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あなたは国を滅ぼそうと決意して任せましたか?

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こんな自民党になぜ投票したのか この上TPP参加で衰亡必至の国(日刊ゲンダイ)「日々担々」資料ブログ
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9453.html
山口、島根を襲った豪雨で亡くなったのは79歳の女性(萩市)で、84歳の男性(同)と60代の男性(福岡県)が今なお、行方不明になっている。
裏山が崩壊し、自衛隊に助けられたのは88歳の男性(山口市)で、ワゴン車が水没、命からがら逃げたのは70歳の男性と68歳の妻だった(萩市)。

島根県では24歳の男性が行方不明になっているが、報道を見る限り、お年寄りの被害が目立つ。もともと、若者が少ないのだ。老夫婦だけが住んでいる過疎地の家屋に記録的な豪雨が襲い掛かった。
もうひとつ、山口県周南市の5人殺害放火事件も、過疎地の老人の事件だ。被害者は71歳男性、72歳女性、79歳女性、73歳女性、80歳男性。容疑者は63歳男性で、舞台は高齢者ばかりが残された10世帯の限界集落――。若者が逃げて、取り残された集落での「村八分」が動機になったとみられている。

さて、ふたつの災害、事件に共通しているのは過疎だ。天災と過疎は関係ないように見えるが、これが大いに関係がある。地元紙記者はこう話す。
「林業が廃れると山の地力はどんどん、落ちてしまうのです。地力とは地盤の強さのようなもので、簡単に崩落するようになる。この辺は田んぼもまだら模様で、耕作放棄地が多い。田は自然のダムといわれているが、廃れてしまった。そのうえ、産業がないものだから、若者がどんどん、いなくなっている。山間地はもちろん、街中でも廃屋ばかりです。残されたのは老人で、近所付き合いもせず、地域のコミュニティーは死んでいる。災害の警報を発令しようにも、それぞれの家が孤立しているから、防災無線を各戸に取り付けているのです」

◆「限界的集落」「危機的集落」が激増

こういう地域に豪雨が襲うと、今回のような事態になるのだ。この記者は「被害者が少なかったのは奇跡的」「裏を返せば、それだけ人がいないのだろう」と言っていたが、こうした過疎化は全国で加速度的に進んでいる。
参考になるのが島根県が2010年に実施した集落調査だ。それによると、県内には20世帯未満で、65歳以上の高齢化率が50%を超えている「限界的集落」が453集落もあった。04年と比較すると、52集落増、全体(3334集落)の13・59%だ。
このうち、高齢化率が70%以上、10世帯未満という「危機的集落」は72集落。さらに島根大の調査で、戦後、次第に人が住まなくなった「自然消滅型集落」が57集落に上ることも明らかになった。

全国規模の集落調査は直近では見当たらないが、どの県も似たようなものだろう。地方における労働力人口は急減しているからだ。
こうした地域で天災が起こったら、誰がお年寄りを助けるのか。道路が寸断されれば、あっという間に集落は孤立化し、被害が拡大してしまう。「村八分」のようなことが起これば、第2、第3の八つ墓村事件が起こる。
日本の過疎化がもたらす悲劇は、もう見過ごせないレベルなのである。

◆地方を自立できなくさせた自民党政治の大罪

問題はこうした過疎化は誰のせいか、ということだ。
国民はてんで気づいていないが、自民党政権による積年の失政にあるのは言うまでもない。自民党は地方に公共事業をばらまいてきた。一見、地方に優しい政治をしてきたかに見えるが、とんでもない話だ。公共事業は自分たちの金儲け、利権だし、そうやって、自民党政権が公共事業をばらまき続けた結果、地方の産業はまったく育たず、公共事業がなければ生きていけない、“麻薬漬けの体”になってしまった。

原発だって同じ構図で、原発が止まると、地域経済が成り立たなくなっている。「麻薬漬け」ならぬ「放射能漬け」だ。自民党の政治屋たちは、そうやって、利権をむさぼってきた。その結果が今の地方経済の疲弊、過疎化なのである。
「歴代自民党政権は農家も平然と切り捨ててきました。自民党政権は農家を保護してきたように見えますが、大きな誤解です。例えば、EUは農家の所得の95%が補助金です。農家は国家公務員のような存在で、向こうは国が食料、国土を守るのは当然、という意識です。国があまった農作物を買い上げる制度も他国は無制限が当たり前。

自国の農業を守るためにもちろん、関税もかけています。一方、日本は補助金の補填は所得の15%。関税も重要5品目以外はほとんどゼロです。林業も昭和30年代に木材の関税をゼロにして衰退した。それで山が崩壊したのです。私は今度の豪雨は人災だと思う。過疎化を推し進め、山を守らなかった自民党政治が被害を拡大させたのです」(東大教授・鈴木宣弘氏=農政)

◆バラマキをやめて新自由主義の身勝手

農業よりも公共事業や原発の方が利権になる。そういうことなのだろう。おかげで、農家の担い手はいなくなり、地方の産業はなくなった。自民党の利権政治に頼らなければ生きていけなくなったのだが、薄汚い自民党は、その見返りに選挙での票を求めてきた。

しかし、財政難でバラマキもままならなくなったため、今度は新自由主義に走りだしたわけだ。小泉構造改革が中央―地方の格差を拡大させ、地方をシャッター通りだらけにしたのは周知の通り。安倍はというと、それをさらに推し進めようとしている。あまりに身勝手、ご都合主義の冷血政治だ。
「地方経済を活性化させるには産業政策がなければいけない。自動車産業はトヨタが頑張るだけでは育たなかった。港を造り、コンビナートを築き、道路を整備したから輸出産業になったのです。しかし、新自由主義は自由競争さえすればいい、という考え方で、産業政策は不要と考えている。これでは地方経済は廃ってしまう。地方の中小企業に海外で通用する競争力をつけさせるためにはどうするべきか。それを考えなければいけません」(立大教授・山口義行氏=経済)

◆地方をぶっ壊して何が「美しい国」だ!

それなのに、安倍は考えるどころじゃない。成長戦略とか言って、新自由主義を推し進めるだけでなく、よりによって、過疎化の総仕上げともいうべき、TPPに参加、地方にトドメを刺す気だ。こんな政権に任せていたら、地方は本当に殺されてしまう。

前出の鈴木宣弘氏はこう言った。
「TPPに参加すれば、日本の地方は経済が成り立たなくなり、文化、伝統も廃れ、いわば、身も心もズタズタになってしまう。それで得するのは1%のグローバル企業だけなのです。彼らが地方に雇用をもたらしますか? 安い労働力を求めて、海外に行くだけです。地方はますますすさみ、田畑は枯れ、大災害が起こり、凄惨な事件も頻発する。もともと、日本は災害立国です。厳しい国土で皆が助け合いながら、歴史を築き、経済を発展させてきた。それを1%のグローバル企業のために台無しにしていいのか。本来であれば、今こそ、地方の過疎化対策に政治が真剣に向き合うべきなのです。それなのに、安倍政権は国を売る。何が美しい国ですか。冗談じゃありません。この国はボロボロになりますよ」

参院選では、地方の1人区はもちろん、複数区でも自民党が圧勝した。地方の有権者はなぜ、こんな自民党に投票したのか。つくづくバカだ。自民党政権を続けさせたら、自分で自分の首を絞めることになる。生きていけなくなるのである。


【参院選2013争点解説③TPP】TPPのデメリットを報じない大手メディア(【IWJウィークリー第10号】より)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/90916
■目次
・自民党より「強硬さ」をアピールする民主党
・「攻めの交渉」を掲げるみんなの党・維新の会
・「公約」と「政策集」を使い分ける自民党
・慎重なスタンスを貫く公明党
・報じられないTPP反対派の主張~TPPはメディアの「タブー」に
・小沢一郎・生活の党代表「TPPは強者の論理」
・日米並行協議にも反対の姿勢を打ち出す社民党
・安倍政権を徹底批判する共産党
・TPPと真逆の日本型共生社会を目指すみどりの風
・有権者がメリット・デメリットを追及すべき

 安倍総理はこれまで、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、サトウキビなど農産品5品目(いわゆる聖域)の関税撤廃の例外として「守る」と強く主張してきました。しかし7月11日、日本の交渉参加がこの「関税撤廃」の協議に間に合わないことが明らかになりました。

 日本は7月15~25日にマレーシアで行われる交渉会合の、最後の数日間から正式に参加することになっていますが、その前に「関税撤廃」の協議日程が終わってしまうためです。各国の利害がぶつかる「関税撤廃」については、これまでの会合でもほとんど進展が見られないため、「まだまだ交渉の余地はある」とする声もあります。しかし、もし万が一何らかの合意がなされてしまった場合、TPPでは後から参加する国は「いかなる修正も、文章の変更もできない」ため、日本の聖域確保は絶望的になります。

(東京新聞 2013年7月12日 「TPP関税協議 日本、間に合わず マレーシア会合」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013071202000113.html

 今後の日本のあり方に多大な影響を与える協議が、今まさに行われようとしています。

 日本の交渉参加は7月23日午後とみられ、21日の参院選の投開票から明けてすぐ、という超喫緊の政治課題です。にも関わらず、TPPは今回の参院選の争点から明らかに外されています。

 日本の大手メディアは、TPP日米事前協議という「米国に」日本の交渉参加を認めてもらうための協議が4月12日に決着したのを契機に、TPPについてはほどんど報じなくなりました。そんななか、参院選における各党のTPPの公約について比較し、論じている大手メディアが1社だけあります。メディアにおけるTPP推進の旗振り役の筆頭である、読売新聞です。

 読売新聞は7月11日付の「13参院選 TPP交渉 参加出遅れに危機感が乏しい」と題した社説で、「11か国は年内の大筋合意を目指し、交渉を本格化させる。出遅れた日本は通商ルール作りで巻き返す道を探らねばならない」とし、「そうした厳しい状況にもかかわらず、各党の公約は危機感に乏しく、TPPへの対応は大きな争点になっていない」と、各党の公約を紹介し、「具体論に欠ける」などと批判を展開しています。

 これまで「TPPに早く参加すべし」と背中を押しながら、「でもこのまま入るのは危ないから、巻き返しのための具体論を示せ」と各政党に要求するのは、実に読売新聞らしい、傲慢かつ没論理的、徹底した責任転嫁の姿勢と言わざるを得ません。

 とはいえ、たしかに、自民党や民主党、維新の会などのTPP推進の党の公約を見てみると、旗振り役の読売新聞が焦るように、TPPと国益を結びつける具体策を提示できていません。できないのは当然で、TPPがそもそも国益に反するからですが、そう言ってしまうと身も蓋もないので、同紙の社説では、省かれている生活の党、共産党、社民党、みどりの風などTPPに反対の姿勢を示す党の公約を補いながら、読売新聞の指摘とともに各党の公約をみてみたいと思います。

 まずは、TPP推進を掲げる自民党、公明党、民主党、みんなの党、日本維新の会のTPPについての方針をみてみましょう。

【読売新聞社説】
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130710-OYT1T01388.htm

■自民党より「強硬さ」をアピールする民主党■

民主党は、菅政権、野田政権と、二代続いてTPP推進を推し進めた党だけあって、「高いレベルの経済を推進し、世界におけるルールづくりを主導します」と、当然ながらTPPを肯定します。「高いレベルの経済」という言葉は、何がどう高いのか。意味が不明ですが、これは、自由貿易協定を売り込みたい米国のUSTRあたりの文書を直訳した名残りなのでしょう。自分の頭で考えていない様子がよく伝わります。

「農林水産物の重要5品目などの除外」や「食の安全の確保」、「国民皆保険の堅持」などの国益を確保するために、交渉参加自体には賛成としつつも、「脱退も辞さない姿勢」と強硬さをアピールしています。「脱退」するくらいなら、そもそも「参加」しなければいいだけの話で、「重要品目の関税」も、「食の安全」も、「国民皆保険の堅持」も、脅かされることはないはずですが、そうは言わないところがミソです。ちなみに、これについて読売新聞は同社説の中で、「農業の強化策は抽象的である」と批判していますが、これもまた、裸にしておいて風邪をひきそうなのは、鍛錬が足りないからだ、というくらい無茶で無理な話です。

民主党の農業についての公約をみてみると、「『食料自給率50%』をめざしつつ、農業者戸別補償の法制化や6次産業化などによって所得の安定・向上をはかり、新規就業者を増やします」となっています。読売の社説がいう「抽象的」とは、どの点を指すのかは不明です。民主党の公約は、「抽象的」というよりもむしろ、「空想的」と表現する方がふさわしく、「自給率50%」も「農家の所得向上」も、「新規就業者の増加」も、言葉はそれぞれ「具体的」ですが、どれもほとんどSF的な空想であって、現実にはほぼ実現不可能です。

■「攻めの交渉」を掲げるみんなの党・維新の会■

 みんなの党は、「TPPのみならず、日中韓FTA、RCEP、日EU等の広域FTAを推進し、日本の国益を最大化。アジア・太平洋諸国とエネルギーや安全保障分野を含めた提携関係を強化する」とし、主要政策でも「株式会社の農業参入を原則自由化」など、前回の衆院選から一貫して「TPP推進」を全面的に勇ましく打ち出しています。自民党と違って、何もブレがないところが、支持者にとっては頼もしく感じられることでしょう。みんなの党の公約の文章が、「日本の国益」ではなく、「米国の国益」もしくは「米国企業の利益」を最大化、とより正確に表記されていたら、完璧だったと思われ、その点が惜しまれます。

 日本維新の会もみんなの党と同じく、「農業への株式会社参入(農地所有、技術指導、金融支援)を促す」としながらも、TPPについての直接的な記述は「自由貿易圏を拡大する。TPPは攻めの交渉で国益を勝ち取る」と、抽象的な表現に留まっています。

 「攻めの交渉」とは何を指すのでしょうか? 米国は、自国の農産物に対しては巨額の補助金を出しています。これらをやめさせることでしょうか。米国は、日本車に対する関税を少なくとも10年間はそのままにすえおくと身勝手なことを言っていますが、これらを即時撤廃させるように求めることでしょうか。米国内での公共調達の際に、日本語での案内を入れるように義務づけることでしょうか。ISD条項による審判の際、公開の議論、三審制、日本人審判員を加えるように求めることでしょうか。

 「攻める」と口先だけ言いますが、その中身を誰も語りません。TPP推進の各党と、読売のようなTPP推進メディアは、「攻め」の中身を自らの責任で明らかにすべきです。また、維新の会とみんなの党は両党とも減反政策の見直しや農協改革を掲げています。読売新聞の社説はこの点について、「活発な論戦を期待したい」と評価しています。この程度のことが、読売新聞の求める「具体的な強化策」なのでしょうか。この程度で、TPP参加によって生じる莫大な損失を穴埋めできるというのでしょうか。

■「公約」と「政策集」を使い分ける自民党■

 注目すべきは、やはり自民党です。公約では「TPP等の経済連携交渉は、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求します」としていますが、「守るべきもの」の具体的な品目には言及せず、守れなかった時にどうするのか(脱退するのか)についても触れられていません。

 他方、公約と同時に発表した総合政策集「Jファイル2013」に「農林水産物分野の重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)などの聖域を確保する」「農林水産分野の重要5品目などを確保できない場合は、脱退も辞さない」と記載されています。ということは民主党の公約と同じく、「守るべきもの」を守れなかった時には、「脱退」するというのが、自民党の公約なのか、といえば、そうではありません。そこはさすが自民党、手がこんでいて、二段構えになっています。

【自民党総合政策集「J -ファイル2013」】
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/sen_san23/j-file-2013-06-27-1.pdf

 高市早苗政調会長は、6月20日の参院選公約発表の記者会見で、「公約は、最優先で取り組むという強い決意で示す国民への『約束』だが、Jファイルは、目指すべき政策だ」と説明しています。

 少しややこしいですが、今回の自民党が公約として国民と約束するのは「交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求します」という実に「抽象的」な一文のみ、ということです。Jファイルは、国民との約束ではない、ということなのです。

 実は自民党は、2012年末の衆院選の時にも、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します」という公約とは別に「Jファイル2012」を発表しています。その中でTPPについて以下のように記載していました。

・自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
・国民皆保険制度を守る。
・食の安全安心の基準を守る。
・国の主権を損なうような ISD 条項は合意しない。

【自民党総合政策集「J -ファイル2012」】
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf

 しかし、安倍総理は2月28日の衆議院予算委員会で、先にあげた高市政調会長と同じく「Jファイルは正確に言うと公約ではなく、目指すべき政策だ」と発言しています。事実、安倍政権は4月12日に合意されたTPP日米事前協議において、「米国車の輸入台数の引き上げ」を義務付けられ、「Jファイル2012」で定めた「自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない」という目標を達成できませんでした。

 Jファイルに書かれている限り、それは「公約」ではなく、「目指すべき政策」なのであって、達成できなくても責任は問われない、という「仕組み」になっているわけです。ずるい、といえばずるい、しかし巧妙というほどでもない、政治的トリックです。

 昨年の衆院選で「TPPへの交渉参加に反対!」と書かれた、自民党の黄色い選挙ポスターを目にした方は多いのではないでしょうか。しかし3月15日に安倍総理がTPP参加を正式に表明したことで、「自民党は嘘つきだ」とする声も一部ネット上などで目にします。しかし、このポスターには小さく「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します」と書かれています。生命保険に加入するときの約款のような、このわかりにくい、小さな文字の連なりは何を意味するのでしょうか。

$私にとって人間的なもので無縁なものはない
2012年、自民党衆院選ポスター

 安倍総理は2月22日に行われた日米首脳会談で、「TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」とする共同声明を取り交わし、この少々わかりにくい文章をもって、「『聖域なき関税撤廃』を前提にはしないことを確認した」と、3月15日の参加表明記者会見で述べています。

 しかし、4月22日から25日にかけて訪米した、山田正彦元農水相など超党派のTPP訪米調査団が、米国政府のTPP担当機関であるUSTR(米通商代表部)のカトラー代表補に問い質したところ、安倍総理が再三、「聖域」であることを強調しているコメの関税についても、「セーフガード(一時的な保護)か、段階的に、関税を撤廃する」と断言しました。つまり、日本のコメの関税を現状のまま温存するという選択肢は、米国は考えていないということです。

 さらに、甘利明TPP担当相は、4月26日の参院予算委員会で、「聖域」とは何を指すかについて「現時点で特定はしていない」と述べ、今後も具体的に特定しない方針を示しました。どんどん話が曖昧になってきているのは、コメの関税を守ると具体的に言いきってしまうと、守れなかった時に政治的責任が問われるからであって、つまりは「守れない」可能性が高いと安倍政権自ら判断しつつある、と考えていいでしょう。

 つまり、自民党が公約で約束した「聖域」とは、「永久に関税を守る」という意味ではなく、「即時に撤廃は避けたいが、いずれはゼロにすることもありうる」という意味であり、「聖域」に含まれる品目も特に決めてはいない、コメのこととは限りませんよ、という話だったのです。確かに自民党は公約では「聖域」の内容や中身については言及していませんでした。自民党のTPPについての公約を判断する際には、「何が語られていないか」を見定める必要があります。

■慎重なスタンスを貫く公明党■

 自民党よりもよりリベラルな政策を掲げはするが、結果として常に自民党に連れ添って動く公明党は、TPP参加に曖昧な姿勢を示しています。

 「TPPに参加すれば、日本製品の輸出増が期待されます。さらに消費者の立場からは輸入品が安く手に入るなどの経済的効果があります。地域の中で貿易ルールを統一していくことで、日本が競争できる分野をさらに強くしていける意義があります」と、TPPのメリットを主張する一方で、「TPPは包括的な経済連携協定であり、貿易や農業に加え、医療・食品安全など広く国民生活に影響を及ぼします。

 今後のTPP交渉に際しては、わが国農業の多面的機能、食料自給率の向上に深く配慮することが必要です」と、デメリットも併記しています。後段で、国民生活への影響などの懸念を示していますが、交渉参加を前提としており、また前段ではTPP参加の意義を強調しています。

 今後のTPP交渉について自民党とともに取り組んでいくと、一応「推進」の立場ですが、そもそも賛成なのか、反対なのかははっきりせず、後段で言っているTPP交渉に際して「深い配慮」ができなかった時にどうするのか、という部分も明言せず、曖昧なスタンスを貫いています。

 読売の同社説では、「自民党は公明党とともに、政府を後押しし、TPPに国益を反映させる方針を示すべきだ」と書いています。

■報じられないTPP反対派の主張
~TPPはメディアの「タブー」に■

 読売新聞の社説ではなぜか、残りの生活の党、社民党、共産党、みどりの風については公約を紹介せず、「そろってTPP反対を主張している」という一文で括ってしまっています。そして、「『貿易立国』として発展した日本が、アジアの自由貿易圏から外れる道を選べば、将来展望は開けまい」として、これら4党の姿勢を批判しています。反対派の党の公約を紹介もせずに批判する読売新聞の姿勢は、きわめてアンフェアなものです。

 また、TPPの不参加は、「アジアの自由貿易圏から外れる」といいますが、日本の最大の貿易相手国である中国はTPPに参加していませんし、韓国も、台湾も、興隆するインドも、人口大国のインドネシアもTPPに入っていません。「貿易立国」というイメージも、虚像です。日本経済のGDPの6割は個人消費であり、醍醐聰東大名誉教授が指摘するように、純輸出のGDPへの寄与率はわずか2.5%に過ぎません。

 朝日新聞社が「参院選で議論を深めてほしい政策」について7月6、7両日に世論調査を行ったところ、「景気・雇用」が50%と最多であり、「社会保障」39%、「原発やエネルギー」30%、「消費税」29%、「外交・安全保障」16%、「憲法」13%と続き、「TPP」は12%と最も少ない数字でした。

 超喫緊の課題にも関わらずここまで国民の関心が低い理由は、言うまでもなく、それはスポンサーに配慮してのことであり、主たるスポンサーである輸出大企業の株主は、今やかなりの程度、米国資本を管轄とする外資によって占められつつあります。経団連などの主張は、外資の主張を色濃く反映しており、「外資主権」がじりじりと現実化しつつあります。読売新聞の社説のようにTPPへの反対意見、疑問の声などをほとんど報じないメディアの姿勢があります。原発以上に、TPPの問題はメディアで「タブー」扱いされてきました。

 本来であれば、国民生活に多大な影響を及ぼすTPPであるからこそ、賛成・反対両者の意見を併記し、国民的議論をさらに深める必要があります。ですが、ビッグ・マネーに容易に支配されてしまう大手メディアでは、それは困難でしょう。以下、TPPに反対の姿勢を示す、生活の党、社民党、日本共産党、みどりの風のTPPについての方針をみてみましょう。

■小沢一郎・生活の党代表「TPPは強者の論理」■

 生活の党は、「TPPには参加せず、各国とのFTAを推進します。食料の自給率を高め、食の安全を確保します。農業戸別所得補償制度などを法制化し、安定的に実施します。いのちと暮らしを守るために公的医療保険制度の崩壊を防ぎます。国民の財産である郵貯、かんぽの郵政事業を堅持します」と、TPPには参加せずに農業を安定化させる方針を示しています。TPPが公的医療保険制度の崩壊や、郵貯、かんぽの郵政事業への外資参入につながるということを前提とし、それらを阻止するとしています。

 生活の党はこれまで、TPPについては賛成とも反対とも明言は避け、党としては慎重な姿勢を示していました。しかし今回の参院選では、明確に反対の姿勢を打ち出しています。この変遷の理由について、小沢一郎・生活の党代表は7月12日に行われた岩上安身による単独インタビューで、「本当は、安倍政権の政権運営を批判したかったのです。その具体例として、TPPをあげたのです」と語り、「安倍首相の政権運営は、小泉元総理以上に、強者の論理に立っていると思います。雇用の流動化、国民皆保険の崩壊など、TPPは強者の論理に立ったものです。その例としてTPPをあげました」と、安倍政権の方針を批判しました。

■日米並行協議にも反対の姿勢を打ち出す社民党■

 社民党は、「TPPは、日本への輸出拡大を実現できる米国にとってこそメリットが大きく、日米同盟を深化させるために米国主導のTPPに入る必要は全くありません」と、かなり直接的に米国を批判しています。公約全文をみると、「参加各国との事前協議でも、農産物の重要品目の関税例外確保は何ら担保されていない」「政府のTPP試算はまやかしにすぎない」「日本の輸出相手国はTPP不参加の中国・韓国・台湾・香港・インドなどが主力」など2ページ、12項目に亘って、TPPの問題点の指摘と、その見直し策をあげています。

 福島みずほ・社民党党首も、7月2日に行われた岩上安身による単独インタビューで、「TPPも結局1%のためであって、99%の人を切り捨てるんじゃないか」と語り、「政府ですら、TPPに参加したら、農産物の収穫高が減ることも、食料の自給率が減るということも発表してるんですよね。それは間違いなくそうなります」と、政府の方針の矛盾点を指摘しています。

 社民党はまた、TPP交渉と並行して進められる日米並行協議にも反対の姿勢を示すなど、生活の党や共産党、みどりの風など他のTPP反対の党との違いを打ち出しています。

■安倍政権を徹底批判する共産党■

 日本共産党も、「関税をすべて撤廃し、国民の暮らしに関わるルールを『非関税障壁』として撤廃・削減するTPPそのものの危険性だけでなく、アメリカのいうままに譲歩を重ね、日本を丸ごと売り渡しかねない安倍内閣の『亡国』的な姿勢です。『国のかたちを変えてしまう』と言われるTPPへの参加を、TPPの交渉内容を秘密にするというルールにそって、国民への情報開示も抜きに、強引にすすめようとしています」と、安倍政権を批判しています。

 そして「アメリカと財界の要求のままにTPPに突き進むなら、国民の生活と日本経済は重大な打撃を受けます」など、2ページに亘ってTPPの問題点を指摘し、「TPP 交渉参加をただちに撤回することを求めます」との方針を打ち出しています。

■TPPと真逆の日本型共生社会を目指すみどりの風■

 みどりの風は、「TPPはグローバル企業の利益を国民生活より優先させる制度です。国内法に優先する協定(TPP)は、農業に限らず国民生活のあらゆる場面に影響を与えます。日本らしさを壊すTPPには断固反対、撤退を求めます」としたうえで、「TPPに代わる対等公平な貿易枠組みの構築(ASEAN+6等)し、アジアの成長を取り込む」という政策を打ち出しています。

 谷岡郁子・みどりの風代表は、7月2日に行われた岩上安身による単独インタビューの中で、「『みどりの風』が目指している格差の小さい日本型の共生社会と、TPPというのは真逆の関係にある」と、その反対理由を述べています。また、米国がTPPで日本に求めている「農産品の原産地表記撤廃」「遺伝子組み換え表示の撤廃」などをあげ、警鐘を鳴らしました。

■有権者がメリット・デメリットを追及すべき■

 政府は3月15日、日本はTPP加入によってGDPが3.2兆円増加し、農林水産物生産額が3兆円減少する、という政府統一試算を発表しました。しかし、この3兆円の農業生産減少額の都道府県別の影響、実際に自分たちの生活や所得にどのような影響があるのかについては、試算を出していません。安倍総理は5月8日の国会質疑で「都道府県別の試算は技術的に難しい」と答弁し、甘利明TPP担当大臣も「不安をあおるような試算の出し方は疑問」と、都道府県別の試算を行わず、公表もしない考えを示しています。

 これに対し、全国約900名の大学教員が賛同人に名を連ねる、「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は、都道府県別の影響を独自に試算し、7月5日に発表記者会見を行いました。それによると、農産品19品目について生産額が2兆5142億円(総生産額の26.1%)、全国の農家の所得が4081億円(総所得の13.9%)も減少するという、驚きの試算結果となりました。

 試算によると、米どころである富山県や福井県、秋田県などは農家の所得が2~3割も減少し、沖縄県のサトウキビ産業は100%壊滅します。さらに、この農業生産額の減少は、農産品を運ぶ運搬産業や加工産業など第二次・第三次産業へも影響し、減少した農業生産額の2~4倍がそのまま地域産業全体に影響します、

 こうしたTPPのデメリットを、大手メディアはほとんど報じていません。TPP推進の積極的な旗振りをするのに、一部のデマゴーグに過ぎず、多くはその危険性やマイナスに気づき、であるからこそ、だんまりを決め込んでいます。その結果、TPPの危険性は、国民の大半の目と耳に触れることなく、「無関心」の彼方へ追いやられようとしています。大手メディアや政府の情報公開に期待できない以上、どの政党が「メリット・デメリットをきちんと認識しているか」を我々がはっきり見極め、否が応にも争点化させていく必要があるのではないでしょうか。(取材協力・佐々木隼也 / 文責・岩上安身)


$私にとって人間的なもので無縁なものはない



130726 報道するラジオ
「TPP初参加 日本に交渉の余地はあるのか?」内田聖子

http://youtu.be/RsUK2fqcTpI?t=21m46s
21:46 TPP初参加 日本に交渉の余地はあるのか?
日本は今週、TPP交渉に初めて参加しました。今夜の「報ラジ」は、国際NGOの一員­としてマレーシアの交渉会場に行き、情報収集してきたNGO「アジア太平洋資料センタ­ー」の事務局長・内田聖子さんに出演いただき、交渉の様子を聞きます。
内田さんは、シンガポールでの第16回会合、ペルーでの第17回会合の現場も見ておら­れます。日本の交渉官は「各国の主張に開きがあり、今後、日本が実質的な議論に参加す­ることは可能」と話していますが、本当に交渉の余地はあるのか、交渉参加の際の「守秘­契約」とはどんなものなのか、日本郵政とアフラックの提携は何を意味するのかなど、気­になることはたくさんあります。
参院選の敗北でゴタゴタが始まった野党の状況について、東京報道の神崎智大記者のリポ­ートもあります。



環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/
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TPPの知られざる真実

http://www.youtube.com/playlist?list=PLNeLn2dTU4bQuVl79asGwcCigoFFv7EpS


“TPP参加は違憲” 反対する弁護士ネット発足
「主権おびやかす」と撤退求める
弁護士318人賛同
(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-30/2013073001_04_1.html
 政府に環太平洋連携協定(TPP)からの撤退を求める弁護士らが29日、「TPPに反対する弁護士ネットワーク」を発足し、政府に要望書を提出しました。TPP参加は国の主権をおびやかし、憲法違反だと指摘しています。

 ネットワークは共同代表に宇都宮健児弁護士(日弁連前会長)、岩月浩二弁護士、井沢正之弁護士の3氏、事務局長に中野和子弁護士(日弁連消費者問題対策委員会副会長)が就任。現在、弁護士318人が賛同します。

 同日、東京都内で開いた会見で、宇都宮氏は、TPPに盛り込まれようとしているISD(企業と国家の紛争処理)条項について「国民を守る国内法や規制が、一企業や投資家の金もうけのために問題にされて改廃されかねない」と指摘。TPPの危険性は農業の関税撤廃にとどまらず、国民生活のあらゆる分野に及ぶと強調しました。

 岩月氏は、「TPP参加は憲法問題だと知ってほしい」と提起。ISD条項の違憲性を、▽司法主権を侵害し、司法権の独立を定めた憲法76条1項に反する▽国会の立法裁量を阻害し、国会を唯一の立法機関とする憲法41条に反する―などと明らかにしました。

 国民生活への影響や人権制約の懸念について、中野氏は食品安全規制の緩和や公共事業の国外企業への発注などが危険性として十分考えられると例示。宇都宮氏は、国民が運動で勝ちとった規制や立法までもがTPPの標的になりかねないと、貧困や多重債務問題に取り組んで貸金業の高利規制を実現した経験から語りました。

 ネットワーク設立を提案した川口創弁護士(日弁連憲法委員会副会長)はTPP交渉の情報開示や撤退を政府に求めることで、国民の人権、自由、財産を守る弁護士の使命を果たしたいと語りました。

TPP交渉参加からの撤退を求める弁護士の要望書
http://tpplawnet.blog.fc2.com/blog-entry-2.html


TPPキター 全国の郵便局にアヒルがやってくる
(田中龍作ジャーナル)
http://tanakaryusaku.jp/2013/07/0007607
$私にとって人間的なもので無縁なものはない
この秋から最寄の郵便局に行くとアヒルがお出迎えしてくれる。=写真:筆者=

 開戦のホラ貝が鳴ったと思ったら、いきなり本丸に攻め込まれた。日本がTPP交渉に正式参加を決めたと同時にそれは起きた。「日本郵政とアフラックが共同でガン保険を開発する」というのだ。日経新聞(25日付)は一面トップでデカデカと扱っている。

 日経新聞によれば、日本郵政は2008年から1,000か所の郵便局でアフラックのガン保険を取り扱ってきたが、今秋から全国2万か所の郵便局でアフラックの商品を販売する。

 恐るべきは「共同開発」だ。共同開発したことにより、日本郵政は独自の「医療保険」の開発を凍結する。米国政府の要求に沿って、だ。

 ここがミソである。TPPで混合診療が本格化されれば、従来の健康保険では対応できなくなる。否が応にも民間の医療保険に頼ることになる。だが2つ足せば日本最大の金融機関となる「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」は、独自の医療保険を販売できない。

 何故こんな屈辱的なことになったのか? 外交とくに第3分野をめぐる日米交渉に詳しい霞が関筋が明かす―

 1980年代、日米自動車摩擦で自動車輸出と引き換えに大蔵省(現・財務省)が差し出したのが第3分野と呼ばれる特殊医療保険だった。そこで本格参入してきたのがアフラックだったのである。

 全米保険協会会長で共和党のキィーティング議員が急先鋒となり郵政の資産開放を迫った。

 小泉政権時の郵政選挙(2005年)は、300兆とも400兆ともいわれる「ゆうちょ」「かんぽ」の資産を米金融資本に差し出すためのものだった。郵政を民営化すれば外交から社会福祉までが改善されるかのような宣伝が繰り広げられた。TPPの前段である。

 日本国民は見事に騙され、自民党は圧勝した。「小泉・竹中」による郵政民営化が国民の御墨付きを得たのである。

――以上、第3分野をめぐる日米交渉に詳しい霞が関筋の話

$私にとって人間的なもので無縁なものはない
米国Occupyの現場では、病院にかかれない99%の人々のために救急診療所が設けられていた。=2011年、NYズコッティ公園 写真:筆者=

 医師会幹部は「国民皆保険は両方からやられる」と危機感を募らせる。両方とは混合診療の本格化と労働法制の緩和だ。

 上述したが混合診療が本格化すれば、従来の公的保険では対応できない。国民健康保険料を払えない非正規労働者が増加すれば、国保財政はさらに痛む。外国人労働者を大量に受け入れれば失業者は増える。彼らは保険料を払えない。こちらも国保財政を破綻に導く。

 国民皆保険制度を法改正してまでいじる必要はない。健康保険財政が自壊する。

 国民皆保険制度が消滅すれば、アメリカと同じようになる。一昨年、アメリカで99%の人々が「もう生活できない」と抗議して公園などをOccupyした。ニューヨークのズコッティ公園には「10年以上も病院にかかっていない」という人がザラにいた。

 TPPに加盟すれば、混合診療、外国人労働者受け入れが本格化する。歩調を合わせて国内の労働法制も緩和される。

 99%の人々が病院にかかれない米国と同じ風景が、遠からず現出するのだろうか。



【怪しすぎ!!】H25/7/29 日本郵政のアフラック提携とTPPを繋ぐ線【解説:森永卓郎】

http://youtu.be/_HAK3CT7xTs


混合診療の野放図な解禁は、国民を危険に晒す

http://youtu.be/YDxdFKqVxX0
インタビュー:隈本邦彦氏(江戸川大学教授)



2013/07/29
「完全に負け戦以外の何者でもない。何をどう考えても、日本が勝ち取ってこれるものはない」TPP交渉会合に参加した内田氏が日本政府の姿勢を痛烈批判
~岩上安身による内田聖子氏インタビュー
(IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/93621
 マレーシアのコタキナバルで開催された第18回TPP交渉会合に参加し、25日に帰国したばかりのアジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏に29日、岩上安身がインタビューを行い、TPP交渉会合での最新報告を中心にお話をうかがった。

 内田氏が交渉会合の場に参加するのは今回で3回目。マレーシア国内では反対の機運が高まっていることから、今回の会合は首都から離れたボルネオ島コタキナバルの高級リゾートでの開催になったという。日本からの参加は、交渉官が110人にものぼった他、メデイア関係者も同数ほど来ていたと内田氏は報告した。現地では、日本の交渉官に対し、メデイアが一切質問をしないことに驚いたと述べ、内田氏自ら撮影した動画を用いて、交渉官らが内田氏と目も合わせようとしなかったと説明。皆うつむき加減で並んでいる交渉官の様子を岩上は、「お葬式に参列しているようだ」と評した。

 これについて内田氏は、TPP参加にあたっては『秘密保持契約』を政府は交わさなければならないと解説。日本政府によるブリーフィングで、内閣府の審議官から「秘密だ」と説明があったことを報告した。会合の場において、他のステークホルダーも『ここまで教えてくれないのか』とあぜんとしていたという。

 また、TPP関連で内田氏が帰国後一番に目にしたニュースがアフラックと日本郵政の業務提携の記事だったと語り、「提携するまで報道もされなかった。2国間の並行協議で決まってから発表したという流れで、こうした事例が今後どんどん増える」と、市場の開放がすでに始まっていることに警鐘を鳴らした。

 岩上は、TPPにおける新自由主義的な市場開放の動きを「市場の自由な透明性のある競争ではない」と述べ、内田氏も「保護主義的な政策で自分たちのルールを押し付けようとするもの。(市民団体などの間では)ぼったくりバーだということが、万国共通の認識としてある」ことを伝えた。

 今回の交渉会合においても知財が焦点であったと報告した内田氏は、多国籍企業のファイザーなどが特許保護など、知財強化の必要性を協調しているとし、先発薬・後発薬を問わず、薬価の高騰は避けられない状況であるという。子宮頸がんワクチンの被害など、薬害・公害の問題ともかかわり、産業の発展を害したとして、ISDによって日本政府が訴えられる可能性にも言及した。

 日本が主張している『聖域』に関して内田氏は、「今回日本は交渉に参加したと言えない。主張もしていない。テキストを読みに行っただけだ」と切り捨て、「農産品の問題で5品目を守ると言いながら、5品目には限らない。これはメディアのミスリードだ」と批判した。内田氏によれば、お米だけでも50品目以上、5品目で合計600品目にのぼり、800品目とカウントしている研究者もいるという。『(日本政府が)どれを譲り、守るかをこれから考える』と報じられていることについて、「事前に決めておかなければならなかったこと。とぼけている。本当に守る気があるなら、もっと緻密に準備しているはず」だと明言した。内田氏はさらに、KFC、ピザハットなどを持つ米企業ヤム・ブランズは、現に米政府のエージェントとして具体的な品目を出し、綿密な試算をして関税撤廃を主張していることに触れ、「日本はまだ何の準備もしていない。(聖域を)守れるはずがない」と語った。

 今後のTPP交渉の目処として、内田氏は「年内妥結の目標はおろしていない」と報告。「なぜそんなに急ぐのか?」という岩上の質問に対し、「早く妥結して、もうけたいというシンプルな理由」だと説明した。内田氏は、以前のWTOのドーハ・ラウンドで、ことごとく先進国と途上国の利害が一致せず、途上国政府とNGOなどが一体となって反対し、結果、もめて何年も決まらなかったという事例があることを紹介。「現実的に考えて、短期的にはその方法しかない」と、『ドーハ化』して「交渉を長引かせることが日本にとっていい道だ」と解説した。

 終盤、今後の取り組みについて問われた内田氏は、「(TPPが)『主権の喪失』という最終ステージにきている。NGOなどのネットワークは反対の声を消さないが、それだけでは足りない。具体的な情報共有や、政府へのロビーイングをして声をあげていくことが必要」だと訴えた。『主権の喪失』ということについて岩上は、「憲法の改悪、秘密保全法、TPPも民主主義の『死』を意味している。すべては共通している。うつむいていた交渉官の映像は、民主主義のお葬式だったのか」と批判。内田氏も「交渉会合の中は民主主義の墓場だ」と皮肉った。
(IWJ・安斎さや香)


http://youtu.be/jGtsvznLgkk


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