
大切なメッセージですね。ありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
湯浅誠:
また、宜しくお願いします。
小出さん:
はい、失礼します。
湯浅誠:
失礼します。
スイシンジャー 異形編
http://youtu.be/9FiwgKYdwrg
原発訴訟における司法判断の在り方、使用済燃料の処理原則及び原子力施設立地自治体の経済再建策に関する宣言
2014年(平成26年)10月3日
日本弁護士連合会
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2014/2014_2.html
より
(1) 国は,電源三法交付金制度のうち,原子力施設に関する部分を廃止し,過去の産業転換時の施策の功罪を踏まえて,原子力施設に依存した地域経済を再生するため,原子力施設立地自治体に対し,一定期間具体的な支援を行うこと。
(2) 国及び自治体は,地域再生の重要な資源の一つである再生可能エネルギーの利用を促進する制度を整備すること。
(3) 国及び自治体は,再生可能エネルギーの利用は資源の特性に応じた,持続可能なものとし,地域の合意に基づき,地域の経済的自立が図られるよう制度的支援をすること。
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
矢部宏治・著
http://www.shueisha-int.co.jp/archives/3236
概要
日本の戦後史に隠された「最大の秘密」とは何か?その謎を解き、進むべき未来を提示する。
●なぜ、日本の首相は絶対に公約を守れないのか?
●なぜ、人類史上最悪の原発事故を起こした日本が、いままた再稼働に踏みきろうとしているのか?
●なぜイラクから戦後8年で撤退した米軍が、2014年の今、沖縄で新たな基地を建設し始めているのか?
不思議なことばかり起こる現在の日本。しかし、あきらめてはいけません。
過去の歴史、なかでも敗戦から独立までの6年半の占領期を見直せば、そうした矛盾を生みだす原因が、あっけないほど簡単に理解できるのです。
秘密を解くカギは、「昭和天皇」「日本国憲法」「国連憲章」の3つ。
日本を支配する“憲法より上の法”の正体とは?
(週プレNEWS)2014年11月04日
http://wpb.shueisha.co.jp/2014/11/04/38278/
仕組みは「米軍」と「日本の官僚組織」が作った?矢部宏治氏
2015/01/08 そもそも日本国憲法はすでに死んでいる!?
http://youtu.be/3MJ0137uYyI
砂川事件 - Wikipedia
核を求めた日本
~被爆国の知られざる真実~
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=5555656555&prgid=39595820
今年(※2010年)9月、国連で「核廃絶」をめぐる外相会合が初めて開かれる。
唯一の被爆国・日本は、その役割を今問われている。日本の国是となっている「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則。その信頼を揺るがしかねない新たな事実が明らかになってきた・・・。
「非核三原則」の裏側で、日本は、核とどう向き合ってきたのか。独自に入手した極秘文書と、当事者たちの証言から検証し、核廃絶に向けて日本の果たすべき役割を問う。
第1回日独政策企画協議要録
琉球新報2011.07.24
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~
http://dai.ly/xki6uk
米ソで水爆開発が進む中、アイゼンハワー政権は、原子力平和利用を促進することで軍縮が実現できるとして、同盟諸国に原子力情報の公開と濃縮ウランの供給を提案した。その裏には、ソ連に対抗して西側の結束を図ろうとする意図があった。
番組では、日米原子力協定の締結に至る過程に焦点をあて、原子力導入の舞台裏における米ソの主導権争いと、民間から進められた原子力受け入れの世論作りの全ぼうを明らかにする。
『原発の闇 その源流と野望を暴く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/html/book/201111-genpatu-book.html
そもそも世界で唯一の被爆国に原発を導入し拡大させてきた"力"はなんだったのか。
その歩みを日米関係から探り、大手マスコミも巻き込んだ「原発利益共同体」というべき癒着の構造に迫るルポ。
自由民主党 立党宣言
https://www.jimin.jp/aboutus/declaration/
昭和三十年十一月十五日
政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う。
大戦終熄して既に十年、世界の大勢は著しく相貌を変じ、原子科学の発達と共に、全人類の歴史は日々新しい頁を書き加えつつある。今日の政治は、少なくとも十年後の世界を目標に描いて、創造の努力を払い、過去及び現在の制度機構の中から健全なるものを生かし、古き無用なるものを除き、社会的欠陥を是正することに勇敢であらねばならない。
われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する。
われらは、秩序の中に前進をもとめ、知性を磨き、進歩的諸政策を敢行し、文化的民主国家の諸制度を確立して、祖国再建の大業に邁進せんとするものである。
右宣言する。
自由民主党 党の使命
より
昭和三十年十一月十五日
世界の情勢を考え、国民の現状を省み、静かに祖国の前途を思うに、まことに憂慮にたえぬものがあり、今こそ、強力な政治による国政一新の急務を痛感する。
原子科学の急速な進歩は、一面において戦争回避の努力に拍車を加え、この大勢は、国際共産勢力の戦術転換を余儀なくさせたが、その終局の目標たる世界制圧政策には毫も後退なく、特にわが国に対する浸透工作は、社会主義勢力をも含めた広範な反米統一戦線の結成を目ざし、いよいよ巧妙となりつつある。
国内の現状を見るに、祖国愛と自主独立の精神は失われ、政治は昏迷を続け、経済は自立になお遠く、民生は不安の域を脱せず、独立体制は未だ十分整わず、加えて独裁を目ざす階級闘争は益々熾烈となりつつある。
思うに、ここに至った一半の原因は、敗戦の初期の占領政策の過誤にある。占領下強調された民主主義、自由主義は新しい日本の指導理念として尊重し擁護すべきであるが、初期の占領政策の方向が、主としてわが国の弱体化に置かれていたため、憲法を始め教育制度その他の諸制度の改革に当り、不当に国家観念と愛国心を抑圧し、また国権を過度に分裂弱化させたものが少なくない。この間隙が新たなる国際情勢の変化と相まち、共産主義及び階級社会主義勢力の乗ずるところとなり、その急激な台頭を許すに至ったのである。
以下略
※要するに、米国の世界戦略上において日本を反共の砦とするべく、核の独占・支配を維持しつつ支配の道具として日本に原発を受け入れさせ、日本に潜在的に核兵器開発・保有の能力を持っておく、ということですね?(`・ω・´)
石破茂「安全神話は政治的に作り出された」
(原発わたしはこう思う)110816
http://dai.ly/x29ezd7
自民党 石破茂 政調会長(54)
「…安全神話みたいなものを…政治的には作り出さざるを得ない状況だったのではないですかね。政治は結果責任ですから、責任は自民党が相当程度負わねばならないわけです。きちんと検証することなく、電力会社、経産省、そういうことを、あえて言えば鵜呑みにしてきた責任は免れないことだと思います」
「原発のウェートを減らしていきながら、再生可能エネルギーのウェートを高めていくという方向性に異存はありません。ですけども、原発をなくすべきということを目標とするやり方には賛成してはおりません。原子力発電というのがそもそも、原子力潜水艦から始まったものですのでね。日本以外のすべての国は、原子力政策というのは核政策とセットなわけですね。ですけども、日本は核を持つべきだと私は思っておりません。しかし同時に、日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れると。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。なぜならば、日本の周りはロシアであり、中国であり、北朝鮮であり、そしてアメリカ合衆国であり、同盟国でるか否かを捨象して言えば、核保有国が日本の周りを取り囲んでおり、そして弾道ミサイルの技術をすべての国が持っていることは決して忘れるべきではありません」
「原発に限らず、この世の中に絶対というものはあり得ないことを、よくみんな認識したんだと思います。日本って絶対神話というのが流行りますよね。戦艦大和は絶対沈まないだとか、日本は神の国なので絶対負けないとかね。だけど、突き詰めた議論なしに絶対神話を作る日本の悪癖、あるいは、議論を突き詰めずに、仕方がないじゃないかとか、やむを得ないじゃないかとか、そういう物事の決め方。それは決して、いい結果をもたらすことはありませんよね。日本人はもっと突き詰めてモノを考えるべきだし、そうでなければ、結果は決して幸せにならないということだと思います」
安倍晋三元総理に聞く「原発再稼働 わたしはこう思う」(2012/4/5)
http://dai.ly/xpxtoq
小出裕章/原発 わたしはこう思う 2011-07-11
http://dai.ly/xjuyr2
少なくとも原子力なんていうものは即刻やめるべき
2030年構成比で経産省小委 原発電源20%ありき?
(東京新聞【こちら特報部】)2015年2月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015020502000184.html
二〇三〇年における火力や原子力、再生エネルギーなど電源の構成比率について話し合う経済産業省の長期エネルギー需給見通し小委員会の議論が先月末、始まった。気がかりは、最初から「原発20%台を軸に」という雰囲気がつくられていることだ。20%に設定されれば、老朽原発の運転延長、建て替えが必要になる。再稼働ですら反対の声が強いのに、そんな電源構成で国民は納得するのか。
(上田千秋、三沢典丈)
「再生エネに前向きな委員少ない」
「本来なら省エネや再生エネについての議論を重視するべきなのに、原発が先にありきのような雰囲気になっていた。再生エネに前向きな委員が少なく、政府の姿勢が垣間見えたような気がした」
小委員会が先月三十日に開いた初会合の様子について、社団法人「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会」の辰巳菊子常任顧問はこう説明した。辰巳氏は小委員会の上部組織「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」の委員で、初会合が分科会との合同開催だったため、その場にいた。
原発の構成比率を明確に言う委員は少ないが、なぜか、20%前後という数字が独り歩きしている。一二年に原子炉等規制法が改正されて原発の運転期間は原則四十年と定められ、三〇年時点で20%を実現するのは難しいにもかかわらずだ。
電気事業連合会や電力各社が公表している過去の発電実績などを基に試算してみる。
福島第一原発事故前の一〇年度、全国の総発電量は九千八百七十五億キロワット時だった。一一~一三年度は節電意識の高まりなどから、九千三百億キロワット時前後にとどまっている。三〇年の時点でも同程度の発電量と仮定すると、原発20%は千八百六十億キロワット時の発電量を求められる。
国内には四十八基の原発があるが、三〇年一月の時点で運転開始から四十年未満なのは北海道電力の泊2、3号機など二十基。その総発電量はおよそ千二百億キロワット時で20%に満たない。
原発の発電量を増やす方法はある。原子炉等規制法には、四十年を超えた老朽原発も「特別点検」の審査に適合することを条件に、最長二十年間運転を延長できる特例がある。実際、関西電力は今月二日、運転開始から三十八~四十年経過している福井県の高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の運転を継続させる方針を発表した。
この三基の○九年度の発電総量約百八十億キロワット時を加えても20%に届かない。他の老朽原発の運転延長を目指すこともあり得るが、もう一つ考えられるのが、新たに原発を増やすことだ。
一二年九月、民主党政権は三〇年代の原発ゼロを前提に、新増設をしない方針を示したが、例外があった。枝野幸男経産相(当時)は進捗(しんちょく)率93・6%に達していた中国電力島根原発(島根県)3号機と同37・6%のJパワー大間原発(青森県)の工事継続を容認した。
安倍政権でも流れは変わらず、進捗率9・7%の東京電力東通原発(同県)1号機までも、設置許可が下りていることを理由に「新増設には含まれない」との認識となった。
原発ゼロの約束ほごの流れは、それだけではない。経産省の原子力小委員会が昨年十二月にまとめた中間報告は、老朽原発の廃炉作業を進めながら、新しく建て替える「リプレース」に言及した。新増設と変わりがなく、原発政策の行方は不透明さを増している。
運転延長、新増設前提か
「温室ガス削減」理由に議論短く?
長期エネルギー需給見通し小委員会の委員は十四人で、エネルギー問題の専門家、大学教授、企業経営者、消費者団体の代表らが務める。委員長は総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長でもある坂根正弘・コマツ相談役だ。
原発をどうするか決める重要な役目だが、小委員会の議論には暗に期限が定められているようだ。初会合の冒頭で読み上げられた宮沢洋一経産相のメッセージは「スケジュールありきではなく」と言いながら。
「(フランスで年末開催予定の)気候変動枠組み条約締約国会議(coP21)を見据えてまとめてほしい」と要請した。
日本は現在、世界五位の温室効果ガス排出国で、福島の原発事故以降、発電エネルギーの九割近くを化石燃料に頼っている。温室効果ガスの削減は喫緊の課題といえる。削減目標を織り込んだエネルギー政策をcoP21で示すためには、遅くとも今秋までに小委員会は結論を出さなくてはならない。
さらに、初会合で委員の増田寛也元総務相が指摘したように、六月にドイツで開催される主要国首脳会議でエネルギー政策を示そうと思えば、議論できる時間は半年もない。
なぜ、もっと早くから小委員会の会合を開けなかったのか。実は、小委員会の設置は半年以上も前の昨年四月、新たなエネルギー基本計画が閣議決定された際に決まっていた。初会合の開催が遅れた理由については、経産省の担当者は「再生エネなどの具体的な状況を見極める必要があった」などと説明している。
ともかく、温室効果ガス削減のために原発を活用するといった意見が、小委員会でまかり通る可能性はある。既に初会合で、増田氏と山名元・京都大原子炉実験所教授の二人が原発のリプレースに言及している。
だが、温室効果ガスを理由とするなら、福井地裁が昨年五月に出した関西電力・大飯原発の再稼働差し止め訴訟の判決についても、小委員会できちんと議論してほしい。
訴訟で、関電側は「原発は二酸化炭素の排出を削減し、環境面で優れる」と主張したが、判決は「深刻事故が起きた場合の汚染はすさまじく、環境問題を原発の運転継続の根拠とするのは筋違い」と批判し、再稼働の差し止めを認めた。
日本大の円居総一教授(経済学)は「シェールガス革命で燃料価格が低下し、高リスク、高コストの原発を使う余地はない」と指摘する。「省エネに優れた日本の火力発電技術を米国、中国などに提供すれば、日本の温室効果ガスの全排出分を減らせるという試算もある」とガスの排出量取引の活用を提言した。
現在、火力発電に偏って見えることも、「その燃料の内訳は石油、石炭、天然ガスなどに分散されている。なぜ個別の熱源ごとに構成比を考えないのか」と首をかしげる。「原発比率20%は、経産省が維持したい数値にすぎず、根拠などまったくない」
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小出裕章先生:今の政治を変えることができるのであれば、国民一人ひとりがもっと賢くならなければ駄目
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