◆【小出裕章ジャーナル 第36回】
汚染水完全ブロックの嘘...私は 大変恥ずかしく思います...
東京オリンピックの安倍首相のプレゼン
http://youtu.be/9pCDdQj4BUs
聞き手:
2013年9月8日、アルゼンチンで行われた国際オリンピック委員会の総会で2020年のオリンピックが東京で開催されることが決まりました。福島第一原発から漏れ出ている高濃度汚染水についてたくさんの質問が出ました。その場で、安倍総理がいろいろなことをおっしゃいましたが、このことについて小出さんにお伺いしたいと考えています。
「汚染水による影響は福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメールの範囲内で完全にブロックされている。」と安倍総理はおっしゃいましたが、これは科学的見地から見ていかがでしょうか?
小出さん:
そんなことあり得るはずがない。皆さん、わかっていただけないでしょうか。海というのはみんなつながっているのです。汚染はもちろん、福島第一原子力発電所の敷地から流れてきているわけですけれども、海に流れこんだ汚染は太平洋全部、そしてさらには地球全部の海に結局は流れて出ていってしまうのです。
要するに、その時に薄まっていくというだけであって、どこかで完全にブロックされるなんてありうる道理がありません。
聞き手:
なるほど。漏れ出さないように、港湾内で遮る作業を一応はしているわけですよね?
小出さん:
スクリーンというものを下ろしているのですけれども、海というものは、満ち引きもあるわけですし、波もあるし、海流もあるし、そんなスクリーンで留めることが出来るはずがない。海水はもちろん港湾内と港湾外を出入りしていますし、汚染はもちろん海へ流れていっているのです。
聞き手:
完全にブロックされているというのは間違いということですか?
小出さん:
間違いというより嘘ですね。
※福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の核種分析結果
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/
聞き手:
福島第一原発というのは、もともと原発から出た温排水を遠くの外海に出るように作られているのではないですか?
小出さん:
福島も含めて、原子力発電所の温排水はほとんどの場合、海岸近くから放水しています。
聞き手:
ということは、排水路が外についているわけではないのですか?
小出さん:
今、六ケ所村につくられている六ケ所再処理工場というところは、膨大な放射性物質を流さざるえない。はじめからそういう設計になっていて海岸線では到底流すことができないので、沖合3キロまで排水管を引っ張って、確か水面下43メートルだったと思いますけども、そこから流すという設計になっています。
原子力発電所の場合には、それぞれ膨大な海水を流しているのですけれども、ほとんど場所では海岸の近くで流しています。福島(第一原発)もそうです。
聞き手:
小出さんは安倍さんが言ったことはウソだ、とおっしゃいましたが、こういうことも言っておられます。「また、わが国の食品や水の安全基準は世界で最も厳しい、被ばく量は日本のどの地域でもその100分の1程度だ。健康問題については今までも現在も将来も全く問題ない、ということをお約束いたします。抜本解決に向けたプログラムを、私が責任を持って決定し、すでに着手しております」。
こういう発言についてはどう思われますか?
小出さん:
ひたすら呆れますし、こんな軽々しい発言をする人を一国の首相に持っていることを私自身は大変恥ずかしく思います。
残念ながら、福島第一原子力発電所の事故は起きてしまいました。もちろん、その発電所は自民党政権が安全性を確認したといって認可した発電所なのであって、自民党政権の中心メンバーで、トップにいる安倍さんに責任があるのであって、そのことをまず謝罪して責任をとることが、本当は必要なことだと思います。
2年半経っても、事故自身を収束できないまま今日まできていて、ですから汚染水問題がみんなの問題になるということであって、安倍さんなんかがどんなに責任を取るといっても、事故自身を収束できなかったというのが事実として目の前にあるのです。
聞き手:
小出さんは、汚染水が漏れているから、タンカーで新潟(柏崎刈羽原発)まで運ぶべきだとか、5月の時点では遮水壁をつくらなあかん、という話をされているのですが、あの時は何も漏れていないということで動かなかった、という経過がありましたよね?
小出さん:
あの時はすでにピットと呼ばれている水路が敷地の中にあって、海岸に突き出している部分からジャージャーと汚染水が外に漏れているのが見えたのです。それで慌てて割れている部分だけを塞いだのです。
※汚染水、壁面の亀裂から海へ 流出場所を初確認 2号機(朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104020262.html
そうしましたら、多くのマスコミも汚染水問題は方(かた)がついたと思ってしまったのだと思いますが、取り上げることがなくなってしまいました。しかしピットにしろ、トレンチにしろ、原子炉建屋、タービン建屋、地下のところ、要するに地面の下に埋まってしまっていて、仮に、割れがあっても見えないというだけなのです。
聞き手:
もともと海を埋め立ててつくっていますよね?
小出さん:
そうです。海を海面のところまで大地を切り下げていってですね、建てているのですが、要するにコンクリートの構造物ですので、割れないコンクリートの構造物なんてこの世には存在しないのです。
ましてや、地震に襲われていますので、そこら中に割れがあるはずだし、もちろん、液状化も起きているはずなのです。当然、穴があいて、汚染水が当時からずっと漏れていたのです。そのことを皆さん、知らん顔しながら来て、今になって汚染水問題が大変だと言っているわけですけれど、私から見ると何を今さら言っているのですか、と思ってしまいました。
聞き手:
7月22日、つまり、参院選の翌日に発表していますよね?
小出さん:
汚ないやり方ですね。
※汚染水流出:東電、公表2日前に把握 復興本社にメール(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20130726k0000m040085000c.html
聞き手:
今回の全くブロックされているというウソ、こういうことを世界中に発信してしまったわけですよね? これ、あとで責任と問われたらどうやって責任を取るんでしょうね?
小出さん:
必ず、責任を問うて欲しいと思いますし、安倍さんが責任を取るべきだと思います。
※提言された原発事故予防対策を拒否し続けてきた
http://hibi-zakkan.net/archives/18210279.html
聞き手:
安倍さんの一連の見解は、アルゼンチンではなく、福島の人たちに向けて決意を述べるべきだと思いますが、いかがお考えですか?
小出さん:
おっしゃる通りです。今も福島第一原子力発電所の事故で、10万人ではきかない人が苦難のどん底に落とされてしまって、2年半経っても何の改善もされない状況なのですね。
まずは、安倍さんが何かそのことに対して何かきちっとしたプログラムがあるというのであれば、それこそきちんと説明しないといけないのであって、そんなことをしないまま、世界には何かプログラムを持っているかのようにいうわけですね。本当に軽々しい発言だな、と私は思います。
小出裕章氏「汚染水は制御不能。安倍首相の発言は恥知らずだ」(日刊ゲンダイ)
http://gendai.net/articles/view/syakai/144541
「放射能は完全にブロックされている」「コントロール下にある」――。IOC総会で、安倍晋三首相は福島第1原発の汚染水問題について、こう豪語した。首相の言葉はすなわち、国際公約になったわけだが、現地では今も1日400トンもの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込み、海に漏れている可能性も否定できない。安倍首相の言う「完全ブロック」とは程遠い状況なのだが、原子力の第一人者はどう見ているか。
<そんなに安全なら自分で現場に行けばいい>
――安倍首相のIOC総会での発言を聞いて、どう思われましたか?
「ほとほと呆れました。一体何を根拠にコントロールできていると言っているのでしょうか。冗談ではありません。福島原発は今、人類が初めて遭遇する困難に直面していて、想像を絶する状況が進行しているのです。そもそも、原発政策を推し進めてきた自民党政権は、原発を安全だと説明してきたが、安全神話は事故で崩れた。それなのに『コントロール』なんて、よく言えたもので、本当に恥知らずです。そこまで言い切るなら、安倍首相自らが福島原発に行って収束作業に当たればいいと思います」
――汚染水の現状をどう見ていますか。
「これは予想できたことなのです。事故が起きた福島原発では溶けた炉心の核燃料を冷却する必要があります。水を入れれば核燃料に触れた水の汚染は避けられない。福島原発は水素爆発で原子炉建屋の屋根が吹き飛び、地震と津波で、施設のあちこちが壊れている。汚染水は必ず外部に漏れてくる。それが原子炉建屋やタービン建屋の地下、トレンチといった地下トンネルにたまり、あふれ出る。誰が見ても、当たり前のことが起こっているのです」
――小出さんは2011年3月の事故直後から、汚染水はタンカーで移送すべきだと提案していました。
「漏れた汚染水が原発の敷地内にたまり続け、今のように周辺からあふれるのは明白でした。それなら一刻も早く汚染水を漏れない場所に移さないといけない。そこで数万トンの容量があるタンカー移送を提案したのです。新潟県にある世界最大の原発、東京電力柏崎刈羽原発には廃液処理装置があります。柏崎刈羽原発は稼働停止中ですから、そこに運んで廃液処理するべきだと考えたのです」
――しかし、提案は採用されなかった。
「汚染水を海上輸送するので、地元漁協はもちろん、国際社会の反発が予想されるし、受け入れる新潟県の反対もあったのでしょう。東電が柏崎刈羽原発に放射性廃棄物がたまり続けることを避けたかったのかも知れません。私は2011年5月に原子炉建屋の周辺に遮水壁を設けることも提案しました。地下水の汚染を防ぐためです。しかし、東電側は『カネがかかり過ぎて6月の株主総会を乗り切れない』と考えたようで、結局、何もしなかった。今になって遮水壁、凍土壁を設置すると言っていますが、バカにしているのかと思いますね」
<汚染水は許容値の300万倍、制御は不可能>
――政府の汚染水対策の柱は「凍土壁」と、汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去装置「ALPS」の増設・改良です。「ALPS」が稼働すれば状況は改善されるのですか。
「動かさないよりも動かした方がいいに決まっている。しかし、汚染水問題の根本解決は困難と言わざるを得ません。なぜなら、汚染水の濃度があまりに高いからです。汚染水に含まれている主な放射性物質はセシウム137、ストロンチウム90、トリチウムの3つだと思います。この実験所をはじめ、国内の原発でストロンチウム90を廃液処理する場合、法令上の基準値は1リットル当たり30ベクレル以下です。しかし、先日、福島原発の地上タンクから漏出した汚染水は1リットル8000万ベクレルと報道されていました。つまり、許容濃度にするには、300万分の1以下に処理しなければならない。私は不可能だと思っています。さらに、トリチウムは三重水素と呼ばれる水素ですから、水そのもので、ALPSで除去することはできません」
――凍土壁は効果ありますか。
「私は遮水壁は鉄とコンクリートで造るべきだと思っています。耐久性があり、最低でも10~20年は持つからです。しかし、造るのに時間もカネもかかる。待ったなしの状況を考えれば、急場しのぎの凍土壁も造った方がいい。ただ、凍土壁が冷却に失敗したら地下に巨大な穴が開く恐れがある上、何年維持できるのか分からない。最終的には、やはり、凍土壁の周囲を鉄とコンクリートの遮水壁で覆う必要があると思います」
――小出さんは最近、水を使った冷却をやめるべきと言っていますね。
「水を使い続ける限り、汚染水は増え続ける。今のような状況は何としても変えなくてはなりません。重要なことは冷やすこと。つまり、冷やすことさえできれば、手段は問わないわけです。東海原発の原子炉のように炭酸ガスを使って冷やす例もあります。ただ、ガスだと今度は汚染ガスの問題が出てくるでしょう。そこで、金属を使うことが考えられます。仮に(融点の低い)鉛などを炉心に送ることができれば、最初は熱で溶けて塊になるものの、塊が大きくなるにつれて次第に熱では溶けなくなる。その後は自然空冷という状態になると思います。ただ、これが確実に有効な対策かと問われると正直、分かりません。金属の専門家などを集めて知恵を絞るしかありません」
<チェルノブイリのように石棺にするしかない>
――福島原発はどうすれば廃炉できるのでしょうか。
「(1986年に事故を起こした)チェルノブイリ原発のように石棺しか方法はないと思います。ただ、チェルノブイリ原発も事故から27年経った今、コンクリートのあちこちが壊れ始めている。福島原発は事故を起こした原子炉が4基もあり、石棺にするにしても、使用済み核燃料プールにある燃料棒は必ず取り出す必要がある。その燃料棒の取り出しに一体何年かかるのかも分かりません」
――簡易型タンクで急場をしのぐだけの東電の後手後手対応にも呆れます。
「現場は猛烈に放射線量が高く、一帯は放射能の沼のようになっていると思います。その中で、貯水タンクを(壊れにくい)溶接型にしたり、漏出がないかどうかを24時間体制で監視すれば、確実に作業員の被曝(ひばく)線量が増える。つまり、作業を厳格にしようとすれば、その分、作業員の被曝線量が増えてしまう。だから、場当たり的な作業にならざるを得ないのだと思います」
――作業員の話が出ましたが、今後、数十年間は続くとみられる廃炉作業を担う作業員は確保できるのでしょうか。
「チェルノブイリ原発では、収束のために60万~80万人が作業に当たりました。27年経った今も、毎日数千人が作業しています。原子炉1基の事故でさえ、この状況です。福島は原子炉が4基もある。一体どのくらいの作業員が必要になるのか見当もつきません」
――それなのに安倍政権は原発を再稼働する気です。
「町の小さな工場でも毒物を流せば警察沙汰になり、倒産します。しかし、福島原発の事故では東電はいまだに誰も責任を問われていません。電力会社が事故を起こしても免責になることに国が“お墨付き”を与えたようなものです。だから、全国の電力会社が原発再稼働に走るのです」
▽こいで・ひろあき 1949年東京生まれ。東北大工学部原子核工学科卒、同大学院修了。74年から現職。放射線計測、原子力施設の工学的安全性の分析が専門。「放射能汚染の現実を超えて」(河出書房新社)、「原発のウソ」(扶桑社)など著書多数。
大地震再来ならどうなる? 福島原発で液状化が始まっている!(日刊ゲンダイ)
http://gendai.net/articles/view/syakai/144548
<もともと沼地にたまる汚染地下水>
汚染水の海洋流出対策として、海側には遮水壁を建設中の福島第1原発。だが、この措置だけでは新たな危険を生むと専門家の間で問題視されている。地下水から高濃度の放射性物質が確認された海側一帯は、原発建設時の1960年代に砂岩などで埋め立てられた土地で、もともと地盤が緩い。遮水壁によって敷地内に水がたまると、1~4号機周辺が“液状化”する恐れがあるのだ。
「福島原発が立地するのは、海水から水をくみやすいように、断崖絶壁の土地の崖を切り落とし、低くした地盤です。工事の際、地中の浸透層まで掘ってしまったため地下水がどんどん出てきてしまう。沼地のような状況で、原発を建てるときにも、この問題が指摘されていたのです」(ジャーナリストの横田一氏)
東京電機大理工学部の安田進教授(地盤工学)は、「一般的に日本の原子炉建屋は岩盤の上に立っている。そのため、原子炉そのものが倒れたりすることはないが、周辺の土地に関しては土の性質や状態による」と言う。「福島原発のような埋め立て地は、十分に固めていないと液状化する恐れがある」そうだ。
そこにもってきて、海側に遮水壁をつくったことで、ますます地下水がたまりやすくなり、地盤が軟化しているわけだ。
地震学者は「東日本大震災でM9クラスの地震が起きた以上、いつM8クラスの余震が起きてもおかしくない」と話している。茨城では頻繁に震度4クラスの地震が起きている。原発周辺が浦安のようになってしまったらどうなるのか。配管がグチャグチャになれば、汚染水があふれてしまう。検討中の凍土作戦どころではなくなってしまう。原子炉格納容器の設計に携わっていた元東芝技術者の後藤政志氏はこう言った。
「仮に原子炉建屋やタービン建屋が傾斜したところで、すでにメルトダウンしているし、これ自体は大きな影響を与えないでしょう。心配なのは4号機の使用済み燃料プールです。使用済み燃料が1500本も残っているし、これが傾いたらアウト。そうならなくても、取り出す計画が振り出しに戻ります」
汚染水問題は何から何まで絶望的になってくる。
#福島 #原発 #4号機 核燃料取出で #放射能 再拡散❢#Fukushima Unit4 #Radiation GonnaSpread☢字幕
http://youtu.be/bBfxgxyQ9HY
2013/09/15
【福井】もう動かすな原発!福井集会(IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/101728
大飯原発4号機の定期検査入りにより国内すべての原発が停止する2013年9月15日(日)、福井県庁横の福井市中央公園で「もう動かすな原発!福井集会」が行われた。実行委員長となった小浜市の中嶌哲演・明通寺住職のほか、秋山豊寛氏・広瀬隆氏・斉藤征二氏など、日本各地から脱原発を願う人々がつめかけた。
■主催 9.15もう動かすな原発!福井集会実行委員会
■詳細 http://genpatuzero.web.fc2.com/pdf/9.15tirasi3.pdf
■内容
12:00~ 文化行事(うたごえ、パフォーマンスなど)
13:00~ 集会
朗読 青田恵子氏(南相馬市からの避難者)「拝啓関西電力様」
開会あいさつ 中嶌哲演氏(主催実行委員長、小浜市明通寺住職)
主な登壇者 秋山豊寛氏(元宇宙飛行士)/広瀬隆氏(作家)/斉藤征二氏(元原発労働者)
参加者からの1分間スピーチなど
14:40~ パレード
http://youtu.be/iQDt5nwJZ18
○●○●○●○●○●
この世から原発が消滅しないかぎり、僕たちは「東京五輪」に歓喜できない(秋葉龍一)
http://akiba1.blogspot.jp/2013/09/blog-post_15.html
五輪開催をめぐって、政府・五輪関係者と市民、市民と市民のあいだで、これほど「温度差」の激しいケースもないだろう。
マスメディアで報じられた「五輪東京開催」に、日本の国民は総じて歓喜で迎えた。
だが、それはあくまでマスメディアの世界の物語である。
はたと、マスメディアを通さない日常の景色に眼を転じれば、そこには歓喜の「か」の字もない。
多くの人は、遠い世界の出来事、という程度しか関心を示さない。
その「関心」のさまは、巨費を投じて製作された一大スペクタクル映画に入り込めず、白けた気分で映画館のシートに身を沈める、というふうである。
それは、かの「3.11」以来のテレビのバラエティを観る気分と似ている。
あれ以来、お笑いタレントのギャグ、ツッコミへの「爆笑」は、その撮影スタジオの世界だけで収斂するようになった。
画面を通じてこちらの視界に入ると、「失笑」をとおりこえ、どこか違う世界の出来事のような、きわめて白けた気分になる。
「原発爆発」「放射性物質拡散」という、すぐれてリアルなスペクタクルと恐怖を体験してしまった僕たちは、全世界を巻き込んでの「歓喜の物語」にも、身近なお茶の間の「お笑いの世界」にも、感応することができなくなったのだ。
あれ以来、多くの市民は、あれ以前の物語の配役でも、世界の住人でもなくなった。
僕たちが心の底からスポーツの祭典に歓喜し、腹をよじって笑い転げるには、あれ以前の物語ではない、まったく新しい物語が必要となったのだ。
そして、その物語のプロローグは、旧い世界の象徴としての原子力発電所の廃絶を描くことから始まるだろう。
そう、僕たちはもう、原発をこの世から消滅させないかぎり、永遠にリアルな歓喜も笑いも得られないのだから……。
◆東京オリンピック、誰が儲かるの?森永卓郎氏(大竹まことゴールデンラジオ)
http://youtu.be/-EWfDVjJTfs
大竹紳士交遊録:森永卓郎氏(経済アナリスト 獨協大学教授)
軽妙なジョークで「オリンピック、メイド服で応援します!!」と
飛ばす、森永氏に「大人になろうよ!」を繰り返す阿川佐和子氏。
聞いてて楽しい、とてもいいコンビですね。
漫才コンビが組めるかも・・・。
内容は、森永氏が実際にオリンピックで誰が利益を
得るのかを真剣に解説しました。
福島原発訴訟で不起訴処分・検察は本当に捜査を尽くしたのか
http://youtu.be/okNOXaDVwnI
ニュース・コメンタリー (2013年09月14日)
福島原発訴訟で不起訴処分
検察は本当に捜査を尽くしたのか
東京電力福島第一発電所の事故をめぐって、被災者らが東京電力の役員ら33人の刑事責任を告発していた事件で、東京地検は9月9日、不起訴処分を決定したが、検察は本気で捜査を行ったのだろうか。
記者会見した稲川龍也東京地検次席検事は十分な捜査を行った結果、嫌疑無し、もしくは嫌疑不十分で、起訴には至らなかったことを繰り返し強調した。
しかし、「十分な捜査」の中身を問われると、一貫して「捜査の内容は明らかにできない」と答えるにとどまり、なぜ強制捜査を行わなかったのか、現場検証は行われたのか、何人の捜査員が投入されたのか、何人の参考人から話を聞いたのか、どのような専門家から意見を聞いたのか、などの質問には、一切答えなかった。
また、今回の不起訴処分では福島で告発された事件が、処分決定の直前に東京地検に移送され、東京地検で不起訴処分が下されるという、不可解な処理が行われた。福島では1万4000人を超える大原告団が組織され、東電の新旧幹部、原子力安全委員会幹部、原子力安全・保安院幹部など合わせて33人を告発したのに対し、東京では戦場アナリストの高部正樹氏らが、当時の菅首相、枝野官房長官、海江田経産大臣ら6人を告発していたほか、ジャーナリストの広瀬隆氏らが東電幹部らを告発しているが、その規模は福島が遥かに東京を上回っていた。にもかかわらず、福島の事件を東京に移送して不起訴処分としたのは、なぜなのか。十分に納得のいく説明がない以上、福島で検察審査会に申し立てされることを防ぐためだったとの批判が出るのは当然だろう。
また、この事件を東京地検では公安部が担当している点についても、その理由を会見で稲川次席検事に問うたところ、捜査の内容に関わることなので、教えられないとの回答だった。
レベル7という未曾有の重大原発事故をめぐる刑事告発に対して、どれだけの捜査を行った結果不起訴処分としたかをまともに説明できない検察のあり方と、刑事事件として告発する以外に事故原因の真の究明が期待できない不毛な制度を引きずったまま一向に改革が行われない日本の司法制度の問題点を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
福島の除染計画 「1ミリ・シーベルト」への拘りを捨てたい
(9月12日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130911-OYT1T01412.htm
避難生活が続く住民の帰還を見据え、効率的な除染を迅速に進めてもらいたい。
東京電力福島第一原子力発電所周辺の除染が思うように進まず、環境省が計画の見直しを発表した。
環境省直轄で除染を実施している11市町村のうち、7市町村で当初予定の来年3月末までに作業を終えるめどが立たないためだ。年内にも市町村ごとに新たな計画を策定するという。
除染対象の土地所有者が各地に避難し、同意の取り付けが難航している。はぎ取った表土などを保管する仮置き場の設置に対し、住民の理解が得られない。仮置き場の汚染土を集約して保管する中間貯蔵施設の建設も見通せない。
こうした現状を考えれば、計画見直しはやむを得ない面がある。環境省は住民に粘り強く説明し、協力を得ていかねばならない。
除染の効率化も欠かせない。表土の削り取りや路面洗浄などの作業に最新機材を投入し、スピードアップを図る必要がある。
今回の計画見直しで、環境省は森林除染の対象を広げた。除染拡大を求める住民の声を受けたものだ。だが、早期帰還のためには、森林の除染は極力、住民の生活圏周辺に限定すべきだ。
大規模に森林除染を行えば、終了時期が見通せず、除染費用は際限なく膨らむ。大量の汚染土の置き場を確保するのも困難だ。草木を広範囲に取り除けば、土砂災害を引き起こす危険もある。
一方、11市町村のうち、田村市では、除染が完了した。楢葉町、大熊町、川内村では今年度内に作業を終える見通しだ。今後は、住民の生活再建を視野に入れたインフラ整備なども進めていくことが求められる。
政府は、住民帰還の目安となる年間被曝ひばく線量を「20ミリ・シーベルト以下」としている。国際放射線防護委員会の提言に沿った数値だ。
その上で、長期的には「年間1ミリ・シーベルト以下」に下げる方針だ。
しかし、住民の中には、直ちに1ミリ・シーベルト以下にするよう拘こだわる声が依然、少なくない。
人間は宇宙や大地から放射線を浴びて生活している。病院のCT検査では、1回の被曝線量が約8ミリ・シーベルトになることがある。
専門家は、広島と長崎の被爆者に対する追跡調査の結果、積算線量が100ミリ・シーベルト以下の被曝では、がんとの因果関係は認められていないと指摘する。
政府は、放射能の正しい情報を周知していくことが大切だ。
(2013年9月12日01時31分 読売新聞)
【994】 読売新聞社説の論評 : 「『1ミリ・シーベルト』への拘りを捨てたい」とはなにか ? / 武田 邦彦
http://youtu.be/Qok_nEwRxbw
【読売新聞社説の論評】 「「1ミリ・シーベルト」への拘りを捨てたい」とはなにか?
http://takedanet.com/2013/09/post_5a43.html
読売新聞が2013年9月12日つけで、「「1ミリ・シーベルト」への拘りを捨てたい」という社説を出した。その論旨は、
「政府は、住民帰還の目安となる年間被曝ひばく線量を「20ミリ・シーベルト以下」としている。国際放射線防護委員会の提言に沿った数値だ。 その上で、長期的には「年間1ミリ・シーベルト以下」に下げる方針だ。
しかし、住民の中には、直ちに1ミリ・シーベルト以下にするよう拘こだわる声が依然、少なくない。
人間は宇宙や大地から放射線を浴びて生活している。病院のCT検査では、1回の被曝線量が約8ミリ・シーベルトになることがある。
専門家は、広島と長崎の被爆者に対する追跡調査の結果、積算線量が100ミリ・シーベルト以下の被曝では、がんとの因果関係は認められていないと指摘する。
政府は、放射能の正しい情報を周知していくことが大切だ。」
としている。社説だから見解は見解として尊重しなければならないが、取材を基本とする新聞社としては「事実誤認」が多すぎて、「自分の意見を通すためには事実を曲げてもよい」としているので、一般人の意見としてはありうるが、大新聞の社説としては頂けない.
このぐらい、事実を無視するなら、社説の最初に「読売新聞は原発の再開を支持しているので、事実は無視します」と断った方がよい.
一つ一つ、検証しよう。
まず「政府は、住民帰還の目安となる年間被曝ひばく線量を「20ミリ・シーベルト以下」としている。国際放射線防護委員会の提言に沿った数値だ。」とあるが、ここは正しくは、次のように書かなければならない。
「日本では事故時における最大の被曝量を1年5ミリ(原子力安全委員会)としており、また事故時の発がん予想数についても規定している。政府の決定は日本国内の正式機関(安全委員会)の決定をないがしろにして海外のNPO(任意団体で国際放射線防護委員会という名前を使っている)に従うのは国民を無視したものだ。」
第二に、「しかし、住民の中には、直ちに1ミリ・シーベルト以下にするよう拘こだわる声が依然、少なくない。」とある。問題は「拘る」という用語だが、1年1ミリは日本の基準で、また日本の一般人の被曝限度として長く使われてきたものだから、それを「尊重する」という用語を使うのが適当だろう.
「法令や基準を遵守する」というのは日本社会の不文律であり、安全な日本を作っている基幹的な道徳だ.それを「拘る」という用語を使うのは不見識である.法令や基準を守りたくない人が法令を守ろうとしている人を非難してはいけない.まして新聞の社説だから見識が無い.
第三点は、「人間は宇宙や大地から放射線を浴びて生活している。病院のCT検査では、1回の被曝線量が約8ミリ・シーベルトになることがある。」としていることだ。
被曝量は「足し算」なので、1)自然からの放射線、2)医療用放射線、3)大気中核実験の放射線、4)原発などの放射線、からの被曝を合計して平均的に1年5ミリになるようにしており、その中で4)が1年1ミリであり、「並列で比較できる」というものではない。
医療用被曝が多いと言うことを強調しているが、CTなどで被曝する場合、「自分の健康を守るという利益」と「CTで被曝する損害」を比較して利益が上回れば実施するという関所がある。これは「正当化の原理」といって専門家ならすべての人が知っているので、読売の論説委員はよほどたちの悪い専門家に聞いたに違いない.
命を守るために患者の足の切断手術が許されるから、他人の足を切断してよいという論理だ。比較してはいけないことを比較して素人を騙す手法だから、これは新聞社としては謝罪するべきだろう.
次に、「専門家は、広島と長崎の被爆者に対する追跡調査の結果、積算線量が100ミリ・シーベルト以下の被曝では、がんとの因果関係は認められていないと指摘する。 政府は、放射能の正しい情報を周知していくことが大切だ。」
というくだりだが、一生の積算線量は100ミリが限度で、人間はおよそ100才ぐらい生きるので、1年1ミリという限度が決まっている意味もある.これは毒物などの摂取の基準の常識で、「将来は被曝しないだろう」という推定はしてはいけない。もしするなら一人一人の被曝管理をしなければならない。
最後の文章「政府は・・・」は、もしこの通りにしたら「政府は自ら決めていた1年1ミリという被曝限度は正しくなかった」としなければならない。
これまでの基準は人間の叡智を結集して1年1ミリと決めていたのだから、それを超える知識を持っているとすると、読売新聞の論説委員は神になったようだ。おそらく論説委員は「健康よりお金」、「他人が病気になっても俺は大丈夫.東京にすんでいるから」ということだろう。
(平成25年9月13日)
【996】 読売社説の"東京的"意味 : 健康とお金、東京の人の健康 / 武田 邦彦
http://youtu.be/VNDaZ6m2cec
【読売社説の“東京的”意味】 健康とお金、東京の人の健康
http://takedanet.com/2013/09/post_b916.html
2013年9月12日の読売新聞が社説で「1年1ミリに拘る人がいる」とした.事故後、2年半を経て、一般人の被曝限度が1年1ミリであることを否定する人はいなくなったが、相変わらず、被曝限度をあげろとの声が絶えない.
読売新聞の社説でも「専門家はもっと被曝しても大丈夫と言っている」としているが、日本の基準を決めたのは他ならぬ専門家だから、専門家が自分で1年1ミリを決めて、その後、御用化して事故の前後で全く違う事を言っていることも判る.
でも、読売新聞が「被曝限度をあげろ」としているのには理由がある。それを考えて見たい.
1)被曝限度をあげても東京に住んでいる自分や家族は大丈夫だ、
2)除染したりするとお金がかかり税金があがるのはイヤだ、
3)世界の基準が1年1ミリだけれど、日本の中だけだからごまかせる。
ということだ。つまり、原理原則はハッキリしていて、「自分、お金」(己金思想)である。これは現代日本の病気といってもよいだろう.自分だけ良ければ良い、お金がもらえればよい、損したくない、他人の健康より自分のお金という思想が「己金思想」である。昔から中国にはあった思想だが、今は東京の人がその病気に感染し、特に知識人に多い.
このことを「冷静版」と「感情版」の二つで整理しておきたい。
まず「冷静版」だが、一般人の被曝限度が1年1ミリであることは実は事故の当初から専門家は知っていた。それでも「武田は1年1ミリなどと意味の無いことを言う」と言ったり、週刊新潮が「1年1ミリ男、武田邦彦」というバッシング・シリーズを掲載したには理由があった。
「福島を除染して1年1ミリにするには金がかかる。東京に住んでいて被曝する事は無いのだから、金は出したくない」ということだ。この考え方と論理矛盾は原発政策の根源をなしている。
「原発は安全ですか?」という問いには「安全」と答え、「なぜ、東京の電気を新潟で作るのですか? アメリカも東海岸に、フランスも消費地の近くに原発があるのに」と聞くと「危険だから」と答える。
この論理矛盾が平然と通るところに、現在の日本の病根(誠実な社会ではなくなった)の一つでもある。読売新聞の社説はこの「冷静版」にあたる。日本の経済のために被曝で病気になる数1000人は切り捨てる、東京には影響はないというものだ。
次に「感情版」である。週刊新潮が私のバッシング・シリーズを掲載したとき、記者から午前6時という早朝に電話があった。私が「従来から一般人の被曝限度は1年1ミリだからそれを守りたい」と言うと、突如として記者は電話口で怒鳴りだした。
「俺の彼女が福島にいるんだ!そして被曝で苦しんでるっ!それはお前が1年1ミリなどと言うからだっ! 彼女の苦しみが判らないのかっ!」
私は可哀想に思った。彼女の苦しみを除くのは、まず退避、そして除染、福島がまたあの美しい郷土に戻るように必死で頑張ってもらいたいのに、「お前が被曝は安全」とさえ言えば彼女は楽になる・・・と一途に思っている。
火事の現場に取り残された家族、救おうと思えば救える家族、でも自分には救う勇気が無い、だから「火もまた涼し」と言ってくれ、ということだ。
気持ちはわかる。でも、彼女を被曝から守る手段はあるのだ。東京に呼べば、それだけでも少しは被曝が減る。職業を失うかも知れないが、若い女性のことだから、将来を考えればその方が彼女の幸福になると私は思う。
自分の処理能力を超える事態を迎えたとき、人はリスキーシフトを起こし、自暴自棄の行動にでる。原子力予算が1年5000億円もあり、電力の工作経費は1000億とも言われる。その少しでも福島に投入すれば、奇妙な論理を展開しなくてもよかったのに。
(平成25年9月15日)