コンピューターが未来をどう変えるのか~人工知能の最前線から~
(ラジオフォーラム#104)
http://youtu.be/dF7jLsXbpig?t=16m55s
~16分55秒~第104回小出裕章ジャーナル
核分裂反応が生み出すもの「仮に制御でき続けたとしても核分裂生成物、いわゆる死の灰と呼ぶものが避けることなくできてしまうのです」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no104/
湯浅誠:
あけましておめでとうございます。
小出さん:
はい、不思議なことに年だけは流れるようですね。おめでとうございます。
湯浅:
今日はですね、1月のテーマは「原発はなぜいけないのか?」でございます。なんかリスナーの方の中には、何をいまさらって方も大勢いらっしゃるとは思うんですが、それ以外に実は初めて聴くっていう方もおられるとは思いますので、すみませんがお付き合い下さい。
小出さん:
はい。
湯浅:
まず、今日のテーマはですね「核分裂反応を人間は制御できるのか?」。まず、核分裂反応の核分裂とは何なのか? それと、核分裂と原子力発電というのは、一体何がどう関係してるのかっていうことについてよろしくお願いします。
小出さん:
はい。核分裂の核というのは、私達が原子核と呼ぶもののことなのですが、ずーっと長い人類の歴史の中で、所謂、元素と言うのでしょうか?水素、酸素、炭素、鉄とかですねアルミとか、そういう元素自身は別の元素には変換できないというのが、これまでの常識だったのですけれども、1938年の末になりまして、ウランという元素を別の元素、あるいは原子核に変えてしまうことができるということが発見されたのです。
Otto Hahn - 核分裂反応の発見者
核分裂反応 中性子を吸収したウラン235が、
クリプトン92とバリウム141に分裂した例。
その反応を核分裂反応と言うのですが、ウランというのは結構、大きな原子核なのですが、それが2つに、あるいは場合によっては3つに分裂してしまって、全く違う原子核、元素になってしまうということがわかりました。その時に、膨大なエネルギーが出てくるということもわかりまして、ちょうどその頃は第二次世界戦争の前夜だったわけで、それを使って爆弾をつくれないかということをすぐ考える人達が出てきたのです。
核分裂連鎖反応の概念図。
1. あるウラン235原子核が1個の中性子を吸収し、2個の新たな原子核(核分裂片)に分裂する。同時に3個の新たな中性子といくらかの結合エネルギーを放出する。2. 放出された中性子のうちの1個がウラン238原子核に吸収される。この場合は反応は続かない。別の1個の中性子は他の原子核と衝突せずに失われる。この場合も反応は続かない。しかし残りの1個の中性子は別のウラン235原子核に衝突する。この原子核は核分裂を起こして2個の中性子と結合エネルギーを放出する。3. ここで放出された中性子は2個とも別のウラン235原子核に衝突し、それぞれ核分裂を起こして1~3個の中性子を放出する。こうして反応が持続する。
結局、何ができたかと言えばいわゆる原爆。日本というこの国は広島と長崎に2発の原爆を落とされて、たくさんの人々が苦難のどん底に落とされるということになりました。
それを見てですね、原爆というのはものすごいと、普通のこれまで人間が使ってきた爆弾とは全く違う爆弾だということにみんなが気が付いたわけですし、これまで使ってきた薪であるとか、石炭であるとか、石油であるとか、そんな反応とは全く違うエネルギーが出るのであれば、それを人類の平和のために使えるのではないかというような期待までが生まれてしまったのです。
で、それで生み出されたのが原子力発電という技術で、実は私自身も「原爆は悪いけれども、核分裂のエネルギーを人類のために使いたい。原子力発電をやりたい」と思ってしまった人間なのです。
湯浅:
夢のエネルギーだということで、発電に応用されたのが原子力発電だと。
小出さん:
はい。
湯浅:
で、小出さんも青年の若かりし小出青年はその夢にかけたということですね?
小出さん:
はい。その通りです。愚かだったと思いますけれども、核分裂反応に夢を抱いてしまいました。
湯浅誠: その夢のエネルギーが夢じゃないということになっていったのは、核分裂が結局コントロールしきれないということに、いつかわかったからということなんですかね?
小出さん:
はい。たくさんの理由がありますが、もちろん今、湯浅さんが言って下さったように、核分裂反応を人類がコントロールできない場合があるだろうと。もし、そうなってしまうと大変な被害が出てしまうので、そういう技術は使うべきでないと私は思うようになりました。
湯浅:
ほかにどういう懸念点というか?
小出さん:
たくさんありますけれども、仮に制御でき続けたとしても、核分裂反応というものを使ってしまいますと、核分裂生成物、いわゆる皆さんが「死の灰」と呼ぶものが避けることなくできてしまうのです。
そのできる量たるや膨大な量ができてしまいまして、例えば今日では100万キロワットという原子力発電所が標準になったのですが、その原子力発電所1基を1年運転させるためには、1トンのウランを核分裂させる。そして、1トンの「死の灰」ができるわけですけれども、広島原爆で核分裂させたウランはわずか800グラム、まき散らした「死の灰」も800グラムだったのです。
つまり、原子力発電所というものは1基を1年運転させるごとに、広島原爆がまき散らした死の灰のゆうに1000発分を超える死の灰を避けることなく生み出してしまうという、そういう機械なのです。
福島第一原子力発電所はそれを今、環境にまき散らしてるわけですけれども、仮に大きな事故にならなかったとしても、生み出した核分裂生成物は消えないし、それを消す力を人類は持っていない。その毒物は10万年、あるいは100万年どこかに閉じ込めなければいけないという毒物であって、私達の世代がなんか電気が欲しいと言って原子力を使ってしまうと、10万年、100万年後の私達の子々孫々に、その毒物を押し付けるということをやってしまうことになります。そんなことは、到底許されないだろうと私は思います。
湯浅:
なるほど。10万年後、100万年後まで子々孫々に影響を与え続けるということを止めなきゃいけないので、ずっと遡って今、原発を止めないといけないということになるということですね。
小出さん:
今すぐに原発を止めたとしてもですね、日本という私達の国では1966年から原子力発電というのを始めてしまいまして、すでに今日までに、広島原爆がまき散らした死の灰の130万発分を作ってしまった。
湯浅:
130万ですか。
小出さん:
はい。もう気が遠くなるというかですね、その危険をどうやって考えていいかわからない程のものを既につくってしまったのです。私達の世代、何十年かのこの間の「何か電気が欲しい」「豊かに生きたい」とかいう、そういう欲望のもとにですね、
ほんとに信じがたい程の毒物を生んでしまい、それをこれからの子々孫々に押し付けなければいけないということになってしまっているのです。もうほんとにいい加減に目を覚まさなければいけないと私は思います。
田中正造
湯浅:
新年早々、気の引き締まるお話ありがとうございます。
小出さん:
いえ。
湯浅:
今年も引き続き考えていきたいですね。
小出さん:
はい。
湯浅:
小出さん、どうもありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
E=mc^2 ~アインシュタインと世界一美しい方程式~ 4
http://youtu.be/5Lk-kElNdyk
閲覧注意
世界は恐怖する死の灰の正体
http://youtu.be/yCk2Qf6RA_s
亀井文夫監督「世界は恐怖する 死の灰の正体」(書き起こし)
http://ameblo.jp/chihointokyo/entry-11147185294.html
1957年制作原水爆実験後の日本の実態
単位換算
1キュリー(Ci)=約370億ベクレル(Bq)、
1マイクロキュリー(µCi)=約37,000ベクレル(Bq)
1マイクロマイクロキュリー(µµCi)=約0.037ベクレル(Bq)
1レントゲン=約10ミリシーベルト
例
ストロンチュウム90が115マイクロマイクロキュリー=約4ベクレル
セシウム137が240マイクロマイクロキュリー=約9ベクレル
1,500レントゲン=約15,000ミリシーベルト=15シーベルト
オンカロ 「地下深く 永遠に ~10万年後の安全~」
http://v.youku.com/v_show/id_XNDI4MDg2NDA4.html
各国が頭を痛める原子力発電所の廃棄物問題。北欧のフィンランドが世界に先駆け、核のゴミの最終処分場の建設に乗り出している。「オンカロ」(フィンランド語で「隠し場所」)と呼ばれる処分場は、太古の岩盤層を深さ500mまで掘り下げた先に作られ、施設が国内で排出される核廃棄物で満パンになる約100年後に、入口を完全封鎖されるという。
核廃棄物の最終処分が難しい理由は、実はその先である。廃棄物が出す放射線が、生物にとって安全なレベルに下がるまで、欧州の基準では少なくとも10万年かかるとしている。つまりオンカロは、人類の歴史にも匹敵する膨大な歳月の間、安全性の確保が求められるのだ。革命や戦争が起きたり、気候や地殻の大変動に見舞われたりしたとしても・・・
最も危惧されているのは、今の人類が姿を消したあとの未来の知的生物が処分場に侵入し、放射線が漏れ出してしまうシナリオだという。そうならないよう、近づくと危険だという警告を伝えた方がいいのか?しかし、どうやって?あるいは何もせず、記憶から消し去ってしまう方がいいのか?原子力というパンドラの箱を開けた人類が直面する難問を描く。
2010年 国際環境映画祭(パリ)グランプリ受賞作品
原題:Into Eternity
制作:Magic Hour Films (デンマーク 2010年)
必聴です!
20141231 報道するラジオ年末特番『もう、だまされないぞ!2014』
http://youtu.be/tKn3AelBRBg
「世界で最も厳しい規制基準にだまされないぞ!」
木野龍逸さん、おしどりさんをスタジオに招いて東電記者会見や再稼働について議論します。
小出先生には様々な疑問にお答え頂きます。
【20:00~】
京都大学原子炉実験所 小出裕章
ジャーナリスト 木野龍逸
夫婦漫才師 おしどり
ある学者は福島県民を前に、「自分は安全と言っていない。安心を語っている」と言い放った。国民は愚かだから、事実を伝えてはいけない。。彼ら々の傲慢のせいで、何百万人が無駄に被曝したのか。
国民を常に監視せよ
「件名 平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)
これは、経済産業省傘下の資源エネルギー庁が、ある事業について入札を行う際の条件を公示した「仕様書の一つである
驚くのは、その「事業目的」の項だ
(ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力等に関する不正確な情報又は不適切な愉報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し。又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する)
つまりこれは、経済産業省=資源エネルギー庁による「ネット監現」事業の人札仕様書なのだ。
この事業の人札に関する説明会が行われたのは6月のことで、7月13日に人札、同15日に開札が行われ、すでに請負業者も決定しているという
この問題を厳しく批判しているジャーナリストの岩上安身氏はこう語る。
「これは私か最初にツイート(=ツイッター上で発言したことで人きな波紋を呼びました。7月14日にこの問越を発信して以来、どんどん関心が集まっていて、資源エネルギー庁に問いわせをして、一部始終をツイートしている人もいます。
税金を使い、モニタリングという名目でツイッターを監視し、それに対する想定問答集を作っているわけですから、これは検閲と同じこと。われわれはツイッターで政府を監視、批判していますが、国民の側か政府に監視されるいわれはない。こんな馬鹿げたことはやめるべきです」
本誌は前号で、文部科学省の管轄下にある財団法人・日本原子力文化振興財団が、国民に原子力を安令だと思い込ませるための「洗脳マニュアル」を作っていたことを報じた。
何か何でも原子力を椎進したい勢力は、国民のことを〈停電は困るが、原子力はいやだ、という虫のいいことをいっている〉連中だと侮蔑した上、そんな愚かな大衆には〈繰り返し繰り返し広報〉を行い、安全神話にどっぶり漬からせるべく情搬操作をしてきた。
だが「確率は1億年に1回もない」と関係者が豪語してきた原発事故は現実に起きた。福島第一原発は、巨大地震と津波の前に脆くも崩壊し、日本は国土の一部を半永久的に失ったのだ。
にもかかわらず━━━。原子カムラの住民たちには、何の反省もない それどころか、原発事故と放射能汚染について意見交換している一般市民を「常時」監俔し、税金を投人して再び安全デマを強調しようというのだから、呆れてものが言えない。
実は、資源エネルギー庁が行っている「監視」の対象はツイッターだけに止まらない。彼ら原子力関係者にとって、「監視」と「世論操作」は、いわば日常的作業なのだ。
「件名 平成22年度原子力施設立地推進事業(即応型情報提供事業)」
そう題された、もうひとつの人札仕様書がある。
(事業目的 資源エネルギー庁のホームページで、国の原子力政策に係る総合的な情報について、広く国民に対しエネルギー・原子力に関する理解を促進〉く新聞、雑誌などの不適切・不正確な愉報への対応を行うため、全国紙、原子力政立地地域の地方新聞や資源エネルギー庁から提供する資料について、専門的知見を活用して分析を行い、不正確又は不適切な情報があった場合には、国として追加
発信すべき情報又は訂正情報の案を作成してホームページに掲載する〉
つまり原発事故の前から、新聞や雑誌といったメディアの監視も、公然と行っていたのである。
「この監視事菜を、’08年度は社会経済生産性本部が2394万円で、’09年度は日本科学技術振興財団が1312万円で、’10年度は財団法人エネルギー総合工学研究所が976万円で受注しています。日本科学技術振興財団は東京・九段の科学技術館を管理・運営していて、同財団の評議員には電気事菜連合会の木村滋副会長(東京電力取締役)、理事に東電の勝俣恒久会長が名を連ねています」(全国紙経済部記者)
まさに、ズプズブの関係。’10年度に事業を受注した「エネルギー総合工学研究所」も分かりやすい団体で、この財団は、あの班目春樹・原子力安全委貝長が、昨年まで理事として名を連ねていた。さらには束京電力の荒木浩元会畏や、関西電力の八木誠現社長(電気事業連合会会長)ら電力会社のトップも、同じ頃に理事を務めている。
つまり、資源エネルギー庁が税金で監視・情報操作を実行↓資金は電力会社幹部・御用学者に還流、という構図がそこにある。まさしく。お手盛り・である。
有名人のプログも監視
本誌が資源エネルギー庁の広報担当者に、どういうつもりでネットやマスコミの監視をしているのか問い質すと、こう答えた。
「原発事故で関東に避難してきた福島県の子供が「放射能が伝染する」とイジメられたり、福島ナンバーの車がボコボコにされるなどの嫌がらせがあり、福島県民が心を痛めています。
ツイッターでの情報の広がりはもの凄く早いので、こうした風評被害を防止するためにもモニタリングを行い、正確な情報に基づいたQ&A集を作成して、エネ庁のホームページに掲載することにしたんです」
担当者は、あくまで「風評被害」を防止するための措置であり、「言論統制」や「情報操作」を行う意図はないと主張する。
「(監視する)不適切な情報とはどんなものか、それは今後定義付けしていきたいと思っています。調査の方法については、特定のキーワードを入れて検索したうえ、内容を調べます。また、世論に影響力のある人のブログやツイッターはチェックします」(広報担当)
反応を見ても分かるように、言論を監視することに対するエネ庁サイドの罪悪感は、まったくと言っていいほどない。原子カムラの利権を守るために、税金を使って言論統制を図る。それが異常であるという認識が、ほとんどないのは恐ろしい。
「そもそも「メルトダウンはしていない」とか、不正確な情報を垂れ流してきたのは政府のほうです。エネ庁に、「間違った情報をチェックして正す」なんて言う資格はありません。ツイッターやネット、メディアの監視をする前に、自分たちがやってきた行為をまず自己批判すべきです。
政府がもっと早く正しい情報を公表していれば、市民は無用な被曝をせずに済んだはず。政府が信用できないから、市民は自助努力で情報を集め、ツイッターなどでやり取りしているのです。そうした人たちを、「風評被害だ」と監視しようというのは、「政府は正しくて市民は正しくない」という、上から目線の傲慢さも感じますね」(社民党・福島瑞穂党首)
今後は、ネット上で「原発」「放射能」などのキーワードで引っかかるブログやツイッターは、高い確率でエネ庁の。工作員・に監視されることになる。彼らは「見ているだけ」と主張するが、それだけで市民にとっては十分な脅威となる。ただでさえ、国民全体が震災の後遺症と原発事故の影響に苦しんでいるのに、自由な言動もままならない。まったく寒い時代だ。
ここでもうひとつ指摘しておかなければならないのは、この「言論統制」は、原子力推進関係者の「情報操作」と一体になっていることだ。
前出の「即応型情報提供事業」の事菜内容を見ると、「当庁(エネ庁)のホームページを用いた情報発信事業」として、次のようなことが書かれている。
〈一般国民が、HP検索エンジンにおいて、「原子力」、「放射線」、「処分場」等といったワードを用いて検索を実施した検索結果において、HP「原子力AtoZ」が上位にランクされ、閲覧へとつながるよう改善策を提案すること〉
現在は、福鳥第一原発の事故後に関連ワードの検索回数が激増したため、この「なるほど! 原子力AtoZ」というエネ庁のHPは上位にこない。また、どういうわけか、HP自体が「現
在改定中です」として、閲覧できなくなっている。
ただ、そうした。御用HPに、どんなことが書かれているかは、他の原子力関連のHPや資料を見れば、簡単にうかがい知ることができる。いわゆる「安全神話」の押し付けだ。
悪魔のパンフレット
たとえば、経済産業省所管の財団法人・日本立地センターは、原発立地地城の住民向けに「夢」、同じくそれら地城の中学生向けに「ドリーマー」という原子力情報誌を発行している。
「夢」は約10万部、「ドリーマー」は約4万8000部発行というから、影響力はそれなりにあるだろう。そこでは、こんな話のオンパレードだ。
「空気中にはラドンなどの天然の放射性物質があります!」(「夢JU年12月号」「世界中の食品で放射線が役立つ。ている1」(同り年3月号)
「プルサーマルで使うMOX燃料は、ウラン燃料と同じように安全に使用できます」(同加年12月号)
ソッとするのは、中学生向けという「ドリーマー」である。この情報誌は、毎回原子力関連のテーマを決め、子供たちのイラストを募っているが、そこにはこんな言葉が躍っている。
「高レベル放射性廃棄物は地層処分で私たちには害がありません(14歳)」
「地下だったら自然災害でも安全だねえ!(15歳)」
「プルサーマル導入計画進行中1(15歳)」
「電気の廃楽物を処分するための方法がくわしく分かって良かったです。日本では影響の少ない地層処分だと分り安心しました(中2)」
彼らはおそらく、各地の原発で働く電力関係者の子女や、立地自治体に住む子供たちだろう。彼ら・彼女らは、大人から教えられた
ことを無邪気に信じて、こうした原子力礼賛イラスト&文章を「書かされて」いるのだと思われる。だが、無垢な子供を「安全神話」でどっぷり洗脳し、長期的な視点で世論操作をしていこうという発想には、うすら寒いものを感じざるを得ない。
前号で紹介した「洗脳マニュアル」には、〈教科書を厳しくチェックする〉という項があったが、まさにそれを地で行った、若年期からの洗脳教育が、ここで現実に行われているわけだ。
実は、こうした情報操作をしているのは、原子力発電に直接関わる、経産省や資源エネルギー庁、文部科学省だけではない。
次に、上のパンフレットを見て欲しい。
「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします。~水と空気と食べものの安心のために~」
こう題されたパンフレットは、原発事故後の4月初めに厚生労働省が300万部も刷り、福島や東北、関東地方を中心にぱら撒かれたものだ。だが、そこに書かれているのは、まさに”安全デマ”を拡散するためのもので、一部の医療関係者の間では。悪魔のパンフレット゛と呼ばれている。
厚生労働省医系技官の木村盛世氏はこう語る。
「このパンフレットには、食べ物も飲み物も、子供を外で遊ばせることも、とにかく「全部、安心です」と書いてあります。これは犯罪ですよ。どこを読んでも科学的根拠はまったく示さ
れていません」
たとえばパンフでは冒頭から、「国は、国民のみなさんの健康を考えた安全な基準をもうけて対応しています」などと書かれており、そこからして、いかにも胡散臭い。
「放射線がおなかの中の赤ちゃんに影響を及ぼすことは、まず、考えられません」
「赤ちゃんはもちろん、小さなお子さんに対しても特別なご心配はいりません」
「お子さんを外で遊ばせることについて、心配しすぎる必要はありません」
そんな具合に、「安全・
金子勝×大竹まこと×室井佑月「安倍政権の狡猾な原発事故対応」
http://youtu.be/yS610VPkyaU
原発事故 国家はどう補償したのか~チェルノブイリ法 23年の軌跡
http://dai.ly/x24e6j8
NHK ETV特集 2014.8.23.
ウクライナでは28年前に起きたチェルノブイリ原発事故で広大な土地が放射能に汚染され200万を超える人々が被災した。事故の5年後、政府は「チェルノブイリ法」を制定、追加被ばく線量が推定で年間1ミリシーベルトを超える地域を汚染地域に指定し、被災者を次世代まで救済することを決めた。しかし膨大な支出が財政を圧迫、支給金額は2割以下しか実現できていない。理想を高く掲げたチェルノブイリ法のルーツと今に迫る。
むっちゃんの幸せ~福島の被災犬がたどった数奇な運命
http://dai.ly/x26h2z0
NHK 2014.9.23.
2011年3月の東日本大震災で福島県楢葉町の飼い主と離れ離れになってしまった「むっちゃん」という犬。ボランティアの手で被災地から助け出され、栃木県那須塩原市の被災動物の保護施設で1年を過ごした後、神奈川県横須賀市の老人ホームに引き取られた。いつ命を落としても不思議ではなかった「むっちゃん」は多くの人たちの小さな善意の積み重ねによって生き延びることができた。「むっちゃん」の波乱万丈の物語を紹介する。
新年企画「不屈の詩(うた)」 窪川原発を止めた人・島岡幹夫さん
(東京新聞【こちら特報部】)2015年1月1日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015010102000134.html
戦後七十年。敗戦やベトナム戦争、福島原発事故など戦後史の節目で、常に問われてきたのはこの国の市民社会だった。個人に根ざした社会は成熟せず、いじめに端的な「長いものに巻かれる」精神はいまも支配的だ。しかし、孤立を恐れず、周囲に警鐘を鳴らし続けてきた人びともいた。きな臭さが一段と増す現在、そうした人びとの不屈の歩みから、大切な教訓を学びたいと思う。
蛇行しながら静かに流れる四万十川の水面に、沈む夕日が反射する。「川底まで見える。きれいだろ」。島岡幹夫(七六)が透き通った水を手ですくい上げた。
「この水のおかげで海で魚が捕れ、陸で作物が育つ。だから、原発に売り渡すわけにはいかんかった」
島岡が生まれ育った高知県窪川町(現四万十町)で原発誘致が持ち上がったのは一九八〇年六月。当時の町長が誘致を表明した。
その十八年前、島岡は母親を乳がんで亡くした。放射線治療の副作用に苦しむ母の姿がまぶたに焼き付いていた。八歳で経験した南海大地震(四六年)の記憶もあった。「もし、原発が事故を起こしたら、放射能が川にも田んぼにも降り掛かり、故郷が壊れる」
誘致表明の数年前から、原発話は水面下で動いていた。島岡は農業の傍ら、自民党員として窪川町の広報責任者を務めていたため、そのことを知っていた。
その島岡が「保革の枠を超えて」と旗を掲げ、反対派を組織した。誘致表明直前の八〇年五月、共産党主催の集会で訴えた。ちなみに島岡は若い時に四年間、大阪府警に勤めていた。共産党のデモの警戒に当たったこともあったという。
その集会で、島岡は「町の有権者は一万三千人で原発反対の共産、社会、公明支援者は千人ずつのみ。残りは自民だ。政党の理念で反対しても、数でたたきつぶされる」と訴えた。
誘致表明した町長の解職直接請求(リコール)運動に取り組んだ。自宅の牛舎の二階に畳を敷いて急造した「土佐黎明舎」と名付けられた広間が拠点だった。八一年三月に賛成約52%、反対約48%の僅差で、リコールが成立。原発推進派の町長が解職された。
だが「勝った」という安心感が、島岡ら反対派の足をすくった。四十日後の町長選では前町長が、原発立地は住民投票で決めると戦術を転換し、約54%を得票して返り咲いた。
「リコールが成立して少し気を抜いたら、ころっと負ける。力が抜けた」
ただ、八三年の町議選(定数二二)では、島岡も含めて反対派が十人当選。賛成派は十二人いたが、それまで八割以上が賛成派だった町議会の構成を大きく変えた。
その後もせめぎ合いが続いた。右翼の街宣車も現れた。スーパーマーケット店員の男性(四〇)は「家族内でも賛否が割れていた。まさに町が二分されていた」と当時を振り返る。
身の危険にさらされたこともあった。「町で急発進した車にひかれそうになった。電柱の陰に飛び込んだが左足をひかれ、いまも足が曲がったまま。演説中、賛成派の漁師に右脇腹を刺されたこともあった」。自宅には「おんしの家に火を付けるぞ」といった脅迫電話が毎晩かかってきた。
孤立20年超 「原発あっても町栄えぬ」
故郷の自然手放せぬ
八六年四月、チェルノブイリ原発事故が起きた。潮目が変わった。推進派は「日本であんな事故は起きない」と安全神話を持ち出したが、事故が報道されるにつれ、島岡の言葉に耳を傾ける人たちが増えた。
翌年十二月、立地候補地に近い漁協が立地調査の実施を拒否。八八年三月の町長選で、推進派の後継候補が敗れ、反対派が推す候補が初当選した。同年六月、町議会が「これ以上は原発の話をしない」という趣旨の終結宣言を全会一致で決議し、原発騒動は反対派の勝利で幕を下ろした。
ところが、島岡を待ち受けていたのは苦難だった。
「島岡は町政混乱の元凶じゃ」。周囲の目は冷たかった。「町中を歩いても、誰も話し掛けてくれない。町議として県庁へ要請に行っても、誰も取り合ってくれない。原発反対で一番目立っていたのは俺だから、風当たりがきつかった。村八分。犯罪者扱いだ」
時間の経過とともに、反対派の仲間からさえ、「原発があった方がよかったんじゃないか。ほかの町では建てているじゃないか」という声が漏れてきた。
「身近な人までもが半信半疑だったのかと思うと、やりきれなかった」
原発誘致の阻止後も町議を務め続けたが、原発騒動の終結を宣言した手前、反対論を町内で強調することははばかられた。原発反対への懐疑論が少しずつ広がっていく中で、声を上げることができなくなった。
「故郷を思って打ち込んできた十年以上の時間がばからしくもなったし、自分が間違っているんじゃないかと疑った時もあった」
だが、世論の転機は再び訪れる。一一年三月の福島原発事故だ。これで窪川町民の島岡評は一変した。
福島事故後「英雄扱いに戸惑い」
「原発を止めてくれてありがとう」「おまんのおかげで高知は安心じゃ」「窪川のヒーローじゃ」と言われ、握手も求められた。
町民のタクシー運転手の男性(五〇)は「私は推進派だったけど、いまは原発がなくてありがたい。いま思えば、当時は後先考えずにやっていた」と話す。
島岡は「それまで俺を避けた人が、事故後は途端に二コニコ。その手のひらの返し方に戸惑った。生きている間に評価されるとは思わなかった。やっと分かってもらえたという気持ちの半面、何をいまさらという思いもあった」と言う。
とりわけ、「英雄扱い」には閉口した。「福島の悲劇はつらく悲しく、その土地の人を思うと心が痛む。俺はヒーローなんかじゃない。福島の人たちを救うことができなかった。むしろ情けなくなった」
町外での講演は、求めに応じて福島事故前から続けてきた。現在も月に一~二回、講演する。そこでは必ず「カネは一代、生命は永遠。原発があっても、町が栄えることはない。原発の危険と引き換えの補助金に頼って生きるより、豊かな自然を子孫に」と語る。
その思いは現在、地元での子どもたちとの活動にも反映されている。
昨年末、島岡は地元の小学校近くにある林で、児童らと一緒にアジサイの苗木を植えた。「この活動も、原発反対と根は一緒だ」
最近は地元の子どもたちでも、林の中に入ることは少ないという。「これじゃあ、自然を通して地元を愛する気持ちは生まれてこない。郷土愛がないと、また原発に故郷を売ろうという連中が出てしまう」
子どもたちが土いじりに悪戦苦闘する姿を目の前にして、島岡はこうつぶやいた。「故郷を愛する気持ちが連綿と続くように若い世代に教えていかんと。そのためには、自然に触れあうことが一番じゃ」
(白名正和、文中敬称略)
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小出裕章先生:もうほんとにいい加減に目を覚まさなければいけないと私は思います
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