阪神淡路大震災復興の20年~今の問題と東北復興への教訓を考える
(ラジオフォーラム#105)
http://youtu.be/YPimY8rL1DQ?t=15m52s
15分52秒~第105回小出裕章ジャーナル
原発事故と自然災害「津波が来る前にすでに原子力発電所があちこちで壊れていたという証拠はたくさんあります」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no105/
東北地方太平洋沖地震強震波形 福島県浪江町幾世橋
石丸次郎:
1月の小出裕章ジャーナルは、「特集シリーズ:原発はなぜいけない?」でお送りします。今日はですね、原子力発電所と自然災害について、小出さんにお伺いしたいと思いますが、福島第一原発の事故はこれも言うまでもないことですけれども、自然災害が直接原因となって起こりました。そこで、このまず地震で揺れがありました。「この揺れによって、そもそも原発は壊れたんじゃないか」という説と、それから「いやいやそうではなく、地震の後に来た津波の大津波のために壊れたのだ」という説もあります。今、もう4年近くが経ったわけですけれども、小出さんは今どういう見方をされていらっしゃいますか?
福島第一原子力発電所4号機2011年3月15日
小出さん:
地震がまず始めに起きたのですね。それから1時間後に津波が襲ってきたわけで、津波というものが決定的なダメージを与えたということは本当だと私は思います。でも地震が起きた時に、津波が来る前にすでに原子力発電所があちこちで壊れていたという証拠はたくさんあります。
石丸:
東電は「いや、地震の揺れには万全を期してたのでそうじゃなくて、想定外の大津波が来たせいだ」ということを今でも主張しているようですね?
小出さん:
そうではありません。例えば1号機という原子炉では津波が来る前に、原子炉建屋の中の放射線量がもう上昇していましたし、それは、もう津波でなく、地震の時からもう起きていたということの証拠だと思います。それから、ずっと論争になっているのですが、1号機の非常用発電機は津波が来る前にもう止まってしまったという、そういうデータも実はある。きちっとまたこれから検証しなければいけませんけれども、その可能性もあると思っています。
当直員引継日誌より
そして何よりも決定的なのは、1号機で水素爆発が起きたのですが、最上階5階と言ってる部分がまず壊されてですね、壁が抜けてしまって天井も抜けてしまってるわけですけれども。4階と5階の間にですね、大型機器を搬入するための穴が空いていて、そこに重たい鉄板が蓋をしていたのですが、その蓋がもう実はないのです。なぜ無いかと言うとですね、4階で巨大な爆発が起きて、その鉄板、鉄の蓋がすぐ吹き飛んでいるのです。
福島第一原子力発電所1号機2011年3月13日
では、その4階というのは一体何があったのかと言うと、非常用の復水器という物がそこにありまして、その挙動が大変不思議だったということで、ずっと今日までまだ問題になっているのですが。おそらく、その非常用復水器の所のなにがしかの配管等が壊れて、そこから水素が噴出してきて、そこで大きな爆発が起きた。そして重たい鉄の蓋を吹き飛ばしたという、そういうストーリーを作る以外には説明がつかないのです。
そうなると4階という所にたくさんのその水素があったということになりますので、非常用復水器の所で何か配管等が破れていたということを想定しなければいけませんし、その原因としては、地震で壊れたと考えるのが一番妥当だと私は思います。
石丸:
なるほど。もう津波が来る前の揺れで配管に異常が起こっていたんだ、ということですね?
小出さん:
そうです。福島第一原子力発電所を破壊した、その地震のマグニチュードは9という数字で表されました。では、その地震が一体どれだけのエネルギーを放出したかと言うと、広島原爆が放出したエネルギーの3万発分に相当する。
石丸:
3万発分ですか? 恐ろしい。
小出さん:
はい。もう到底、人間技ではない。人間が対処できるようなものではないということが、地震というかたちで表れてくるのです。そういう時には「もう打つ手がない」と、やはり覚悟しておなければいけないと私は思います。
石丸:
そういう、とてつもない広島原発の3万発分に当たるエネルギーを放出した大地震というのが、日本は歴史を振り返ると、100年、200年、300年に1度ずつやっぱり起こってきた歴史があるわけですよね?
小出さん:
そうです。日本という国は世界一の地震国ですし、私達が全く望まないけれども、やはり地震というのは周期的に起きてしまうという、そういうものなのです。
石丸:
そういう所で原発を作ってきたわけですけれども、そこで言われてきたのは、「大丈夫です」と「安全です」と「日本の原発は安全です」ということをずっと言われてきたわけで、我々も多くの人が「大丈夫だろう」というふうに思ってきた。つまり、つくる側、推進する側もそれを認めてきたが、一般国民もですね、「日本の科学技術は相当世界一の相当レベルの高いところにあるんだから、その科学者が言うんだから安全でしょ」とやっぱり思ってきたわけですよね。
小出さん:
はい。
石丸:
これは罪が深い、と私なんか思うんですけれども。
小出さん:
はい。
石丸:
原子力の専門家として科学者として活動されてきた小出さんの立場からすると、その原子力の安全神話を語ってきた人達、この人達が科学者として、どういうふうに評価をされますか?
小出さん:
大変罪深い人達だと私は思います。特に、日本人は、日本が科学技術立国だとか原子力の先進国だとか聞かされると、何かその嬉しくて、それを信じてしまう方向に向かうわけですけれども、決してそんなことはありません。
もともと日本という国は、江戸時代ずっと長い間鎖国ということをやっていまして、西洋型の科学技術に触れたというのは、ほんと近い過去になってからであって、それ以降、なんとかヨーロッパ、米国に追いつけ、追い越せとやってきたわけですけれども、それでも時間が流れるとともに、向こうも先に進んでしまうわけですから、日本が科学技術で先進国であるとか、特に原子力なんていうので先進国であるなんていうことは全くないのです。
それなのに、あたかも自分達は安全な知識を持っているというように、原子力を進めてきた人達が言ってきたわけで、ほんとに罪深いことだと思いますし、挙句の果てに福島第一原子力発電所の事故を引き起こしてしまったわけですから、せめて責任を取るべきだと思うのですが、誰一人として責任を取らないという状態になってしまっています。
石丸:
誰一人として責任取ってませんよね?
小出さん:
そうです。
石丸:
これはもちろん行政もそうですし、科学者にも責任あるわけですよね? もちろん。
小出さん:
少なくとも、福島第一原子力発電所に対して安全審査をして、「安全性を確認した」と言ってお墨付きを与えた学者がいるわけですから、そういう人達は決定的な責任があるし、きちっと責任を取らせなければいけないと思います。
石丸:
無責任な体質の国に日本はなってしまいました。これは原発問題だけじゃありませんけれども。やはり、これは安全神話、それは刑事罰に問うかどうかってことは、また別の問題として考えなきゃいけないでしょうけれども、しかしながら、責任を認めて明らかにする。そして、責任の取り方を考えるということは、福島原発の事故から我々が考えなきゃいけない。安全神話は通用しないということを認識しなければいけない。やはり、教訓だというふうに思います。
小出さん:
はい。おっしゃる通りです。
石丸:
小出さん、ありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
伊東良徳弁護士の論考『再論 福島第一原発1号機全交流電源喪失は津波によるものではない』のご紹介
(弁護士・金原徹雄のブログ)
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/36677050.html
元東京電力社員・木村俊雄が告発する福島原発事故の真相 2-1
http://youtu.be/E0vuaqOYFZ0
元東京電力社員・木村俊雄が告発する福島原発事故の真相 2-2
http://youtu.be/6wyssg2pXtE
木村俊雄 | IWJ Independent Web Journal
東電が音頭?福島産品「応援」
原発企業 印象アップ目的?
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2014年12月24日
東京電力の呼びかけで先月、福島原発事故による風評被害の払拭を目的にした「ふくしま応援企業ネットワーク」が設立された。福島県産品の積極購入を進めるというが、深刻な減収に直面する被災農家などの支援にどれほどの効果があるのか。
(榊原崇仁)
数値目標なく効果不明
十分な賠償こそ必要
応援企業ネットは東電をはじめ、鹿島や清水建設、大成建設、竹中工務店、日立製作所、東芝、三菱重工業、三菱電機、富士電機、関電工の計十一社で構成する。
原発と縁が深いゼネコンや原発プラントメーカーなどがずらりと顔をそろえるが、東電広報部は「廃炉作業などを通じて福島の地域実情に詳しい企業に声をかけた」と説明する。
先月十八日に東電本店であった設立総会では事業計画について協議。
社員食堂用に福島県産品を積極購入する
▽贈答品や記念品で県産品を活用する
▽社内広報誌で福島の観光プランを紹介する
▽福島の食材の安全性について理解を深める-
などの方針を確認した。
これまでに東電は福島の復興支援として、事業計画にある取り組みのほか、福島の特産品の社内販売会やウェブショツピングなどを実施しており、今年九月までに会社、個人を合わせて四十二億円の購入実績がある。こうした実践を広げるため、応援企業ネットを設立したという。
「参加企業はいずれも日本を代表する会社。組織的、継続的に連携することで大きな成果が上がると考えている」(東電広報部)
東電は活動のPRにも積極的で、同社のホームページには、設立総会の様子を写真入りで伝えるコーナーを設けた。業界紙の電気新聞も総会翌日付の一面で報じている。
ただし、効果のほどは不透明だ。被災農家や企業を重点的に支援すべきだが、どこから何をどれだけ購入するかの数値目標などは設定していない。
さらに言えば、東電に期待される風評被害対策は、福島県産品の購入にとどまらず、長期で十分な賠償を実現することだ。記憶の風化も手伝って今後、「風評はなくなった」という印象が広がる一方で、売り上げが回復しない状況が続くことは十分に考えられる。ところが、東電は減収の原因を事故と認めず、「事業縮小は自主的な経営判断に基づくもの」などとして賠償を拒む例も目立つ。
風評被害に関する賠償請求などを支援する「ふくしま原発損害賠償弁護団」の渡辺真也事務局長は「被災者側が裁判外紛争解決手続き(ADR)まで持ち込んで争うことも少なくない」と指摘する。
JA郡山市(福島県郡山市)の担当者は「生産者側の収入が通常時の水準に戻るまで、減収分は補てんしてもらわないと困る」と訴える。
東電の旧経営陣らの事故責任を問う「福島原発告訴団」の武藤類子団長はくぎを刺す。「原発関連企業が原子力の負のイメージをごまかすだけのパフォー々ンスにしてはいけない。被災者一人一人が今もどんな窮地に置かれているか把握し、丁寧に対応していくことこそが求められている」
原子力小委「中間報告」 「提言」格上げのナゾ
(東京新聞【こちら特報部】)2014年12月26日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014122602000130.html
経済産業省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会が二十四日、「中間報告」について大筋で了承した。意図的なのか玉虫色の表現が多く、内容が分かりにくいが、原発の再稼働や建て替えに前向きなくだりが多い。最大の問題は、議論の中間まとめという意味合いだったはずの「中間報告」に、いつの間にか「提言」と位置付ける文言が加筆されていることだ。一体どういうことなのか-。
(榊原崇仁、白名正和)
原発賛成意見を列挙
経産省加筆「政策立案にいかすため」
「最後の段階で加筆修正された部分があまりに多い。十分に議論してまとめられた文書とは言えない」
原子力小委の委員の一人、原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「中間報告」について、そう訴えた。
例えば、「原子力はベースロート電源」「温室効果ガスの排出もない」という記載に、「地球温暖化対策への取り組みは国際的な課題」と書き足し、原発を稼働させる意義付けを補強している。
「人材育成や安全確保の観点から研究炉の位置づけに留意が必要」という書き加えもある。伴氏は「『原子刀の研究を進めないと、原子力の安全性を高める人材は確保できない』という意味に取れる」と説く。
委員発言時間 3分なのに
無視できないのが、「中間報告」を「政府の政策立案に活かすための提言である」と位置付けた加筆部分だ。
「中間報告」の正式な名称は「中間整理(案)」だ。伴氏は「文字通り、議論の途中経過を整理するだけのものだったはず。なぜ急に『提言』に格上げするのか理解できない。各委員に与えられた発言時間は、一回の会合で三分しかなかった。議論自体が煮詰まってはいないのに」と指摘する。
「中間報告」には複数委員の共通意見のほか、各委員の個別意見がそれぞれ記載されている。こうした小委としての意見ではない意見までもが「提言」と位置付けられてしまうかもしれない。
それが狙いなのかもしれないが、原発を推進する個別意見が、複数加筆されている。
「原発を止めると言うが、どうやってエネルギーを確保するのか」
「再生可能エネルギーは供給安定性に劣り、生活水準を維持できない」
「国際的基準を踏まえて日本の(原子力の)在り方を検討することも重要。例えば、原子炉の運転期間は国際的には六十年ルールだ」
伴氏は「個別意見を今後、経産省が都合よく利用していくためだろう。あまりに卑怯な手法。やってはいけないことをやっている」と憤る。
経産省の担当者に「中間報告」の意味合いについて尋ねると、「今までの議論の状況をまとめただけで、何かの方針を決めたわけではない」と説明した。では、なぜ、「提言」という言葉が出てくるのか。
「最近の小委では、委員の中から『何のための中間整理か書き込んだ方がいい』『政策立案に向けた提言と明記すべきだ』という意見があり、それを踏まえて文言を盛り込んだ」
原子力小委の会合は今後、当分の間、開かれないといい、「提言」が独り歩きする恐れは否定できない。実際、経産省は既に原発立地自治体への交付金額について、「中間報告」に沿った形で見直す方針を固めている。
建て替え遠回しに推進
「廃炉」文言は名ばかり玉虫色文章
原発が立地している自治体には、国から「電源立地地域対策交付金」が出ている。稼働率によって交付金額は変動する決まりだが、福島第一原発事故後の現在は特例として、原発が停止していても、稼働率を最大で81%とみなして交付金を出している。二〇一四年度、総額約九百八十七億円が全国の自治体に交付される予定だ。
原発事故以前の一〇年度、原発の稼働率は全国平均で67・3%だったから、停止中の現在の方が交付額は多い計算となる。
だが、「中間報告」は「稼働実績を踏まえた公平性の確保」と、原発の再稼働に前向きかどうか、稼働しているかどうかで、交付金額に差をつけるべきだと指摘した。そして、経産省は「中間報告」なのに、この「アメとムチ」の政策を取る方針を固めている。
「中間報告」で他には、「核燃料サイクル」についてのくだりが目につく。
「(高速増殖原型炉)もんじゅを含めた核燃料サイクルの研究開発は、放射性廃棄物の減容化・有害度低減や高速炉を含めた将来のエネルギーオプションを開発していくという目的の下、進めていくべき」という書き加えがある。
さらに、核燃料サイクルの過程で出るプルトニウムを適切に利用する方策について、高速炉のみならず、新型炉を含めて開発を続けていくことが必要であると新たに記された。これが「提言」であれば、核燃料サイクルを大いに後押しすることになる。
「中間報告」は新増設・リプレース(建て替え)にも言及している。「放射性廃棄物処分の道筋が見えないままに新設、リプレースは必要ない」と建て替え反対の委員の意見も明記されているが、多くは建て替えに前向きな意見だ。
「新増設・リプレースの具体的容量について検討を進め、その方針を具体的に示さなければ、小委員会の結論として弱い」「古い原発の安全炉への転換をはじめとした新増設・リプレースの方針を明らかにすべき」
こうした委員の前向きな意見のほか、電気事業者などへのヒアリングで出た「政府は新増設・リプレースに関する方針を明らかにする必要がある」という意見も記されている。さらに、「米国がスリーマイル島の原発事故後の長期間、新増設をしなかったため、製造や整備の技術が失われて日本の技術に依存するようになった」という説明もある。「福島の事故後も日本は新増設をやめてはいけない」ということを言いたいのだろうか。
また、「中間報告」には「廃炉」という単語が六十八回登場するが、「脱原発」ではなく、建て替えを意図したくだりで多用されている。
「早期に策定されるエネルギーミックスの議論を踏まえ、廃炉に見合う供給能力の取扱いを含めた我が国の原子力の将来像」という部分にも、玉虫色の表現の中に意図が込められたようだ。
委員の一人で、公益社団法人「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会」常任顧問の辰巳菊子氏は「この部分は、原発の建て替えを意味していると感じさせられる」と言う。
原発依存度を下げるには、廃炉後は再生可能エネルギーに置き換えていくべきなのだが、そうしたくだりは見当たらない。「『中間報告』には、意味をどうにでも取れる部分が多い、いかにも霞が関的な文章だが、原発再稼働と原子力政策を事故前に戻したいという狙いで作られた物であろうことは言うまでもない」
プルトウム元年(199年8月2日)
http://www.youtube.com/playlist?list=PLC2D82FEC7F886303
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小出裕章先生:悲劇を避ける道 ただ一つ…原子力そのものを廃絶すること
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