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小出裕章先生:残念ながら経験が活かされなかった・・必要な費用を削った

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戦争をどう記録し伝えていくか(ラジオフォーラム#86)

http://youtu.be/L1BMxOgDtDk?t=12m28s
12分28秒~第85回小出裕章ジャーナル
日本初の原発死亡事故(美浜原発事故)から10年を迎えて「壊れた時には、配管が腐食と摩耗で、わずか0.4ミリしかなかった。そういう状態だったのです」

http://www.rafjp.org/koidejournal/no85/
石丸次郎:
今からちょうど10年前に起こった重大事故について振り返ります。2004年の8月に福井県にある関西電力美浜原子力発電所で、5人の作業員が死亡するという重大事故があったことを覚えてらっしゃいますでしょうか?
美浜原発 2004年蒸気噴出事故

事故からちょうど10年を迎えました。今日は、この日本の原発の事故で初めて死者が出た関西電力美浜原発事故を振り返り、改めて事故の教訓について考えたいと思います。

10年前に、この美浜原発で起こった事故というのは、私の解釈で言えば、簡単に言えば、核エネルギーの熱で沸かした熱湯が通る配管が破裂して、水蒸気と熱水を浴びた作業員が亡くなったという、そういう事故。こういう理解をしてるんですけど、これでよろしいでしょうか?

小出さん:
はい。基本的にはその通りですけれども、ウラン核分裂して、まず水を温めるのですが、この事故が起きた水は、実はその水自身ではなくてですね、2次系と言われているタービンを回した蒸気がまた水に戻って、それが蒸気発生機に送られるという、途中の配管が破れました。
美浜3号炉事故の全体像と課題

石丸:
当時、小出さんは、この事故を受けてリポートのような物を作っておられるんですけれども、初めての原発における稼働中の死亡事故の報を聞かれた時、そして原因について、だんだん状況が明らかになった時は、どういうふうに感じられましたでしょうか?

小出さん:
まずは、5人の方々が亡くなったのですが、いわゆる関西電力の社員ではなくて、そのひ孫請けという所の方々が犠牲になりました。140度という高温の水が10気圧という圧力がかかった状態で配管の中にあったのですが、その配管が一気に大きく穴が空きまして、大量の高温の水と蒸気が、音速に近いような形で吹き出してきたのです。
作業員十一人の発見時の状況
それを浴びて、あるいは吸い込んでという事で、ほとんど、たぶん4人の方は一瞬のうちに絶命したと私は思います。残りの1人の方は、全身の9割に火傷を負って重体になっていたのですが、やはり、その後、半月ほど苦しい戦いをした後で、お亡くなりになってしまったという事になりました。まことに苦しい形で命を奪われたんだろうなと、まずは感じました。
そして、その原因が一体何なのかという事をまずは知らなければいけないと思って、私自身も調査を始めたのですが、あまりにも馬鹿げたというかですね。もともとは、1センチもあるような分厚い配管だったわけですけれども、
2次系主給水配管曲がり部の減肉について
復水管破損箇所
壊れた時には、もうその配管が腐食と水による機械的な摩耗ということで、わずか0.4ミリというような厚さしかなかった。 それに、全く気が付かない、検査もしないまま、何10年も来ていたという、そういう状態だったのです。
2004年蒸気噴出事故破裂箇所

石丸:
やっぱり、これは怠慢、杜撰(ずさん)のために起きた人為事故という他ないですね。

小出裕章ジャーナル

小出さん:
まさに、そうですね。ほんとであれば、キチッとした検査体制を作ってやるべきなのですけれども、検査にお金がかかるという事で、関西電力も検査の費用を次々と削減してきてしまっていました。そのために、キチッとした検査も行わないまま事故に突入してしまったのです。
2004年蒸気噴出事故 突然蒸気「助けて」
怒りをぶつける高鳥裕也さんの父
頭を下げる藤社長の顔をのぞきこみ怒りをぶつける高鳥裕也さんの父、実さん。右は母の千津江さん=10日午後7時50分ごろ、小浜市北塩屋

石丸:
この美浜の事故の教訓というのは、2011年の福島の事故まで活かされていたとお考えですか?

小出さん:
残念ながら活かされていなかったわけですね。検査ということも、どんどんどんどん手を抜く方向に来たわけですし、福島の場合にも、本当だったら事故の時には使わなければいけないようないわゆる、事故時の装置があるのですけれども、そういう装置の点検もしなければ、運転の訓練もしていなかったという事が福島の事故でも起きました。
非常用炉心冷却系

ですから、今、石丸さんが聞いて頂いたように、「経験が活かされたか?」という問いであれば、「残念ながら活かされなかった」という事になると思います

石丸:
なるほど。この10年前の事故、2011年の福島の事故があまりにもですね甚大すぎて忘れがちになられかねないんですけれども、考えてみると、10年前すでに関西電力の美浜原発事故で我々が考えなきゃいけない大きな、やっぱり杜撰な管理体制があったっていうこと。これは、忘れてはならないというふうに思います。小出さん、今日はどうもありがとうございました。

小出さん:
ありがとうございました。


※美浜原子炉の燃料棒をめぐる問題(1)今中哲二・小出裕章
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/100/PDF/Mihama1.pdf

※美浜原子炉の燃料棒をめぐる問題(2)今中哲二・小出裕章
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/100/PDF/Mihama2.pdf



福島の原発訴訟
97年「津波高さ2倍」国、資料提出したが…
大震災級の10メートル津波

「2000年想定あるはず」
東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡2014年8月24日

福島第一原発事故をめぐる損害賠償請求訴訟で、原告が求めてきた津波の高さ想定を2倍に引き上げて分析した資料を、国 が提出した。非常用ポンプの水没などの記載がある。たた、資料は1997年のもので、原告側は「2000年に東日本大震災規模の津波を想定した資料も存在するはず」と、あらためて国に提出を求めている。
(白名正和)

福島の原発訴訟大震災級の10メートル津波2000年想定

 除染や損害賠償を求めて訴えているのは「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟」原告団の約2600人。
 この訴訟で、国は先月、上申書と添付資料を提出した。上申書には「電力会社らから提出されたと認められる資料」と説明があり、資料には「平成9年7月25日」の記載がある。
 資料の中で「津波」と明記されているのは、「7省庁津波評価に係(かか)わる検討結果(数値解析結果等の2倍値)について」と題した表だ。福島第一原発を意味する「1F」は津波の2倍値が「9.5m」、検討結果は「非常用海水ポンプのモーターが水没する」と記載されている。
 1993年の北海道南西沖地震後、97(平成9)年に旧建設省や気象庁など7省庁が津波対策を見直したことと関係する資料のようだ。原告側の馬奈木厳太郎弁護士は「旧通商産業省が津波想定を2倍に引き上げるように電力会社に要請したことを受けての試算ではないか」とみる。
 「『太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査』への対応について」という表題の文書もある。この調査も北海道南西沖地震を受けたもので、旧建設省など4省庁による調査の名称だ。文書には、「十分な精度とは言えない検討結果を基に想定しうる最大規模の津波の数値を公表した場合、社会的に大きな混乱が生ずる」「具体的な数値の公表は避けていただきたい」と、電力会社の要望らしい文言が並んでいる。
 ただ、この資料を見ただけでは、福島第一原発が受ける被害想定ははっきりしない。「こちら特報部」は法務省に対し、資料内容の説明を求めたが、担当者は「次回期日(の口頭弁論)で必要な範囲で回答を予定している」と回答した。
 原告は13年3月の提訴以降、津波の想定高さを2倍に引き上げた資料の提出を国に求め続けてきた。これまで、国は「当時の資料が現存しない」などと主張していたが、先月になって突然、今回の資料を提出した。
 しかし、「原告が求めているのは、電力会社らでつくる電気事業連合会(電事連)が00年2月に国に提出した資料だ」と久保木亮介弁護士は言う。
 資料が存在する根拠は、国会事故調査委員会報告書の添付資料だ。各原発ごとに、津波の高さ想定を1.2倍、1.5倍、2倍にした表がある。福島第一原発は3想定全てに、海水ポンプモーターが止まり冷却機能に影響が出るという意味の「✕」が付いていた。
 表に記載はないが、報告書の本文には、福島第一原発の「1.2倍」は「5.9~6.2メートル」とある。この数値で計算すると、高さは最大10.3メートル。福島第一原発の敷地がある海抜10メートルを上回る。
 電事連は「当時の資料が残っていないので分からない」と言うが、久保木弁護士は「国の要請で電事連が想定したのだから、国に報告してなければおかしい」と主張する。馬奈木弁護士は、「今回出てきた97年よりも新しい00年の資料も残っていると考える方が自然だ。国は資料を出すべきだ」と訴えている。



氷のフタが凍らない!
汚染水対策320億円が溶けて消える

日刊ゲンダイ2014年8月22日
氷のフタが凍らない!汚染水対策320億円が溶けて消



川内原発 要援護者の避難計画
また後退 規制庁「5キロ圏」

東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡2014年8月23日

再稼動を急いでいる九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の避難計画で、入院患者や老人施設の入所者など「要援護者」が置き去りになっていることが分かった。国の指針では、30キロ圏での避難計画作成が求められているが、県は要援護者については10キロ圏に限定する方針。原子力規制庁は「5キロ圏」とまで言い出している。
(鈴木伸幸)

川内原発要援護者の避難計画また後退規制庁5キロ圏

 再稼動に一番近いとされる川内原発。国の原子力災害対策指針に基づき、同原発から30キロ圏の9市町村は、昨年末までに住民の避難計画を作成した。
 ただ、要援護者については、病院や施設に計画作成は任されている。県の指導で、10キロ圏の17施設でようやく完了したが、10キロ圏外では作成できていないところがほとんどだ。
 再稼動に前向きな鹿児島県の伊藤祐一郎知事は今年6月、国の指針を無視し、要援護者については「10キロ圏内の避難計画で十分」「30キロ圏は現実的ではない」との認識を示した。事実上の地元自治体による再稼働の後押しに見える。
 こうした中、原子力規制庁はどういう姿勢を示しているのか。
 「原子力規制を監視する市民の会」などはこの間、規制庁の担当者らと質疑を重ねてきた。今月21日までの質疑で、原子力規制庁の担当者らは要援護者の避難計画について、5キロ圏外なら「必須ではない」「事故(発生)後に調整する仕組みがあればいい」と発言してきた。つまり、監督庁自体が、県の緩い方針を一段と緩めている。
 21日に参院議員会館で開かれた質疑では、市民団体側から「(5キロ圏外の)要援護者の施設の避難先を決めない理由は」「調整する仕組みとは何か」といった質問が出された。
 これに対し、原子力規制庁の担当者は「要援護者の状況や病状が変化するため、決められない」「調整は県のコンピューターシステムによる」「避難先の候補リストはあるが、(相手側の)了解は得ていないと思う」などと回答し、参加者たちを驚かせた。
 要援護者の避難については、原子力災害対策指針に「自力避難が困難な災害時要援護者に対する配慮が必要である」と明記されている。指針には、福島原発事故で要援護者が長時間の避難所生活で疲弊したり、受け入れ先の施設で十分な対応を受けられなかったことへの反省がある。

再稼働ありき 弱者ないがしろ

 さらに昨年10月に発表された国の「共通課題についての対応指針」では「避難準備重点区域内(30キロ圏内)にある医療機関や社会福祉施設等は、入院患者・入所者の避難に関する計画をあらかじめ作成する」と具体的に明記された。
 原子力規制委員会は先月16日、川内原発について新規制基準を満たすとする審査結果案を了承した。ただ、避難計画は原子力規制委の審査対象ではない。
 原子力規制庁など政府との質疑に参加した国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花理事は「川内原発の再稼働に向けたスケジュールがすでにできあがっていて、それに間に合わせるために国の指針までが、ないがしろにされているようだ」と懸念する。
 「ハードルを下げてでも再稼働させようとする鹿児島県と原子力規制庁のやり方が許されるのなら、何でもありになる。福島原発事故の反省と教訓はいったい、どこに行ったのか」



原発延命コスト 国民に 高い発電経費 国が保証検討
(東京新聞【核心】)2014年8月23日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014082302000164.html
 政府が原発の新増設や維持を支援する姿勢を鮮明にし、原発延命に躍起になっている。電力会社と政府が決めてきた家庭向けの電気料金は2016年4月から自由化されるが、原発を例外扱いにし、国民負担で採算がとれる仕組みを検討している。国が自ら定めた「脱原発依存」の方針に反し、「原発は安い」という従来の主張にも矛盾する。
(岸本拓也、吉田通夫)

原発延命コスト 国民に 高い発電経費国が保証検

自由化ゆがめ「脱依存」に矛盾

▼穴埋め

 経済産業省は21日の有識者会議「総合資源エネルギー調査会原子力小委員会」で、日本の原発延命策の参考になる仕組みとして英国が導入を決めた制度を紹介した。
 原発の建設から稼働、廃炉、使用済み燃料の処分まですべての必要経費をはじき出し、すべての消費者の電気料金に上乗せして徴収。原発の発電事業者に損をさせないよう、損失穴埋めの資金に充てる。
 原発の発電コストについて英エネルギー・気候変動省のリズ・クラーク副部長は小委員会で「(石炭など)化石燃料より高い」と語った。家庭が電力会社を選べ、料金競争がある英国で、コストの高い原発に手を出す事業者はいないが、英政府は二酸化炭素(CO2)削減対策としての原発を重視し、穴埋め制度を導入しようとしている。
 経産省は英国と似た制度があれば、自由化後も電力会社に損をさせずに原発の新増設や建て替えを促すことができるとにらみ、作業部会などで詳細を詰めていこうとしている。

▼逆行

 しかし、原発費用を特別扱いする制度の導入は4月に閣議決定したエネルギー基本計画で掲げた「原発への依存度を可能な限り引き下げる」という方針に逆行するばかりか、電力自由化の意義をも失いかねない。
 自由化後は、電力会社と新規参入事業者との競争が進み、電気料金の値下がりが期待されている。だが、英国のような支援策が導入されれば、火力や太陽光などの電源にも原発コストの上乗せを義務付けられ、原発を持たない新規参入事業者はその分不利になる。
 公平な競争環境をゆがめるだけでなく、消費者は原発を持たない新規事業者を選んでも、知らないうちに原発延命のコストを負担することになる。
 しかも、使用済み核燃料の再利用計画も最終処分場も実現のめどはなく、事故時の賠償金など、底知れぬ原発コストをどのように扱うのかはっきりしない。

議論ネット中継拒否

▼推進派

 原発の延命コストを電気料金に転嫁するような重大な議論は、国民に広く公開される必要があるが、原子力小委でひっそりと行われている。
 6月から開催されている小委には21人の有識者がいるが、大半が原発に肯定的。脱原発の委員が「原発の利点ばかり議論している」と指摘しても、「原子力は欠かせない」という多数派の意見にかき消されている。原発延命策も「(自由化で)制度が変わっても国の支援は当たり前だ」(岡素之・住友商事相談役)などと肯定する意見が相次いだ。
 議論を聞けるのはわずかな傍聴者だけで、一部の委員がインターネットによる動画中継を強く要望しているが、安井至委員長は「意見を言いにくい人がいる」などとして公開中継を拒否。議事録が出るのも会議から約1カ月後だ。議論の過程が不透明なまま国民の負担による原発推進路線が敷かれていく恐れがある。



焦点・論点
「原発の経済性」を問う

立命館大学教授(環境経済学)
大島堅一さん

(しんぶん赤旗)2014年8月25日

 原子力規制委員会が川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に「合格」をだしましたが、これをふくめて現在19基の原発の再稼働申請がでています。
 「原発のコスト」についての著書がある大島堅一立命館大学教授(環境経済学)に再稼働をめぐる経済性の問題について話を聞きました。

「原発の経済性」を問う 大島堅一

福島事故費用11兆円は国民負担

東電は破綻させ廃炉こそ”経済的”


 ―電力会社が原発事故後も再稼働をすすめようとしていることを、とうみていますか。

 電力会社か再稼働に走るのは、事故を起こしたときに自らは損害賠償費用を払わなくてもいいという仕組みを政府がつくったことが大きい。福島第一原発事故の費用とは賠償や放射能の除染の費用などですが、これを東京電力が実質払わなくてもいい仕組みをつくりました。国民にはわかりにくいようになっていますが、税金を国費として投入することと、電気料金に上乗せするという二つのやり方をとっています。それで広く国民の負担にしています。
 そういう制度をつくると、他の電力会社もいちぱん心配な事故のリスクとそのためのコスト(費用)を負わなくてもいいことになる。だから早く再稼働をして利益を上げたくなる。
 いま電力会社は火力発電を動かすとともに、原発を維持しています。原発の場合は動いていなくても燃料を水につけて冷却しなけれぱならず、放っておくとどんどん施設が劣化するので、転時の3分の2以上もの維持費がかかり、額は年一兆円以上にのぽります。動かしていない原発の維持費を国民は電気代として払っているのです。原発がいますぐ廃炉のプロセス(過程)に入れぱ維持賢はいらなくなります。これは、電気料金が下がる方向に作用します。

 ―福島原発事故の社会的出費「少なくとも‥11兆円」になるという試算を発表されました。消費税でいうと4%分以上の巨額ですね。

 そうです。「福島原発事故のコスト」の表を見てください。(大島堅一・除本理史「福島原発事故のコストを誰が負担するのか」から、岩波書店「環境と公害」7月刊)
 これは原発事故による現時点での費用が固く見積もっていくらになるか、それを誰が負担しているのかをあきらかにしたものです。大さくいって損害賠償費用、原状回復費用、事故収束・廃炉費用、行政による事故対応費用から成り立っており、合計で少なくとも11兆円にのぽります。
 この額は政府の報告書や東京電力の公式文書からつくっているので、誰がやってもこの額になります。原発は不透明な部分が多いので将来的に増えていくと思いますが、現時点での最釿資料にもとづいて算出しました。

 ―これは誰が負担することになるのですか。

 大部分が国民の負担です。東電が自力で賠償すらできなくなったため、『原子力損害賠償支援機構』(以下、支援機構」がつくられ、政府と東電の間に入っています。支援機構に政府が資金交付していますが、その原資は政府発行の交付国債で、銀行に国債を引き受けてもらい借金をして支援機構に渡している。「交付」は貸し付けるのでなく、簡単にいえば『あげてしまう』ものです。貸し付けではありません。
 東京電力は支援機構から賠償金の原資を受け取り、それ賠償金に充てている。
右から入れて左に出しているだけです。東電は11兆円のうち2兆円ほどは積み上げていますが、肝心の賠償と除染という根幹部分が税金から出ています。表面上は黒字というおかしなことになっている。これでは経営者に痛みがなく責任感も生まれません。
 借金の元本の返済は電力会社が支援機構に払っている『一般負担金』を充てますが、この分は電気料金に含めて徴収していいと経済産業省が省令の変更で決めてしまいました。ここでも電気利用者、国民の負担になっているのです。

 ―なぜこんなことになっているのですか。

 東京電力にたいして支援機構が仮に資金を貸し付けるとしたら、貸付額は5兆円、6兆円の巨額になってしまい債務超過に陥ります。それでは経営破綻してしまう。政府はそうしないために貸し付けでなく、『あげてしまう』交付にして東電を救済したのです。東電を生かし賠償の窓口を東電に負わせることで、国の責任をかわしているのです。この仕組みは民主党政権ではじまり、安倍政権で固めうれました。
 いうまでもなく福島の被災者への賠償も除染も、生活と営業を完全に回復するために必要です。そのためには加害者・汚染者の責任で支払うということが基本です。公害や薬害でもそれが経済の原則です。東電には優良な資産がいっぱいあるのでそれらを売り払い賠償に充てる。さらに投資した銀行や株主にも責任を負わせます。法的に破綻処理すれば東電という企業はなくなるが、電気供給の事業は別のところで継続できます。
 こうして事業者から出せるものはすべて出させる、それでも11兆円を超える事故のコストには足りないでしょう。そのときは国が「全部やれぱこれだけかかります」ということを国民の前にはっきりと出す、歴代政府が原発を推進してきた責任も明らかにして国民におわぴをすることが必要です。そうすれぱ国民はいかに「原発が高くつく」のかがよくわかり、税金投入の是非を判断できるわけです。「原発は安い」などといって国民をだましてはいけません。

 ―再生可能エネルギーの固定買い取り制度導入(2012年)後の状況をどうみていますか。

 変化が明らかに生まれています。制度運用の失敗とかほころぴもあり、太陽光に偏っているなどの問題がありますか、大枠では成功に向かっています。省エネ・節電をすすめるとともに、再生可能エネルギーをティクオフ(離陸)させることが必要です。
 原発推進論者は、再生エネの先進国ドイツがいま電気料金で悩んでいるなどといいますが、「悩み」のレベルかぜんぜん違います。ドイツは再生エネ普及率が全電源の28%ですでに基幹電源になっています。普及率を50%以上にのぱそうという国と、まだ1、2%の日木とではおとなと赤ちゃんほどの違いがあります。
 5月の大飯原発差し止め訴訟の福井地裁判決は、人問の生存を基礎とする人格権が憲法上最高の価値をもち、原発の稼働という経済活動の自由はその劣位にあるといいました。福島原発事故の現実をふまえたこの判決をしっかり受けとめ、原発はすぐやめるべきです。いま廃炉のプロセスに入ったほうが傷口が広からず、ずっと経済的なのですから。
(聞き手・山沢猛)


安倍原発再稼働 美味しんぼ


安倍政権打倒デモ 全国に広がる
東京新聞【こちら特報部】2014年8月24日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014082302000153.html
「安倍政権打倒」を掲げるデモが全国各地で起きている。「反政府デモ」は海外ではおなじみだが、日本では、安倍晋三首相の祖父である岸信介元首相を標的にした「安保反対、岸を倒せ」ぐらいしか思い浮かばない。特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認など個別テーマで反対しても、自民党独り勝ちの「一強多弱」の政治状況では数の力で押し切られる。それならば、国民の声で安倍首相を引きずり降ろすしかないというわけだ。
(上田千秋、林啓太、佐藤圭)

安倍政権打倒デモ 全国に広がる

自民一強 怒りの受け皿なし

 「安倍はやめろ」「ファシストうせろ」。今月2日、「安倍政権打倒」のスローガンのもと、約3000人のデモ隊が東京・渋谷の繁華街を練り歩いた。
 主催団体のひとつである市民グループ「東京デモクラシークルー」のぬらりのさん=男性、ハンドルネーム=(27)は、安倍政権への怒りをあらわにする。「立憲主義を否定し、国民の声を聞かない。極右政権、現代のファシズムだ」
 中心メンバーには、毎週金曜日に脱原発を訴えている首相官邸前デモや、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)デモに現場で直接抗議する「カウンター」活動の参加者が多い。ぬらりのさんは「政権打倒デモは、カウンターの流れをくんでいる。怒りの気持ちを肯定し、それを直接ぶつけて可視化する」と強調する。
 「安倍政権打倒」のはしりは今年3月、安倍首相が「笑っていいとも!」(フジテレビ系)に出演した際の騒動だ。JR新宿駅に面するスタジオアルタ周辺には、首相に批判的な人たちが自主的に集まった。「バラエティーに出てる場合か」と怒号が飛び、「安倍晋三は今すぐ辞めていいとも!」と書かれたプラカードも登場した。
 冒頭のデモの主催団体でもある市民グループ「怒りのドラムデモ」は5、6、7月に各1回、「安倍政権打倒デモ」を都内で繰り広げた。東京の動きに呼応する形で、今月17日には福岡で「政権打倒デモ」があった。福岡デモ実行委員会の宮崎雄士さん(29)は「鹿児島や佐賀から駆けつけた人もいた。安倍政権に対する反発の強さを実感した」と話す。
 2012年12月の安倍政権発足以来、改憲や原発再稼働に反対するデモや集会は毎週のように実施されてきたが、なぜ今、「政権打倒」なのか。「東京デモクラシークルー」と連携する市民グループ「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田健さん(69)は「昨年12月の秘密法の強行成立がきっかけ」とみる。
 「個別のテーマで幅広く結集する方法に知恵を絞ってきた。だが、秘密法が強行される中で、いくら頑張っても、最後は数の力でやられる。安倍政権を打倒しなければ、らちがあかないと、みんなが思い始めた。与野党の力が拮抗(きっこう)していれば、野党に政権打倒を託せるが、今の政治状況では、どうにもならない」
 今後、静岡や大阪でも「政権打倒デモ」が予定されている。高田さんらは、秋の臨時国会の冒頭、国会周辺で「安倍政権打倒」の統一行動を計画している。高田さんは「政権打倒を掲げると、警備が非常に厳しくなる。安倍政権が警戒していることの表れではないか」と気を引き締める。

安倍政権打倒デモ 反戦も反原発も一つにつながる

60年の「反岸」デモ 危機感は同じ

 「政権打倒」を掲げたデモは、海外では珍しくない。中東・北アフリカでは2010~12年、「アラブの春」と呼ばれる反政府行動が相次いだ。タイやウクライナなど政情不安の国でも反政府デモが頻発している。
 日本では、1960年の日米安全保障条約の改定を契機に、岸政権打倒を叫ぶデモが全国に広がった。岸政権は同年1月、51年に締結された同条約の改定について米国と同意。5月に強行採決で衆院を通過させたことで国民の不満が一気に高まると、改定が承認される前日の6月18日夜には30万人もの人が国会周辺を埋め尽くした。
 当時は、終戦からわずか15年。しかも岸氏は、太平洋戦争開戦時に閣僚を務め、戦後はA級戦犯として投獄された人物だ。後に不起訴となったものの国民の警戒心は強く、「反安保」から「反岸」へと流れが変わっていった。政治評論家の森田実氏は「米国の手先になって、また戦争をするんじゃないかという危機感が強く、『ここで動かないと大変なことになる』と多くの人が考えた」と説明する。
 それから50年余、強引な手法を取る政権はあったが、安倍政権ほど国民との関係が悪化したことはなかった。上智大の中野晃一教授(政治学)は「さまざまな悪条件が重なった結果」とみる。
 ここ十数年ほどの間、小泉政権や民主党政権の改革路線が続いた。しかし、小泉政権は格差問題、民主党政権は政治主導の迷走で国民の不興を買う。そこに再登場してきたのが安倍首相だった。12年衆院選と13年参院選で圧勝した自民党は、内紛を繰り返す野党を尻目に、「一強多弱」の政治状況を謳歌(おうか)する。
 「安倍政権は多くの国民の支持を得たのではなく、相対的に得票数が多かっただけ。ただ、ライバルとなり得る野党がいない現状が続けば、自民党は次の衆院選でも勝てる。国民の声に誠意を持って対応する姿勢がなくても、政権を維持できる状況になっている」(中野氏)

反戦も反原発も 一つにつながる

 そうした国民の閉塞(へいそく)感が現れた一つの形が「安倍政権打倒デモ」といえる。文芸評論家の柄谷行人氏は「秘密法も集団的自衛権も原発再稼動も、すべての問題は一つにつながっている。安倍政権の露骨なやり方を見ていれば、デモのテーマがシングルイシュー(一つの論点)から政権打倒に変わっていくのは当然の流れだ」と指摘する。
 安倍政権にも、ほころびが見え始めている。7月の滋賀県知事選では、自民党が推薦した候補が民主党の前衆院議員に敗北。広島市の土砂災害をめぐっては、第一報を受けながら静養先の山梨県でゴルフを続けたことが批判を浴びた。共同通信社の調査によると、一時は70%を超えていた内閣支持率は、52%にまで低下している。
 高千穂大の五野井郁夫准教授(政治学)は「安倍首相はアベノミクスが評価されているから大丈夫と思っているかもしれないが、経済状況の善しあしでしか判断しない人は、悪くなればすぐに離れる。政権を維持したいなら国民の声をきちんと聞き、噴出している不満や不安が払拭(ふっしょく)されるような政策を示すべきだ」と唱える。
 中野氏は「岸氏も世論の高まりの前に、最後は辞任に追い込まれた。安倍政権にくさびを打ち込むことも可能だろう」と説く。
 「秋に福島や沖縄で県知事選があり、来年には統一地方選が行われる。ここで負けが続けば、政権基盤は弱体化する。加えてデモで国民が声を上げ続けていけば、流れは変えられる」

安倍政権打倒デモ デスクメモ


安倍首相は憲法違反でクビ

安倍政権打倒!怒りのブルドーザーデモ

http://youtu.be/UBrgAWthrng


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