大竹まこと×室井佑月×小林節:米の言いなりの集団的自衛権行使
http://youtu.be/mWU9WKsppxs
小林節教授と大竹まことと室井佑月が、集団的自衛権を憲法解釈で行使したいとする安倍総理の会見を受けて、アメリカ言いなりの集団的自衛権行使になるのではと、苦言を呈しています。 「大竹まこと ゴールデンラジオ」 2014/5/16 オープニング
出演:小林節教授(こばやしせつ。憲法学者。電話での出演)
大竹まこと 室井佑月 太田英明アナウンサー
戸惑う自衛隊員 集団的自衛権 議論を注視
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014052590070215.html
海外で武力を使って密接な関係にある他国を守る集団的自衛権について、国会では二十八日の衆院予算委員会での集中審議から、本格的な論戦が始まる。憲法九条の歯止めが事実上外れるとしたら、自衛隊の海外での活動範囲はどこまで広がるのか。自衛官たちの胸中にも不安や戸惑いが広がっている。
陸上自衛隊のある幹部は「あるべき国家として、グレーゾーン(武力攻撃に至らない領域侵害)などの問題を議論し整えるのは、当然の姿だ」と政府の姿勢を評価する。
ただ「新聞を見ると、賛否両論がはっきりしている。われわれは政治的意見はなかなか言えないが、国民にとって本当に一番いい形を探してほしい」と今後の議論の行方を見守る。
一方、ある幹部は「安倍晋三首相はいろいろ説明しているが、日本を戦争のできる国にしようとしているだけだ」と指摘。
安倍首相は集団的自衛権が必要になる事例として「日本人を輸送している米艦船が攻撃を受ける」との想定を挙げた。幹部は「そんなケースが今まであっただろうか? 極端な事例で、今後も考えられない」と切り捨てる。
集団的自衛権に道を開くのは「対米関係を考えただけ。『国民の生命を守る』という言葉は、口実で使っているだけだ」と批判する。
自衛隊内部での関心の薄さを危ぶむ声もある。「若い隊員は新聞や雑誌を読まないから、少しやることが増えた、くらいにしか考えていないようだ」と、関東地方の五十代の陸自隊員。
安倍首相の言動を見ていると近い将来、どこかの国と武力衝突する事態が起きるような気がして不安だという。二十日から自民と与党協議を始めた公明党は、解釈改憲で集団的自衛権を容認することに反対姿勢を強めているが、あまり期待はしていない。
「戦前、治安維持法などでさんざんひどい目に遭った支持母体の創価学会が危機感を持って意思表示をしても、政党としての公明党がどこまで踏ん張るか…」
公明の意向で、与党協議は武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処から議論を始める。自民党は離島に上陸した外国勢力を武力で排除する事態を想定する。陸自幹部の一人はこれにも戸惑いを隠さない。「起きてみないと分からない。事態に即して任務が与えられ、はじめてリアリティーが出てくる」
また、潜水したまま領海にとどまる潜水艦にはどう対処するのか。海上自衛隊幹部は「追い出そうと、爆弾が当たらないよう外して撃ったとしても、警告と受け取るだろうか」。本格的な戦闘に発展するおそれを不安視している。
日刊ゲンダイ 2014年5月27日版
今月15日、安倍首相は集団的自衛権行使の検討を宣言した”紙芝居会見”で、1960年の日米安保条約改定に触れてこう言った。
「あの時も他国の戦争に巻き込まれると反対されたが、いまでは平和がより確固たるものになったと評価されている」
さて、60年安保改定時の首相は安倍の祖父・岸信介だ。なぜ、安倍は会見でわざわざ岸を持ち出したのか。こういうところに安倍の歪んだメンタリティーが垣間見える。異常なまでに祖父を意識し、祖父と自分を重ね合わせているのだろう。果たして、毎日新聞の与良正男専門編集委員も、このセリフに着目。
〈(集団的自衛権の行使について)一部に反対があってもいい。祖父と同様、いずれ評価される時が来る〉
こんな心境じゃないか、と書いていた(21日夕刊)。
そういえば、作家のなかにし礼氏は本紙のインタビューで、安倍は「岸信介教の熱狂的信徒である」と断じた。
安倍は幼少時に安保闘争で何十万人というデモ隊が国会に押し寄せる風景におびえた。そんな中、安保改定を強行した祖父への畏怖、畏敬。しかし、ついに改憲は果たせなかった祖父の無念。それをやるのが自分であるという自意識過剰。それやこれやがごちや混ぜになっているのが安倍であって、これは岸教という宗教に見えるという指摘である。
なるほど、だとすれば、安倍が会見で岸の話を持ち出しだのもうなずける。改憲に確固たる理念や動機があるわけではなく、執念、狂信しか見あたらないのも納得だ。要は宗教なのである。裏を返せば、そうでも考えない限り、安倍のトチ狂った言動は理解不能ということだ。
妄想に取りつかれた狂気の首相
作家の高村薫氏も毎日新聞でこう語っていた。
〈集団的自衛権の問題一つとっても今の時代、世界のどこに世界一の軍事大国・米国を攻撃する国があるんですか。その米国を日本が守る? そんな事態が本当に起こると思っているのか。すべて安倍(晋三)さんたちの妄想としか思えません〉
安倍は”紙芝居”で朝鮮有事や尖閣諸島など領土紛争による衝突を煽ったが、そうした思考についても高村氏は「妄想」だと切り捨てた。
〈考えてみてください。中国との関係悪化にしても、もともとは日本の尖閣国有化に端を発したものです。それに安倍さんの靖国参拝が火を付けた。なのに『中国の出方は脅威だ』という空気の中で解釈改憲しようとしている。本来、日本の外交努力で解決できる問題のはずでこれも妄想です〉
20世紀は戦争の世紀といわれた。第2次大戦、ベトナム戦争、中東戦争、湾岸戦争と世界各地で血が流された。そこから得た教訓は、戦争は始めたら最後、必ず泥沼化するのであって、外交によって武力行使を回避するしかないというシンプルな事実だ。
それなのに、安倍は戦争準備をすることで国民の安全を守るという。その戦争準備を正当化するために、自分で脅威を煽る。憲法解釈も変えてしまう。もはや、精密検杏でも受けたほうがいいのではないか-。多くの識者はそう見ている。
「安倍首相は少年時代、岸=悪者論を耳にすると、ワーッとすっ飛んできて、激怒したそうです。その反応は異常だったと当時を知る人たちが振り返っています。そんな岸信介教の信者である安倍さんは『おじいちゃん、憲法改正をついに実現したよ』と言いたいのでしょう。その目的のためには手段を選ばない。解釈改憲という禁じ手もいとわない。周囲がいさめても、こと改憲となると、岸の影響なのか、一切の良識も常識も耳に入らなくなってしまうのです」(政治評論家・野上忠興氏)
やっぱり、どう考えてもマトモじゃない。その狂乱ぶりを見ていると、背筋が寒くなってくる。
岸信介教の”経典”を守るためにデタラメな屁理屈
岸信介教の”経典”を守るために、安倍は自分で脅威を作り出す。マッチポンプで中韓との関係を悪化させ、「安全保障上の問題が生じている」と屁理屈を言う。
もっと驚くのは憲法を勝手に都合よく解釈してしまう我田引水だ。日本国憲法は前文で「日本国民は恒久の平和を念願し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とうたっているが、この部分でさえ、安倍にかかると、「だから、国民を守るために集団的自衛権は必要だ」ということになってしまう。
議論のすり替えや詭弁の数々にも呆れてしまう。集団的自衛権とは他国が攻撃された際に一緒に戰うことなのに、安倍は「我が国の安全に重大な影響を及ぼすとき」と”限定”し、会見で「武力行使を目的として、他国との戦闘に参加するようなことは決してない」と語った。だったら、個別的自衛権や警察権でこと足りるのだ。
「地球の裏側に行くことはない」というのも詭弁で、安倍自身、「あらかじめ起こり得る事態を想定することは容易ではない」と認めているし、自公の協議で話し合う15の事例には他国での武力行使が入っている。
大体、集団的自衛権を提言した安保法制懇なる組織は、北岡伸一座長代理からして「正統性なんかそもそもあるわけがない」と言い放つような私的諮問機関だ。そこの報告書をペースに与党協議を経て閣議決定? 何から何までデタラメばかりなのだが、こうなると、やっぱり、安倍の頭の検査が必要に思えてくる。とにかく、最初に集団的自衛権の行使=事実上の改憲があって、理屈もへったくれもないのである。
高まる老年世代からの危惧の声
安倍がパネルなどで持ち出した事例も非現実的な妄想ばかりだ。
元内閣官房副長官補(安全保障担当)の柳澤協二氏は「想定された朝鮮半島有事で、民間人が米艦船に乗せてもらって引き揚げるなんて事態はまず起こりえない」と断じていた。「あれば政府の大失態」(同)なのである。
そんな事例で国民を騙し、平和国家をぶち壊そうとする安倍。狂乱首相に対し、戦争の悲惨さを知る老年世代からの危惧の声が高まるばかりだ。ノーベル賞作家の大江健三郎さん(79)が呼びかけ人の市民団体「戦争をさせない1000人委員会」は官邸デモを繰り返しているし、作家の瀬戸内寂聴さん(92)は安倍のことを「あの人、病気だったんでしよ?薬の中に興奮剤が入っているんじゃないかしら」と語っていた。脚本家のジェームズ三木さん(78)も「憲法9条のおかげで一度も戦争をしていない。戦争でひとりの外国人も殺していない。これほどの国際貢献がありますか」と毎日のインタビューで声を上げた。
同世代の九大名誉教授・斎藤文男氏(憲法)はこう言う。
「安倍首相は戦後70年の平和が良かったとは考えていないのでしょうね。日本から自主独立の気概が失われたのは、占領軍に押し付けられた平和憲法のせいであり、それを壊すことが『戦後レジームからの脱却』と信じているのです。しかし、戦争への留め金を一度外してしまうと歯止めが利かなくなる。戦争を体験した世代はそれが直観的に分かる。だからこそ、不安と怒りを募らせるのです」
戦後70年の平和は悪だったのか。それともにわかに出てきた暴論はアベノミクスのメッキが剥がれた後の経済無策を隠す目くらましなのか。
安倍の本音はおそらく両方だ。バブルを起こし、人気取りをして、危機を燗り、戦争へ突入する国づくりをする。国民は気付かぬうちに自由が奪われ、戦争協力体制が築き上げられていく。その手法はまさに詐欺師のやり囗だ。この意味でも、安倍の頭の中をじっくり調べる必要があるのである。
日刊ゲンダイ 2014年5月28日版
スネ夫にボコボコにされているジャイアンを助けようと、のぴ太が駆けつける-。集団的自衛権の行使を必要だと訴える安倍首相の想定をドラえもんに置き換えると、こんな具合になるだろうか。物語の中で、シャイアンは無敵のキャラクターだ。スネ夫が勝てる相手ではないし、そもそもケンカを吹つかけられたりはしないだろう。それでも”安倍のび太”は、「こうした事態は机上の空論ではない」「そんなことはない、と誰が言い切れるのか」と危機を煽るのだ。
安倍政権がきょう(27日)の与党協議で示す15事例を見ると、考えられないレアケースが盛り込まれているのが分かる。米国への弾道ミサイル攻撃や米本土の武力攻撃だ。作家の高村薫氏は、毎日新聞のインタビューで、「世界のどこに世界一の軍事大国・米国を攻撃する国があるんですか。その米国を日本が守る?そんな事態が本当に起こると思っているのか」と指摘している。その上で、「すべて安倍さんたちの妄想としか思えません」と断じた。
さらに、「憲法は時代を超えて私たちの思考の基礎となるもの。その時々の人が解釈するものを憲法とは呼びません。解釈改憲こそ妄想の最たるもの」「中国との関係悪化にしても、(中略)本来、日本の外交努力で解決できる問題のはずでこれも妄想です」と強調している。
国民も妄想に引きずり込む
広辞苑によると、妄想とは、「根拠のない主観的な想像や信念。統合失調症などの病的原因によって起こり、事実の経験や論理によっては容易に訂正されることがない」とある。周囲は「そんなバカな」と思っても、一度刷り込まれると変えることができない。厄介な病気というわけだ。
安倍は15日の会見で、赤ん坊を抱える母親が描かれたボードを前に。「紛争国から逃れようと
しているお父さんやお母さんやおじいさんやおぱあさん、子どもたちが乗った米国の船を私たちは守ることができない」と言った。これも、まあ、あり得ないケースだ。
普通だったら、紛争に発展する前に逃げている。政府も国外脱出を促すだろう。いったい、な
ぜ、民間人が米国の船に乘っているのか、あるいは乗らなければならなか
ったのか。
元首相の村山富市氏は講演で「現実にはあり得ない。あるがごとく想定させて解釈改憲をたくらんでいる」と批判した。政府が用意した事例は、すべて安倍たちの妄想なのだ。国民もそこに引きずり込み、同じ妄想を抱かせようとしている。なんともおぞましい姿ではないか。
「守れない国」が他国のケンカを買う矛盾
そもそも日本が他国の戦争に協力できるという発想からして間違っている。作家の半藤一利氏
は、毎日新聞のインタビューで、「日本は地政的に”守れない国”なんです。海岸線はアメリカより長く、真ん中に山脈が走るため逃げる場所もない。だからこそ日本は戦争をしてはいけない」と持論を展開。「守れない国は、集団的自衛権なんて他人のケンカを買ってはいけない。海岸線に原発が何十基もあるんです。どうやって守りますか」と疑問を投げかけていた。いたってまっとうな疑問である。
だが、妄想に駆られた人物は、考えを改められない。臨床心理士の矢幡洋氏は、「リーダーに妄想癖があるような組織は非常に危ない」とこう警告する。
「厄介なのは、自分の存在は重要であるという過大な自己評価と、いつ攻撃されるか分からないという不安定な精神を持っているケースです。ハタから見れば、そんなに大した人物だとも思えないのに、『自分は狙われている』『攻撃されている』と考える。こうした被害妄想を抱え、いますぐ何とか手当てをしなければ危ないと思い込むようになれば、焦燥感が膨らんで冷静な判断はできなくなります」
安倍は、憲法9条から憲法96条に狙いを変え、それも難しいとなると解釈を変える暴挙に出た。障害を避けて裏囗、抜け道を探し、大急ぎで戦争体制を整えようとしているのだ。病状はかなり深刻である。
小選挙区制が乱造する小粒な保身政治家
もともと安倍は思考が単純だ。立正大教授の斎藤勇氏(心理学)は、「物事を深く慎重に考えるのが苦手で、うまくいかないと体調を崩してお腹が痛くなり、調子に乗るとイケイケドンドンになる。深謀遠慮ができない政治家」と分析する。短絡的で思慮が浅いのだ。そんな人物が妄想に取りつかれ、狂った道を突き進む。今の日本は、とんでもない方向に向かっている。
昔の自民党には、首相を糺(ただ)す御意見番がいた。ときの政権が間違った方向に進もうとすれば、くぎを刺す。後藤田正晴や野中広務といった長老が、大所高所からあるべき道を説いたものだ。
残念ながら今の自民党にそんな重鎮はいない。加藤紘一元幹事長は日本共産党の機関紙「赤旗」で、安倍の集団的自衛権行使を「徴兵制につながる」と批判していたが、犬の遠吠えだ。真っ正面から安倍に意見できないのだから情けない。
政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「かつての自民党は主流派と反主流派の主導権争いが活力につながっていたものですが、いまは選挙を恐れて誰もモノを言わなくなった。一枚岩といえば聞こえはいいが、自由で闊達な言論が失われたのです。元凶は小選挙区で、選挙区に1枠しかない公認を与える党中央に対し、それぞれの議員は逆らえなくなった。大事なのは自分の議席を守ること。国民のことは二の次三の次です。政治家は小粒になり、党にも勢いがなくなった。それでも国会は自民党の1強多弱なのですから、政治状況は絶望的です」
首相の病気は明らかなのに、だれもそれを止められない。この国は狂っている。
72年見解 「容認」と曲解 集団的自衛権は禁止、結論
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014052302000113.html
憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を目指す安倍政権は、限定的に行使が認められると主張する根拠として「必要最小限度」の自衛の措置を説明した一九七二年の政府見解を持ち出している。しかし、七二年見解は、日本が武力攻撃された場合の自衛権を認め、集団的自衛権の行使を禁じると結論づけた。政権は「必要最小限度」に集団的自衛権の一部が含まれるとみなして、日本が武力攻撃されなくても武力を使えると解釈し、結論をひっくり返そうとしている。
安倍晋三首相は十五日、自らの有識者懇談会から集団的自衛権の行使容認を提言する報告書を受け、容認を検討する考えを表明。報告書が七二年見解を引用し「『必要最小限度』の中に集団的自衛権も含まれる」と提言したことに「検討を進める」と解釈改憲への意欲を示した。
だが、七二年見解の「必要最小限度」は全く違う意味で使われている。
七二年見解は、憲法は武力行使を禁じた九条の下でも、自衛の措置は禁じていないことを打ち出した。「外国の武力攻撃で国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される」事態になった場合に、必要最小限度の範囲で認めることを明記している。
つまり、武力行使は日本が攻撃を受けて、初めて必要最小限度で認められるという意味だ。自国が攻撃されなくても武力を使う集団的自衛権は「憲法上許されないといわざるを得ない」と結論づけている。
安倍政権は「必要最小限度」に集団的自衛権の一部も含まれると解釈し「憲法上許されない」との結論も「認めるべきだ」に変えようとしている。だが「外国の武力攻撃」という前提が抜け落ち「必要最小限度」の意味は変質する。
首相や自民党幹部は、七二年見解を持ち出す前には、最高裁が「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置は禁じられていない」との判断を示した五九年の砂川事件判決を行使容認の根拠にしようとした。
しかし、公明党が「判決は個別的自衛権を認めたものだ」と反発したため、七二年見解を持ち出した。
弁護士の阪田雅裕・元内閣法制局長官は「七二年見解の『必要最小限度』は、集団的自衛権の行使とは前提が全く違う。『必要最小限度』という言葉がたまたま使いやすいので曲解しているが、論理が全く通らない」と批判している。
<1972年の政府見解> 政府が「集団的自衛権と憲法との関係」と題し、72年10月14日に国会提出した資料。行使は憲法上禁じられているとの解釈が確立された文書と位置づけられている。72年見解を簡略化した形で81年には「許容される自衛権の行使は、わが国を防衛する必要最小限度の範囲にとどまるべきで、集団的自衛権の行使はその範囲を超え許されない」との政府答弁書もつくられた。
現代版「治安維持」体制へ着々~
共謀罪、盗聴法改悪、特定秘密保護法
(東京新聞)【こちら特報部】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014051502000170.html
安倍政権は解釈改憲による集団的自衛権の行使容認へ一直線だ。この動きと並行して、市民の異議申し立てを封じる「治安維持」体制づくりも着々と進んでいる。昨年末に成立した特定秘密保護法に続いて、通信傍受(盗聴)法の改正や共謀罪の新設、資産凍結法(仮称)の検討も浮上している。いずれも、早ければ、今秋の臨時国会に提出される可能性がある。
(出田阿生、上田千秋)
集団的自衛権 行使容認と一体
「最悪」のケースを想定すると、次のようなシミュレーションが成り立つ。
二〇××年。集団的自衛権の行使が容認され、中東で展開する米軍の作戦に自衛隊の参加が決まった。ある市民団体はそれに抗議する方法を討議していた。
あるメンバーが冗談交じりに「国会近くの壁に『戦争はイヤだ!』つてペンキで書いたら、国会議員がびっくりするかもね」と話した。美大を卒業したメンバーが「絵もつけるよ」と言い始め、盛り上がった。
言い出しっぺのメンバーは、会合に来られなかった仲間に電話して「こんなやりとりがあってさ」と話した。すると翌日、会合の出席者の元に警察が来た。
「国会近くの壁に落書きする計画を立てた、建造物損壊罪の共謀容疑です」
共謀罪が施行され、懲役四年以上の刑罰がある六百以上の犯罪に適用されることになっていた。通信傍受法改正で盗聴可能な犯罪の範囲が広がり、手続きも簡略化されていたため、メンバー同士の会話を警察に盗聴・録音されていた。
二〇××年。ある週刊誌の編集会議で、原発への潜入ルポ企画が話し合われていた。部員の一人が作業員として潜入し、「テロ対策がどう徹底されているか調べよう」と提案した。他の作業員からも、情報を集めることで一致した。
すぐさま、警察がやって来て「秘密保護法違反容疑がかけられている」と、編集者に告げた。秘密保護法では「テロ防止のための原発関係施設の警備にかかわる情報」も特定秘密に指定されうる。だが、警察は「何の特定秘密に触れるのかは具体的には言えない」と繰り返した。通信傍受法の改正で、会議室には盗聴一器が仕掛けられていた。
「戦争ができる国を目指す安倍政権は、政府批判を抑え込むために秘密保護法を成立させた。さらに自民党が長年もくろんできた共謀罪法案が再浮上。盗聴範囲の拡大と、その実施の簡略化を目指す警察も相乗り一しようとしている」
併せて国民を監視 資産凍結法も検討
日本弁護士連合会の共謀罪法案対策本部事務局長を務める山下幸夫弁護士は、現状をこう解説する。
犯罪の計画を話し合っただけで罪とするのがヽ共謀罪だ。これに通信傍受法改正(盗聴法改悪)が加わり、部屋に盗聴器を仕掛ける室内傍受が可能になれば、捜査機関か秘密保護法違反や共謀罪違反で、市民を取り締まりやすくなる。
見逃せないのは秘密保護法には、未成立の共謀罪を先取りする項目が含まれている点だ。公務員らが特定秘密を他人に漏らしたり、メディアなどが公務員らに働き掛けて特定秘密を得ようとしたりした場合、実際に情報を聞く前の「共謀」段階で取り締まれるようになっている。
恣意的運用 物言えぬ社会
外圧を口実に密告も奨励
先に挙げたシミュレーションを現実にしかねない三つの法律(法案)の現状はどうなっているのか。
秘密保護法は昨年十二月、強行採決で成立した。今年十二月まで一年以内の施行が決まっているが、問題は山積している。
まず、法が適正に運用されているかを監視する組織づくりが進んでいない。情報保全諮問会議、保全監視委員会、独立公文書管理監、情報保全監察室の四機関のうち、できているのは外部の有識者でつくる情報保全諮問会議だけだ。
他の三機関は官僚中心になるとみられており、チェック機能や中立性については大いに疑問だ。秘密の対象になる防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の四分野で、具体的に何か秘密になるかなど、運用基準の策定もこれからだ。
共謀罪については、政府は二〇〇三年以降、三回にわたって新設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を国会に提出したが、最終的に廃案となっている。
日本の刑事法は、実際に犯罪が実行されて初めて処罰されることが原則。ところが共謀罪は、実行前に話し合いをしただけで処罰される可能性がある。法案提出の動きは、現在もくすぶっている。政府は昨夏、来日した「金融活動作業部会」(FATF)の使節団に共謀罪を含めたテロ対策の法整備を進めると伝えた。FATFは経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に構成し、テロ資金の根絶を目指す組織だが、この「外圧」を囗実に導入が図られかねない。
「共謀」という実行行為がなく、物的証拠も存在しない行為を含む秘密保護法や共謀罪(法案)をどう機能させるのか。ここで想定されるのが、通信傍受(盗聴)の大幅な拡大だ。
現行では、○○年に施行された通信傍受法で電話やファクス、電子メールの傍受が認められるのは
①薬物犯罪
②銃器犯罪
③組織的殺人
④集団密航
―の四種類に限られる。NTTなどの通信事業者が立ち会い、通信内容は記録して裁判官に提出しなくてはならない。
しかし、法制審議会の特別部会に法務省が先月示した試案は、対象犯罪に放火や詐欺、窃盗、組織性が疑われる殺人などを追加して十四にまで増加。しかも通信事業者の立ち会いは不要としている。組織性の有無を判断する権限を捜査側が握り、第三者の目もなくなるとなれば、恣意的に運用される危険性は大きい。
取り締まりのためにもう一つ欠かせないのが、密告の奨励だ。、共謀罪を一部先取りした秘密法の二六条には「行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を軽減し、または免除する」との規定がある。
気になる動きはそれだけではない。政府はテロリストと指定した人物の資産を凍結できる資産凍結法(仮称)の検討を進めている。二〇年の東京五輪開催に伴うテロ対策をお題目としているが、「テロリストの定義によっては、政府の方針に反対する市民団体や労働組合が標的にされる恐れもある」(山下弁護士)。
民主主義と真逆の方向
治安維持に向けた法整備の進行は、安倍政権の集団的自衛権の行使容認と裏表の関係だ。山口大の纐纈(こうげつ)厚副学長(政治学)は「戦後の日本社会が求めてきた民主主義国家、開かれた市民社会とは真逆の方向に進みかねない」と懸念する。
「国際社会から信頼されることを軽視し、戦後レジーム(体制)からの脱却を掲げる安倍政権は、日本の国家システムを根本から変えようとしている。高度な国防国家をつくるために、共謀罪や通信傍受法改正が不可欠だと考えている」
「あくまで廃止法案」「少しでもマシに」
秘密法で問われる野党
(東京新聞)【こちら特報部】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014052402000160.html
希代の悪法たる特定秘密保護法は十二月にも施行される。あくまでも廃止を目指すのか、よりましなものに変えていくのか。「多弱」野党が試行錯誤を続けている。焦点は、秘密指定の妥当性などをチェックする政府内の「第三者機関」と、国会の監視機関のあり方だ。民主党と日本維新の会が、公正取引委員会のように独立した第三者機関の設立を目指せば、共産党などは廃止法案にこだわる。
(上田千秋、出田阿生、佐藤圭)
第三者機関「独立性」甘く
民主党の後藤祐一衆院議員らは二十三日午後、秘密法を担当する森雅子内閣府特命担当相と国会内で会い、政府の第三者機関に関する野党七党連名の申し入れ書を手渡した。
七党のスタンスは、自民、公明両党との修正協議に応じた維新とみんなの党、反対した民主と社民党などバラバラだ。それでも共同歩調を取っているのはなぜか。与党が秘密法の成立を強行した昨年の臨時国会から説き起こしたい。
安倍政権が臨時国会終盤で泥縄式に持ち出した「第三者機関」は、内閣官房の「保全監視委員会」、内閣府に置かれる「独立公文書管理監」と「情報保全監察室」、有識者でつくる「情報保全諮問会議」と四つもある。野党が申し入れで取り上げたのは情報保全監察室だ。
申し入れに加わらなかった共産党を含む野党八党の秘密法担当者は、四月中旬から週一回のペースで協議を重ねてきた。議論を引っ張る民主、維新の関心事が保全監察室なのだ。
民主党は臨時国会で、対案として「情報適正管理委員会設置法案」などを提出し、継続審議となっている。同委員会は、公正取引委員会と同じ独立行政委員会を内閣府の外局として設置する。一方、維新も、独立行政委型の「情報保全監察委員会」設置法案を準備している。
与党とみんな、維新との修正協議で、秘密法の付則(九条)に「独立した公正な立場で検証、監察する新機関の検討」を加えた。維新は、内閣官房の保全監視委を「独立性が担保されない」と批判。菅義偉宣房長官が参院採決直前、内閣府に「情報保全監察室」も設けると答弁した。維新にとっては、保全監察室こそが「第三者機関」なのだ。
「法律か政令か」7党で申し入れ
ところが、現段階の政府案では、保全監察室は、二十人規模の省庁出身者による身内のチェック機関にすぎない。独立性を担保するには、現行の内閣府設置法などに基づく政令ではなく、新たな立法措置が必要になるとみられているが、政府側は「検討中」と明言を避けている。
冒頭の申し入れでは三十日までに、新たな立法措置を講じるか否かの回答を求めた。後藤氏は「法律か、政令かをはっきりさせてくれ、という申し入れた。この点は、秘密法への賛否が違っても共有できる」と説明する。
今国会の会期末が来月二十二日に迫る中、民主と維新は、政府から十分な回答が得られなければ、第三者機関の設置法案を共同提出する構えだ。後藤氏は「役人は政令でごまかしたいだろうが、そうはいかない」と意気込む。
しかし、共同歩調はここまでだ。社民党の福島瑞穂参議院議員は、第三者機関の設立法案について「今よりは、よくなる」と理解を示すが、「廃止法案を提出したい」。共産党の仁比聡平参議院議員も「野党で廃止法案を」と呼びかける。
国会の監視機関をめぐっては二十三日、与党と維新、みんな、結いの党が国会内で協議した。与党側によると、維新とみんなは、「情報監視審査会」を衆参両院に常設する与党案を前向きに検討する意向だ。
民主や維新が唱える独立行政委員会型の組織ができたとしても、それが実効性のあるチェック機関になるかどうかは分からない。
公取委や、同じく独立行政委の原子力規制委員会が調査や監督の対象としているのは、原則として外部の民間企業。政府内にできる組織が「身内」をきっちり調べられるかどうかは不透明だ。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「少なくとも、人事の独立が不可欠になる」と提言する。
「各省庁からの出向者を充てるのでは意味がない。いずれその省庁に戻ることが決まっていると限界があるし、国民からも信頼されない。『こうゆう組織をつくったから大丈夫』というチェック機関を作るのは簡単ではないが、形だけきれいに見せるのではなく、効果的な監視活動ができるかどうかが問われている」
一方、衆参両院に「情報監視審査会」を常設する与党案も問題が多い。
審査会は、衆参それぞれ議員八人で構成。政府から毎年、秘密の指定や解除などの状況について報告を受ける。指定が不適切だと判断すれば、解除できる勧告権も持たせる。
ただ、政府が秘密の提出を拒んだ場合、強制的に開示させる権限がない上、委員が議席数に応じての割り当てになれば、衆参とも与党が多数を占めることになる。専修大の山田健太教授(言論法)は「せめて与野党で半分ずつにしないと、監視どころか単なる追認機関になってしまう。監視機関が機能する前提となるのは、人事、組織、資金面で政府から独立していること。秘密法が成立した時は大混乱しただけに、今回は十分に議論をしなければいけない」と訴える。
衆院では与党が三分の二の議席を抑えている現状で、野党が独自案を提案するにせよ、与党と協議するにせよ、立ち位置は難しさを増しているる。安倍晋三首相は最近、もはや野党は取るに足りないと考えてやゆしているのか、「責任野党」という妙な言葉を使い始めた。「何でも反対ではなく、建設的な提案をしてくれる党」を意味する。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「責任野党などという言葉は存在しない。野党にあるのは、与党を監視し、問題点を突き付けて是正させる責任だけだ」と強調する。だが、現実はそうなっていない。伊藤氏は「秘密法が成立した以上、対抗手段の一つとして法案を出す意義はある」と民主や維新の動きに一定の評価を与えるものの、やはり目につくのは野党のだらしなさである。
「秘密法は、官僚主導政治をより一層強める。反対の姿勢を明確にしないといけないのに、維新はあいまいな態度に終始し、官僚政治打破を党是とするみんなも賛成に回った。存在意義がますます薄れた」
一橋大の中北浩爾教授(政治学)も「安倍首相の考え方に近い野党も多く、積極的に対決する姿勢に乏しい。ブレーキ役を期待するのは難しい」と話す。
秘密法に反対する市民団体の関係者はどうみるか。「秘密保護法全国投票の会」の野田隆三郎事務局長は「維新やみんなは安倍政権寄りだし、民主党は政権にいた時、自民党と同じようなことをやっていた。野党のどの案にも興味はない。いくら修正しても、秘密法の本質的な危険は防げない」と断じる。
とはいえ、秘密法を廃止に追い込むのは極めて難しい。少しでも国民の権利が守られるよう現実的な路線をとるべきなのか。
NPO法人「情報公開市民センター」の内田隆氏は「官僚に情報を独占されたら、国会議員は仕事にならない。秘密法は国会議員の存在基盤を揺るがす。与党も含めて、危機感を持って対峙するべきだ」と前置きした上で、「秘密法の廃止が目標であることに変わりはないが、施行を止めるのが難しい以上、独立した第三者機関の設置は欠かせない」と指摘する。
前出の三木氏も「現実的な対応」を促す。「法律ができてしまった今、『嫌だ』と言っているだけでは良い方向には進んでいかない。秘密の監視だけではなく、むやみに秘密が増えないように政府の活動そのものを監視する仕組みづくりを含めて、正面から議論をしていく必要がある」
2014/05/26
特定秘密保護法で警察権限が拡大し、日本は警察国家になる?
ジャーナリスト青木理氏講演
(IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/141909
http://youtu.be/D6Oc79Z6jDs
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狂人、曰う「戦後70年の平和は悪である」・・(;`O´)o
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