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消費税増税と法人税減税の税額推移
日刊ゲンダイ2014年6月11日付
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安倍ペテン政権がもはや戦後ではないをマネしてそう宣言するというが、デフレでなければインフレなのか
アベノミクスは成功したと喧伝したいらしいペテン政治の現在とこれからを冷静な専門筋はどう見ているか
安倍政権は、月内に策定する「骨太の方針」で、「もはやデフレではない」と宣言するそうだ。1956年の経済白書に書かれた「もはや戦後ではない」は、復興から高度成長に向かう時代を象徴する流行語となった。だれもが知るフレーズをマネしたのは、「高度成長よ、再び」と願う人たちに、淡い期待を抱かせたいからだろう。いかにもペテン師が好みそうな手法である。
骨太の方針は、デフレではない」の根拠を経済指標に求めた。今年1-3月期までGDPが6四半期連続のプラス成長となり、失業率が3%台半ばで推移し、消費者物価指数の伸び率が5年ぶりにプラスとなっている。それが「デフレ終了」の根拠という。すべてアベノミクスの成果。
安倍政権の経済政策がズバリ当たり日本経済は上向いている。そんなふうに訴えるわけだ。
はたして、この主張は正しいのだろうか。
そもそも「骨太の方針」には負のイメージがつきまとう。小泉政権時代に採用され、米国流の構造改革を日本にもたらした悪の手引書だ。そこに盛り込まれる「デフレ打ち止め」宣言である。ハナから信頼できるわけがないだろう。
同志社大教授の浜矩子氏(国際経済学)はこう指摘する。
「GDP成長率は、いざなぎ超えといわれた2002年ごろからプラス傾向が続いています。雇用環境の改善も、。バラマキの効果が出た建設関連に引っ張られて人手が不足しているだけ。経済が良くなっているからではありません。ちょっと刺激すれば指標が上向くようなところを目かけて、東京五輪だ何だとドーピングを打ち、景気は良くなったと宣伝しているのです。いわば劇場型の景気回復で、実体か伴わないバブル。『もはやデフレではない』は明らかにウソです」
ベア実施で大騒ぎも下がっていた賃金
確かに物価だけを見れば、4月は前年同月比で3・2%も上昇した。上げ膈は、バブル崩壊以降で最大だ。それでもデフレ=経済の収縮は続いている。
経済評論家の菊池英博氏が言う。
「物価が上昇しているのは円安の影響で電気代や生活必需品の価格か上かったことに加え、消費税が8%になったためです。景気か回復し、給料が上がり、物価が上昇してきたわけではありません。実際、給料は全然上かっていない。現状は、不況下で物価高が進むスタグフレーション。事態はむしろ深刻化しているのです」
安倍政権と経済団体は盛んに、久しぶりのペースアップ実現をアピールしている。だが、厚労省の毎月勤労統計調査によると、4月の所定内給与は前年比〇・9%のマイナスだ。これで23ヵ月連続のマイナスである。
安倍首相はG7でも、「近年にない賃上げの動きも広がった」とエラソーに詈っていたが、主要国の首脳相手に大ボラを吹いてきたわけだ。
経済評論家の斎藤詢氏もこう言う。
「現金給与総額こそO・9%増となりましたか、これは時間外などが増えたため。物価の変動を考慮した実質賃金は3・1%もの大幅マイナスです。これでは消費者の購買力はむしばまれてしまう。なにしろ物価は想定を上回る上昇となっているのです。持ち家の所有者が賃貸料を払うと仮定する帰属家賃など、現実に消費されないものを除いて計算し直すと、4月の消費者物価指数は4・1%ものプラスになる。消費税かフルに転嫁されていないと考えられる段階で、これだけ物価が上がったのです。5月以降も物価か上昇していけば、増税後もケセラセラで消費行動を変えていない消費者も、さすがに態度を変えざるを得なくなるでしょう」「もはやデフレではない」に同意する専門家はいないのだ。
規制緩和の第三の矢は「毒矢である」
世界の経済情勢は混迷の度合いを深めている。
欧州中央銀行は、民間銀行が一定以上のカネを預けた場合、手数料を徴収する「マイナス金利」の実施に踏み込んだ。主要な中央銀行としては初めての試み。銀行に滞留するカネを減らし、融資などへ回る効果を狙ってのことらしいが、未踏の領域はリスクが大きい。世界経済の雲行きはどんどん怪しくなっているのだ。
そんな混乱に乗じてペテンを続け、景気は良くなるという幻想を振りまいているのか安倍である。
「政府が発表した14年度の経済見通しは、GDP成長率を実質1・4%増と見込んでいます。内訳を見ると、輸出は5・4%増で民間設備投資か4・4%増となっている。これはいかにも過大です。普通に考えれば、輸出と設備投資は13年7-9月期並みかそれ以下に落ち込む公算は大きい。そうなればGDP成長率は実質名目ともにマイナスに落ち込むでしょう。安倍政権は、成長戦略の第3の矢で盛り返すつもりのようですが、小泉竹中構造改革でも分かるように、規制緩和が成功した例はただのひとつもない。私利私欲のレントシーカー(利権あさり)が暗躍するだけです。国民とこの国の経済にとっては、第3の矢は毒矢でしかありません」(菊池英博氏=前出)
安倍政策で北朝鮮化する日本
もしも本当にデフレか終わったのだとすれば、真っ先にやるべきことがある。「異次元の緩和」の打ち切りだ。デフレは終わったが市場をジャブジャブにする黒田バズーカ砲は発射し続けます、では政策の整合性か取れない。脱デフレ宣言は量的緩和終了と同時でなければ、つじつまが合わないだろう。
もちろんそんなことはやれないから、口先だけでデフレ終了を宣言する、のだ。こんなペテンで金融緩和を続けていれば、日本は終わりである。
「緩和政策が招いた円安で、日本の経常収支は黒字額がどんどん減つています。貿易で稼げなくなっている上、海外投資の増加で資本の流出も増えている。それでも海外からの資本の流入で穴埋めできればいいのですが、ゼロ金利を続けている以上、期待はできません。現状では、経常収支の赤字化を食い止める手段が見当たらないのです。こうなるとジリ貧で、いずれ外国人投資家は売り浴びせに出る。日本株はもちろん、日銀しか買い手のいない国債も売られ、円は暴落するでしょう。株、債券、通貨のトリプル安。安倍政権のアセットーバブルーエコノミクス(資産バブル経済)政策は、日本経済を崩壊させるのです」(浜矩子氏=前出)
バブルははじけ、日本経済は再び深い谷に落ち込むことになるのだ。こんな政権に任せている
と、この国はもたない。
安倍は今国会中に集団的自衛権の行使容認を閣議決定するという。経済はメタメタでも軍国化は強引に進める。安倍が敵視する北朝鮮と同じ。庶民をダマす独裁者の考えは万国共通だ。
日刊ゲンダイ2014年6月10日付
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政策を金で買うのか 経団連「献金あっせん」と法人税率下げ
(東京新聞【こちら特報部】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014060502000156.html
経団連の新会長に就いた東レの榊原定征(さだゆき)会長が「政治献金のあっせん」に言及した翌日、政府・与党は来年度から法人実効税率を引き下げる方針を決めた。「献金で、税金が少なくなるのか」と首をかしげた人もいただろう。そもそも、国民の税金で政党を助成する代わりに、企業・団体献金を廃止する方向ではなかったのか。 (上田千秋、榊原崇仁)
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原発再稼働、武器輸出みなおし 財界と「蜜月」の政権
「政策を金で買う悪質な手法が復活する。本来(求められている流れと完全に逆行している)。市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表で、神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)はこう憤る。
経団連の榊原新会長は就任前日、二日の記者会見で、「政治献金のあっせんもあらためて検討し、年内に方向を打ち出したい」と表明した。
榊原氏の言う「あっせん」とは、経団連が出す提言と政策の整合性や、政党の取り組み具合を評価して献金額の目安を示し、会員企業に献金を促す方式を指す。二〇〇四年から行っていが、民主党政権時代の一〇年、「日本も本格的な政権交代の時代に入り、従来の政権評価は硬直的で柔軟性に欠け、時代の変化に十分に対応していない」(当時の御手洗冨士夫会長)とやめた。小沢一郎民主党幹事長(当時)をめぐる「政治とカネ」の問題が顕在化したことも影響した。
もともと、政治献金のあっせんは一九五〇年代半ばに始まった。当初は経団連が献金総額を決め、資本金や売上高などに応じ会員企業に割り振っていたが、九四年にやめた。前年には、日本新党の細川護煕氏が首相になり、自民党が野党になっている。
経団連は、政権与党との関係を密にすることで会員企業の利益拡大を図ってきた。そこに使われてきたのが政治献金だ。企業が、政治家本人ではなく、政党の本部や支部に対して献金するのは違法ではない。
だが、上脇氏は「企業による献金を全面禁止にするべきだ」と訴える。「企業は政治団体ではなく、経済活動をする組織だ。株主はそれを前提に金を出している。それに企業献金は個人献金と比べて額が圧倒的に大きく癒着を生みやすい。金の力で政治がゆがめられる」
経団連も意識をしてか、昨年十月、「衆参のねじれが解消し、政策を着実に実行できる環境が整った」と政策評価を再開した際、米倉弘昌会長(当時)が「かつてのように会員企業に献金額を割り振るようなことはしない」と明言していた。それから半年余、なぜ、あっせん再開という話になるのか。
上脇氏は、経団連の意向に沿った政策が次々に打ち出されている点にあるとみる。安倍晉三首相は一昨年十二月の就任後、早々に原発再稼働にかじを切り、武器輸出三原則を全面的に見直す方針も示した。三日には自民党税制調査会が、榊原氏の発言に反応したかのように、法人税の実効税率を引き下げることを容認した。日本の実効税率約35%は中国や韓国、欧州各国より高く、経団連は以前から「国際競争力強化のため約25%までの引き下げが不可欠」と主張していた。
上脇氏は「あまりに露骨。金をつぎ込めぱつぎ込んだだけ効果があることになり、ますます加速しかねない。事態を深刻に受け止め、批判を強める必要がある」とはなした。
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時計の針なぜ戻す
「政治とカネ」追及ネタだが・・・野党議員嘆く
政治家は企業・団体献金と決別するはずだった。一九九五年、赤ちゃんを含めた国民一人当たり二百五十円の税金を原資にした「政党交付金」を議席数や得票数に応じて各党に支給する政党助成制度が始まった。
細川首相(当時)は九三年の衆院本会議で「政治資金の公明と公正を図るため国民にコーヒー一杯分の負担をお願いする」と説明し、「公明、公正」のため五年後には、企業・団体献金の規制を強化することを約束した。
二〇〇〇年、それまでの政治家個人に対してだけでなく、個人の資金管理団体への企業・団体献金も違法となった。ところが、政党や政党の政治資金団体への献金は禁止されず、いわぱ「抜け道」として残された。
一二年分の政治資金収支報告書によると、年間二千万円超の大口献金をした企業・団体は日本自動車工業会やトヨタ自動車、日本電機工業会など八つで、献金先はいずれも自民党の政治資金団体「国民政治協会(国政協)」だった。
電力各社の役員らが集団で個人献金をして、企業名を表に出さない動きも続いてきた。少なくとも一九七六年には始まり、国政協が受け取った年間の個人献金の七割ほどの約五千万円に達することもあった。異なる電力会社でも役職ごとに献金額がそろっており、自民党内部でも「実態を見れば組織ぐるみの献金だ」という批判が出た。
国土強靭化で自民が献金要求
献金を要求するケースも発覚している。国政協は昨年二月、ゼネコンの業界団体「日本建設業連合会」に対し、「『強靭な国土』の建設へと全力で立ち向かう。ご協力をお願いする」として四億七千百万円の献金を依頼した。昨年十月、衆院予算委で追及された安倍首相は事実関係を認めたものの、「法にのっとって適切に対処している」と批判を受け付けなかった。
自民党だけではない。民主党は○九年の衆院選で企業・団体献金の禁止をマニフェストで掲げ、政権交代後の一〇年に政治資金規正法改正案の骨子をまとめた。一四年には全面禁止になるはずだったが、一一年に野田佳彦氏が首相に就くとトーンダウン。野田氏を含めて閣僚十三人が、それぞれ代表を務める政党支部に、企業・団体献金が提供されていた。
日本維新の会も党規約に企業献金や団体献金の禁止を盛り込む方針を掲げたが、石原慎太郎氏らの旧太陽の党と合流する際に撤回している。
民主党の有志でつくる「企業・団体献金全面禁止研究会」のメンバーだった元法相の小川敏夫参院議員は「国民全体のことを考えるのが政治家の役割なのに、企業や団体からお金をもらうとそちらを向いて仕事をしてしまう」と企業・団体献金の禁止を求める姿勢はいまも変わらない。
「経団連の新会長の発言は本来なら『政治とカネ』の問題を追及するチャンスなのに、党内でなかなか議論がまとまりづらい」と現状を嘆く。
市民団体「株主オンブズマン」事務局長で、関西大の森岡孝二名誉教授(企業社会論)は「会社の株主は主義主張が異なる数多くの人で構成されており、特定の政党に対する献金はそもそも許されない」と指摘する。
「もし本当にやろうというなら、その根拠や理由を明確に説明する責任が生じる。会員企業の中からも異論は出るだろう。政治献金は腐敗の温床と言われて久しいのに、どうして時計の針を戻すようなことをするのか」と経団連の姿勢に首をかしげた。
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しんぶん赤旗日曜版2014年6月15日付
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日本を代表する大企業・トヨタ自動車は、消費税も法人税も払っていない。逆に庶民は消費税増税で苦しめられる一方だ-。そんな不公平の極みに怒りが広かっています。その中で、びっくり仰天のトヨタ広告がいま話題になっています。
北村隆志、豊田栄光記者
問題のトヨタの広告は、「日経」(4月23日付)に載りました。
「この4月から消費税が8%に上がった。…例えばモヤシのような安価な食材も、工夫次第では立派な主菜になる。節約は実は生活を豊かにするのだと気づけば、増税もまた楽しからずやだ」
広告を見たトヨタの下請け業者の黒岩行子さん(67)=愛知県刈谷市=は「節約なんて、トヨタにいわれなくてもやってます。トヨタの社長は末端がどれだけ低い単価で請け負っているのか知っているのかね。モヤシばかり食べていられません」とあきれます。
黒岩さんが経営するのは自動車の内装シートの縫製工場。4人のパートの女性がミシンを踏んでいます。増税後の4月、発注元からは一部の単価を7%も下げられました。
「増税分を上乗せしても、税込み価格は増税前より安い。うちは5次下請け。取引先に文句を言っても『うちも下げられとるで我慢して』で終わり」
昨年は消費税130万円を納税する資金がなく、死んだ夫の生命保険から払いました。
『法人税と違って、消費税は赤字でも払わなければいけない。零細企業には大変な重荷です」
一方、トヨタは消費税分をしっかり価格に上乗せして、自分の腹は痛みません。
さらにー。史上最高益をあげた決算発表(5月)で豊田章男社長は、国の法人税を5年間払っていなかったことを明らかにしました。
財界の要望を受けた安倍政権は、さらなる法人税減税を進めようと…
日本共産党の志位和夫委員長は訴えます。
「この不公正を正すべきです。富裕層と大企業に応分の負担をという日本共産党の政策をみんなの力で実行させようではありませんか」(7日、千葉市の演説会)
政府赤字中小企業に課税検討
新たな法人税減税狙う
消費税増税に苦しむ庶民をよそに、トヨタ自動車をはじめ大企業は法人税の減税などで優遇されてきました。それなのに財界は″もっと法人税を減税しろ″と安倍政権に要求を突き付けています。
日本経団連の榊原定征会長は3日の記者会見で、法人税の実効税率を「将来的には25%へ引き下げるべきだ」とのべました。
国と地方を合わせた法人実効税率を25%に引き下げれば、5兆円もの大減税。今年度の法人税減税1・5兆円と合わせて6・5兆円にもなります。
これを受けた安倍晋三首相は6日、訪問中のローマで「来年度から実効税率を引き下げる」と表明しました。
政府はその財源として新たな庶民増税を検討しています。
一つは、資本金などを基準に課税する[外形標準課税]の対象拡大などで、赤字の中小企業からも税金を取り立てること。政府税制調査会は、″赤字の中小企業にも税金の負担をさせるべきだ”という方針です。
経済同友会の冨山和彦副代表幹事は「税制でも生産性の低い中小企業に穏やかな退出を促すべきだ」(「毎日」
5月99一日付インタビュー)と発言。税金が払えない中小企業はつぶれてしまえといわんばかりです。
もう一つは、所得税の「配偶者控除の見直し」。配偶者控除が廃止されれば、年収500万円で7万円の増税になります。
他方、安倍首相は来年10月から消費税率10%への大増税を狙っています。日本共産党の志位和夫委員長は訴えます。
「今、声を上げなければ、国民は際限のない増税地獄に引き込まれてしまう。消費税増税ストップの声を突きつけよう」(7日、千葉市の演説会)
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4月23日付「日経」に掲載されたトヨタ自動車の広告
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日刊ゲンダイ2014年6月12日付
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日刊ゲンダイ2014年6月12日付
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マジメに国家と国民のこれからを考えているのか極めて疑わしいという声
憲法、税制、震災復興、原発対応、年金、景気対策、外交、少子高齢対策、その他すべてがそ
の場しのぎのデタラメばかり
案の定、安倍首相は集団的自衛権の行使容認を今国会中に閣議決定してしまうつもりだ。秋以降、景気の減速懸念がある。消費税10%の決断も控える。やるなら高支持率の今のうち……なんて解説があるが、真相は年末の日米ガイドライン改定に間に合わせたいだけだ。国の根幹が変わるような話なのに、この政権は最初に米国ありき、スケジュールありきで、コトを進めようとしている。
「この問題は、時間が経つほど国民の反発が高まりかねないという焦りもあるでしょう。国会を閉じれば、与党協議も空中分解してしまう可能性がある。世間がW杯に浮かれている間に、ドサクサに紛れて決めてしまえという思惑もあるかもしれません。いずれにせよ、安倍首相は当初、『期限ありきではない』と言っていましたが、それは真っ赤なウソでした」(元法大教授・五十嵐仁氏=政治学)
さらに許せないのは、国民をペテンにかけるような舌先三寸の説明だ。「日本国民が乗った米国艦船を他国が攻撃した場合」など、あり得ないような事例を持ち出して。「今のままではお母さんや赤ちゃんの命を守れない」「国民の命を守る責務がある」と訴えた田舎芝居。仲間内の安保法制懇にお手盛り報告書を出させて、「議論を尽くした」と強弁したインチキ。
なにより、これほど重大な解釈変更を閣議決定で済ませてしまおうという魂胆が卑しい。国民に問えば大反対を食らうので、解釈改憲の閣議決定という禁じ手を使うのである。
立憲主義の完全否定だが、そんな安倍だけに国会での態度もひどいものだ。国民にしてみれば、当然の疑問をぶつけている野党議員を「ミスリードのオンパレードだ」などと小バカにする。
揚げ旬が高村副総裁の”最後通告”なのである。
何も決まってないのに先に閣議決定案が出てくる
「高村さんは10日の与党協議で『次回13日に閣議決定原案を協議しないと今国会中に間に合わない』と公明党に突きつけた。これには驚きました。与党協議は、これまでわずか5回。10日に集団的自衛権の行使に当たるとされる8事例を提示し、これから中身の議論が始まるところじゃないですか。議論は全然、煮詰まっていないのに、先に閣議決定案が出てくる。こんなおかしな話はありません。そもそも、憲法を変える権限は国民と国会にしかないのです。それなのに、国会の集中審議は衆参で1日ずつしか行われていない。与党の数人が協議して決めるだけでも異常なのに、安倍首相はその与党協議のプロセスさえもスツ飛ばし、コトを進めようとしている。限定的という言葉でごまかそうとしていますが、集団的自衛権とは他国のために戦争することで、戦争するのに限定的も何もないのです」(政治評論家・森田実氏)
国民は何が何だか分からないうちに、平和憲法が骨抜きにされてしまう。「オレが最高責任者だ」とうそぶく独裁者によって、あり得ない事態が進行中なのである。
企業に優しく庶民に厳しい”アブナイ閣”の暴走
ベテンといえば、安倍がやっていることは、どれもこれもそうだ。アベノミクスで賃金が上がると喧伝しておいて、サラリーマンいじめの雇用改革を進めているのだからムチャクチャだ。立教大教授の郭洋春氏(経済学)が言う。
「残業代ゼロの『ホワイトカラー・エグゼンプション』や、クビ切りしやすくする『限定正社員』など、企業が安く使い捨てできる労働力を増やそうとしているのが安倍政権です。今だって、所定内給与は23ヵ月連続で下かっている。今後はもっと下がるでしょう。庶民は今以上に生活防衛に走るしかないわけで、これではデフレ脱却なんて到底無理ですよ」
これが専門家の意見なのだが、それでも安倍は今月発表する成長戦略に「もはやデフレではない」と書き込むのだ。そこには50年後も人口1億人を維持する数値目標も盛り込まれる見通しだ
が、これだって、大ボラでしかない。
「雇用と賃金の安定がなければ、若年層は結婚もままならず、安心して子どももつくれない。しかし、安倍首相は雇用の規制改革で正反対のことをやっています。政策に一貫した方向性がなく、矛盾だらけなんですよ」(郭洋春氏=前出)
3日に公表された年金の財政検証結果も詐欺だ。年金制度は「100年安心」どころか、すでに破綻していることが露呈したのに、安倍政権はフタをして先送り。もっとも現実的で最悪のシミュレーションを提示しなかった。それでいて、50年後も人口1億人なんて、夢物語を振りまいているのだから、無責任の極みだが、これが安倍の正体なのだろう。
物事を論理的に考えることができない自己陶酔型の人間
汚染水を「アンダーコントロール」と言って五輪を招致し、「復興第一と言いながら、企業の復興増税はやめてしまう。吉田調書を非開示にして、原発再稼働に走り、その原発を海外で売り歩く。ベテン師でなければ、トチ狂っている。
「外交も迷走続きです。外国に行っては中国の悪口を吹聴して挑発し、自分でアジアの緊張関係をつくり出しておいて、『戦争になったらどうする?』と脅威をあおる。これは完全に軍人の考え方ですよ」(五十嵐仁氏=前出)
こんな亡国宰相は見たことないと思ったら、作家の保阪正康氏は先月29日の朝日新聞でこんなことを書いていた。
〈昭和16年9月のこと。時の陸相、東条英機は東京・荻窪の私邸に近衛文麿首相を訪ねて、言ったそうです。「人間、一度は清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要だぞ」と。要するに、何の根拠も論理もないけど、日米開戦をとにかくやれと言ったんです〉
〈安倍首相も東条と似たようなことを言い出しそうだと思いました。安倍さんは「安保環境が厳しい」「国民を守る」を繰り返し、ただ集団的自衛権の行使が必要だと言っているだけで、何の論理も根拠も説明できない〉〈きっと物事を論理的に考えることができない、悲しいほど自己陶酔型の人物だと感じました〉
歴史作家の目には東条と安倍がダブって見えているのである。そんな安倍の暴走を許している国が恐ろしい。
「舌禍相場の暴落」は何を意味するのか
(東京新聞【こちら特報部】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014060602000154.html
政治家をはじめ、公職者の暴言に歯止めがかからない。ひと昔前なら「舌禍問題」として、辞任を強いられたようなケースでも、何のペナルティーも科せられない。表現の自由の枠を超えて、言いたい放題。いわば、舌禍の相場は大暴落中だ。原因のひとつには政治状況もありそうだが、その影響は深刻だ。およそ、子どもたちにしめしがつかない。世界からの視線も厳しさを増す一方だ。 (上田千秋、篠ケ瀬祐司)
「責任のハードル」近ごろなぜ低いのか
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相次ぐうやむや”決着”
「家に例えたら、くそ貧乏長屋。泥棒も入らない」
NHK経営委員で、作家の百田尚樹氏は先月二十四日、自民党岐阜県連の大会で講演し、軍隊を持たない南太平洋の島国バヌアツやナウルなどについて、こうやゆした。
経営委員は国会の同意を得て、首相が任命する公職だ。百田氏は二月の都知事選でも、元航空幕僚長の田母神俊雄候補の応援演説に駆け付け、他候補を「人間のくず」と呼んでいる。
安倍政権下での公職者の「舌禍」が目立つ。有名な例は麻生太郎副総理兼財務相の昨年七月の講演。ナチスの政権掌握に言及し「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気が付かない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。
三日後に「真意と異なり誤解を招いたことは遺憾」と撤回したが、何か誤解かは判然としなかった。
衛藤晟一(せいいち)首相補佐官は二月、安倍首相の靖国神社参拝で失望の意を明らかにした米国に対し、「むしろわれわれが失望だ」と批判する動画を投稿。発覚した日に、動画を削除した。
政権与党の幹部も言いたい放題だ。自民党の石破茂幹事長は昨年十一月、自身のブログで、特定秘密保護法(案)への抗議行動について「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と記述した。
NHKの籾井(もみい)勝人会長の物言いも議論を呼んだ。一月の就任会見で、「特定秘密保護法はしょうがない」「従軍慰安婦は戦争地域ではどこでもあった」などといった発言を連発した。
ひと昔前なら、引責辞任も迫られるようなケースばかりだ。だが、誰も責任を取っていない。麻生氏の発言は国際的にも大きな波紋を広げたが、うやむやに。他の四人についても批判や進退を問う声が出たが、辞任には至らなかった。
対照的に民主党政権下では、閣僚の舌禍を原因とした辞任が相次いだ。
菅内閣の法相だった柳田稔氏は二〇一〇年十一月、広島市の会合で国会答弁について「法相は二つ覚えておけばいい。『個別の事案については答えを差し控える』と『法と証拠に基づいて適切にやっている』。これはいい文句」と発言。
野党は「国会軽視だ」と反発し、菅首相(当時)は補正予算案の審議への影響を考慮し、辞任を促した。事実上の更迭だった。
一一年七月には、復興対策担当相だった松本龍氏が岩手、宮城両県庁を訪れ、東日本大震災からの復興をめぐり、「知恵を出さないやつ(自治体)は助けないぐらいの気持ちを持って」などと注文を付けた。
これには民主党内からも批判の声があがり、就任わずか九日目に辞任した。
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派閥も野党も弱体化
「反知性的」空振り/社会の風潮変化も
鉢呂吉雄経済産業相(当時)も一一年九月に、福島第一原発の視察後、記者会見で「(原発周辺は)人っ子一人いない。まさに死の町だった」と発言。都内で報道陣に防災服をすりつけるしぐさをしながら「放射能をうつしてやる」という趣旨の発言も問題視され、辞任に追い込まれた。
さかのぽれば、麻生、第一次安倍内閣での扱いは違っていた。○八年九月、麻生内閣の国土交通相だった中山成彬氏が、日教組解体に言及するなどして、辞任した。麻生首相(当時)は「発言は甚だ不適切。任命責任はあった」と、批判の沈静化に努めている。
○七年七月には、第一次安倍内閣の防衛相だった久間章生氏が辞任した。広島、長崎への原爆投下について「しょうがない」と発言したためだ。安倍首相も慰留はしなかった。
非自民勢力が連立を組んだ細川内閣時代も、舌禍問題が辞任を呼んだ。
防衛庁長官だった中西啓介氏は一九九三年十二月、新生党(当時)参院議員の勉強会で「半世紀もの間、憲法に後生大事にしがみつくのはまずいだろう」と語った。野党の自民党は「閣僚の憲法順守義務違反の疑いがある」と追及、衆院の予算委員会審議が紛糾した。中西氏は最終的に引責辞任した。
なぜ、現在は舌禍が辞任に至らないのだろうか。
著書『大平正芳 「戦後保守」とは何か』を出版した独協大の福永文夫教授(政治学)は、自民党内の人材育成能力の低下と野党の力不足に注目する。舌禍での辞任を求める勢力が力を失ったという見立てだ。
「衆院で小選挙区制が導入され、参院も似た制度を採用している。党本部の力が強くなり、理念を持つ人がリーダーとなる仕組みを担った派閥が弱体化した。党内のせめぎ合いが減り、政権は緊張感をなくした。野党も選挙優先で、政権と対決しない層が増えた」
福永教授は「歴史を勉強せずに無責任に発言し、それを許す土壌が広かっている。政府も議会も内向きになっている」とみる。
東京大大学院の松原隆一郎教授(社会経済学)も「かつては差別に敏感で、多様な目線を持った政治家が大勢いた。いさめる人が消えてしまった」と話す。
さらに松原教授はそうした空気が社会全体に広がっていることを懸念する。
「以前なら暴言と見なされたのに、中国や韓国などが好き勝手言っているのだから、こちらも言い返していいだろうという風潮になっている。日本人の中で、公の意識が失われつつある」と分析する。
一方、神戸女学院大の石川康宏教授(国際関係論)は、背景として「九〇年代後半から自己責任論が叫ばれるようになり、拝金主義が横行するようになった。その後の自民党の憲法改正草案などで、その流れが強まった」と考える。
その先に待っているのは国際社会での孤立だ。「歴史認識に関する政治家の発言により、悪化したのは韓国や中国との関係だけではない。日本の変質には、欧米も警戒を強めている。各国とも、手を焼いているのが現状だ。歴史認識をはじめとして、いろいろなことをあいまいにしてきたツケが回ってきている」
高崎経済大の國分(こくぶん)功一郎准教授(哲学)は、舌禍に限らず、政権運営に関する批判も意識的に無視されていると指摘する。
「安倍政権は特定秘密法のころから『やりたいようにやって、何が悪いのか』と行動し、批判にも『知らんぷり』をすれば物事を進められると考えている」
「反知性的」と批判しても、安倍政権には効かないとみる。「『知性の高み』からの批判には反発するだけ。その反発を支持する世論も広がりつつある」
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