とても重要
2014/02/03
米国からのプルトニウム返還要求「明らかな政治的メッセージ」~岩上安身による京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏インタビュー(IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123411
「米国が日本政府に対し、300キロのプルトニウムの返還を要求している」。1月27日付けの共同通信が伝えた内容は、日本の原子力産業関係者だけでなく、政界・財界を含むあらゆる関係者に対して衝撃を与えた。この報道の真偽について外務省は、IWJの取材に対し「ノーコメント」と答え、現在に至るまで回答を保留している。
※【米、プルトニウム返還を要求】オバマ政権が日本に 300キロ、核兵器50発分/背景に核テロ阻止戦略(共同通信、1月27日【URL】http://bit.ly/1j5GRIn)
※【IWJブログ】米国から日本政府への研究用プルトニウム「返還」要求 外務省「ノーコメント」(【URL】http://bit.ly/1dXRSDu)
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教が2月3日、岩上安身のインタビューに応じ、今回の米国によるプルトニウム返還要求について、「安倍政権が暴走しているので、米国は日本の動向を危惧しているのではないか」と分析。「2018年に日米原子力協定の見直しがされるが、米国は日本に対する締め付けを強めるのではないか」と語った。
記事目次
核燃料サイクルは「核兵器保有」のため
東京都知事選「宇都宮さんに知事になってほしい」
http://youtu.be/R5Ni4n13zP4
日時 2014年2月3日(月) 14:00~
場所 京都大学原子炉実験所
核燃料サイクルは「核兵器保有」のため
戦後、世界で唯一の被爆国である日本が原発を導入した背景として、1954年3月の「第五福竜丸事件」をきっかけに日本で盛り上がった反核運動を抑えるため、日本を「反共の防波堤」として位置づけたかった米国と、原発による利権を得ようとした中曽根康弘元総理や正力松太郎・元読売新聞社主の利害が一致し、「原子力の平和利用」キャンペーンが展開されたことがあげられる。
小出氏は日本が原発を導入した理由として、「電気のためではなく、核兵器の保有がそもそもの目的だった」と語る。
日本は現在、原発から排出される使用済み燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、再度原発の燃料として使用する「核燃料サイクル」を政策として採用している。しかし、その中核を担う高速増殖炉「もんじゅ」がトラブル続きで運転の見通しが立たないことから、日本は既に44トンものプルトニウムを保有しながら、「核燃料サイクル」実現のメドは立っていない。
1988年の「日米原子力協定」によって認められたこの「核燃料サイクル」について、小出氏は「抽出したプルトニウムによって、核兵器を保有することが目的だったのでは」と指摘。「日本の核燃料サイクルは、原爆を持つためにこそ導入されたもの。しかしこれが可能だったのは、日本が米国の”"属国”"だったから。ところがここに来て、靖国神社への参拝など安倍政権が暴走しているので、米国は日本に対し政治的なメッセージを送ってきたのではないか」と語った。(IWJ・平山茂樹)
東京都知事選「宇都宮さんに知事になってほしい」
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とても重要
岩上安身、都知事選直前20140203小出裕章氏インタビュー
http://youtu.be/-VTkPmZboTQ
原子力の「平和利用」は可能か?
京都大学・原子炉実験所 小出 裕章
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/genpatu/kub101008.pdf
日米原子力協力協定
原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府と
アメリカ合衆国政府との間の協定
http://www.nsr.go.jp/activity/hoshousochi/kankeihourei/data/1320751_006.pdf
第3条
プルトニウム及びウラン233(照射を受けた燃料要素に含有されるプルトニウム及びウラン233を除く。)並びに高濃縮ウランであつて、この協定に基づいて移転され又はこの協定に基づいて移転された核物質若しくは設備において使用され若しくはその使用を通じて生産されたものは、両当事国政府が合意する施設においてのみ貯蔵される。
第8条
1 この協定の下での協力は、平和的目的に限つて行う。
2 この協定に基づいて移転された資材、核物質、設備及び構成部分並びにこれらの資材、核物質、設備若しくは構成部分において使用され又はその使用を通じて生産された核物質は、いかなる核爆発装置のためにも、いかなる核爆発装置の研究又は開発のためにも、また、いかなる軍事的目的のためにも使用してはならない。
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ねじ曲げられた!(;`O´)o
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United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium
(日本のプルトニウム蓄積を助けるため米国政府は法を曲げた)
http://www.dcbureau.org/201204097128/national-security-news-service/united-states-circumvented-laws-to-help-japan-accumulate-tons-of-plutonium.html
カーター大統領が、米国内のプルトニウム生産の増殖炉研究停止を決断し、核技術・設備の国外移転を禁じるために制定した、「1978年核非拡散法(原子力法)」を、レーガン政権下、米国内の原子力推進派が巻き返しを図ってこれを覆し、増殖炉で蓄積した増殖技術や遠心分離器など設備を(核武装を狙って兵器級プルトニウムの備蓄を進めようとする)日本側に売り渡す「日米原子力協定」の締結に漕ぎつけたとし、日本の宇宙開発も、「核武装の思惑によるもの」
浜岡原発審査 14日にも申請(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20140207/CK2014020702000090.html
中部電力が浜岡原発4号機(御前崎市)の再稼働を目指し、十四日にも原子力規制委員会に安全審査を申請する方針を固めた。「三月末までのできるだけ早い時期」と説明してきた中電としては、もっと早く申請する方針だったが、津波対策や想定外のトラブルに加え、原発ゼロを掲げる立候補者が注目を集める東京都知事選も絡んでずれ込んできた。
原発の新規制基準が昨年七月に施行され、これに基づいて規制委の安全審査が終わらなければ再稼働は認められない。これまでに七電力会社が十六基の審査を申請している。浜岡など福島第一原発と原子炉格納容器が同型の「BWR」と呼ばれるタイプは、特殊な排気設備の即時設置が義務付けられるなど、審査のハードルが高いとされる。
最大の課題は津波対策だ。中電はマグニチュード(M)9・1の南海トラフ地震を前提に対策をしているが、規制委は審査ガイドの中で、南海トラフと南西諸島海溝との連動で起こり得る地震として最大M9・6程度を「参考値」として例示。中電はこの影響の調査、分析に時間を要した。
昨年十一月には人為的ミスで5号機の非常用ディーゼル発電機のスイッチを入れ忘れ、再発防止策を御前崎市長らに報告したのは今月になった。都知事選では、原発即ゼロを掲げた細川護熙元首相が立候補したため「政治的に利用されかねない」(幹部)との判断で選挙期間中の申請は避けたとみられる。
申請後も規制委の指摘を受けて調査や対策をやり直す電力会社が相次いでおり、再稼働を見通せない状況は続く。地元自治体は安全審査を受けることは容認する一方で再稼働反対の声は根強く、中電は二〇一五年九月末まで対策工事を進めながら、地元の理解を得られるかが焦点になる。
◆反対派「再稼働ありき」
浜岡原発の危険性を訴えて再稼働に反対する人たちは六日、中部電力の安全審査申請について「再稼働を射程に入れている」「地震や津波の想定が不十分だ」と反発や批判を強めた。
「再稼働申請にほかならない」。東京電力福島第一原発事故前から東京高裁で控訴審が争われてきた浜岡原発運転差し止め訴訟の原告団長、白鳥良香さん(81)はこう強調する。
中電は「申請が再稼働とはリンクしない」(水野明久社長)との立場を繰り返すが、「再稼働反対が多い世論を意識し、苦しい言い訳をしているだけ」と白鳥さん。「審査を通れば中電は『浜岡が安全とのお墨付きを得た』と再稼働を突き進めかねない」と語気を強める。
この日は県内の弁護士らが中電に浜岡の廃炉などを求めた訴訟の口頭弁論が静岡地裁であり、原告側は海抜二二メートルの防潮壁について「中電は何ら具体的に強度を立証していない」と述べるなど安全対策の不十分さを指摘した。原告兼代理人の一人、鈴木敏弘弁護士は閉廷後、「中電はどういう地震を想定しているかも明らかにしていない。申請は出せるのに訴訟には出さない。あまりに不誠実だ」と疑問を投げ掛けた。
これに対し中電は閉廷後に記者会見で「申請の準備でいろいろ検討しているが、まだ結果が出ていない。誠実かどうかという問題ではない」(寺田修一法務部長)と反論した。
◆一層の安全対策を UPZ圏内の磐田市
緊急防護措置区域(UPZ)にある磐田市の山下重仁危機管理監は「浜岡原発の再稼働と安全審査とは別と考えているが、使用済み燃料棒が保管されている現状を考えると、なお一層の安全対策を最優先で進めるべき。UPZ圏内に十二万七千人の市民がいるので、現段階では再稼働に賛成できない」とコメントした。
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2014/02/03
【東京都知事選】「候補者が我々を置き去りにして選挙している」
~脱原発候補の一本化を呼びかける記者会見(IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123450
「脱原発都知事選候補に統一を呼びかける会」問題について。- 2014.02.07
http://youtu.be/QsUbFBm35xM
【ぽぽんぷぐにゃんコラム】
「脱原発都知事選候補に統一を呼びかける会」に思うこと。
http://blog.goo.ne.jp/sithux7/e/d163e76746a1a9ff3efda52efdd5d6f0
<都知事選>脱原発一本化ならず 「多くの政策不一致」(毎日新聞)
都知事選世論調査 脱原発票割れる 舛添・細川・宇都宮氏に(東京新聞)
鎌田慧さんらが細川氏と宇都宮氏に脱原発候補一本化要求(スポーツ報知)
都知事選・現場から:脱原発、一本化ならず 「多くの政策不一致」「優先順位異なる」(毎日新聞)
都知事選:焦り迷う脱原発派 劣勢になお候補統一探る(毎日新聞)
舛添氏リード、宇都宮氏と細川氏追う...都知事選(読売新聞)
都知事選:脱原発候補者の一本化断念 実現する会(毎日新聞)
【IWJブログ・特別寄稿】候補統一を呼びかける知識人たちに感じた違和感~福島からの避難当事者からの声(宍戸俊則)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123982
以前、私が取材でお話をうかがった、福島からの避難当事者である宍戸俊則さんが、今回の東京都知事選で候補者の一本化を求める動きがあることについて、ご自身の思いをTwitterに投稿されている。そこで、宍戸さんから、改めて原稿をお寄せいただいた。以下、掲載する。(岩上安身)
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※鎌田慧氏「なぜ、脱原発候補の統一が必要なのか」に反論すると同時に、「脱原発都知事選候補に統一を呼びかける会 記者会見」(2014年2月3日)に対する感想をまとめる。
◆細川当選で自民党の暴走を止められる保証はない◆
私は、原発事故発生時には福島市内で県立高校の教員をしていた。その後避難指示以外の区域から、一家で北海道に区域外避難生活を続けている人間だ。
最初にお断りしておくが、鎌田慧氏のこれまでの業績や、反原発に関する鎌田氏の真摯な態度には、私は常々敬意をはらっている。鎌田氏が札幌にやってきて脱原発のデモに参加してくださったときには、鎌田氏の横で横断幕を持って歩いたこともある。
しかし、今回の東京都知事選に関する鎌田氏ら、「脱原発都知事選候補に統一を呼びかける会」の動きには、賛同できないのだ。
言うまでもなく今回の東京都知事選挙は、安倍首相の政策への評価を正面に問うものではない。ましてや、細川候補は「反安倍政権」とか「戦争反対」を公約に掲げているのでもない。細川氏の政策の第一は「脱原発」で、その具体的な内容とは、東京電力に原発再稼動をさせないこと、なのだ。
瀬戸内寂聴さんの話題に続く鎌田氏の文章は、いつもの鎌田氏の主張を繰り返しているだけで、今回自民党系も一部合流している保守系候補を支持する理由としては説明不足だ。「今回の選挙こそが日本の運命を変え、右傾化を止める最後の機会だ」という話は鎌田氏が選挙の度に繰り返し、革新系の候補者を応援する時の定型文のようなもので、なぜそれが今回は保守系候補を支持する理由になるか、私にはわからない。
論理の詳細は不明だが、今回はいよいよ「保守系の勝てる候補」を支持して勝たせない限り、安倍政権の暴走を止めることができない、という判断らしいことは読み取れるが、「細川候補が当選すれば、自民党の暴走を止められる」という確約がどこにあるのか、皆目見当がつかない。
再度確認するが、細川候補は「安倍政権の軍事的傾斜にストップを掛ける」などとは言っていないし、応援の小泉氏にしても、そんな話はしていない。そこで提出されている、安倍政権の方針への反対点は、「原発を再稼動させない」だけだ。せいぜい選挙戦後半になって「善隣友好」を口にする程度だ。
細川候補の政策と、鎌田氏の主張には一致点が少なすぎる。
◆「既に被害を受けている人を助ける政治」を期待する◆
鎌田氏は、今回の文章の続きで、宇都宮候補を応援する人たちを勝手に一定の枠の中に押し込めて見せているが、この論法には全く賛成できない。鎌田氏への批判は「感情論」で、宇都宮候補の支持者は宇都宮氏の人柄を評価して支持している人ばかりだ、と決め付けている。
前回の都知事選では宇都宮候補の選挙カーに乗って惨敗する側に立った鎌田氏は、「人柄ではなく勝てる候補を」という所まで追い詰められたので、今回は細川候補支持に回ったと明記している。なんの事はない、人柄で候補を選んできたのは、前回までの鎌田慧氏自身の話なのだ。
他の人はともかく、今、私自身が宇都宮氏を支持する理由は、一言で言えば、既に被曝して、現在も被曝しつつある状況を問題として指摘しているからだ。
区域外避難者である私達を含めて、避難した人も現地で頑張っている人も、首都圏で被曝を心配している人も、宇都宮候補は等しく支援する姿勢を明確にしている。これから起きる原発事故のことだけではなく、既に発生した事故で現に被害を受けている人を支援する方針を出しているからだ。
宇都宮候補はこれまで、サラ金による被害を受けた人達を助けてきた。生活弱者を助けてきた。原発事故からの避難者を助けてきた。今後発生するかもしれない被害を予防するだけでなく、今、現に被害を受けている人を助けている。私が期待する政治とは、既に被害を受けている人を助ける政治なのだ。
鎌田氏は、元首相が4人(※編集部注:細川護熙氏、小泉純一郎氏、菅直人氏、鳩山由紀夫氏の4人。しかし鳩山氏は、現在の所、細川氏への支持を正式に表明してはいない)も脱原発を言っているのだから、信じようと呼びかける。しかし、元首相が何人言おうが、批判を拒否する安倍政権には有効な打撃とはならないだろう。
◆鎌田慧氏の「矛盾」◆
特に、原発事故からの区域外避難者、つまり被害当事者である私の立場で書くならば、今回細川氏とそれを支持する元首相は、原発事故被災者を支援救済するための具体的な活動を個人的に行った、という話を聞いたことがない。つまり、被害者に直接謝罪をしていない元首相たちなのだ。
加害者であるのに「被害者に謝罪はできませんが、これから新しい被害者を出さないようにしますから支持して下さい」というのは、被害が継続中である時点で加害者が採るべき態度だとは、私には思えない。「原発推進は間違いだった」というなら、原発事故で直接の被害を被った、私達のような福島からの避難者の目の前で言って見せてほしい。
そういう意味では、残念ながら鎌田氏自身も同じだ。彼には「フクシマの人たち」の声が聞こえているつもりかもしれないけれど、今まさに被害を受け続けている現実の被害者の声が、耳に届いているとは思えない。ただ、東京電力原発事故を、脱原発のダシに使おうとしているように思える。
ひとしきり「安倍政権打倒の必要性と緊迫性」を書いた後、鎌田氏は「勝てる候補への一本化」を要求する。残念ながら、鎌田氏が「勝てる」と考えている都知事候補と候補を支持する元総理は、そろいも揃って国家の秘密を保護する法律の推進者だ。そういう候補で良いのだろうか?
結局、文章の最後で鎌田氏が候補者を選ぶ視点は、人間性の問題に戻っている。「人柄で支持する候補者を決めては、選挙に勝てない」と前半で書いておきながら、最後には「人間性」に戻っていく。
個人的には、そういう人間くさい鎌田慧氏を嫌いではない。しかし、鎌田氏の文章が矛盾しているのは確かだ。
今、格差に苦しんでいる人がいる。原発事故により避難している人がいる。原発事故で環境や飲食物が汚染されて困っている人がいる。今、泣いている人がいるのだ。「これから泣く人を増やさない」のは当たり前だと私は考える。
その上で、今泣いている人を助けるのは、どの候補だろうか?
◆なぜ細川陣営を疑わないのか?◆
続いて、脱原発都知事選候補に統一を呼びかける会 記者会見を録画で見た感想をまとめる。
今回の東京都知事選挙に小泉元首相の支援を受けて細川元首相が「脱原発」を掲げて立候補したことについて、鎌田慧氏が「歴史的転換点になりうるチャンス」「これを逃したら、未来の子ども達に謝罪しきれないほどのチャンス」と考えたのだという事は、よく理解できた。
その為には「脱原発」以外について鎌田氏に考えが近い宇都宮氏に降りてもらってでも「脱原発」候補の勝利を願っているのだということもわかった。そして、同じ会見に臨んだ他の「文化人」のそれぞれが、「脱原発」実現以外については、それぞれ微妙に異なる感覚であることもわかった。
会見が開かれたのは、2014年2月3日。細川候補と宇都宮候補に要求した回答期限は3日後の6日。その6日に再び、「統一を呼びかける会」は記者会見を開き、両陣営からの回答を公開するとの事だ。実質的に、中2日しかない。率直に言って、統一は時間的に無理だと思う。
今日の会見で「統一を呼びかける会」の賛同者の多くが認めたように、宇都宮氏陣営は、原発以外のことについても細かい政策を提示している。他方、細川氏の陣営は、選挙戦が始まってから色々と付け加えてはいるが、正直「現状維持」に近いものに精神論を加えただけの代物だ。
細川氏の陣営に自民党の関係者が多数いるのに、なぜ「脱原発」以外の政策が大雑把なのか、考えたことはないだろうか?細川候補は、選挙開始時から、都庁幹部職員へのリスペクトを何度も表明していることを、「統一を呼びかける会」の人々は知らないのだろうか?
細川陣営では、様々な点で現在の都政をそのまま継承する、というのが政策なのだろう。民主党の多数と自民党の一部が関与している細川陣営で、実は何も細かい政策を考えていない、などという事はありえない。猪瀬都政を継承する意図はあるが、言わないだけではないか。
さて、私個人の立場にかかわって記者会見を論評させてもらう。
彼らの視界に、私達原発自主避難者の存在が入っていたとは、全く思えない。私は北海道を選んだが、実は福島県からの自主避難者の最も多い避難先は、東京都であり、多くの人は住民票も移動し、都知事の選挙権もある。そういう避難者の存在は、全く念頭にないかのような会見だった。確かに、膨大な東京都の人口の中では、避難者の人数などたかが知れているのかもしれない。しかし、そういう少数者、弱者の存在を無視して実現する「脱原発」が、果たして歴史的にどんな意味を持つか、考えてほしい。
鎌田氏を始め、今日の会見に臨んだ人々は、いざ候補の統一ができれば、その後は宇都宮氏の識見や手腕に期待して、弱者を切り捨てない都政が可能になることを期待しているのかも知れない。しかし、それは甘すぎだろう。細川候補の実働部隊が政治実務の経験豊富な人が多い事を考えれば、妥協を引き出すのは非常に困難だろう。
それ以前に、私は、細川陣営が今回の「統一を呼びかける会」の呼びかけを黙殺するだろうと考えている。こんな呼びかけに返答するだけの良識があれば、告示前日に出馬会見をするような戦術を展開できるはずもないだろう。公開討論を拒絶することもないだろう。
不必要な深読みをする癖がある私としては、今回の「統一を呼びかける会」の動きには、もっと先を考えた意味があるのではないかと勘繰っているのだが。実際にどうなのかは、今後の展開を注目したい。どっちにしても、この選挙で原発政策の全てが決まることは、ありえないのだから。
【IWJブログ・特別寄稿】東京都はブラック企業対策をせよ!~特区とブラック企業問題の討論を回避している都知事選(NPO法人POSSE代表 今野晴貴)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123971
◆都は、労働相談窓口の拡充を◆
私が都政に求めることは、はっきりしている。それはブラック企業問題への対応だ。
後述するが、ブラック企業は若い人材を使い潰す企業を指しており、その増加は、日本社会全体に弊害をもたらす「社会問題」であると認識されている。
これを受け、政府も相談窓口の拡充などの対策を打つに至っている。
一方、東京都は都内に6カ所の労働相談窓口を設け、年間5万件を超える労働相談を受け付けており、労働行政の中心的役割を担っている。
しかし現都政は相談窓口を次々に縮小。最近でも窓口は2カ所削減された。しかも、削減されたのは利用者の多い新宿と渋谷の窓口。さらに今後、 八王子と国分寺の窓口も廃止するとしている。
新都政では、ぜひ方向を転換し、窓口の拡充に転じてほしい。
◆ブラック企業問題とは何か◆
ブラック企業問題は、かつて「都市伝説」のように語られていた。どこかに「ひどい企業がある」、という悪い企業の噂話である。だが、今や、ただの噂話ではすまなくなった。
大メディアも、政治家も、無視できないほどの大問題になっているのである。一例を挙げよう。
朝日新聞系列(朝日新聞・アエラ・週刊朝日)でブラック企業についての記事を検索してみると、この1、2年で急激に増加していることがわかる(読売新聞や産経新聞でも同じ傾向である。ここでは系列雑誌まで同時に検索できるため、朝日を例に挙げている)。
記事数(2013年10月現在)
2009年 1件
2010年 4件(朝日新聞・アエラ)
2011年 7件(朝日新聞)
2012年 23件(朝日新聞)
2013年 172件(朝日新聞・アエラ・週刊朝日)
この一年で激増しているのは、昨年の参院選の争点になったことや、厚生労働省が対策を打ち出したことに原因がある。
もはや、ブラック企業問題は「噂話」から「政策の問題」にまでなったのだ。
◆ブラック企業では人材の「使い潰し」が行われている◆
若者が「ブラック企業」を恐れるのは、それらの企業で「使い潰し」が行われるからだ。長時間労働やパワーハラスメントの結果、精神疾患が蔓延し、自殺に至る場合もある。
「ブラック企業」は若者を正社員として採用しながら、入社半年や一年で「使えない」と判断すれば、組織ぐるみでいじめて退職に追い込む。
また、毎日長時間の残業、休日出勤など、無限の労働を強いて、自殺や鬱病にかかるまで働かせる。社員が鬱病にかかれば容赦なく首を切り、代わりの者を雇う。
要するに「使い捨て」なのだ。
ただ「きつい」だけではなく、鬱病にかかるまで心身を酷使することがブラック企業の特徴である。まじめに働いていても長期雇用や昇進の期待は裏切られ、体を壊すまで働かせるような企業が、「ブラック企業」なのだ。
◆国もブラック企業対策をはじめた!◆
今や、政府もブラック企業問題は「国家的問題」だと認めている。田村厚生労働大臣の記者会見での発言には、危機感が表れている。
「若者の「使い捨て」が疑われる企業ということで社会において今大きな問題となっております」。「この若者が使い捨てにされているというような問題を野放しにしておいたのでは…日本の国の将来は無いわけであります」。
そして実際に厚生労働省は昨年8月、「若者の「使い捨て」が疑われる企業」に対する一斉検査を行った。その結果、8割以上で違法行為が発覚し、今後是正の指導をしていくところだ。
もちろんこれは「氷山の一角」に過ぎない。
厚生労働省はさらに、夜間の労働相談対応ができるように、今年度の概算要求で18億円を計上している。
ブラック企業に働く若者は、労働時間が長く、なかなか行政の相談までたどり着けないからだ。こうした対応は極めて合理的な施策だといえる。
こうした点からすれば、相談窓口を減らすという東京都の方針が、いかに社会全体に逆行したものかがわかるだろう。国が窓口を増やす、逆に、都は減らす。完全にアベコベである。
◆国の対策が抱える課題◆
しかし、国の対策も万全ではない。労働基準監督官は司法警察員であるために、パワーハラスメントや解雇といった民事領域には立ち入ることができない。これらを担当する国の機関である労働局も、行政が取り締まる法令上の根拠が希薄であるために、解決能力に限界がある。
また、労働局の労働相談は、社会保険労務士などのアルバイトの職員が担っているケースも珍しくはなく、相談員の「質」は必ずしも担保されていない。社会保険労務士は、経営側のコンサルタントであることが一般的で、違法労働について相談に来た労働者に対し、「あなたが甘い」などといって追い返してしまうこともめずらしくはないのだ(もちろん、すべての社労士がそうだというわけではない)。
私たちNPO法人POSSEに寄せられる相談も、何割かは、労働局で粗雑な対応をされ、半ば「追い返される」経験をした方からのもの。
今後拡充される夜間の相談対応にしても、民間の業者に入札を通じて委託されることになり、社会保険労務士や人事系の企業・団体が受託するものと見込まれている。
こうしたことから、国のブラック企業対策の課題は、第一に、相談を、民間のサポート機関に接続させることである。具体的には、弁護士や労働組合など、民間の機関に相談者を接続させ、労基法違反以外の民事上の権利の主張を手助けできる体制を整える必要がある。
第二に、窓口を担う相談員の質を確保することも、大きな課題である。
◆都の相談窓口の良さ◆
では、これに対し、都の労働相談窓口はどうだろうか。
都の相談窓口は、東京都の職員によって担われている。労働局の場合と同じように、強い法令に支えられているわけではないので、民間への接続は同じく課題を抱えている。
ただ、都の場合には、地域の労組等の情報収集も事業の一部になっており、相談者の案件が裁判や団体交渉などでなければ解決しないと考える場合には、地域の労働組合や弁護士に積極的に紹介するケースもある。
実際、現役の職員たちの話を聞いていると、地域の資源を生かした解決策を模索している実態がうかがえる。
また、職員の質についても、労働局と課題は共通している。都の場合にも、都職員の持ち回りであるため、必ずしも専門性を有していないのが現実だ。
ただ、この点に関しても、民間業者への委託などとは異なり、都の場合には継続的に職員を配置したり、教育・訓練制度を充実させることで、相談内容の充実が可能になっている点に注目する必要がある。
都の労働相談事業の歴史は古く、何十年もの積み重ねがある。国の相談事業はつい最近はじまったもので、委託形式も多く、ノウハウの確立や育成制度、継続性という意味では、都の窓口の方がまだまだずっと優位にあるのが実情なのだ。
しかも、今回の統合によって、民間財団に業務を委託する方向も示されている。
以上のように、国もブラック企業対策を強化しようとしているが、都に比べれば、ノウハウの蓄積も、人材の育成も、遅れをとっている。むしろ、都の相談窓口の機能を拡大することが、国のブラック企業対策を加速・補完する上でも、カギになるかもしれないのである。
以上から、私は都知事選の候補者には、ぜひブラック企業対策のための相談窓口拡充と、職員の増員、教育制度の充実を、実現してほしい。
◆国家戦略特区の活用はきわめて危険◆
次に、ブラック企業問題と連関して、もう一つの争点が、国家戦略特区についての各候補者の認識である。主要候補で特区政策に賛成しているのは、舛添氏と細川氏であり、宇都宮氏は反対を表明している。
まず、それぞれの候補の姿勢を確認しておこう。
舛添氏は演説で、「東京全部を特区にして、霞が関が邪魔をしても、知事と議会のみなさん、区議会の皆さんの力をあわせてまず変えていく」と述べている。
また、細川氏は「国家戦略特区を活用し、同一労働同一賃金の実現を目指すとともに、ハローワークは、国から都へ移管し、民間の職業紹介とも合わせてきめ細かな就業支援を実現します。また医療、介護、保育、教育などの都民生活に密接に関係する既得権のしがらみを断ち、国ができなかった思い切った改革を進めます」と提案している。
これらを見ると、彼らは「雇用改革」には意見を言っていないようにも見える。「特区政策は、雇用や福祉とは無関係だ」とか、「細川さんの主張する特区は、いい特区」などという意見もみられる。
しかし、これらの論者は、特区制度そのものをまったく理解していない。
1月30日の国家戦略特区諮問会議に示された「国家戦略特別区域基本方針(案)の概要」によれば、「区域計画は、国家戦略特区担当大臣、地方公共団体の長及び民間事業者が、相互に密接な連携の下に協議した上で、三者の合意により作成」となっている。
国家戦略特区制度が適用されると、その内容は国や財界が入って決めることになるのだ。そして、国や財界は解雇自由化や残業無料化を主張している。だから、特区政策と雇用改革は不可分なのである。
国家戦略特区を受け入れるということは、雇用制度、金融制度、福祉制度、医療制度など、あらゆる分野の制度改革を、国・財界・自治体が連帯して行うということ。そして、どの分野がどれだけ改革されるかは、都だけでは決められず、国や財界の委員にも左右されることになるのである。
私の眼には、特区適用後に「国が主張していることは、私の責任ではありません」などと言い逃れする候補者の姿が浮かんで見える。
特区適用後は、都の意図を超えて政府からあらゆる分野について、注文がでることになるだろう。それは、従来の都政の範囲を大きく超えたものとなる。特区政策が、国家政策の特別区での試行のためのものであれば、これは当然のことである。
だからこそ、政策についての詳細な討論、議論が、今回ほど求められている選挙はないのである。
◆特区はブラック企業を促進する◆
では、特区政策はブラック企業問題とどう連関するのか。先ほども述べたように、国家戦略特区法を制定させるまでの国の審議会では、解雇自由化や残業代を無料にすることなどが、国や財界の委員たちによって真剣に議論されていた。
厚生労働相が強く反発したことから、いったんはひっこめる形になっているものの、都が特区を適用した際には、当然区域計画を策定する「国家戦略特区担当大臣、地方公共団体の長及び民間事業者」の会議で再燃することだろう。
ブラック企業では、現行法の下でも「いつでもクビする」という圧力のもとに、鬱病にかかるまで、あるいは死んでしまうまで、過酷労働に従事させる。実際に、大企業の正社員で、入社後に「予選がある」といわれ、自殺にまで追いやられた事件も起きている。
解雇特区が実現すれば、若者の使い潰しを間違いなく加速させる。
特区政策に賛成している、舛添氏、細川氏は、雇用政策についてどのような考えであるのか、立場を明確にしてほしい。
もし、細川氏や舛添氏が解雇特区に賛成、ないし曖昧な態度をとるようであれば、ブラック企業に懸念を持つ都民は彼らに投票すべきではない。
◆政策論争をしていない◆
これに関連し、非常に強い疑問を持っているのが、今回の各候補者の選挙戦術の問題である。
告示前の討論会はすべて中止、告示後も「選挙戦術」としてテレビ討論などが徹底的に回避されている。
原発以外の政策については、細部がよくわからない。都民の4割が、投票先が未定なのもうなずけるというものだ。
このままでは、特区に賛成することが、何を意味しているのかを、有権者はわからないままに投票日に至ってしまうのではないか。
討論が行われれば、宇都宮氏は特区の真意について問いただすだろうから、その時に細川氏や舛添氏の「真意」が明確になるはずである。逆に、あえて討論をしないという戦術は、結局のところ、重要な「争点」そのものを覆い隠すのである。
こうした選挙戦術によって、民主主義制度はまったく機能しなくなる。私は、このやり方そのものに、強い危機感を覚えている。
◆知識人の問題◆
こうした討論回避の傾向に拍車をかけているのが、一部の知識人の動きである。私は、議論を避ける候補者を、安易に支持すべきではないと考えている。
特に細川氏は、戦略的に討論を避けているように見受けられるところもあるにも関わらず、一部の知識人が「全面支持」を表明した。
彼らは細川氏の特区支持の内容についてきちんと確認できているのだろうか。
もし彼らが政策をすべて把握できているのだとしても、一般人には公開されていないのだから、判断のしようがない。こういうやり方では、秘密主義的な政治、エリート主義的な政治行動、ととられてもしかないのではないか。
さらにいえば、討論や政策論争軽視の候補者を安易に担ぐことによって、「人気投票政治」を知識人自らが促進してしまっているようにも見える。
舛添氏にしても、特区には賛成している。そんな中で細川氏の「討論回避戦略」を実質的に支援する形になり、舛添氏の政策を問いただす機会も逸してしまった。
もし舛添氏が解雇特区に賛成で、ブラック企業の促進を是としていたとしよう。討論が行われないために、多くの都民はその事実も知らないままに、投票しなければならなくなるのである。
また、もし討論が行われることで、舛添氏が「解雇特区には反対だ、絶対にやらない」と公約する場面がつくれれば、政治的にはとても重要な一歩になる。
討論そのもの回避は、そうした議論や政策妥協の可能性、すなわち「政治」の余地をことごとく破壊する方向に、進めてしまうのだ。
さらに言えば、舛添氏や細川氏が雇用改革に反対していたとしても、特区を設定することで国・民間事業者の意向が通り、雇用改革が押しとおるかもしれない。「人気投票」が加速されることで、こうした懸念を「争点」から遠ざけてしまったことも、大きな問題である。
知識人には、最後まで候補者に「討論」を求めてほしかった。そして、討論の結果が見えてくる中で、特定候補に支援表明をしてほしかった。
◆改めて、討論を要望する◆
実は、私は「ブラック企業対策プロジェクト」の共同代表として、都知事候補たちに政策討論会を申し込んでいる。http://bktp.org/(参照)
告示前に応諾してくれたのは宇都宮候補のみで、同候補とは政策討論を行うことができた。
告示後も、改めてブラック企業対策についての公開質問状を各候補に送付すると同時に、政策討論会の呼びかけを行った。しかし、舛添氏も、細川氏も、公開質問状についての検討する時間がないと、返答してくれなかった。
昨年の参議院選挙の前後には、私はブラック企業問題について、公明党の国会議員団に講演をしたし、前厚生労働事務次官にもレクチャーした。民主党の前幹事長ともテレビ討論をした。その後、自民党の関係議員とも何度かインタビューなどをする機会をいただいている。
これに比べ、今回の都知事選の異様さは際立っている。私は、ぜひ、労働や福祉の分野それぞれの候補がどのような政策を行うのかを、公の場で披露してほしいと思う。
政策討論は、政策内容以前の最低限の民主主義の手続きであり、ひいては、そうした討論を経ることで、本当に都民が望む都政へと、政治家を誘導できるのである。
残り時間はわずかとなってしまったが、私は最後まで討論を求めたい。