この国おかしくないか
沈黙しない夏
東京新聞2014年7月30日
朝から強い日差しが照り付けた二十九日。東京・霞が関の経済産業省前で、長島信也さん(六五)=埼玉県春日部市=は、自作の脱原発川柳を記した小冊子「笑い茸」を登庁する職員らに手渡していた。(早川由紀美)
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避難計画が不十分なまま今月、再稼働へと動きだした九州電力川内原発についての句もあるが、受け取る人はわずかだ。それでも「気持ちの通じる人はいるはず」と、東京電力福島第一原発事故翌月の二〇一一年四月から毎月冊子を作り、同じ場所での配布を続けている。
定年後の趣味として始めた川柳。心の器にたまった本音を吐く魅力にやみつきとなった。原発事故が起き、「ただちに人体に影響はない」と繰り返す政府の姿勢に、五・七・五で疑問を投げかけたい衝動に駆られた。
勤めていたときの労働組合の仲間が一九八〇年代から経産省前で月一回、反原発ピラを配っており、その場に加わった。
◇
「笑い茸」第一号には情報隠しに対する怒りが満ちる。「原発にまつわることは、常に隠されてきた。最初から危険だと分かっていて、人間を犠牲にせざるを得ないから」
東北電力が原発建設を計画していた新潟県巻町(現新潟市)で育った。建設予定地や、そこにつながる道路予定地は当初、観光開発名目で買収されたという。「観光地になって故郷が復活するならと、土地を手放した大もいた」
六人のきょうだいや、その配偶者の中には、建設会社勤務もいれば、公務員もいる。原発の賛否は分かれ、皆で顔を合わせても話しづらい雰囲気があった。
住民投票を経て○三年に東北電が計画撤回を公表するまでの二十年余、町は原発建設で二分された。
原発事故から三年余。福島県相馬市では酪農家が「原発で手足ちぎられ酪農家」という句を牛舎の壁に書き残して、自殺した。
生活の途が断たれる大が大勢いる一方で、除染などの名目で一部企業には巨額の税金が流れ込む。
◇
憲法九条をうたった俳句が公民館の月報への掲載を拒否されるなど、物言えぬ空気も漂い始めた。「この国のおかしさは、だれかが言わないといけない。自分は川柳でそれをやり続ける」
原発さえなければ ある酪農家男性の死
http://youtu.be/TaTZQ0jg_uU
世界が危ぶむ日本の人権
国連自由権規約委が最終見解
東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡 2014年7月27日
2008年以来6年ぶりに日本の人権状況を審査した国連の自由権規約委員会は「最終見解」で、従来よりも厳しい調子で改善を迫った。国際社会が日本の人権状況に危機感を抱いている表れといえそうだ。
(田原牧)
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より厳しく複数項目で「遺憾」
「委員会は政府が代用監獄(警察署の留置場)の使用を正当化し続けていることを遺憾とする」
今回の第六回対日審査は十五、十六の両日、ジュネーブの国連欧州本部で行われ、十八人の委員が担当。二十四日に発表された最終見解では、「遺憾(リグレツト)」という深刻な言葉が、複数の項目で書き込まれた。
最終見解にはテーマ別に勧告が挙げられ、特に一年以内に日本政府に改善報告を求める課題として、死刑、代用監獄、慰安婦、さらに人身売買の観点から技能実習生の四つが挙げられた。このほか、次回審査までのテーマとして、新たにヘイトスピーチ(差別扇動表現)の禁止、特定秘密保護法への懸念、福島原発事故の被災者らへの対策などが盛り込まれた。
「遺憾」が使われない場合でも、容赦のない言い回しが目立った。
死刑や代用監獄など刑事司法の問題点については、過去の審査でも廃止が勧告されてきた。今回は袴田巌さんの再審決定に三人の委員たちが触れ、従来よりも厳しい追及がなされた。日本政府の消極的な改善姿勢に対して、委員会のナイジェルーロドリー議長(英国)は「日本政府は明らかに国際社会に抵抗しているようにみえる」と苦言を呈した。
さらに注目を集めたのが慰安婦問題だった。日本政府(外務省)は審査で、慰安婦制度を「性奴隷」制とみなすことは不適切であると主張。旧日本軍の慰安婦への関与と強制性を認めた河野官房長官談話の検証の結果として「いわゆる強制連行」は確認できなかったという立場を説明した。
これに対して、ロドリー議長は「(日本政府の立場は)私には理解できない。頭が悪いのだろうか。『強制連行されたのではない』と言いつつ、『意図に反し(て働かされた)』との認識が示されている。これは理解しにくい」と発言。
最終見解も「矛盾した(日本政府の)立場に懸念を表明する」と批判したうえで、「日本軍が犯した性奴隷、あるいはその他の人権侵害に対するすべての訴えは、効果的かつ独立、公正に捜査され、加害者は訴追され、有罪判決が下れば、処罰すること」「被害者を侮辱、あるいは事件を否定するすべての試みへの非難」などの措置を日本が取るよう勧告した。
ヘイトスピーチについては、日本政府の名誉毀損や脅迫などに当たるケース以外は取り締まれないという説明に「差別や敵意、暴力の扇動となる人種的優越あるいは憎悪を唱える宣伝のすべてを禁止し、そのような宣伝を広めるデモを禁止すべきだ」と、新たな規制を求める勧告をした。
特定秘密保護法についても「ジャーナリストや人権擁護者の活動に深刻な影響を及ぼしうる」との懸念が示され、適用対象を狭く定義するよう勧告した。
日本は自由権規約を一九七九年に批准した。委員会勧告には、批准国が国内法を整備しなくてはならないような法的拘束力はない。
日本弁護士連合会自由権規約ワーキンググループ座長の海渡雄一弁護士は「今回の勧告は、日本の人権と民主主義について国際社会が強い危機感を抱いていることの反映だ。勧告に強制力こそないが、日本の対応次第で、’世界のこの国に対する評価が変わる。その意味で決して軽視すべきではない」と話している。
国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか
=死刑・代用監獄・慰安婦・秘密保護法・ヘイトスピーチ・技能実習生・福島原発事故=
海渡 雄一(弁護士・日弁連自由権規約WG座長)
http://satta158.web.fc2.com/docs/UN-human-rights-committee.pdf
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国連自由権規約委員会
内容
第1 自由権規約委員会とは
1 本論考作成の目的
2 刑務所改革と自由権規約委員会
3 国連の複合的な人権システム
4 自由権規約委員会の第6回政府報告書審査
第2 審査の概観と国際人権保障に関する課題
1 これまでの課題と新たな課題
2 進まぬ国際人権保障システムの更新と克服の方向性―個人通報と国内人権機関
3 日本政府の対応が評価された事項
第3 主要事項として取り上げられた代用監獄と死刑制度
1 袴田事件にふれた発言が3人の委員からなされた
2 代用監獄の廃止を明確に求めた勧告
3 死刑制度の廃止を真剣に検討せよ
第4 表現自由と知る権利の危機に警鐘
1 人権保障には厳しい制約を
2 秘密保護法は情報へのアクセスの権利を定めた規約19条を満たしていない
第5 ジェンダーと性暴力、性的マイノリティについて
1 ジェンダー平等について
2 ジェンダーに基づく暴力及びドメスティック・バイオレンス
3 性的マイノリティ
4 慰安婦問題をめぐって
第6 外国人の人権と人種差別をめぐる課題
1 ヘイトスピーチの処罰を法制化せよ
2 人身取引と技能実習制度について
3 難民・入管収容など
4 ムスリムに対する監視について
第7 マイノリティの人権とその保護
1 精神病院における非自発的入院について
2 子どもに対する体罰
3 先住民
4 福島原発事故被害者
第8 審査を踏まえた政府と私たちの課題
1 かみしめるべきロドリー議長の最終発言
2 次の政府報告書提出期限は2018 年7 月31 日
3 フォローアップ条項に選ばれた死刑,慰安婦,技能実習生,代用監獄
4 政府との建設的な対話を深め、困難な状況でも前進を目指そう
第8 審査を踏まえた政府と私たちの課題
1 かみしめるべきロドリー議長の最終発言
ナイジェルロドリー議長は会議の結びの言葉の中で、触れるべき二つの問題があるとして、日本政府が何度も同じプロセスを繰り返しているという点を指摘した。
代用監獄制度に関して、政府はリソースの不足を制度を改めない理由として述べたが、議長は、「人権の尊重がリソース次第という状況は日本のような先進国ではあってはならないことであると指摘した。こういう制度が維持されている理由は、起訴側が自白を求めたいと考えているためであるとしか考えられない。このような状況は明らかに規約に矛盾している。日本政府は、委員会がこれまでよりも強い形で勧告を出しても驚かれることはないでしょう。日本政府は明らかに国際コミュニティに抵抗しているようにみえます。」と述べた。繰り返されているもう一つの重要問題として慰安婦の問題が指摘された。議長は、「意見の対立があるようであるが私には理解ができない。私の頭が悪いのだろうか。「強制連行されたのではない。」といいつつ、「意図に反した」という認識が示されている。これは、理解しにくい。性奴隷である疑念があるなら、日本政府はなぜこの問題を国際的な審査によって明確化しないのか。」と厳しく指摘した。
2 次の政府報告書提出期限は2018 年7 月31 日
委員会は、勧告27項において、締約国の第6 回定期報告書と委員会の総括所見、そして委員会のリストオブイシューズに対して政府が行った書面回答などが、一般市民に対し、また、司法、立法、行政当局に対しても公表され、かつ、広く普及されるよう求めた。 また、委員会は、勧告29項において、日本の第6 回定期報告書の提出日を、2018 年7 月31 日と定め、この勧告に対してとった措置を、市民社会との共同作業を経て提出するように求めた。
3 フォローアップ条項に選ばれた死刑,慰安婦,技能実習生,代用監獄委員会は、28項で、1年以内のフォローアップ事項として、死刑(13),慰安婦(14),技能実習生(16),代用監獄(18)の4テーマを取り上げ、委員会手続規則71 パラグラフ5 に従い、この4つの勧告について、1 年以内にフォローアップ情報を提供するよう求めた。これら4つの項目は、委員会がとりわけ重視している関心のあらわれである。とりわけ政府の集中した誠実な対応が求められる。
4 政府との建設的な対話を深め、困難な状況でも前進を目指そう 今回の勧告は、これまでの5回の審査に基づく勧告と比べて、極めて厳しいトーンと内容のものとなった。その原因は明確である。世界中の国々が、人権の完全実施のために前向きの努力を続けている中で、日本では、人権とさらには民主主義そのものを危機に陥れるようなできごとが続いている。いわば、改善の方向が見えないだけでなく、むしろ後退している印象を与えたのだと推察する。
とはいえ、私たち日本のNGOは政府と協力して、この勧告を一つずつ実現していく責務がある。私が歩みを止めず、大きな流れの中で捉えれば、これらの勧告はいずれ実現できる。しかし、民主主義的な法制度を傷つけたり、日本政府が戦争に突き進むようなことになれば、その回復には長い時間がかかるかもしれない。
そのような破局的な事態を避けるためにも、この勧告の中の秘密保護法を含む表現の自由とヘイトスピーチを含む人種差別禁止などの勧告を重く受け止め、この勧告を速やかに実現する必要があるだろう。
総括所見を日本国内にひろげ、政府と真剣に対話し、日本を包む人権と民主主義の危機を克服していくための梃子として活用したいと思う。
他は本ページ(PDF)参照してください。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約) 条約本文
(日本弁護士連合会)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/international/library/human_rights/liberty_convention.html
(本名)弓場清孝さんのブログ
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疲労困憊したおじさんのブログ
より
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星月夜☆さんのブログ
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春と修羅☆
より
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近ごろ日本を覆う「自画自賛」症候群は何の表れか
(東京新聞【こちら特報部】)2014年7月30日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014073002000150.html
近ごろ、本屋に立ち寄ると、気恥ずかしくなる。店頭に「日本人はこんなにすごい!」という「自画自賛本」が平積みにされているからだ。この国から「奥ゆかしい」とか「謙虚」といった感覚が急速に消えていっているように感じる。だが、そうした違和感を口にすると、どこからか「自虐だ!」という悪罵が飛んできそうだ。いったい、これは何の表れなのか。日本社会の美徳が崩れてはいないか。
(荒井六貴、林啓太)
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なぜ?今、ニッポンにあふれる
書店ズラリW杯で美談
「日本が『素晴らしい』といった内容の本は好調です。反中国、嫌韓国の本とともに売れています」
都内のある書店で、店員の一人はそう話す。
実際、店頭をのぞくと「日本人はなぜ美しいのか」「世界が見た日本人もっと自信を持っていい理由」「日本人はいつ日本が好きになったのか」といったタイトルの本がずらりと並んでいる。
テレビ番組も同じ傾向がある。例えば、NHKのBSで週一回放映されている「cool・Japan発掘!かっこいいニッポン」。外国人が日本文化の良さを紹介し、日本人に自信をつけさせてくれる。
サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会では日本代表の試合後、日本人サポーターが観客席のごみ集めをしたことが現地で話題となり、日本のマスコミが美談として報じた。
とはいえ、こうした行為は日本人に限らない。隣の韓国でも、屋外の大型モニターでW杯の試合を見終わったサポーターが空き缶や紙くずを片付けていた。
日本だけが美しくて、輝いている…そうしたイメージが流されがちだ。安倍首相も「美しい日本」を掲げて、日本の文化やアニメ、ファッション、製品が優れていると、「クールジャパン」の宣伝にご執心だ。
ただ、そうした宣伝が薄っぺらく見える瞬間がなくもない。例えば、東日本大震災後、「絆」が強調された。二〇二〇年東京五輪の招致では「おもてなし」が切り札になったという。
でも、そうした標語は実態を伴っているのか。
「絆」「おもてなし」…でも現実は?
福島原発事故の被災者らのサポートを続ける「東京災害支援ネット」代表の森川清弁護士はこう語る。
「被災住民は切り捨てられている。国は新天地へ移住する提案も示さず、除染の見通しもつけていない。逆に少なからずの避難者が月十万円の慰謝料を受け取っていることを揶揄(やゆ)されたり、責められて肩身の狹い思いをしている。『絆』という言葉は、国や墓示電力の責任逃れを覆い隠すために使われた感すらある」
「おもてなし」も、その内実は怪しい。最高裁は今月十八日の判決で、永住資格を持つ中国籍女性に対する生活保護法の適用を認めた二審福岡高裁判決を破棄し、法の適用外とする判断を示した。
生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤広喜弁護士は「金持ちの外国人はウエルカムでおもてなしの対象だが、貧困層や難民たちは対象外。そうした国の姿勢を感じた」と言う。
生活保護基準は引き下げられ、子どもの貧困率も深刻さを増している。尾藤弁護士は「『絆』が悪用されているように感じる。ここでは一般国民が我慢しているのだから、弱い立場の人間たちは当然、我慢しろという形だ」と皮肉った。
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自信取り戻したい
日本が素晴らしいに越したことはない。だが、その根拠が希薄だと、現実を目の当たりにした際に逆効果になりかねない。
日本が一次リーグ敗退したワールドカップでは「日本代表の突破は確実」といった印象を与える報道が目立った。スポーツライターの玉木正之氏は「視聴率のためだろうが、番組の音楽やあおるようなコメントで、日本が勝って当然の空気を醸していた。第二次大戦中の空気もこんな感じだったのか」と振り返る。
理化学研究所が最後に研究不正と認定した「STAP細胞」騒動もそうだ。「発見」が発表された当初、メディアははしやいだ。研究内容をそっちのけに、研究を主導した小保方晴子氏を「また日本人が成果」「かっぼう着の異彩のリケジョ」などと持ち上げた。
「謙虚さ」こそが日本人の美徳ではなかったか。なぜ現在、日本社会になりふり構わぬ自画自賛の雰囲気があふれているのか。
新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「首相ら保守派の中高年は『失われた二十年』にじくじたる思いを抱く。日本の自信を取り戻したいという願望が強い」とみる。
心のスキマ埋めて
謙虚でいられない
こうした保守派の振りまく自画自賛の言説が、若者らの「自己承認」欲求を満たしている面もある。
最近は社員同士が互いを褒め合うプログラムを導入する会社が出てきた。碓井教授は「褒め合わなければならないのは、裏返せば自信のなさの表れだ。インターネットの発達などで生身の間同士の結び付きが希薄になり、自分が相手に認められているという自信を抱きづらくなった」と分析する。「日本を褒められれば、日本人である自分自身が褒められたように感じる。自画自賛は心の「隙間」を埋める効果がある」
同時に、それは中国や韓国など近隣諸国への感情と交錯する。「ひと昔前は反中国、反韓国の感情は少なかった。日本が経済力や技術力で中韓を圧倒していたからだ。優位という余裕があったので、相手の良い点も謙虚に認めて受け入れられた。だが、中韓に追いつかれたことで、自尊心が傷つき、謙虚でいる余裕がなくなった」(碓井教授)
反対意見言いにくく
社員は褒め合い…
ただ、自画自賛することを自己主張と絡めて肯定的に評価する見方もある。
この点について、恵泉女学園大の高橋清貴特任准教授(平和構築論)は「自己主張と自画自賛は全く違う。自己主張は相手の意見にも耳を傾け、自分の意見を受け入れてもらうよう説得すること。自画自賛は他者の立場を顧みず、自身の空虚な力にうぬぽれることにすぎない」と解説する。
「平和主義に基づいてやってきた政府開発援助(ODA)だって、日本人が世界に誇っても良い偉業だ。だが、現政権の自画自賛の傾向には、近隣諸国に対して優位に立つという力の発想が見え隠れする」
戦時中は標語に
ちなみに戦時中の日本は自画自賛のオンパレードだった。児童用の国定修身教科書「ヨイコドモ」(一九四一年)では「日本 ヨイ 国、キヨイ国。世界二 一ツノ神ノ国。日本 ヨイ国、強イ国。世界ニ カガヤク エライ国」と、日本の「素晴らしさ」を手放しでたたえる。
戦争標語を研究する現代史研究家の里中哲彦氏は「何かを褒めることに否定的な意味はない。「美しい国」という主張も、直ちには批判しづらい。ただ、戦争標語はそんな褒め言葉の特性から、人ぴとを戦争に協力させた」と指摘する。
「集団的自衛権の行使が容認された現在、日本を自画自賛する言説は軍国的な動きに反対する意見を封じかねない。戦前のような日本びいきが、社会に浸透しかねない危うさがある」
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自衛官募集に萌えキャラ続々
負の現実 隠すため?
東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡 2014年7月11日
集団的自衛権行使を容認する閣議決定により、現実の戦闘に一歩近づいた自衛隊。内部でのいじめを苦にした自殺と、その隠ぺい工作が裁判で明らかにされるなど、近ごろ殺伐とした話題が多い。そうした中、一部の地方協力本部は隊員募集のポスターに、アニメの萌(も)え(架空の2次元美少女)ギャラを採用している。どのような狙いがあるのか。
(林啓太)
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隊員「オタク文化になじみ」
「若者に自衛隊に関心を持ってもらう『つかみ』の効果はあるのでは」
ポスターに萌えキャラを採用した自衛隊茨城地方協力本部(地本)の田村保明広報班長はこう話す。
絵柄はこうだ。陸上、海上、航空の各自衛隊を表すカーキ色、白色、青色の制服を着た三人の美少女キャラが登場する。その中央に書かれたメッセージは「『誰かを守れる自分』はじめよう!」。同地本は四月から、茨城県内の公共施設や高校などに掲示するよう依頼している。
キャラは二〇一三年十二月に、インターネット上で無償を条件に公募。県内在住のイラストレーターの作品を選んだ。
狙いについて、田村班長は「ポスターを見てもらうことに尽きる。萌えキャラは従来のものより、人目を引きやすいのでは」。一三年度に県内で受験した人たちに募集を知ったきっかけをアンケートしたところ。「ポスター」との答えが多かったという。
三重地本も一〇年九月から、陸海空の制服を着た美少女三姉妹のギャラを採用している。地本に勤務していた若手の女性自衛隊員が描いた。藤野孝一広報班長は「キャラ採用の前後の受験者数の増減は直ちには回答できない」と説明する一方、「広報イベントの来場者に『このキャラはどう』と聞くと、たいてい『良いですね』と好評です」。
香川地本も一三年七月から、これまた美少女三人組を広報ギャラに採用。地元のデザイン専門学校の学生が描いた。広報担当者は「堅いイメージをやわらかくしたい」と語った。
防衛省報道室によると、自衛官募集の手法は原則、地本に一任している。アニメキャラを使ったポスターは、一〇年度に徳島地本が初めて手掛けた。
萌えと軍事ネタの組み合わせは近年、ネットゲームなどで人気を呼んでいる。女子高生か戦車に乗って戦うアニメ「カールス&パンツァー」も、地上波テレビで放映された。
元陸自隊員でキャラクター研究家の犬山秋彦氏は「かつてはオタク向けの小説だったライトノベルが広く読まれるなど、『萌え』は若者全体に浸透してきた。募集促進に一定の効果はあるだろう」とみる。「担当者も、美少女キャラは広告戦略として有効だとして便乗しているのだろう」
さらに犬山氏は自衛隊員と「萌え」には接点があると解説する。「二十年近く前の話だが、外出が難しい駐屯地では、楽しめるものはゲームやアニメ。売店には関連の雑誌がけっこう充実していた。隊員はオタク文化に興じやすい」
軍事評論家の前田哲男氏は「新聞を読まずに、漫画ばかり読むという若者も増えてきている。自衛隊としては、相手のレベルに合わせて募集活動をしていかなければならない面もあるのだろう」と指摘する。
加えて「萌えキャラの採用には、自衛隊組織のイメージアップの狙いもある」と指摘する。「集団的自衛権の行使容認で、自衛官が殺し殺されるということも現実味を帯びてきた。自衛隊の負のイメージを隠すため、アニメのキャラなどでソフトさを押し出す広報活動は今後、さらに強化されていくのではないか」
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(東京新聞【こちら特報部】)本音のコラム 2014年7月30日
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召集令状 - Wikipedia
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この国おかしくないか..( ̄^ ̄)凸
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