5月16日(金)放送分 「集団的自衛権 安倍首相会見を斬る!」
http://youtu.be/-N8xUc3w8VQ
安倍首相が昨夜、会見し、
集団的自衛権行使容認へ、一歩踏み出しました。
パネルを使い、「子どもや孫の命を守る」ことを強調。
海外在住邦人を乗せた米艦船の防護や、駆けつけ警護ができなくていいのか、と国民に語りかけました。
今夜は、軍事ジャーナリストの前田哲男さんと電話をつないで、首相会見で語られた事例を検証し、集団的自衛権行使容認が日本に何をもたらすのか、じっくり考えます。
集団的自衛権を問う
(しんぶん赤旗日曜版 2014年5月18日付)
「憲法違反」という歴代自民党政権の解釈をひっくり返して、安倍晋三首相らが進めようとしている集団的自衛権の行使、急速に広がる批判のなか、推進派は国民説得に向け、さまざまな”説明”をしています。その内容をQ&Aで考えてみました。
”友達”の侵略戦争 協力に道
Q ”親しい友達が強盗に襲われたら助けるのは当然。集団的自衛権行使もそれと同じ”(石破茂自民党幹事長)と言うけれど?
A 集団的自衛権の行使とは、自国が攻撃されていないのに、他国と他国が互いに殺し合う戦争で、一方の側に参戦し、武力行使するということです。
しかも、安倍首相が考える”友達”はまず米国。「アメリカが攻撃されたときに血を流す」(『この国を守る決意』)ことを自衛隊に求めます。この”友達”は、これまでベトナムやイラクなどで、侵略戦争を行った前歴のある国です。
さらに、この”友達”は、4800発以上もの核兵器や、日本が提供する巨大基地をはじめとする海外軍事基地を持ち、世界の軍事費の半分近くを使う世界最強の軍事超大国です。日本に守られないと”強盗”に襲われて
困るーというような存在ではありません。
逆に日本は集団的自衛権行使が可能になれば、米国の侵略戦争にも参戦を迫られる哀れな立場になってしまいます。
想定があまりに非現実的
Q 「日本近海の公海で警戒に当たる米軍のイージス艦が攻撃を受けても、自衛隊は守れない」(安倍首相=6日、ブリュッセル)などの事例を強調していますが…。
A 安倍首相らが”日本周辺”での集団的自衛権行使の必要性を訴える事例は非現実的で、かえって日本の危険性を高めます。
日本近海の公海上で、ある国が米軍艦船を攻撃する-。そんな事例があれば、その国と米国との全面戦争突入になりかねません。そのときは日本にある米軍基地も攻撃対象になり、米国を助けるどころか日本が戦争状態になる-と軍事専門家は指摘します。
また、北朝鮮から米国をねらうミサイルを、自衛隊の迎撃ミサイルや地対空誘導弾で撃ち落とすという想定も不可能です。米本土を狙えば遠く離れた北極付近の上空を通過し、(ワイやグアムをねらう場合も日本周辺から撃ち落とせない高度を飛行します。
もし朝鮮半島で戦争が起きたときも、自衛隊は韓国の要請がなければ、集団的自衛権を行使して韓国領域には入れません。要請がなければ集団的自衛権の行使はできないという国際司法裁判所の判決(米国のニカラグア干渉に関する判決=1986年)が確定しています。
他方、集団的自衛権で、中東などでの機雷除去や、日本近海の臨検(船舶の強制検査)を日本がやれば、相手国が反撃し、戦争に突入する危険性が高まります。
参戦に「最小限」ありえない
Q 「必要最小限」の集団的自衛権ならいいのでは?
A 集団的自衛権行使を認めれば、これまでの日本の在り方を大きく変える重大な一歩を踏み出します。
集団的自衛権は名前は「自衛」でも、「自国防衛」でなく他国の戦争に参戦すること。他国
民を殺し、自衛隊員も戦死します。「必要最小限」などという弁明は相手に通用しません。
自民党の野田聖子総務会長も、その重さをこう指摘しています。
「集団的自衛権が行使できる、武力行使ができるとなれば自衛隊は軍になる。軍隊は殺すことも殺されることもある。いまの日本に、どれだけそこに若者を行かせられるのでしょう」「人を殺す、人が殺されるかもしれないというリアリズムを語るべきです」(『世界』6月号)
こうした危険な道に、安倍首相は憲法解釈を変えるだけで踏み出そうというのです。
かえって戦争の危険高める
Q 集団的自衛権を行使しないと日本は危ういの?
A まったく逆です。日本が戦争への備えを強めるほど周辺国は警戒し、軍事力を増強します。軍拡競争はアジアの緊張を高め、戦争の危険性を高めます。
戦争で問題が解決できないことはこの間の米国の教訓であり、世界の流れでもあります。米国はシリア問題でも軍事介入より外交解決を選択しました。オバマ大統領は、最近のアジア歴訪でも、「米兵と米国予算に膨大な負担を強いた戦争の10年」を反省し、「軍事力を賢明に展開する
のが私の仕事だ」(4月28日、マニラ)とのべ、紛争の平和的解決を訴えました。
米国は安倍首相の靖国神社参拝に「失望」を表明しました。日米軍事同盟強化の一方、歴史問題などで、中韓両国との緊張を高める安倍内閣を警戒しているのです。
解釈改憲へ首相独走 臨時国会前 閣議決定譲らず
(東京新聞・【核心】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014051602000141.html
安倍晋三首相は集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲を秋の臨時国会前の八月中に閣議決定する構えだ。首相は年末の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」再改定や来年の統一地方選などの政治日程から逆算して期限を設定し、公明党や自民党内の慎重派を抑え込もうとしている。しかし、公明党は首相の独走を警戒し、抵抗を強めている。 (大杉はるか、生島章弘)
■理屈
臨時国会前 閣議決定譲らず
行使容認を閣議決定しても、自衛隊の任務を定める自衛隊法などの関連法を変えなければ、行使はできない。変える必要がある法律は約20本あるが、来年の通常国会では予算審議もあり、大量の関連法改正案の審議時間を確保するのは難しい。そこで、首相は安全保障上、緊急性が高い数本の関連法に絞って、秋の臨時国会で処理しようと考えている。
関連法を変えるには解釈改憲を閣議決定し、法案作成を関係部署に指示しなければならない。法案の提出には作成作業と内閣法制局による点検などで最低でも1カ月はかかり、逆算すると、8月末の閣議決定は譲れないという理屈だ。
また、日米両政府は年末までに有事の際の自衛隊と米軍の役割を定めたガイドラインを再改定することで合意している。昨年の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で日本側から米側に持ち掛けた。
首相はこの日米合意を与党協議を急がせる口実にしようとしている。実際、自民党の高村正彦副総裁は「(再改定の日米協議に)十分、間に合う時期に与党の合意ができればいい」と述べている。
来年4月の統一地方選からできるだけ閣議決定の時期を離したいとも考えている。世論が反発すれば選挙への影響は避けられない。これらの政治日程を計算し8月末の期限を決めた。
■戦略
公明反発 自民にも慎重論
解釈改憲へと突き進む首相に対し、公明党は反発している。
与党協議の責任者を務める北側一雄副代表は、政府が集団的自衛権だと主張する「公海上の米軍艦艇の防護」は個別的自衛権で対応できるとして「解釈改憲は必要ない」と明言。20日から始まる与党協議で解釈改憲に反対する方針だ。
山口那津男代表は15日、記者団に「与党協議では従来の政府の考え方と論理的な整合性を持てるか、よくよく吟味しないといけない」と強調した。
公明党は特定秘密保護法に賛成するなど、自民党に付き従う「げたの雪」とも批判されてきた。しかし、今回の解釈改憲については「認めれば『平和の党』でなくなる」と、これまでの政策課題より反発が強い。支持母体の創価学会でも「特に力がある」(公明党幹部)とされる婦人部を中心に拒否感が強いという。
11月の結党50周年を前に「戦争に道を開いた政党」という批判を浴びたくない。
だが、与党として福祉政策などで「実利」を得たい公明党は今のところ、連立政権を離脱してまで抵抗するつもりはない。与党協議を長引かせ、11月の沖縄県知事選や統一地方選に近い時期まで遅らせれば、首相も選挙への影響を考え、棚上げせざるを得なくなるという戦略を描く。
首相の足元の自民党でも慎重な意見がくすぶる。野田聖子総務会長は丁寧な議論がなければ、党総務会で了承しない可能性に言及。総務の村上誠一郎元行政改革担当相は15日、「歯止めがどこにあるのか納得できない。集団的自衛権の解釈がどんどん広がる。言語道断だ」と述べた。
「平和」強調 矛盾多く 解釈改憲 首相の会見検証
(東京新聞・【核心】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014051702000115.html
安倍晋三首相は、憲法のもとで禁じてきた集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更へ本格的に動きだした。15日の記者会見では、これまでよりも憲法の平和主義を尊重する考えを押し出して国民に理解を求めたが、行使容認をめぐる説明には、さまざまな矛盾や問題点が含まれていた。内容を検証した。 (金杉貴雄)
☟30分で20回
首相は約30分間の会見で「国民の命と暮らしを守る」と20回以上も繰り返した。海外で自衛隊の対処が必要な事例として、2枚のパネルを左右に置いて説明。集団的自衛権行使の範囲を限定的にとどめる考えを強調した。改憲問題で踏み込んだ発言をすることが多い首相だが「憲法の平和主義は守り抜いていく」とも明言した。しかし説明にはいくつもの疑問がある。
首相は事例の一つに海外での有事の際に法人を救出し、輸送している米艦船を防護することを紹介。「自衛隊は守ることができない。これが憲法の現在の解釈です」と断言したが、必ずしもそうとは言えない。
自衛隊の艦船が米艦に近づき、米艦が攻撃されれば、自らへの攻撃とみなし、自らの船を守る権利で反撃できるとの指摘もある。ある防衛省幹部は「現在の憲法解釈でも可能」と話す。公明党は自国が攻撃されたときに反撃する個別的自衛権などで対応できると主張している。
もう一つの事例として首相が挙げた国連平和維持活動(PKO)での自衛隊による「駆け付け警護」も、憲法が禁じている武力行使とは関係なく、今の解釈でも可能という議論がある。何より二つを持ち出した首相自身が、集団的自衛権に当てはまる活動だと明確に言わなかった。集団的自衛権とは限らない事例を使い、解釈改憲の必要性を訴えていたことになる。
☟二つの戦争
国連を中心とした武力行使の枠組みである集団安全保障(集団安保)をめぐっても、集団的自衛権との関係で矛盾があった。首相は集団安保への参加に関し「これまでの憲法解釈と論理的に整合しない考え方だ」と否定した。これに対し、同じく従来の憲法解釈では論理的に整合しないとしてきた集団的自衛権の行使容認については「限定的な行使は許されるという考え方の研究を進めたい」と表明した。
集団安保も集団的自衛権も、海外での武力行使なのは同じ。国連の集団安保による多国籍軍が編成された1991年の湾岸戦争は、初めは集団的自衛権が適用された。2003年のイラク戦争では、英国が集団安保の枠組みよりも米国との同盟関係を重視して加わった。首相は集団安保に参加しないことを理由に「湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加することはない」と言い切ったが、集団的自衛権の行使を容認すれば可能性がないとはいえない。
☟乳児と母親
論理ではなく感情論で訴える場面も目立った。首相はパネルにこだわり、米艦防護の事例では乳児や母親を入れて作り直すよう指示した。会見では「逃れようとしているのがお父さんやお母さんやおじいさんやおばあさん、子どもたちかもしれない」などと訴えた。
沖縄県・尖閣諸島周辺への中国船侵入問題や北朝鮮のミサイルが、日本全土を射程に入れていることも強調。「机上の空論ではない」「人ごとではない」と主張したが、他国を守る集団的自衛権と何の関係があるかの説明はなかった。
2013/09/18 解釈改憲に理はない 安倍政権が進める集団的自衛権行使容認に元内閣法制局長官が警鐘~岩上安身による阪田雅裕氏インタビュー
http://youtu.be/9QuMTgFX6Ek
2013/09/18 解釈改憲に理はない 安倍政権が進める集団的自衛権行使容認に元内閣法制局長官が警鐘 ~岩上安身による阪田雅裕・元内閣法制局長官インタビュー(IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/102055
「憲法泥棒」やめよ もし私が安保法制懇のメンバーだったら
(東京新聞・【こちら特報部】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014051602000160.html
十五日、集団的自衛権の行使容認を求める報告書を安倍晋三首相に提出した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)。容認派の「お友だち」らを首相が好き勝手に人選した私的な会議に正統性はあるのか。このままズルズルと「解釈壊憲」を許していいのか。「もし私がメンバーだったら…」。安倍タカ派路線に批判的な識者に聞いた。 (篠ケ瀬祐司、林啓太)
なんと言っても、憲法の専門家の出番である。
改憲派として知られる小林節・慶応大名誉教授は、安保法制懇について「憲法
を論ずる構成になっていない」と批判する。
安保法制懇は第一次安倍政権時のメンバーをほぼ引き継いだ。政府は、社民党の福島瑞穂参院議員の質問主意書に対する答弁書で「深い見識を有し、著しく公平性を欠いていない」と説明しているが、小林氏は「結論ありきの人選だ。憲法学者は一人(西修・駒沢大名誉教授)だけ。これでは、憲法学界の議論が正しく伝わらない。日本の良識は反映されていない」と手厳しい。
小林氏は、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認を「憲法泥棒」と呼ぶ。時の政権が、権力者を縛る憲法を事実上書き換えるに等しいからだ。安保法制懇のメンバーに選ばれていれば、そうした点を突いた。
どの戦争・紛争を想定するのか具体論を
「憲法下での海外派兵は、九条の文面からも、歴史的経緯からも無理だ。尖閣諸島を守ることや北朝鮮のミサイルへの対処は、警察権や個別的自衛権でできる。それでも海外派兵が必要というなら、理由を示し、解釈変更ではなく憲法改正の手続きをとるべきだ」
安倍政権の姿勢に危機感を抱く学者グループ「立憲デモクラシーの会」の呼び掛け人の一人、愛敬浩二・名古屋大教授は、メンバー入りしていれば広い視野での議論を呼び掛けた。「重大な政策変更につながる議論をするのだから、集団的自衛権の行使反対派も含めて広く意見を聞くことが大事だ」
その上で、真の狙いを問うた。「何をしたくて集団的自衛権の行使に踏み込もうとするのか。尖閣や北朝鮮だけが理由なのか。(首相の会見でも)外国から避難する邦人を運ぶ米艦船の護衛の話も出たが、自衛隊に頼らずとも、米艦船が自ら迎撃するだろう。米国の戦争に軍隊として参加したり、南シナ海での中国とフィリピン、ベトナムの対立に軍事介入したりすることはないのか、目的をはっきりさせたい」
今語るべきは「軍事よりも生活」と考える。「一人一人が安全な生活を営むにはどうするか。尖閣諸島をめぐる話よりも、社会の格差解消や、若年労働者が減る中で生産や社会保障をど
う維持するかなどを話し合う時だ」
「イラク自衛隊派遣差し止め訴訟」を担当した弁護士の川口創氏(名古屋市)は「メンバーになったら(法的根拠のある)審議会に格上げしてくれと言う。国家の根幹にかかわる問題
を、私的な機関で議論していいはずがない」と主張する。
その名の通りの運用も促した。「『法制懇』なのだから、内閣法制局の意見も聞き、メンバーが顔を合わせてきちんと法律、憲法の議論をしましょうよ、と」。第二次安倍内閣での安保法制懇開催は、わずか七回だ。
日本の武器は9条
外交・安全保障の専門家はどうか。
非政府組織や国連の職員として東ティモールや西アフリカ・シエラレオネの紛争処理などに携わった伊勢崎賢治・東京外語大教授(平和構築学)は、安保法制懇について「国際貢献の在り方を理解しているとはいえない」と断じる。
安保法制懇は、国連平和維持活動(PKO)での武器使用などの集団安全保障への取り組みについても検討した。報告書は「自衛隊がPKOなどの国際活動で武器を使用することは武力の行使にはあたらない」などと武力行使を前提にした書きぶりだ。
だが、伊勢崎氏は「米国はテロとの戦いで、テロリストを生まない環境をつくることの重要性に気付いた。貧困や格差問題の解決こそが大事だ。日本は武力を行使しなくても、非軍事で貢献できる分野がある」と指摘する。
伊勢崎氏が非軍事分野で重視するのは「平和のためのインテリジェンス(情報活動)」である。独自の情報網を紛争地域の平和構築の活動に生かしている国もある。「本当に必要な情報
を取るには命がけのこともある。使命感を持った外交官を育てなければならない。ドイツのように情報収集力のある国には米国も一目置いている」
元駐レバノン特命全権大使で外交評論家の天木直人氏は「日本が頼るべき外交の武器は憲法九条」と言い切る。「今の世界で国同士の全面戦争はあり得ず、日本が求められるのは国際紛争への対応だ。衝突の予防や素早い事後処理をする上で、平和を国是に掲げた日本には利点がある」
米の戦争に協力するなら基地削減求める
軍事評論家の前田哲男氏は「集団的自衛権の行使容認は日本の対米従属をいっそう深める」と懸念する。「私が安保法制懇のメンバーの立場ならば、集団的自衛権で米国の戦争に協力す
る代わりに、在日米軍基地を大幅に削減するよう求めるだろう。メンバーにはそんな発想さえないのか」
憲法や安保以外の識者の意見にも耳を傾けたい。
金子勝・慶応大教授(財政学)は「首相がお友だちを選んで作った私的な懇談会の報告書を基に、憲法九条の解釈変更という国の根幹に関わることを閣議決定だけで変えようとしている。悪い冗談だとしか考えられない。日本は独裁国家になったのか」と皮肉る。
もしメンバーであれば「こんな懇談会で国の基本政策を決めてはならないと報告書に明確に書き込む」と話す。「そんな殊勝な考えの有識者は懇談会に一人もいないだろう。集団的自衛権を認める世論はまだ少数派だが、彼らは首相の権威を使ってやりたい放題だ。結論ありきの『色』が付いた『有色者』だ」
作家の落合恵子さんは「どうして日中の軍事的な緊張が高まったのか。どうしたら緩められるのか。それを問うことなく、安保法制懇は武力行使に前のめりな結論を出した。福島の原発問題などが解決を見ないまま、集団的自衛権の議論が進むのは非常に問題だ」と吐き捨てるように言う。
全国のO・6%の面積に74%の米軍専用施設が集中する沖縄は十五日、くらしも「本土」復帰から四十二年を迎えた。沖縄県で暮らす芥川賞作家の大城立裕氏は「沖縄からすれば、目の前の米軍基地をどうするのかが喫緊の課題だ。県外移転を求める県民の声に冷淡な本土との間には構造的差別がある」と沖縄の声を代弁する。
もし安保法制懇のメンバーに選ばれていれば…。「約四十年前に沖縄国際海洋博覧会の開催内容などについて政府の有識者として議論に加わったが結局、沖縄の思いをくみ取ってもらえなかった。有識者会議はこりごりだ」と嘆いた上で、こう訴えた。
「安保のために沖縄を犠牲にすることは許せない。有識者だけでなく、国民全体が、沖縄に対する構造的差別を許していいのかどうかに関心を向けてほしい」
【デスクメモ】
与党・公明党は、集団的自衛権の行使容認に反
対らしい。個人的には。「平和の党」なる看板は、秘密保護法に賛成した時点で「終わった」と
思う。だが、「多弱」の野党には全く期待できない。公明党が鍵を握っているのは間違いない。頼るのではない。動かすのだ。圧倒的な世論で包囲するしかない。 (圭)
2014/05/19 解釈改憲許すまじ!官邸前大集会
http://youtu.be/e8_T3ncd2oY
2014/05/19 集団的自衛権行使をめぐり火炎瓶テツ氏が政府を非難「旧敵国条項でボコボコにしてくれと言っているようなもの」(IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/140689
憲法は権力縛るもの 安倍改憲は根本が間違い
(しんぶん赤旗日曜版 2014年5月18日付)
タレントで元民主党参院議員の大橋巨泉さんは、著書についての編集部のインタビューで、憲法解釈で集団的自衛権の行使容認をしようとしている安倍政権の姿勢を厳しく批判しました。
大橋氏は「安倍政権の誤っているのは、憲法の位置付け」だと強調。「憲法は権力者を縛るもの」だという立憲主義の立場から「閣議決定で(集団的自衛権についての憲法)解釈を変えてしまうのは根本が違っている」と語りました。
また憲法について「国の根本は国民だとはっきり文字にし、戦争をしないこと
を国是にした」とのべました。
タレントの大橋巨泉さんが、生き抜く力の源泉となった言葉を明かす『それでも僕は前を向く』(集英社新書)を出版しました。1970年代から80年代にかけてタレントとして一時代を築いた人物が混迷する現代社会に贈るメッセージとは-。
金子徹記者
生き難い時代でも前を向いて
「僕の原点は、昭和20年8月15日」
11歳で終戦を迎えた巨泉さん。軍国主義教育に洗脳され、天皇のため戦争へ行き死ぬのが当然と信じていました。
「万歳で送られ出征していく人を、『かわいそう』という父に、くってかかりました」
父親は時代に流されず合理的に考える現実主義者。「自転車の国(日本)が自動車の国(アメリカ)と戦争して勝てるわけがない」といい、空襲が激化する前に東京の下町から千葉県へ引っ越しました。
「そんな父の子であることを、戦中は侮やんでいたけど、敗戦で、半年くらい記憶がないほどのショックを受けました。その後1年かけて、オヤジの正しさがじわじわと分かりました」
3人の言葉
本書では、「人生の師」となる3人の言葉を紹介しています。高校時代に退学を考えていた時、親身に諭してくれた前田治男先生。大学で、ジャーナリズムの使命を伝えた木村毅先生。そして、作家の山口瞳さんです。
「木村先生は、強権政治を阻止するのが勇気あるジャーナリズムで、軍国主義を抑えられなかったことを『わしらが悪かった』と。『権力者のすることを疑え』と言っていました。当時(50年代)よりも、いまはジャーナリズムがはるかに悪くなっている。先生なら何とおっしゃるか」
山口さんとは雑誌の対談で、「負ける人がいなければ、勝者は生まれないんですよ」と言
われました。
「人気が出ていい気になっていた僕は、トンカチで殴られたような衝撃を受けた。親しくお付き合いするようになり、非戦の心を教わりました。3人の『師』に共通するのは、声高でない平和主義、リベラルなところです」
本書では、単位不足で卒業を放棄し「麻雀と俳句とジャズ三昧の、いわば無頼の暮らしを続けていた」大学時代やメディア進出への下地になった「修業時代」などのエピソードが盛りだくさん。自伝であり、次代に伝えたい思いを込めた「遺言」です。
「命を守るということは、自分の頭で考えるということ。これは、毎日でも肝に銘じておかなければならないと思う。なぜならば、戦前の日本の軍国教育、神国日本という洗脳教育は、ほんのわずかな時間のなかで完成されていったのだから」
憲法の意義
「マスコミ九条の会」の呼びかけ人の一人。集団的自衛権の行使容認をめぐる、解釈改憲の動きに憤ります。
「安倍政権の誤っているのは、憲法の位置付けです。憲法は権力者を縛るもの。権力を恣意(しい)的に使えないようにするのが憲法なのに、閣議決定で解釈を変えてしまうのは根本が違っている」
話は、憲法の意義にも-。
「戦争で多くの同胞が死に、憲法は、国の根本は国民だとはっきり文字にし、戦争をしないことを国是にした。いまそれを直接知らない世代が中心だけど、歴史的事実を捉えて政策に反映できる政治にならないといけない」
「11PM≒クイズダービー」など数多くの人気番組の司会を務めてきました。ジャズ評論家、競馬評論家としても活躍し、流行語になるCMに出演するなど国民的な人気者になりましたが、1990年、セミリタイア宣言。芸能活動の最前線から退きました。
昨年秋、のどにがんがみつかり手術を受けました。2005年の胃がんの治療に続き、2回目です。完治しましたが、放射線治療による味覚障害や囗の渇きなどの副作用が。
「食が細り寝てばかりいる時期もありました。でも、家内の『私を人殺しにしないで。も
っと食べて』というひとことで食べるようになり、体力が戻ってきました」
副作用に苦しみながらも…。
「僕は放射線治療の後遺症に悩まされている。ヒロシマ、ナガサキ、フクシマでは何も悪いことをしてない人たちが放射能によって、僕とは比較にならないくらい大変なことになったし、影響は続いている。そんな時に、安倍首相は原発の再稼働だ、海外輸出だと。とんでもないことです。新幹線ならともかく、原発なんか売り込んで事故が起きたら誰が責任とるのか。安倍首相は武器輸出までやろうとしていますが、やめてほしい。人間より経済優先、もうけ優先ではいけない」
4月にはテレビ番組「徹子の部屋」に出演するなど、「復帰」しました。『それでも僕は前
を向く』という書名通りの生き方です。
「病は気からというけれど本当に、高齢者にとって、大事なのは気力だと思いました。若い人も高齢者も、生き難い時代でも、前を向いて生きてほしい」
改訂新版「日本国憲法」なのだ!
http://www.soudo.com/book/b110295.html
目次
はじめに/マンガ・日本国憲法/「戦争はいたさないのだ!」赤塚不二夫・断章(石子順)/素顔対談/憲法をよむまえに/資料・日本国憲法、教育基本法、大日本帝国憲法(明治憲法)
内容説明
1983年4月に発行された“「日本国憲法」なのだ!”は、戦中・戦後に青少年期を過ごした、漫画家・赤塚不二夫氏と法学博士・永井憲一氏の実感を通して、日本国憲法の素晴らしさを的確に、わかりやすく描き出しており、30年を経たいまなお、現在の感覚にも通ずる新鮮さを持っています。
憲法論議が急浮上している現在の状況下、学生、子どもを持つ若い親世代をはじめより多くの人びとに、いま一度日本国憲法に触れてもらい、わたしたちが暮らす現在、そしてこれからの日本について考えるきっかけになれば幸いです。
改訂新版にあたっては、漫画家・赤塚不二夫氏の知られざる一面を書いていただいた漫画評論家・石子順氏による「戦争はいたさないのだ!」を収録しました。また、30年の間に、憲法に謳う教育の自由と不可分な教育基本法の改正(2006年)、子どもの権利条約発効に伴う新しい展開があるので、永井憲一氏に〈注〉として付記していただきました。また資料編では教育基本法改正前・後の内容を対比して読めるよう、レイアウトを変更しました。
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生き難い時代でも前を向いて / 「日本国憲法」なのだ!
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