自由なラジオ Light UP!第63回
日本の人権の危機を国連に通報した!デビッド・ケイ氏が日本に来るきかっけを作った藤田早苗さんを迎えて
https://youtu.be/phM71_u6ad4?t=22m58s
22分58秒~LIGHT UP ジャーナル第063回
脱原発先進国と日本は何が違うのか?
http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-063/
電話インタビュー:小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)
パーソナリティ:おしどりマコ・ケン
おしどりマコ :
今日は小出さんさんと電話が繋がっています。小出先生よろしくお願いします。
小出さん:
こちらこそよろしくお願いします。
おしどりマコ :
今日のトークテーマは脱原発の先進国ドイツとそして日本ということで小出先生にお話を伺おうと思います。
小出さん:
はい。
おしどりマコ :
世界の原子力はちょっともう推進ではなく脱の方で行っているのではないかと思っているんですけど、小出先生はどう思われますか?
小出さん:
世界は原子力から撤退しようとしているということはもう確実なことです。
おしどりマコ :
はい。
小出さん:
世界の原子力を牽引してきたのは米国と、まあヨーロッパが中心だったわけですけれども、例えば米国では、1960年代から建設が始まって、70年代にかけて猛烈な勢いで原子力に夢をかけようとした時代がありました。しかし運転中と建設中と計画中と合計の基数が一番多かったのは1974年なんです。
おしどりマコ :
あっ、そんな昔なんですね!
小出さん:
はい、ですからそれからはもう計画中のものはすべてキャンセルされましたし建設中のものだって9割を超えて出来上がっていたものでさえキャンセルされていくというそういう時代にすでにもう入っていた。
それでまあそのマコさんやケンさんドイツに行ってくださいましたけども、ヨーロッパも一時期原子力の夢に浮かれたのですけれども、ヨーロッパで建設中、計画中の基数が一番多かったのは1978年でした。
すでに米国のスリーマイル島の事故が起こる前からもうヨーロッパですらが原子力に見切りをつけていたということであって、まあ日本のような愚かな国だけがいつまでたっても原子力に夢をかけ続けたということなのです。
おしどりマコ :
なるほど。
小出さん:
まあドイツにしても米国のスリーマイル島の事故を見てですね、どんどん撤退に入るということになったわけですし、福島の事故を見てあーこれはもうダメだということでドイツは徹底的に脱原発にいっているわけです。
おしどりマコ :
なるほどそうですね。ドイツに4回ほど毎年取材に行って福島第一原発事故は最後の決定打にはなってましたけど、スリーマイル島であったりチェルノブイリであったり、そして事故が起こる前から反対運動をされていた方々に取材もして、なんで事故の一つもないのに反対運動をしてたんですか?ってびっくりして取材したんだよね。
そしたら、我々はよく考えてもこのような技術を信頼できないと判断したっていうそういう回答を頂きました。
ゴアレーベンのデモ「原子力経済:親父は金持ち、息子は貧乏、孫は早死に」
小出さん:
そうですね、ドイツの場合には原子力発電所の技術的な問題を考える専門の委員会と、それと倫理的な問題を考える専門委員会が2つ設置されていまして特に倫理的な問題を考える委員会っていうのが大変深く原子力の問題を考えていて、事故が起こればどうしようもないし、事故が起こらなくても産み出した放射性物質はどうしようもないと、こんなものは到底やってはいけないという、まあ極めて論理的な結論を出しました。そのためにもう脱原発になったわけです。
おしどりマコ :
はあ〜なるほど、そうですね。今年私、ドイツの研究所に行って、物理工学研究所ですね。それでその福島の事故に関するダストモニタリングの、空気中の放射性物質のデータを見せていただいたんですけども、そこでドイツにまで色々な放射性物質が届いているんだろうなと思って行ってたんですけど、あの半減期がものすごく短い 132Te(テルル132)と132I(ヨウ素132)もドイツでしっかり検出されていたというのには私はとても驚きました。
小出さん:
私たちもチェルノブイリの原子力発電所の事故が起きた時には、日本でもちろんテルル132も検出しましたし、もうそういうものなのです。
おしどりマコ :
あぁ、そうなんですね。
小出さん:
はい。もう膨大に放出されてしまったものですから、チェルノブイリの場合日本で検出できるし、福島の事故の場合にはドイツで検出できるという、そういうまあ地球規模の汚染になってしまったわけです。
おしどりマコ :
なるほど。地球規模の汚染であるにも関わらず、福島第一原発事故ではヨウ素132による評価は抜け落ちていますよね。
小出さん:
福島の場合には発電所の中にある測定器はみんな死んでしまっていましたし、周辺にあったモニタリングポストなどもほとんど地震で機能しなかった。だから短半減期のものに関しては情報が欠落しているという状態で今日まできてしまっているわけです。
おしどりマコ :
ヨウ素132の被曝評価がないまま甲状腺に関する議論が進んでいるということはどう考えてもアンフェアだなという気がするんですよね、先生。
小出さん:
私もそう思います。私は2年前まで京都大学原子炉実験所にいたのですけれども、私の同僚に今中哲二さんという人がいて、彼はなんとか当時の少ないデータをもとにコンピュータのシミュレーションで逆算できないかというような研究を続けていますし、これからも多分彼はそういう仕事をやってくれるだろうと私は期待しています。
おしどりマコ :
あ、なるほど。そうですね、今中先生は福島第一原発事故による生物への影響の研究会も毎年されていて、そこに毎年取材をさせていただいているんですけれども、蝶々とか植物に限らず、魚であったり貝であったり、様々な昆虫であったり、哺乳類のサルやら牛やら、たくさん直後の影響が出ているという評価が出ているんですけれどもそれがそんなに大きく取り上げられないというのもまた不思議なんだよね。
小出さん:
国にしても東京電力にしての影響がないと言いたいわけですし、彼らはマスコミを握っているわけですから、マスコミすらがそのようなことは報道しないということになっているのですね。ですからヨーロッパのマスコミはいわゆるジャーナリズムというものの立場をきちんと保っているわけですけども、日本のマスコミは全部が権力に対して頭を下げてしまっているというそんな状態になってしまっているように思えます。
おしどりマコ :
うわーおっしゃる通りです。今年ドイツの高校生に、なんで日本の報道は政府寄りなんだって質問されたんですね、学校で話してた時に。それで、うわー何から説明しようかなと思って。日本のマスコミのトップは安倍総理とよく食事会をしていましてというと悲鳴が上がって。ジャーナリストは政治家の会見で出されたコーヒーも飲まないくらい独立しないといけないんじゃないのかって言われたんです、高校生に。
小出さん:
普通はそういうものなはずなんですけど、でも日本の場合にはもう戦争の時からずっとそうではなくて、マスコミは権力にべったりと張り付いて大本営発表をやったわけですし、福島の場合も国や東京電力の都合のいい情報だけを流すということを今日まで続けているわけですね。
おしどりマコ :
なるほど。ドイツの高校生に、一緒に食事をするのならそれはジャーナリストじゃなくて政府の広報だって言われました。
小出さん:
おっしゃる通りですね。
おしどりマコ :
言ってやってくださいとドイツの高校生に言ってたんですけどね、本当に。ありがとうございました。やっぱり日本はものすごい遅れているどころかひどいということがわかりましたよね。
小出さん:
はい、私はそう思います。
おしどりマコ :
小出先生、ありがとうございました。
自由なラジオ Light UP!第64回
南スーダン最新報告〜自衛隊は現地で何をしていたのか?
https://youtu.be/JS6E66jkpnQ?t=20m6s
20分06秒~LIGHT UP ジャーナル第064回
福島の山林火災と放射性物質について
http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-064/
電話インタビュー: 今中哲二さん(京都大学原子炉実験所研究員)
パーソナリティ: 矢野宏
矢野:
福島県で四月末に発生した山火事は12日間かかってようやく消し止められました。現場は浪江町と双葉町にまたがる山。東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域であったこともあり、インターネット上では放射性物質が飛び散っているといった情報が飛び交いました。これらは事実なのか、県や街の危機管理は、情報発信は、適切だったのか今中さんに伺います。今中さん、よろしくお願いします。
今中さん:
はい。
矢野:
ネット上では火災が起きれば花粉が飛び散るようにその放射性物質も飛び散るんだとか、山火事によってより濃度の高い放射性物質が飛び散って被曝したんだという情報が飛び交っていました。この事実関係はどのように考えれば良いのでしょうか。
今中さん:
えーっとですね、汚染自体はかなりの汚染ですよね。汚染地域に山火事があったら、そりゃあ放射能が煙と一緒に飛び散るというのはごく当然な心配ですよ。チェルノブイリでもちょくちょく山火事というか森の火事が起きて、大変だと聞いていますから。
矢野:
しかし、福島県はですね、測定の結果を連日公表していたのですけれども、4箇所のモニタリングポストに大きな変動はないといってましたけど、これは嘘になりますかね?
今中さん:
嘘とは言い難いけど、私も気になって火事が起きたぞという県のホームページとかをずっと眺めていましたけれども、まずですねモニタリングポストの値が上昇するくらいだったら、これはもう大変な濃度の煙が来てますよ。というかもともとそこら中モニタリングポストを置いているところは汚染だらけな訳ですよ。
矢野:
高い訳ですね、数値が。
今中さん:
そうです。それがもしもまた上がるようなことがあったら大変だということになります。それとですね、山の中腹かなんかで火事が起きている訳ですけれども、テレビ等でもありましたが、結局煙が流れていく方向なんですよね。浪江町にね、アメダスの観測ポイントがあるんですけれども、そこのデータなどを眺めるとどうもモニタリングポストの方向とはむしろ逆の方に流れた煙が多いですね。
矢野:
なるほど。4箇所あったモニタリングポストとはまた違う方向に流れていった訳ですか。
今中さん:
そうです。それと同時にエアサンプラーといって空気をフィルターにかけて濾しとってそれを測る測定をしているんですけれども、それは上がっていますよね。それも不思議なんですけれども、火事が終わって一番最高値が出ているのが5月12日なんですよ。25ミリシーベルトというのがどっかの公民館あたりで出ていまして、なんかちょっと話が合わないなあという気がしまして結局煙がそのまま来たというよりも、そこら中ぐるぐるっと溜まっていたものが来たという感じですね。ですからあの時に大事なのは、煙が流れている方向で放射線を測るなりエアサンプリングをすることで、どこが高いかっていうことが分かるんですよね。それで私がデータや資料を眺めて見て感じたのは、これはやっぱりスピーディーの出番だと。
矢野:
あっ、スピーディーの出番ですか、こう言ったときに。
https://youtu.be/GlDslbj08aw
今中さん:
覚えていらっしゃいます?
矢野:
ええ、覚えています。
今中さん:
要するに雲がどっちに流れるかを予測するというやつで、結局事故の時は役に立っていなかったと言われていましたけども、ああいう山火事の状況では煙がどっちに流れるかというのはゆっくりと予測できますから。本当にあれは宝の持ち腐れですよねえ。数百億円というお金をせっかくかけたのに、こういったときこそねえ。あと何箇所かでもエアーサンプラーで数字が出ているんですけれども、1㎥あたり25ミリベクレル、これが最高ですよ。それはそこにいる人はマスクしたほうがいいですよというレベルです。
矢野:
これは高い数値ですよねえ。
今中さん:
私どもは飯館村なんかでずっと測ったりしてるんですけれども、飯館村で普通で1㎥あたり1ミリベクレルいきませんから、それの10倍、20倍いったらやっぱり気になりますね。ですからそういう状態でそれですから、煙が流れた所というのはそりゃあもっと強かったんです。
矢野:
なるほど。
今中さん:
それと一番気になっているのは、やっぱり消防士さんと自衛隊の人がどれぐらい被曝したのか。それはちょっと気になっているんで明らかにしてほしいですね。
矢野:
そりゃあそうですよね。消火活動に当たられてどんな被曝をしたのか心配ですよねこれ。福島第一原発の事故から6年過ぎても終息がままならないという、これがもう実態なんですねえ。
今中さん:
そうですね。それはもう発電所そのものの問題は置いといても我々は放射能汚染と30年、50年、100年と付き合っていかなければならない訳ですから、我々自身が放射能・放射能汚染についてよく理解して自分達が数字から判断できるようになっておく必要があるんだろうと思いました。
矢野:
なるほど、わかりました。今中さん、ありがとうございました。
以上、”Light up! ジャーナル”でした。
自由なラジオ Light UP!第65回
今、改めて問う!日本の原子力政策と福島第一原発事故の行方
https://youtu.be/_KUUHl8J_FY
小出裕章公開講座・第2回
https://youtu.be/Ae8oOb-BQks
小出裕章公開講座・第2回(質疑応答)
https://youtu.be/kFbSKIDuvI8
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小出裕章先生:世界は原子力から撤退しようとしているということはもう確実なことです
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