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小出裕章先生:鼻血の原因・・被ばくと因果関係がないというような発言をする政治家はおかしい!

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母になったアイドル・千葉麗子が今、守りたいもの(ラジオフォーラム#80)

http://youtu.be/_sOgan1Sqko?t=14m18s
14分18秒~第80回小出裕章ジャーナル
『美味しんぼ』バッシング騒動について「どうしてこんな事が大騒ぎの原因になるのか、それこそが私にとっては不思議でした」

http://www.rafjp.org/koidejournal/no80/

今西憲之:
今年の5月に連載されておりました漫画『美味しんぼ』の問題、大きな騒動になりました。『美味しんぼ第604話 福島の真実その22』で登場する山岡さんという記者の方が、 福島第一原発の内部で取材をしたと。
美味しんぼ 鼻血
その後、疲労感を覚えたり、原因不明な鼻血を出したという体調の異変を訴えたシーンが描かれました。これについて、非常に大きな論議を呼びました。小出さんもあちこちからコメントを求められ、いろいろお答えになられたというのを私も記憶しているんですけれども。実際にこのシーン、漫画で読まれて率直な感想はいかがでしたでしょうか?

小出さん:
そのシーンというよりですね、「この美味しんぼという漫画がとても素晴らしい漫画なんだな」と、まずはそう思いました。

今回のテーマも福島の原発の事故を取り上げて下さって、その中で苦難のどん底に落とされた被害者の方達がたくさんいるわけですけれども、その方々に寄り添おうとする姿勢がはっきりと出ていて、私としては大変ありがたかったし、こういう漫画が今存在してくれているということをありがたく思いました。

その上で鼻血のシーンですけれども、要するに事実として描いたというだけのことであって、何ら問題のないはずだし、どうしてこんな事が大騒ぎの原因になるのか、それこそが私にとっては不思議でした

今西:
そして、前福島県双葉町長の井戸川さん、ラジオフォーラムにもゲストに以前出ていただききましたが(→第49回)、「福島では同じような症状を訴える人がたくさんいらっしゃいます」ということで、鼻血について述べられた。こういう事実、井戸川さん自身も鼻血が出ている。
ラジオフォーラム

小出さん:
そうです。彼自身もたくさん何度も鼻血を出しているわけですし、ちゃんとその事実というか写真でも示してくれていますし、もちろんたくさんの人が鼻血を出しているわけで、私自身もたくさんの人から鼻血が出たという話を聞いています
井戸川克隆 鼻血
美味しんぼ 井戸川

今西:
なるほど。にも関わらず、おまけにこれは漫画ですよね?

小出さん:
はい。 でも、漫画だから許されるということはないでしょうから、もちろんちゃんと議論はしていいと思いますけれども、でも、鼻血が出た、あるいはそれを漫画が取り上げたからといって一体何なんだと私はまずは思いました

今西:
なるほど。それで、石原環境大臣筆頭にいろいろな政府の要職の方が「放射能と鼻血の因果関係は一切ない」と述べるなど、猛烈なバッシングが展開された訳ですよね。どうしてここまでバッシングをしなければならないのか。やはり、この背後には、原発を再稼働したいという原子力ムラの影が見え隠れするのかなと思ったりしたのですが、小出さんいかがでしょうか?
井戸川克隆 石原がいちゃもん

小出さん:
もちろんそうだと思います。しかし、石原さんにしても官房長官の菅さんにしても、いわゆる自民党の要職にあるわけです。そして、福島の事故を起こした責任って一体誰にあったのかと言えば、福島の原子力発電所が安全だとしてお墨付きを与えた自民党にこそ、私はあったと思います。それなのに彼らは何の処罰も受けない

そして、謝罪もしないまま、単に鼻血が出たという事実を描いただけの漫画を攻撃するということになっているわけです。まことに異様なことだし、多くのマスコミが何かその鼻血が出たと報道した漫画自身がおかしいというようなことに加担したわけで、随分おかしな世界だなと私は思います。

小出裕章ジャーナル

今西:
なるほど。そうですよね。事実、自民党の国会議員の方も国会の場で鼻血について質問をされておられる方までいらっしゃった。

小出さん:
そうです。事実出ているわけですから、そんなことは出たということはただ事実であって、それが一体どういう原因で出たということを科学的に突き止める責任は、まずはその事故を引き起こした自民党にこそあるはずなのですけれども、ただひたすら鼻血と被ばくの因果関係を否定するという、そういう行動に出てきたわけですね。

私は全くおかしいと思いますが、彼らとしては日本中の原子力発電所を再稼働させたいわけですし、一刻も早く福島を忘れさせてしまいたいわけですから、何としてもこういう被害を否定したいと思ったのだと思います

今西:
なるほど。それで実際、科学的根拠があるという意見もあればないという意見、いろいろ紹介されました。やはり大事なのは、まず正確な情報を得るということが一番必要ではないかなあと思うのですが。

小出さん:
そうです。これまで蓄積されてきた被ばくと被害の因果関係を証明するデータというのは、主要な部分は広島長崎、原爆被爆者にあったのです。
原爆傷害調査委員会(ABCC)
原爆傷害調査委員会(ABCC)

その被ばくの仕方というのは、瞬間的に大量な被ばくを外部から受けたという、そういう被ばくの形式に対しての被害が、データとしてだんだん蓄積されてきたというわけですけれども、今回の場合には、おそらくそうではなくて、外部から全体的に被ばくを受けたというのではなくて、鼻なら鼻の部分だけ局所的に被ばくをしたという、かなり特殊な被ばくの仕方というのがあり得たと私は思いますし、そういう事をキチッと検証しなければいけないはずなのですが、いわゆる科学の常識に従って、これまでのデータだけで判断してしまうという、誤りを多くの方が犯したと思います。
美味しんぼ第604話 福島の真実その22の3
美味しんぼ第604話 福島の真実その22の4

今西:
なるほど。過去の例にない被ばくの仕方をされたのではないかということですね。

小出さん:
はい、福島の事故なんていうのは、人類が初めて遭遇している事故なわけであって、過去の経験では分からないような被ばくの仕方というのは、あるはずだと私は思いますし、科学というのは一歩一歩、事実と経験を蓄積していかないといけないものなわけですから今、進行してる福島の事故、そしてその汚染からの被ばくということにもっともっと謙虚に向き合うべきだと思います
美味しんぼ第604話 福島の真実その22の17

今西:
ありとあらゆる可能性を想定しながら徹底的に調べることが大事ではないかということですね。

小出さん:
そうです。それが科学的な態度だと思います。

※「心配ない」とは何だったのか 福島県飯舘村の初期被ばくを追う
http://ameblo.jp/m08068469/entry-11850967259.html

今西:
なるほど。なるほど。けども、その科学的な態度がなかなか実際問題、実践されてないというのか。

小出さん:
まあ、政治家の方々に科学的な態度を求めるというのも、おかしな話ではありますけれども、でも、政治家の人というのは、やはり人々を守るというのが一番の大切な役割だと思いますし、頭から、もう被ばくと被害の因果関係がないというような発言をするというのは、まことに政治家としてもおかしいと思います
美味しんぼ第604話 福島の真実その22の8
美味しんぼ第604話 福島の真実その22の9

今西:
そうですね、はい。それでですね、私この『美味しんぼ』のバッシング騒動を見ておってですね、やはり、ひとつマスコミでも欠けておったところがあるかなあと思うんですね。実際に、その記者として描かれていた山岡さんという方ですね、この方が実在するのかどうかっていうのを確認したマスコミはないと思うんですよね。

小出さん:
なるほど、はい。

今西:
漫画で一応、架空の人物とされておるのですけれども、ひょっとすれば作者の雁屋さん、取材をされておられてそういう方がいらっしゃった。ただ、何らかの事情で実名を出しておられないとう可能性もある訳ですよね。

子供の鼻血・・・放射線被害では?

小出さん:
はい、私は少なくとも『美味しんぼ』という漫画を見た限りでは、極めて緻密な取材をしたんだなと感じましたので、きっともちろん、山岡さんという名前ではないと思いますけれども、実在の方がいらっしゃると思います。

福島の真実──『美味しんぼ』作者・雁屋哲氏に聞く
http://nichigopress.jp/interview/%E3%80%90%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%80%91%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B/51415/

今西:
そうですね。いや、そこが私もマスコミの仕事に関わりながら非常に大きな反省点かなあと、問題点かなあと思ったりするのですけれども。『美味しんぼ』、今、一時休載という形になっておるのですけれども、どうでしょう小出さん、ぜひ続けてほしいなあと私は思ってるんですが。

小出さん:
はい、もちろん私も思います。こういう優れた漫画が今この時にあってくれたことを有難く思いましたし、これからもどんどん活躍してほしいと願います。

今西:
そうですね。ぜひ、今後も福島のことを描いて頂きたいなあと思います。はい、小出さん今日はありがとうございました。

小出さん:
はい、ありがとうございました。



『美味しんぼ』福島の真実編に寄せられたご批判とご意見、編集部の見解(週間ビッグスピリッツ編集部)
http://spi-net.jp/spi20140519/spi20140519.pdf
より

小出裕章氏
京都大学原子炉実験所助教(原子核工学)

 今も帰れない地城が存在している、危険が存在するという事実を伝える必要はもちろんあります。国や電力会社、大手マスコミがその責任を放棄する、むしろ意図的に伝えないようにしている現状では、そうした活動は大切です。「鼻血」が出ることについては、現在までの科学的な知見では立証できないと思います。ただし、現在までの科学的な知見では立証できないことであっても、可能性がないとは言えません。科学とは、事実の積み重ねによって進んでいくもので、従来は分からなかったことが少しずつ分かっていくものです。もちろん、心因性の「鼻血」は十分にありうると思いますし、従来は知られていない鼻粘膜の損傷の機序もあるのかもしれません。人間は個人差、個体差がありますので、鼻血を出す人も出さない人もいることは当然です。でも、私は医者でも生物学者でもないので、地域差が生じるかどうかは分かりません。「疲労感」については、不安を抱えている中では、心因性のものは当然あるでしょう。あるいはマスクをするなどという行為に伴う疲労もあるでしょう。
 行政は、事故を引き起こしたことについてなんの責任も取らないままですし、むしろ現在は福島原発事故を忘れさせようとしており、マスコミもそれに追随しています。このような状況で、行政の発表に対して不信感を持たないとすれば、そちらが不思議です。何より放射線管理区域にしなければならない場所から避難をさせず、住まわせ続けているというのは、そこに住む人々を小さな子どもも含めて棄てるに等しく、犯罪行為です。





20120728 知られざる放射線研究機関 ABCC/放影研

http://dai.ly/xsgr38
報道特集より。

原爆の悲惨さを訴えて今も読み継がれているマンガ「はだしのゲン」。
放影研の前身であるABCCを描いた場面が出てくる。
「なにもくれず、まるハダカにされ、白い布をかぶせられ、血を抜かれて体をすみずみまで調べられた‥」「アメリカは原爆を落としたあと、放射能で原爆症の病気が出ることがわかっていた‥ わかっていておとしたんじゃのう」「戦争を利用して、わしらを原爆の実験にしやがったのか」
はだしのゲン作者の中沢啓治さんは自身も被ばくしている。母が亡くなったとき、ABCCが来て、母親の内蔵をくれと言われたという。

ABCCによる被爆者調査の背景を物語る文書がある。
「アメリカにとってきわめて重要な放射線の医学的/生物学的な影響を調査するには、またとない機会だ‥。」
1947年、広島でABCCが設立された。
ABCCが当初もっとも重視したのが遺伝的な影響だった。
広島、長崎で生まれた被曝2世、約7万7000人を調査。
担当部長は死産や生まれた日に死んだ赤ちゃんも調べたという。

そんな放影研に福島県郡山市から依頼があった。
大久保利晃理事長が市の健康アドバイザーとして招かれたのだ。
しかし実は放影研の調査対象は高線量外部被ばくだけ。
福島でいま起きていることは、これとは異なり、内部被ばくだ。

内部被ばくについては、ABCCの時代から調査の対象外としてきた。
だがABCCが一時期、内部被ばくの調査に着手していたことが、取材でわかった。
当時の生物統計部長だったウッドベリー氏は、内部被ばくの原因となった黒い雨の本格的な調査を主張していた。
そして1953年から1年ほど、内部被ばくの予備調査が続いた。
その調査の担当者だった日本人の研究員、玉垣秀也氏は、黒い雨をはじめ、残留放射能の調査を命じられた。
しかし上司は衛生状態の悪化が原因だとして調査を打ち切った。
そしてABCCから放影研に変わったあとも、内部被ばくの調査は再開されなかったという。




【美味しんぼ 鼻血】石原環境相の発言を批判した福島県前双葉町長 井戸川克隆さんが語る福島県の真実

http://youtu.be/AqKjuRlW3B0
肥田舜太郎医師との対談より

110616東京新聞特報子に体調異変じわり 大量の鼻血
2011年6月16日 東京新聞・こちら特報部


森まさこ「美味しんぼの表現は遺憾だ」←2年前鼻血を訴えてたw

http://youtu.be/d3BKh--dhE8



福島事故直後に原発推進案

自民党福島県連 パンフ

(;`O´)o(`・ω・´)《゚Д゚》



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川内原発の一方、放置される核のごみ 原子力「まいね」四半世紀
(東京新聞【こちら特報部】)2014年7月17日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014071702000193.html
 九州南端の鹿児島県にある川内原発が再稼働に向けて動きだしたが、大切な問題が放置されたままだ。「核のごみ」をどうするのか。使用済み核燃料は、本州北端の青森県にある核燃料サイクル施設で再処理することになっているが、最終処分場はまだない。四半世紀の間、「核燃」にあらがってきた青森の人たちも、再稼働の動きを注視している。
(白名正和、篠ケ瀬祐司)

川内原発の一方放置される核のごみ原子力「まいね」

本州北端・青森の闘い

 「議論が不十分なまま、再稼働を急いでいる」
 日本原燃の核燃料サイクル施設(青森県六ケ所村)に反対する市民団体「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」の代表で、弁護士の浅石紘爾さん(73)はそう話した。共に、東京から遠く離れた場所にある「原子力施設」だけに、余計に気になるという。
 1986年、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故が起きた。その記憶が残る88年10月、核燃料サイクル施設のウラン濃縮工場の建設が始まった。浅石さんたちは89年7月、「安全性が不十分なので動かしてはいけない」と国を相手取り、事業認可の取り消しを求めて提訴した。
 提訴直後の参院選では「反対」を訴えた候補が、村長選では「凍結」を訴えた候補が当選した。村内では反対運動が盛り上がり、低レベル放射性廃棄物埋設センターや高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、使用済み核燃料再処理工場の3施設についても、事業認可取り消しを求めて提訴していった。
 村民約20人が加わるなど原告団に約300人が名を連ねた。1500人の支援者もいて、放射能が魚介類に与える影響について調べたりもした。
 だが、訴訟が続く中、施設は次々と完成し、操業が始まった。すると、電源立地地域対策交付金などの「核燃マネー」で村が潤い始めた。高性能の音響設備があるコンサートホールや、高齢者が無料で使える温泉施設もつくられた。
 村民の収入も増えた。県の統計によると、2011年度の村民1人当たりの年間所得は約1170万円で、県平均230万円の約5倍もある。
 「『もう動いてしまったからしょうがない』と考える住民が増えた。反対運動を広げる上での影響は大きかった」と浅石さんは振り返る。
 先月、福島第一原発事故後初めてあった村長選が、村の現状を象徴している。核燃推進派の戸田衛前副村長が、約95%の得票を得て当選した。
 89年の提訴から今月で25年となった。高齢の原告が亡くなったこともあり、現在では、村内に住む原告は漁師の種市信雄さんら数人しかいない。支援者も約500人と3分の1に減った。
 「20年以上という時間は長かった。60歳で活動を始めても80歳を超えることになる。死亡や病気で活動から離れる人が多かった」と、原告団の山田清彦事務局長(57)は説明する。
 ただ、最初の2つの訴訟は最高裁で敗訴が確定したが、貯蔵管理センターと再処理工場については、現在も青森地裁で争っている。
 浅石さんは「反原子力の思いは消えていない。原発の安全性を重視する大飯原発の運転差し止め判決があった。脱原発の機運は高まっている。私たちの思いがへこむことはない」と言う。山田さんも「過酷な事故が起きる恐れから、目を背けてはいけない」と訴えた。

絶対ダメ 原子力「まいね」四半世紀

「金曜デモ」も100回超

 六ケ所村以外でも、青森県で、反核燃・原発を訴え続けてきた人はいる。
 弘前市内の主婦らはチェルノブイリ原発事故があった86年、「放射能から子どもを守る母親の会」を結成した。以来、2カ月に一度、「核燃まいね」を合言葉にデモをしている。「まいね」は絶対にダメという地元の方言だ。
 活動は28年間、途絶えたことがない。先月28日のデモの参加者は10人と多くはないが、268回目を数えた。
 福島第一原発事故後、新たに加わる人もいて、参加メンバーの村松正江さん(65)は手応えを感じている。「車やバスの中からデモを見詰める人が増えた。横断幕を上げてあいさつすると、反応してくれる。あきらめたと思われるのは嫌。仲間とは『続けるしかないね』と話している」
 一昨年8月からは、青森市内でも毎週金曜日、反原発・核燃を訴えるデモが続けられている。官邸前デモに呼応して始めた「あおもり金曜日行動」だ。こちらは今月4日、100回目を迎えた。50人以上が参加し、「原発いらない、再処理とめよう」と声を上げながら市内を行進した。
 六ケ所村以外にも青森県内には、原子力関連施設が数多くある。東北電力東通原発(東通村)のほか、建設中の東京電力東通原発、電源開発の大間原発(大間町)、リサイクル燃料貯蔵の使用済み燃料中間貯蔵施設(むつ市)などだ。
 「金曜日行動」の開始当初から携わってきた自営業の中道雅史さん(58)は「仮に国内の原発が全て止まっても、核燃サイクルが止まるまで運動を続ける」と決意を語る。
 一昨年8月には、県内約50の団体が集まって「なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク」が発足した。これまで三村申吾県知事に対し、原子力規制委員会の審査内容の把握状況や、原子力防災計画に関する考え方などをただしてきた。
 川内原発の動きにも注目する。代表者は9日、青森市内の原子力規制委の関連施設を訪れ、再稼働反対という「ネットワーク」の考えを伝えた。新谷進一事務局長は「川内原発の再稼動が全国の原発再稼働につながりかねないためだ」と説明する。
 だが、原子力関連施設を容認する人が少なくないことも事実だ。最大の理由は、やはり地元に落ちる「原子力マネー」だ。
 青森県は本年度、ウラン濃縮や使用済み燃料の貯蔵などに対する核燃料物質等取扱税(核燃料税)として約181億円を見込んでいる。法人税の約212億円に迫るほど巨額だ。
 脱原発弁護団全国連絡会の只野靖事務局長は、原子力施設が立地する地方が、原子力マネーに依存するのは構造的な問題だと指摘する。「70~80年代に過疎化の危機感を抱いた自治体が原子力施設を受け入れた。電力事業者は自治体の足元をみるような施策を進めてきた」
 そんな状況でも屈せず、声を上げ続ける市民の取り組みに、只野氏は賛辞を贈り、自らを鼓舞する。
 「粘り強い活動に頭が下がる。原発の運転差し止め訴訟も、世論の後押しがあれば裁判所は動く。川内原発では規制委の新基準の審査結果が出たが、あきらめずに活動を続けていきたい」

川内原発の一方、放置される核のごみ デスクメモ



泥沼にはまった福島・中間貯蔵施設
(東京新聞【こちら特報部】)2014年7月18日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014071802000135.html
 原子力ムラの人びとが居並ぶ原子力規制委員会は十六日、新規制基準「合格」の第一号を出した。福島原発事故の収束を二の次にした暴挙といえる。その福島では、除染ごみの中間貯蔵施設の建設が難航している。予定地の大熊、双葉両町とも受け入れを留保。住民は事故で「カネと人生の交換」という原発の本質を知った。だが、政府の姿勢は事故以前のまま。その隔たりが建設を阻んでいる。
(上田千秋、榊原崇仁)

泥沼にはまった福島・中間貯蔵施設

「口先ばかり」政府不信 「最終処分場化」に住民ら懸念

 「簡単に『はい、そうですか』というわけにはいかない。国は納得できる説明をしていない」
 17日、多くの大熊町民が暮らしている同県会津若松市の仮設住宅で、同町の男性(67)が語気を強めた。
 大熊、双葉両町の大半は放射線量が高い帰還困難区域に指定され、全住民が避難生活を続けている。国は5月から6月にかけて計16回、各地で説明会を開いたが、両町とも「国は住民の質問に明確に答えなかった」として、施設受け入れの判断を留保している。
 建設予定地に自宅がある男性(72)は「いまはまだ一時帰宅できるが、施設ができれば永久に自宅に帰れないことになる。絶対に認められない」と訴えた。
 住民の最大の懸念は、なし崩し的に汚染土を置きっ放しにされかねないという疑念だ。国は30年以内に最終処分場を設けて、すべて搬出するとしているが、使用済み核燃料の最終処分場がいまだ決まらない現実からも説得力はない。
 冒頭の男性は「最終処分場にしないというなら、現段階で場所を示すのが筋だろう。安倍首相は復興公営住宅の整備を急ぐと言ったのに、一向に進まない。国の言うことは口先ばかりで信用できない」と憤る。
 住民も施設の必要性を理解はしている。一人の女性(56)は「先祖代々の土地を奪われるのはつらい」としつつも「子や孫の代になっても大熊で暮らすのは難しいだろう。そうである以上、原発の地元で引き受けるのは仕方がないと思っている」と胸中を明かした。
 だが、そんな住民の気持ちを逆なでしたのが、石原伸晃環境相の「最後は金目でしょ」という発言だ。先月16日に飛び出した。
 別の女性(88)は「あの人は何一つ不自由なく育ったお坊ちゃん。人の痛みが分からないのだろう。施設を造らなければいけないことは分かる。でも、あんな言い方をされて、賛成できるわけがない」と話した。
 福島第一原発の西8キロにある大熊町の行政区「野上1区」は今月3日、住民の総意として「帰らない宣言」をした。効果のない除染などやめて、その分、新天地で生活再建できる十分な補償を求めている。
 施設予定地は国が買い取ることになっている。同区は予定地に入っていないが、同区の木幡(こわた)仁区長(63)は「道1本隔てただけで、予定地か否かの線引きがされてしまう。それは自宅や土地を国が買い取るかどうかの違いになる。これでは、町民の間にしこりができてしまう」と懸念する。
 「国はあいまいな態度をとり続けるべきではない。戻れるのか戻れないのかをはっきりと示すのが先。そうしないと、予定地の住民も判断できないだろう」

泥沼にはまった福島・安全管理も山積み

安全管理も不安山積

 こうした状況下、政府が描いた来年1月からの施設の使用開始というシナリオは厳しさを増している。
 これまでの経緯を振り返ると、こうなる。政府は2011年10月に中間貯蔵施設に関する基本的な考え方をまとめた。ここでは、施設の確保や維持管理は国の責任で行う○汚染土壌などは福島県分のみを搬入する○30年以内に福島県外で最終処分を完了させる─などの方針を示した。
 翌12年3月には福島第一、第二原発が立地する大熊、双葉、楢葉の3町に分散設置する案を提示。比較的線量が低い楢葉町が早期の住民帰還のため受け入れを拒んだのを踏まえ、今年2月には大熊、双葉両町に集約する案を示した。
 ただ、2町がすんなりと受け入れるはずがない。
 政府は使途の自由度の高い交付金の創設を提案したが、住民説明会では「なぜ大臣が来ないのか」などと不満が続出。加えて、金目発言で怒りが爆発した。
 問題は補償などの金銭面に限らない。除染廃棄物は「フレコンバッグ」という袋に詰め込み、現在は仮置き場などに置いてあるが、管理面で課題を抱える。
 環境省の担当者は「耐用年数が3年の袋を使うルールにしており、期限を超える前に詰め替えるようにしている」と説明する。しかし、同県飯舘村の住民らによると、3年もたたないうちに破れて、放置されている例もあるという。
 さらにバッグを手がける業界団体の関係者は「1枚数百円の安い外国製品も少なくなく、除染場所から仮置き場に運ぶ時に破れることもある」と漏らす。
 県内各地の仮置き場から中間貯蔵施設への輸送も、すんなりとはいかない。
 中間貯蔵施設で保管する廃棄物は最大で2800万立方メートル、重さにして3500万トンになる。環境省の試算では、10トンダンプを使って3年間で運び終えようとすると、1日2000台程度必要になる。これは県内で登録される10トンダンプの8割強に当たり、除染以外の復興関連工事も本格化する中で、これだけの台数を確保するのは困難を極める。
 仮にダンプが確保できても、積載した除染廃棄物が交通事故で飛散してしまう恐れがあるほか、深刻な交通渋滞や排ガス、騒音などの被害も予想される。
 決定的なのは、施設の最終処分場化という懸念だ。石原環境相は今年5月、国の特殊会社「日本環境安全事業」の関連法を改定し、同社に施設運営を担わせたうえ、30年以内に県外で最終処分する旨を明記する方針を示した。
 しかし、それが空約束になり、半永久的に「中間貯蔵」が続きかねないという住民たちの不安の方が、よほど現実味がある。

受け入れ迫る手法「原発建設時と同じ」

 そもそも、「迷惑施設」をカネで住民に受け入れさせようという国の姿勢に、住民たちは既視感を覚えている。大熊町住民の聞き取り調査をする大妻女子大の吉原直樹教授(社会学)は「原発建設時の手法と変わらない」と批判する。
 あれだけの惨事であったにもかかわらず、政府は何も教訓を学んでいない。だが、被災した立地町の住民の中には、原発の恩恵に頼り切り、国や電力の言いなりになってきた「原発さまの町」の歴史を見つめ、脱却する動きも出ている。
 吉原教授はこう話す。
 「町民たちは国の原発政策で自らの生活が奪われた。再び自立するうえで『もう国に言いくるめられるわけにはいかない』と強く思う人が少なくない。強引に原発再稼働を推し進める今の政府の姿勢も、不信感ばかりを生んでいる。そんな中で国の意向通りに、中間貯蔵施設の問題が進むと思ったら大間違いだろう」

泥沼にはまった福島・中間貯蔵施設デスクメモ


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